JP5074234B2 - 屋外構造体 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された屋外構造体であるカーポートは、2本の支柱と梁とを有した門形のフレームを前後に設置し、これら前後のフレームに1組2枚の屋根面材(屋根体)を支持するとともに、1組の屋根面材同士を連結部で連結した構造を備えている。
一方、従来のカーポートのように自立した屋外構造体を複数組併設して屋根全体の面積を拡大する方法が考えられる。しかし、併設した屋外構造体の屋根面材同士を特許文献1に記載の連結部のような構造で連結すると、屋外構造体同士で荷重が伝達されるため、単体の屋外構造体における荷重状態と異なる応力が各部に発生する可能性がある。このため、単体の屋外構造体と複数連結した屋外構造体とで部材の断面が異なり、前述のような手間が増大してしまう。あるいは、単体の屋外構造体と複数連結した屋外構造体とで、予測される最大の応力に基づいて部材断面を共通化することも考えられるが、この場合でも部材断面に無駄が多くなり、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
面材における端縁部材に設けたカバー部を他方の屋根面材における端縁部材に重なる位置に設けるとともに、カバー部と他方の端縁部材との間に止水材が設けられることで、屋根面材の離隔位置から雨水が吹き込むのを防止することができ、複数の屋根体に渡って連続した屋根面を構成することができる。さらに、カバー部と他方の端縁部材とが離れて設けられるとともに、これらの間に弾性変形可能な止水材が設けられることで、一対の屋根体における一方から他方への荷重の伝達が阻止され、つまり風などによって一方の屋根体が変形した場合でも他方の屋根体に衝突することなく、カバー部と他方の端縁部材との間の相対変位や止水材の弾性変形によって屋根体の変形を吸収することができる。従って、各々の屋根体の各部材においては、単独の屋根体における荷重状態と同一の荷重が作用して部材応力も同一となるため、単独の屋根体に用いる部材と断面を共通化することができ、製造や組立、在庫管理が容易になって製造コストを抑制することができる。
また、ピース状のブラケットを介してカバー部材を固定することで、屋根体の大きさや荷重条件等に応じて必要な数のブラケットを準備すればよく、その使用材料を節約することができる。さらに、端縁部材が曲線状に形成されていた場合でも、ブラケットを曲げ加工する必要がなく、端縁部材に沿った適宜な位置にブラケットを固定するだけでカバー部材を支持することができる。また、ブラケットが側面部および延出部を有して構成されることで、端縁部材から離れた延出部にカバー部材を固定することで、固定作業を容易に実施することができる。
また、本発明の屋外構造体では、前記ブラケットの延出部には、上方に突出した固着部が形成され、前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部を有して形成されるとともに、この上面部を上方から貫通する固着具を前記ブラケットの固着部に固着することで当該ブラケットに固定された構成を採用してもよい。
これらの構成によれば、一対の屋根体を構築してから一方の端縁部材にブラケットを固定し、屋根体の上方からカバー部材を設置してブラケットに固定することができる。そして、ブラケットの延出部を下方から貫通する固着具をカバー部材の固定部に固着する構成によれば、屋根面材の下側から固定作業を実施することができ、高所作業を回避して作業性を向上させることができる。一方、カバー部材の上面部を上方から貫通する固着具をブラケットの固着部に固着する構成によれば、屋根面材の上側からの固定作業となるものの、対向する端縁部材同士の間隔寸法が小さく下側からの作業が難しい場合などでも、固定作業を容易に実施することができる。
このような構成によれば、長尺状の桟材を一方および他方の端縁部材に固定し、これらの桟材に跨ってカバー部材を設置することで、屋根面よりも上方に立ち上がった位置にカバー部材が設けられることとなり、止水性能を向上させることができる。また、端縁部材
が直線状に形成された場合に長尺状の桟材を用いることが好適であり、端縁部材の略全長に沿って桟材を取り付けることで、カバー部材の取付精度を向上させることができる。なお、端縁部材が曲線状に形成された場合であっても、その曲線に応じた曲げ加工を桟材に施すことで、長尺状の桟材を用いることが可能である。
このような構成によれば、他方の端縁部材に取り付けた桟材の止水材位置よりもカバー部材の上面部先端を長く延ばしたことで、止水材位置への雨がかりを防止して止水性能を向上させることができる。そして、上面部先端を延ばす所定長さとしては、地震や風などの水平外力が作用した際に屋根体同士に生じうる最大相対変位よりも長く設定しておくことが好ましく、このように上面部の長さを設定しておくことで、水平外力が作用した場合でもカバー部材の上面部と止水材との当接状態を維持することができ、カバー部材と他方の桟材とがずれたり、カバー部材と止水材との接触が外れたりすることが防止できる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
図1は、第1実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1を示す正面側から見た断面図である。図2は、カーポート1を示す側面図である。図3は、カーポート1の要部を拡大して示す縦断面図である。図4は、カーポート1の要部を拡大して示す分解斜視図である。
図1および図2において、カーポート1は、屋外に設けられる駐車スペースの上方を覆うものであって、地中に埋設した基礎2から立設された複数の支柱3と、1組の支柱3の上端間を連結する支持梁4と、支柱3および支持梁4を門形に接合した支持フレーム5の上側に支持される屋根面材6とを備えて構成されている。そして、図2に示すように、カーポート1は、2組の支持フレーム5と、これら2組の支持フレーム5に渡って連続形成された屋根面材6とで構成された屋根体7を、車両が出入りする方向(図2の左右方向)に沿って一対(2つ)並設して構成されている。これら一対の屋根体7のうち、一方(図2の左側)の屋根体7Aにおける屋根面材6Aと、他方(図2の右側)の屋根体7Bにおける屋根面材6Bとが、互いに所定間隔離れた状態で隣り合って設置されている。
図5は、第1実施形態の変形例に係るカーポート1の要部を拡大して示す縦断面図である。
図5において、ブラケット21Aの延出部213には、上方に突出して開口した2列の固着部218が形成されている。一方、カバー部材20Aにおいて、上面部201の下面には前記固定部204が形成されておらず、固着部218に対応した位置にビス孔208が設けられている。また、止水材22は、カバー部材20Aの第2側面部203ではなく、上面部201の下面に取り付けられている。このようなカバー部材20Aとブラケット21Aとは、ビス孔208を上方から貫通するビス(固着具)219を固着部218に固着することで、互いに固定されるようになっている。なお、ビス219とビス孔208との間には、図示しないシール材が設けられており、ビス孔208からの漏水が防止できるようになっている。
(1)すなわち、一方および他方の各屋根体7A,7Bがそれぞれ自立して構成されるとともに、屋根体7A,7B間で荷重や変形が伝達されないようになっているので、単独の屋根体7における荷重状態と同一の荷重が作用して部材応力も同一となるため、各々の屋根体7A,7Bの各部材(支柱3、支持梁4、屋根面材6)の断面を、単独の屋根体7における各部材と共通化することができ、製造や組立、在庫管理が容易になって製造コストを抑制することができる。
図6は、第2実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1Aを示す側面図である。図7は、カーポート1Aを示す正面図である。図8は、カーポート1Aの要部を拡大して示す縦断面図である。図9は、カーポート1Aの要部を拡大して示す分解斜視図である。
本実施形態のカーポート1Aは、前記第1実施形態のカーポート1と比較して、主に屋根面材6の構成と、その離隔部分の構造とが相違するものであり、以下、相違点について詳しく説明する。
(4)すなわち、長尺状の桟材41,42を一方および他方の側枠33A,33Bの上面に固定し、これらの桟材41,42に跨ってカバー部材40を設置することで、屋根面よりも上方に立ち上がった位置にカバー部材40が設けられ、止水性能を向上させることができる。また、直線状に形成された側枠33A,33Bの略全長に沿って桟材41,42を取り付けることで、カバー部材40の取付精度を向上させることができる。
図10は、第3実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1Bを示す側面図である。
本実施形態のカーポート1Bは、前記第1および第2実施形態のカーポート1,1Aと比較して、主に屋根面材の位置およびカバー部の構成が相違するものであり、以下、相違点について詳しく説明する。
図10において、カーポート1Bにおける屋根体7において、一方(図10の左側)の屋根体7Aにおける屋根面材6Aと、他方(図10の右側)の屋根体7Bにおける屋根面材6Bとは、互いに上下に離れた状態で端部同士が重なり合って設置されている。すなわち、一方の屋根面材6Aは、他方の屋根面材6Bよりも上方に設けられ、一方の側枠(端縁部材)33Aと、他方の側枠33B(端縁部材)とが平面的に重なって設けられている。そして、一方の側枠33Aの下面には、下方に突出したカバー部50が一体的に形成され、このカバー部50の下側に弾性変形可能な止水材51が取り付けられるとともに、この止水材51が他方の側枠33B上面に当接して設けられている。
例えば、前記実施形態においては、カーポート1,1Aについて説明したが、本発明の屋外構造体としては、カーポート1,1Aに限らず、屋外に設置されるテラスやサンルーム、アプローチ等の屋根として利用されるものであってもよい。
また、前記実施形態では、2つの屋根体7を併設して屋外構造体を構成したが、並設する屋根体の数としては、2つに限らず、3つ以上であってもよい。さらに、複数の屋根体の並設方向としては、前記実施形態のように一方方向に限らず、二方向つまり前後左右に屋根体7を併設して屋外構造体を構成してもよい。
また、前記実施形態では、一方および他方の屋根体7A,7Bの隣接部上方に重なってカバー部材20,20A,40を設けたが、これに限らず、一方および他方の屋根面材6A,6Bの下側にカバー部材を設けてもよい。さらに、カバー部としては、前記第1および第2実施形態のようなカバー部材20,20A,40で構成されたものに限らず、前記第3実施形態のカバー部50のように一方の端縁部材と一体形成されたものでもよく、さらには一方の端縁部材の一部または全部でカバー部が構成されていてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 支柱および屋根面材を有して自立する屋根体を少なくとも一対備え、これら一対の屋根体同士が互いに隣り合って設けられた屋外構造体であって、
前記隣り合う屋根体の各々における屋根面材同士は、互いに所定間隔離れて設けられるとともに、この離隔位置において対向する各々の端縁部材を有して構成され、
前記屋根面材の離隔位置には、前記対向する端縁部材のうちの一方に設けられて他方と離れてかつ重なって位置するカバー部と、このカバー部と前記他方の端縁部材との間に設けられて弾性変形可能な止水材とが設けられ、
前記カバー部は、前記一方の端縁部材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材は、前記一方の端縁部材の長手方向に沿って複数カ所に固定されるピース状のブラケットを介して固定され、このブラケットは、前記端縁部材の側面に沿った側面部と、この側面部の上端部に連続して他方の端縁部材に向かって延びる延出部とを有して形成され、この延出部に前記カバー部材が固定されている屋外構造体。 - 前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部と、この上面部の下側に突出した固定部とを有して形成されるとともに、前記ブラケットの延出部を下方から貫通する固着具を前記固定部に固着することで当該ブラケットに固定されている請求項1に記載の屋外構造体。
- 前記ブラケットの延出部には、上方に突出した固着部が形成され、前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部を有して形成されるとともに、この上面部を上方から貫通する固着具を前記ブラケットの固着部に固着することで当該ブラケットに固定されている請求項1に記載の屋外構造体。
- 支柱および屋根面材を有して自立する屋根体を少なくとも一対備え、これら一対の屋根体同士が互いに隣り合って設けられた屋外構造体であって、
前記隣り合う屋根体の各々における屋根面材同士は、互いに所定間隔離れて設けられるとともに、この離隔位置において対向する各々の端縁部材を有して構成され、
前記屋根面材の離隔位置には、前記対向する端縁部材のうちの一方に設けられて他方と離れてかつ重なって位置するカバー部と、このカバー部と前記他方の端縁部材との間に設けられて弾性変形可能な止水材とが設けられ、
前記一方および他方の端縁部材の上面には、当該端縁部材の長手方向に沿った長尺状の桟材がそれぞれ固定され、前記カバー部は、前記一方の桟材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材と他方の桟材との間に前記止水材が設けられている屋外構造体。 - 前記カバー部材は、前記一方および他方の桟材に跨って設けられる上面部を有して形成され、前記止水材は、前記他方の桟材の上面に固定されて前記カバー部材の上面部の下面に当接可能に設けられ、
前記カバー部材の上面部は、前記止水材との当接位置を超えて他方側に所定長さだけ延びて形成されている請求項4に記載の屋外構造体。
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