JP5075740B2 - 吐出器 - Google Patents
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ところで、薬剤、接着剤、クリーム剤等の内容物には、複数の混合要素剤の混合比を適正に調整することが要求されている。
そこで、特許文献1に記載の混合吐出容器においては、混合要素剤を注出するための注出口が形成された端板を一方のチューブに設け、さらに端板の上面に対して摺接状態で回転可能とされた円板を取り付けている。この円板には大小多数の円孔が形成されており、この円板を回転させることで注出口に重なる円孔が選択されるようになっている。すなわち、この混合吐出容器では、注出口に重なる大小多数の円孔を適宜選択することで、注出口の実質的な開口径を適宜変更することができ、一方のチューブから注出される混合要素剤の量を調整して、2つの混合要素剤の混合比の調整を図っている。
すなわち、端板と円板との摺接面の気密性を確保することは困難であり、結果として、2つの混合要素剤の混合比を高精度に調整することが困難となる。
そして、調整リングを回転させることで一の連通管路の流路断面積が変化するため、すなわち、一の連通管路を通る一の内容物の流量が変化するため、これら複数の内容物の混合比を容易に変更することができる。ここで、前述したように、各容器の口部から吐出口に至るまでの流路の気密性は連通管路によって十分に確保されているため、内容物の混合比を高い精度で調整することが可能となる。
また、吐出口から吐出される複数の内容物の合計流量を大きく変化させること無く混合比を調整できるため、混合された複数の内容物を吐出させる操作を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、吐出器1のうち2つの容器2,3の口部2a,3aが接続される側(図1における下側)を下方とし、吐出器1のうち2つの容器2,3に収納される2つの内容物を混合状態あるいは選択的に吐出させる側(図1における上側)を上方とする。また、上下方向に延在する図1に示す符号Lは、装着部材10、調整リング20、支持部材30、ヘッド部材40、及びカバー部材50に共通する中心軸線を示しており、以下、単に中心軸線Lと記す。
なお、前述したように、装着部材10、ヘッド部材40、調整リング20、支持部材30及びカバー部材50は、中心軸線Lを共通軸としてそれぞれ配設されている。
2つの装着穴13,13の上端開口縁には、各装着穴13に容器2,3の口部2a,3aを嵌合した状態で口部2a,3aの上端開口縁が当接するフランジ状の天板部14が設けられている。各天板部14の内周縁には、下側接続筒部15が垂下されると共に、上側接続筒部16が立設されている。これら下側接続筒部15及び上側接続筒部16は、装着穴13の中心線L1を共通軸として配置されており、下側接続筒部15及び上側接続筒部16の各内径はほぼ同等になっている。そして、下側接続筒部15は、容器2,3の口部2a,3aを装着穴13に嵌合した状態で口部2a,3aの内側に嵌合されるようになっている。この状態においては、各容器2,3の口部2a,3aと装着穴13及び下側接続筒部15との気密性が十分に確保されることになる。
上述した装着穴13と、天板部14に形成された下側接続筒部15及び上側接続筒部16とが、前述した各装着筒部11,12を構成している。
なお、装着部材10の上端面には、中心軸線Lを中心とした不図示の小径円筒部が立設されている。この小径円筒部は2つの上側接続筒部16の間に配され、小径円筒部の周方向の一部が2つの上側接続筒部16に一体に形成されている。この小径円筒部は、後述する支持部材30を装着部材10に取り付けるために形成されている。
調整円環板部21は、上側接続筒部16の上端上に配されるようになっており、調整円環板部21の外周縁は中心軸線Lを中心とした平面視略円形状に形成されている。また、調整円環板部21の内周縁21aは平面視略円形状に形成されているが、この内周縁21aの中心軸L2は中心軸線Lに対して偏心している。
操作用周壁部22は、大径円筒部17の外側に配され、大径円筒部17の外周面に対して周方向に摺動可能とされた状態で係合されている。これによって、調整リング20が装着部材10に取り付けられることになる。また、この係合状態においては、調整リング20が装着部材10に対して中心軸線Lを回転中心として回転自在とされている。
支持円環板部31は、調整リング20の周壁部23の内側に挿入されると共に調整円環板部21上に配されるようになっている。そして、支持円環板部31には、2つの連通管路60,60を各別に挿通させるための2つの挿通孔33,33が形成されている。各挿通孔33の内径寸法は、装着部材10の上側接続筒部16の内径寸法と略等しくなるように形成されている。また、支持円環板部31は、この挿通孔33が上側接続筒部16に重なるように、すなわち、挿通孔33の中心線が上側接続筒部16の中心線L1に略一致するように配されている。
小径部35は、装着部材10の小径円筒部(不図示)の内側に嵌合されるようになっており、この嵌合によって、支持部材30が装着部材10に対して位置決めされた状態で取り付けられることになる。また、小径部35を装着部材10の小径円筒部に嵌合させた状態では、大径部34の下端が上側接続筒部16の上端に突き当てられることになる。
なお、大径部34は上記の嵌合状態において大径部34の外周面が上側接続筒部16の内周面の内側に張り出さないように形成されており、この外周面の一部は上側接続筒部16の内周面に対して滑らかに連なっている。
なお、このヘッド部材40においては、その上端に一体に立設された延長筒部43によって吐出口42の長さが中心軸線Lに沿って延長されている。また、ヘッド部材40では、2つの接続孔41,41を相互に隔てる壁部の一部(図1における符号44)が吐出口42の下端側に入り込んでいるため、2つの接続孔41,41からなる2つの流路は吐出口42内で合流することになる。また、前記壁部44の一部を吐出口42の上端まで延設し、吐出口42内では内容物を混合しない(合流しない)構成とすることもできる。
そして、これら一対の取付板部45は支持部材30の大径部34の内側に嵌合すると共に、各取付板部45の下端が小径部35の上端に突き当てられることで、ヘッド部材40が支持部材30に取り付けられることになる。
天壁部51は、上方に向けて膨出したドーム状に形成されており、その中央部には中心軸線L方向に貫通してヘッド部材40の延長筒部を嵌合させるための嵌合孔53が形成されている。したがって、カバー部材50をヘッド部材40に取り付けても吐出口42は外方に向けて開口することになる。
以上のように構成されるカバー部材50は、支持部材30やヘッド部材40、連通管路60を保護するだけではなく、ヘッド部材40を調整リング20に対して取り付ける役割も果たしている。
この設定状態においては、第1の装着筒部11に接続された第1の連通管路60Aは押し潰されるような外力を受けない。そして、第1の連通管路60Aの流路断面は円形状となっており、その流路断面積が最大となる。
したがって、この設定状態においては、第1の容器2に収納された内容物は吐出口42から吐出させることができるが、第2の容器3に収納された内容物は吐出することができない。
この設定状態においては第1の距離と第2の距離とが相互に等しくなる。このため、2つの連通管路60A,60Bの中途部は、調整リング20の内周縁21aによって同じ量だけ押し潰され、これらの流路断面積は互いに等しくなる。また、この状態における流路断面積は、押し潰されていない状態と比較して小さくなっている。
したがって、この設定状態においては、2つの容器2,3に収納された内容物を同じ量だけ吐出口42から吐出させることができる。
この設定状態においては、第1の連通管路60Aが調整リング20の内周縁21aによって完全に押し潰される。すなわち、第1の連通管路60Aの長手方向の中途部が、調整リング20の内周縁21aと支持部材30の大径部34の外周面との間に挟み込まれて閉塞される。
一方、第2の連通管路60Bは押し潰されるような外力を受けないため、第2の連通管路60Bの流路断面が円形状となり、その流路断面積は最大となる。
したがって、この設定状態においては、第2の容器3に収納された内容物は吐出口42から吐出させることができるが、第1の容器2に収納された内容物は吐出することができない。
そして、調整リング20を回転させることで2つの連通管路60A,60Bの流路断面積が連続的に変化するため、すなわち、各連通管路60A,60Bを通る各々の内容物の流量が変化するため、これら2つの内容物の混合比を容易に変更することができる。ここで、前述したように、各容器2,3の口部2a,3aから吐出口42に至るまでの流路の気密性は連通管路60によって十分に確保されているため、内容物の混合比を高い精度で調整することが可能となる。
さらに、混合状態で吐出口42から吐出される2つの内容物の合計流量を大きく変化させること無く混合比を調整できるため、混合された2つの内容物を吐出させる操作を容易に行うことができる。
また、この吐出器1によれば、調整リング20の回転位置に応じて、いずれか一方の連通管路60を閉塞させることができるため、いずれか他方の連通管路60を通る内容物のみを選択して吐出させることも可能である。
例えば吐出器1は、支持部材30及びカバー部材50を備えて構成されるとしたが、少なくとも装着部材10、調整リング20、ヘッド部材40及び連通管路60を備えていればよい。したがって、例えばヘッド部材40の下端側が装着部材10に直接取り付けられてもよい。
また、装着部材10は、装着筒部11,12用の装着穴13を複数形成して構成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば円筒形状の外観を有する装着筒部を一体に固定して構成されてもよい。
また、このような構成においても、複数の装着筒部は任意の位置に配されてよいが、例えば上記実施形態と同様に中心軸線Lに関して点対称となる位置に配されてもよいし、例えば点対称とはならない位置で中心軸線Lを中心とした同心円上に配されてもよい。
2,3 容器
2a,3a 口部
10 装着部材
11,12 装着筒部
20 調整リング
21a 内周縁
40 ヘッド部材
42 吐出口
60A 第1の連通管路
60B 第2の連通管路
L 中心軸線(回転中心軸)
L2 中心軸
Claims (2)
- 複数の容器の口部が各別に着脱自在とされた複数の装着筒部を有する装着部材と、
前記複数の容器に各別に収納される複数の内容物が吐出される吐出口を有するヘッド部材と、
前記複数の装着筒部内と前記吐出口とを各別に連通させる複数の連通管路と、
前記複数の連通管路を挿通させた状態でこれらの連通管路に対して回転自在に取り付けられる調整リングと、を備え、
前記複数の連通管路が、弾性変形可能な軟質材からなり、
当該調整リングの内周縁が平面視円形状に形成されると共に当該内周縁の中心軸が前記調整リングの回転中心軸に対して偏心しており、
当該調整リングの回転位置に応じて、少なくとも一の連通管路が前記調整リングの内周縁に押し潰されて、前記一の連通管路の流路断面積が変化することを特徴とする吐出器。 - 前記調整リングを回転させるにしたがって、複数の連通管路のうち第1の連通管路の流路断面積が減少すると同時に、複数の連通管路のうち第2の連通管路の流路断面積が増加することを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
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