JP2005508925A - 貯蔵安定なフィブリノーゲン溶液 - Google Patents

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Abstract

すぐに使用できる生体適合性の哺乳動物フィブリノーゲンを安定に貯蔵する方法であって、その濃度にもかかわらず液体の形で利用できる状態にあり、組織接着剤調製物へ長期間迅速且つ容易に処理することができる、前記方法が提供される。また、本方法の使用から得られた貯蔵安定な滅菌した水性フィブリノーゲン製品であって、該フィブリノーゲンが長期間液体の形ですぐに使用できる状態にあり、自然に凝固(即ち、トロンビン/Ca++のような活性化物質の不在でさえも血餅を形成)せず、生物活性(即ち、トロンビンとCa++による暴露と激しい混合時にフィブリン血餅を急速に形成する能力)を保持する、前記製品が提供される。

Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、一般的には、貯蔵安定な濃縮フィブリノーゲン調製物及び出血の阻止、創傷治癒の促進、他の多くの治療適用や非治療適用のための使用方法に関する。
関連出願の説明
本出願は、2001年10月3日出願の米国仮出願第60/326,963号の優先権を主張し、その明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。
発明の背景
フィブリノーゲンは、血漿タンパク質であり、哺乳動物において止血を維持し且つ出血を阻止するために凝固の最終段階で重要な役割がある。哺乳動物における血餅形成、即ち、血液凝固は複雑な血液凝固カスケードによって起こり、最終ステップにおいてフィブリノーゲンの単量体がトロンビンと活性化第XIII因子とカルシウムイオンの存在下に反応して、架橋フィブリンポリマーを含むフィブリン血餅を形成する。
フィブリノーゲンモノマーは、2〜4 g/l血漿タンパク質であり、3対のジスルフィド結合ポリぺプチド鎖からなっている。これらは、α鎖とβ鎖の2つの小さなアミノ末端ぺプチドである(Aα)2、(Bβ)2と、γ2と呼ばれる。フィブリノーゲンからトロンビンでフィブリノぺプチドAを切断すると化合物、フィブリンIが生じ、続いてフィブリノBを切断すると最後にフィブリンII化合物が生じる。切断によってフィブリノーゲンの分子量は340,000ダルトンから334,000までわずかしか減少しないが、プロセスによって集合架橋したフィブリン血餅の形成を可能にするのに不可欠な重合部位がさらされる。Jackson, Ann. Rev. Biochem 49:765-811(1980); Furie et al., Cell 53:505-518(1988)を参照のこと。
最近、最終段階の自然凝固を模倣し、よってフィブリン血餅を生じる、フィブリノーゲンと、トロンビンと、他の成分を含む生物学的接着剤が開発された。フィブリンシーラント又は組織シーラント、生物学的シーラント、フィブリングルー又は組織グルー、生物学的接着剤等(本明細書では集団的に“フィブリンシーラント”と呼ぶ)と呼ばれ、そのような材料に関する試験から引張強さとフィブリノーゲンの最終濃度との直接の関係がわかった(審査請求されていない日本特許出願、特開昭61-293443)。従って、濃縮フィブリノーゲンの利用可能性は、従来のフィブリンシーラントの調製に重要である。
フィブリノーゲンに基づく組織接着剤は、例えば、米国特許第6,117,425号(MacPhee et al.)から既知である。フィブリノーゲンと第XIII因子に加えて、そのような製剤はフィブロネクチンやアルブミン、場合によっては抗生物質、成長因子等の追加のタンパク質を含むことができる。必要とされる触媒(トロンビン仲介)活性は、適用されるホスト組織(創傷表面)に由来し得るか又はトロンビンとCa++イオン含有溶液又は粉末の形で組織接着剤に適用の過程で加えることができる。そのようなフィブリンシーラントは、ヒト又は動物組織又は臓器部分のシームレス又はシーム支持結合、傷閉鎖、止血又は創傷治癒の促進、人工器官の被覆、他の多くの治療適用や非治療適用に用いられている。
フィブリンシーラントのフィブリノーゲン成分は、しばしば第VIII因子の調製における廃棄物としてプールされた血漿に由来する。フィブリノーゲンは、低温沈殿、又は種々の試薬、例えば、ポリエチレングリコール、エーテル、エタノール、硫酸アンモニウム又はグリシンを用いた既知の方法による沈殿によって血漿から濃縮し得る。フィブリンシーラントは、例えば、Brennan, Blood Reviews 5:240-244(1991); Gibble et al.,
Transfusion 30:741-747(1990); Matras, J. Oral Maxillofac. Surg. 43:605-611
(1985); Lerner et al., J. Surg. Res. 48:165-181(1990)に見られる。
調製の見地から、米国特許第5,290,552号によれば、初期の外科的接着剤製剤は必ず高フィブリノーゲン含量(約8〜10%)を含み、その凍結乾燥物は非常に調製が困難であった。そのような低温沈殿は比較的不安定であり、使用まで-20℃より低い温度での貯蔵が必要であった。低温沈殿の安定性を改善させる製剤には、プラスミノーゲン活性化物質又はアルブミンの阻害剤の添加が含まれた。
十分な高フィブリノーゲン濃度の調製物は、止血が有効であり、創傷及び/又は組織面積に対するシールの密着が良好であり、接着及び/又は傷閉鎖の強度が大きく、創傷治癒プロセスの過程で接着剤の再吸収性が完了する。最適接着の場合、約15〜60 mg/mlのすぐに使用できる組織接着溶液のフィブリノーゲン濃度が必要である(MacPhee, personal communication, 1995)。
組織接着剤は、深冷凍結溶液か又は凍結乾燥物として市販されている。このことは、液体溶液として高濃縮フィブリノーゲンが極めて不安定であることが既知であるからである(http:www.tissuesealing.com/us/products/biological/monograph.cfm)。即ち、自然凝固しやすいことが既知であるからである。その結果、現在、Tissucolのような市販の凍結乾燥及び/又は深冷凍結フィブリノーゲン濃縮物は液状にされなければならない。即ち、適用前に凍結乾燥した形から徐々に解凍(“融解”)又は再構成されなければならない。しかしながら、いずれの液化プロセスも製品を使用し得る前にかなりの努力とかなりの時間の遅れを伴い、損傷をおった患者を生命を脅かす状況へ置くことになってしまう。
深冷凍結濃縮物の“液化温度”、例えば、調製物が凍結固体から液体へ変化する点には溶液の温度を通常は少なくとも25℃まで、しばしば37℃を超えるまで、撹拌又はかきまぜながら30〜60分間徐々に上げることが必要である(http://www.tissuesealing.com/us/
products/biological/monograph.cfm)。結果として従来技術のフィブリノーゲン調製物の再構成には、深冷凍結材料をできるだけ短時間ですぐに使用できる溶液に変えるために水浴又は他の加熱装置(典型的には37℃で)の使用が必要である。しかしながら、難しく扱いにくい解凍手順全体での熱交換は、典型的には、例えば、製品の滅菌状態を維持するために、二重のコーティング包装が必要とされることから更に困難である。例えば、予め充填したすぐに使用できる滅菌した使い捨て注射器における深冷フィブリンシーラント調製物は無菌のためにプラスチックフィルムに二重に密封されなければならない。
深冷凍結固体から液体状態への転移は、急激に起こらないが、上昇温度段階の進行につれてゼラチン状態と粘性状態を過渡的に通過する。少なくとも1つの試験によれば、試験管を傾けたときに水平な高さの液体が生じるまで、即ち、試料が流れているときに直ちに目に見えるふくらみが生じない場合、試料は‘液体’と呼ばれない。‘液体’のすぐに使用できる状態に一様に達したときを求めるために製品を試験することにより、従来技術の貯蔵したフィブリノーゲン調製物を使用し得る前に時間を要するステップが追加される。更に、熟練者による不確定度や誤差の可能性が明らかであり、フィブリノーゲン製品の用途や有効性に影響し得る。
凍結乾燥フィブリノーゲンの調製時間は、また、製品を使用し得る前にかなりの遅れを生じ、現在用いうるフィブリノーゲンに基づく止血剤の使用において大問題である。それ故、凍結乾燥フィブリノーゲン調製物の溶解性を改善するためにかなりの努力が行なわれた。例えば、一製造業者は、加熱しつつかなりかきまぜるためにタンパク質のバイアルに付け加えられた磁気スターラーの使用を必要とする。これにより、ほとんど混合せずにその同じ製品に得られる時間より溶解時間が速くなるが、簡単にすぐに使用できるフィブリノーゲンを得るために30〜60分の調製時間がなお必要である。
従来技術のフィブリノーゲン調製物の溶解性は、ウイルス不活性化法の実行によってしばしば更に低下する。凍結乾燥した残留物を熱処理に供するような方法で、例えば、欧州特許第0 159 311号に従って行なうことが好ましい。
凍結乾燥物の再構成は、ある種の添加剤の添加によって改善し得ることが既知である。従って、例えば、欧州特許第0 345 246号には、フィブリノーゲンに加えて、少なくとも1種の生物学的に許容しうる添加剤(テンシド(tenside))を更に含む凍結乾燥フィブリノーゲン調製物が記載されている。テンシドを添加すると凍結乾燥物の湿潤が改善されることになり、よってある温度での溶解速度が改善されるが、フィブリノーゲン自体の溶解性は改善されない。それ故、そのような調製物は25℃より高い、通常は37℃の周囲温度で再構成されなければならない。
使用前に凍結乾燥又は深冷凍結フィブリノーゲン製品、特に濃縮調製物を再構成又は液状にする要求を克服するために、室温で可溶性であるある種のフィブリノーゲン調製物が導入された。しかしながら、そのような従来技術の製品は細胞毒性である(Beriplast, Biocol, Bolheal HG-4)。
米国特許第5,962,405号には、フィブリノーゲンの貯蔵安定な凍結乾燥又は深冷液体調製物であって、フィブリノーゲン濃度が少なくとも70 mg/mlであるすぐに使用できる組織接着剤溶液を製造するために、好ましくは加熱及び/又は撹拌装置のような追加の手段を用いずにすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液及び/又は組織接着剤溶液に再構成し液状にし得る、前記調製物が提供されている。しかしながら、該調製物は、フィブリノーゲンと、該調製物の溶解性を改善する及び/又はその液化温度を下げるとともに室温ですぐに使用できる組織接着剤溶液の粘性を下げる少なくとも1種の追加物質を含んでいる。次の物質: ベンゼン、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、モルホリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、フラン、チアゾール、プリン化合物又はビタミン類、核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドの1種以上より選ばれた溶解性を上げる物質をフィブリノーゲン1グラム当たり0.03〜1.4ミリモルの割合で添加するが、比較的高い割合の物質/フィブリノーゲンが奨められる。追加のタンパク質、補助剤、添加剤も存在させることができる。しかしながら、液化温度が低いことから、‘405特許には深冷濃縮フィブリノーゲン溶液の液化が以前に必要とされた37℃の加温条件とは反対に20O〜23℃(室温)の周囲温度で有利に起こりうることがクレイムされている。しかし、該方法は深冷条件(-25℃から-15℃より低い温度で維持される温度)下での貯蔵をなお必要とし、該調製物は液状にするのになお15分間までかかる。
組織シーラント調製物において使用するためのフィブリノーゲン溶液の早まった凝固に対する代替的溶液の米国特許第5,985,315号には、活性化がカルシウムイオンに依存しない少なくとも1種の活性化凝固因子を添加したフィブリノーゲンを含む安定な生物学的前活性化接着剤が提供される。前活性化接着剤は、水溶液中で安定である。即ち、該溶液は20Oの温度で少なくとも1時間自然に凝固しないが、カルシウムイオンを添加することにより簡単に5分間に凝固するようにさせ得る。活性化物質は更に必要としない。従って、得られた生物学的接着剤には、凝固を達成するためにトロンビンの添加もプロトロンビンの添加も必要がない。しかしながら、残念なことに、そのような緩慢な凝固時間が得られたフィブリンシーラントをあらゆるタイプの流動又は脈動傷に用いるのに実際的でなくする。
それ故、医療の観点から、すぐに使用できる生物学的組織接着剤の速やかな利用可能性は、特に外科的救急状況に不可欠である。更に、可能な限り操作がないことも援助する人員に対する負担をできるだけ少なくするためにすぐに使用できるフィブリンシーラント溶液の調製物が必要とされなければならない。フィブリンシーラント調製物には貯蔵フィブリノーゲン成分が必要であるが、いまのフィブリノーゲンは凍結乾燥物、深冷濃縮物、又はフィブリノーゲンに基づく組織接着剤の有効性又は患者又は被検者によるその安全な使用を負に変え得る他の成分との混合物として利用できるだけである。従って、高濃度にもかかわらず、液体の形で利用できる状態にあるとともに組織接着剤調製物へ迅速で容易に処理することが可能である貯蔵安定なすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液が依然として求められている。
発明の概要
本発明は、すぐに使用できる生体適合性の哺乳動物フィブリノーゲンを安定に貯蔵する方法であって、その濃度にもかかわらず、液体の形で利用できる状態にあるとともに組織接着剤調製物へ迅速で容易に処理することが可能である、前記方法を含んでいる。また、本方法の使用から得られた貯蔵安定な滅菌水性フィブリノーゲン製品であって、該フィブリノーゲンが液体の形ですぐに使用できる状態にあり、自然に凝固(即ち、トロンビン/Ca++のような活性化物質の不在でさえも血餅を形成)せず、生物活性(即ち、トロンビンとCa++による暴露と激しい混合時にフィブリン血餅を急速に形成する能力)を維持する、前記製品が提供される。主題の貯蔵したすぐに使用できる生体適合性の濃縮哺乳動物フィブリノーゲンは十分に可溶化されており、その溶液は水溶液であり。その安定性はpH及び温度依存性である。その製品は、組成物の凝固特性に影響せずに凍結、解凍、再凍結、再解凍し得る。例示した哺乳動物フィブリノーゲンはウシであるが、哺乳動物はそのように限定されることを必要とせず、いかなる哺乳動物フィブリノーゲンにも関する。
本発明の方法は、すぐに使用できる安定な生体適合性の濃縮哺乳動物フィブリノーゲン溶液であって、安定性が最初の調製後少なくとも1日から1年以上の範囲にある貯蔵期間維持される、前記フィブリノーゲン溶液を提供する。
好適方法によれば、本発明は、新しく調製される、又は血漿又は、いずれかの凍結調製物から新しく分離精製され、室温で又は冷蔵(約4℃)下、pH6.5〜8.2の範囲にあるpHレベルで適切な容器内で滅菌状態のもとで維持される、すぐに使用できるフィブリノーゲン溶液を提供する。安定性は少なくとも1年以上維持される。本方法に従って貯蔵されたすぐに使用できる安定な滅菌フィブリノーゲン水溶液が更に提供される。
更に他の好適方法によれば、本発明は、貯蔵安定性を高めるために上記のすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液にプロテアーゼ阻害剤を添加することを提供する。従って、本発明は、哺乳動物フィブリノーゲンをすぐに使用できる水溶液中で安定に貯蔵する方法であって、滅菌状態のもとでフィブリノーゲン溶液を新しく調製する、又は血漿からフィブリノーゲン溶液を新しく分離精製するステップと、該フィブリノーゲン試料のタンパク質分解を防止するためにプロテアーゼインヒビターの有効量を該フィブリノーゲン溶液に添加するステップと、該フィブリノーゲン溶液を(i)該フィブリノーゲン溶液が液体のままである約4℃〜約23℃の範囲にある一定温度で、(ii)pH 6.31〜8.1の範囲にあるpHレベルで、(iii)該フィブリノーゲンの生体適合性や生物活性が維持される条件下で貯蔵するステップとを含む、前記方法を提供する。安定性は、少なくとも1年間以上維持する。本方法に従って貯蔵された安定なすぐに使用できる滅菌フィブリノーゲン水溶液が更に提供される。
ある実施態様においては、後の適用、又はそれから製造された製品又は材料において得られたフィブリノーゲンの有効性を高めるために上記の貯蔵安定なすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液に他の添加剤又は成分も添加される。そのような代替法に従って貯蔵されたすぐに使用できる安定な滅菌フィブリノーゲン水溶液が更に提供される。
このように調製且つ貯蔵されたすぐに使用できる濃縮哺乳動物フィブリノーゲン溶液は、中和され、本フィブリンシーラント調製物を含む生物学的組織接着剤又はシーラントの調製、例えば、創傷治癒、凝固、フィブリノーゲン血症、手術又は手術後後遺症の阻止、コーティング血管人工器官、又は注入用途を含む他の薬理的又は美容使用、他の補足した又は補足されない生体内又は試験管内治療又は非治療適用にステップ又は工程を追加せずに用いることができる。
本発明の追加の目的、利点、新規な特徴は下記の説明、実施例、図面に部分的に示され、一部には下記を調べたときに当業者に明らかになり、本発明の実施によって学ぶこともできる。
上記概要、及び本発明の下記の詳細な説明は、添付の図面とともに読み取られたときにより良く理解される。本発明を具体的に説明するために、図面においては、現在好ましいある実施態様が示されている。しかしながら、本発明は示された正確な装置や手段に限定されないことは理解されるべきである。
発明の好適実施態様の説明
本発明は、すぐに使用できる生体適合性フィブリノーゲンを安定に貯蔵する方法であって、その濃度にもかかわらず、液体の形で利用できる状態にあるとともに組織接着剤調製物へ迅速で容易に処理することが可能である、前記方法を提供する。また、本方法の使用から得られた貯蔵安定な水性フィブリノーゲン製品が提供される。
本発明のすぐに使用できるフィブリノーゲン水溶液は、数日後に液体の形で安定な状態にあり、自然に凝固(即ち、トロンビン/Ca++のような活性化物質の不在でさえも血餅を形成)せず、生物活性(即ち、トロンビンとCa++による暴露と激しい混合時にフィブリン血餅を急速に形成する能力)を維持するときに“貯蔵安定”である。開示された方法は、フィブリノーゲンが実質的な時間すぐ使用できる水溶液中で貯蔵されるとともに活性で安定な(貯蔵安定)状態にある条件を示す。
貯蔵安定なフィブリノーゲン溶液に関して本明細書に用いられる“活性”は、タンパク質の“生物活性”を意味し、“生物活性”は、試験管内及び/又は生体内で上記のようにフィブリン血餅、又はそのサブセットを急速に形成する能力のようなフィブリノーゲンと関連があることが既知の1種以上の活性を意味する。生物活性を評価する方法は当該技術において既知である。
本発明の開示においては、特に定義されない限り、本明細書に用いられる技術用語や科学用語はすべて本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本発明の貯蔵法は、血漿から分離精製されるにしても、組換えで調製されるにしても、又は新しく分離されるにしても、凍結乾燥又は深冷凍結調製物から新しく調製されるにしても、フィブリノーゲン調製物に適用される。本発明の方法は、新しく調製されたフィブリノーゲン溶液の生物活性が血漿から分離精製したフィブリノーゲンの匹敵する試料と等価であり、且つ自然凝固が該溶液中で誘起されない限り、フィブリノーゲン調製物が凍結乾燥又は深冷凍結された時間の長さに無関係に適用できる。
本発明の好適実施態様は、調製の過程での粗フィブリノーゲン生成物、又はタンパク質純度が90%より大きく凝固性タンパク質が95%より大きい最終濃縮フィブリノーゲン調製物、又はその間の濃度に適用できる。例えば、下記実施例においては、ウシフィブリノーゲン調製物のタンパク質純度61%、凝固性タンパク質97%であり、他の例においては、調製物のタンパク質純度53%、凝固性タンパク質95%のヒトフィブリノーゲン(データは示さず)を用いて本発明者らによって行なわれた。しかし、本発明の方法はいずれにも適用できる。
本発明の好適且つ代表的実施態様においては、貯蔵方法は濃縮ウシフィブリノーゲン調製物に適用される。本発明の貯蔵安定なフィブリノーゲン調製物は、極めて濃縮されたものであるが、フィブリノーゲンが補足した又は補足されていないすぐに使用できる生物学的組織接着剤の調製において用いるのに特に適している水溶液に可溶化された状態にある。フィブリノーゲンは、すぐに使用できる組織接着剤調製物を調製するために用いられる場合、最適には10〜85 mg/mlの濃度、更に好ましくは15〜75 mg/mlの濃度、なお更に好ましくは30〜70 mg/mlの濃度、最も好ましくは40〜65 mg/mlの濃度で貯蔵される。
更に、本発明の貯蔵安定な水溶液中のフィブリノーゲン、又はフィブリノーゲン含有タンパク質の濃度は、一般的には2〜10w/v%、好ましくは4〜7w/v%の範囲にある。フィブリノーゲン濃度は、280 nmのタンパク質吸光度測定によって求められる(1%フィブリノーゲン溶液の吸光度として14を用いた)。
本発明の貯蔵安定なフィブリノーゲンは、水溶液、即ち、水系溶液に完全に可溶化されている。調製物の最適温度とpHは本発明によれば既知であり、いずれも既知の手段を用いて当業者によって速やかに求めることができる。しかしながら、水性ゲルもそのような材料がその中に含まれるフィブリノーゲンの完全な可溶化を可能にする限り、また、本明細書に開示された方法に従って貯蔵した後にすぐに使用できる生物学的組織接着剤又は他の適用の迅速な調製を可能するように調製物が十分に流体である限り、本発明に用いることができる。本発明の鍵は、フィブリノーゲン溶液がすぐに使用できる流体の形で安定に貯蔵されるという事実であり、凍結乾燥調製物として貯蔵されず、深冷凍結状態でもない。
本発明の好適実施態様においては、新しいフィブリノーゲン溶液はさかさまにした試験管に沿って容易に移動する自由流動液体であるが、粘性は典型的には水より大きい。生物学的に活性な(即ち、トロンビンとCaイオンの存在下に凝固する)貯蔵試料は、新しい試料と実質的に同じ物理的特性を有する。このタイプの凝固により、組織接着剤を調製且つ使用される場合に活性フィブリノーゲンを用いて形成した制御血餅が生じる。説明のために、このタイプの血餅は本明細書では簡単に“フィブリン血餅”と呼ばれ、“自然血餅”からのプロセスと区別し、後者はトロンビン又は他の活性化物質の不在でさえ、不安定な濃縮フィブリノーゲン溶液において生じるものである。
しかしながら、これらの用語は貯蔵したフィブリノーゲン溶液の所望される使用を区別するためにのみ本明細書で用いられ、フィブリノーゲンとトロンビン/Ca++の同量が激しく混合され、自然血餅から従来技術のフィブリノーゲン溶液における不安定性を示す場合にフィブリン血餅の急速な形成によって安定に貯蔵されたフィブリノーゲン溶液の活性が速やかに証明される。従来技術の新しく調製されたフィブリノーゲン水溶液は極めて不安定であることが既知であり、貯蔵時に自然に凝固する傾向があるという事実は、すぐに使用できる液体の形でのフィブリノーゲンの貯蔵を以前に認識された方法を用いて1日又は2日間でさえ実施できなくする。
自然凝固は、粘度増加として認識され(活性化物質、例えば、トロンビンやCaイオンにさらされない)、混合時に運動(流動)が目に見えて低下する。自然凝固は、従来技術の新しく調製したフィブリノーゲン水溶液においてしばしば1日未満に、しばしばわずか数時間以内に起こる。プロセスは不可逆であり、フィブリンシーラントの調製のような使用にフィブリノーゲンは不要である。不安定性は、フィブリノーゲンが本方法を用いてすぐに使用できる形で貯蔵され得る時間の長さを完全に予想できなくする、つまり、不確実にする。
本発明の好適実施態様においては、貯蔵安定なフィブリノーゲンはポリマー、プラスチック又はプラスチックに基づく容器に貯蔵されるが、更に好ましくはプラスチック容器はポリプロピレンである。ガラスは自然血餅形成を高めることからフィブリノーゲン又は血小板を貯蔵するためにガラスは用いるべきでない。
トロンビンとカルシウムイオンを添加して凝固せず且つ流体の状態にある(粘性が水と同様である)すぐに使用できるフィブリノーゲンの貯蔵溶液は、“トロンビン非感受性”と呼ばれる。しかしながら、そのようなトロンビン非感受性フィブリノーゲン試料のSDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)による分析は、フィブリノーゲンタンパク質が小分子量断片に不可逆的に分解したことを示した。従って、調製物はもはや活性フィブリノーゲンを含まず、本発明の主題ではない。
トロンビン/Ca++をすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液に添加した後、粘性の急速な増加と液体運動の見える減少は“ゲル”と呼ばれる。ゲル状態において、フィブリノーゲン溶液はもはや自由流動しないが、かきまぜながらむりに移動させ得る。この測定は主観的であるが、算出した変動はわずか±2秒である。
“血餅”形成は、フィブリノーゲン溶液の突然の凝固であり、かきまぜによって液体が凝固した材料からむりに流れさせることができない。不動材料は、通常、巨視的に不透明な白色であり、粘塑性である。典型的な生理的又は非生理的フィブリン血餅の走査電子顕微鏡(SEM)写真は、例えば、Redl et al., Medizinische Welt 36:769-76(1985)に示されている。血餅は、一般的には試験管壁に付着し、固体表面上で管を激しくたたくことにより離すことができない。この測定は、ゲル形成より主観的でなく、算出した不確定は急速な沈降試料(8〜12秒)に対してわずか±1秒であるが、緩慢な凝固(>100秒)試料の場合わずかに大きいことがある。
貯蔵中の溶液の温度は、その中に含まれるフィブリノーゲンが安定な状態にある限り(即ち、不活性でもなく、自然に凝固もしない)、特に制限されない。本発明のフィブリノーゲン溶液の貯蔵に好ましい温度は1O〜25℃、更に好ましくは約4O〜約23℃の範囲にある。冷蔵される場合、最適温度は約4℃±1℃である。貯蔵が室温である場合、最適温度は約20O〜25℃、更に好ましくは約22O〜24℃の範囲にあり、最も好ましくは約23℃±1℃である。
凍結後の血餅形成の作用を評価するために、フィブリノーゲン溶液の試料を凍結し、試験前に解凍し、1回以上の凍結/解凍サイクルが、凍結前に4℃で5ヶ月貯蔵した後でさえ、哺乳動物フィブリノーゲン溶液の凝固能を負に作用させないことが明らかであることを求めた。共に、これらのデータは、液体フィブリノーゲン製品が少なくとも1年の貯蔵寿命を得るために、液体フィブリノーゲンが最初に凍結される場合に可能な更に数年の貯蔵寿命を追加して、容易に処方され得ることを強く示している。
フィブリノーゲン水溶液のpH値は、好ましくはpH5〜8、更に好ましくはpH6.2〜7.5に貯蔵中に調整される。特定のフィブリノーゲン溶液の貯蔵に最適なpHは、下記実施例に添えている表に示されるように、一部には材料が貯蔵されるべき温度に依存する。しかしながら、本明細書に示される情報を考えて、決定因子がその中に含まれるタンパク質が安定な状態にあるか(即ち、不活性でもなく、自然に凝固もしない)であることが知られる、企図した貯蔵温度と条件に基づきフィブリノーゲン溶液の最適pHを当業者が選ぶことができる。
例えば、室温(〜23℃)で貯蔵したすぐに使用できるウシフィブリノーゲン(プロテアーゼ阻害剤を含まない)は、貯蔵した調製物が中和されトロンビン/Ca++にさらされる場合に急速に血餅を形成する能力を保持するために、最適にはpH6.5〜9.0、好ましくはpH約6.5〜8.2で維持される。すぐに使用できるウシフィブリノーゲン(プロテアーゼ阻害剤を含まない)が冷蔵(〜4℃)下で貯蔵される場合、貯蔵調製物が中和されトロンビン/Ca++にさらされた場合に急速に血餅を形成する能力を保持するために、至適pHは、最適にはpH6.5〜9.0、好ましくはpH約6.5〜8.2、更に好ましくはpH 6.5〜7.07に維持される(表2を参照のこと)。
貯蔵安定なフィブリノーゲン溶液のpHは、貯蔵される緩衝液によって求められる。例えば、下記の実施例においては、ウシフィブリノーゲン溶液(50 mgタンパク質/ml)は、次の0.1 M緩衝液: ヒスチジン、pH 7.24; グリシンpH9.31; 又は炭酸塩、pH9.05又はpH9.86の1種において新しく調製した。
本発明の好適実施態様においては、貯蔵安定なウシフィブリノーゲン溶液はヒスチジン緩衝液中で調製されるが、貯蔵安定なフィブリノーゲンを調製するために、得られたフィブリノーゲン溶液のpHが活性が維持されるような禁止された範囲内にあるが、自然凝固しない状態にある限り、当該技術に既知の他の確認された生理的に許容しうる緩衝液を用いることができる。
現在利用できる市販のフィブリノーゲンは、分離精製工程に用いた塩を含んでいる。実施例に述べられるように、これにはクエン酸ナトリウムや塩化ナトリウムが含まれるが、フィブリノーゲン精製工程の残留部分であるそのような塩基の存在は得られた調製物の貯蔵安定性に影響すると思われない。本発明の目的が匹敵する新しく調製したフィブリノーゲン溶液の特性を保持する貯蔵安定なすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液を製造することであるので、フィブリノーゲン精製工程の作用は共に同じである。しかし、高濃度のクエン酸塩及び/又はナトリウムは貯蔵されたフィブリノーゲン調製物の凝固に影響してしまう。それ故、本方法は同定した塩又は他のキレート化剤が新しく調製した溶液に存在するとしても有効であり、活性が貯蔵中に維持され、自然凝固が塩又はキレート化剤によって誘起されない限り、貯蔵安定な調製物は匹敵する新しく調製した溶液の特性と活性を維持する。
下記実施例のために、抗菌剤として各試料にアジドナトリウム(0.025%)を添加した。抗菌剤はある程度自然凝固を誘起することができるが、それはそのような作用がないと思われる。本発明の好適実施態様においては、抗菌剤は添加されず、既知の手法を用いて無菌性が保存される。しかしながら、代替的実施態様においては、長期間の貯蔵にわたってフィブリノーゲン溶液の微生物の混入を避けるために例示した程度まで抗菌剤が添加される。フィブリノーゲン溶液の活性が貯蔵の長さ全体に維持され、自然凝固が誘起されない限り、確認された生理的抗菌剤が本発明の用途に許容しうる。
本発明の貯蔵安定なフィブリノーゲン溶液は、上記のように、フィブリノーゲン溶液の活性が貯蔵の長さ全体に維持され且つ自然凝固が誘起されない限り、成長因子、薬剤又は他の化合物又はその混合物で補足することができ、それらの担体賦形剤として作用することができる。例えば、フィブリノーゲン調製物を成長因子で補足することにより、フィブリンシーラント又は組織接着剤調製物を調製するために用いられる場合のすぐに使用できるフィブリノーゲンは、創傷治癒、組織(再)生成を加速、促進又は改善し得る。そのような補足した調製物は、また、(1)成長因子又は他の添加剤又は成分の生物活性を増強、刺激又は仲介する; (2)成長因子補足フィブリノーゲン又はそれから調製されたフィブリンシーラント又は組織接着剤の1種以上の添加剤又は成分の活性を低下し、そのような活性は調製物における成長因子を阻害又は破壊する; (3)本発明のすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液から製造されたフィブリンシーラント又は組織接着剤のような調製物から添加剤又は成分を長時間送達することができる; (4)他の望ましい特性を有する追加成分、例えば、薬剤、抗体、抗凝固剤又は他の化合物を含むこともできる。企図された添加剤又はサプリメントは、化合物又は組成物が由来するものと同様の生物活性、又はそのサブセットを有する変異体、誘導体、その切端形態又は他の修飾形態も含むものである。
1種を超える添加剤又は成分は、本発明の貯蔵安定なフィブリノーゲン溶液に同時に添加又は供給されてもよい。そのような添加剤及び/又は成分の濃度は目的によってフィブリノーゲン溶液で異なるが、濃度はそのような化合物及び/又は組成物が企図した又は述べた用途を達成することができるのに十分でなければならない。添加すべきそのようなサプリメントの量は、種々の濃度を試験するとともに企図した用途や適用部位に効果的である量を選定することにより経験的に求めることができる。色素、トレーサー、マーカー等を、例えば、フィブリノーゲンが添加される材料の続いての送達を調べるために添加することができる。
本発明の好適実施態様においては、アプロチニン(例えば、最終濃度5μg/ml)又はPPACK(例えば、最終濃度25μM)のようなこれらに限定されないプロテアーゼインヒビター(PI)を、貯蔵したフィブリノーゲン水溶液に有効量で添加する。他のプロテアーゼインヒビター(PI)も当該技術において既知であり、実施例2に開示されたアプロチニンやPPACKを置き換えることもできる。特に、アプロチニンは市販のTisseal製品に用いられている。プロテアーゼインヒビターの“有効量”とは、フィブリノーゲン試料のタンパク質分解を防止するPIの量を意味する。この量は、用いられるPI又はPIの組合わせに基づいて変わるが、当業者によって容易に求めることができる。しかしながら、貯蔵したフィブリノーゲン溶液はPIの存在下に長時間安定な状態にあることができるが、PIは経時減衰することが既知である。
例えば、PIを貯蔵安定なウシフィブリノーゲン調製物に添加すると、〜4℃でのタンパク質の長期貯蔵において望ましくない自然血餅形成が阻止されたが、PIの添加は、例えば、149日目に急速なフィブリノーゲン/トロンビン生成物(フィブリン血餅)を得るための使用に有効でないと思われる。しかしながら、室温(〜23℃)でpH6.3〜7.07に少なくとも149日間維持された貯蔵安定なウシフィブリノーゲン溶液試料中に急速なフィブリノーゲン/トロンビン血餅形成が見られた。
表2及び表3に示されるように、“阻止”は“防止”と同等である。少なくともPIは現在開示された条件下で始めは活性である(即ち、凝固が阻止/防止される)が、PIの活性が低下すると、阻止作用が減少し、最終的には停止する。フィブリノーゲン溶液におけるPI活性減衰速度はpH及び温度依存性である。
本開示に添えられた実施例は、連続観察と試験により、好ましい条件下の本発明のフィブリノーゲン溶液が室温(〜23℃)で貯蔵した場合、pH6.5〜9.0で少なくとも97日間、また、〜4℃で貯蔵した場合、プロテアーゼインヒビターの存在下pH6.5〜8.1で少なくとも149日間、安定な状態にある(活性で自然凝固されない)が、PIの不在下ではわずか7日間であることを示している。従って、フィブリノーゲンとPIを含む本発明の好適実施態様のフィブリノーゲン溶液は、室温で数年間とPIを存在させない数ヶ月間、安定な状態にある。
ウシフィブリノーゲン溶液の証明された安定性を考えて、フィブリノーゲン生成物の最初の貯蔵後数年も、活性が実質的に低下せずに維持された(即ち、混合時にフィブリノーゲン/トロンビンフィブリン血餅がなお急速に形成される)濃縮タンパク質の既知の深冷凍結又は凍結乾燥調製物と比較して、生成物は非常に長期間安定であることがわかる。従って、“長期貯蔵”は、現在開示された条件下で、タンパク質活性が少なくとも3日間、好ましくは少なくとも3週間、更に好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは1年より長い期間実質的に低下せずに、すぐに使用できる形でのフィブリノーゲン溶液の貯蔵を意味する。更に、その期間はすぐに使用できる形での貯蔵に加えて凍結貯蔵期間を更に含むことを意味し、生成物の貯蔵に更に数年加えられる。
本発明はあらゆるフィブリノーゲン調製物であるが、本発明の方法はあらゆる哺乳動物種由来のすぐに使用できるフィブリノーゲン水溶液の安定な貯蔵に関する。ウシフィブリノーゲン溶液は時間によって記載されるが、本発明はそのように限定されないものである。貯蔵したフィブリノーゲンの使用に伴う他の哺乳動物種との種適合性の課題はないと思われる。例えば、本ウシフィブリノーゲンは、哺乳動物のいずれの種でも用いられる、例えば、生物学的に適合できる組織接着剤調製物を調製するために水溶液中で貯蔵した後に用いることができる。
血漿タンパク質としてのフィブリノーゲンは、血液由来の病原体、例えば、血漿タンパク質におそらく混入している病原体、特に肝炎ウイルス又はHIVによる混入の危険がしばしば伴う。それ故、当業者は、潜在的に感染した材料を除去するようにフィブリノーゲンを容易に調製する。この目標を達成する一般法には、限外ろ過、低温殺菌(加熱)、溶媒洗浄剤処理、放射線暴露又は紫外線処理が含まれるがこれらに限定されない。高熱又はスチーム法によるウイルス不活性化は本フィブリノーゲン溶液を含む生物学的に活性なタンパク質溶液に実際的でないが、ナノろ過は滅菌貯蔵容器に入れる前の本発明のフィブリノーゲン溶液の任意処理である。
しかし、フィブリノーゲンは熱に不安定であるので、慣用の液体加熱処理で不活性化されるが、フィブリノーゲン自体を不活性化せずに潜在的に混入しているウイルス、例えば、肝炎又はHIVを不活性化するためにフィブリノーゲンを加熱する方法が開発された。米国特許第5,116,950号(Miyano et al., 1992年5月26日発行)には、フィブリノーゲンを加熱する方法であって、前記フィブリノーゲンにおそらく混入しているウイルスを不活性化するまで少なくとも糖、アミノ酸、マグネシウム塩の存在下にフィブリノーゲンを含有する水溶液を加熱するステップを含む、前記方法が提供されている。
本発明の好適実施態様においては、このようにして加熱したフィブリノーゲン水溶液は、所望される場合には更に精製されてもよく、透析、滅菌又はろ過のような慣用の方法で処理されてもよい。また、当該技術で既知の方法によって安定化添加剤を除去するために種々の洗浄ステップを用いうる。
本発明のフィブリノーゲン溶液は、理想的には、活性化物質溶液にさらされたときに生理学的フィブリン構造を形成するのに適し、フィブリン血餅を急速に形成する。このことは、下記実施例に示されるように、貯蔵フィブリノーゲン溶液と同量のトロンビン/CaCl2溶液(例えば、溶液に添加することができるクエン酸塩又は他のキレート化剤について2.5単位/mgのフィブリノーゲン(100単位/ml)トロンビンと3〜6 mMの過剰CaCl2を含む)とを混合することにより証明される。得られた血餅が生理学的フィブリン構造を示す場合には、生理的条件下、即ち、イオン強度約0.15、ほぼ中性のpHで新しく調製した又は新しく分離精製したウシフィブリノーゲンにトロンビンを作用することにより血餅を形成する場合に典型的な空間的分枝フィブリル構造が見られる。
フィブリノーゲンとトロンビンの濃度は、血餅形成までの時間、血餅強度、血餅接着、よって止血に影響する。
更に、本発明に従って添加されるフィブリノーゲン調製物及び/又はフィブリノーゲンに基づく組織接着剤は、組織接着剤として用いた場合に細胞毒性作用がない。即ち、“細胞によって十分に許容され、良好な細胞増殖を可能にし、良好な創傷治癒に理想的な必要条件を与えることを意味する生体適合性”である。このことは、組織接着剤を同量の塩化ナトリウム半等張又は等張溶液で希釈するとともに線維芽細胞増殖培地に添加することにより証明される。線維芽細胞に対する損傷作用は検出できない(Redl et al., 1985を参照のこと)。
従って、本貯蔵安定なすぐに使用できるフィブリノーゲン溶液は、組織接着剤の要求のすべて、即ち、生体適合性、ウイルスの安全性、高い接着強度、また、すぐに使用できるフィブリノーゲン製品から簡単かつ急速に調製することが有利であることを満たす方法で調製される。従って、本発明の貯蔵安定なフィブリノーゲンから調製された組織接着剤は、そのような生物学的に調製された、補足された又は補足されない組織接着剤が患者において用いられる既知の方法、例えば、抗生物質、抗腫瘍剤、麻酔剤等の送達のような注入用途を含む薬理的又は美容的使用; 創傷治癒、凝固、フィブリノーゲン血症; 手術又は手術後後遺症の阻止; コーティング人工器官; 包帯ができる傷閉鎖、安全で持続した止血、即ち、流体及び/又は空気の漏れのシーリング等に用いることができる。
本発明を実施例によって更に記載する。しかしながら、実施例は当業者に例示のために示され、限定するものではない。更に、実施例は前述の特許請求の範囲を制限するものとして解釈すべきでない。従って、本発明は、次の実施例に限定されるものとして解釈されるべきでなく、むしろ本明細書に示される教示の結果として明らかであるあらゆるすべての変更を包含するように解釈すべきである。
実施例
本発明のフィブリノーゲン溶液の貯蔵安定性を評価するために、フィブリノーゲン溶液の安定性、溶解性、凝固活性を、緩衝液(pH値)、温度、プロテアーゼインヒビターのような添加剤が異なる範囲の貯蔵条件について評価した。ウシフィブリノーゲン、ウシトロンビン、アプロチニン、緩衝剤溶液、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、塩酸をSigma Chemical Co.、セントルイス、ミズーリ州から購入した。PPACKは、Calbiochem、サンディエゴ、カリフォルニア州により供給された。ウシフィブリノーゲンを61%のタンパク質(97%の凝固性)と39%の塩を含むことが証明された。
標準研究グレードのフィブリノーゲンは、分離精製工程に用いられる塩を含有している。これには、クエン酸ナトリウムと塩化ナトリウムが含まれる。従って、40 mg/mlフィブリノーゲン溶液は、例えば、フィブリノーゲンのほかに54 mMのクエン酸ナトリウムと419 mMの塩化ナトリウムを含有する。更に、各試料に抗菌剤としてアジドナトリウム(0.025%)が添加された。
凝固分析を次の一般的な方法で行った(Kasper, Proc. Symposium on Recent Advances in Hemophilia Care, Los Angeles, CA April 13-15, 1989(Liss, New York, 1990))。アリコート(100μl)の各フィブリノーゲン試料を4 mlのポリプロピレン試験管に加えた。各試料を0.1M 水酸化ナトリウム、0.2M ヒスチジン緩衝液(pH6.0)又は0.1 M 塩酸を用いて中和した(pH 7.0〜7.3)(それより多い量を用いた予備実験で求めた)。トロンビンを1M 塩化カルシウム(フィブリノーゲン調製物中のクエン酸ナトリウムに対して3〜6mM 過剰量のカルシウム)を用いて200単位/mlとして調製した。次に、トロンビン調製物を0.1Mヒスチジン緩衝液(pH 7.2)で100単位/mlのトロンビン最終濃度に希釈した(フィブリノーゲン1 mg当たり2.5単位のトロンビン)。すべての試料を室温(23±2℃)で分析した。
100□lのトロンビンをフィブリノーゲン試料(100□l)に添加し、その混合液を激しく混合したときに生じる反応の時間を計ることにより凝固を測定した。溶液が粘性ゲルに変わったとき(混合している液体が急激にゆっくりになる)と固体血餅に変わったとき(混合時にすべての液体が運動を停止した点)の時間を記録した。固体血餅形成までの時間は、ゲル形成時間のしばしば2倍であった。
実施例1.室温、pH 7〜10で貯蔵したウシフィブリノーゲン水溶液の安定性
室温で長時間本発明のフィブリノーゲン水溶液を貯蔵する能力を評価するために、20〜25℃の一定温度で少なくとも149日間(21週)貯蔵した後にフィブリノーゲン溶液の安定性、溶解性、凝固活性を評価した。次の0.1M 緩衝液: ヒスチジン、pH 7.24; グリシンpH 9.31; 又は炭酸塩、pH 9.05又はpH 9.86の1種中で貯蔵期間の1日目にウシフィブリノーゲン溶液(50 mgタンパク質/ml)を新しく調製した。
それらの溶液の透明度と自然凝固を調べた。25℃において溶液をpH 7.0〜7.5に中和するとともにフィブリノーゲン溶液にトロンビン(125単位/mg)と、3〜5mM過剰CaCl2/クエン酸塩を添加することにより手動の凝固分析を行なった。調製物を激しく混合し、形成する血餅に必要とされる時間を上記のように測定し、記録した。
室温で(〜23℃)で貯蔵したヒスチジン緩衝液、pH 7.24中のウシフィブリノーゲンの凝固結果を表1に示す。すべての試料中、1日目から149日目まで、フィブリノーゲン溶液は透明なままであり、トロンビンを添加するまで凝固しなかった。
表1
Figure 2005508925
NT=試験せず。
フィブリノーゲン製剤のタンパク質の多能性を、44日目にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により評価した。(SDS PAGE標準条件は、例えば、Laemmli, Nature 227:680-685(1970))。SDS-PAGE分析から、pH 7.24で貯蔵したウシフィブリノーゲン試料(図1、レーン3)は非還元ゲルと還元ゲルにおいて新しく調製したウシフィブリノーゲン(BFG)対照(図1、レーン2と7)と実質的に同じ速度で移動したことがわかった。比較により、高いpHで貯蔵した試料(図1に示される、レーン4、5、6)は分解及び/又は凝集したことがわかった。分解はpH9.05〜9.31(図1、レーン4、5)で最も多く、pH 9.86試料においては分解が少なく、凝集(又は凝固)が多かった。
pH 7.24におけるウシフィブリノーゲン溶液に集中すると、室温で149日目に試料は透明のままで凝固されていなかった。しかしながら、単一凝固分析においては、pH 7.24試料はトロンビンの添加時に凝固しなかった。pH 7.24試料のpHは、トロンビンの添加後6.98であることが求められた。中性pHはトロンビンに最適である。しかし、試料は73日目と147日目の間で凝固能を失ったことがわかった。
それ故、ヒスチジン緩衝液、pH 7.24中の水溶液として調製したウシフィブリノーゲンが10週を超える間室温での貯蔵に安定であったことが結論された。しかしながら、21週で凝固できないことがわかった。
実施例2.プロテアーゼインヒビターの存在下と不在下に2種の温度で貯蔵したフィブリノーゲン水溶液の安定性
フィブリノーゲン溶液水溶液を長期間貯蔵する能力を更に評価するために、5種類のpH値(pH 6.50〜pH 9.87)の範囲にわたって、プロテアーゼインヒビター(PI)の存在下と不在下で室温(〜23℃)と冷蔵(〜4℃)して149日間の(21週を超える)貯蔵後に両ウシフィブリノーゲン溶液の安定性、溶解性、凝固活性を評価した。2回の実験のウシフィブリノーゲン溶液(39 mgタンパク質/ml)を次の0.1M緩衝液の1種: ヒスチジン、pH 6.0又は7.2; トリスpH 8.16; グリシンpH 9.3; 又は炭酸塩、pH 9.1又はpH 9.9中で貯蔵期間の1日目に新しく調製した。貯蔵前に2回の実験の1/2にプロテアーゼインヒビター: PPACK(最終濃度25μM)とアプロチニン(最終濃度5μg/ml)を添加した。
凝固活性を評価するために、以前に記載された所定のプロトコールに従って中和し、実施例1の安定性実験で血餅形成を試験した。
表2に示された条件でのウシフィブリノーゲンの血餅形成結果を示す。
表2.23℃と4℃で貯蔵したプロテアーゼインヒビターを含まないウシフィブリノーゲンの血餅形成時間
Figure 2005508925
注“凝固”はトロンビンを添加しない自然凝固を意味する。
22日目までに、4℃でのウシ試料はすべて自然に凝固した。比較により、97日目で調べた場合、最高pHを除いて室温で貯蔵したウシフィブリノーゲンの試料は大部分透明であった。
表3.23Oと4℃で貯蔵したプロテアーゼインヒビターを含むウシフィブリノーゲンの血餅形成時間
Figure 2005508925
NT=試験せず。凝固はトロンビンを添加せず自然凝固を意味する。
〜℃又は〜4℃で貯蔵した後に評価したPI(PPACK又はアプロチニン)を含む試料はpH依存性結果を示した。凝固能の低下は、添加したトロンビンを阻害するフィブリノーゲン溶液中のPIの残留能によるものであったと思われる。それ故、〜4℃における短い期間の貯蔵(4〜22日)はトロンビン依存性凝固を効果的に阻止する結果となる。即ち、トロンビン活性が溶液中に残存している残留PIインヒビターにより阻害されることからトロンビンの添加後に試料は凝固しなかったのである。
しかしながら、PI成分は経時減衰する故に活性が低下する。長期の貯蔵(22〜149日)後、PI活性が低下し、よってトロンビンの添加がフィブリノーゲン試料の凝固の引き金になることが可能である。また、反応はpH依存性であった。
結果として、少なくとも149日間貯蔵した後、ウシフィブリノーゲンを水溶液中で貯蔵する最良の条件は、室温で6.31〜7.07の範囲にあるpH、又はプロテアーゼインヒビターの存在下にpH6.31〜8.10の範囲にあるpHである。
上記明細書に引用された各々のあらゆる特許、特許出願、文献の記載は本願明細書に含まれるものとする。
上記明細書を特定の好適実施態様に関して記載し、多くの詳細を例示のために示してきたが、本発明が種々の変更や追加実施態様がなされてもよく、本明細書に記載された詳細の一部は本発明の真意と範囲から逸脱することなくかなり変更し得ることは当業者に明らかである。そのような変更、等価変更、追加実施態様は、前述の特許請求の範囲内に包含されるものである。
図1Aと図1Bは、室温で44日間貯蔵後のウシフィブリノーゲン試料の非還元SDS PAGE(図1A)と還元SDS PAGE(図1B)の写真である。レーンは2種のゲルのそれぞれにおいて同じである。1=MW標準; 2=ウシフィブリノーゲン対照; 3=pH 7.24ヒスチジンで緩衝化した試料; 4=pH 9.31グリシンで緩衝化した試料; 5=pH 9.05炭酸塩で緩衝化した試料; 6=pH 9.86炭酸塩で緩衝化した試料; 7=ウシフィブリノーゲン対照。

Claims (30)

  1. 貯蔵安定なすぐに使用できる生体適合性の濃縮した哺乳動物フィブリノーゲン溶液であって、フィブリノーゲン溶液の安定性がpH及び温度依存性であることを特徴とする、フィブリノーゲン溶液。
  2. フィブリノーゲンが完全に可溶化され、前記溶液が水溶液である、請求項1記載のフィブリノーゲン溶液。
  3. 安定性が、最初の調製後少なくとも1日から1年以上までの範囲にある貯蔵期間維持される、請求項1又は2記載のフィブリノーゲン溶液。
  4. フィブリノーゲン溶液が、ヒスチジン、トリス、グリシン又は炭酸塩からなる群より選ばれたpH制御緩衝液を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  5. 前記溶液がpH6.5〜8.2の範囲にあるpHに緩衝化され、貯蔵温度が冷蔵によって約4℃の温度に維持される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  6. 貯蔵緩衝液がヒスチジンである、請求項5記載のフィブリノーゲン溶液。
  7. 安定性が少なくとも約10週間維持される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  8. 前記溶液がpH6.5〜8.2の範囲にあるpHに緩衝化され、貯蔵温度が室温で維持される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  9. 安定性が少なくとも7日間維持される、請求項8記載のフィブリノーゲン溶液。
  10. 安定性が少なくとも22日間維持される、請求項8記載のフィブリノーゲン溶液。
  11. 前記溶液がpH 6.31〜8.1の範囲にあるpHに緩衝化され、貯蔵温度が約4℃〜約23℃の範囲にある温度で維持され、プロテアーゼインヒビターの有効量が、フィブリノーゲン試料のタンパク質分解を防止するためにフィブリノーゲン溶液に貯蔵前に添加される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  12. 安定性が少なくとも7日間維持される、請求項11記載のフィブリノーゲン溶液。
  13. 貯蔵安定性が少なくとも22日間維持される、請求項11記載のフィブリノーゲン溶液。
  14. 安定性が少なくとも97日間維持される、請求項11記載のフィブリノーゲン溶液。
  15. 安定性が少なくとも149日間維持される、請求項11記載のフィブリノーゲン溶液。
  16. 哺乳動物フィブリノーゲンがウシフィブリノーゲンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載のフィブリノーゲン溶液。
  17. 哺乳動物フィブリノーゲンをすぐに使用できる水溶液中で安定に貯蔵する方法であって、
    新しく調製したフィブリノーゲン溶液又は血漿又は凍結フィブリノーゲン調製物から新しく分離精製するフィブリノーゲン溶液を滅菌状態のもとで調製する工程;
    新しく調製した又は新しく分離精製したフィブリノーゲン溶液を滅菌状態のもとで貯蔵する工程;及び
    貯蔵したフィブリノーゲン溶液を冷蔵温度で維持する工程、
    を含み、フィブリノーゲン溶液が液体の状態にあり、pH6.5〜8.2の範囲にあるpHレベルで、且つフィブリノーゲンの生体適合性や生物活性が維持されている条件下に保たれていることを特徴とする方法。
  18. 安定性を最初の調製後少なくとも1日から1年以上までの範囲にある貯蔵期間維持する工程を更に含む、請求項17記載のフィブリノーゲン溶液。
  19. 冷蔵温度が約4℃で維持される、請求項17又は18記載の方法。
  20. 安定性が少なくとも7日間維持される、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 哺乳動物フィブリノーゲンをすぐに使用できる水溶液中で安定に貯蔵する方法であって、
    新しく調製した又は新しく分離精製したフィブリノーゲン溶液又は凍結フィブリノーゲン調製物から調製したフィブリノーゲン溶液を滅菌状態のもとで貯蔵する工程;及び、
    貯蔵したフィブリノーゲン溶液を室温で維持する工程、
    を含み、フィブリノーゲン溶液が液体の状態にあり、pH 6.5〜8.2の範囲にあるpHレベルで、且つフィブリノーゲンの生体適合性や生物活性が維持されている条件下に保たれていることを特徴とする方法。
  22. 最初に調製した後少なくとも1日から1年以上の範囲にある貯蔵期間安定性を維持する工程を更に含む、請求項21記載のフィブリノーゲン溶液。
  23. 安定性が少なくとも7日間維持される、請求項22記載の方法。
  24. 安定性が少なくとも22日間維持される、請求項22記載の方法。
  25. 哺乳動物フィブリノーゲンをすぐに使用できる水溶液中で安定に貯蔵する方法であって、
    滅菌状態のもとで、フィブリノーゲン溶液を新しく調製する、又は血漿又は凍結フィブリノーゲン調製物からフィブリノーゲン溶液を新しく分離精製する工程;
    フィブリノーゲン試料のタンパク質分解を防止するためにプロテアーゼインヒビターの有効量をフィブリノーゲン溶液に添加する工程;及び、
    フィブリノーゲン溶液を(i)フィブリノーゲン溶液が液体のままである約4℃〜約23℃の範囲にある一定温度で、(ii)pH 6.31〜8.1の範囲にあるpHレベルで、(iii)フィブリノーゲンの生体適合性や生物活性が維持される条件下で貯蔵する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  26. 最初の調製後少なくとも1日から1年以上の範囲にある貯蔵期間安定性を維持する工程を更に含む、請求項25記載の方法。
  27. 安定性が少なくとも7日間維持される、請求項26記載の方法。
  28. 安定性が少なくとも22日間維持される、請求項26記載の方法。
  29. 安定性が少なくとも97日間維持される、請求項26記載の方法。
  30. 安定性が少なくとも149日間維持される、請求項26記載の方法。
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