JP5076401B2 - 病原の感染防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸着性を有する光触媒がウイルス、バクテリア、細菌、カビなどの病原を効率的に吸着し分解することにより、家畜の飼育場、魚介類の養殖場へのウイルスの侵入、及び該ウイルスによる感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能で、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能な病原の感染防止方法に関する。
従来、インフルエンザウイルスの感染経路としては、餌や飲み水とともに野鳥や家禽などの鳥の体内にとりこまれたウイルスが、鳥の体内にてブタなどの哺乳類に感染可能なウイルスに変異し、飼育場だけでなく様々な場所で糞や尿などの排泄物と一緒に排出される。これら糞や尿などが乾燥し、空気中に飛散したウイルスが、ブタなどの家畜に感染し、家畜の体内で、更に人への感染が可能なウイルスに変異する。このウイルスが、家畜との接触又は食料として摂取することにより、人体に感染し、その感染が拡大していくと考えられる。
近年、人体への感染拡大が懸念されている鳥インフルエンザの感染経路についても、前記とほぼ同様の感染経路をたどると考えられ、具体的には、例えば、養鶏場や農場への鳥インフルエンザウイルスの侵入ルートとしては、下記のようなケースが考えられる。
(1)鳥インフルエンザウイルスに感染している鶏が導入された場合。
(2)鳥インフルエンザウイルスにより汚染された飼育器具、車両、卵ケースなどを使用した場合。
(3)飼育者の手、衣服、手袋、長靴などを介して鳥インフルエンザウイルスが持ち込まれた場合。
(4)野鳥が出入りできる鶏舎や屋外養鶏場において、鳥インフルエンザウイルスの感染した野鳥によりウイルスが持ち込まれた場合。
これらの侵入ルートによって、農場などに鳥インフルエンザウイルスが侵入すると、これに感染した鶏の排泄物によって汚染された餌、土、草、飲み水などにより、他の鶏への感染が急速に拡大することが確認されている。
また、食用鯉や錦鯉の養殖場などは、強い感染力を持つ鯉ヘルペスが深刻な問題となっており、その被害は膨大で、感染拡大の効果的な防止対策が切望されている。鯉ヘルペスなどのウイルスの侵入ルートとしては、養殖場に飛来する野鳥の糞、汚染された器具の持ち込み、人体、水などによるものが考えられる。
上記ウイルスの侵入機会を少なくするための予防措置として、鶏や鯉などの出入りや移動を最小限とする、器具や車両などの移動範囲を最小限とする、飼育用具、車両、人体、衣類、長靴、その他の消毒を徹底する、などが行なわれている。
しかし、これらの措置では、ウイルス侵入後の糞や尿などの排泄物による感染拡大を防止することはできない。また、餌に大量の抗生物質を混入する対策もあるが、人体や環境に影響を与える、新型ウイルスには効果が少ないなどの問題がある。
前記排泄物によるウイルスへの感染防止対策として、家畜や魚介類の飼料に酸化チタンなどの光触媒を混合したものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この発明では、家畜等が飼料とともに光触媒を摂取することにより、家畜の排泄物には光触媒が混入されるので、この排泄物に、光を照射することにより光触媒を活性化して、排泄物中のウイルスを分解除去して無害化するものである。この光触媒による分解作用により、排泄物による感染を防止しようとするものである。
しかし、前記酸化チタンは、排泄物とともに体外に排出されたウイルスを分解除去することはできるが、家畜等の体内では光触媒によるウイルスの分解除去はできない。また、酸化チタンはウイルスの吸着性に乏しいため、家畜の体内に取り込まれたウイルスを積極的に吸着して排泄物とともに排出させることもできず、体内にウイルスが取り込まれた家畜のウイルス等への感染を防止することはできない。
一方、光触媒能と物質の吸着能の双方を備える光触媒アパタイトが注目され、該光触媒アパタイトの特性を利用した技術の研究開発が行われてきている(例えば、特許文献2参照)。これは、光触媒アパタイトにより空気中のウイルス等を吸着し、光の照射により光触媒能を励起させて、吸着されたウイルス等を分解除去するものである。
しかし、これは、空気清浄ユニットに係る発明であり、家畜のウイルス感染防止のためのものではない。
したがって、家畜の飼育場、魚介類の養殖場へのウイルスの侵入、及び該ウイルスによる感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能で、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能なウイルス等の病原の感染防止方法は未だ提供されていないのが現状である。
国際公開第04/5295号パンフレット 特開2005−161022号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、吸着性を有する光触媒がウイルス、バクテリア、細菌、カビなどの病原を効率的に吸着し分解することにより、家畜の飼育場、魚介類の養殖場へのウイルスの侵入、及び該ウイルスによる感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能で、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能な病原の感染防止方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に列挙した通りである。即ち、
本発明の病原の感染防止方法は、吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料を用いることを特徴とする。
該病原の感染防止方法においては、吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料により、家畜や魚介類の病気の原因となるウイルス、バクテリア、細菌、カビなどの病原が効果的に吸着される。該吸着された病原が、光の照射により光触媒活性が励起された光触媒により、分解除去される。また、夜間など、光の存在しない状況でも、吸着性を有する光触媒が病原を吸着して逃がさないので、その後光が照射された際に、確実に分解除去することができる。
したがって、家畜の飼育、魚介類の養殖における前記ウイルス等の病原の侵入を簡易かつ効果的に抑制することができるとともに、病原に感染した個体が生じても、他の個体への感染拡大を効果的に抑制することができ、更には、家畜や魚介類、人体への影響がなく、環境保全も実現できる。
また、従来、病原に感染した家畜等の排泄物中に病原が混入することから、排泄物を媒介とした病原の感染拡大が問題となっていた。しかし、本発明においては、飼料や飲み水とともに前記光触媒材料が家畜等の体内に摂取されると、吸着性を有する光触媒が、家畜等に取り込まれたウイルス等の病原を体内で吸着して、排泄物とともに体外に排出させることができる。従来の酸化チタンなどは、光の届かない体内での機能はなかったが、本発明では、吸着性を有する光触媒により、体内の病原を除去する機能をも有するものとなる。
そして、光の照射により、排泄物中の病原が光触媒により効率的に分解除去されるので、糞などの排泄物による病原の感染拡大を、効果的に抑制することができる。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、吸着性を有する光触媒がウイルス、バクテリア、細菌、カビなどの病原を効率的に吸着し分解することにより、家畜の飼育場、魚介類の養殖場へのウイルスの侵入、及び該ウイルスによる感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能で、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能な病原の感染防止方法を提供することができる。特に、糞などの排泄物によるウイルス感染を効果的に防止することが可能となる。
(ウイルスの感染防止方法)
本発明の病原の感染防止方法は、吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料を用いるもので、該光触媒材料を付与することにより、家畜の飼育場、魚介類の養殖場へのウイルス、バクテリア、細菌、カビなどの病原の侵入を簡易かつ効果的に防ぐことができるとともに、該家畜や魚介類の前記ウイルス等の病原への感染及び感染拡大を、効果的に防ぐことができる。
前記光触媒材料は、必要に応じて、水、アルコールなどの溶媒、栄養分などを含んでいてもよいし、吸着性を有さない光触媒を含んでいてもよい。
本発明において「家畜」とは、牛、豚、馬、犬、猫、ハムスター等、食用、使役用、愛玩用などのために飼育する哺乳類、鶏、あひる、うずら、七面鳥、インコ、カナリア等、食用、愛玩用などのために飼育する鳥類、その他動物を意味する。
また、「魚介類」とは、鯉、金魚、熱帯魚、鮎等の淡水魚、ハマチ、鯛等の海水魚、牡蠣等の貝類など、食用、観賞用、その他の目的で養殖、飼育するのもの意味する。
また、爬虫類、両生類、その他の動物類の飼育等に、本発明の病原の感染防止方法を用いることができる。
また、家畜や魚介類への感染を防止する目的で、野鳥や野生動物に対して、本発明の病原の感染防止方法を用いることもできる。
前記ウイルス、バクテリア、細菌、カビ等の病原に起因する病気としては、家畜においては、鳥インフルエンザウイルス、伝染性気管支炎、コロナウイルスなどが挙げられ、魚介類においては、鯉ヘルペス、白点病、尾腐れ病などが挙げられる。本発明の病原の感染防止方法によれば、吸着性を有する光触媒により、前記ウイルス等の病原を効率的に吸着して分解除去することができ、これらの病原の侵入、感染拡大の優れた抑制効果が得られる。
前記光触媒材料の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒材料を、家畜の飼料に添加して付与する態様、飲み水に分散させて付与する態様、魚介類の餌に添加して付与する態様、飼育用水に分散させて付与する態様、光触媒材料を、飼育施設内及び飼育施設外の少なくともいずれかに付与する態様、などが好ましい。
また、病原に感染した家畜等の排泄物中に病原が混入することから、排泄物を媒介とした病原の感染拡大が問題となっていた。前記家畜の飼料や飲み水に添加した場合、ウイルス等の病原に感染した家畜がこれらを摂取すると、光触媒材料が排泄物に混入して排泄される。更に、吸着性を有する光触媒により、体内のウイルスが吸着されて、排泄物とともに体外に排出されるのを促進することができる。該排泄物に太陽光などの光が照射されることにより、光触媒材料が活性化して、排泄物中の病原が分解除去されて無害化される。そのため、排泄物による病原の感染拡大を、効果的に抑制することができる。
また、前記光触媒材料を、魚介類の餌や飼育用水に添加した場合、病原に感染した魚介類が、光触媒が添加された餌や飼育用水を摂取することにより、光触媒が病原を吸着し、病原と光触媒とを含む排泄物が排泄される。該排泄物に光が照射されて光触媒の光触媒活性が励起されることにより、排泄物中の病原が分解除去される。その結果、排泄物による病原の感染拡大を、効果的に抑制することができる。
また、光触媒が分散された飼育用水で飼育されることにより、外部からウイルス等の病原が侵入しても、水中に分散する光触媒によって分解除去され、感染が抑制されるとともに、魚介類の体表やエラなどに付着した病原も、光触媒によって分解除去され、病原の感染拡大を抑制するだけでなく、病気からの回復をも促進可能とする。
なお、光触媒材料を飼料や餌に添加する場合は、飼料や餌の材料中に前記光触媒材料を添加し、該材料を用いて飼料や餌を形成してもよいし、市販の飼料や餌に、光触媒材料を適宜に混ぜてもよい。
また、飲み水や飼育用水に添加する際は、粉体状の光触媒材料を水に分散させるのが好ましく、病原との接触性が高まり、水中の病原の分解除去が効率的に行なわれるとともに、家畜等の体内への光触媒材料の摂取も行い易くなる。
また、比較的大きな粒径の光触媒材料、例えば、砂利のような塊状の光触媒を、水中に分散させることなく、水槽の底などに敷き詰めてもよく、光触媒による水のにごりや味の変化などを防止することができる。
前記光触媒材料を、飼育施設内や飼育施設外に付与する場合、飼育施設内への病原の侵入を効果的に抑制することができる。なお、飼育施設とは、鶏舎、豚舎、牛舎、水槽などの施設は勿論、農場、養鶏場、養豚場、魚介類の養殖場なども含む意味である。
なお、前記光触媒材料の飼育施設内外への付与は、粉状、液体状等に調整した光触媒材料を、土、水、飼育施設の床や壁面などに塗布、噴霧、散布などにより付与してもよい。また、飼育施設内外に設置したシャワーやスプリンクラーなどにより、施設内外に光触媒材料を付与するとともに、家畜の体に付与してもよく、家畜の皮膚などに付着した病原を光触媒により吸着して分解することができ、病原の感染をより効果的に防止可能となる。
また、前記光触媒材料を添加した飼料、餌、水などを飼育施設内外に配置することにより付与するものであってもよい。このように、飼育施設内だけでなく、飼育施設外へも光触媒材料を付与することにより、ウイルス等の病原の侵入原因の一つである野鳥等の野生動物が光触媒を摂取することとなり、その排泄物中の病原が光触媒により分解除去される。その結果、野鳥の糞などを媒介とする家畜や魚介類への病原への感染を効果的に抑制することができる。
また、本発明の病原の感染防止方法においては、光触媒材料が、病原と接触可能に、樹脂、セラミックス、ガラス、不織布、織布、紙、金属などの保持部材により保持されているのが好ましい。保持部材については、後に詳細に説明する。
−光触媒−
前記光触媒としては、光の照射により活性化されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光触媒の形態としては、特に制限はなく、その形状、大きさ、比重等については適宜選択することができるが、例えば、粒子状(粒状)、粉状、多孔質固形状、などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記病原との接触効率に優れる点で、粒子状(粒状)、粉状であるのが特に好ましい。
また、前記光触媒は、更に表面に凹凸を有する、例えば、イガグリ形状であるのが好ましい。この場合、前記光触媒の表面積が拡大し、前記病原との接触効率をより向上させることができる。
前記光触媒の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒の表面積を拡大して病原との接触効率を向上させることができ、飲み水や飼育用水への分散性が向上する観点から、粒子径が100μm以下が好ましい。
前記粒子径が、100μmを超えると、光触媒の表面積をあまり多くすることができず、病原との接触性が低下したり、飲み水や飼育用水への分散性が低下したり、家畜等が摂取する際に、ざらついて違和感を感じることがある。
なお、家畜等の飼料や餌に添加する際は、100μm超でもよいが、あまり大きすぎると、家畜等が摂取する際に、食感や味に違和感を感じることがある。
前記光触媒の比重としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記のように飲み水等に分散させる際などは、小さいほど好ましく、前記水分散体中で沈降することなく、浮遊可能であるのが好ましい。
前記光触媒粉体の粒度分布(粒子径分布)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粒度分布がシャープである(狭くなる)程、前記光触媒を前記水中に、均一に分散させることができる。
前記光触媒の光触媒活性の発現に必要な光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記家畜等の飼育が、太陽光や蛍光灯照射条件下で主に行なわれるものである点で、紫外光乃至可視光等の広帯域の光に対して吸収性を示し、光触媒活性を発現可能であるのが好ましい。
前記光触媒粉体の具体的な材質乃至組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光触媒活性(光触媒能)を有するアパタイトなどが特に好適に挙げられる。該光触媒が、光触媒活性を有するアパタイトであると、該アパタイトの優れた吸着特性により、ウイルス等の病原を効率的に吸着して分解することができる。特に、飼料や飲み水とともに体内に摂取された際には、光触媒アパタイトが病原を吸着して排泄物とともに外部に排出することができ、病原が体内に留まるのを抑制することができる。そして、前記排泄物に光を照射することにより、光触媒アパタイトに吸着された病原が効率的に分解除去される点で有利である。その結果、排泄物による病原の感染拡大を効果的に防止するだけでなく、病原が体内に侵入した家畜等の感染をも抑制できるとともに、感染した場合でも、その回復を助けることができる。
これらの光触媒の中でも、光触媒活性を有するアパタイトと、可視光吸収性金属原子とを少なくとも含んでなるものが好ましく、更に紫外光吸収性金属原子を含んでなるものがより好ましい。前記光触媒が、前記可視光吸収性金属原子を含んでなる場合には、蛍光灯下等の日常使用条件下での使用に好適な点で有利であり、前記紫外光吸収性金属原子を更に含んでいると、太陽光等の紫外光を含む光の照射条件下での使用に好適な点で有利である。
なお、本発明においては、前記光触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光触媒活性(光触媒能)を有するアパタイトとしては、光触媒活性を有する限り特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子(以下、光触媒活性を発現可能な金属原子と称することがある。)を有してなるものなどが好適に挙げられる。前記アパタイトが該光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有すると、該アパタイトに光が照射されると、該光触媒活性を有するのに必要な金属原子の作用により該アパタイトが活性化され、該アパタイトの表面に吸着しているウイルス等の病原(分解対象物)から電子を奪い取ることができ、該病原菌を酸化し、分解させることができる。
前記アパタイトとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表されるもの、などが好適に挙げられる。
前記一般式(1)において、Aは、金属原子を表し、該金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ユウロピウム(Eu)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、などが挙げられる。これらの中でも、吸着性に優れる点で、カルシウム(Ca)が特に好ましい。
Bは、リン原子(P)及び硫黄原子(S)のいずれかを表し、これらの中でも、生体親和性に優れる点で、リン原子(P)が好ましい。なお、本発明の防疫剤に含まれるリンを含む光触媒粉体が、当該アパタイトである場合には、前記Bは、リン原子(P)となる。この場合も、Bが硫黄原子(S)であるアパタイトを併用してもよい。
Oは、酸素原子を表す。
Xは、水酸基(OH)、CO、及びハロゲン原子のいずれかを表し、これらの中でも、前記Aの金属原子と共に金属酸化物型の光触媒性部分構造を形成可能な点で、水酸基(OH)が特に好ましい。なお、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、などが挙げられる。
m、n、z、及びsは、整数を表し、例えば、電荷バランスが良好な点で、mは、8〜10が好ましく、nは、3〜4が好ましく、zは、5〜7が好ましく、sは、1〜4が好ましい。
前記一般式(1)で表されるアパタイトとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト若しくはクロロアパタイト、又は、これらの金属塩、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム、などが挙げられる。これらの中でも、上記一般式(1)における、Xが水酸基(OH)であるハイドロキシアパタイトが好ましく、上記一般式(1)における、Aがカルシウム(Ca)であり、Bがリン原子(P)であり、かつXが水酸基(OH)であるカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)、即ち、Ca10(PO)(OH)が特に好ましい。
前記カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)は、カチオンに対してもアニオンに対してもイオン交換し易いため、ウイルス等の病原(分解対象物)に対する吸着特性に優れ、特にタンパク質等の有機物に対する吸着特性に優れており、加えて、本発明での分解対象物である病原に対する吸着特性にも優れ、これらの家畜等への侵入又は増殖を阻止乃至抑制し得る点で好ましい。
前記アパタイトの前記光触媒材料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、85〜97mol%であるのが好ましく、85〜90mol%であるのがより好ましい。
前記アパタイトの含有量が、85mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が十分でないことがあり、97mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒の前記病原(分解対象物)に対する吸着特性や光触媒活性などが低下することがある。
なお、前記アパタイトの前記光触媒材料における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子としては、光触媒中心として機能し得る限り特に制限はなく、光触媒活性を有するものとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光触媒活性に優れる点で、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、鉄(Fe)、などから好適に選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。これらの中でも、特に前記光触媒活性(光触媒能)に優れる点で、チタン(Ti)が好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒における全金属原子に対し、5〜15mol%であるのが好ましく、8〜12mol%であるのがより好ましい。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の含有量が、5mol%未満であると、前記光触媒の光触媒活性が十分でないことがあり、15mol%を超えても、それに見合う効果が得られず、また、該光触媒の分解対象物に対する吸着特性や光触媒活性等が劣化することがある。
なお、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子が、前記アパタイトの結晶構造を構成する金属原子の一部として該アパタイトの結晶構造中に取り込まれる(置換等される)ことによって、該アパタイトの結晶構造内に、光触媒機能を発揮し得る「光触媒性部分構造」が形成される。
このような光触媒性部分構造を有する前記アパタイトは、光触媒活性を有し、また、アパタイト構造部分が吸着特性に優れ、光触媒活性を有する公知の金属酸化物よりも、病原(分解対象物)に対する吸着特性に優れるため、前記病原菌の分解作用、抗菌作用、前記病原菌の増殖阻止乃至抑制作用、更には、防汚作用などにも優れる。
前記光触媒活性を有するアパタイトとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記光触媒活性を有するアパタイトの市販品としては、例えば、前記カルシウム・チタンハイドロキシアパタイトでは、太平化学産業株式会社製の商品名「PCAP−100」などが好適に挙げられる。図1に、該「PCAP−100」の二次粒子の電子顕微鏡写真を示す。該写真によれば、ナノオーダーの微細な一次粒子が凝集して、球状の二次粒子が形成されている。
前記可視光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、波長400nm以上の光に対し、吸収特性を有するもの、などが好適に挙げられ、具体的には、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)から選択される少なくとも1種などがより好ましく、前記光触媒の光触媒活性の状態を目視にて視認可能にする観点からは、その光触媒活性の状態により、淡黄色から淡青色へと、更に淡青色から濃青色へと変色可能なクロム(Cr)が好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全金属原子に対し、0.001〜1mol%であるのが好ましく、0.01〜1mol%がより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒の可視光の吸収能が十分でないことがあり、1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒の前記病原菌(分解対象物)に対する吸着性能が低下等してしまうことがある。
なお、前記可視光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記紫外光吸収性金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒の可視光吸収性及び紫外光吸収性を飽和させない点で、タングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるのが好ましい。これらは、前記光触媒中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
前記紫外光吸収性金属原子の含有量としては、全金属原子に対し、0.001〜0.1mol%であるのが好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の含有量が、0.001mol%未満であると、前記光触媒の紫外光の吸収能が十分でないことがあり、0.1mol%を超えてもそれに見合う効果が得られず、前記光触媒の前記病原菌(分解対象物)に対する吸着性能が低下したり、可視光の吸収能が低下等してしまうことがある。
なお、前記紫外光吸収性金属原子の前記光触媒における含有量は、例えば、ICP−AESによる定量分析を行うことにより測定することができる。
前記光触媒においては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子と、前記紫外光吸収性金属原子と、前記可視光吸収性金属原子との含有量の合計としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15mol%以下が好ましく、3〜15mol%がより好ましい。
前記含有量の合計が、15mol%を超えてもそれに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
前記光触媒の具体例としては、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子がチタン(Ti)であり、前記アパタイトがカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP):Ca10(PO)(OH)であり、前記可視光吸収性金属原子がクロム(Cr)であるものが好ましく、更に、前記紫外光吸収性金属原子を含み、該紫外光吸収性金属原子がタングステン(W)及びバナジウム(V)の少なくともいずれかであるものがより好ましい。
このような光触媒は、前記病原(分解対象物)の吸着性能に優れ、また、前記光触媒が前記紫外光吸収性金属原子も含む場合には、可視光のみならず紫外光をも吸収可能であり広帯域な光吸収性を示し、光の利用効率に優れ、各種光の照射条件下、例えば、太陽光照射条件下における用途に好適に使用可能である。そして、該光触媒は、可視光及び紫外光のいずれを照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく、長期間にわたって優れた光触媒活性を示し、特に紫外光を長期間にわたって照射した場合においても光触媒活性が飽和することがなく優れた光触媒活性(光触媒能)を維持可能な点で有利である。
前記光触媒の構造としては、例えば、単層構造、積層構造、多孔質構造、コア・シェル構造、などが挙げられる。
なお、前記光触媒の同定・形態等の観察は、例えば、TEM、XRD、XPS、FT−IR等に行うことができる。
前記光触媒活性を有するアパタイトの二次粒子の粒子径としては、1〜10μmが好ましい。
光触媒活性を有するアパタイトの一次粒子(単結晶)としては、10nm〜1μmの粒子径分布を有するのが好ましい。
前記光触媒を家畜の飼料や魚介類の餌に添加する場合は、その含有量としては、90質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。該含有量が、90質量%超であると、食感や味などの嗜好性が低下し、家畜や魚介類が好んで摂取しにくくなることがある。
また、光触媒を飲み水や飼育用水に分散させる場合は、固形分含有量が30質量%以下となるように分散させるのが好ましく、1%質量以下となるよう分散させるのがより好ましい。固形分含有量が、30質量%超であると、粘度が高くなって、飲み水や飼育用水として適さないものとなることがある。なお、飲み水や飼育用水が濁って外観が低下したり、水の味が変化して嗜好性が低下するのを防ぐために、1質量%以下とするのが好ましい。
前記光触媒は、公知の方法に従って製造することができ、例えば、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、上述した可視光吸収性金属原子と、更に必要に応じて上述した紫外光吸収性金属原子とをドープさせることにより製造することができる。
前記ドープの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、置換、化学結合、吸着などが挙げられるが、これらの中でも、反応の制御が容易であり、ドープされた後で前記可視光吸収性金属原子等が脱離等することがなく、これらを前記光触媒中で安定に保持させることができる点で、置換が好ましい。
前記置換の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光触媒活性を有するアパタイトとして、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを用いた場合、該金属原子の少なくとも一部を、前記可視光吸収性金属原子等により置換させる態様、などが好適に挙げられる。この態様の場合には、前記可視光吸収性金属原子等が、前記アパタイトに脱落不能に保持される点で有利である。
前記可視光吸収性金属原子等による置換の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換、などが好適に挙げられる。該置換がイオン交換の場合には、置換効率に優れる点で有利である。
前記ドープの具体的な方法、即ち前記光触媒活性を有するアパタイト中への前記可視光吸収性金属原子等のドープの具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記可視光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させることにより行う浸漬法、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの原料と、前記可視光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中で、該原料と該可視光吸収性金属原子等を共沈させる共沈法、などが好適に挙げられる。
なお、前記水溶液は、静置しておいてもよいが、攪拌した方が前記置換が効率的に行われる点で好ましい。なお、該攪拌は、公知の装置、手段を用いて行うことができ、例えば、マグネティックスターラーを用いてもよいし、攪拌装置を用いてもよい。これらの方法の中でも、簡便に操作可能な点で、浸漬法がより好ましい。
なお、前記浸漬法においては、上述のように、前記可視光吸収性金属原子を含む化合物等を溶解させた(共存させた)水溶液中に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを浸漬させてもよいし、逆に、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトを分散させた水溶液中に、前記可視光吸収性金属原子等を含む化合物を溶解させてもよい。
また、上述の製造例では、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いているが、これに代えて、上述したアパタイトと、上述した光触媒活性を有するのに必要な金属原子とを出発物質として用いて、前記可視光吸収性金属原子等のドープと同時に、あるいはそれに先立って、前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を、前記アパタイトにドープさせてもよい。この場合には、前記可視光吸収性金属原子等のドープと、前記光触媒活性を有するアパタイトの形成とを同時に行うことになり、あるいは、前記光触媒活性を有するアパタイトを形成してから、次に、前記可視光吸収性金属原子等のドープを行うことになる。
なお、前記光触媒活性を有するアパタイトを出発物質として用いる態様の場合には、予めNiがドープされているカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を、前記光触媒活性を有するアパタイトとして好適に使用することができる。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイトの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.3〜1.0質量%が好ましく、0.4〜0.6質量%がより好ましい。
前記アパタイトの濃度が、0.3質量%未満であると、光触媒活性が低下することがあり、1.0質量%を超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って光触媒活性が低下することがある。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記可視光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−4〜1×10−3Mが好ましく、1×10−4〜5×10−4Mがより好ましい。
前記可視光吸収性金属原子の濃度が、1×10−4M未満であると、可視光応答性が低下することがあり、1×10−3Mを超えても、それに見合う可視光応答性の向上効果が得られず、却って可視光応答性が低下することがある。
前記ドープの際の前記水溶液中での前記紫外光吸収性金属原子の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1×10−3〜1×10−2Mが好ましく、9×10−3〜1×10−2Mがより好ましい。
前記紫外光吸収性金属原子の濃度が、1×10−3M未満であると、紫外光に対する光触媒活性が低下することがあり、1×10−2Mを超えても、それに見合う光触媒活性の向上効果が得られず、却って紫外光に対する活性が低下することがある。
前記ドープの際における、前記水溶液中に浸漬させる前記可視光吸収性金属原子の形態としては、該水溶液中への溶解容易性、該水溶液中での該紫外光吸収性金属原子の濃度調整の容易性等の点で、該可視光吸収性金属原子の塩又は水和物の形態であるのが好ましい。
該塩又は水和物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記可視光吸収性金属原子が、クロム(Cr)及びニッケル(Ni)である場合には、これらから選択される少なくとも1種を含む塩であるのが好ましく、塩化物や硫酸塩では光触媒活性を低下させることがあるため、硝酸塩やアンモニウム塩であるのが特に好ましい。
前記ドープを行う反応系としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、液中、空気中、などで行うことができるが、液中で行うのが好ましい。
この場合、該液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水乃至水を主体にした液が好ましい。
なお、該液を収容する容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ラージスケールであれば混合器、攪拌器などが挙げられ、スモールスケールであればビーカーなどが好適に挙げられる。
前記ドープの際の条件としては、特に制限はなく、温度、時間、圧力等については目的に応じて適宜選択することができる。
前記温度としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、通常、0℃〜100℃程度であり、室温(20℃〜30℃)が好ましい。前記時間としては、特に制限はなく、材料の種類や量比に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、10秒〜30分間程度であり、1〜10分間がより好ましい。前記圧力としては、特に制限はなく、材料の種類や量比等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、通常、大気圧であるが好ましい。
なお、前記光触媒における、前記光触媒活性を有するのに必要な金属、前記可視光吸収性金属原子等の量は、これらの添加量(M)、あるいは前記条件を適宜調整することにより、所望に制御することができる。
前記焼成は、前記光触媒活性を有するアパタイト中に、前記可視光吸収性金属原子等をドープさせた後(前記ドープ工程の後)、ドープが完了した該アパタイトを600〜800℃で焼成する工程である。
前記焼成の温度が、600℃未満であると、光触媒活性が最大とならないことがあり、800℃を超えると、分解が生ずることがある。
前記焼成の条件、例えば、時間、雰囲気、圧力、装置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記時間としては、前記ドープが完了したアパタイトの量等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、1時間以上が好ましく、1〜2時間がより好ましい。前記雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、大気雰囲気などが挙げられるが、大気雰囲気が好ましい。前記圧力としては、例えば、大気圧などが挙げられる。前記装置としては、公知の焼成装置を使用することができる。
前記焼成を行うことにより、前記可視光吸収性金属原子等をドープした、前記光吸収活性を有するアパタイトの結晶性を高めることができ、前記光触媒における光触媒能(吸着特性、光触媒活性などを含む)をより高めることができる。
ここで、前記光触媒の製造方法の一例について説明する。前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により共沈法で行う場合には、まず、脱炭酸ガス処理をした純水に、例えば、前記アパタイトとしてカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHAP)の硝酸カルシウムの水溶液と、該CaHAPに前記光触媒活性を有するのに必要な金属としてチタンをドープさせるための、該チタンを含む硫酸チタンの水溶液と、前記可視光吸収性金属原子であるクロムを含む硝酸クロムの水溶液と、前記紫外光吸収性金属原子であるタングステン(W)を含む12タングストリン酸n水和物の水溶液とを所定量で混合する。次いで、得られた混合物に燐酸を添加し、更にアンモニア水を添加してpHを9に調整する。得られた懸濁液を、100℃にて6時間エージング(熟成、結晶成長)し、濾過する。濾別した沈殿を純水で洗浄し、乾燥する。その後、650℃まで1時間かけて昇温して焼成する。以上により、前記紫外光吸収性原子としてバナジウム(V)を、前記可視光吸収性金属原子としてクロム(Cr)を、それぞれドープしたTiHAP粉体(光触媒)が製造される。
また、前記ドープを前記置換で行う場合、具体的には前記置換をイオン交換により浸漬法で行う場合には、まず、前記可視光吸収性金属原子としてクロムを含む硝酸クロム(III)九水和物を純水に溶解し、硝酸クロム水溶液を調製する。ビーカーに前記光触媒活性を有するのに必要な金属原子(チタン)を有してなるアパタイトとしてのカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP)を秤量し、そこに前記硝酸クロム水溶液を添加する。この混合液をマグネティックスターラーで5分間攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥することにより、前記可視光クロムをドープさせたTiHAP粉体を得た。次に、前記紫外光吸収性金属原子としてのバナジウムを含むバナジン酸アンモニウムを純水に溶解し、バナジウム酸アンモニウム水溶液を調製した。ビーカーに上記クロムドープTiHAPを秤量し、前記バナジウム酸アンモニウム水溶液を添加する。この混合溶液をマグネティックスターラーで攪拌した後、濾紙でアスピレータを使用して吸引濾過を行い、純水で洗浄し、100℃のオーブンで2時間乾燥した。その後、マッフル炉で650℃にて1時間の焼成(大気雰囲気)を行った。以上により、前記可視光吸収性金属原子であるクロム及び前記紫外光吸収性金属原子であるバナジウムをドープさせたTiHAP粉体(光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有してなるアパタイト)からなる光触媒が製造される。
−保持部材−
前記光触媒は、前記病原と接触可能に保持部材に保持されていてもよい。該保持部材にて、飼育用具や飼育施設を形成することにより、例えば、飼育用具に付着した病原が、光触媒により分解除去される。そのため、該飼育用具による病原の外部からの持ち込み及び外部への持ち出しが防止される。また、飼育施設内への病原の侵入が防止されるとともに、人体、メガネ、衣服、靴、飼育用具などに付着して、病原が飼育施設内に侵入した場合でも、施設内部での病原の増殖を防ぐことができる。そのため、病原の感染拡大を抑制することができる。
前記飼育用具としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、バケツ、シャベル、飼料箱、手袋、長靴、卵ケース等が挙げられる。また、飼育者が使用する車両や、衣服、メガネ、なども、光触媒の保持部材で形成してもよい。
前記飼育施設としては、前記鶏舎、豚舎、牛舎、水槽などの施設は勿論、農場、養鶏場、養豚場、魚介類の養殖場などが挙げられ、これらに用いられる壁、床、柵、などを前記保持部材で形成するのが好ましい。
また、光触媒の保持部材で飼育施設内の一部、好ましくは全体を被覆することにより、病原の分解能を高めて、感染拡大を効果的に抑制することができる。
また、保持部材で換気フィルターを形成するのが好ましく、外部から飼育施設内に侵入しようとする病原が、換気フィルターによって捕捉され、該換気フィルターに付着した光触媒材料によって分解除去される。その結果、病原の侵入を効果的に抑制することができる。なお、光触媒材料が、光触媒アパタイトを含む場合には、病原の吸着力に優れるため、分解能が高まるとともに、夜間においても病原を確実に吸着して、光が照射された際に活性化して吸着した病原を分解除去するので、病原の侵入を、より効果的に抑制することができる。また、交換等も容易で操作性に優れ、廉価な実施が可能となる。
また、魚介類の飼育用の水槽に用いる水の循環装置のフィルターとして使用することもでき、水の循環及びろ過の際に、水中の病原をフィルターで捕捉して、光触媒により分解することができる。
また、魚介類を観賞目的で飼育する場合、光触媒の保持部材を用いて、玉砂利やビーズを形成したり、擬似サンゴを形成し、これらを水槽内に収容すれば、水中の病原の分解除去だけでなく、装飾的な効果が得られ、美観にも優れるものとなる。このような保持部材の材料としては、後述のガラス、セラミック、樹脂などが好適である。
また、前記保持部材及び前記光触媒は、前記光触媒が、前記保持部材に一体化されてなるのが好ましい。従来の光触媒の材料である酸化チタンでは、前記樹脂と直接一体化すると、該酸化チタンの光触媒効果により、前記樹脂自身を劣化させてしまうため、一体化して成形することができなかった。しかし、本発明における前記光触媒(光触媒チタンアパタイト等)では、前記樹脂と直接一体化しても、該樹脂自身を殆ど劣化させることがないため、一体化して形成し使用することができる。
前記保持部材は、前記光触媒を保持(収容)することができる限り、その形状、構造、大きさ、比重、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記保持部材の形状としては、例えば、球状、筒状(円筒、角筒など)、管状(円管、角管など)、板状、シート状などが好適に挙げられる。
なお、前記形状が筒状、管状等である場合、これらは、直線状であってもよいし、曲線状であってもよく、あるいはこれらの結合形状であってもよい。
前記保持部材の構造としては、中空構造であってもよいし、中実構造であってもよく、例えば、前記中空構造である場合、単一空間構造、空間が複数に分割された複数空間構造、などが挙げられ、また、単一の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材が組み合わされた構造であってもよい。
前記保持部材の材質(材料)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒が吸収する波長域の光に対する透過率が高い材料であるのが好ましく、更に透明であるのがより好ましく、更に無色透明であるのが特に好ましいが、具体的には、樹脂、セラミックス、ガラス、不織布、織布、紙、金属などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、成形性、低コスト性等の観点からは、樹脂が好ましく、前記光触媒が、前記保持部材と一体化されて形成される場合には、樹脂が特に好ましい。
また、換気フィルターとして用いる場合には、不織布、織布が特に好ましい。
なお、前記光触媒保持部の材質(材料)が前記樹脂である場合には、該樹脂が適宜選択した公知の添加剤等を含有していてもよい。
この場合、該添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填材、難燃剤、抗菌剤、可塑剤、などが挙げられる。
前記保持部材の成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該保持部材が前記樹脂で形成されている場合には、例えば、フィルム成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形、熱成形、流動成形、積層成形、などが挙げられる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、合成樹脂、生分解性樹脂、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記合成樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、などが好適に挙げられ、これらの具体例としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン樹脂、変性メチルメタクリレート−ブタジエン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、透明性等の点で、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、などが好ましい。
前記生分解性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、天然物由来生分解性樹脂、化学合成生分解性樹脂、その他のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記天然物由来生分解性樹脂としては、例えば、キチン、キトサン、アルギン酸、グルテン、コラーゲン、ポリアミノ酸、バクテリアセルロース、プルラン、カードラン、多糖類系副産物、デンプン、変性デンプン、微生物産生ポリエステル(バイオポリエステル)、などが挙げられる。
前記化学合成生分解性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族・芳香族ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、などが挙げられる。前記脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ3−ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ3−ヒドロキシバレエート等のポリヒドロキアルカノエート系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)系、ポリエチレンサクシネート(PES)系、ポリグリコール酸(PGA)系、ポリ乳酸(PLA)系、などが挙げられる。
前記その他のものとしては、例えば、脂肪族ポリエステルのカーボネート共重合体、脂肪族ポリエステルとポリアミドとの共重合体、などが挙げられる。
前記生分解性樹脂の中でも、成形性・耐熱性・耐衝撃性等に優れる点で脂肪族系ポリエステル樹脂が好ましく、その中でもポリ乳酸(PLA)系脂肪族系ポリエステル樹脂がより好ましく、環境面の観点からはポリ乳酸が特に好ましい。
前記ポリ乳酸(PLA)系脂肪族系ポリエステル樹脂としては、例えば、乳酸、りんご酸、グルコース酸等のオキシ酸の重合体、これらの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂が特に好適に挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸系脂肪族系ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合によるラクチド法、乳酸直接脱水縮合法、などが挙げられる。また、製造時に使用する触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、アルミニウム化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、錫、アルミニウム化合物などが好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトネートがより好ましい。
前記光触媒が、前記保持部材に一体化されてなり、該保持部材が樹脂で形成される場合、該光触媒と該保持部材とを一体化して形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記保持部材の材料としての前記樹脂に前記光触媒を添加して練りこみ、例えば、プレートを成形した後、該プレートを所望の形状及び大きさに切断することにより形成することができる。
この場合、前記保持部材の材料としての前記樹脂に対する前記光触媒の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光触媒の添加量が多くなるほど、前記植物栽培用液中に含まれる前記有害成分の分解除去能に優れるが、前記保持部材の成形性が低下するため、成形可能な程度に添加量を多くするのが好ましく、例えば、30〜80質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
本発明の病原の感染防止方法によると、光触媒による病原の優れた分解能によって、家畜の飼育場、魚介類の養殖場への病原の侵入、及び該病原による感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能で、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能な病原の感染防止方法を提供することができる。特に、光触媒が動物の体内に取り込まれて排泄物とともに排泄され、該排泄物中の病原を分解することができるので、野鳥の糞などによる病原の侵入及び感染を効果的に抑制することができるとともに、病原に感染した家畜や魚介類が存在しても、その糞などを媒介した病原の感染拡大を抑制乃至遅延させることができる。また、病原に感染した家畜等の病気からの回復をも助けることができる。したがって、病原感染拡大による損失、特に、錦鯉などの高価な生物の病原の感染による多大な損失を回避することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<吸着性を有する光触媒材料>
前記光触媒として、光触媒チタンアパタイト(光触媒活性を有するのに必要な金属としてチタンを有してなるアパタイト)を用いた。
該光触媒チタンアパタイトとして、図1に示すカルシウム・チタンハイドロキシアパタイト(TiHAP;太平化学産業株式会社製、PCAP−100、平均粒子径3〜8μmの白色粉体)を用いた。
−鳥の伝染性気管支炎ウイルス感染実験−
(実施例1)
養鶏場内において、前記光触媒チタンアパタイトを30質量%添加した飼料と飲み水を100羽の鶏に与えた。更に、鶏舎内の換気ファンに、前記光触媒チタンアパタイトを5g/cmの割合で塗布した不織布製のフィルターを装着した。
前記条件で、前記100羽の鶏を1ヶ月間飼育したところ、4羽の鶏が伝染性気管支炎ウイルスに感染して死亡した。
(比較例1)
飼料及び飲み水に光触媒チタンアパタイトを添加せず、鶏舎内の換気ファンのフィルターに、光触媒チタンアパタイトを塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様に、100羽の鶏を1ヶ月間飼育したところ、10羽の鶏がウイルス感染が原因で死亡した。
前記実施例1及び比較例1の結果によれば、本発明の病原の感染防止方法を用いて飼育した実施例1では、従来に比べて、鶏の死亡率が40%(実施例1での死亡数/比較例1での死亡数×100)に低下したことがわかる。
−金魚の尾腐れ病の感染実験−
(実施例2)
水槽に金魚を49匹入れ、水の循環槽に、前記光触媒チタンアパタイトを5g/cmの割合で塗布した不織布製のフィルターを装着した。そして、ウイルスに感染した金魚を一匹投入して、水の交換をせずに2ヶ月間飼育したところ、10匹の金魚が尾腐れ病に感染した。
(比較例2)
循環槽のフィルターに、光触媒チタンアパタイトを塗布しなかったこと以外は、実施例2と同様に、50匹(一匹はウィルスに感染)の金魚を2ヶ月間飼育したところ、25匹の金魚が尾腐れ病に感染した。
前記実施例2及び比較例2の結果によれば、本発明の病原の感染防止方法により飼育した実施例2では、従来に比べて、金魚の尾腐れ病の感染率が40%に低下したことがわかる。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料を用いることを特徴とするウイルスの感染防止方法。
(付記2) 光触媒が、粒子径100μm以下の粉体である付記1に記載のウイルスの感染防止方法。
(付記3) 光触媒材料が、光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる付記1から2のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記4) 光触媒活性を有するアパタイトの二次粒子が、1〜10μmの粒子径を有する付記3に記載のウイルスの感染防止方法。
(付記5) 光触媒活性を有するアパタイトの一次粒子が、10nm〜1μmの粒子径分布を有する付記3から4のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記6) 光触媒材料が、家畜の飼料に添加される付記1から5のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記7) 光触媒材料が、家畜の飲み水に分散される付記1から6のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記8) 光触媒材料が、魚介類の餌に添加される付記1から7のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記9) 光触媒材料が、魚介類の飼育用水に分散される付記1から8のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記10) 光触媒材料が、飼育施設内及び飼育施設外の少なくともいずれかに付与される付記1から9のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記11) 光触媒材料が、ウイルスと接触可能に保持部材により保持された付記1から10のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記12) 光触媒材料が、保持部材に一体化されてなり、該保持部材が、樹脂、セラミックス、ガラス、不織布、織布、紙及び金属から選択される少なくとも1種で形成された付記11に記載のウイルスの感染防止方法。
(付記13) 保持部材により、飼育用具が形成された付記11から12のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記14) 保持部材により、飼育施設が形成された付記11から13のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記15) 保持部材により、飼育施設内部の少なくとも一部が被覆された付記11から14のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記16) 保持部材が、フィルターである付記11から15のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記17) 光触媒の含有量が、90質量%以下である付記1から16のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記18) 光触媒活性を有するアパタイトが、光触媒活性を有するのに必要な金属原子を有し、該金属原子が、チタン(Ti)である付記3から17のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記19) 光触媒活性を有するアパタイトが、カルシウムハイドロキシアパタイトCa10(PO(OH)である付記3から18のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記20) 紫外光を照射することを含む付記1から19のいずれかに記載のウイルスの感染防止方法。
(付記21) 吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料を含有し、家畜の飼料、家畜の飲み水、魚介類の餌、又は魚介類の飼育用水への添加、及び、家畜舎への散布の少なくともいずれかに用いられることを特徴とする病原の感染防止剤。
(付記22) 光触媒材料が、光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる付記21に記載の病原の感染防止剤。
(付記23) 吸着性を有する光触媒を少なくとも含む光触媒材料を含有することを特徴とする家畜用飼料乃至魚介類の餌。
(付記24) 光触媒材料が、光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる付記23に記載の家畜用飼料乃至魚介類の餌。
(付記25) 光触媒材料が、病原と接触可能に保持部材により保持されたことを特徴とする家畜乃至魚介類の飼育用具。
(付記26) 光触媒材料が、光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる付記25に記載の家畜乃至魚介類の飼育用具。
本発明のウイルスの感染防止方法は、光触媒によるウイルス等の病原の優れた吸着能及び分解能によって、家畜の飼育場、魚介類の養殖場への病原の侵入、及び該病原への感染と感染拡大を簡易かつ効果的に抑制することが可能であり、かつ、家畜、魚介類、人体への影響が少なく、環境保全をも実現可能となる。また、糞などの排泄物によるウイルス感染を効果的に防止することが可能となる。そのため、ウイルスによる感染、特に、高原病性鳥インフルエンザウイルスの感染を防止するために用いるのに好適である。
図1は、本発明で用いられる光触媒チタンアパタイトの一例で、その電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. 光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる光触媒材料を、家畜の飼料に添加することを特徴とする病原の感染防止方法。
  2. 光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる光触媒材料を、家畜の飲み水に分散させることを特徴とする病原の感染防止方法。
  3. 光触媒活性を有するアパタイトを少なくとも含んでなる光触媒材料を、魚介類の餌に添加させることを特徴とする病原の感染防止方法。
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