JP5074750B2 - シクロデキストリン類を含有する液状フィブリノゲン製剤 - Google Patents

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本発明は2成分製剤として存在する組織接着剤の構成成分であるフィブリノゲン含有製剤に関する。より詳細には、フィブリノゲンを主成分とし、実質的に必要な量の血液凝固第XIII因子を含有し、さらにシクロデキストリン類を含有することを特徴とする溶液状態で保存が可能な液状フィブリノゲン製剤に関する。
繊維素原(フィブリノゲン)は、いわゆる凝固カスケードの最終段階に存在する非常に重要な凝固因子である。フィブリノゲンは、例えば損傷後の凝固系の活性化において、トロンビンによりその可溶性形態から止血および創傷治癒に重要な寄与をする不溶性のフィブリンに変換される。
フィブリノゲンは止血および創傷治癒に対して重要性を有し、例えば先天性および後天性のフィブリノゲン欠乏症における補充療法で静脈投与製剤として臨床的に使用され、血液中のフィブリノゲン濃度を高めることによって重篤な出血を阻止する。さらに、近年、フィブリノゲンはトロンビンと混合させることにより、外科手術において肝臓又は脾臓のような軟部器官の縫合代用の接着剤として、または縫合補助剤として使用されていると同時に、幅広い臨床の現場で応用されている。
血液凝固第XIII因子(第XIII因子)はトロンビンによってカルシウムイオンの存在下に活性化される(活性化XIII因子)。活性化XIII因子は、フィブリン分子間にイソペプチド結合による架橋、すなわちγダイマーを形成し、フィブリン凝塊の物理的強度と安定性を高める。そのため、組織接着剤として汎用されているフィブリン糊製剤中には、精製された第XIII因子が付加的に添加されたものか、フィブリノゲンの調製を通じて原料から混入してくるものかは別にして、実質的に必要な量の第XIII因子が含まれている。ここでいう実質的に必要な量とは、γダイマーを生じる濃度である(非特許文献1)。
特公昭63−40546号(特許文献1)の記載により明らかなように、フィブリノゲンおよび第XIII因子を含有する組織接着剤の製造方法が公知である。凍結乾燥されたフィブリノゲンもしくはフィブリノゲンを高い割合で含有する血漿蛋白質混合物の凍結乾燥物は、溶解液による再構成の際、高められた温度においてのみ徐々に再溶解することが知られている。
フィブリン接着剤としての接着作用を十分に得るためには、フィブリノゲンを高濃度に溶解させることが必要であり、凝固しうるフィブリノゲン濃度は高濃度であるほど有利である。ところが、このような高濃度フィブリノゲン溶液をフィブリノゲン凍結乾燥物から調製するには時間を要し、緊急使用に対応できない。さらに、フィブリノゲン凍結乾燥物の溶解操作に要した時間が長くなった場合は患者に悪影響を及ぼすことも危惧される。
また、特公昭63−40547号(特許文献2)には上述の組成のフィブリノゲン溶液を低温氷結して安定性を高めようとする技術が開示されている。さらに、高濃度のフィブリノゲンを含有する製剤を供するために、フィブリノゲンの溶解性を上昇させる溶媒に着目し、種々のフィブリノゲン溶解促進剤を添加した6〜10%(w/v)のフィブリノゲン溶液を調製し、凍結状態で保存し、用時に融解して使用する技術が開発されている(特開昭57−149229号公報:特許文献3)。上述の凍結製剤は凍結乾燥製剤に比較して使用時の利便性は向上したが、用時融解に際して時間を要する点、さらに、凍結状態で保存するための設備を必要とする点等、なお問題を含むものであった。
この課題に対しては、特開平7−173073号(特許文献4)において、緊急使用に対応できるように、凍結を避けた低温保存条件下において、溶液状態で安定に保存されうるフィブリノゲンを主成分とする製剤を供する技術として、アルギニンを代表とするグアニジノ基を有する物質を添加する技術が開示されている。
同様に、国際公開第91/19519号パンフレット(特許文献5)において、液状形態で低温において安定化されたヒトまたは動物の組織のための生物学的接着剤として、尿素を代表とする少なくとも1種のカオトロープ剤を含有する技術が開示されている。
これらの技術に記載された液状フィブリノゲン製剤は、凍結を避けた低温保存条件下において、フィブリノゲンの重合による粘度上昇およびゲル化が、防止または減少されており優れている。しかしながら、フィブリン接着剤として有効な成分である第XIII因子は、これらの条件下で著しく活性が低下し、重大な問題であった。
この問題を解決するため、特表2002−529202号(特許文献6)においては、第XIII因子およびフィブリノゲン(カオトロープ物質を0.04M〜0.28M含有)を別個に貯蔵した液状調製物が開示されている。しかしながら、その技術はカオトロープ剤を含んで成る液状で安定なフィブリノゲン製剤中の第XIII因子の活性を安定に保つという当初の課題に対して解決策を示すものではなく、さらにいえば、結局それらを混合する操作が必要になってしまうため、別の調製の手間がかかるということで、緊急使用には不向きであり、また、細菌汚染が起こる可能性もあるなどの問題を残している。
特公昭63−40546号公報 特公昭63−40547号公報 特開昭57−149229号公報 特開平7−173073号公報 国際公開第91/19519号パンフレット 特表2002−529202号公報 Dickneite,G., et al., Pharma Medica 21(9),p.105〜118,(2003)
このような状況下、本発明の課題は、組織接着剤の構成成分として、緊急使用に対応できるように、溶液状態で安定に保存されうる、実質的に必要な量の血液凝固第XIII因子を含有するフィブリノゲン製剤を調製することである。
上記課題の中で問題となるのは、凍結を避けた低温保存条件下において、フィブリノゲンのゲル化を抑制するために添加されるカオトロープ剤により、第XIII因子の活性が低下する点である。
また、組織接着剤の構成成分として使用されるフィブリノゲン溶液は、患部に塗布される際、一旦注射器のような塗布用器具に移されるが、移し換え等の操作に手間がかかり、さらに移し換える間に細菌汚染が起こる可能性もある。
そこで、本願発明者らは上述の諸問題に鑑み鋭意検討した結果、カオトロープ剤を添加した、実質的に必要な量の第XIII因子を含有するフィブリノゲン溶液に、シクロデキストリン類を共存させると、凍結をさけた低温保存条件下において、第XIII因子を安定に保つことが可能であるという知見を得、本発明を完成させるに至った。
本発明は、低温保存下において安定な液状フィブリノゲン製剤として、下記の発明を含むものである。
1)フィブリノゲンを主成分とし、実質的に必要な量の血液凝固第XIII因子を含有し、さらにシクロデキストリン類を含有することを特徴とする、凍結を避けた低温保存条件下において、溶液状態で保存され得る液状フィブリノゲン製剤。
2)前記シクロデキストリン類が、α−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリン修飾物質より選択される上記1)に記載の液状フィブリノゲン製剤。
3)カオトロープ剤を含有する上記1)または2)に記載の液状フィブリノゲン製剤。
4)前記カオトロープ剤として、アルギニン、グアニジン、シトルリン、尿素またはこれらの誘導体およびニコチンアミドからなる群からの1種またはそれ以上の化合物を含有する上記3)に記載の液状フィブリノゲン製剤。
5)付加的に線溶阻害剤を含有する上記1)から4)のいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤。
6)トロンビンを主成分とする成分と組み合わせることにより、ヒトおよび動物組織の生物学的接着剤を構成することを特徴とする上記1)から5)のいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤。
7)上記1)から6)のいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤が予め分注されていることを特徴とする塗布用器具。
本発明により、低温保存条件下においても、フィブリノゲンのゲル化や第XIII因子の活性の低下が抑制された保存安定性の優れた液状フィブリノゲン製剤の提供が可能となった。本発明により得られた液状フィブリノゲン製剤は保存性に優れていることから、溶解操作等を必要とせず、さらに本液状製剤を予め塗布用器具に分注しておくことにより塗布用器具への移し換えが不要となり、緊急時に直ちに使用できるという極めて優れた利点を有する。さらに、本発明の液状フィブリノゲン製剤は、シクロデキストリンの添加により適度に粘度が増大していることから、組織接着剤として使用する際、患部から垂れ流れにくくなるという利点も有する。
本発明の、溶液状態で安定に保存されうるフィブリノゲン製剤は、好適な緩衝液、例えば0.15M塩化ナトリウムを含むpH7.0の溶液中に、フィブリノゲンを主成分とし、実質的に必要な量の血液凝固第XIII因子を含有し、さらに安定剤としてシクロデキストリン類を含有する。
本発明に用いられるシクロデキストリン類としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ならびに各々の修飾物質より選択されるものであるが、とりわけ、α−シクロデキストリン及びその修飾物質が好ましい態様である。ここで、α−シクロデキストリン修飾物質とは、溶解性の向上や包接能の改善などを目的として、α-シクロデキストリンに様々な官能基を導入して得られたものである。本発明におけるα−シクロデキストリン修飾物質の例として、マルトシル化、グルコシル化、ジメチル化されたものなどが挙げられる。このようなα−シクロデキストリン、またはその修飾物質の添加量は好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上の濃度が最適な態様である。
本発明に係る製剤の主成分であるフィブリノゲンは公知の方法で調製される。そのようなものとして、例えば冷エタノール沈澱法にグリシンによるフィブリノゲンの溶解度低下効果を組み合わせた方法(Blomback,B. and Blomback,M., Arkiv Kemi, 10,p.415〜443,(1956))およびグリシンを単独で使用するグリシン沈澱法(Kazal,L.A., et al., Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,113,p.989〜994,(1963))等が報告されている。また、フィブリノゲンは遺伝子組換え法により作製されたものを用いてもよい。本製剤におけるフィブリノゲンの濃度は、4〜12%(w/v)であることが好ましい。
第XIII因子は公知の方法で調製される。そのようなものとして、例えば、血漿から精製する方法(Curtis,CG.,Lorand,L.,Methods Enzymol.,45,p.177〜191)が報告されている。本製剤においては、フィブリン分子間にイソペプチド結合による架橋、すなわち、γダイマーを生じさせうる濃度の第XIII因子を含有させる必要がある。例えば製剤1mLあたり0.4単位以上であることが好ましい。また、第XIII因子は遺伝子組換え法により作製されたものを用いてもよい。
本発明の液状フィブリノゲン製剤は、低温下におけるフィブリノゲンのゲル化を抑制するためにカオトロープ剤を含有している。カオトロープ剤として、アルギニン、グアニジン、シトルリン、尿素またはこれらの誘導体およびニコチンアミドがあり、これらのカオトロープ剤の中から少なくとも1種が本製剤に添加されている。添加されるカオトロープ剤の濃度としては、0.1M以上が好ましい。例えば、アルギニンを用いる場合、0.2Mが添加される。
本発明のフィブリノゲン製剤は、線溶阻害の目的で付加的に線溶阻害剤を含有することができる。線溶阻害剤は特に限定されるものではないが、アプロチニン、α−プラスミンインヒビター、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸等が好ましい。
本発明に係る添加剤並びに付加的な添加剤の添加工程の順序については、最終製剤中に上記諸添加剤が所定の濃度で含有されるものであれば特別な制約はないが、例えば、夾雑ウイルス不活化のための凍結乾燥加熱処理を行った後、再溶解後の最終調製時に添加されるのが好ましい。
上記溶液組成において、フィブリノゲン溶液は10℃以下の凍結を避けた低温保存条件下において溶液状態で安定に保存され得る。
さらに、この液状フィブリノゲン製剤は注射器を利用した塗布用器具中にあらかじめ分注され使用することもできる。本発明のフィブリノゲン溶液を無菌濾過後、滅菌済みの塗布用器具に分注し、先端をキャップしておくことにより臨床使用時に製剤を他の容器に移し換えることなく、直接使用することができる。
また、本発明の上記液状フィブリノゲン製剤は、単独で使用されるのみならず、トロンビンを主成分とする成分と組み合わせることにより、ヒトおよび動物組織の生物学的接着剤を構成し、幅広い臨床の現場で応用される。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に何等限定されるものではない。
《実施例1:シクロデキストリン類の添加効果》
8%(w/v)濃度フィブリノゲン(全蛋白質量あたり、トロンビンを添加した際に凝固沈殿する蛋白質量が90%以上)および75単位/mLの第XIII因子(A280nmの吸光度1.0あたり約50単位)を含む、0.15M塩化ナトリウム(富田製薬)、0.2Mアルギニン塩酸塩(ナカライテスク)を含むpH7.0の溶液を前述した方法で調製し、各種濃度のα−シクロデキストリン(和光純薬)が添加され、1℃の温度で経時的に安定性が試験された。安定性は、保存した検体の6ヶ月間の第XIII因子活性、性状および粘度(20℃での測定)によって評価された。第XIII因子活性は、第XIII因子のトランスグルタミナーゼ活性により、ダンシルカダベリンをカゼインに結合させた後、分離カラムを用いて未反応のダンシルカダベリンとカゼイン−ダンシルカダベリン結合物の分離を行い、結合物の蛍光強度を、励起波長335nm,蛍光波長510nmで測定し、標準物質を用いて作成した検量線より第XIII因子の活性値を求め、保存前と比較した残存活性(%)として算出した。
その結果は表1(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的第XIII因子活性変化)、表2(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的性状変化)、および表3(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的粘度変化)のとおりである。
1℃での保存により、無添加検体では第XIII因子活性の低下が確認されたが、これと比較して、α−シクロデキストリンを添加した検体では、第XIII因子活性低下を抑制する効果が確認された(表1)。このことから、フィブリノゲンのゲル化抑制目的で添加されるアルギニンによって活性が低下する第XIII因子は、α−シクロデキストリンによって安定性が増すことが明らかとなった。また、α−シクロデキストリンを添加した検体は、性状変化、粘度変化を生じなかった(表2、表3)。さらに、α−シクロデキストリンを添加することにより、濃度依存的に粘度を増加させる効果が確認された(表3、0箇月目)。
Figure 0005074750
Figure 0005074750
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《実施例2:シクロデキストリン類の効果》
8%(w/v)濃度フィブリノゲン(全蛋白質量あたり、トロンビンを添加した際に凝固沈殿する蛋白質量が90%以上)および10単位/mLの第XIII因子(A280nmの吸光度1.0あたり約50単位)を含む、0.15M塩化ナトリウム(富田製薬)、0.15Mアルギニン塩酸塩(ナカライテスク)を含むpH7.0の溶液を前述した方法で調製し、各種濃度のα−シクロデキストリン(和光純薬)が添加され、1℃の温度で経時的に安定性が試験された。安定性は、保存した検体の6ヶ月間の第XIII因子活性および性状によって評価された。第XIII因子活性は前述の方法で測定された。
その結果は表4(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的第XIII因子活性変化)、および表5(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的性状変化)のとおりである。
1℃での保存により、無添加検体では第XIII因子活性の低下が確認されたが、これと比較して、α−シクロデキストリンを添加した検体では、第XIII因子活性低下を抑制する効果が確認された(表4)。また、α−シクロデキストリンを添加した検体は、性状変化を生じなかった(表5)。
Figure 0005074750
Figure 0005074750
《実施例3:修飾シクロデキストリン類の効果》
8%(w/v)濃度フィブリノゲン(全蛋白質量あたり、トロンビンを添加した際に凝固沈殿する蛋白質量が90%以上)および60単位/mLの第XIII因子(A280nmの吸光度1.0あたり約50単位)を含む、0.2M塩化ナトリウム(富田製薬)、0.4Mアルギニン塩酸塩(ナカライテスク)を含むpH7.0の溶液を前述した方法で調製し、α−シクロデキストリン(和光純薬)、または6−O−マルトシル−α−シクロデキストリン(和光純薬)、または6−O−グルコシル−α−シクロデキストリン(和光純薬)が、それぞれ6%添加され、1℃の温度で経時的に安定性が試験された。安定性は、保存した検体の2ヶ月間の第XIII因子活性、性状および粘度(20℃での測定)によって評価された。第XIII因子活性は前述の方法で測定された。
その結果は表6(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的第XIII因子活性変化)、表7(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の経時的性状変化)、および表8(フィブリノゲン溶液を1℃保存した際の粘度変化)のとおりである。
1℃での保存により、無添加検体では第XIII因子活性の低下が確認されたが、これと比較して、α−シクロデキストリン、または6−O−マルトシル−α−シクロデキストリン、または6−O−グルコシル−α−シクロデキストリンを添加した検体では、第XIII因子活性低下を抑制する効果が確認された(表6)。また、これらの検体は、性状変化、粘度変化を生じなかった(表7、表8)。
Figure 0005074750
Figure 0005074750
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《実施例5:液状フィブリノゲン製剤充填塗布用器具の作製》
クエン酸塩血漿から得られた寒冷沈澱物を可溶化し、1.5Mグリシン溶液を用いて沈澱させたフィブリノゲン沈澱を、0.15M塩化ナトリウムを含むpH8.0の0.025Mクエン酸緩衝液に37℃で溶解させた。このフィブリノゲン溶液を−2℃に冷却した後8%(v/v)エタノールを添加し沈澱を回収した。得られた沈澱を0.075M塩化ナトリウムを含むpH7.0の5mMクエン酸緩衝液に37℃で溶解させた。フィブリノゲン濃度を約2%(w/v)に調整した後、フィブリノゲン溶液1mLあたり75単位の第XIII因子が添加された。この溶液を凍結乾燥およびそれに続く乾燥加熱処理を行なった後、得られた凍結乾燥粉末を0.2Mアルギニン塩酸塩(ナカライテスク)、10%α−シクロデキストリン(和光純薬)および1,000KIE/mLアプロチニンを含むpH7.0の溶液でフィブリノゲン濃度約8%(w/v)となるように可溶化した。この溶液を無菌濾過し、滅菌済みの5mL容注射器に3mL分注し先端にキャップを付け、液状フィブリノゲン製剤が充填された塗布用器具を作製した。

Claims (6)

  1. フィブリノゲンを主成分とし、実質的に必要な量の血液凝固第XIII因子を含有し、さらにα−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリン修飾物質を含有することを特徴とする、凍結を避けた低温保存条件下において、溶液状態で保存され得る液状フィブリノゲン製剤。
  2. カオトロープ剤を含有する請求項1に記載の液状フィブリノゲン製剤。
  3. 前記カオトロープ剤として、アルギニン、グアニジン、シトルリン、尿素またはこれらの誘導体およびニコチンアミドからなる群からの1種またはそれ以上の化合物を含有する請求項に記載の液状フィブリノゲン製剤。
  4. 付加的に線溶阻害剤を含有する請求項1からのいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤。
  5. トロンビンを主成分とする成分と組み合わせることにより、ヒトおよび動物組織の生物学的接着剤を構成することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤が予め分注されていることを特徴とする塗布用器具。
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