JP5074261B2 - ガス分離装置における制御方法、制御装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、製品取出流量が減少してもPSA装置の工程時間が同じ場合、製品取出流量の減少割合よりも電力消費率の減少割合の方が小さいので、製品の取出量に対する消費電力量の割合は増加する。
本実施形態におけるガス分離システムでは、混合ガスから単一の種類のガスを分離して取り出すガス分離装置2と、このガス分離装置2を制御するガス分離装置制御装置1とが接続されている。
図5において、圧縮機26は、加圧することによって圧縮した製品ガス分離対象である原料混合ガスを、吸着塔20−1または吸着塔20−2に供給する。
なお、吸着剤とは、例えば酸素が易吸着成分である分子ふるい炭素などであり、ユーザに供給される製品ガス以外を優先的に吸着する吸着剤であればいずれの吸着剤でもよい。
また、製品タンク200は、混合ガスから分離した窒素ガスを蓄積する。
また、吸着塔20−1と吸着塔20−2とは、図3に示すように、下記の工程の組み合わせによって、窒素ガスを供給する。また、各工程におけるガス分離装置2の各バルブの開閉状態を示した図5から図8の模式図によって示す。
第2の工程として、図6に示したように、吸着塔20−1と吸着塔20−2とが、ともに休止工程となる組み合わせによって処理を行う。
第3の工程として、図7に示したように、吸着塔20−1と吸着塔20−2とが、ともに均圧工程となる組み合わせによって処理を行う。
第4の工程として、図8に示したように、吸着塔20−1が、再生工程を、吸着塔20−2が吸着工程となる組み合わせによって処理を行う。
第5の工程として、図6に示したように、吸着塔20−1と吸着塔20−2とが、ともに休止工程となる組み合わせによって処理を行う。
第6の工程として、図7に示したように、吸着塔20−1と吸着塔20−2とが、ともに均圧工程となる組み合わせによって処理を行う。
再生工程は、吸着塔の圧力を下げて、易吸着成分を吸着剤から脱離させ、次の吸着工程に備えるものである。本実施例においては、図5において、吸着塔20−2が再生工程であり、バルブ222を開放することにより、圧力を開放している。
均圧工程は、図7に示すように、バルブ231とバルブ241とを開放し、再生工程によって圧力が低下した吸着塔側に、吸着工程を行っていた吸着塔側のガスを移動させることにより、圧力の回収を行う工程である。この工程を行うことにより、吸着工程に切り替わる際に、大気圧より高い圧力から吸着工程を開始することができ、吸着塔内を加圧する時間を短縮する効果がある。
なお、図8は、吸着塔20−2が吸着工程の場合のバルブの開閉状況を示す模式図である。
ガス取出量測定部24は、ユーザが取り出すガスの流量を測定し、測定したガスの取出量を制御部21に出力する。
バルブ開閉制御部25は、制御部21を介してガス分離装置制御装置1から入力される工程開始命令に応じて、ガス分離装置2内に備わる各バルブの開閉を制御する。
図5における、バルブ211、212、221、222、231、241、251、252は、それぞれ、ガス分離装置2内のガスの流れを制御するための弁である。
また、仕様工程時間は、以下の手順によって、予め求められる値である。ガス分離装置2を、ユーザの仕様値に合わせて事前に稼動実験を行う。この稼動実験において得られる実験値から、経験的に求められる最適な工程時間を仕様工程時間として予め保持する。
本明細書では、モデル式の一例として、2入力1出力の場合におけるARXモデルを例に説明するが、ガス分離装置2におけるガス分離システムを記述できる数学モデルであれば、いずれのモデルもシステム同定に用いることが可能である。
なお、2入力1出力のARXモデルは、次式で与えられる。
ここで、白色雑音列w(k)=0と仮定した場合、(式1)を変形して次式が得られる。
算出部12は、仕様値蓄積部18から、同定した数学モデルを読み出し、読み出した数学モデルに、入力変数であるu1(k)、u2(k)と、圧力値のy(k)とを代入することにより、時刻t=(k+1)における製品タンク200内の圧力予測値を算出する。
なお、算出部12は、算出値蓄積部19から、ガス取出量と、圧力変動傾向とを読み出すことによって、入力変数であるu1(k)、u2(k)を得る。また、算出部12は、算出した圧力値を算出値蓄積部19に書き込む。また、算出部12は算出した圧力値の値に応じて、ガス分離における各工程の開始時刻を算出する。また、算出部12は、時計機能を有しており、現在時刻情報を取得することが可能である。
なお、本実施例において、ガス分離装置2として窒素PSA装置を例に説明したが、ガス分離装置2は、たとえば、PSA(プレッシャー スイング アドソープション)装置、TSA(サーマル スイング アドソープション)装置、また、PSAとTSAとを組み合わせたPTSA(プレッシャー アンド サーマル スイング アドソープション)装置など、いずれのガス分離装置にも適用可能である。特に、休止工程を設けることにより、電力削減の効果が高まる装置を有するガス分離装置に適している。なお、休止工程を設けることにより電力削減の効果が高まる装置は、たとえば、圧縮機である。
まず、予め仕様値蓄積部18に書き込まれている仕様工程時間情報に従って、ガス分離を行う過程について説明する。
上述した処理を行うことにより、運転切替時刻情報蓄積部17の初期化を行い、同時にガス分離装置制御部11に運転切替時刻情報蓄積部17の初期化完了を示す信号を出力する(ステップS1)。
図11〜図16は、本実施例における動作の概念図である。
図11は、吸着工程中において、現在からn周期後までの予測範囲内で、圧力予測値が上限圧力値にも下限圧力値にも達さなかった場合の製品タンク200内の圧力グラフを示す。なお、これは後述するステップS44に相当する。
図12は、吸着工程中において、現在からn周期後までの予測範囲内で、α1周期後に、圧力予測値が上限圧力値に達した場合の製品タンク200内の圧力グラフを示す。なお、これは後述するステップS19に相当する。
図13は、吸着工程中において、現在からn周期後までの予測範囲内で、α2周期後に、圧力予測値が上限圧力値に達し、かつ、β2周期後に圧力予測値が下限圧力値に達した場合の製品タンク200内の圧力グラフを示す(α2<β2)。なお、これは後述するステップS19と、ステップS33とが現在からn周期後までの間行われる場合に相当する。
図15は、休止工程中において、現在からn周期後までの予測範囲内で、β3周期後に、圧力予測値が下限圧力値に達した場合の製品タンク200内の圧力グラフを示す。なお、これは後述するステップS33に相当する。
図16は、休止工程中において、現在からn周期後までの予測範囲内で、β4周期後に圧力予測値が下限圧力値に達し、かつ、α4周期後に、圧力予測値が上限圧力値に達した場合の製品タンク200内の圧力グラフを示す(β4<α4)。なお、これは後述するステップS33と、ステップS19とが現在からn周期後までの間行われる場合に相当する。
そこで、本実施形態では、(式1)におけるu1、u2に以下の値を適用する。ここで、u1は、製品タンク圧力増加時に、製品タンク圧力増加幅に寄与する因子であり、次式によって表される。
u2は、製品タンク圧力減少時に、製品タンク圧力減少幅に寄与する因子であり、次式によって表される。
ここで、(式4)において、F´を指数により表される数としたのは、流量増減の影響を緩やかにすることに加え、流量が0のときに指数化すれば1となり、u1、u2の式で使用する上で都合が良いからである。また、(式3)の分母にはF´を使用しているため、分母が0になるとu1が無限大になることが避けられる。さらに、流量が0の場合、u2も0にするためには1を引けば良いので都合が良い。
まず、ガス分離装置2において、所定の周期ごとにタンク圧力測定部22が測定したタンク圧力値情報と、ガス取出量測定部24が測定したガス取出量情報と、圧力変動傾向とが、ガス分離装置制御装置1へ出力される。ガス分離装置制御部11は、図2のテーブルにおいて、入力された情報を、それぞれ現在の値として登録し、すでに登録されているデータを1周期ずつ過去にずらすことにより、テーブル全体を更新する。(ステップS11)。なお、このステップS11は、所定の周期ごとに常に繰り返して行われており、圧力値と、圧力変動傾向と、ガス取出量情報とからなる、同定数学モデルに入力するための情報が、現在からm周期前までの各周期について、入力値情報蓄積部15に書込まれているものとする。
算出部12は、図2に示した入力値情報蓄積部15のテーブルから、現在からm周期前までの各周期ごとの圧力値と、圧力変動傾向と、ガス取出量情報とを入力値として読み出す。算出部12は、読み出した入力値を、算出値蓄積部19の図4に示すテーブルに、k周期から(k−m)周期までの値として書き込む(ステップS13)。ここで、kは、圧力予測計算を行う際に、代入する入力値のうち、もっとも新しい入力値に対応する周期であり、mは数学モデルに代入される入力値のサイクル数である。すなわち、k周期目の入力値から、m周期遡った入力値までの、(m+1)周期分の入力値が、数学モデルに代入されることを意味する。
圧力値が増加している場合、算出部12は、ガス分離装置2が吸着工程中であると判断し、仕様値蓄積部18から、上限圧力値を読み出す。次に、算出部12は、読み出した上限圧力値と、(k+1)周期の圧力予測値とを比較し、圧力予測値が上限圧力値を超えるか否かにより、(k+1)周期時に吸着工程の終了が行われるべきか否かを判断する(ステップS17)。
算出部12は、算出値蓄積部19の運転切替時刻情報更新フラグの記憶領域に1を書き込むことにより、運転切替時刻情報が更新されたことを示すフラグを立てる(ステップS20)。次に、算出部12は、n周期のうちの、次の所定の周期における圧力予測を行うため、kに1を加えた値を新たなkとするインクリメントを行う(ステップS21)。
まだ、圧力予測値の算出がn周期先まで完了していない場合、算出部12は、ステップS15から処理を繰り返し、n周期先まで圧力予測値を算出する。
次に、n周期先まで圧力予測値を算出していた場合の動作について説明する。算出部12は、算出値蓄積部19の開始時刻情報更新フラグが書き込まれている記憶領域を読み出し、更新フラグが立っているか否かを検出する(ステップS42)。更新フラグが立っていない場合、予測範囲内で工程が切り替わることがないと判断し、予測範囲内で工程が切り替わらないように、運転切替時刻情報蓄積部17の工程開始時刻を更新する。
Psp=(Pmax−Pmin)/(Fmax)×F
Pspは求める下限圧力値、Pmaxはガス取出量がユーザ仕様値の100%である場合の製品タンク200内の下限圧力値、Pminはユーザ仕様値における圧力値、Fmaxはユーザ仕様値におけるガス取出量(最大値)、Fは現在のガス取出量である。なお、FmaxならびにFはガス取出率でも良い。
上記の式によって、算出される下限圧力値を用いることにより、ガス取出量に応じて、より適した工程切替時刻を算出することが可能となる
製品タンクの容量、製品純度、付属の圧縮機吐出量などの違うパターンのガス分離装置2では、製品タンク圧力の数学モデルが異なる。よって、システム同定にて決定する数学モデルも装置パターンにより異なる。しかし、装置ごとにシステム同定を実施した場合、装置試運転での作業量が多くなる。よって、製品タンク圧力の最低値の実測値と下限圧力値とを比較して、両者に差がある場合は、下限圧力値の増減を行うことで調整を行い、装置パターンの違いに対応することが可能となる。
ガス濃度測定部23は、製品タンク200内の窒素ガス、または窒素ガス以外の不純ガスの濃度を測定し、製品タンク200内の窒素ガスの純度を算出し、算出した窒素ガスの純度値を制御部21に出力する。
Csp=Cmax-(Cmax−Cmin)/(Fmax)×F
Cspは求める製品純度の下限値、Cmaxは製品純度の最高値、Cminはユーザ仕様値におけるガス取出量100%時の製品純度、Fmaxはユーザ仕様値におけるガス取出量(最大値)、Fは現在のガス取出量である。なお、FmaxならびにFはガス取出率でも良い。
上述の式によって求められる製品純度の下限値と、ガス濃度測定部23で測定される製品純度値とを比較し、ガス濃度測定部23で測定される最低純度値が製品純度の下限値を下回る場合、製品タンク200内の圧力の下限圧力値を所定値引き上げることにより、純度の悪化を防ぐ効果がある。
なお、本発明における所定値とは、予めガス分離装置制御装置1に入力されていてもよいし、ガス分離装置制御装置1に入力手段を設け、ユーザが入力手段から所定値を定めてもよい。
また、本実施例においては、ガス分離装置制御装置1のガス分離装置制御部11が時計機能を有しており、この時計機能によって現在時刻を取得して、工程を切り替える構成として説明したが、ガス分離装置制御部11が、時計機能ではなく、工程の経過時間を取得する機能を有する構成でもよい。この場合、ガス分離装置制御部11が、運転切替時刻情報蓄積部17から読み出した工程の工程時間と、工程の経過時間とを比較する。ガス分離装置制御部11は、随時、工程時間の読出しと工程の経過時間との比較を行い、工程時の経過時間が工程時間を超えるか否かによって、工程の切替時刻であるか否かを検出する。
なお、この工程の切替の方法は上記に限られず、算出部12が算出した工程切替時刻または工程時間に基づいて工程を切り替えることが可能な方法であれば、いずれの切替方法であっても適用可能である。
Claims (4)
- 吸着剤を充填した複数の吸着塔のそれぞれについて、少なくとも吸着工程、均圧工程及び再生工程を繰り返すことにより、原料混合ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離して製品ガスを製造するガス分離装置の制御方法であって、
予め実験値によって同定された、前記ガス分離装置が備える製品タンクの圧力値における関数モデルを記憶する過程と、
前記ガス分離装置から入力されるユーザが取り出すガスの流量を示す流量情報と、前記製品タンク内の圧力値と、前記製品タンク内の圧力値が増加傾向であるか減少傾向であるかを示す圧力変動傾向情報とを記憶する過程と、
入力された前記流量情報と、予め定められる前記製品タンクの定格流量との比を示す相対流量を算出する過程と、
前記関数モデルを読み出し、読み出した前記関数モデルに、読み出した前記圧力値および前記圧力変動傾向情報と、前記相対流量とを入力することにより、前記製品タンクの圧力予測値を算出し、前記圧力予測値に応じて、前記ガス分離装置における、前記吸着工程及び前記再生工程の終了後に設ける休止工程の開始時刻と終了時刻とを算出する過程と、
3つの工程と、前記休止工程の開始時刻と、終了時刻とに基づいて前記ガス分離装置を制御する過程と
を有することを特徴とする圧力変動吸着ガス分離装置の制御方法。 - 前記相対流量は、自然対数を底とし、入力された前記流量情報と、予め定められる前記製品タンクの定格流量との比を指数とする指数関数であること
を特徴とする請求項1に記載の制御方法。 - 吸着剤を充填した複数の吸着塔のそれぞれについて、少なくとも吸着工程、均圧工程及び再生工程を繰り返すことにより、原料混合ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離して製品ガスを製造するガス分離装置の制御装置であって、
予め実験値によって同定された、前記ガス分離装置が備える製品タンクの圧力値における関数モデルを記憶する関数モデル記憶部と、
前記ガス分離装置から入力されるユーザが取り出すガスの流量を示す流量情報と、前記製品タンク内の圧力値と、前記製品タンク内の圧力値が増加傾向であるか減少傾向であるかを示す圧力変動傾向情報とを記憶する入力値情報記憶手段と、
前記入力値情報記憶部手段に記憶された前記流量情報と、予め定められる前記製品タンクの定格流量との比を示す相対流量を算出する相対流量算出手段と、
前記関数モデルを前記関数モデル記憶部から読み出し、読み出した前記関数モデルに、前記入力値情報記憶手段から読み出した前記圧力値および前記圧力変動傾向情報と、前記相対流量値算出手段が算出した前記相対流量とを入力することにより、前記製品タンクの圧力予測値を算出し、前記圧力予測値に応じて、前記ガス分離装置における、前記吸着工程及び前記再生工程の終了後に設ける休止工程の開始時刻と終了時刻とを算出する算出部と、
3つの工程と、前記休止工程の開始時刻と、終了時刻とに基づいて前記ガス分離装置を制御する制御部と
を有することを特徴とする制御装置。 - 前記相対流量算出手段は、自然対数を底とし、前記入力値情報記憶部手段に記憶された前記流量情報と、予め定められる前記製品タンクの定格流量との比を指数とする指数関数であること
を特徴とする請求項3に記載の制御装置。
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