続いて、本発明に係る画像処理装置と画像処理方法および画像処理プログラム、並びに再生情報生成装置と再生情報生成方法及び再生情報生成プログラムの実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
<実施の形態1>
図1は、本発明に係る第1の実施の形態としての画像処理装置20を用いた画像表示システム100の構成例を示す概略図である。この画像表示システム100は、例えば3つのスクリーン10L,10C,10Rをユーザの前面と両側面に配置して、1つの画像表示領域を構成する。また、各スクリーン10L,10C,10Rに対応させてプロジェクタ12L,12C,12Rを設けている。プロジェクタ12L,12C,12Rは、画像処理装置20と接続されている。プロジェクタ12Lは、画像処理装置20からの出力信号SDLに基づいてスクリーン10Lに画像を投影する。同様に、プロジェクタ12C,12Rは、画像処理装置20からの出力信号SDC,SDRに基づいてスクリーン10C,10Rに画像を投影する。
画像処理装置20は、例えばテレビジョン放送番組や映画等の動画像における画像信号SDinに基づいて画像の動きベクトルを検出すると共に、検出した動きベクトルに応じて画像表示位置が移動するように3つの画像信号SDL,SDC,SDRを生成して、画像信号SDLをプロジェクタ12L、画像信号SDCをプロジェクタ12C、画像信号SDRをプロジェクタ12Rに供給する。また、画像処理装置20は、入力画像の画像信号SDinに基づいてシーンチェンジ検出を行うことによりシーン切り替えを判別して、判別結果に基づきシーン毎に画像表示位置を切り替える。
例えば、画像表示位置を切り替える場合、過去の単一のシーンと内容が関連している現在のシーン(以下「単一関連シーン」という)は、この過去のシーンとの間に存在する他のシーンの数が少ないとき、単一関連シーンであることを容易に把握できるように過去の単一のシーンと等しい位置に表示される。
また、画像表示位置を切り替える場合、過去の複数のシーンと内容が関連している現在のシーン(以下「複数関連シーン」という)は、これらの過去のシーンとの間に存在する他のシーンの数が少ないとき、複数関連シーンであることを容易に把握できるように過去の複数シーンと関連を持たせた位置に表示される。
図2A及びBは、リアルタイム処理における単一関連シーン及び複数関連シーンに係る画像の表示例を示す説明図である。この例で、入力画像のシーンが図2Aに示す順番とされており、例えばシーンCN4はシーンCN2と単一関連シーンであり、シーンCN5は例えばシーンCN3とシーンCN4と複数関連シーンである。
この場合、図2Bに示すように、例えばシーンCN1の画像をスクリーン10Lに表示する。次のシーンCN2の画像はスクリーン10Cに表示し、シーンCN3の画像はスクリーン10Rに表示する。シーンCN4は図2Aに示したようにシーンCN2と単一関連シーンであることから、シーンCN2の画像が表示されているスクリーン10CにシーンCN4の画像を表示する。シーンCN5は図2Aに示したようにシーンCN3とシーンCN4と複数関連シーンであることから、シーンCN3とシーンCN4の画像が表示されているスクリーン10Rとスクリーン10Cの中間にシーンCN5の画像を表示する。また、各シーンの最後の画像を、次のシーンが表示されるまで静止画として表示する。
ここで、上述のように、シーン毎に表示位置を切り替える場合、画像処理装置20は、リアルタイム処理あるいはオフライン処理によって異なる表示位置の切り換えを行う。リアルタイム処理の場合、画像処理装置20a(図3参照)は、入力画像の画像信号SDinに基づいてシーンチェンジ検出を行うと共に、過去のシーンから関連シーンを判別する。この例で、判別対象となる過去のシーンは、スクリーン上に表示されている静止画に係るシーンであり、例えば、シーンCN5の関連シーンを判別する場合、判別対象となる過去のシーンは、シーンCN1,CN3,CN4である。もちろんこれに限定する必要はなく、例えば、スクリーン上に表示された過去のシーンを幾つか遡って判別対象となる過去のシーンとしてもよい。例えば、シーンCN5の関連シーンを判別する場合、判別対象となる過去のシーンは、シーンCN1,CN3,CN4の他にシーンCN2を含めてもよい。
画像処理装置20aは、このシーンチェンジ検出結果と関連シーン判別結果に基づいて、入力画像の表示位置を決定してリアルタイムで切り替える。さらに、画像処理装置20aは、切り替えられた表示位置に入力画像を表示する出力信号SDL,SDC,SDRを生成して各プロジェクタに出力する。
オフライン処理の場合、画像処理装置20b(図7参照)は、蓄積されている画像信号SDinを読み出してシーンチェンジ検出を行うと共に、過去及び未来のシーンから関連シーンを判別する。画像処理装置20bは、このシーンチェンジ検出結果と関連シーン判別結果に基づいて、入力画像の表示位置を決定する。さらに、画像処理装置20bは、決定した表示位置を示す表示位置情報JP(図7参照)を画像信号SDinと関係付けて保持する。その後、画像処理装置20bは、画像表示を行う場合に、入力画像の画像信号SDinと表示位置情報JPを読み出して、この画像信号SDinと表示位置情報JPに基づき、切り替えられた表示位置に入力画像を表示する出力信号SDL,SDC,SDRを生成して各プロジェクタに出力する。
図3は、リアルタイム処理を行う場合の画像処理装置20aの構成例を示すブロック図である。入力画像の画像信号SDinは、シーンチェンジ検出部21と関連シーン判定部221および表示位置設定部241に供給される。
シーンチェンジ検出部21は、画像信号SDinに基づいてシーン切り替えを検出、すなわち連続シーンとこの連続シーンとは異なるシーンとのつなぎ目部分である画像の不連続位置を検出する。図4はシーンチェンジ検出部21の構成例を示すブロック図である。図4に示すシーンチェンジ検出部21は、例えば2フレーム分の画像信号を用いて連続するシーンであるか否かを検出するものである。
シーンチェンジ検出部21の遅延回路211は、画像信号SDinを1フレーム遅延させて遅延画像信号SDaとして差分平均算出回路212に供給する。差分平均算出回路212は、画像信号SDinと遅延画像信号SDaに基づき、2フレーム間の差分平均値Davを算出して正規化回路214に供給する。この差分平均値Davの算出は、各画素における2フレーム間の輝度レベルの差分値を算出して、得られた差分値の平均値を差分平均値Davとして正規化回路214に供給する。なお、1フレームの画像の画素数が「N」で、画像信号SDinに基づく輝度レベルを「YC」、遅延画像信号SDaに基づく輝度レベルを「YP」としたとき、差分平均値Davは式(1)に基づいて算出できる。
ここで、差分平均値Davは、画像の輝度レベルによって大きく変化する。例えば画像が明るい場合、シーンの切り替えが行われなくとも画像の一部が暗い画像に変化するだけで差分平均値Davが大きくなってしまう。一方、画像が暗い場合、シーンの切り替えが行われても輝度レベルの変化が小さいことから差分平均値Davは大きくならない。このため、シーンチェンジ検出部21に正規化回路214を設けるものとして、画像の明るさに応じた差分平均値Davの正規化を行い、画像の明るさの影響を少なくして正しくシーンチェンジ検出を可能とする
輝度平均算出回路213は、画像信号SDinから、各画素の輝度レベルに基づき1フレームにおける輝度レベルの平均値を算出して輝度平均値Yavとして正規化回路214に供給する。なお、上述のように1フレームの画像の画素数が「N」で画像信号SDinに基づく画素の輝度レベルを「YC」としたとき、輝度平均値Yavは式(2)に基づいて算出できる。
正規化回路214は、画像の明るさに応じた差分平均値Davの正規化を行う。すなわち、式(3)に示すように、画像の明るさを示す輝度平均値Yavに応じて差分平均値Davを補正して差分平均正規化値(以下単に「正規化値」という)Eを生成する。
この正規化回路214で生成された正規化値Eは、判定回路215に供給される。判定回路215は、予め設定された閾値を有しており、正規化値Eと閾値を比較して、正規化値Eが閾値よりも大きいときにはシーンチェンジと判定する。また、正規化値Eが閾値以下であるときにはシーンチェンジでないと判定する。さらに、判定回路215は、この判定結果を示すシーンチェンジ検出信号SCを生成して図3に示す関連シーン判定部221に供給する。
このように、正規化回路214は画像の明るさに応じた差分平均値Davの正規化を行い、判定回路215は正規化値Eを用いてシーンチェンジであるか連続シーンであるかの判別を行うので、画像の明るさの影響を少なくして正しくシーンチェンジを検出できる。
ところで、上述のシーンチェンジ検出部21では、1フレーム内の全画素の信号を用いて、シーンチェンジ検出を行うものとしたが、全画素の信号を用いて差分平均値Davや輝度平均値Yavを算出すると、演算処理に時間を要してしまう。また、演算処理に要する時間を短くするために演算処理を高速化すると、演算処理コストが膨大となってしまう。このため、画素の間引き処理を行う。例えば図5は、画素の間引き処理例を示す説明図である。図5に示すように1フレームの画像を8×4画素の領域に区分して各領域から斜線で示すように1画素だけを選択することで画素の間引きを行い、選択された画素の信号を用いて差分平均値Davや輝度平均値Yavを算出する。このように、画素の間引きを行うものとすれば、演算量が少なくなるので演算処理を簡単に行うことができると共に、演算処理を高速に行う必要がなく演算処理コストが膨大となってしまうことも防止できる。
また、上述のシーンチェンジ検出部21では、正規化値Eを用いてシーンチェンジ検出を行うものとしたが、2フレーム間の画像の相関係数rを求めて、この相関係数rと閾値を比較することで、精度良くシーンチェンジ検出を行うこともできる。
図6は、相関係数rを用いるシーンチェンジ検出部21aの構成例を示すブロック図である。図6に示す遅延回路211は、画像信号SDinを1フレーム遅延させて遅延画像信号SDaとして相関係数算出回路216に供給する。相関係数算出回路216は、画像信号SDinと遅延画像信号SDaに基づき、相関係数rの算出を行う。
ここで、1フレームの画像の画素数を「N」、最初のフレームの画像信号に基づく画素の輝度レベルを「YF」、次のフレームの画像信号に基づく画素の輝度レベルを「YS」、最初のフレームの画像信号に基づく画素の輝度レベル平均を「YFav」、次のフレームの画像信号に基づく画素の輝度レベル平均を「YSav」としたとき、相関係数rは式(4)を用いて算出できる。この相関係数算出部216で算出された相関係数rは、判定回路217に供給される。
判定回路217は、予め設定された閾値を有しており、相関係数rと閾値を比較して、相関係数rが閾値以下であるときにはシーンチェンジと判定する。また、相関係数rが閾値以下でないときにはシーンチェンジでない連続シーンと判定する。さらに、判定回路217は、この判定結果を示すシーンチェンジ検出信号SCを生成して、関連シーン判定部221に供給する。
図3の関連シーン判定部221は表示位置制御部の一例として機能し、シーンチェンジ検出信号SCに基づき、シーン切り替え後の画像表示位置をシーン切り替え前の画像表示位置と異なる位置に設定する。この例で、関連シーン判定部221は、シーン切り替え後の画像がシーン切り替え前の画像と関連がある場合に、当該シーン切り替え前の画像と関係を持たせた位置に、シーン切り替え後の画像を設定する。
関連シーン判定部221は、関連するシーンを判定するために、複数の遅延記憶部の一例として機能する1フレーム遅延部222L,222C,222Rから供給された前フレーム出力信号SDL−d,SDC−d,SDR−dと画像信号SDinとの差分を計算する。この際、後述するように、表示している画像が複数のスクリーンにまたがる場合は、前フレーム出力信号から該当する画像信号を抽出して、画像信号SDinとの差分を計算する。関連シーン判定部221は、これらの差分値と所定値(閾値)とを比較し、当該差分値が所定値よりも小さいものが存在すると、差分値が所定値より小さい前フレーム画像信号(遅延画像)に画像信号SDinが関連があると判定し、この前フレーム画像信号の画像表示位置と関係を持たせた位置に、画像信号SDinの画像表示位置を設定する。
関連シーン判定部221は、所定値よりも小さい差分値の個数が一個の場合、入力画像の画像信号SDinを、当該差分値に係る単一の遅延画像に関連する単一関連シーンと判定し、当該入力画像の画像信号SDinの画像表示位置を、当該単一関連シーンに係る遅延画像の画像表示位置と同じ位置に設定する。また、関連シーン判定部221は、所定値よりも小さい差分値の個数が複数個存在する場合、入力画像の画像信号SDinを、当該複数の差分値に係る複数の遅延画像に関連する複数関連シーンと判定し、当該入力画像の画像信号の画像表示位置を、当該複数関連シーンに係る複数の遅延画像の画像表示位置における中心位置に設定する。この例で、画像を表示するスクリーンが3個存在するので、上述の複数関連シーンにおける所定値よりも小さい差分値の個数は、2個又は3個になる。差分値の個数が2個の場合、画像の画像表示位置は、該当する2個のスクリーンの中心位置に設定される。また、差分値の個数が3個の場合、画像の画像表示位置は、該当する3個のスクリーンの中心位置、すなわちスクリーン10Cに設定される。
この際、複数関連シーンの中心位置が各スクリーンの中心でない場合、すなわち複数関連シーンが複数のスクリーンに跨って表示される場合は、表示位置設定部241で、画像信号SDinは分割されて信号出力部242L,242C,242Rに供給される。また最も小さい差分値が所定値よりも小さくないときには、所定の順序で表示位置を切り替える。このようにして、関連シーン判定部221は、設定した表示位置を示す表示位置情報JPを、表示位置設定部241に供給する。
表示位置設定部241は、表示位置情報JPに基づき、関連シーン判定部221で設定された位置に、シーン切り替え後の画像を表示させると共に、シーン切り替え前の画像を静止画として合わせて表示させる。この例で、表示位置設定部241は、信号出力部242L,242C,242Rの該当箇所に画像信号SDinを供給する。信号出力部242L,242C,242Rは、画像メモリを用いて構成する。信号出力部242Lは、画像信号SDinが供給されたとき、画像メモリに順次画像信号SDinを書き込む。また、書き込まれた画像信号SDinを読み出して1フレーム遅延部222Lに供給すると共に出力信号SDLとして出力する。この1フレーム遅延部222Lには、シーン切り替え前の画像が画像表示位置ごとに分けられて遅延画像として記憶される。なお、画像信号SDinが分割されて供給された場合、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、信号出力部242Lは、画像信号SDinの供給が停止されたとき、保持している信号を繰り返し読み出すものとする。
信号出力部242C,242Rも信号出力部242Lと同様に構成されており、供給された画像信号SDinを画像メモリに順次書き込む。また、書き込まれた画像信号SDinを読み出して1フレーム遅延部222C,222Rに供給すると共に、出力信号SDC,SDRとして出力する。この1フレーム遅延部222C,222Rには、シーン切り替え前の画像が画像表示位置ごとに分けられて遅延画像として記憶される。なお、画像信号SDinが分割されて供給された場合、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、画像信号SDinの供給が停止されたときには、保持している信号を繰り返し読み出す。
ここで、図2Aに示した画像信号SDinが画像処理装置20aに供給されたとき、シーンCN1の画像信号SDinは、例えば信号出力部242Lに供給されて出力信号SDLとして出力される。シーンCN2は、シーンCN1と関連していないことから、差分値が所定値よりも小さくならず、シーンCN2の画像信号SDinは、例えば信号出力部242Cに供給されて出力信号SDCとして出力される。シーンCN3もシーンCN1,CN2と関連していないことから、シーンCN3の画像信号SDinは、例えば信号出力部242Rに供給されて出力信号SDRとして出力される。シーンCN4とシーンCN2は単一関連シーンであることから、CN4の画像信号SDinと前フレーム出力信号SDC−dとの差分値のみが所定値よりも小さくなる。このため、シーンCN4の画像信号SDinは、シーンCN2の画像信号SDinが供給された信号出力部242Cに供給されて出力信号SDCとして出力される。
シーンCN5はシーンCN3とシーンCN4と複数関連シーンであることから、シーンCN5の画像信号SDinと前フレーム出力信号SDC−dとSDR−dの差分値が所定値よりも小さくなる。このため、シーンCN5の画像信号SDinは、信号出力部242Cと242Rに例えば二等分割されて供給され、出力信号SDC、SDRとして出力される。これにより、この出力信号SDC、SDRを入力したプロジェクタ12C、12Rにより、スクリーン10Cとスクリーン10Rの中間位置に複数関連シーンのシーンCN5の画像が表示される。
このように、本発明に係る第1の実施の形態としての画像処理装置20a及び画像処理方法によれば、シーン切り替えに基づき画像の表示位置を設定する関連シーン判定部221を備え、この関連シーン判定部221は、シーン切り替え後の画像がシーン切り替え前の画像と関連がある場合に、当該シーン切り替え前の画像と関係を持たせた位置に、シーン切り替え後の画像を設定するものである。従って、画面に表示された画像のシーン同士の関連性を容易に把握することができると共に、画像の内容が明確になり理解し易くなる。
また、撮影時のカメラ切り替えや編集時の画面切り替えなどを表示位置の変化として表現できるので、多彩な画像表示が可能となる。また、過去のシーンが静止画として別画面に表示されるので、過去のシーンを見逃しても確認することができると共に、シーン同士を比較することもできる。また、単一関連シーンが同じ位置に表示され、かつ複数関連シーンは関連する過去のシーンに係る中心位置に表示されるので、各シーンの関連性も明確に把握することができる。
<実施の形態2>
次に、オフライン処理の場合について説明する。図7は、本発明に係る第2の実施の形態としてのオフライン処理を行う場合における画像処理装置20bの構成例を示すブロック図である。図7に示す画像処理装置20bは、蓄積部35を有しており、この蓄積部35に入力画像の画像信号SDinを記憶する。また、蓄積部35に記憶されている画像信号SDinは、読み出されてシーンチェンジ検出部21に供給される。
シーンチェンジ検出部21は、上述したようにシーンチェンジ検出信号SCを生成して、関連シーン判定部223に供給する。関連シーン判定部223は、シーンチェンジ検出信号SCに基づき、画像信号SDinの各シーンを検出すると共に、後述する相関値算出部224によって算出されたシーン相関値CVを用いて、関連シーンの判別を行う。
ここで、関連シーンを関連する位置に表示するものとしても、表示領域の数が限られているため、関連シーンの間に他のシーンが数多く表示されてしまうと、関連シーンを同じ位置に表示しても、視聴者はシーンの関連性を把握できない。このため、所定のシーン範囲で関連シーンがあるとき、関連シーンを関連する位置に表示させる。この関連シーンの判定では、所定のシーン範囲を関連シーンの探索範囲とすると共に、この探索範囲を表示領域の数に応じて設定して、この探索範囲内で関連シーンの判定を順次行う。例えば、上述のように3つの表示領域(スクリーン10L、10C、10R)を用いるときには、未来5シーンまでを探索範囲して、シーンCN1に対してシーンCN6までを探索範囲とする。また、シーンCN2に対してシーンCN7までを探索範囲とする。以下同様に探索範囲を設定して、関連シーンの判定を行う。
関連シーン判定部223は、探索範囲に含まれる各シーンの画像信号をシーン単位で読み出すためのシーン読み出し情報JCを生成して、蓄積部35に供給する。蓄積部35では、シーン読み出し情報JCで示された各シーンの画像信号SDinを読み出して、相関値算出部224に供給する。
相関値算出部224では、蓄積部35から供給された画像信号SDinを用いて、探索範囲内の先頭シーンと他のシーンとのシーン相関値CVをそれぞれ算出する。このシーン相関値CVの算出では、先頭シーンの最終フレームの画像信号と、他のシーンの先頭フレームの画像信号を用いて、上述のシーンチェンジ検出と同様に正規化値を算出して、この正規化値をシーン相関値CVとして関連シーン判定部223に供給する。なお、シーン相関値CVとして相関係数を用いるものとしても良いことは勿論である。
さらに、シーン相関値CVの算出は、平均化画像を用いるものとしても良い。この平均化画像は、シーン内の各フレームの画像を画素毎に加算してシーン内のフレーム数で除算することにより生成する。このように、平均化画像を用いることによって画像自体が平均化されることから、先頭シーンの最終フレームの画像と、時間の新しいシーンの先頭フレームの画像とが異なる画像となっていても、正規化値が小さくなる。また、先頭シーンの最終側の複数フレームと、他のシーンの先頭側複数フレームを用いて平均化画像を生成するものとしてもよい。この場合には、1つのシーンの時間が長い場合であっても平均化画像の生成を速やかに行うことができる。さらに、2つのシーンが連続しているようなとき、正規化値を小さくできる。
関連シーン判定部223では、相関値算出部224から供給されたシーン相関値CVと閾値Ls1を比較して、比較結果に基づいてシーンの関連を判定し、判定結果に基づいて入力画像の画像信号SDinのシーンの画像表示位置を設定する。この例でシーン相関値CVとして正規化値を用いた場合、シーン相関値CVが閾値Ls1よりも小さいときに、関連シーンであると判別する。また、シーン相関値CVとして相関係数を用いた場合、シーン相関値CVが閾値Ls2よりも大きいときに、関連シーンであると判別する。
このようにして、探索範囲毎に関連シーンの判別を行い、画像信号SDinにおけるシーンの画像表示位置を示す関連位置情報JRを生成して表示位置設定部225に供給する。表示位置設定部225は、各シーンの表示位置を関連位置情報JRに基づいて設定して、この表示位置を示す表示位置情報JPを生成する。この表示位置の設定では、各表示領域に各シーンを時間順に振り分ける。次に単一関連シーンを同じ表示領域に振り分け、複数関連シーンを、複数の表示領域の中心位置に振り分ける。
また、関連シーンが無いときには、最も古いシーン、あるいは何も表示されていない表示領域に各シーンを振り分ける。この際、最も古いシーンの表示領域が各スクリーンの中心でない場合は、該当するスクリーンで任意のスクリーンを中心とした表示領域に振り分けるとともに、振り分けの行われなかったスクリーンの映像を消去するものとする。ここで、表示位置設定部225は、最も古いシーンの表示領域に、関連シーンの振り分けが予定されているときには、次に古いシーンの表示領域に振り分ける。また、この表示領域にも関連シーンの振り分けが予定されているときには、次に古いシーンの表示領域に振り分ける。表示位置設定部225は、以下同様にして、各シーンを各表示領域に振り分けて、関連するシーンの設定が予定されていない表示領域(画像表示位置)に、入力画像の画像信号SDinの画像表示位置を設定する。表示位置設定部225は、シーン毎に設定した表示位置を示す表示位置情報JPを生成して画像信号SDinと関係付けて蓄積部35に記憶させる。
図8A及びBは、オフライン処理における単一関連シーン及び複数関連シーンに係る画像の表示例を示す説明図である。この例で、関連位置情報JR(図7参照)によって、図8Aに示すように、シーンCN4はシーンCN2と単一関連シーンであり、シーンCN10はシーンCN6と単一関連シーンであり、シーンCN5は、シーンCN3とシーンCN4と複数関連シーンであると判別されているものとする。図8Bに示す3つの表示領域には、シーンCN1からシーンCN10までを表示する場合の表示位置の決定処理を示している。
この表示位置の決定処理では、最初に各表示領域に対して時間順にシーンを振り分ける。例えば図8Bに示すように、シーンCN1〜シーンCN3は関連シーンでないことから、シーンCN1,CN2,CN3の表示位置をスクリーン10L,10C,10Rに順次振り分ける。次にシーンCN4の表示位置を決定する場合、シーンCN2とシーンCN4が単一関連シーンであることから、シーンCN4の表示位置は、シーンCN2が表示されたスクリーン10Cに設定する。
次にシーンCN5の表示位置を決定する場合、シーンCN3、CN4とシーンCN5が複数関連シーンであることから、シーンCN5の表示位置は、シーンCN3、CN4の各表示位置の中心、すなわちスクリーン10Cとスクリーン10Rの中心になる。
次にシーンCN6の表示位置を決定する場合、シーンCN6と関連するシーンがないと共に、最も時間的に古いシーンCN1が表示されているスクリーン10Lには、関連シーンの表示予定がない。このため、シーンCN6の表示位置は、シーンCN1が表示されたスクリーン10Lに設定する。
次にシーンCN7の表示位置を決定する場合、シーンCN7と関連するシーンがないと共に、最も時間的に古いシーンCN5が表示されているスクリーン10Cとスクリーン10Rには、関連シーンの表示予定がない。このため、シーンCN7の表示位置は、スクリーン10C、10Rのどちらか任意のスクリーンを選択するとともに、選択されないスクリーンに表示していたシーンCN5を消去する。図8Bでは、例えばスクリーン10Cが選択されるとともに、スクリーン10Rに表示していたシーンCN5を消去する。
次にシーンCN8の表示位置を決定する場合、シーンCN8と関連するシーンがないと共に、シーンCN7の表示に伴ってスクリーン10Rには何も表示がない。このため、シーンCN8の表示位置は、何も表示されていないスクリーン10Rに設定する。
次にシーンCN9の表示位置を決定する場合、シーンCN9と関連するシーンがないと共に、最も時間的に古いシーンCN6が表示されているスクリーン10Lには、関連シーンであるシーンCN10が表示される予定である。また、2番目に古いシーンCN7が表示されているスクリーン10Cには、関連シーンを表示する予定がない。このため、シーンCN9の表示位置は、シーンCN7が表示されたスクリーン10Cに設定する。シーンCN10の表示位置は、関連シーンであるシーンCN6が表示されたスクリーン10Lに設定する。このように、オフライン処理で関連シーンが過去あるいは未来に存在しているか否かに基づいて表示位置の設定を行うことで、リアルタイム処理の過去のみの関連シーンを基準にして表示位置の設定を行う場合に比べて、関連シーンを同じ位置に効率よく表示させることができる。
次に画像表示を行う場合、蓄積部35では、記憶されている画像信号SDinと画像信号SDinに関係付けて記憶されている表示位置情報JPに基づき、信号出力部242L,242C,242Rの該当箇所に画像信号SDinを供給する。信号出力部242L,242C,242Rは、画像メモリを用いて構成する。信号出力部242Lは、画像信号SDinが供給されたとき、画像メモリに順次画像信号SDinを書き込む。また、書き込まれた画像信号SDinを読み出して出力信号SDLとしてプロジェクタ12Lに出力する。画像信号SDinが分割されて供給された場合、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、信号出力部242Lは、画像信号SDinの供給が停止されたとき、保持している信号を繰り返し読み出すものとする。
信号出力部242C,242Rも信号出力部242Lと同様に、供給された画像信号SDinを画像メモリに順次書き込む。また、書き込まれた画像信号SDinを読み出して出力信号SDC,SDRとしてプロジェクタ12C、12Rに出力する。画像信号SDinが分割されて供給された場合、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、画像信号SDinの供給が停止されたときには、保持している信号を繰り返し読み出す。
このように、本発明に係る第2の実施の形態としての画像処理装置20bによれば、リアルタイム処理の場合と同様な画像表示や作用効果を得ることができる。さらに、現シーンよりも後に表示されるシーンを考慮して現シーンの表示位置が決定されるので、リアルタイム処理に比べて、関連シーンを等しい位置により正しく表示させることが可能となり、画像表示の連続性を高めることができる。
<実施の形態3>
ところで、上述の第1及び第2の実施の形態は、入力画像を表示する表示領域をシーン単位で切り替えることで、シーンの切り替えを明らかにすると共に、過去のシーンも現在のシーンと同時に表示する。ここで、動きのある画像表示は現在のシーンを表示している表示領域のみであり、他の表示領域では、過去のシーンの最後の画像が静止画として表示されている。
続いて、動きのある画像を表示する際に、画像の動きに合わせて表示位置を可変させる例を説明する。図9は、本発明に係る第3の実施の形態としてのリアルタイム処理を行う場合の画像処理装置20cの構成例を示すブロック図である。入力画像の画像信号SDinは、図9に示す画像処理装置20cのシーンチェンジ検出部21と動き検出部25と関連シーン判定部23と表示位置設定部241cの表示制御部24cに供給される。シーンチェンジ検出部21はシーンチェンジ検出信号SCを生成して、動き検出部25と移動表示位置制御部22cに供給する。
動き検出部25は、入力画像の画像信号SDinにおける動きベクトルに基づいて画像の動きを検出して動き検出情報MVDを出力する。この例で、動き検出部25は、シーンチェンジ検出部21からのシーンチェンジ検出信号SCに基づき、シーン内の各フレーム画像に関して全画面の動き検出を行い、表示面積の広い部分の画像動き、例えば背景部分の動きベクトルを検出する。図10は、動き検出部25の構成例を示すブロック図である。図10に示す動き検出部25は、例えばブロックマッチング方法を用いて画像の動きを検出する。
この動き検出部25の遅延回路251は、画像信号SDinを1フレーム遅延させて遅延画像信号SDbとして画像シフト回路252に供給する。画像シフト回路252は、遅延画像信号SDbに基づく画像の位置を、予め設定された動き探索範囲内(例えば水平方向±80画素,垂直方向±40ライン)で水平方向や垂直方向に順次変更して(例えば1画素あるいは1ラインずつ変更して)新たな画像信号SDcを順次生成する。この生成された画像信号SDcは、差分演算回路253に供給される。また、画像シフト回路252は、画像の移動方向と移動量を示す動きベクトルMVを最小値判定回路254に供給する。差分演算回路253は、画像信号SDcと画像信号SDinとの差分値DMを順次算出して、最小値判定回路254に供給する。
最小値判定回路254は、差分値DMと、この差分値DMの算出に用いた画像信号SDcを生成する際の動きベクトルMVとを関係付けて保持する。また、画像シフト回路252で動き探索範囲内での画像の移動を完了したとき、最小値判定回路254は、保持している差分値DMから最小値を判別して、この最小値となる差分値DMと関係付けて保持されている動きベクトルMVを、動き検出情報MVDとして移動表示位置制御部22cに供給する。
関連シーン判定部23では、図3の場合と同様に、シーンチェンジ検出信号SCが供給されたときに、後述する表示制御部24cの画像メモリ244に保持されている1フレーム前の画像との差分を計算し、関連がある1フレーム前の画像の位置を示す関連位置情報JRを移動表示位置制御部22cへ供給する。
移動表示位置制御部22cでは、1フレーム前の関連位置情報JR、シーンチェンジ検出信号SC及び動き検出情報MVDに基づき画像信号SDinの各フレームの画像表示位置を移動させ、移動後のフレームの表示位置情報JQを出力する。図11は、移動表示位置制御部22cと表示制御部24cの構成例を示すブロック図である。
図11に示す移動表示位置制御部22cの初期位置設定部226では、画像表示領域のサイズと位置設定部227から供給された前シーンの表示位置情報JQ−pに基づいて、画像が表示されていない領域を判別する。そして関連シーン判定部23からの関連がある1フレーム前の関連位置情報JRから、初期表示位置PSを決定する。すなわち関連画像が存在する場合は、関連画像に対応した位置に決定し、また関連画像が存在しない場合は、上記判別された領域の中央位置を現在のシーンの初期表示位置PSとして位置設定部227に供給する。
位置設定部227は、動き検出情報MVDに基づき、各フレーム画像の画像表示位置を初期表示位置PSから順次移動させる。例えば、動き検出部25で背景部分の動きを検出しているときには、動き検出部25で検出された動きとは逆方向に表示位置を移動させる。このように表示位置を移動することにより、背景部分を静止させて被写体の動きに合わせて現在のシーンの表示位置を移動させることができる。このようにして設定された表示位置を示す表示位置情報JQを生成して表示制御部24cの書込読出制御部243に供給する。また、現在のシーンの最後の表示位置を示す情報を表示位置情報JQ−pとして初期位置設定部226に供給する。なお、位置設定部227は、表示位置を順次移動させたとき、画像が画像表示領域を越えてしまう場合には表示位置の移動を禁止する。
表示制御部24cは、表示位置情報JQに基づいて各フレーム画像の表示位置を切り替える。ここで表示位置の切り替えを行う場合、例えば上述のように画像表示領域が3つの領域(スクリーン10L,10C,10R)で構成されているときには、画像信号SDinと表示位置情報JQに基づき、各領域に対して画像表示を行うための出力信号SDL,SDC,SDRを生成しなければならない。このため、例えば画像表示領域に対応した記憶領域を有する画像メモリを設けるものとし、画像メモリに対する画像信号SDinの書込位置を、表示位置情報JQに基づいた位置とする。このように画像信号SDinを書き込むものとすれば、3つの領域に対応した画像メモリの記憶領域から読み出した画像信号をそれぞれ用いることで出力信号SDL,SDC,SDRを容易に生成できる。
表示制御部24cの書込読出制御部243は、画像メモリ244に画像信号SDinを書き込むための書込制御信号WCと、画像メモリ244に書き込まれている画像信号を読み出すための読出制御信号RCを生成して、画像メモリ244に供給する。ここで、書込読出制御部243は、移動表示位置制御部22cで設定された表示位置と対応する記憶領域に画像信号SDinを記憶させるため、表示位置情報JQに基づいて書込制御信号WCを生成する。さらに、書込読出制御部243は、シーンが切り替えられたとき、前シーンの最後のフレーム画像の画像信号を画像メモリ244にそのまま保持させて、静止画として表示させる。なお、シーンの切り替えはシーンチェンジ検出信号SCを用いても良く、また表示位置の移動量が所定量を越えたときにシーンの切り替えと判別しても良い。すなわち、シーン間では、異なるシーンの画像を異なる位置に表示することから、表示位置の差分が1フレーム画像分よりも大きくなる。一方シーン内では被写体の動きに応じて表示位置を移動させることから、表示位置の差分は小さくなる。このため、フレーム間の表示位置の差分に基づいて、シーンの切り替えを判別できる。
画像メモリ244は、書込制御信号WCに基づいて画像信号SDinを記憶する。なお、画像信号SDinが記憶されていない領域には、例えば黒表示となる信号を記憶させる。さらに、画像メモリ244は、書込読出制御部243からの読出制御信号RCに基づき、記憶領域に記憶されている画像信号を読み出して画像信号SDeとして画像分割部245に供給する。
画像分割部245は、画像信号SDeから例えばスクリーン10Lに対応する記憶領域の信号を用いて出力信号SDLを生成する。同様に、スクリーン10C,10Rに対応する記憶領域の信号を用いて出力信号SDC,SDRを生成する。このようにして生成した出力信号SDLをプロジェクタ12L、出力信号SDCをプロジェクタ12C、出力信号SDRをプロジェクタ12Rにそれぞれ供給することにより、複数のスクリーンを利用して1つ画像を表示できると共に、表示画像が複数のスクリーンに跨るときには、表示画像がスクリーン毎に分割されて表示される。また、画像信号SDeが記憶されていない領域に黒表示となる信号を記憶させたときには、画像信号SDinに基づく画像の周囲が黒表示となる。
なお、表示制御部24cは、表示位置情報JQに基づいた表示位置に画像を表示するための画像信号を生成するものであれば良く、画像メモリ244に対する画像信号の書込位置を表示位置に応じて制御するものに限られるものではない。例えば、現在のシーンの画像信号や前シーンの最終フレームの画像信号を記憶するフレームメモリを設けるものとして、このフレームメモリからの信号の読み出しタイミングを表示位置情報JQに基づいて制御しても、出力信号SDL,SDC,SDRを生成できる。
次に、画像処理装置20cの動作について説明する。なお、説明を簡単とするため動き検出情報MVDで示される動きベクトル方向の左右方向成分についてのみ説明する。図12A〜Cは、画像処理装置20cに供給する画像信号SDinの生成例を示す模式図である。この画像信号SDinは、例えば図12Aに示すように、静止している被写体OBaをビデオカメラ100で撮影する。次に、シーンを切り替えて、図12Bに示すように、ビデオカメラ100をパンニングさせて移動する被写体OBbを撮影する。さらに、シーンを切り替えて、図12Cに示すように、静止している被写体OBaを別のアングルから撮影して得た画像信号であるものとする。
図13A及びBは、画像信号SDinの処理例を示す説明図である。図13Aに示す画像信号SDinのフレームF(g−1)までがシーンCN(M)の画像、フレームF(g)〜フレームF(g+k)がシーンCN(M+1)の画像、フレームF(g+k+1)からシーンCN(M+2)の画像である。
画像信号SDinがフレームF(g−1)からフレームF(g)となると、シーンチェンジ検出部21は、正規化値Eあるいは相関係数rに基づいて、このシーンチェンジ位置を検出する。また関連シーン判定部23は、フレームF(g)と過去の画像との関連を調べ、関連がないとする。
初期位置設定部226では、画像表示領域のサイズと過去のシーンの表示位置情報JQ−pと、過去のシーンとの関連位置情報JRから、画像の表示位置を決定するが、この場合、過去のシーンと関連がないことから、画像が表示されていない領域を判別して、図13Bに示すように、この判別された領域の中央位置を、シーンCN(M+1)の先頭フレームの表示位置PS1とする。その後、シーンCN(M+1)の各フレーム画像を動き検出情報MVDに基づいて移動させる。このため、シーンCN(M+1)の画像の表示位置は、被写体OBbの動きに応じて移動される。
その後、画像信号SDinがフレームF(g+k)からフレームF(g+k+1)となると、シーンチェンジ検出部21は、正規化値Eあるいは相関係数rに基づいて、このシーンチェンジ位置を検出する。また関連シーン判定部23は、フレームF(g+k+1)と過去の画像との関連を調べ、シーンCN(M)のフレームF(g−1)と関連があると判定する。
初期位置設定部226は、画像表示領域のサイズと過去のシーンの表示位置JQ−pと、過去のシーンとの関連位置情報JRから、画像の表示位置を決定するが、この場合、シーンCN(M)と関連があるため、シーンCN(M)と同じ位置をフレームの表示位置PS2とする。また、前シーンの最終フレームの画像を静止画として表示する。
このように、本発明に係る第3の実施の形態としての画像処理装置20cによって、動く画像の場合にシーンの切り替えが明らかであると共に、臨場感の高い画像表示を行うことができる。
<実施の形態4>
次に、オフライン処理の場合における画像処理装置20dについて説明する。図14は、本発明に係る第4の実施の形態としてのオフライン処理を行う場合における画像処理装置20dの構成例を示すブロック図である。図14に示す画像処理装置20dは、蓄積部35を有しており、この蓄積部35に画像信号SDinを記憶する。また、蓄積部35から読み出された画像信号SDinは、シーンチェンジ検出部21と動き検出部25と関連シーン判定部23に供給される。
シーンチェンジ検出部21は、シーンチェンジ検出信号SCを生成して動き検出部25と移動表示位置制御部22dに供給する。動き検出部25は、シーン毎に動き検出を行い、動き検出情報MVDを生成して移動表示位置制御部22dに供給する。関連シーン判定部23は、蓄積部35の過去のシーンと画像信号SDinとの関連を判定し、関連のある過去のシーンの関連位置情報JRを移動表示位置制御部22dに供給する。
移動表示位置制御部22dは、シーンチェンジ検出信号SCと動き検出情報MVDと関連シーンの関連位置情報JRに基づき、シーン内の画像の動き量や、先頭フレームに対する最終フレームの変位量、あるいは過去のシーンとの関連に基づき、各フレーム画像の表示位置を設定する。
図15は、移動表示位置制御部22dの構成例を示すブロック図である。図15に示す動き累積部228は、シーンチェンジ検出信号SCと動き検出情報MVDに基づき、シーン毎に動き検出情報MVDで示された動きベクトルを累積して、動きベクトルの時間推移情報である動き累積値MVTを生成する。さらに、動き累積値MVTに基づき第1の移動方向(例えば右方向や上方向)の最大値MVTm−1と、第1の方向とは逆方向である第2の移動方向(例えば左方向や下方向)の最大値MVTm−2を求め、最大値MVTm−1と最大値MVTm−2に基づき動き累積値MVTの振れ幅WTをシーン毎に算出する。この動き累積部228で算出した動き累積値MVTと振れ幅WTは、初期位置設定部229と移動補正部230に供給される。
領域判別部232には、後述する位置設定部231から前シーンの表示位置を示す表示位置情報JQ−pが供給されており、この表示位置情報JQ−pに基づき、現シーンの画像が表示可能な最大の表示領域を判別する。さらに、この表示領域を現シーンの表示可動範囲として、この表示可動範囲の可動幅LWを求めて、初期位置設定部229と移動補正部230に供給する。
初期位置設定部229は、動き累積値MVTにおける振れ幅WT及び可動幅LWから画像の初期表示位置PSを設定する。この例で、初期位置設定部229は、関連シーンの関連位置情報JRが関連シーンがないと判定されていた場合、振れ幅WTが可動幅LW以上(WT≧LW)であるときには、振れ幅WTの中央値MVTctを求めて、この中央値MVTctが可動幅LWの中央となるように、先頭フレーム画像の表示位置を決定し、初期表示位置PSを生成して位置設定部231に通知する。
また、振れ幅WTが可動幅LWよりも小さい(WT<LW)ときには、現シーンの各フレーム画像が可動幅LW内に収まると共に、現シーンの最終フレーム画像を表示して前シーンの表示が終了したとき、次のシーンに対する可動幅LWが最大となるように現シーンの先頭フレーム画像の初期表示位置PSを設定する。なお、最初のシーンでは、前シーンの画像が表示されていないことから、可動幅LWは、画像表示領域のサイズから表示画像のサイズを減算した値となる。関連シーンの関連位置情報JRが関連シーンがあると判定されていた場合は、関連シーン位置情報JRに基づき初期位置を決定し、そこから可動幅LWを計算する。
移動補正部230は、振れ幅WTが可動幅LWを越えてしまうとき、表示画像が可動幅LW内に収まるよう動き検出情報MVDを補正して、動き検出情報MVEとして位置設定部231に供給する。また、振れ幅WTが可動幅LWを越えないときには、動き検出情報MVDの補正を行うことなく位置設定部231に供給する。
位置設定部231は、初期位置設定部229から供給された初期表示位置PSを先頭フレームの画像表示位置とする。その後、動き検出情報MVEに基づき、動き検出情報MVEで示された動きベクトルの方向とは逆方向に画像を移動させた位置を表示位置として、この表示位置を示す情報を表示位置情報JQを生成する。さらに生成した表示位置情報JQを画像信号SDinと関係付けて蓄積部35に記憶させる。
次に画像表示を行う場合、蓄積部35に記憶されている画像信号SDinと画像信号SDinに関係付けて記憶されている表示位置情報JQを読み出して、表示位置情報JQを書込読出制御部243に供給すると共に画像信号SDinを画像メモリ244に供給する。
書込読出制御部243は、上述したように、画像メモリ244に画像信号SDinを書き込むための書込制御信号WCと、画像メモリ244に書き込まれている画像信号を読み出すための読出制御信号RCを生成する。また、書込読出制御部243は、表示位置情報JQに基づいて書込制御信号WCを生成して画像信号SDinの書込位置を制御することにより画像の表示位置を移動させる。
さらに、シーン切替が行われたことを判別したときには、前シーンの画像信号が、未来のシーンと関連を持たない場合、前シーンの画像信号を消去して次のシーンのための表示領域を設けるものとする。なお、シーン切替は、蓄積部35にシーン分割に関する情報を記憶させて、この情報を読み出すことで判別できる。また、上述のように表示位置の移動量に基づいて判別することもできる。
画像メモリ244は、書込制御信号WCに基づいて画像信号SDinを記憶する。なお、現シーンの現フレーム画像の画像信号や前シーンの最終フレーム画像の画像信号が記憶されていない領域には、例えば黒表示となる信号を記憶させる。また、画像メモリ244は、書込読出制御部243からの読出制御信号RCに基づき、記憶領域に記憶されている画像信号を読み出して画像信号SDeとして画像分割部245に供給する。
画像分割部245は、画像信号SDeから出力信号SDL,SDC,SDRを生成する。このようにして生成した出力信号SDLをプロジェクタ12L、出力信号SDCをプロジェクタ12C、出力信号SDRをプロジェクタ12Rにそれぞれ供給することにより、複数のスクリーンを利用して1つ画像を表示できると共に、表示画像が複数のスクリーンに跨るときには、表示画像がスクリーン毎に分割されて表示される。
次に、再び図13を参照して画像処理装置20dの動作について説明する。なお、説明を簡単とするため動き検出情報MVDで示される動きベクトル方向の左右方向成分についてのみ説明する。上述の図12Bに示したように、ビデオカメラ100をパンニングさせて画像信号SDinを生成したとき、動き累積部228では、動き検出情報MVDで示された動きベクトルを累積して、動きベクトルの時間推移情報である動き累積値MVTを生成する。
例えば、図16A及びBは、動き累積値MVTの振れ幅WTの例を示す説明図である。この例で、図13のフレームF(g)からフレームF(g+k)までのパンニング量が小さいとき、動き累積値MVTの振れ幅WTは、図16Aに示す振れ幅WTとなり、パンニング量が大きいとき、動き累積値MVTの振れ幅WTは、図16Bに示す振れ幅WTとなる。この累積値MVTの振れ幅WTは、動き累積値MVTの最大値MVTm−1,MVTm−2に基づき動きシーン毎に算出される。
領域判別部232は、前シーンの表示位置情報JQ−pを用いて画像の可動幅LWを求める。例えば、図17は、画像の可動幅LWの算出例を示す説明図である。図17に示すように、前シーンの最終フレームの画像GPが表示されておらず、現シーンの画像GNが表示可能な最大の表示領域AWを、表示位置情報JQ−pと画像表示領域のサイズから判別する。さらに、画像GNと表示領域AWのサイズから、表示画像を移動できる範囲である可動幅LWを求める。
図18〜20は、初期表示位置PSの設定例(その1〜その3)を示す説明図である。図18Aに示す表示領域AW(n)に基づいて求めた可動幅LWよりも振れ幅WTが小さい(WT<LW)とき、初期位置設定部229は、図18Bや図18C、図18Dに示すように、現シーンの各フレームの画像GNが、この可動幅LW内に収まると共に現シーンの最終フレームの画像GN−eを表示して前シーンの画像GPを終了したとき、次シーンに対する表示領域AW(n+1)が最大となるように初期表示位置PSを設定する。
例えば、図18Bに示すように、現シーンの先頭フレームの画像GN−sと最終フレームの画像GN−e間の画像GN−kが、画像GPとは逆方向に最も移動する場合、この画像GN−kが表示領域AW(n)を越えないように初期表示位置PSを設定する。また、図18Cに示すように、最終フレームの画像GN−eが、画像GPとは逆方向に最も移動する場合、この画像GN−eが表示領域AW(n)を越えないように初期表示位置PSを設定する。また、図18Dに示すように、画像の表示位置が画像GPの方向に移動する場合、p最終フレームの画像GN−eが、画像GPとは逆方向に最も移動する場合、次シーンに対する表示領域AW(n+1)が最大となるように、先頭フレームの画像GN−sを画像GPとは逆方向に最も移動した位置とする初期表示位置PSを設定する。
図19Aに示すように振れ幅WTが可動幅LW以上(WT≧LW)であるとき、初期位置設定部229は、図19Bに示すように、振れ幅WTの中央値MVTctが可動幅LWの中央となるように、先頭フレーム画像の表示位置を決定して初期表示位置PSとする。さらに、移動補正部230によって、表示画像が可動幅LW内に収まるよう動き検出情報MVDを補正して、動き検出情報MVEに基づき図19Cに示すように初期表示位置PSを決定する。
さらに初期位置設定部229は、図2Aに示したように、あるシーンが過去の複数のシーンと関連を有していて、かつ直前のシーンが動く場合に、動かす先を過去の関連しているシーンにすることができる。例えば図2Aで、シーンCN5がシーンCN3とシーンCN4と関連があり(複数関連シーン)、シーンCN4が動きのあるシーンとする。この場合、図20Aに示すようにシーンCN4をシーンCN3に移動して、図20Bに示すように、シーンCN4の終了時の表示位置がシーンCN3の表示位置に重なるように、初期表示位置PSを設定する。
このように、本発明に係る第4の実施の形態としての画像処理装置20dによれば、画像表示を行う際には、前シーンの最終フレーム画像を表示すると共に、現シーンでは、表示位置情報JQに基づき、表示位置を画像の動きに応じて移動しながら表示する。このため、シーンの切り替えが明らかであると共に、画像表示領域を有効に利用して臨場感の高い理解しやすい画像表示を行うことができる。また、表示画像が可動幅LW内に収まるよう表示位置が制御されるので、表示画像の一部が画像表示領域からはみ出して欠落してしまうことを防止して、正しく画像を表示できる。さらにシーン同士が単一関連シーンである場合、シーンが同位置に表示されるので、シーンの関連が理解しやすい。またシーン同士が複数関連シーンで、かつシーンに動きがある場合、表示画像が過去の関連しているシーンに向かって動き、重なると同時にシーンチェンジとなるため、複数シーンの関連をより理解しやすい。
<実施の形態5>
さらに、上述の処理はハードウェアだけでなくソフトウェアで実現するものとしても良い。図21は本発明に係る第5の実施の形態としてのコンピュータの構成例を示すブロック図である。図21に示すコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)301を内蔵しており、このCPU301にはバス320を介してROM(Read Only Memory)302,RAM(Random Access Memory)303,HDD(Hard Disk Drive)304,入出力インタフェース305が接続されている。さらに、入出力インタフェース305には入力部311や記録媒体ドライブ312,通信部313,画像信号入力部314,画像信号出力部315が接続されている。
外部装置から命令が入力されたり、キーボードやマウス等の操作手段あるいはマイク等の音声入力手段等を用いて構成された入力部311から命令が入力されると、この命令が入出力インタフェース305を介してCPU301に供給される。
CPU301は、ROM302やRAM303あるいはHDD304に記憶されている画像処理プログラムを実行して、供給された命令に応じた処理を行う。さらに、ROM302やRAM303あるいはHDD304には、上述の画像処理装置と同様な処理をコンピュータで実行させるための画像処理プログラムを予め記憶させて、画像信号入力部314に入力された画像信号SDinに基づき出力信号SDL,SDC,SDRを生成して、画像信号出力部315から出力する。また、記録媒体に画像処理プログラムを記録しておくものとし、記録媒体ドライブ312によって、画像処理プログラムを記録媒体に記録しあるいは記録媒体に記録されている画像処理プログラムを読み出してコンピュータで実行するものとしても良い。さらに、通信部313によって、伝送路を介した画像処理プログラムの送信あるいは受信を行うものとし、受信した画像処理プログラムをコンピュータで実行するものとしても良い。
図22は、画像処理プログラムの全体構成例を示すフローチャートである。図22に示すステップST1では、入力した画像信号SDinのシーン判別を行う。図23はシーン判別の動作例を示すフローチャートである。ステップST11では、フレーム間の差分平均値Davとフレーム内の輝度平均値Yavを算出してステップST12に進む。ステップST12は、輝度平均値Yavを用いて差分平均値Davの正規化を行い正規化値Eを算出する。
ステップST13は、正規化値Eと閾値を比較してシーンチェンジであるか否かを判別する。ここで、正規化値Eが閾値以下であるときにはステップST14に進み、同じシーンの画像と判別する。また、正規化値Eが閾値よりも大きいときにはステップST15に進み、シーンチェンジであると判別する。このようにして正規化値Eに基づきシーンの判別を行う。
なお、シーン判別動作では、上述のように相関係数rを算出して、この相関係数rと閾値を比較してシーンチェンジを検出するものとしても良い。この場合、ステップST11とステップST12の処理に替えて、上述の式(4)で示した相関係数rの算出を行い、ステップST13では相関係数rが閾値よりも小さくないときにはステップST14に進み同じシーンの画像と判別する。また相関係数rが閾値よりも小さいときにはステップST15に進み、シーンチェンジであると判別する。
図22のステップST2では、シーンの切り替えが検出されたか否かを判別してシーン切り替えが判別されていないときにはステップST1に戻る。ステップST2でシーン切り替えであると判別されたときにはステップST3に進む。
ステップST3では、シーン切り替え後の画像の表示位置を、シーン切り替え前の画像の表示位置とは異なる位置に設定する。
ステップST4では、ステップST3で判別された表示位置に新たなシーンの画像を表示すると共に、シーン切り替え前の画像を静止画として表示する出力信号SDL,SDC,SDRを生成する。この出力信号の生成では、フレームメモリにシーン切り替え前の画像とシーン切り替え後の画像を記憶させるものとして、画像の表示位置に応じたタイミングでフレームメモリから画像信号を読み出して、この読み出した画像信号をスクリーン毎に分割することで、出力信号SDL,SDC,SDRを生成できる。あるいは記憶領域が画像表示領域に対応されているメモリに、表示位置に応じてシーン切り替え前の画像とシーン切り替え後の画像の画像信号を記憶させるものとして、各スクリーンに対応する領域の信号を用いることで、出力信号SDL,SDC,SDRを生成できる。
続いてステップST5に進む。ステップST5では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST1へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。
図24から図29に示すフローチャートは、上述の画像処理プログラムをさらに詳細に示したものであり、上述の画像処理装置20a,20b,20c,20dの動作と対応するものである。
図24は、リアルタイム処理の動作例(画像処理装置20aの動作に相当)を示すフローチャートである。図24に示すステップST21では、ステップST1と同様に入力した画像信号SDinのシーンチェンジ検出を行う。次に、ステップST22で、シーンの切り替えが検出されたときにはステップST23に進む。
ステップST23では、表示中の各表示画像との差分値を計算してステップST24に進む。ステップST24では、差分値が所定値よりも小さいものを抽出し、所定値より小さいものがひとつしかない場合は、該当する表示画像と同じ位置をシーンチェンジ検出後の表示位置とする。また、所定値より小さいものが複数ある場合には、該当する表示画像の表示位置の中心をシーンチェンジ検出後の表示位置とする。また、差分値が所定値よりも小さいものがないときには、所定の順序で表示位置を設定してステップST25に進む。
ステップST25では、ステップST24で判別された表示位置に新たなシーンの画像を表示すると共に、シーン切り替えが検出される前のシーンを静止画として表示する出力信号SDL,SDC,SDRを生成してステップST26に進む。
ステップST26では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST21へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。このように処理することで図2Bに示す画像表示を行うことができる。
図25は、オフライン処理の動作例(画像処理装置20bの動作に相当)を示すフローチャートである。図25に示すステップST31では、蓄積されている画像信号SDinを読み出してシーンチェンジ検出を行いステップST32に進む。ステップST32で、シーンチェンジが検出されたと判別されたときにはステップST33に進み、シーンチェンジが検出されていないときにはステップST31に戻る。
ステップST33では、シーンチェンジ検出が完了したか否かを判別する。このステップST33で、画像信号SDinに対するシーンチェンジ検出が完了したときにはステップST34に進み、完了していないときにはステップST31に戻る。
ステップST34では、判別された各シーンから関連シーンを判別する。この関連シーンの判別では、探索範囲を設定して、この探索範囲内での関連シーンを判別する。
ステップST35では、関連シーンの判別結果を利用して、単一関連シーンは同じ位置に、複数関連シーンは、関連する過去のシーンの表示位置の中心に表示するように、各シーンの表示位置を決定して、この決定された表示位置を示す表示位置情報JPを生成する。ステップST36では、ステップST35で生成された表示位置情報JPを画像信号SDinに関係付けて蓄積させる。
図26は、オフライン処理の表示例を示すフローチャートである。図26のステップST41では蓄積されている表示位置情報JPと画像信号SDinを読み出してステップST42に進む。ステップST42では、シーンの切り替えが生じたか否かを判別して、シーン切り替えが生じたときにはステップST43に進み、シーン切り替え前に表示されていたシーンの最終フレーム画像を静止画として表示してステップST44に進む。また、シーン切り替えが判別されていないときにはステップST44に進む。
ステップST44では、読み出した表示位置情報JPに基づき、表示位置を決定して画像信号SDinから出力信号SDL,SDC,SDRを生成する。
続いてステップST45に進む。ステップST45では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST41へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。このように処理することで図8Bに示したように画像表示を行うことができる。
図27は、リアルタイム処理であって、画像の動きに応じた動作例(画像処理装置20cの動作に相当)を示すフローチャートである。この画像処理装置20cは、画像の動きに応じて表示位置を可変させる。図27に示すステップST51では、画像信号SDinのシーンチェンジ検出を行いステップST52に進む。ステップST52では、シーンチェンジ検出の結果、シーンチェンジが検出されたか否かを判別する。ここで、シーンチェンジが検出されたときにはステップST53に進む。ステップST53では、シーン切り替え前のシーンの最終フレーム画像を静止画として設定してステップST54に進む。
ステップST54では、過去の表示されているシーンと関連がある場合には、関連する表示位置を初期表示位置PSに設定し、関連がない場合には、表示されていない領域や、最も古い表示画像がある領域を初期表示位置PSに設定してステップST57に進む。
また、上述のステップST52でシーンチェンジが判別されていないときにはステップST55に進み、動き検出を行う。この動き検出では、全画面動き検出を行い、表示面積の広い部分の動きベクトルを検出してステップST56に進む。ステップST56ではステップST55で検出された動きベクトルに基づき表示位置を移動させる。ここで表示位置を移動したとき、表示画像が画像表示領域から外れてしまう場合や表示されている静止画と重なりを生じてしまうときには、表示位置の移動を禁止してステップST57に進む。
ステップST57では、ステップST54で設定された初期表示位置PSに新たなシーンの画像を表示すると共に、シーン切り替えが検出される前のシーンを静止画として表示する。さらに、ステップST56によって順次移動された位置に画像を表示する出力信号SDL,SDC,SDRを生成する。このように処理することで、図13に示した表示を行うことができる。
続いてステップST58に進む。ステップST58では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST51へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。
図28は、オフライン処理であって、画像の動きに応じた動作例(画像処理装置20dの動作に相当)を示すフローチャートである。図28に示すステップST61では、蓄積されている画像信号を読み出してシーンチェンジ検出を行いステップST62に進む。ステップST62では、シーンチェンジが検出されたか否かを判別する。ここで、シーンチェンジが検出されていないときには、ステップST61に戻る。また、シーンチェンジが検出されたときにはステップST63に進む。
ステップST63では、シーン毎にシーン内の先頭フレーム画像から最終フレーム画像までの動き検出を行い、検出した動き検出情報MVDに基づき、動きベクトルを累積して動き累積値MVTを生成する。さらに、動き累積値MVTからシーン毎に、振れ幅WTを算出してステップST64に進む。
ステップST64では、過去の表示されているシーンとの関連がある場合には、関連する表示位置に初期表示位置PSを設定し、関連がない場合には前シーンの表示位置に基づいて表示の可動幅LWを算出し、振れ幅WTと可動幅LWからシーン毎に画像の初期表示位置PSを設定してステップST65に進む。
ステップST65では、初期表示位置PSと動き検出情報MVDに基づき、各フレーム画像の表示位置を設定して、各フレームの画像の表示位置を示す表示位置情報JQを生成してステップST66に進む。ステップST66では、生成した表示位置情報JQを画像信号SDinに関係付けて蓄積させる。
図29は、オフライン処理であって画像の動きに応じた表示例を示すフローチャートである。図29のステップST71では蓄積されている表示位置情報JQと画像信号SDinを読み出す。ステップST72では、シーンの切り替えが生じたか否かを判別して、シーンの切り替えが生じたときにはステップST73に進む。ステップST73では、シーン切り替え前のシーンの最終フレーム画像を静止画として設定する。また、静止画として表示している最終フレーム画像がある場合には、この表示を消去してステップST74に進む。また、上述のステップST72でシーンの切り替えが生じていないと判別されたときにはステップST74に進む。
ステップST74では、表示位置情報JQに基づいた位置に現シーンの画像を表示させる出力信号SDL,SDC,SDRの生成を行う。
続いてステップST75に進む。ステップST75では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST71へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。
このように、本発明に係る第5の実施の形態としての画像処理プログラムによれば、シーン切り替え後の画像がシーン切り替え前の画像と関連がある場合に、当該シーン切り替え前の画像と関係を持たせた位置に、シーン切り替え後の画像を設定するものである。従って、画面に表示された画像のシーン同士の関連性を容易に把握することができると共に、画像の内容が明確になり理解し易くなる。また、図18、図19、図20示したように、現シーンの画像を動きに合わせて移動して表示できると共に前シーンの画像を静止画として合わせて表示できる。
また、静止画として、シーン切り替え前の複数シーンの画像が表示されて、シーン切り替え後の画像と複数の静止画との差分が小さい静止画の画像表示位置と関連するように、シーン切り替え後の画像表示位置が設定される。あるいは、シーン間の相関値を算出して、この相関値に基づいて関連するシーンが判別されて、シーン切り替え後の画像表示位置が、関連するシーンの画像表示位置に設定される。このため、シーンの関連性を容易に把握することができる。
また、画像信号に基づいて入力画像の動きが検出されて、シーン切り替え前の複数のシーンの画像との関連から画像表示位置が設定されると共に、その後動き検出結果に基づいて画像表示位置が移動される。このため、被写体の動きに合わせて表示位置を移動させることが可能となり、臨場感が高く理解しやすい画像表示を行うことができる。
さらに、シーン切り替え後の画像が、シーン切り替え前の複数のシーンと関連があり、かつシーン切り替え前の画像が動く場合、画像表示位置が静止画として表示されている領域に重なり、完全に重なったところでシーンチェンジが行われるようにすることで、シーン同士の関連を容易に把握することができる。
なお、上述の実施の形態におけるスクリーンやプロジェクタは例示的なものであり、画面サイズや数も自由に変更可能である。また、他の種類のディスプレイ、例えば1面の広画角ディスプレイや、シリンドリカルなどの曲面ディスプレイなどを用いてもよい。このように、表示画像のサイズよりも画像表示領域が大きければ、本願発明のように現実世界に忠実で臨場感の高い画像表示が可能である。
また、上述の実施の形態では、画像処理装置20の内部に蓄積部35を設けるものとしたが、外部の情報記憶装置を利用するものとしても良い。また蓄積部35を着脱可能とすれば、表示制御部の機能を有する他の画像表示システムでも、この蓄積部35に記憶された画像信号SDinや表示位置情報JP,JQを利用することで、上述のような臨場感が高く理解しやすい画像表示を行うことが可能となる。
さらに、新たに映像ソースや別のフォーマットを作らなくても、既に存在しているコンテンツの画像信号を用いて本発明の処理を施すことで、従来よりも臨場感が高く理解のしやすい画像表示を行うことができる。
<実施の形態6>
続いて、図30〜図32を参照して本発明に係る再生情報生成装置と再生情報生成方法および再生情報生成プログラムについての実施の形態を説明する。図30は、本発明に係る第6の実施の形態としての再生情報生成装置50の構成例を示すブロック図であり、図31は情報再生装置60の構成例を示すブロック図である。この再生情報生成装置50及び情報再生装置60において、上述した画像処理装置20aと同一の構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
再生情報生成装置50及び情報再生装置60は、画像処理装置20aを分離して構成したものである。すなわち、再生情報生成装置50は、入力画像の画像信号SDinを処理して当該動画像の再生情報の一例であるフレームの表示位置情報JPを生成する装置であって、シーンチェンジ検出部21、関連シーン判定部221’、1フレーム遅延部222L,222C,222R及び記憶位置設定部241’ から構成される。情報再生装置60は、この表示位置情報JPに基づいて、画像信号SDinを処理して当該画像を再生する装置である。
図30に示す再生情報生成装置50のシーンチェンジ検出部21は画像信号SDinが供給され、この画像信号SDinに基づいてフレームにおけるシーンチェンジを検出してシーンチェンジ検出信号SCを関連シーン判定部221’に出力する。この関連シーン判定部221’は、シーンチェンジ検出信号SCが供給されたときに、1フレーム遅延部222L,222C,222Rから供給された前フレーム出力信号SDL−d,SDC−d,SDR−dと画像信号SDinとの差分を計算する。これらの差分値の中で所定値よりも小さいものが存在すると関連性を有すると判定し、差分値が所定値より小さい前フレーム画像信号に応じた画像表示位置を入力画像の画像表示位置に設定する。すなわち関連シーン判定部221’は、差分値の中で所定値より小さいものが一つしかない場合(単一関連シーン)、該当する前フレーム画像信号と同じ画像表示位置を入力画像の表示位置に設定する。また、差分値の中で所定値より小さいものが複数ある場合(複数関連シーン)、該当する複数の前フレーム画像信号の画像表示位置における中心位置を入力画像の表示位置に設定する。関連シーン判定部221’は、設定した入力画像の画像表示位置を再生情報の一例である表示位置情報JPとして出力する。
記憶位置設定部241’は記憶制御部の一例として機能し、表示位置情報JPに基づいて、シーン切り替え前の画像を1フレーム遅延部222L,222C,222Rのいずれかに記憶する。
なお、複数関連シーンの中心位置が各スクリーンの中心でない場合、すなわち複数関連シーンが複数のスクリーンまたがって表示される場合は、記憶位置設定部241’ で、画像信号SDinは分割されて1フレーム遅延部222L,222C,222Rに供給される。また、関連シーン判定部221’は、最も小さい差分値が所定値よりも小さくないときには、所定の順序で表示位置を切り替える。このようにして、関連シーン判定部221’は、設定した表示位置を示す表示位置情報JPを、記憶位置設定部241’ 及び出力端子51に供給する。
この出力端子51には、例えばUSBメモリなどの外部記憶媒体(図示せず)が接続され、このUSBメモリに表示位置情報JPが保存される。これにより、各シーンの表示位置を示す表示位置情報JPを提供できるようになる。また、出力端子51には、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信回線が接続され、例えばインターネット通信網を経由して表示位置情報JPがユーザーのPC(Personal Computer)にダウンロードされる。
図31に示す情報再生装置60は、例えば外部記憶媒体やインターネット経由により取得された表示位置情報JPを読み出し、この表示位置情報JPに基づいて、入力画像の画像信号SDinを処理して当該画像を再生する。この情報再生装置60は、表示位置設定部241” 及び信号出力部242L’,242C’,242R’から構成される。
表示位置設定部241”は表示位置情報JPに基づいて、画像信号SDinを分割して信号出力部242L’,242C’,242R’に供給する。
信号出力部242L’,242C’,242R’は、画像メモリを用いて構成する。信号出力部242L’は、画像信号SDinが供給されたとき、画像メモリに順次画像信号SDinを書き込む。
また、信号出力部242L’は、書き込まれた画像信号SDinを読み出して出力信号SDLとしてプロジェクタ12Lに出力する。画像信号SDinが分割されて供給された場合、信号出力部242L’は、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、信号出力部242L’は、画像信号SDinの供給が停止されたとき、保持している信号を繰り返し読み出すものとする。
また、信号出力部242C’,242R’も信号出力部242L’と同様に構成されており、供給された画像信号SDinを画像メモリに順次書き込む。また、書き込まれた画像信号SDinを読み出し、信号出力部242C’,242R’は、出力信号SDC,SDRとしてプロジェクタ12C,12Rに出力する。画像信号SDinが分割されて供給された場合、画像メモリで画像信号のない部分は、例えば黒表示となる画像信号を記憶させる。さらに、画像信号SDinの供給が停止されたときには、保持している信号を繰り返し読み出す。
図32は、リアルタイム処理の場合であって、表示位置情報JPの生成例を示すフローチャートである。このフローチャートは、再生情報生成プログラムの内容を示すものである。図32に示すステップST21では、入力した画像信号SDinのシーンチェンジ検出を行う。次に、ステップST22で、シーンの切り替えが検出されたときにはステップST23に進む。
ステップST23では、表示中の各表示画像との差分値を計算してステップST24に進む。ステップST24では、差分値が所定値よりも小さいものを抽出し、所定値より小さいものがひとつしかない場合は、該当する表示画像と同じ位置をシーンチェンジ検出後の表示位置とする。また、所定値より小さいものが複数ある場合には、該当する表示画像の表示位置の中心をシーンチェンジ検出後の表示位置とする。また、差分値が所定値よりも小さいものがないときには、所定の順序で表示位置を設定してステップST25’に進む。
ステップST25’では、ステップST24で判別された表示位置の表示位置情報JPを生成してステップST26に進む。
ステップST26では、入力画像の画像信号SDinが終了したか否かを判定する。画像信号SDinが終了しなかった場合ステップST21へ戻って画像処理を継続する。画像信号SDinが終了した場合、画像処理の終了となる。
このように、本発明に係る第6の実施の形態として、再生情報生成装置50、再生情報生成方法及び再生情報生成プログラムによれば、関連シーン判定部221’は、シーン切り替え前の画像とシーン切り替え後の画像との差分値を算出し、当該差分値に基づいてシーン切り替え後の画像がシーン切り替え前の画像と関連性を有するか否かを判定し、当該関連性を有する場合に、シーン切り替え前の画像と関係を持たせた位置に、シーン切り替え後の画像を設定するための表示位置情報JPを生成するものである。
従って、生成された表示位置情報JPに基づいて画像を再生することにより、画面に表示された画像のシーン同士の関連性を容易に把握することができる。
10L,10C,10R・・・スクリーン、12L,12C,12R・・・プロジェクタ、20、20a〜20d、・・・画像処理装置、21・・・シーンチェンジ検出部、22c,22d・・・表示位置制御部、24c・・・表示制御部、25・・・動き検出部、35・・・蓄積部、23,221,223・・・関連シーン判定部(表示位置制御部)、222L,222C,222R・・・1フレーム遅延部(遅延記憶部)、224・・・相関値算出部、225,241・・・表示位置設定部、226,229・・・初期位置設定部、227,231・・・位置設定部、228・・・動き累積部、243・・・書込読出制御部、224、244・・・画像メモリ、225、245・・・画像分割部、230・・・移動補正部、232・・・領域判別部、241’・・・記憶位置設定部(記憶制御部)