JP5076344B2 - 芳香族ジアミノ化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族ジアミノ化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニトリル化合物を固体触媒によって水素化してアミノ化合物を製造する方法に関するものである。
固体触媒を用いて芳香族ジニトリル化合物の水素化(接触水素化)により芳香族ジアミノ化合物を製造する方法は公知であり、多くの報告例が知られている。
固体触媒として最も報告例が多いものはニッケルまたはコバルト触媒である (特許文献1〜3参照) 。これらの金属は卑金属であるため貴金属に比べて水素化活性が低く、より高温高圧の厳しい反応条件を必要とするため好ましくない (非特許文献1、2参照) 。また卑金属触媒の中でもスポンジ状(商標Raney)ニッケルまたはコバルト触媒は穏和な反応条件下で使用できるとされているが(特許文献4、5参照)、該触媒の使用にあたっては薬液による活性化工程を必要とすること、空気等によって発火し易いこと、触媒の成型性に劣ること、失活触媒の再生が困難なこと等の多くの欠点を有しており好ましくない。
一方、高い水素化活性を持ち、取り扱いの容易な貴金属触媒としてはパラジウム、白金、ロジウム等の例が知られている (特許文献6、7参照)。ロジウムやルテニウム等を用いてシアノ基と同時に芳香環を水素化する特許などもあり(特許文献8、9参照)、貴金属元素によって芳香族ジアミンの生成しやすさや最適な反応条件に違いがあり、特に有機溶媒下で水素化反応を行う場合にはパラジウムの使用が好ましい(特許文献7、13参照)。貴金属触媒の形態としては金属利用率を高めるため触媒担体上に担持した触媒を用いることが一般的であり、特に成型された担持触媒を用いれば反応物との分離や反応系からの回収も容易になる利点があり好ましい。逆にスポンジ状貴金属触媒(特許文献10参照)や貴金属ブラック触媒のような非担持型触媒では非効率であるのみならず、分離や回収も困難であるなど工業的に好ましいものとは言えない。
上記のように貴金属担持触媒を用いた水素化反応は公知であるが芳香族ジアミノ化合物の収率、連続反応時の触媒寿命に関して充分な反応成績を開示した例は見あたらなかった。
分子内に複数個のニトリル基を有する化合物の接触水素化反応においては高沸点副生物が生成し易く、これが触媒失活原因であることが知られている。高沸点副生物の抑制のために反応溶媒の全部または一部に液体アンモニアを用いることができる。(特許文献1〜3参照) これによって良好な反応選択性が得られる反面、液体アンモニア溶媒が触媒金属成分を溶出し触媒性能が不安定になること、液体アンモニアが高い蒸気圧を持つために高圧装置が必要になること、更に液体アンモニアを蒸発回収〜循環させるためにプロセスが複雑になりコストがかかるといった欠点も有している。別法としてスポンジ状触媒の系において液体アンモニアの代わりに低級アルコールと無機アルカリ化合物とを組み合わせたものを反応溶媒として用いる方法も提案されている (特許文献4〜5) 。しかし、この系ではスポンジ状触媒を用いる不利に加え反応工程以降で無機アルカリ化合物の中和や除去などの処理操作が追加的に必要となり不利である。
こういった不利な反応条件を回避できれば工業的な意義は極めて大きいものの、スポンジ状触媒−低級アルコール−無機アルカリ化合物の系を除いて、反応溶媒に全く液体アンモニアを含まずに充分な芳香族ジアミノ化合物の収率を与えた開示例はなく、特に連続反応において充分な触媒寿命を開示した例も見あたらなかった。
芳香族ジニトリル化合物の接触水素化する際に環状二級アミン化合物の存在下で反応を行う公知文献としては以下の特許が知られている。特許文献11は塩基、アルミナ、水存在下でのスポンジ状ニッケル及びコバルト触媒を用いた接触水素化反応について開示しており、系内に付加的に有機溶媒があって良く、その例としてジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどと共にピペリジン、ピロリジンが記載されている。特許文献12はスポンジ状コバルト触媒を用いた接触水素化反応について開示しており、反応に不活性な有機溶媒としてジエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、アニリンなどと共にピペリジン、ピロリジンが記載されている。これらはスポンジ状卑金属触媒に関する文献であって貴金属担持触媒に言及するものではない。また環状二級アミン化合物であるピペリジン、ピロリジンが直鎖二級アミンのジエチルアミン、直鎖三級アミンのトリエチルアミン、芳香族性のアニリン、ピリジンなどと同列に記載されており環状二級アミン化合物を用いることによる特段の効果の記載もなかった。
先に述べたように貴金属担持触媒、特にパラジウム担持触媒を用いた芳香族ジニトリル化合物の接触水素化反応の例は公知であって幾つかの先行特許があるが、これらに記載されている芳香族ジアミノ化合物の収率は工業的に満足できる値ではなく、連続反応を行った時の触媒活性の持続性に関しても充分と言えるものではなかった。また、先行文献に環状二級アミン化合物共存下での接触水素還元の挙動に関する記載も認められなかった。
特公昭53−20969号公報 英国特許第1149251号明細書 英国特許第852972号明細書 特開昭54−41804号公報 特公昭38−8719号公報 特開昭56−63944号公報 米国特許第4482741号明細書(実施例1,2) 特開昭51−68540号公報 米国特許第4070399号明細書 特表2004−516308号公報 英国特許第1164354号明細書 仏国特許発明第2248265号明細書 Practical Catalytic Hydrogenation,Morris Freifelder (1971) JohnWiley&Sons,Inc.,Chapter12 Nitriles p240 Studies in Surface Science and Catalysis,vol27,Catalytic Hydrogenation, L.Cerveny (1986) Elsevier,Chaper4 Hygrogenation of Nitriles p105-144.
本発明の目的は、従来技術における上述したような課題を解決し、より穏やかな反応条件下に簡便な方法によって芳香族ジニトリル化合物を水素化し、効率よく芳香族ジアミノ化合物を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、芳香族ジニトリル化合物を固体触媒の存在下に水素化する方法について鋭意研究を重ねた結果、環状二級アミン化合物の存在下で反応を行うことにより効率良く芳香族ジニトリル化合物から芳香族ジアミノ化合物が得られることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明は反応溶媒中で貴金属担持触媒と水素の存在下に芳香族ジニトリル化合物を水素化して芳香族ジアミノ化合物を製造するに際し、環状二級アミン化合物の存在下で反応を行うことを特徴とする芳香族ジアミノ化合物の製造方法に関するものである。
以下に請求項に記載した各構成要件について説明する。
本発明において原料として用いられる芳香族ジニトリル化合物は芳香環に直接結合した2つのシアノ基を分子内に有する芳香族化合物であり、具体例にはフタロニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、1,5−ジシアノナフタレン、1,8−ジシアノナフタレン、2,6−ジシアノナフタレン、2,7−ジシアノナフタレン、4,4’−ジシアノビフェニル等である。また、シアノ基の他に反応に関与しない置換基を含んでいてもよく、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等が一つ以上置換された上記の芳香族ジニトリル化合物も用いることができる。
これらの化合物の持つ2つのシアノ基が還元されてアミノメチル基へ転化されたものが本発明の方法による目的物の芳香族ジアミノ化合物であり、例えばイソフタロニトリルからはメタキシリレンジアミン(以下、MXDAと称す場合がある)が得られる。MXDAは合成樹脂、界面活性剤等の中間体または原材料として有用な化合物である。以下、原料をニトリル化合物、目的物をアミノ化合物と呼ぶ。
本発明における貴金属担持触媒は触媒担体上に貴金属元素が担持されたものが用いられる。ここで貴金属元素とは白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムを指す。これらの貴金属元素は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。本発明においては、パラジウムの使用が好ましく、パラジウムとルテニウムを併用することも好適に実施される。パラジウムとルテニウムを併用する際のルテニウムの量は、パラジウムに対して最大50モル%(原子数比(ルテニウム/パラジウム)として0.5以下)であり、好ましくは5〜20モル%である。貴金属担持触媒の調製法に制限はなく、従来公知な方法が用いられる。最も一般的な方法は触媒担体上に貴金属化合物の溶液を接触、担持させた後に貴金属まで還元する担持方法である。
本発明において、貴金属担持に用いられる出発物質に制限はないが、貴金属化合物の溶液から担持する場合には水や有機溶媒などに可溶な貴金属化合物が用いられる。例としては貴金属の塩化物、テトラクロロ塩類、ヘキサクロロ塩類のようなハロゲン化物;ジアンモニウム塩、テトラアンモニウム塩類のようなアンモニウムまたはアルキルアミン錯塩;硝酸塩、酢酸塩、カルボニル錯塩、ニトロシル錯塩等が挙げられる。
例えば貴金属がパラジウムであれば塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム塩類、テトラアンミンパラジウム塩、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム等であり、溶解度が高く工業的に利用しやすい塩化パラジウムが最も好ましい。塩化パラジウムを塩化ナトリウム水溶液、希塩酸、アンモニア水等に溶解して用いることができる。また、貴金属がルテニウムであれば塩化ルテニウム、ニトロシル塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ニトロシル硝酸ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム塩、ルテニウムアセチルアセトネート、ルテニウムカルボニル等を用いることができ、特にニトロシル塩化ルテニウムおよびニトロシル硝酸ルテニウムが好適に用いられる。
これらの貴金属化合物の溶液を触媒担体に接触、担持した後に、貴金属に還元して反応に供される。そのための還元剤や還元方法は従来公知なものが用いられ、例えばホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液、蟻酸ソーダ水溶液、ヒドラジン水溶液、次亜リン酸ナトリウム水溶液、水素化ホウ素ナトリウム水溶液等の還元剤含有溶液や水素ガス、一酸化炭素、メタノール蒸気等と言った還元性ガスと接触させる方法である。
前記触媒は追加的にニッケル、コバルト、鉄、銅、レニウム等の水素化能を有する遷移金属元素を一つ以上含んでいて良い。これらの金属元素の混合比率は、貴金属元素に対して追加される金属元素の総量で5〜50%モル比程度が好ましい。追加的な金属の出発物質、添加方法等に特に制限はなく従来公知な物質、方法を用いることができる。
本発明に用いられる触媒担体に制限はなく、従来公知の触媒担体を用いることができる。例としては活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、硫酸バリウム、ゼオライト等があり、これらの中ではアルミナおよびジルコニアが好ましい。
本発明に用いられる担持触媒の形状に制限はなく、例えば粉末状、球状成型品、円柱状成型品、円柱状押し出し成型品やそれらを破砕した形状のものが挙げられる。反応生成物との分離や貴金属成分の回収を効率的に行うためには成型された形状が好適である。
前記触媒中の貴金属担持量は0.05〜10wt%の範囲、好ましくは0.1〜5wt%の範囲である。本発明の触媒中の貴金属担持部位について制限はないが、貴金属を触媒担体外表面側に偏って“エッグシェル”型に担持されたものが好適に用いられる。このような“エッグシェル”型の貴金属担持触媒を製造するにあたっては公知の方法を用いることができ、例えば日本化学会誌1991,(4),p261〜268や、触媒調製化学p56,尾崎萃著,講談社刊1980年3月1日発行に記載された方法等を用いることができる。具体的には貴金属化合物を含む溶液に触媒担体を浸漬し、貴金属濃度、浸漬温度及び時間、pH等によって担持層厚みを制御する方法、貴金属化合物を含む溶液を乾燥した触媒担体に噴霧、乾燥させて外表面に担持する方法等である。この場合、貴金属担持部位が実質的に触媒担体の外表面から200μm以内の表層に存在することが好ましく、より好ましくは150μm以内の表層に存在するものである。これによって生成したアミノメチル基がメチル基へ水素化分解されることを抑制することができる。
本発明に用いられる環状二級アミン化合物は、シクロパラフィン環内の一つ以上のメチレン基(-CH2-)を二級アミノ基(-NH-)で置換した環構造を分子内に一つ以上有する化合物である。特に効果的なのが、該環構造が5または6員環である化合物であり、例としてはピロリジン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリンやこれらの化合物の窒素原子以外の部位がメチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で一つ以上置換されたものであり、これらの中から選ばれた二種類以上を任意の割合で混合して用いることもできる。これらの中では廉価で入手の容易なピロリジン、ピペリジンおよびピペラジンが好適に用いられる。
前記環状二級アミン化合物の使用方法は、ニトリル化合物が固体触媒表面上で水素化される反応系に共存する形であれば何ら制限はない。反応系に逐次または連続して供給して用いることが簡便である。この時には環状二級アミン化合物のみか、または反応溶媒等に溶解して供給することができる。
このようにして環状二級アミン化合物をニトリル化合物がアミノ化合物へ水素化される環境下に共存させると、驚くべきことにアミノ化合物の収量が増加するばかりでなく、連続反応においてアミノ化合物収量の経時劣化が著しく抑制されることが見出された。しかも、この効果は環状二級アミン化合物に固有のものであり直鎖脂肪族二級アミンや三級アミン、芳香族アミン類には認められないことも見出された。
本発明における原料ニトリル化合物は融点が高く、また蒸気圧が低いために反応溶媒に溶解して反応に供することが一般的である。本発明に用いられる反応溶媒としては原料のニトリル化合物を溶解し、且つ反応中にニトリル化合物よりも水素化を受けにくいものであれば何ら制限はなく従来公知なものを用いることができる。例えば液体アンモニアや、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒などを用いることができ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒である。またこれらの中から選ばれた二つ以上の溶媒を任意の比率で混合して用いることもできる。
液体アンモニア溶媒は反応選択性が良好である利点に対して、触媒金属成分を溶出し触媒性能が不安定になること、高い蒸気圧を持つために高圧装置が必要になること、蒸発回収〜循環させるためにプロセスが複雑になりコストがかかるといった欠点を有しており、その損益を勘案して選択する必要がある。これは液体アンモニア溶媒を全く用いずに水素化反応を行うことができれば、反応プロセスの建設コスト、運転コストの著しい削減が可能となり工業的な意義が極めて大きいことを示している。
液体アンモニアを含まずにN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれるアミド系溶媒でもアミノ化合物が得られるが、環状二級アミン化合物を共存させることにより、アミノ化合物収量の増加と共に触媒寿命の向上が可能となった。
反応溶媒中のニトリル化合物の濃度は、溶媒への個々のニトリル化合物の溶解度によって異なるが一般に0.5〜14wt%の範囲である。0.5wt%未満の濃度では空時収量が低下して経済的に好ましくなく、14wt%を超える濃度では縮合反応による副生物が多くなり好ましくない。環状二級アミン化合物をニトリル化合物溶液と共に反応器に供給する場合のニトリル化合物/環状二級アミン化合物の供給速度のモル比に特に制限はないが0.1〜5の範囲が好ましく、特に0.3〜2の範囲が好ましい。モル比が0.1未満では添加効果が顕著ではなく、5を超えても得られる効果は変わらず、また溶解度の制約からニトリル化合物を溶解させることが困難になり好ましくない。
本発明における水素化反応は従来公知な反応方式を用いることができ、回分方式でも流通方式でもよい。反応器の利用効率を高めるためには連続流通方式で反応を行うことが望ましい。また固体触媒は懸濁床、固定床いずれの方法も用いることができる。反応生成物との分離や貴金属の回収を容易にでき、高価な貴金属担持触媒の摩滅による消耗を防ぐ観点から固定床方式で用いる方が好ましい。これらのことから反応は成型された触媒を用いて固定床連続流通方式で行うことが最も望ましく、この場合には灌液流状態、気泡流状態で反応を行うことができ、原料液の流通方向は重力方法へ流通するダウンフロー、それとは逆方法へ流通するアップフローいずれでも良く、原料ガスの供給方向も原料液に対して並流、向流いずれでも良い。
反応温度は20〜180℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃の範囲である。これよりも反応温度が低いと水素化速度が充分に得られず、また高いと副反応が優位になって目的物の収量が低下するため好ましくない。
反応圧力は1.0〜20MPa. が好ましく、より好ましくは2.0〜10MPa.の範囲である。これよりも低いと水素化速度が充分に得られずに原料ニトリル化合物の転化率が低下し、高いと設備コストの上昇により経済的に好ましくない。
本発明に用いられる水素ガスは、特に精製されたものでなくとも通常工業的な水素化に使用されている品質で全く問題ない。また水素化反応が水素分圧に依存して促進されるため、用いられる水素ガスの純度は高い方が好ましいが、ヘリウム、アルゴン、窒素、メタン、アンモニア等の反応に不活性なガスと混合していても問題ない。水素ガス供給速度に特に制限はなく、量論量以上の水素ガスを反応器へ供給して反応器の下流側で気液分離した後に循環させて利用することが一般的である。
以下に、本発明の方法について実施例および比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
市販の球状アルミナ担体(BET表面積194m2/g,細孔容積0.49ml/g)を破砕して1.0〜1.4mmに整えたものに、塩化パラジウム−ニトロシル三塩化ルテニウム−塩化ナトリウム水溶液を添加し、担体上に金属成分を吸着させた。そこにホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液を注加して吸着した金属成分を瞬時に還元した。その後、イオン交換水により触媒を洗浄し、乾燥して0.4wt%パラジウム−0.04wt%ルテニウム担持アルミナ触媒を調製した。
この触媒4.5gを管型反応器(内径10mm,長さ300mm)に充填し、水素圧力5.0MPa下で反応管上部から水素、9wt%イソフタロニトリル/3.6wt%ピペリジン/N−メチルピロリドン溶液5.0g/hrで流通させて、水素化反応を行った。反応温度55℃から開始し、ゆっくり昇温しながら280時間まで反応を継続した。280時間後の反応温度は59℃であった。反応生成物の分析は反応器出口で回収した生成液をガスクロマトグラフィー分析する方法によった。反応期間中の原料イソフタロニトリル転化率は100%であった。単位時間当たりに供給したイソフタロニトリル基準でのメタキシリレンジアミン(MXDA)の収率は、反応の初期段階(15時間後)で97.7%であり、280時間後では92.0%であった。結果を図1に示した。
<比較例1>
実施例1に記載の触媒と反応装置を用い、原料組成を9wt%イソフタロニトリル/27wt%アニリン/N−メチルピロリドン溶液5.0g/hrとした以外は同じ反応条件下で水素化反応を行い、開始〜190時間まで反応を継続した。反応期間中の原料イソフタロニトリル転化率は100%であった。MXDAの収率は、反応の初期段階(24時間後)では96.6%であったが、190時間後には87.8%に低下した。結果を図1に示した。
<比較例2>
実施例1に記載の触媒と反応装置を用い、原料組成を9wt%イソフタロニトリル/3.6wt%ジエチルアミン/N−メチルピロリドン溶液5.0g/hrとした以外は同じ反応条件下で水素化反応を行い、開始〜160時間まで反応を継続した。反応期間中の原料イソフタロニトリル転化率は100%であった。MXDAの収率は、反応の初期段階(15時間後)では95.7%であったが、160時間後には89.1%に低下した。結果を図1に示した。
<比較例3>
実施例1に記載の触媒と反応装置を用い、原料組成を9wt%イソフタロニトリル/N−メチルピロリドン溶液5.0g/hrとした以外は同じ反応条件下で水素化反応を行い、開始〜280時間まで反応を継続した。反応期間中の原料イソフタロニトリル転化率は100%であった。MXDAの収率は、反応の初期段階(15時間後)では96.1%であったが、280時間後には80.2%に低下した。結果を図1に示した。
実施例1及び比較例1〜3におけるMXDA収率の経時変化。

Claims (8)

  1. 反応溶媒中で貴金属担持触媒と水素の存在下にイソフタロニトリルを水素化してメタキシリレンジアミンを製造するに際し、環状二級アミン化合物の存在下で反応を行うことを特徴とするメタキシリレンジアミンの製造方法。
  2. 環状二級アミン化合物がシクロパラフィン環内の一つ以上のメチレン基を二級アミノ基で置換した環構造を分子内に一つ以上有する化合物であり、該環構造が5または6員環である請求項1記載の製造方法。
  3. 反応をアンモニア不在下で行うことを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 成型された触媒を用いて固定床連続流通方式で反応を行う請求項1〜3何れか1項記載の製造方法。
  5. 前記触媒が白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムから選ばれる1種以上の貴金属元素を担持した触媒である請求項1〜4何れか1項記載の製造方法。
  6. 前記触媒がパラジウムを担持した触媒である請求項1〜4何れか1項記載の製造方法。
  7. 前記触媒がパラジウムとルテニウムを担持した触媒である請求項1〜4何れか1項記載の製造方法。
  8. 前記触媒が貴金属の他にニッケル、コバルト、鉄、銅およびレニウムから選ばれる1種以上の元素を担持した触媒である請求項1〜7何れか1項記載の製造方法。
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