JP5076870B2 - インラインスパッタ装置 - Google Patents
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Description
特に、液晶表示装置は、CRT(Cathode−Ray Tube、ブラウン管) に代わり、広く普及されるようになってきた。
液晶表示装置用のカラー表示用の液晶パネルは、簡単には、バックライトからの光が各色の着色層を通過して表示されるが、各色の着色層を通過する光は、画素毎に液晶をスイッチング素子としてオン−オフ制御されている。
そして、この画素毎に液晶をスイッチング素子としてオン−オフ制御するための制御用電極の材質としては、従来から、透明導電性のITO膜(錫をドープしたインジウム酸化物)が用いられている。
ITO膜の成膜方法としては、ITO焼結体をターゲットプレートとし、所定のスパッタリング条件の下で基板上にITOをスパッタリングすることにより、所望のITO膜を形成する方法が、特開平6−24826号公報(特許文献1)、特開平6−247765号公報(特許文献2)等にて知られている。
そして、生産性の面から、このような、大サイズのガラス基板を用いた処理基板へのITO膜の成膜をインラインで行う、図3(a)にその概略構成配置図を示すような、インラインITOスパッタ成膜装置も提案されている。
ここに示すスパッタ装置においては、図3(b)に示すように、大サイズのガラス基板をベース基板とする処理基板163を、キャリア160に搭載して鉛直方向192に立てた状態で、インラインで、搬送しながらスパッタ処理を行い、処理基板163の一面側に電極用のITO膜をスパッタ成膜する。
簡単には、処理基板163は、ローディングチャンバー111に投入され、ヒーティングチャンバー(予備チャンバーとも言う)112を経て、第1のスパッタチャンバー113に投入され、搬送されながらスパッタ処理され、回転処理部120に搬入され、ここで、回転部によりキャリアごと180度回転され、向きを変え、第2のスパッタチャンバー133に投入され、搬送されながらスパッタ処理される。
そして、スパッタ後、トランスファーチャンバー(予備チャンバーとも言う)132、アンローディングチャンバー131を経て搬出される。
ここでは、図3(b)に示すように、キャリア(基板ホールダとも言う)160と呼ばれる、処理基板163を保持するための枠体161を有するサポート部材に、処理基板163を載せた状態で、キャリア160ごと立てた状態で搬送する。
キャリア160は、枠体161に、順に、処理基板163、裏板162を嵌め込み、処理基板163を保持する処理基板保持部160Aを備えたものであり、処理基板163は、鉛直方向192に沿うように立てた状態でキャリア160の処理基板保持部160Aにはめ込まれている。
そして、図3(a)に示すように、処理基板163は、処理基板保持部160Aごとキャリア160に搭載されて、水平方向191に搬送され、鉛直方向192に沿うように立てた状態で、ターゲットプレート171と平行にして対向させてスパッタが行われる。
尚、図3(a)中、点線矢印は、キャリア160の搬送方向を示している。
図示していないが、ここでのスパッタ方式は、ターゲットプレート171の裏面側(処理基板163側とは反対の側)に、外側磁極と内側磁極の間で磁場が閉じるように設計し、発生したプラズマをターゲットプレート171近傍のみに存在するようにしているマグネトロンスパッタ方式のものである。
大サイズの処理基板として、例えば、大サイズの透明なガラス基板の一面側に各色の着色層をカラーフィルタ(以下、CFとも言う)として形成したカラーフィルタ形成基板を処理基板が挙げられ、この処理基板のCF形成面側に、電極用のITO膜を成膜する。
キャリア160は、その下側に設けられた搬送支持レール166、167に保持されながら、溝形成部168にて駆動用モーターからの駆動力を歯車168Aとの噛み合わせで受けて、搬送される。
G6世代では、スパッタ処理する処理基板163とキャリア160を併せた重量は100kg程度となるため、どうしても磨耗が発生するためこのように、できるだけ、前記溝形成部168と歯車168Aとの嵌合を少なくしている。
尚、キャリア160の材質としては重量の面、剛性の面から、Tiが好ましく用いられる。
スパッタリングは、Arガス雰囲気中、10-5torr〜10-2torr圧下で、プレート状にされた、成膜する膜組成のITOをターゲットプレートとして用いて行う。
この場合、CFを形成する着色層の耐熱性(CFからの脱ガス)の面から、低温で成膜を行うことが求められている。
尚、このような、マグネトロンスパッタ方式で、低温スパッタには、例えば、In2 O3 、90w%+SnO2 、10w%組成の焼結したターゲットプレート材を、厚さ8mm〜15mmとして用いる。
例えば、ターゲットプレートとしては、Cuプレートをバッキング材として、インジウム半田を接着層とし、数枚の焼結ターゲットプレート材をつなぎ合わせている。
そして、スパッタ装置を開け作業を行う場合、前述のキャリア(図3(b)の160に相当)をスパッタ装置内から外へ取り出す必要があるが、従来は、取り出したキャリアを所定の収納するだけのストッカーに収納し、作業後、スパッタ装置を閉じ、前述のキャリアをスパッタ装置内に戻し、スパッタ装置内において加熱して、所定の温度として、再び、スパッタを行っていた。
しかし、このような従来の方法では、ターゲット部材の交換作業や、種々の点検等の作業、トラブル発生の際の対応の作業の際、その復帰に時間がかかり、スパッタ作業の効率が劣るという問題があった。
このような中、図3(a)に示すようなスパッタ装置においては、ターゲットプレート171と処理基板163とを立てた状態で対向させて、搬送しながらスパッタ処理を行っているが、ターゲット部材の交換作業や、種々の点検等の作業、トラブル発生の際の対応の作業の際、その復帰に時間がかかり、スパッタ作業の効率が劣るという問題があり、この対応が求められていた。
本発明はこれに対応するもので、処理基板を保持する処理基板保持部(基板ホルダー部とも言う)が一体となった搬送用のキャリアに、処理基板を、前記処理基板保持部で保持してキャリアに搭載して、インラインで、搬送しながら、処理基板の成膜する側の面とターゲットプレートとを、対向させ、スパッタを行う、マグネトロンスパッタ方式のインラインスパッタ装置で、ターゲット部材の交換作業や、種々の点検等の作業、トラブル発生の際の対応の作業の際、その復帰を短時間ででき、スパッタ作業の効率を向上させることができるインラインスパッタ装置を提供しようとするものである。
そして、上記のインラインスパッタ装置であって、前記ストッカーは、前記加熱機構の加熱に耐える部材からなり、上面部と下面部を有し、両面部を柱部で固定し、側面部をカバー部材で覆い、内部に前記キャリアを配列して収納するものであることを特徴とするものである。
そして、上記いずれかのインラインスパッタ装置であって、前記加熱機構が、ヒータの放射加熱であることを特徴とするものである。
あるいは、上記いずれかのインラインスパッタ装置であって、前記加熱機構が、熱風拡散による加熱であることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのインラインスパッタ装置であって、処理基板の一面側に電極用のITO膜をスパッタ成膜するものであることを特徴とするものである。
本発明のインラインスパッタ装置は、このような構成にすることにより、処理基板を保持する処理基板保持部(基板ホルダー部とも言う)が一体となった搬送用のキャリアに、処理基板を、前記処理基板保持部で保持してキャリアに搭載して、インラインで、搬送しながら、処理基板の成膜する側の面とターゲットプレートとを、対向させ、スパッタを行う、マグネトロンスパッタ方式のインラインスパッタ装置で、ターゲット部材の交換作業や、種々の点検等の作業、トラブル発生の際の対応の作業の際、その復帰を短時間ででき、スパッタ作業の効率を向上させることができるインラインスパッタ装置の提供を可能としている。
詳しくは、オフラインで、前記キャリアを複数収納するストッカーを備えたもので、該ストッカーには、収納するキャリアを加熱するための加熱機構を備えていることにより、キャリアをストッカーに収納した状態で該キャリアが所望の温度になるように加熱しておくことができ、また、キャリアへの水分の付着を防止でき、これにより、キャリアをスパッタ装置内に戻した場合には、キャリアの水分の悪影響を少なくでき、且つ、スパッタ作業を早かに復帰できるものとしている。
前記ストッカーとしては、具体的には、前記加熱機構の加熱に耐える部材からなり、上面部と下面部を有し、両面部を柱部で固定し、側面部をカバー部材で覆い、内部に前記キャリアを配列して収納するものが、簡単な構造として挙げられる。
そして、ストッカーの加熱機構として、ヒータの放射加熱や、熱風拡散による加熱が挙
げられる。
特に、熱風拡散による加熱の場合、ヒータやファンを、キャリアを収納するストッカー本体の外側に配することができる。
処理基板としては、処理基板の一面側に電極用のITO膜をスパッタ成膜するものが挙げられる。
処理基板が、ガラス基板をベース基板とし、該ガラス基板の一面側に各色の着色層をカラーフィルタとして形成したカラーフィルタ形成基板で、前記成膜装置が、該カラーフィルタ形成面側にITO膜をスパッタ成膜するスパッタ装置で、有効である。
特に、ターゲットプレートが、焼結体のITO(錫をドープしたインジウム酸化物)からなる場合には有効である。
図1は本発明のインラインスパッタ装置の特徴部であるストッカーの1例を示した概略図で、図2(a)はキャリアとキャリア固定部の一側面部を示した概略図で、図2(b)は図2(a)のA1側から見た概略図である。
図1、図2中、10は(キャリアの)ストッカー、11は上面部、12は下面部、13はカバー部、14は車部、15はキャリア固定部兼回転ロール、17はファンヒータ、20はキャリア、21は処理基板保持部、22は枠部、23は裏板、25は支持部、26は溝形成部、27は搬送支持レール、30は処理基板である。
本例のインラインスパッタ装置は、ディスプレイパネル用のG6世代サイズ(1800mm×1500mmサイズ)以上の大サイズの透明なガラス基板をベース基板とする処理基板30を、キャリアに搭載して立てた状態で、インラインで、搬送しながらスパッタ処理を行い、処理基板の一面側に電極用のITO膜をスパッタ成膜する、マグネトロンスパッタ方式のスパッタ装置で、図3(a)に示す各部の構成配列と同じ構成配列のスパッタ装置をスパッタ部本体とし、オフラインで、前記キャリアを複数収納する、加熱機構付きのストッカーを備えたものである。
キャリア20は図3(b)に示すキャリア160と同じで、図2に示すように、枠体22に、順に、処理基板30、裏板23を嵌め込み、処理基板30を保持する処理基板保持部21を備えている。
そして、処理基板30を保持する処理基板保持部(基板ホルダー部とも言う)21が一体となった搬送用のキャリア20に、処理基板30を、前記処理基板保持部21で保持搭載して、インラインで、搬送しながら、処理基板30の成膜する側の面とターゲットプレート(図3の171に相当)とを、対向させ、スパッタを行う。
ここでは、処理基板30として、G6世代サイズの透明なガラス基板の一面側に各色の着色層をカラーフィルタとして形成したカラーフィルタ形成基板を用い、そのカラーフィルタ形成面側にITO膜をスパッタ成膜するものである。
キャリア20をストッカー10に収納した状態で該キャリア20が所望の温度になるように加熱しておくことができ、また、キャリア20への水分の付着を防止でき、これにより、キャリアを図3(a)に示すスパッタ装置本体内に戻した場合には、キャリアの水分の悪影響を少なくでき、且つ、スパッタ作業を早かに復帰できる。
本例のストッカー10は、ファンヒータ17の加熱に耐える部材からなり、上面部11と下面部12を有し、両面部を柱部で固定し、側面部をカバー部材13で覆い、内部に前記キャリア20を配列して収納するものであり、下面部12の内側に配されたキャリア固定部兼回転ロール15にて支持されている。
例えば、スパッタ温度を120℃とした場合、ストッカー内に収納したキャリア20の温度を80℃程度になるように加熱しておく。
80℃程度に加熱されたキャリアをスパッタ装置本体に投入した場合、常温のキャリアを、スパッタ装置本体に投入してヒーティングチャンバー(図3(a)の112)にて120℃のスパッタ温度まで上げるまでにかかる時間に比べ、短い時間でスパッタ装置本体に投入してヒーティングチャンバー(図3(a)の112)にて120℃のスパッタ温度まで上げることができる。
また、ストッカー10内に収納した状態で80℃程度に加熱することにより、常温でストッカー内に収納した場合に比べて水分の付着を少なくでき、使用の際に、キャリアからの脱ガスの影響をほとんど無くできる。
図3(a)に示すにターゲットプレート171は、四角状で、その領域全体を、エロージョン部分のみとして、その外周に沿い防着板を設けている。
ここでは、ターゲットプレート171は、そのバッキングプレート(図示していない)に沿い保持された状態でスパッタ処理に供される。
また、本例においては、図示していないが、スパッタ処理側でないターゲットプレート171の裏面側にマグネトロン構造にマグネットを備えてマグネトロンスパッタ方式により、スパッタ処理を行うものである。
尚、マグネトロン構造は、マグネットの配置すなわち磁場を工夫して設けた構造で、その構造体表面に電子を拘束させることが可能となり、電離衝突の頻度が極めて高くなり、非常に大きなターゲット(材料)衝撃電流密度を容易に得ることができ、また、回路設計上、電子やイオンが磁気回路にそって連続的に運動し、局所的に溜まることがないため、局部的に磁石等構造体に熱がたまることがなく、成膜、特に成膜分布に対して悪影響を及ぼす可能性がなく、好適である。
ここでは、防着板をサンドブラスト処理により粗面化している。
この場合、CFを形成する着色層の耐熱性(CFからの脱ガス)の面から、低温で成膜を行う。
キャリア20の搬送も、基本的には図3に示されるスパッタ装置と同じで、駆動用モーターからの駆動力を歯車(図3(b)の168Aに相当)との噛み合わせで伝える溝を切った溝形成部26が、キャリア下部に設けられており、更に、歯車による磨耗を極力抑えるために、キャリア20の溝形成部26の進行方向両側、下側に、平坦部を有する搬送支持レール27が、キャリアの荷重を支えるために設けられており、本体側にある前記の歯車とは異なるボビンのような回転体(図3(b)の169に相当)にキャリア側の搬送支持レール27の平坦部が乗っかるようになっている。
本例においては、このような回転体、歯車を、搬送路に沿い複数配置して搬送を行う。
そして、スパッタ後、トランスファーチャンバー(図3(a)の132に相当)、アンローディングチャンバー(図3(a)の131に相当)を経て搬出される。
尚、各チャンバーの境には、機械的な仕切りがあり、各仕切りの開放は、両側のチャンバーの真空度を同じ程度にして行う。
また、処理基板保持部21の枠体22他各部の材質については、剛性が大きく、強固で、軽いものが好ましく、Tiやステンレスが挙げられる。
また、処理基板30、ターゲットプレート171を鉛直方向から傾けた状態、あるいは水平にして、互いに平行に対向した状態でスパッタを行う形態も挙げられる。
勿論、図3(a)に示す各部の構成配置を直線的に設けた形態としても良い。
11 上面部
12 下面部
13 カバー部
14 車部
15 キャリア固定部兼回転ロール
17 ファンヒータ
20 キャリア
21 処理基板保持部
22 枠部
23 裏板
25 支持部
26 溝形成部
27 搬送支持レール
30 処理基板
111 ローディングチャンバー
112 ヒーティングチャンバー(予備チャンバーとも言う)
113 スパッタチャンバー
120 回転処理部
121 回転部
131 アンローディングチャンバー
132 トランスファーチャンバー(予備チャンバーとも言う)
133 スパッタチャンバー
141〜143 チャンバー仕切り
141a〜143a チャンバー仕切り
160 キャリア
160A 処理基板保持部
161 枠体
162 裏板(押さえ板とも言う)
163 処理基板
164 支持部
165、165A 位置決回転ローラ
165a、865b 軸
166、167 搬送支持レール(単に支持部とも言う)
168 溝形成部
169 回転ローラ(回転部とも言う)
169a 軸
171 ターゲットプレート
191 水平方向
192 鉛直方向
Claims (5)
- ディスプレイパネル用のG6世代サイズ以上の大サイズのカラーフィルタ形成基板を処理基板として、処理基板を保持する処理基板保持部が一体となった搬送用のキャリアに、処理基板を、前記処理基板保持部で保持して搭載して、インラインで、前記キャリアにより搬送しながら、処理基板の成膜する側の面とターゲットプレートとを、対向させ、スパッタを行う、マグネトロンスパッタ方式のインラインスパッタ装置であって、オフラインで、前記キャリアを複数収納するストッカーを備えたもので、該ストッカーには、収納するキャリアを加熱するための加熱機構を備えていることを特徴とするインラインスパッタ装置。
- 請求項1に記載のインラインスパッタ装置であって、前記ストッカーは、前記加熱機構の加熱に耐える部材からなり、上面部と下面部を有し、両面部を柱部で固定し、側面部をカバー部材で覆い、内部に前記キャリアを配列して収納するものであることを特徴とするインラインスパッタ装置。
- 請求項1ないし2のいずれか1項に記載のインラインスパッタ装置であって、前記加熱機構が、ヒータの放射加熱であることを特徴とするインラインスパッタ装置。
- 請求項1ないし2のいずれか1項に記載のインラインスパッタ装置であって、前記加熱機構が、熱風拡散による加熱であることを特徴とするインラインスパッタ装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインラインスパッタ装置であって、処理基板の一面側に電極用のITO膜をスパッタ成膜するものであることを特徴とするインラインスパッタ装置。
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