JP2005239613A - フィブリノーゲン組成液及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 手術時の止血、接着、あるいは創傷治癒を目的とした、自己血由来のフィブリン糊として適用範囲の広い組成液を簡便な操作で提供する。
【解決手段】 フィブリノーゲンの濃度が6〜60mg/mL、4倍希釈液の第II因子量が50〜300%であることを特徴とするフィブリノーゲン組成液であり、フィブリノーゲンを透過し難く、主として水分を透過し易い中空糸状の多孔膜が充填された濾過モジュールの中空糸の内表面又は外表面に血漿を接触させ、中空糸状の多孔膜を通して主として水分を除去することにより得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フィブリノーゲン組成液及びその製造方法に関わる。
フィブリン糊は、生理的な血液凝固作用を利用して、組織の接着、閉鎖及びそれに続く創傷治療を行うための外用接着剤あるいは止血剤として、現在各種外科手術に広く用いられている(非特許文献1、非特許文献2)。また、フィブリン糊を再生医療分野における生物学的足場材に用いる技術も多数知られている(非特許文献3、非特許文献4)。
フィブリン糊を使用する際は、使用部位、すなわち、止血、接着あるいは創傷治癒を必要としている部位に、フィブリノーゲンとトロンビンを同時に滴下あるいは噴霧し、両者の混合によって、凝固を惹起し、フィブリン糊を形成させる方法が一般的である。凝固速度を速くし、凝固した後の止血効果、接着効果、あるいは安定した付着を維持するために、基本的にはフィブリノーゲン製剤の濃度はヒト血漿中のフィブリノーゲン濃度より高い値のものが選択される。また、急速な凝固を実現するため、通常血漿にはプロトロンビンとして存在する血液凝固第II因子を活性化させトロンビンに転換した状態で、フィブリノーゲンと混合される。それによって、凝固カスケードの最終段階であるフィブリノーゲンの切断、フィブリンモノマー形成、フィブリンポリマー化の過程が急速に進行する(非特許文献5)。
以上のようなフィブリン糊としては、ヒトプール血漿から抽出したフィブリノーゲン製剤が広く用いられているが、ヒトプール血漿から得られたフィブリン糊は、C型肝炎等の感染の危険性があり、また、アレルギー反応やショック等の免疫反応等の副作用の危険があるため、自己血漿から調製したクリオプレシピテート(クリオ)を使用することが試みられている(非特許文献6)。自己血由来のフィブリノーゲン濃縮液を得る方法として、例えば、非特許文献7は、長時間冷凍、緩速解凍後、遠心分離を行う方法を開示している。凍結による沈降と遠心分離によるフィブリノーゲンの濃縮方法を、本発明において「クリオ法」と呼ぶ。しかし、この方法では、全血からフィブリン糊を調製するのに約30時間かかるという欠点がある。これらの方法を改良し、「改良クリオ法」として、短時間冷凍、急速解凍を行い、1〜2時間という短時間でフィブリノーゲンを得る方法が開示されている(特許文献1)。
また、自己フィブリン糊を迅速に調製する方法としてフィブリノーゲン濃縮のために限外濾過法を用いる方法が提供されている(特許文献2)。しかし、この方法では、(1)分画分子量が30,000ダルトンであるために、血漿中のアルブミンなど、低分子タンパク分画の膜面への集積によって十分な透水効果が得られず、フィブリノーゲンの高度な濃縮ができず、結果として、フィブリン糊製造に際して凝固時間が長く、安定性の悪い製剤しか得られない、(2)濃縮倍率が十分でなく、ろ過濃縮した血漿をさらに濃縮しなければ、フィブリン糊に適したフィブリノーゲン濃度が得られない、(3)濃縮液中にアルブミンがともに濃縮され、高粘度の液体となり、トロンビン液との混合が進まないなどの問題点があった。
以上のように、いくつかの自己血由来のフィブリノーゲン濃縮方法が開示されてはいるが、いずれにおいても本質的な問題は、フィブリノーゲンを自己血から精製しても、トロンビンとしてプール血漿由来の製剤を使用していたのでは、感染や副作用の危険性を回避できないことである。
フィブリノーゲン、トロンビンともに自己血由来となるフィブリン糊を得る方法は、自己血から血漿を分離し、血漿中のフィブリノーゲンを沈殿させ、上清からトロンビンを精製させる方法が一般的である(特許文献3、4)。特許文献3には、血漿からフィブリノーゲンを沈殿させる方法として、寒冷沈降反応、ポリエチレングリコール沈殿、硫酸アンモニウム沈殿等が例示されているが、寒冷沈降方法が推奨されており、上記クリオ法と同様の方法が記載されている。上清に対して0.2Mの塩化カルシウムを添加して、残存フィブリノーゲンを凝固させ、凝固物を取り除いた液をトロンビン液として使用する旨が開示されている。この方法では、フィブリノーゲンの濃縮液がクリオ法によっているため、数時間以上の時間がかかるばかりでなく、上清を、実質的にはそのままトロンビン液として使用することとなっており、トロンビンの濃縮工程が組み込まれていない。従ってトロンビン濃度が希薄であるため、凝固速度が遅く、必ずしも実用的な性能を得ることができない。特許文献4には、同様に上清からトロンビンを精製する工程が開示されており、その中にトロンビンの濃縮工程が含まれている。しかし、100mLの血液から得られる血漿のフィブリノーゲン沈殿後の上清は、数10mLと想定されるが、それに対して400mLの脱イオン水を加え、pH調整の後、沈降分離するという複雑な工程を採用している。
これらに対して、血漿からトロンビンを精製する方法を開示しているのは特許文献5である。血漿に対してエタノール及び塩化カルシウムを添加し、フィブリノーゲンを凝固させた後、トロンビンを精製する方法である。この方法によっても、トロンビンを安定に精製することは困難であり、トロンビン濃度がやはり希薄にならざるを得ない。
以上のような、トロンビンとフィブリノーゲンは別々に精製して使用現場で混合する方法に対して、特許文献6には、フィブリノーゲン、プロトロンビンおよび各種外因系の凝固機序に対応する血液凝固因子を含有する接着剤が開示されている。創傷部との接触によって凝固反応が開始されるものであるが、接着剤の原料が製剤であるため、感染の危険を免れることができない。
以上のような、自己血由来のフィブリン糊の製造はさまざまな試みがなされているが、工程が複雑であったり、凝固特性が不十分であったりといった欠点を克服できないため、実用化が急速に進むほどの優れた製法には至っていない。さまざまな場面に柔軟に対応できるフィブリン糊を、より簡便な方法で自己血から得るため、これまでとは異なる発想が必要である。
特表2001−513073号公報 特表平11−508813号公報 特表平11−503125号公報 特開2002−506038号公報 特表2003−517272号公報 特開平2−167234号公報 井上勉、北谷照雄、小林孝好、林昌亮「Fibrin接着剤(Beriplast)の接着効果と創の自然治癒過程に及ぼす影響」応用薬理31(3)641-648,1986 嘉悦洋、他、「ボルヒール(HG−4)の接着、止血および創傷治癒効果促進効果」基礎と臨床vol.23 No.10 Jul. '89 Hoch RE., et al. 「Single-cell suspensions of cultured human keratinocytes in fibrin-reconstitute the epidermis」Cell Transplantation、7、309-317, 1998 Meana A., et al. 「Large surface of cultured human epithelium obtained on a dermal matrix based on live fibroblast-containing fibrin gels」Burn、24、621-630、1998 松田道夫「フィブリン朔」Biomedical Perspective Vol.7 no.3 (1998) 木ノ下義宏、宇田川晴司、高橋孝喜「フィブリン朔」医学のあゆみ別冊(5月)p249-252、(2002) N.Casali, et al. 「Fibrin glue from single-donation autologous plasmapheresis」Transmission、32、641-643、1992
本発明の課題は、各種手術における止血や組織の接着、創傷治癒を行うのに適しており、また、再生医療分野における生物学的足場材に用いることも可能なフィブリノーゲン組成液を提供することである。さらには、迅速・簡便で、感染の危険性のない安全かつ安定なフィブリノーゲン組成液の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高濃度のフィブリノーゲンを含有し、第II因子、すなわち、プロトロンビン濃度の高い新規のフィブリノーゲン組成液を得るに至った。
以上のようなフィブリノーゲン組成液の製造は、それを精製するに適した物理構造を有する中空糸材料を見出し、該中空糸材料を効果的にフィブリノーゲン濃縮に使用する新たな運転方法を見出すことによって初めて可能となったものである。すなわち、本発明は、以下を含む。
(1) フィブリノーゲンの濃度が6〜60mg/mL、4倍希釈液の第II因子量が50〜300%であることを特徴とするフィブリノーゲン組成液。
(2) フィブリノーゲンの濃度が6〜60mg/mL、4倍希釈液の第II因子量が70〜250%であることを特徴とする(1)に記載のフィブリノーゲン組成液。
(3) 自己血より調製したことを特徴とする(1)または(2)に記載のフィブリノーゲン組成液。
(4) アルブミン濃度が10〜200mg/mLであることを特徴とする(1)乃至(3)記載のフィブリノーゲン組成液。
(5) フィブリノーゲンを透過し難く、主として水分を透過し易い中空糸状の多孔膜が充填された濾過モジュールの中空糸の中空糸の内表面又は外表面に血漿を接触させ、中空糸状の多孔膜を通して主として水分を除去することにより中空糸の内側又は外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とするフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(6) 中空糸の内表面に血漿を接触させ、中空糸外部を減圧にし、吸引濾過によって主として水分を除去することにより中空糸の内側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とする(5)記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(7) 中空糸の外表面に血漿を接触させ、中空糸内部を減圧にし、吸引濾過によって主として水分を除去することにより中空糸の外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とする(5)記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(8) 血漿を濾過モジュールに再循環させることを特徴とする(5)乃至(7)の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(9) 中空糸の内側又は外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を回収し、再び元の場所に加圧流入させる操作を繰り返すことにより中空糸表面壁に付着したフィブリノーゲンを洗浄して回収することを特徴とする(5)乃至(8)の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(10) 中空糸状の多孔膜の使用条件におけるカットオフ分子量が、150,000ダルトン以上950,000ダルトン以下であることを特徴とする(5)乃至(9)の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(11) 中空糸状の多孔膜の使用条件におけるカットオフ分子量が、150,000ダルトン以上350,000ダルトン以下であることを特徴とする(5)乃至(9)の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
(12) (5)乃至(11)の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法により製造される、フィブリノーゲン組成液。
本発明によるフィブリノーゲン組成液は、そのまま沈降分離あるいは再度膜分離を行って高濃度のプロトロンビンを含む上清からトロンビン液を精製して、同時に得られるフィブリノーゲン濃縮液と混合することによって、止血、接着、創傷治癒を促すフィブリン糊として使用することも可能であるし、該フィブリノーゲン組成液に直接塩化カルシウムを添加し、数分程度静置した後、使用部位に塗布あるいは噴霧することによって、そのまま止血、接着、創傷治癒効果を発現させることも可能である。また、本発明によるフィブリノーゲン組成液に添加する塩化カルシウム溶液濃度を調整することによって、フィブリノーゲン組成液の凝固速度を調整し、たとえば、手術時には、一定の柔軟性を保持した状態で使用部位に付着させ、さらに付着状態を調整することが可能となる。
また、単にフィブリノーゲン濃縮液として、従来法に従い、トロンビン液との混合によるフィブリン糊形成にも使用できる。
本発明により、各種手術や再生医療の現場など、フィブリン糊の使用現場で、使用目的に応じた自己血由来のフィブリン糊を簡便に短時間に得ることができる。また、創傷治癒効果を有する接着剤として、褥瘡、皮膚潰瘍、熱傷の治療等への展開も可能である。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
フィブリノーゲン濃度は、試料にトロンビンとカルシウムイオンを加え、フィブリンクロットの生成時間を測定するトロンビン時間法、生成クロットを秤量する重量法、抗フィブリノーゲン抗体を用いる免疫学的測定方法のいずれも選択可能であるが、操作が簡便であることからトロンビン時間法で行うことが好ましい。
第II因子とは、プロトロンビンと呼ばれる分子量72,000の凝固タンパクのひとつである。プロトロンビン濃度の指標としては、プロトロンビン時間と呼ばれる過量のトロンボプラスチンと充分量のカルシウムを添加して凝固時間を測定する方法が一般に用いられている。また、試料中のフィブリノーゲンを除去し、第V因子、組織トロンボプラスチンとカルシウムによってプロトロンビンをトロンビンに転化させ、そのトロンビン量を標準フィブリノーゲンによって測定する2段法と呼ばれる手法によってプロトロンビン単独の濃度を求めることも可能である(参考文献:日本臨床38巻春季増刊号(1980)p770〜780)。本発明の目的には、簡便に、プロトロンビン濃度の指標を得る手段として、検体に第II因子欠乏血漿と組織トロンボプラスチン、カルシウムイオンを添加して凝固時間を測定する第II因子定量法が好適に採用される。生理食塩水によって、検体の4倍希釈液を作成し、該定量方法を適用し、コントロール血漿との比を求めることによってプロトロンビン濃度に対応する指標を得ることができる。ここでいうコントロール血漿とは、一般健常人における凝固時間と第II因子定量との相関を与える基準値である。本発明における評価では、一般の男女50人ずつ計100人のデータより求めた基準値を採用している(参考文献:安達真二他、Medical Technology. 24, 629-633 (1966)、福武勝幸他、日本臨床 53(増刊)、10(1995))。
実用レベルの凝固速度を確保するためには、フィブリノーゲン濃度は、6mg/mL以上である必要がある。さらに好ましくは8mg/mL以上、さらに好ましくは10mg/mL以上である。また、凝固前の状態で不都合のない流動性を確保することが必要であり、創傷に対する治癒効果を得るためには、一定の柔軟性が必要である。そのためには、フィブリノーゲン濃度は60mg/mL以下である必要がある。さらに好ましくは40mg/mL以下である。
第II因子定量法によって得られる数値は、4倍希釈液でコントロール血漿に対して50〜300%が必要であり、好ましくは70〜250%である。さらに好ましくは80〜200%である。この範囲のプロトロンビン含有量であれば、実用的な凝固時間を得ることができ、またプロトロンビンの状態で一定時間安定に保ち、使用時に、活性化して凝固させる場合など、使用前の安定な状態を確保することもできる。
ここでいう自己血とは、得られるフィブリノーゲン組成液を使用する患者自身から採血した血液を指す。これによって調整されるフィブリノーゲン組成液は、感染の原因となりうる他者由来の生体物質を含まないことを意味する。
また、アルブミン濃度は液の粘性に大きな影響を与える。塩化カルシウムと混合して凝固を促進する場合、あるいはトロンビンとフィブリノーゲンを分離し、使用部位で両者を混合する場合など、液の粘性を一定に保持することによって、流動性を確保でき、両液の混合がスムーズに進むなど、好都合である。アルブミン濃度を10〜200mg/mLとすることによって、粘性を好ましい状態に保つことができ好適である。
本発明のフィブリノーゲン組成液を得る方法は、フィブリノーゲンを透過し難く、主として水分を透過し易い中空糸状の多孔膜が充填された濾過モジュールの中空糸の内表面又は外表面に血漿を接触させ、中空糸状の多孔膜を通じて主として水分を除去することにより行なう。ここで、主として水分とは、フィブリノーゲンより分子量の低い物質を含有する液体成分を指すが、本発明においては、中空糸の構造と運転条件を選択することによって、フィブリノーゲンより分子量の小さなプロトロンビンに対する濃縮効果を発現し、プロトロンビンとほぼ同程度の分子量を有するアルブミンによる目詰まりを回避する方法を見出したものである。
中空糸状の多孔膜とは、無数の微細孔によって濾過機能を発現する材料であって、ストロー状の形状を有するものを指す。
中空糸の構造は、スキン層を有するものが好ましい。血漿を中空糸内部に供給し主として水分を中空糸内部から外部へ透過させる(内圧濾過型)場合は、中空糸内表面にスキン層を有することが好ましく、逆に血漿を中空糸外部に供給し主として水分を中空糸外部から内部へ透過させる(外圧濾過型)場合は、中空糸外表面にスキン層が存在する膜が好適に採用される。ここでいうスキン層とは、当業者間で認められている膜表面に存在する緻密層のことである。一般には限外濾過膜において、2000〜10000倍程度の電子顕微鏡による観察では無孔層として観察される厚さ10μm以下の層を指すが、ここで使用する中空糸は、限外濾過膜よりカットオフ分子量の高い膜を使用することが好ましく、電子顕微鏡によるスキン層の表面観察においても、倍率10000倍程度で孔の存在の確認は可能である。従って、ここでいうスキン層とは、膜断面方向の構造に対して、孔径の小さな薄い層が表面に存在する状態を指す。
ここでいう使用条件におけるカットオフ分子量とは、実際に本発明からなる中空糸を充填したモジュールによって血漿を処理し、フィブリノーゲン組成液を得る操作を行ったときに、透過液側の各種タンパクの濃度を測定し、原料血漿の内、膜内に阻止された比率を求めることによって得られた値である。使用条件が異なれば、必ずしも、公称のカットオフ分子量と同じ値が得られるとは限らない。測定対象となるタンパクは、アルブミン(分子量〜66000ダルトン)、イムノグロブリンG(分子量〜150,000ダルトン)、フィブリノーゲン(分子量〜350,000ダルトン)、イムノグロブリンM(分子量〜950,000ダルトン)である。使用条件におけるカットオフ分子量として好ましいのは、150,000〜950,000ダルトン、すなわち、イムノグロブリンGの阻止率が90%より低く、イムノグロブリンMの阻止率が90%より高い場合である。さらに好ましくは150,000〜350,000ダルトン、すなわち、イムノグロブリンGの阻止率が90%より低く、フィブリノーゲンの阻止率が90%より高い場合である。この範囲であれば適当な運転条件によって、フィブリノーゲンを効果的に濃縮でき、アルブミンの不透過による目詰まりを回避し、得られるフィブリノーゲン組成液は、一定のプロトロンビン濃度を有するため、適当な活性化処理によって、目的のトロンビン活性値を得ることができる。
中空糸素材は目的や条件に応じて適宜選択することができる.医療用に各種実績のあるポリスルホンの他、ポリエチレン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリ-4-メチル-2-ペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン/テトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等、その他各種の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属が挙げられる。
特に、疎水性の素材を採用する場合、中空糸の細孔内表面は適宜改質されているものを選択することができる。たとえば、素材表面を親水化した中空糸は、目詰まりを効果的に回避することができる場合が多く、好適に選択される.表面改質の方法は、親水性の表面を構築することが基本となる.公知の方法を目的に応じて採用することができる。たとえば、電離性の放射線照射後、熱水で処理することによって表面を親水化することが可能である。また、疎水性の素材にポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマーをブレンドあるいは共重合して製造する方法が例示できる。更にまた、両親媒性の高分子をコーティングすることによっても表面改質は可能である.たとえばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアクリルあるいはメタクリル系の高分子、あるいはアミン径高分子やポリエチレングリコール系高分子、または、それらの共重合体等による親水化である。これらの中で、ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体は、血液処理のコーティング剤として、実績があり、好適に採用される(特開平10−234361号公報)。また、グラフト重合法はフ中空糸表面に化学的に親水性を有する高分子を結合させる方法で、溶出の心配が無いなどの利点を有する.特開2000−185094号公報に記載された方法などが好適に採用される。
この中で、血液処理材料、たとえば透析膜や体外循環用の膜として使用実績のあるものが好適に採用され、親水化ポリスルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、セルロースジアセテート, セルローストリアセテート、親水化ポリプロピレン、親水性の高分子をコーティングしたポリエステルなどは、素材として、好ましく用いることができる。目的に応じたスキン層を形成させるためには、乾湿式紡糸と呼ばれる製膜方法が好適に用いられ、素材としては親水化ポリスルホンが好適に採用される。
中空糸状の多孔膜が充填されたモジュールの一例を図1に示す。中空糸状の多孔膜1が接着剤2によってモジュールケース3内に固定されており、中空糸の中空部内5は接着剤部分2を貫通して接着剤外部のモジュール内空間6に通じている。本発明では、血漿が入り口7(8)から出口8(7)に向って中空部内5を流通する間、主として水分が中空糸状の多孔膜1を透過して中空糸状の多孔膜外部であってモジュール内空間である4に流出する場合を内圧濾過型、逆に血漿が入り口9(10)から出口10(9)に向って中空糸状の多孔膜の外部空間4を流通する間に、主として水分が中空糸状の多孔膜1を透過して中空糸の中空部内5に流出する場合を外圧濾過型と称する。
内圧濾過型、外圧濾過型いずれにおいても、入り口より流入する血漿を加圧し、主として水分が中空糸膜を透過し、濃縮された血漿が出口より流出する場合をDiscard法と称する。
また、内圧濾過型の場合、中空糸外部4を減圧にし、吸引によって主として水分を中空糸の中空部内5から中空糸外部4に透過させる場合、及び外圧濾過型の場合において、中空部内5を減圧にし、主として水分を中空糸外部4から中空部内5に吸引透過させる場合の両者が想定できるが、いずれも吸引によって濾過を行う方法としてAspirate法と称する。
望ましい実施の態様を図2〜6によって説明する。
図2は内圧濾過循環Aspirate法と称する態様である。容器あるいは血液バッグ12に血漿を採取し、ポンプ13によって該血漿をモジュール15に送液する。該血漿はモジュール15の入り口16より中空糸の中空内部に流入し、出口17より流出した後、容器あるいは血液バッグ12に戻る。該血漿が中空糸内部を流通する間、モジュール15の吸引口18,19に接続されたポンプ14より吸引を行う。吸引によって中空糸膜を透過した主として水分はドレインとして容器24内に貯留される。以上のように血漿を循環させる間に、主として水分は吸引によりドレインとして除かれ、血漿中のフィブリノーゲンおよびプロトロンビン等が濃縮される。吸引操作は減圧を実現しうる方法であれば、真空ポンプや簡易型のアスピレーター等使用可能である。図2には、吸引操作をペリスターポンプ等のチューブポンプによって行っており、この方法だと、単位時間あたりの透過液量を制御することができ好都合である。吸引を継続すると膜の目詰まりによって膜透過の差圧が上昇してくる場合がある。差圧は0.08MPaを超えると、吸引操作を停止することが好ましい。高い差圧のまま継続しても、透過量が得られない場合が多く、また、適当な差圧で吸引を停止することによって、中空糸の膜の断面方向にフィブリノーゲンが吸引されるのを防ぎ、フィブリノーゲン組成液を回収する際、フィブリノーゲン組成液が接触する膜表面近傍に捕捉されている多くの組成物を回収でき、好都合である。目詰まりを防ぎ、効率的な濃縮操作を継続するために、いくつかの工夫が可能である。たとえば、一定時間ごとに、逆洗の操作を入れる、何らかの振動を加える、吸引速度に脈動を加える、送液速度を瞬間的に加速して中空糸壁表面に付着したフィブリノーゲン等を剥ぎ取るといった工夫である。
濃縮が進行するとともに血漿の液量が減少する。所定の濃縮を完了した後、ポンプ13、14を停止し、回収操作に入る。濃縮完了をどの時点に設定するかは、必要とされる濃縮倍率及びフィブリノーゲン組成液の液量によって決定される。濃縮を十分に行う場合は、容器あるいは血液バッグ12の中の血漿がなくなった後、ポンプ13を停止し、バルブ20を閉じ、中空糸の中空内部に濃縮された血漿をためていく。回路中の血漿がなくなった時点でポンプ14を停止し、引き続いて回収操作に入る。
回収の方法は、中空部及び回路内に存在するフィブリノーゲン組成液を容器あるいは血液バッグ12に回収することによって行うことができるが、中空糸の膜面に付着したフィブリノーゲンを脱離させ、回収することによって回収率を上げることができ、濃縮倍率の高いフィブリノーゲン組成液を得ることができる。
たとえば、図2でシリンジ21を使用し、吸引によってフィブリノーゲン組成液を回収する場合、一度フィブリノーゲン組成液を吸引した後、該フィブリノーゲン組成液をモジュール内に戻し、再び吸引するという操作を繰り返す方法、中空糸の透過出口側(図1では中空糸外部空間4)から主として水分を逆流させて、逆洗によって中空糸の膜断面内部に捕捉されているフィブリノーゲンを回収する方法、あるいは、モジュール内に一定の圧力を瞬時にかけ、脱離を促進する方法、あるいはこれら操作を繰り返す方法などが、可能である。
本発明者は、その中で、特に、内圧濾過型のAspirate法の場合、中空糸内部の一端、たとえば血漿入り口16から他の一端、すなわち血漿の出口17に向かってフィブリノーゲン組成液をそのまま加圧して急速に押し出す操作を繰り返すことによって中空糸内面に付着したフィブリノーゲンを好適に脱離させ、フィブリノーゲン組成液の成分として有効利用できることを見出した。
具体的操作方法の一例を図3に示す。一定の濃縮倍率を得た後、回路内及び血液バッグ又は容器12内に存在するフィブリノーゲン組成液を回収バッグ23にポンプ13によって流入させ、該フィブリノーゲン組成液をシリンジ22内に採取した後、図3に示したようにモジュール入り口16に接続し、シリンジのプランジャーを勢いよく押して、該フィブリノーゲン組成液をモジュール内に加圧流入させ、該液は回収バッグ23に回収される。この操作を繰り返すことによって中空糸の中空部内表面に付着したフィブリノーゲンを好適に回収することができ、目的に応じたフィブリノーゲン濃度を得ることができる。
図4は内圧濾過one-pass Aspirate法と称する態様である。モジュールの血漿入り口16に、血漿を入れた容器あるいは血液バッグ12を接続する。モジュールの血漿出口17は閉じておく。この状態で、ポンプ14によって、図1の場合と同様に吸引を行う。吸引によって中空糸膜を透過した主として水分はドレインとして容器24内に貯留される。フィブリノーゲン組成液は、モジュール内の中空糸内部に貯留されていく。以下、濃縮を完了し、フィブリノーゲン組成液を回収する方法は、図2、3で示した方法と同様な方法で行うことができる。
図5に示したのは、外圧濾過循環Aspirate法である。処理血漿が中空糸の外側を流通し、中空糸内部に吸引濾過する方法である。濾過の方向が中空糸の外側から内側へ向かうことを除いては、図1に示した内圧濾過循環Aspirate法と同様であり、操作方法も同様である。図5に示したのは、末端を封止した中空糸を充填した例である。
所定の濃縮を完了した後、ポンプ13、14を停止し、回収操作に入る。回収方法は、上記と同様に中空糸の膜外面に付着したフィブリノーゲンを脱離回収することによって行う。いくつかの工夫が可能である。中空糸内部からドレインあるいはエアによって逆洗を行う方法の他、振動を加える、あるいは超音波処理を行うなどの方法も可能である。また、洗浄効果の高い粘度の液によって中空糸外面を洗浄する方法を選択することも可能である。
図6には、外圧濾過one pass Aspirate法を示す。図6に示したように、容器あるいは血液バッグそのものの中に中空糸膜を導入する方法が可能である。図6においては末端を封止した中空糸25を充填している。所定量の血漿を容器あるいは血液バッグ26に導入し、中空糸出口に連結した吸引口27よりポンプ13によって、吸引し、濾過を行う。容器あるいは血液バッグ26の内部でフィブリノーゲンが濃縮される。
所定の濃縮を完了した後、ポンプ13を停止する。血液バッグ26内にフィブリノーゲン組成液が生成しており、それを外圧濾過循環Aspirate法に示したのと同様な方法で回収することができる。
以上に示した吸引によるフィブリノーゲン濃縮方法は、目的に応じて、設定を決定するが、およその処理量によって、適切な方法を選択することが可能である。たとえば、内圧濾過型、外圧濾過型いずれにおいても、one passより循環式の方が、処理できる血漿の量は多くなる。また、内圧濾過型の場合は、中空糸内部に濃縮液が貯留されるため、比較的少量の高濃縮液を得る場合に適しており、外圧濾過型の場合は、中空糸外部に濃縮液が貯留され、比較的大量処理によって、凝集体や共雑物が蓄積されても、そのまま中空糸外部に滞留し、中空糸状の多孔膜を透過しなければ、目詰まりを起こさないことから、目詰まりによる濾過圧力上昇には耐性がある。
適切な使用例としては、自己血由来のフィブリノーゲン組成液を作成し、直ちに、止血あるいは接着に使用する場合には、内圧濾過型を好適に選択しうる。たとえば、採血量10〜300mL、血漿量としては5〜200mLの場合は、内圧濾過one pass Aspirate法、採血量として100〜1000mL、血漿量として50〜600mLの場合ならば、内圧濾過循環Aspirate法が好適に選択しうる。内圧濾過循環Aspirate法は、自己血貯血まで含めた相応の処理量に対応できる。同じ目的で外圧濾過one pass Aspirate法及び外圧濾過循環Aspirate法も選択できる。
製剤製造工程におけるプール血漿の処理まで含めた大量処理において好適に選択しうるのは、循環式であり、内圧濾過型、外圧濾過型いずれも対応可能であるが、5Lを超える大量処理になると外圧濾過型が好適に採用できる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない.
実施例1
ポリスルホンとポリビニルピロリドンを素材とする中空糸膜(旭メディカル社製3J57)によるフィブリノーゲン組成液の調製を行った。中空糸膜は、内径197μm、膜厚39μmであった。中空糸膜は1500本をモジュールケースに充填、ウレタン樹脂で容器に接着して図1に示した濾過モジュールを得た。有効膜長さは10cmであった。フィブリノーゲン組成液の調製操作は内圧濾過循環Aspirate法によって行った。
新鮮人末梢血に抗凝固材としてCPDを添加した(CPD:クエン酸一水和物、クエン酸三Na二水和物、ブドウ糖、リン酸二水素Na、いずれも和光純薬製)。該血液に3500rpm、15分間の遠心分離を行い、血漿を採取した。図2に示した装置によってフィブリノーゲン組成液の調製操作を行った。容器12に血漿100mLを注入した場合(実施例1A)、及び50mLを注入した場合(実施例1B)についてフィブリノーゲン組成液調製操作を行った。旭メディカル社製ブラッドポンプを使用し、ポンプ14の吸引速度、ポンプ13の送液速度ともに10mL/minに設定した。この条件で、イムノグロブリンG(分子量150,000ダルトン)の阻止率は実施例1Aで78%、実施例1Bで77%、フィブリノーゲン(分子量350,000ダルトン)の阻止率はいずれも99%となり、カットオフ値は、150,000〜350,000ダルトン、推定値としては、いずれも〜240,000ダルトンとなった。ここでいう推定値とは、分子量を対数で、阻止率を実数で表現したグラフにおいて直線近似し、阻止率90%となる分子量を求めたものである。
フィブリノーゲン濃度は、通常のトロンビン凝固時間法によって測定した。プロトロンビン濃度は、凝固時間に基づく第II因子定量法によって測定した。
フィブリノーゲン濃縮倍率及び4倍希釈液の第II因子定量結果を表1に示す。20分以内で操作が終了し、実用レベルのフィブリノーゲン組成液を得ることができた。
実施例2
実施例1と同様の実験を、初期血漿量200mLで行った。ポンプ14の吸引速度、ポンプ13の送液速度ともに20mL/minに設定した。結果を表1に示す。20分以内で処理することができ、実用レベルのフィブリノーゲン組成液を得ることができた。
比較例1
実施例1と同様にして得られた血漿に対して、クリオ法によるフィブリノーゲン濃縮を行った。ヒト血漿200mLを凍結保存し、4℃まで昇温した後、遠心分離によってフィブリノーゲンの沈殿を生成させ、採取した。得られたフィブリノーゲン濃縮液の評価結果を表1に記載した。時間がかかった上、プロトロンビンについて、顕著な濃縮効果は認められなかった。
比較例2
実施例1と同様にして得られた血漿に対して、限外濾過膜を充填、接着したモジュールを用いた。限外濾過膜は旭化成製UF(AHP0013ペンシル型モジュール)を使用した。内圧濾過循環Aspirate法によってフィブリノーゲンの濃縮を行った。図2の装置を使用した。容器12に128mLの実施例1と同様にして得られたCPD加血漿を注入した。旭メディカル社製ブラッドポンプを使用し、ポンプ14の吸引速度、ポンプ13の送液速度ともに10mL/minに設定した。結果を表1に示す。処理時間が長くかかり、60分以降は、ほとんど濾液が得られなかったものの210分まで濾過を続け、128mLの血漿を57.3mLまで濃縮した。この中空糸のカットオフ分子量(カタログ値)は50,000ダルトンである。本実験条件においてアルブミン(分子量〜66,000ダルトン)の阻止率は、>99%であった。フィブリノーゲン濃度は3.1mg/mLであり、元の血漿に対する濃縮倍率は2倍に相当する。有意な濃縮とはならなかった。
実施例3
実施例1と同様にして得られた血漿に対して、実施例1と同様の中空糸膜を充填、接着したモジュールを用いて、内圧濾過one pass Aspirate法によってフィブリノーゲンの濃縮を行った。図4の装置を使用した。容器12に20mLの血漿を注入した場合(実施例3A)と31.2mLの血漿を注入した場合(実施例3B)について実施した。ポンプ14によって吸引を行った。吸引速度は10mL/minとした。この条件で、カットオフ分子量の推定値は、〜250,000ダルトン(実施例3A)、〜255,000ダルトン(実施例3B)となった。フィブリノーゲン組成液の評価結果を表2に示す。実用レベルのフィブリノーゲン組成液を得ることができた。
実施例4
実施例1と同様にして得られた血漿に対して、EVALを素材とする中空糸(クラレ社製、EC−50W)を使用した。EC−50Wは、内径175μm、膜厚40μmであった。有効長さ20cm、2000本のモジュールとした。外圧濾過one pass Aspirate法によってフィブリノーゲンの濃縮を行った。図6の装置を使用した。容器26に200mLの血漿を注入し、ポンプ13によって吸引を行った。吸引速度は20mL/minとした。フィブリノーゲン組成液の評価結果を表2に示す。
Figure 2005239613
Figure 2005239613
産業上の利用の可能性
本発明により、フィブリン糊の使用現場で、使用目的に応じた自己血由来のフィブリン糊を簡便に、短時間に得ることができる。各種手術における、止血、接着、創傷治癒の効果が期待でき、また、褥瘡や皮膚潰瘍などの治療にも適用しうる。
図1は、中空糸を充填したモジュールの構造を示す図である。 図2は、内圧濾過循環Aspirate法の態様を示す図である。 図3は、内圧濾過循環Aspirate法におけるフィブリノーゲン組成液の回収方法を示す図である。 図4は、内圧濾過one pass Aspirate法の態様を示す図である。 図5は、外圧濾過循環Aspirate法の態様を示す図である。 図6は、外圧濾過one pass Aspirate法の態様を示す図である。
符号の説明
1 多孔膜
2 接着剤
3 モジュールケース
4 中空糸外部
5 中空糸の中空部内
6 モジュール内空間
7 入り口(出口)
8 出口(入り口)
9 入り口(出口)
10 出口(入り口)
11 バルブ
12 容器あるいは血液バッグ
13 ポンプ
14 ポンプ
15 モジュール
16 入り口(吸引口)
17 出口
18 吸引口(入り口あるいは出口)
19 吸引口(入り口あるいは出口)
20 バルブ
21 シリンジ
22 シリンジ
23 回収バッグ
24 容器
25 末端封止中空糸
26 容器あるいは血液バッグ
27 吸引口

Claims (12)

  1. フィブリノーゲンの濃度が6〜60mg/mL、4倍希釈液の第II因子量が50〜300%であることを特徴とするフィブリノーゲン組成液。
  2. フィブリノーゲンの濃度が6〜60mg/mL、4倍希釈液の第II因子量が70〜250%であることを特徴とする請求項1に記載のフィブリノーゲン組成液。
  3. 自己血より調製したことを特徴とする請求項1または2に記載のフィブリノーゲン組成液。
  4. アルブミン濃度が10〜200mg/mLであることを特徴とする請求項1乃至3記載のフィブリノーゲン組成液。
  5. フィブリノーゲンを透過し難く、主として水分を透過し易い中空糸状の多孔膜が充填された濾過モジュールの中空糸の内表面又は外表面に血漿を接触させ、中空糸状の多孔膜を通して主として水分を除去することにより中空糸の内側又は外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とするフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  6. 中空糸の内表面に血漿を接触させ、中空糸外部を減圧にし、吸引濾過によって主として水分を除去することにより中空糸の内側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とする請求項5記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  7. 中空糸の外表面に血漿を接触させ、中空糸内部を減圧にし、吸引濾過によって主として水分を除去することにより中空糸の外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を得ることを特徴とする請求項5記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  8. 血漿を濾過モジュールに再循環させることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  9. 中空糸の内側又は外側に濃縮されたプロトロンビンを含むフィブリノーゲン液を回収し、再び元の場所に加圧流入させる操作を繰り返すことにより中空糸表面壁に付着したフィブリノーゲンを洗浄して回収することを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  10. 中空糸状の多孔膜の使用条件におけるカットオフ分子量が、150,000ダルトン以上950,000ダルトン以下であることを特徴とする請求項5乃至9の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  11. 中空糸状の多孔膜の使用条件におけるカットオフ分子量が、150,000ダルトン以上350,000ダルトン以下であることを特徴とする請求項5乃至9の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法。
  12. 請求項5乃至11の何れかに記載のフィブリノーゲン組成液の製造方法により製造される、フィブリノーゲン組成液。
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