JP5076341B2 - 液体循環制御装置及び液体循環制御方法 - Google Patents

液体循環制御装置及び液体循環制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池システムに関し、詳しくは、燃料電池システムの燃料電池を冷却する冷却系、燃料電池を加湿する加湿系での液体の循環制御を担う液体循環制御装置及び液体循環制御方法に関する。
近年、燃料電池の燃料極(水素極)に水素を多量に含む燃料ガスを供給するとともに、空気極に酸化剤ガスとしての空気を供給し、所定の電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得る燃料電池システムが知られている。このような燃料電池システムは、例えば車両の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
燃料電池システムに用いられる燃料電池としては、例えば車両に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプのものが知られている。この固体高分子タイプの燃料電池は、水素極と空気極との間に電解質膜として固体高分子電解質膜が設けられたものである。この固体高分子タイプの燃料電池においては、水素極にて水素ガスが水素イオンと電子とに分離する反応が生じ、空気極にて酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子電解質膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子電解質膜を空気極に向かって移動することになる。
このような燃料電池システムは、燃料電池を通過するように配された冷却液供給配管内を冷却液を循環させることで、発電に伴う燃料電池の発熱を冷却する冷却系を備えている。燃料電池の温度は、発電性能に非常に大きな影響を与えるため発電による温度上昇を抑制し、燃料電池の温度を管理する冷却系の制御は、非常に重要となっている。この冷却系に異常が発生した場合、燃料電池から所望の出力を取り出せないなど様々な問題が発生してしまう。
そこで、燃料電池システムの冷却系の冷却液の圧力や流量などを検出することで、冷却系に発生した異常を検出し、異常状態を回避することができる手法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−184435号公報
しかしながら、特許文献1で開示されている手法のように冷却系の異常を検出する際に用いる冷却液の圧力は、車両に搭載された燃料電池システムなどでは、冷却液の流量が一定であっても走行による加速度(G)の影響を受けてしまう。したがって、この圧力に基づき異常状態を検出しようとすると誤診断してしまう可能性を残してしまうことになる。
また、勾配路など車両が傾くような状態の場合、冷却液の圧力を検出する圧力センサから冷却系において冷却液を貯蔵するリザーバタンクまで、高さによってかかるヘッド圧が変動してしまう。このような圧力の変動があると、冷却系が正常に機能しているにも拘わらず異常が発生したと誤診断したり、逆に冷却系に異常があるにも拘わらず正常であると誤診断したりする可能性がある。
このように冷却液の圧力や流量から冷却系に発生した異常を検出しようとすると、燃料電池システムを搭載した車両の状態といった外乱による影響により誤診断を誘因してしまう虞がある。このような誤診断を回避するためには、例えば、異常状態を診断する際の基準となる冷却液流量、下限圧力値といった閾値にマージンを持たせ、あらかじめ高めに設定する必要がある。
しかしながら、このように閾値を高めに設定してしまうと、冷却液を循環させる冷却液ポンプを高回転させる割合が高くなってしまうため、燃費、騒音抑制性能、耐久寿命などが低下してしまうといった問題がある。
また、純水を循環させることで燃料電池の高分子電解質膜に水分供給をし、高分子電解質膜のイオン輸送能力を低下させることなく良好なイオン伝導性を保つように水分管理を行う加湿系においても、異常状態であるかどうかの診断において、上述したような誤診断が発生してしまい同様の問題が発生することになる。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、燃料電池の発電に伴い要求される液体循環系の循環制御において誤診断をすることなく、液体循環系が正常に機能しない異常状態に陥った場合にのみ、確実に異常状態であることを判定することができる液体循環制御装置及び液体循環制御方法を提供することを目的とする。
本発明の液体循環制御装置は、供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池を冷却する液体の循環流量が、該燃料電池の発電に伴って要求される循環流量となるように、液体循環系の循環制御を行うものであり、前記液体の圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段によって検出される前記循環制御中の液体の圧力と所定の圧力診断閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段により、液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体の循環流量を増量させる循環流量増量手段と、前記循環流量増量手段による循環流量増量後において、前記圧力検出手段にて検出される液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体循環系の機能が低下したものと判定する異常状態判定手段と、を備えることにより上述の課題を解決する。
本発明の液体循環制御方法は、供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池を冷却する液体の循環流量が、該燃料電池の発電に伴って要求される循環流量となるように、液体循環系の循環制御を行う液体循環制御方法であり、前記液体の圧力を検出する圧力検出工程と、前記圧力検出工程によって検出される前記循環制御中の前記液体の圧力と、所定の圧力診断閾値とを比較する比較工程と、前記比較工程により、液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体の循環流量を増量させる循環流量増量工程と、前記循環量増量工程による循環流量増量後において、前記圧力検出工程にて検出される液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体循環系の機能が低下した異常状態であると判定する異常状態判定工程と、を備えることにより上述の課題を解決する。
本発明によれば、燃料電池の発電に伴い要求される液体循環系の循環制御において誤診断をすることなく、液体循環系が正常に機能しない異常状態に陥った場合にのみ、確実に異常状態であることを判定することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施の形態として示す燃料電池システムの構成について説明をする。
図1に示すように、燃料電池システムは、燃料電池本体である燃料電池スタック1と、発電により昇温した燃料電池スタック1を冷却液を循環させることで冷却する冷却系とを備えている。なお、この燃料電池システムは、当該燃料電池システムで発電した電力による走行する車両に搭載されているものとする。
また、図示しないが、燃料電池システムは、燃料電池スタック1の燃料極であるアノードに水素を供給する水素ガス循環供給系と、燃料電池スタック1の酸化剤極であるカソードに酸化剤ガスである空気ガスを供給する空気ガス供給系と、燃料電池スタック1からの出力を取り出し負荷へと供給する出力系とを備え、当該燃料電池システムの運転を統括的に制御するシステムコントローラによる制御により要求出力に応じた電力を負荷へと供給することができる。
燃料電池スタック1は、発電単位である単セルを複数積層することで構成され、アノードに燃料ガスとして供給される水素ガスと、カソードに供給される空気ガス中の酸素の化学反応により発電する。例えば、燃料電池スタック1は、電解質として高分子電解質膜を用いた高分子電解質形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)などであり、単セルの構造が、高分子電解質膜の両側に触媒層をそれぞれ設け、燃料極、酸化剤極が形成されたMEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化されている。
冷却系は、冷却液を循環させる冷却液ポンプ2と、外気と冷却液との間で熱交換を行い、冷却液を所望の温度に冷やすラジエータ3、ラジエータファン4と、燃料電池スタック1を通過し、冷却液を供給する冷却液供給配管5と、冷却系の冷却液の循環制御を統括的に担う冷却系コントローラ30とを備えている。また、冷却液供給配管5には、燃料電池スタック1の入口付近の冷却液圧力を検出する圧力センサ6と、燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度を検出する温度センサ7とを備えている。
また、図示しないが、冷却液供給配管5には、ラジエータ3に補給する冷却液を貯蔵するリザーバタンクが設けられている。
冷却系コントローラ30は、冷却系を統括的に制御する制御手段である。冷却系コントローラ30は、例えば、燃料電池システムを統括的に制御するシステムコントローラに組み込むようにしてもよいし、独立した専用の制御装置とするようにしてもよい。
冷却系コントローラ30は、圧力センサ6、温度センサ7から検出された信号、当該燃料電池システムが搭載された車両の速度を検出する車速センサ8から出力された信号、大気圧を検出する大気圧センサ9から出力された信号を読み込み、読み込んだ各種信号と、内部に保有する制御ロジック(プログラム)とに基づき、冷却系の冷却液循環制御を実行すると共に、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したかどうかの診断を実行する。
冷却系コントローラ30は、主に、冷却液循環制御を担う冷却液循環制御処理部10と冷却液循環制御の異常診断を実行する異常診断処理部20とからなる。
[冷却液循環制御処理部10の構成]
冷却液循環制御処理部10は、冷却液基本流量制御部11と、冷却液流量増量待ち時間設定部12と、ポンプ最低回転数設定部13と、冷却液流量増量部14と、ポンプ回転数変化率設定部15とを備えている。
冷却液基本流量制御部11は、燃料電池スタック1の取出電力に応じて、燃料電池スタック1に循環させる冷却液流量を算出する。そして、冷却液基本流量制御部11は、算出した冷却液流量とする冷却液ポンプ2の回転数であるポンプ基本回転数を算出する。
冷却液流量増量待ち時間設定部12は、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度に応じて、冷却液を流量増量させるまでの待ち時間を設定する。
ポンプ最低回転数設定部13は、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の車速に応じて、冷却液ポンプ2の最低回転数を決定する。そして、ポンプ最低回転数設定部13は、この最低回転数で冷却液基本流量制御部11で算出されたポンプ基本回転数の下限を制限する。
冷却液流量増量部14は、圧力センサ6で検出される燃料電池スタック1の入口付近の冷却液圧力、大気圧センサ9で検出される大気圧、異常診断処理部20が備える後述する圧力診断閾値設定部22で設定された圧力診断閾値、冷却液流量増量待ち時間設定部12で設定された流量増量させるまでの待ち時間に応じて、流量増量をするか否かを判断し、冷却液ポンプ2のポンプ目標回転数を算出する。
ポンプ回転数変化率設定部15は、冷却液流量増量部14で算出された冷却液ポンプ2のポンプ目標回転数に対して、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度に応じて回転数の変化率制限を行う。そして、ポンプ回転数変化率設定部15は、変化率制限をしたポンプ目標回転数実行値で冷却液ポンプ2の回転数が制御されるように冷却液ポンプ2に対して指令を出力する。
[異常診断処理部20の構成]
異常診断処理部20は、診断時間設定部21と、圧力診断閾値設定部22と、冷却液循環異常診断部23とを備えている。
診断時間設定部21は、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度に応じて、当該異常診断処理部20で実行される冷却液循環異常診断の診断時間を設定する。
圧力診断閾値設定部22は、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の車速に応じて、当該異常診断処理部20で実行される冷却液循環異常診断において用いられる圧力診断閾値を設定する。
冷却液循環異常診断部23は、診断時間設定部21で設定された診断時間、圧力診断閾値設定部22で設定された圧力診断閾値、圧力センサ6で検出される燃料電池スタック1の入口付近の冷却液圧力、大気圧センサ9で検出される大気圧に応じて、冷却液の循環異常を診断する。
[冷却系コントローラ30のよる冷却系の制御処理動作]
続いて、図4乃至図6に示すフローチャートを用いて、このような構成の冷却系コントローラ30により実行される冷却系の冷却液循環制御処理動作、並びに冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したかどうかの診断処理動作について説明をする。この冷却系コントローラ30による冷却系の制御処理動作について説明するにあたり、冷却液循環制御処理部10と異常診断処理部20とは、それぞれ図2、図3に示す機能を有しているとして説明をする。
(冷却液基本流量制御部11、ポンプ最低回転数設定部13の処理動作)
まず、図4に示すフローチャートを用いて、燃料電池システムの冷却系が正常である場合の冷却液基本流量制御部11、ポンプ最低回転数設定部13による冷却液ポンプ2の目標ポンプ回転数を算出する処理動作について説明をする。
まず、ステップS1において、冷却液基本流量制御部11は、燃料電池スタック1を参照して取出(取り出し)電力W1の値を取得する。
ステップS2おいて、冷却液基本流量制御部11は、ステップS1で取得した燃料電池スタック1の取出電力W1の大きさに応じて、冷却液基本流量Q1を算出する。
例えば、図2に示すように、冷却液基本流量制御部11は、取出電力と冷却液基本流量とを対応付けたマップデータM1をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM1を用いて取出電力W1から冷却液基本流量Q1を算出することができる。図2に示すように、取出電流と冷却液基本流量とは、取出電力が大きくなるほど、冷却性能が要求されるため冷却液基本流量も大きくなるというような関係になっている。
ステップS3において、冷却液基本流量制御部11は、ステップS1で算出した冷却液基本流量Q1から、冷却液ポンプ2のポンプ基本回転数R2を算出する。
例えば、図2に示すように、冷却液基本流量制御部11は、冷却液基本流量とポンプ基本回転数とを対応付けたマップデータM2をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM2を用いて冷却液基本流量Q1からポンプ基本回転数R2を算出することができる。
ステップS4において、ポンプ最低回転数設定部13は、車速センサ8を参照して、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の現在の車速v1を取得する。
ステップS5において、ポンプ最低回転数設定部13は、ステップS4で取得された車速v1に応じた冷却液ポンプ2の最低回転数であるポンプ最低回転数R3を算出する。
このステップS5で算出されるポンプ最低回転数R3は、燃料電池スタック1から取り出す取出電力が低い時、後述の処理において圧力診断閾値設定部22で算出される圧力診断閾値に対する冷却液圧力の余裕分に対応するものである。
このポンプ最低回転数R3を小さく設定しすぎると、外乱による影響を受けやすくなってしまうため、頻繁に冷却液の流量を増量させる必要が出てきてしまう。したがって、ポンプ最低回転数R3は、流量増量頻度と、燃費・騒音性能に応じてバランスよく決定する必要がある。
例えば、図2に示すように、ポンプ最低回転数設定部13は、車速とポンプ最低回転数とを対応付けたマップデータM3をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM3を用いて車速v1からポンプ最低回転数R3を算出することができる。図2に示すように、ポンプ最低回転数R3は、車速に応じて2500[rpm]、又は3500[rpm]のいずれかが選択されるようになっている。
ステップS6において、ポンプ最低回転数設定部13は、ステップS3で算出したポンプ基本回転数R2と、ステップS5で算出したポンプ最低回転数R3とを比較し、高い方の値を選択して冷却液ポンプ2の目標ポンプ回転数とする。ポンプ最低回転数設定部13における、このステップS6の処理は、図2においてセレクタSEL1によるセレクトハイの選択として機能的に示すことができる。
ポンプ最低回転数設定部13は、ポンプ基本回転数R2がポンプ最低回転数R3よりも大きい場合、ステップS7へと処理を進め、ポンプ基本回転数R2がポンプ最低回転数R3以下の場合、ステップS8へと処理を進める。
ステップS7において、ポンプ最低回転数設定部13は、セレクタSEL1でポンプ基本回転数R2が選択されたことに応じて、ポンプ基本回転数R2をポンプ目標回転数R1とし、冷却液流量増量部14へ出力する。
ステップS8において、ポンプ最低回転数設定部13は、セレクタSEL1でポンプ最低回転数R3が選択されたことに応じて、ポンプ最低回転数R3をポンプ目標回転数R1とし、冷却液流量増量部14へ出力する。
(冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23の処理動作)
次に、図5に示すフローチャートを用いて、冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23を中心とした、冷却系の冷却液循環制御の異常診断処理、異常診断された際の流量増量処理について説明をする。
ステップS11において、冷却液循環異常診断部23は、圧力センサ6を参照して、圧力センサ6で検出される燃料電池スタック1の入口付近の冷却液圧力P0を取得する。この圧力センサ6で検出される冷却液圧力P0は、大気圧分も含んだ値となっている。
ステップS12において、冷却液循環異常診断部23は、大気圧センサ9を参照して、大気圧センサ9で検出される大気圧P1を取得する。
ステップS13において、圧力診断閾値設定部22は、車速センサ8を参照して、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の現在の車速v1を取得する。
ステップS14において、圧力診断閾値設定部22は、ステップS13で取得された車速v1に応じた圧力診断閾値P2を算出する。
圧力診断閾値は、車両の発進時や停止付近での車速が遅い場合、逆にある程度速い場合、それぞれに対応する値が求まるように車速と関係付けられている。この圧力診断閾値は、冷却系を循環する冷却液の循環流量に対応した圧力に、外乱要素の圧力換算値を加算したものである。車速が遅い場合には、平坦路で停車状態にある車両の冷却液の循環流量に対応した圧力に、外乱要素として勾配路や圧力センサの精度などに応じた圧力変動分を考慮して求めればよい。一方、車速が速い場合には、外乱要素として加速度による圧力変動分をさらに考慮して求めることになる。
例えば、図3に示すように、圧力診断閾値設定部22は、車速と圧力診断閾値とを対応付けたマップデータM4をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM4を用いて車速v1から圧力診断閾値P2を算出することができる。図3に示すように、圧力診断閾値P2は、車速に応じて、13[kpa]、又は26[kpa]のいずれかが選択されるようになっている。
また、圧力診断閾値設定部22は、車両発進時において、あらかじめ設定した所定の車速を超えてからの経過時間に応じて圧力診断閾値P2を高くするようにしてもよい。このように、経過時間に応じて圧力診断閾値P2を高くすると、冷却液ポンプ2の応答遅れを吸収することができるため、後述する冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したかどうかの診断において誤診断を防止することができる。
圧力診断閾値設定部22は、算出した圧力診断閾値P2を冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23へと出力する。
ステップS15において、冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23は、ステップS14で算出した圧力診断閾値P2にステップS12で取得した大気圧P1を加算して、大気圧分を考慮した圧力診断閾値(P1+P2)を算出する。そして、この圧力診断閾値(P1+P2)とステップS11で取得した現在の冷却液圧力P0との大小を比較し、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したかどうかを判定する。
冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23は、冷却液圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)よりも大きい場合(P0>P1+P2)、冷却系の冷却液循環制御は正常であるとしてステップS16へと処理を進める。一方、冷却液圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)以下である場合(P0≦P1+P2)、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生した可能性があるとしてステップS17へと処理を進める。
冷却液流量増量部14における、このステップS15の処理は、図2においてスイッチSW1による選択として機能的に示すことができる。
ステップS16において、冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23は、冷却系の冷却液循環制御が正常であると判定したことに応じて、異常診断の判定フラグを正常であること示す“ゼロ(flag=0)”とし、診断経過時間を“ゼロ(T1=0)”とする。このステップS16の処理は、例えば、前回の処理ループにおけるステップS15の診断処理により、冷却液圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)を下回ったと判定され、その後冷却液循環流量の増量により圧力が回復、又は自然に圧力が回復した場合などに経由する処理である。
ステップS17において、冷却液流量増量部14、冷却液循環異常診断部23は、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したと判定をしたことに応じて、異常診断の判定フラグを異常であることを示す“1(flag=1)”とし、冷却液圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)以下となってからの経過時間を診断経過時間としてカウントする。ここでの診断経過時間T1は、前回の判定時点における診断経過時間T1に、今回判定するまでに要した時間間隔Δtを加算した時間(T1=T1+Δt)となっている。
ステップS18において、冷却液流量増量待ち時間設定部12、診断時間設定部21はは、それぞれ温度センサ7を参照して、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度u1を取得する。
ステップS19において、冷却液流量増量待ち時間設定部12は、ステップS18で取得した冷却液温度u1から、冷却液圧力P0が継続して圧力診断閾値(P1+P2)以下となった場合に、冷却液流量を増量することなく待ち続けることができる時間である冷却液流量増量待ち時間T2を算出する。
冷却液流量増量待ち時間設定部12は、ステップS18で取得した冷却液温度u1から燃料電池スタック1内部の温度を推定し、この推定した燃料電池スタック1内部の温度が、燃料電池スタック1の耐熱温度となるまでどの程度の余裕があるのかを考慮して冷却液流量増量待ち時間T2を算出する。
例えば、図2に示すように、冷却液流量増量待ち時間設定部12は、冷却液温度と冷却液増量待ち時間とを対応付けたマップデータM5をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM5を用いて冷却液温度u1から冷却液流量増量待ち時間T2を算出することができる。
冷却液流量待ち時間設定部12は、算出した冷却液流量増量待ち時間T2を冷却液流量増量部14へと出力する。
ステップS20において、診断時間設定部21は、ステップS18で取得した冷却液温度u1から、燃料電池スタック1が冷却液の循環流量の低下を許容することができる診断時間T3を算出する。
診断時間設定部21は、ステップS18で取得した冷却液温度u1から燃料電池スタック1内部の温度を推定し、この推定した燃料電池スタック1内部の温度が、燃料電池スタック1の耐熱温度となるまでどの程度の余裕があるのかを考慮して診断時間T3を算出する。ただし、上述した冷却液流量増量待ち時間T2と比較してT3>T2となるように算出する。
例えば、図3に示すように、診断時間設定部21は、冷却液温度と診断時間とを対応付けたマップデータM6をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM6を用いて冷却液温度u1から診断時間T3を算出することができる。
診断時間設定部21は、算出した診断時間T3を冷却液循環異常診断部23へと出力する。
ステップS21において、冷却液流量増量部14は、ステップS17でカウントが開始された診断経過時間T1と、ステップS19で算出した冷却液流量増量待ち時間T2とを比較する。冷却液流量増量部14は、診断経過時間T1が冷却液流量増量待ち時間T2よりも大きい場合、冷却液循環異常診断部23による処理であるステップS22へと移行させ、診断経過時間T1が冷却液流量増量待ち時間T2以下の場合、後述するポンプ回転数変化率設定部15による処理へと進める。
ステップS22において、冷却液循環異常診断部23は、ステップS17でカウントが開始された診断経過時間T1と、ステップS20で算出した診断時間T3とを比較する。冷却液循環異常診断部23は、診断経過時間T1が診断時間T3よりも大きい場合、ステップS23へと処理を進め、診断経過時間T1が診断時間T3以下の場合、冷却液流量増量部14による処理であるステップS24へと移行させる。
ステップS23において、冷却液循環異常診断部23は、診断経過時間T1が診断時間T3よりも大きいことに応じて、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したとして、システムを停止させるなどの循環異常対応処理へと処理を移行させる。循環異常対応処理は、例えば、警告音などを発することで異常が発生したことを報知したり、発電処理動作を停止させるといった処理である。
ステップS24において、冷却液流量増量部14は、流量増量時のポンプ回転数である
流量増量ポンプ目標回転数R4を参照する。流量増量ポンプ目標回転数R4は、あらかじめ設定された値であり、例えば、4500[rpm]などとする。
ステップS25において、冷却液流量増量部14は、ステップS24で参照した流量増量ポンプ目標回転数R4とポンプ目標回転数R1とを比較する。
冷却液流量増量部14は、流量増量ポンプ目標回転数R4がポンプ目標回転数R1よりも大きい場合、ステップS26へと処理を進め、流量増量ポンプ目標回転数R4がポンプ目標回転数R1以下の場合、後述するポンプ回転数変化率設定部15による処理へと進める。
このステップS25の比較処理は、燃料電池スタック1から取り出す取り出し電力が大きく、要求される冷却能力が高い場合、つまり、あらかじめ設定されている流量増量ポンプ目標回転数R4よりも、ポンプ目標回転数R1の方が大きい場合に、低い方の回転数である流量増量ポンプ目標回転数R4へと切り替わってしまうことで、充分な冷却処理が実行できなくなることを回避するための処理である。
冷却液流量増量部14における、このステップS25の処理は、図2においてセレクタSEL2によるセレクトハイの選択として機能的に示すことができる。
ステップS26において、冷却液流量増量部14は、流量増量ポンプ目標回転数R4を、ポンプ目標回転数R1とする。これにより、冷却液ポンプ2は、流量増量ポンプ目標回転数R4とされたポンプ目標回転数R1で駆動されることになり、圧力が低下した冷却能力の低下に際し、冷却液の流量増量を図ることができる。このとき冷却液の流量増量は、所定の時間、例えば、5秒間などというように所定の時間だけ行うようにする。
(ポンプ回転数変化率設定部15の処理)
続いて、図6に示すフローチャートを用いて、ポンプ回転数変化率設定部15の処理動作について説明をする。
図5に示すフローチャートを用いて説明したように、冷却液ポンプ2のポンプ目標回転数R1が算出されると、実際に冷却液ポンプ2を駆動させるためのポンプ目標回転数実行値を算出する処理へと移行する。この処理は、ポンプ回転数変化率設定部15によって実行される。
ステップS31において、ポンプ回転数変化率設定部15は、現在のポンプ目標回転数実行値R0を参照し取得する。
ステップS32において、ポンプ回転数変化率設定部15は、温度センサ7を参照して、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度u1を取得する。
ステップS33において、ポンプ回転数変化率設定部15は、ステップS32で取得した冷却液温度u1から、回転数を上げていく傾きを制限する回転数変化率制限値H1を算出する。
回転数変化率制限値H1は、燃料電池スタック1の冷却液の温度が高いほど高い値となるように算出される。上述した圧力診断閾値の設定手法では、冷却液の温度が高いほど、燃料電池スタック1から要求される冷却能力も高くなり、診断時間が短くなり、圧力診断閾値も高い設定となる。
この時に冷却液ポンプ2の回転数変化率制限値を低く設定してしまうと、冷却液ポンプ2が正常な状態でも流量増量によって圧力が回復する時間が診断時間に間に合わず、冷却液循環異常であると誤診断されてしまう可能性がある。そこで、温度センサ7で検出される燃料電池スタック1の出口付近の冷却液温度u1が高いほど、冷却液ポンプ2の回転数変化率制限値H1を引き上げ誤診断を防止する。
例えば、図2に示すように、ポンプ回転数変化率設定部15は、冷却液温度と回転数変化率制限値とを対応付けたマップデータM7をあらかじめ取得し設定しておくことで、このマップデータM7を用いて冷却液温度u1から回転数変化率制限値H1を算出することができる。
ステップS34において、ポンプ回転数変化率設定部15は、ポンプ目標回転数R1と、ステップS31で取得した現在のポンプ目標回転数実行値R0とを用いてポンプ回転数の変化率を算出し、回転数変化率制限値H1と比較をすることで、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅の大きさを判定する。
ポンプ回転数の変化率は、ポンプ目標回転数R1からポンプ目標回転数実行値R0を減算し、ステップS17で用いた時間間隔Δtで除算することで以下に示す(1)式のように求めることができる。
ポンプ回転数の変化率=(R1−R0)/Δt ・ ・ ・(1)
次に、ポンプ回転数変化率設定部15は、(1)式により算出されたポンプ回転数の変化率の絶対値と、ステップS33で算出した変化率制限値H1とを比較する。ポンプ回転数変化率設定部15は、ポンプ回転数の変化率の絶対値が、変化率制限値H1よりも大きい場合には、ステップS35へと処理を進め、変化率制限値H1よりも小さい場合には、ステップS36へと処理を進める。
ステップS35において、ポンプ回転数変化率設定部15は、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅が、変化率制限値H1より大きな変化幅であったことに応じて、以下に示す(2)式のようにして、ポンプ回転数変化率幅(H1×Δt)でポンプ目標回転数実行値R0を増減させることで、新たなポンプ目標回転数R1を算出する。
R1=R0+(R1−R0)/|R1−R0|×H1×Δt ・ ・ ・(2)
ステップS36において、ポンプ回転数変化率設定部15は、ステップS35を経由した場合、(2)式で算出されたポンプ目標回転数R1を、ポンプ目標回転数実行値R0とする。
また、ステップS34において、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅が変化率制限値H1内での変化幅と判定された場合、ポンプ回転数変化率設定部15は、ポンプ目標回転数R1をそのままポンプ目標回転数実行値R0とする。
ステップS37において、ポンプ回転数変化率設定部15で算出されたポンプ目標回転数実行値R0は、冷却液ポンプ2を制御する図示しないシステムコントローラなどに出力される。図示しないシステムコントローラは、このポンプ目標回転数実行値R0で規定される回転数となるように冷却液ポンプ2を駆動させる。
[具体的な制御処理動作]
続いて、図7、図8に示すタイミングチャートを用いて、上述した図4乃至図6に示すフローチャートに基づく制御処理を実行した例について説明をする。
図7に示すタイミングチャートでは、車両が減速した際の減速加速度の影響により冷却液の圧力が下がったため、冷却液流量を増量した際の制御処理に用いられる各パラメータの時間変化を示している。
図7(a)では、圧力センサ6で検出される冷却液圧力P0を、図7(b)では、冷却液循環異常診断部23による診断結果である診断フラグを、図7(c)では、診断経過時間T1を、図7(d)では、ポンプ目標回転数実行値R0を、図7(e)では、車速v1をそれぞれ示している。
図7(a)に示すように、時間t0では、冷却液圧力P0は、大気圧P1を考慮した圧力診断閾値(P1+P2)より高く正常な状態を示している。冷却液圧力P0は、車両の減速開始と同時に減速加速度の影響で低下し始め、時間t1のとき、圧力診断閾値(P1+P2)を下回る。
これに応じて、図7(b)に示すように、時間t1において診断フラグを“0”から“1”へと立ち上げ、診断経過時間T1のカウントを開始する。このとき、診断経過時間T1がポンプ流量増量待ち時間T2に達するまで、図7(d)に示すように、ポンプ目標回転数実行値R0を引き上げない。
次に、時間t2を過ぎ、T1>T2となったことに応じて、図7(d)に示すようにポンプ目標回転数実行値R0の引き上げが開始される。これに応じた、冷却液の流量増量により、図7(a)に示すように、冷却液圧力P0が回復し始める。
そして、冷却液ポンプ2を含めた冷却液循環ライン、つまり冷却系に異常がなければ、図7(a)、(c)に示すように、診断経過時間T1が診断時間T3に達する前に、冷却液圧力P0が回復して圧力診断閾値(P1+P2)を超えることになる。
図7に示す例では、時間t3を境に圧力診断閾値(P1+P2)を超えるので、図7(b)に示すように診断フラグを“0”に戻し、図7(c)に示すように診断経過時間T1も“0”とする。そして、図7(d)に示すように、ポンプ目標回転数実行値R0も流量増量を停止するように制御される。
図7では、図7(e)に示すように、車速v1を“0”となるまで減速させた状態まで示している。この場合、車速v1が、車両が停車する付近に近付いた時間t5において、図7(a)に示すように、P2を下げるように切り替えることで圧力診断閾値(P1+P2)を下げ、図7(d)に示すようにポンプ目標回転数実行値R0も下げている。結果として、図7(a)に示すように、冷却液圧力P0も低下している。
一方、図8に示したタイミングチャートは、図7に示したタイミングチャートでは、時間t3において、冷却液圧力P0が回復して圧力診断閾値(P1+P2)を超えたの対し、冷却液圧力P0が診断時間T3を経過しても回復していない様子を示している。
このような場合、図8(c)に示すように診断経過時間T1が、診断時間T3に達した時間t4となったことに応じて、冷却液循環異常診断部23は、冷却液循環ライン、つまり冷却系に異常が発生したと判定して、警告や発電停止といった循環異常対応処理へと移行する。
[第1の実施の形態の効果]
このように、本発明の第1の実施の形態として示す燃料電池システムは、図4乃至図6に示すフローチャートに示した制御処理を実行することにより、圧力センサ6によって検出される燃料電池スタック1の入口付近の冷却液圧力と、圧力診断閾値との比較結果に応じて、冷却系の冷却液循環制御に異常が発生したかどうかを判定して、異常が発生した場合には、循環異常対応処理を実行することができる。
このとき、冷却液圧力が低下したらすぐに異常が発生したと判定するのではなく、所定の診断時間T3までの間に、冷却液ポンプ2の回転数を所定時間だけ上げて冷却液の循環流量を増量し回復するかどうかを監視する。これにより、冷却液ポンプ2が稼働するかどうかを検証できると共に、冷却液圧力の回復がみられた場合には、勾配路などでの車両の傾きや加速度といった外乱により一時的に圧力が低下したと判断できるため、これらの外乱要素に応答することなく誤診断を防止することができる。
また、冷却液の循環流量を増量するために冷却液ポンプ2の回転数を上げる時間を所定の時間とすることで、消費電力の削減、冷却液ポンプ2の耐久性向上、冷却液ポンプ2の稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
さらに、診断時間T3の間に冷却液圧力の回復がみられた場合には、循環流量を増量する必要がないため、冷却液ポンプ2を停止させる。これにより、消費電力の削減、冷却液ポンプ2の耐久性向上、冷却液ポンプ2の稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
さらに、冷却液ポンプ2の回転数を上げて循環流量を増量するまでに、冷却液流量増量待ち時間T2を設け、低下した冷却液圧力が冷却液流量増量待ち時間T2の間に回復するかどうかを監視する。これにより、外乱要素などによる一時的な冷却液圧力の低下時には、この冷却液流量増量待ち時間T2の間に回復される可能性があるため、無駄に冷却液ポンプ2を稼働させる必要がなく、消費電力の削減、冷却液ポンプ2の耐久性向上、冷却液ポンプ2の稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
診断時間T3、冷却液流量増量待ち時間T2は、燃料電池スタック1の出口付近において温度センサ7により検出される冷却液温度に応じて、冷却液温度が低いほど長くなるように、冷却液温度が高いほど短くなるように設定されるため、燃料電池スタック1の耐熱性を考慮しながらも、異常状態となったかどうかを判定することができる。
さらに、温度センサ7で検出される冷却液温度が高いほど、または診断時間が短いほど、ポンプ目標回転数R1へとポンプ目標回転数実行値R0を変化させる変化率を制限する変化率制限値H1を高くすることで、冷却液ポンプ2の応答性を上げる。これにより、冷却系の異常状態を早急に判定したい状況での応答を高め、異常状態の判定処理の信頼性を確保することができる。また、状況に応じて冷却液ポンプ2の回転数制御がなされるため、消費電力の削減、冷却液ポンプ2の耐久性向上、冷却液ポンプ2の稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
また、当該燃料電池システムを車両に搭載した場合、車速に応じて、例えば、車速が遅い際には圧力診断閾値を低く設定し、車速が速くなるのに応じて圧力診断閾値を高く設定することで、外乱要素によって与えられる圧力変動の幅を考慮した最適な異常状態の判定処理を実行することができる。これにより、冷却液ポンプ2を効率的に稼働することができる。
また、車速が停車付近の所定の車速より速くなってからの経過時間に応じて、圧力診断閾値を高く設定することで、冷却液ポンプ2の駆動の応答遅れが吸収されるため誤診断を防止することができる。
さらに、車速が遅い際には、冷却液の循環流量の増量もそれほど必要がないため、冷却液ポンプ2の最低回転数を低く設定することで、異常状態を判定する際の精度を確保しながら、消費電力の削減、冷却液ポンプ2の耐久性向上、冷却液ポンプ2の稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
[第2の実施の形態]
続いて、図9を用いて、本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムについて説明をする。図9に、本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムは、基本的には、図1を用いて説明した本発明の第1の実施の形態として示す燃料電池システムと同様の構成である。
したがって、本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムは、燃料電池本体である燃料電池スタック1以外に、図示しないが、燃料電池スタック1の燃料極であるアノードに水素を供給する水素ガス循環供給系と、燃料電池スタック1の酸化剤極であるカソードに酸化剤ガスである空気ガスを供給する空気ガス供給系と、発電により昇温した燃料電池スタック1を冷却液を循環させることで冷却する冷却系と、燃料電池スタック1からの出力を取り出し負荷へと供給する出力系とを備え、当該燃料電池システムの運転を統括的に制御するシステムコントローラによる制御により要求出力に応じた電力を負荷へと供給することができる。
図9に示すように、本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムは、燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1の高分子電解質膜に水分供給をし、高分子電解質膜のイオン輸送能力を低下させることなく良好なイオン伝導性を保つように水分管理を行う加湿系を備えている。本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムは、上述した冷却系と同様の制御処理をこのような加湿系にて実現するものである。
加湿系は、純水を循環させる純水ポンプ41と、純水を貯蔵する純水タンク42と、燃料電池スタック1に純水を供給する純水供給配管43と、加湿系の純水の循環制御を統括的に担う加湿系コントローラ50とを備えている。また、純水供給配管43には、燃料電池スタック1の入口付近の純水圧力を検出する圧力センサ44を備えている。
加湿系コントローラ50は、加湿系を統括的に制御する制御手段である。加湿系コントローラ50は、例えば、燃料電池システムを統括的に制御するシステムコントローラに組み込むようにしてもよいし、独立した専用の制御装置とするようにしてもよい。
加湿系コントローラ50は、圧力センサ44から検出された信号、当該燃料電池システムが搭載された車両の速度を検出する車速センサ8から出力された信号、大気圧を検出する大気圧センサ9から出力された信号を読み込み、読み込んだ各種信号と、内部に保有する制御ロジック(プログラム)とに基づき、加湿系の純水循環制御を実行すると共に、加湿系の純水循環制御に異常が発生したかどうかの診断を実行する。
加湿系コントローラ50は、主に、純水循環制御を担う純水循環制御処理部60と純水循環制御の異常診断を実行する異常診断処理部70とからなる。
[純水循環制御処理部60の構成]
純水循環制御処理部60は、純水基本流量制御部61と、ポンプ最低回転数設定部63と、純水流量増量部64と、ポンプ回転数変化率設定部65とを備えている。
純水基本流量制御部61は、燃料電池スタック1の取出電力に応じて、燃料電池スタック1に循環させる純水流量を算出する。そして、純水基本流量制御部61は、算出した純水流量とする純水ポンプ41の回転数である基本ポンプ回転数を算出する。
ポンプ最低回転数設定部63は、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の車速に応じて、純水ポンプ41の最低回転数を決定する。そして、ポンプ最低回転数設定部63は、この最低回転数で純水基本流量制御部61で算出された基本ポンプ回転数の下限を制限する。
純水流量増量部64は、圧力センサ44で検出される燃料電池スタック1の入口付近の純水圧力、大気圧センサ9で検出される大気圧、異常診断処理部70が備える後述する圧力診断閾値設定部71で設定された圧力診断閾値に応じて、流量増量をするか否かを判断し、純水ポンプ41の目標ポンプ回転数を算出する。
ポンプ回転数変化率設定部65は、純水流量増量部64で算出された純水ポンプ41の目標ポンプ回転数に対して回転数の変化率制限を行う。そして、ポンプ回転数変化率設定部65は、変化率制限をした目標ポンプ回転数実行値で純水ポンプ41の回転数が制御されるように純水ポンプ41に対して指令を出力する。
[異常診断処理部70の構成]
異常診断処理部70は、圧力診断閾値設定部71と、純水循環異常診断部72とを備えている。
圧力診断閾値設定部71は、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の車速に応じて、当該異常診断処理部70で実行される純水循環異常診断において用いられる圧力診断閾値を設定する。
純水循環異常診断部72は、圧力診断閾値設定部71で設定された圧力診断閾値、圧力センサ44で検出される燃料電池スタック1の入口付近の純水圧力、大気圧センサ9で検出される大気圧に応じて、純水の循環異常を診断する。
[加湿系コントローラ50のよる加湿系の制御処理動作]
続いて、図10乃至図12に示すフローチャートを用いて、このような構成の加湿系コントローラ50により実行される加湿系の純水循環制御処理動作、並びに加湿系の純水循環制御に異常が発生したかどうかの診断処理動作について説明をする。
(純水基本流量制御部61、ポンプ最低回転数設定部63の処理動作)
まず、図10に示すフローチャートを用いて、燃料電池システムの加湿系が正常である場合の純水基本流量制御部61、ポンプ最低回転数設定部63による純水ポンプ41の目標ポンプ回転数を算出する処理動作について説明をする。
まず、ステップS41において、純水基本流量制御部61は、燃料電池スタック1を参照して取出(取り出し)電力W1の値を取得する。
ステップS42おいて、純水基本流量制御部61は、ステップS41で取得した燃料電池スタック1の取出電力W1の大きさに応じて、純水基本流量Q1を算出する。
ステップS43において、純水基本流量制御部61は、ステップS41で算出した純水基本流量Q1から、純水ポンプ41のポンプ基本回転数R2を算出する。
ステップS44において、ポンプ最低回転数設定部63は、車速センサ8を参照して、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の現在の車速v1を取得する。
ステップS45において、ポンプ最低回転数設定部63は、ステップS44で取得された車速v1に応じた純水ポンプ41の最低回転数であるポンプ最低回転数R3を算出する。
このステップS45で算出されるポンプ最低回転数R3は、燃料電池スタック1から取り出す取出電力が低い時、後述の処理において圧力診断閾値設定部71で算出される圧力診断閾値に対する純水圧力の余裕分に対応するものである。
このポンプ最低回転数R3を小さく設定しすぎると、外乱による影響を受けやすくなってしまうため、頻繁に純水の流量を増量させる必要が出てきてしまう。したがって、ポンプ最低回転数R3は、流量増量頻度と、燃費・騒音性能に応じてバランスよく決定する必要がある。
ステップS46において、ポンプ最低回転数設定部63は、ステップS43で算出したポンプ基本回転数R2と、ステップS45で算出したポンプ最低回転数R3とを比較し、高い方の値を選択して純水ポンプ41の目標ポンプ回転数とする。
ポンプ最低回転数設定部63は、ポンプ基本回転数R2がポンプ最低回転数R3よりも大きい場合、ステップS47へと処理を進め、ポンプ基本回転数R2がポンプ最低回転数R3以下の場合、ステップS48へと処理を進める。
ステップS47において、ポンプ最低回転数設定部63は、ポンプ基本回転数R2をポンプ目標回転数R1とし、純水流量増量部64へ出力する。
ステップS48において、ポンプ最低回転数設定部63は、ポンプ最低回転数R3をポンプ目標回転数R1とし、純水流量増量部64へ出力する。
(純水流量増量部64、純水循環異常診断部72の処理動作)
次に、図11に示すフローチャートを用いて、純水流量増量部64、純水循環異常診断部72を中心とした、加湿系の純水循環制御の異常診断処理、異常診断された際の流量増量処理について説明をする。
ステップS51において、純水循環異常診断部72は、圧力センサ44を参照して、圧力センサ44で検出される燃料電池スタック1の入口付近の純水圧力P0を取得する。この圧力センサ44で検出される純水圧力P0は、大気圧分も含んだ値となっている。
ステップS52において、純水循環異常診断部72は、大気圧センサ9を参照して、大気圧センサ9で検出される大気圧P1を取得する。
ステップS53において、圧力診断閾値設定部71は、車速センサ8を参照して、車速センサ8で検出される燃料電池システムが搭載された車両の現在の車速v1を取得する。
ステップS54において、圧力診断閾値設定部71は、ステップS53で取得された車速v1に応じた圧力診断閾値P2を算出する。
圧力診断閾値は、車両の発進時や停止付近での車速が遅い場合、逆にある程度速い場合、それぞれに対応する値が求まるように車速と関係付けられている。この圧力診断閾値は、加湿系を循環する純水の循環流量に対応した圧力に、外乱要素の圧力換算値を加算したものである。車速が遅い場合には、平坦路で停車状態にある車両の純水の循環流量に対応した圧力に、外乱要素として勾配路や圧力センサの精度などに応じた圧力変動分を考慮して求めればよい。一方、車速が速い場合には、外乱要素として加速度による圧力変動分をさらに考慮して求めることになる。
また、圧力診断閾値設定部71は、車両発進時において、あらかじめ設定した所定の車速を超えてからの経過時間に応じて圧力診断閾値P2を高くするようにしてもよい。このように、経過時間に応じて圧力診断閾値P2を高くすると、純水ポンプ41の応答遅れを吸収することができるため、後述する加湿系の純水循環制御に異常が発生したかどうかの診断において誤診断を防止することができる。
圧力診断閾値設定部71は、算出した圧力診断閾値P2を純水流量増量部64、純水循環異常診断部72へと出力する。
ステップS55において、純水流量増量部64、純水循環異常診断部72は、ステップS54で算出した圧力診断閾値P2にステップS52で取得した大気圧P1を加算して、大気圧分を考慮した圧力診断閾値(P1+P2)を算出する。そして、この圧力診断閾値(P1+P2)とステップS51で取得した現在の純水圧力P0との大小を比較し、加湿系の純水循環制御に異常が発生したかどうかを判定する。
純水流量増量部64、純水循環異常診断部72は、純水圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)よりも大きい場合(P0>P1+P2)、加湿系の純水循環制御は正常であるとしてステップS56へと処理を進める。一方、純水圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)以下である場合(P0≦P1+P2)、加湿系の純水循環制御に異常が発生した可能性があるとしてステップS57へと処理を進める。
ステップS56において、純水流量増量部64、純水循環異常診断部72は、加湿系の純水循環制御が正常であると判定したことに応じて、異常診断の判定フラグを正常であること示す“ゼロ(flag=0)”とし、診断経過時間を“ゼロ(T1=0)”とする。このステップS56の処理は、例えば、前回の処理ループにおけるステップS55の診断処理により、純水圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)を下回ったと判定され、その後純水循環流量の増量により圧力が回復、又は自然に圧力が回復した場合などに経由する処理である。
ステップS57において、純水流量増量部64、純水循環異常診断部72は、加湿系の純水循環制御に異常が発生したと判定をしたことに応じて、異常診断の判定フラグを異常であることを示す“1(flag=1)”とし、純水圧力P0が圧力診断閾値(P1+P2)以下となってからの経過時間を診断経過時間としてカウントする。ここでの診断経過時間T1は、前回の判定時点における診断経過時間T1に、今回判定するまでに要した時間間隔Δtを加算した時間(T1=T1+Δt)となっている。
ステップS58において、純水循環異常診断部72は、あらかじめ設定されている診断時間T3を参照し取得する。
ステップS59において、純水循環異常診断部72は、ステップS57でカウントが開始された診断経過時間T1と、ステップS58で取得した診断時間T3とを比較する。純水循環異常診断部72は、診断経過時間T1が診断時間T3よりも大きい場合、ステップS60へと処理を進め、診断経過時間T1が診断時間T3以下の場合、純水流量増量部64による処理であるステップS61へと移行させる。
ステップS60において、純水循環異常診断部72は、診断経過時間T1が診断時間T3よりも大きいことに応じて、加湿系の純水循環制御に異常が発生したとして、システムを停止させるなどの循環異常対応処理へと処理を移行させる。循環異常対応処理は、例えば、警告音などを発することで異常が発生したことを報知したり、発電処理動作を停止させるといった処理である。
ステップS61において、純水流量増量部64は、流量増量時のポンプ回転数である
流量増量ポンプ目標回転数R4を参照する。流量増量ポンプ目標回転数R4は、例えば、あらかじめ設定された値である。
ステップS62において、純水流量増量部64は、ステップS61で参照した流量増量ポンプ目標回転数R4とポンプ目標回転数R1とを比較する。
純水流量増量部64は、流量増量ポンプ目標回転数R4がポンプ目標回転数R1よりも大きい場合、ステップS63へと処理を進め、流量増量ポンプ目標回転数R4がポンプ目標回転数R1以下の場合、後述するポンプ回転数変化率設定部65による処理へと進める。
このステップS62の比較処理は、燃料電池スタック1から取り出す取り出し電力が大きく、要求される加湿能力が高い場合、つまり、あらかじめ設定されている流量増量ポンプ目標回転数R4よりも、ポンプ目標回転数R1の方が大きい場合に、低い方の回転数である流量増量ポンプ目標回転数R4へと切り替わってしまうことで、充分な加湿処理が実行できなくなってしまうことを回避するための処理である。
ステップS63において、純水流量増量部64は、流量増量ポンプ目標回転数R4を、ポンプ目標回転数R1とする。これにより、純水ポンプ41は、流量増量ポンプ目標回転数R4とされたポンプ目標回転数R1で駆動されることになり、圧力が低下した加湿能力の低下に際し、純水の流量増量を図ることができる。このとき純水の流量増量は、所定の時間、例えば、5秒間などというように所定の時間だけ行うようにする。
(ポンプ回転数変化率設定部65の処理)
続いて、図12に示すフローチャートを用いて、ポンプ回転数変化率設定部65の処理動作について説明をする。
図11に示すフローチャートを用いて説明したように、純水ポンプ41のポンプ目標回転数R1が算出されると、実際に純水ポンプ41を駆動させるためのポンプ目標回転数実行値を算出する処理へと移行する。この処理は、ポンプ回転数変化率設定部65によって実行される。
ステップS71において、ポンプ回転数変化率設定部65は、現在のポンプ目標回転数実行値R0を参照し取得する。
ステップS72において、ポンプ回転数変化率設定部65は、あらかじめ設定された回転数を上げていく傾きを制限する回転数変化率制限値H1を参照し取得する。
ステップS73において、ポンプ回転数変化率設定部65は、ポンプ目標回転数R1と、ステップS71で取得した現在のポンプ目標回転数実行値R0とを用いてポンプ回転数の変化率を算出し、回転数変化率制限値H1と比較をすることで、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅の大きさを判定する。
ポンプ回転数の変化率は、ポンプ目標回転数R1からポンプ目標回転数実行値R0を減算し、ステップS57で用いた時間間隔Δtで除算することで以下に示す(3)式のように求めることができる。
ポンプ回転数の変化率=(R1−R0)/Δt ・ ・ ・(3)
次に、ポンプ回転数変化率設定部65は、(3)式により算出されたポンプ回転数の変化率の絶対値と、ステップS72で取得した変化率制限値H1とを比較する。ポンプ回転数変化率設定部65は、ポンプ回転数の変化率の絶対値が、変化率制限値H1よりも大きい場合には、ステップS74へと処理を進め、変化率制限値H1よりも小さい場合には、ステップS75へと処理を進める。
ステップS74において、ポンプ回転数変化率設定部65は、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅が、変化率制限値H1より大きな変化幅であったことに応じて、以下に示す(4)式のようにして、ポンプ回転数変化率幅(H1×Δt)でポンプ目標回転数実行値R0を増減させることで、新たなポンプ目標回転数R1を算出する。
R1=R0+(R1−R0)/|R1−R0|×H1×Δt ・ ・ ・(4)
ステップS75において、ポンプ回転数変化率設定部65は、ステップS74を経由した場合、(4)式で算出されたポンプ目標回転数R1を、ポンプ目標回転数実行値R0とする。
また、ステップS75において、ポンプ目標回転数R1とポンプ目標回転数実行値R0との変化幅が変化率制限値H1内での変化幅と判定された場合、ポンプ回転数変化率設定部65は、ポンプ目標回転数R1をそのままポンプ目標回転数実行値R0とする。
ステップS76において、ポンプ回転数変化率設定部65で算出されたポンプ目標回転数実行値R0は、純水ポンプ41を制御する図示しないシステムコントローラなどに出力される。図示しないシステムコントローラは、このポンプ目標回転数実行値R0で規定される回転数となるように純水ポンプ41を駆動させる。
[第2の実施の形態の効果]
このように、本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムは、図10乃至図12に示すフローチャートに示した制御処理を実行することにより、圧力センサ44によって検出される燃料電池スタック1の入口付近の純水圧力と、圧力診断閾値との比較結果に応じて、加湿系の純水循環制御に異常が発生したかどうかを判定して、異常が発生した場合には、循環異常対応処理を実行することができる。
このとき、純水圧力が低下したらすぐに異常が発生したと判定するのではなく、所定の診断時間T3までの間に、純水ポンプ41の回転数を所定時間だけ上げて純水の循環流量を増量し回復するかどうかを監視する。これにより、純水ポンプ41が稼働するかどうかを検証できると共に、純水圧力の回復がみられた場合には、勾配路などでの車両の傾きや加速度といった外乱により一時的に圧力が低下したと判断できるため、これらの外乱要素に応答することなく誤診断を防止することができる。
また、純水の循環流量を増量するために純水ポンプ41の回転数を上げる時間を所定の時間とすることで、消費電力の削減、純水ポンプ41の耐久性向上、純水ポンプ41稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
さらに、診断時間T3の間に純水圧力の回復がみられた場合には、循環流量を増量する必要がないため、純水ポンプ41を停止させる。これにより、消費電力の削減、純水ポンプ41の耐久性向上、純水ポンプ41稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
また、当該燃料電池システムを車両に搭載した場合、車速に応じて、例えば、車速が遅い際には圧力診断閾値を低く設定し、車速が速くなるのに応じて圧力診断閾値を高く設定することで、外乱要素によって与えられる圧力変動の幅を考慮した最適な異常状態の判定処理を実行することができる。これにより、純水ポンプ41を効率的に稼働することができる。
また、車速が停車付近の所定の車速より速くなってからの経過時間に応じて、圧力診断閾値を高く設定することで、純水ポンプ41の駆動の応答遅れが吸収されるため誤診断を防止することができる。
さらに、車速が遅い際には、純水の循環流量の増量もそれほど必要がないため、純水ポンプ41の最低回転数を低く設定することで、異常状態を判定する際の精度を確保しながら、消費電力の削減、純水ポンプ41の耐久性向上、純水ポンプ41稼働により発生する騒音の抑制を図ることができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態として示す燃料電池システムの構成について説明するための図である。 前記燃料電池システムの冷却系コントローラが備える冷却液循環制御処理部の機能的な構成について示した図である。 前記燃料電池システムの冷却系コントローラが備える異常診断処理部の機能的な構成について示した図である。 冷却液基本流量制御部、ポンプ最低回転数設定部の処理動作について説明するためのフローチャートである。 冷却液流量増量部、冷却液循環異常診断部の処理動作について説明するためのフローチャートである。 ポンプ回転数変化率設定部の処理動作について説明するためのフローチャートである。 冷却液圧力の低下に伴い冷却系の循環制御処理を実行した際の制御例を示すタイミングチャートである。 冷却液圧力の低下に伴い冷却系の循環制御処理を実行した際の制御例を示すタイミングチャートである。 本発明の第2の実施の形態として示す燃料電池システムの構成について説明するための図である。 純水基本流量制御部、ポンプ最低回転数設定部の処理動作について説明するためのフローチャートである。 純水流量増量部、純水循環異常診断部の処理動作について説明するためのフローチャートである。 ポンプ回転数変化率設定部の処理動作について説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池スタック
2 冷却液ポンプ
6 圧力センサ
7 温度センサ
8 車速センサ
9 大気圧センサ
10 冷却液循環制御処理部
11 冷却液基本流量制御部
12 冷却液流量増量待ち時間設定部
13 ポンプ最低回転数設定部
14 冷却液流量増量部
15 ポンプ回転数変化率設定部
20 異常診断処理部
21 診断時間設定部
22 圧力診断閾値設定部
23 冷却液循環異常診断部
30 冷却系コントローラ
41 純水ポンプ
44 圧力センサ
50 加湿系コントローラ
60 純水循環制御処理部
61 純水基本流量制御部
63 ポンプ最低回転数設定部
64 純水流量増量部
65 ポンプ回転数変化率設定部
70 異常診断処理部
71 圧力診断閾値設定部
72 純水循環異常診断部

Claims (14)

  1. 供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池を冷却する液体の循環流量が、該燃料電池の発電に伴って要求される循環流量となるように、液体循環系の循環制御を行う液体循環制御装置であって、
    前記液体の圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記圧力検出手段によって検出される、前記循環制御中の前記液体の圧力と、所定の圧力診断閾値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段により、液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体の循環流量を増量させる循環流量増量手段と、
    前記循環流量増量手段による循環流量増量後において、前記圧力検出手段にて検出される液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体循環系の機能が低下した異常状態であると判定する異常状態判定手段と、
    を備えることを特徴とする液体循環制御装置。
  2. 前記循環流量増量手段は、液体の循環流量を所定の時間だけ増量させることを特徴とする請求項1記載の液体循環制御装置。
  3. 前記循環流量増量手段は、液体の循環流量を増量させた後、前記比較手段による比較によって、前記圧力検出手段によって検出された液体の圧力が、前記圧力診断閾値を超えた場合に、液体の循環流量の増量を停止するよう制御すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の液体循環制御装置。
  4. 前記比較手段による比較によって、前記圧力検出手段によって検出された液体の圧力が、所定の診断時間の間、継続して前記圧力診断閾値以下となった場合、
    前記異常状態判定手段は、前記液体循環系の機能が低下した異常状態であると判定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体循環制御装置。
  5. 前記燃料電池システムを車両に搭載した際、
    車速検出手段によって検出される車速に応じて、車速が遅いほど前記圧力診断閾値が小さくなるように設定する圧力診断閾値設定手段を備えること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体循環制御装置。
  6. 前記圧力診断閾値設定手段は、前記車速検出手段によって検出される車速が、停車付近の所定の車速以下となった場合に第1の圧力診断閾値を設定し、
    前記停車付近の所定の車速よりも速い車速になった場合に、前記第1の圧力診断閾値よりも高い第2の圧力診断閾値を設定すること
    を特徴とする請求項5記載の液体循環制御装置。
  7. 前記圧力診断閾値設定手段は、前記車速検出手段によって検出される車速が、前記停車付近の所定の車速よりも速い車速になった場合、経過時間に応じて、前記第2の圧力診断閾値が高くなるよう設定すること
    を特徴とする請求項6記載の液体循環制御装置。
  8. 前記循環流量増量手段を前記液体を前記循環制御系で循環させる液体循環ポンプとした場合、
    前記制御手段は、前記車速検出手段によって検出される車速に応じて、前記液体循環ポンプの最低回転数を設定すること
    を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体循環制御装置。
  9. 前記液体循環系を、供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を冷却液の循環により冷却する冷却液循環系とし、
    前記比較手段による比較によって、前記圧力検出手段によって検出された冷却液の圧力が、前記圧力診断閾値以下となった場合に、前記循環流量増量手段により冷却液の循環流量の増量が開始されるまでの待ち時間を設定する待ち時間設定手段を備えること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液体循環制御装置。
  10. 前記燃料電池を冷却した後の冷却液の温度を検出する第1の温度検出手段を備え、
    前記待ち時間設定手段は、前記第1の温度検出手段よって検出された冷却液の温度に応じて、前記待ち時間を設定すること
    を特徴とする請求項9記載の液体循環制御装置。
  11. 前記液体循環系を、供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を冷却液の循環により冷却する冷却液循環系とし、
    前記燃料電池を冷却した後の冷却液の温度を検出する第2の温度検出手段を備え、
    前記異常状態判定手段は、前記第2の温度検出手段によって検出された冷却液の温度に応じて、前記診断時間を設定すること
    を特徴とする請求項4に記載の液体循環制御装置。
  12. 前記液体循環系を、供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を冷却液の循環により冷却する冷却液循環系とし、
    前記循環流量増量手段を前記液体を前記循環制御系で循環させる液体循環ポンプとした場合、
    前記燃料電池を冷却した後の冷却液の温度を検出する第3の温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記液体循環ポンプにより、液体の循環流量を増量させる際、前記第3の温度検出手段によって検出された冷却液の温度が高いほど、又は前記異常状態判定手段によって設定された診断時間が短いほど、前記液体循環ポンプの回転数の上昇変化率を制限する回転数変化率制限値を高くすること
    を特徴とする請求項4又は請求項11に記載の液体循環制御装置。
  13. 前記液体循環系は、前記燃料電池内を加湿する純水を供給する加湿循環系であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液体循環制御装置。
  14. 供給されるガスの化学反応により発電する燃料電池を有する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池を冷却する液体の循環流量が、該燃料電池の発電に伴って要求される循環流量となるように、液体循環系の循環制御を行う液体循環制御方法であって、
    前記液体の圧力を検出する圧力検出工程と、
    前記圧力検出工程によって検出される前記循環制御中の前記液体の圧力と、所定の圧力診断閾値とを比較する比較工程と、
    前記比較工程により、液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体の循環流量を増量させる循環流量増量工程と、
    前記循環量増量工程による循環流量増量後において、前記圧力検出工程にて検出される液体の圧力が前記圧力診断閾値よりも小さいと判定された場合には、前記液体循環系の機能が低下した異常状態であると判定する異常状態判定工程と、
    を備えることを特徴とする液体循環制御方法。
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