JP5074001B2 - 樹脂用抗菌剤および抗菌性樹脂組成物 - Google Patents
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従って、より少量の添加量で、より広範囲な微生物種に効果を有し(即ち、抗菌スペクトルが広い)、さらに熱に対する安定性の高い抗菌剤が望まれている。
すなわち本発明は、一般式(1)で示される化合物の1種以上を含有してなる樹脂用抗菌剤_である。
Rのうちの脂肪族炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基(n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル、n−デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシル、ドコシル、3,5,7−トリメチルオクチル基等)および直鎖または分岐のアルケニル基(1−ヘキセニル、1−デセニル、6−ドデセニル、オレイル基等)などが挙げられる。
Rのうちの脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基(シクロヘキシル等)、アル
キルシクロヘキシル基(プロピルシクロヘキシル基、オクチルシクロヘキシル基等)、シクロアルキルアルキル基(シクロヘキシルブチル基、シクロヘキシルオクチル基等)およびシクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル基)などが挙げられる。
Rのうち好ましいのは、脂肪族炭化水素基であり、これらのうちの炭素数の異なる2種以上を併用してもよい。
mおよびnの両方が0である化合物としては、従来から公知の化粧品用抗菌剤である1,2−アルカンジオールが挙げられるが、抗菌性と樹脂との相溶性において不十分であり、
多量の添加が必要になり、しかも樹脂との相溶性が悪く、かつ、抗菌スペクトルが狭い。
mおよびnの両方が0である化合物は、分子の末端に親水基としての1,2−ジオール基を有するが、本発明の抗菌剤は、一般式(1)に示されるように、少なくとも1つのヒドロキシアルキルエーテル基(−O−(AO)−H)を有する親水基を含有している。
この親水基の存在と、疎水基(一般式(1)におけるR)の存在によって微生物の細胞膜への吸着性が大きくなり、細胞膜の破壊に好都合であるものと推定される。
なお、疎水基には好ましい炭素数があり、前述のように、好ましくは炭素数8〜20、さらに好ましくは8〜16であり、この炭素数の範囲であると、微生物の細胞膜にさらに吸着されやすい。
なお、本発明の樹脂用抗菌剤はヒドロキシアルキルエーテル基を有することによって、抗菌性のみでなく樹脂に帯電防止性をも付与することができるという効果も有する。
また、特開2002−114844号公報に記載の製造法における特定の触媒( Hammetの酸度関数による酸強度H0が−30.0〜−11.0の酸またはその金属塩、並びに シュレディンガーの波動方程式における最低空軌道が−10〜−3である金属の強酸塩など)を使用する製造法であってもよい。
機 種;島津製作所製 LC−10ADVP
カラム:μ−Porasil(Waters)
移動相;2%イソプロピルアルコール/ブチルクロライド〜
32%イソプロピルアルコール/ブチルクロライド
までグラディエント
検出器;UV(240nm)
温 度;40℃
各付加モル数のピークの面積をそれぞれ該当する付加モル数の化合物の分子量で割ったときの値の比から、各付加モル数の重量比を知ることができ、それに基づいて重量%を算出できる。
これらのうち好ましいものは、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂であり、特に好ましいものはポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
繊維、金属繊維、セラミックウィスカ、チタンウィスカなど;難燃剤としては、リン酸エステル系[トリクレジルホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートなど]、臭素系(デカブロモビフェニルエーテルなど)、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩系(ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなど)、水酸化アルミニウム、赤リン、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘット酸、テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。
ル)など];硫黄系酸化防止剤[ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート(DLTD
P)、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート(DSTDP)など];リン系酸化
防止剤[トリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)など];アミン系酸化防止剤[オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミンなど]など;紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ンなど)、サリチレート系(フェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど)、ベンゾトリアゾール系[(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよびその(共)重合体など]、アクリル系[エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレートなど]など;が挙げられる。
樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、抗菌剤および添加剤を混合可能な成分に予め配合した後に成形する方法が挙げられる。
溶融混練は、ヘンシェルミキサーなどの混合機で混合した後、2軸押出機などを用いて混練(通常150〜250℃)して行われ、さらにペレット、粉末、繊維またはブロック状などに成形される。
また、予め樹脂用抗菌剤を少量の樹脂[抗菌性樹脂組成物中の(A)/樹脂=11〜60/89〜40重量比]と加熱溶融混練しておきマスターバッチを製造し、さらに樹脂と加熱溶融混練して抗菌性樹脂組成物を製造することもできる。
のペレットまたは粉末等を、さらに加圧成型機もしくは射出成型機等により成型加工する方法、または抗菌性樹脂組成物の各成分を加熱溶融混練した後、連続的に加圧成型機もしくは射出成型機等により成型加工する方法により得られる。成型加工時の温度は、樹脂の種類によって適宜選択されるが、通常180〜250℃、好ましくは200〜230℃である。本発明の成形体は、成形時に熱分解を起こしにくいので、抗菌性が低下したり成形体が着色するという問題が起こりにくい。また、本発明の成形体は、酸化剤と接触しても着色しにくい。例えば、繊維状成形体の場合、漂白剤(次亜塩素酸塩などの酸化剤)で処理されても、従来の抗菌性樹脂成形体に比べて着色が少ない。
以下実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製オートクレーブに、1,2−ジヒドロキシドデカン202部(1モル部)、水酸化カリウム0.1部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO30.8部(0.7モル部)を150℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入した。反応物に「キョーワード600」を3部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により1,2−ジオールアルキレンオキサイド付加物を得て、抗菌剤(A−1)とした。(A−1)の付加モル数分布は表1に示した。
撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製オートクレーブに、1,2−ジヒドロキシデカン174部(1モル部)、過塩素酸アルミニウム9水塩0.1部を投入し、混合系内を窒素で置換した後、減圧下(約20mmHg)、120℃にて1時間脱水を行った。次いでEO55.0部(1.25モル部)を95℃にて、ゲージ圧が1〜2kgf/cm2となるように導入した。反応物に「キョーワード500(協和化学工業社製)」を2部投入し、90℃にて触媒を吸着処理後、ろ過により本発明の1,2−ジオールアルキレンオキサイド付加物を得て、抗菌剤(A−2)として。(A−2)の付加モル数分布は表1に示した。
原料の1,2−ジオールの種類と量、および触媒としての水酸化カリウムの量、およびアルキレンオキサイドの種類と量を表1に示したように代えたこと以外は実施例1と同様にして実施例3〜6および比較例1の1,2−ジオールアルキレンオキサイド付加物を得て、それぞれ抗菌剤(A−3)〜(A−6)および(X−1)とした。これらの付加モル数分布は表1に示した。
6D:1,2−ジヒドロキシ−n−ヘキサン
8D:1,2−ジヒドロキシ−n−オクタン
10D:1,2−ジヒドロキシ−n−デカン
12D:1,2−ジヒドロキシ−n−ドデカン
16D:1,2−ジヒドロキシ−n−ヘキサデカン
24D:1,2−ジヒドロキシ−n−テトラエイコサン
EO:エチレンオキサイド
PO:1,2−プロピレンオキサイド
<抗菌性樹脂成形体の試験片の作製>
表2または表3に示す部数の抗菌剤、および表2または表3に示す部数の樹脂をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて200℃で溶融混練してペレット状の抗菌性樹脂組成物を得た。さらにこれらのペレットを射出成形機(日精樹脂工業製)を用いて、シリンダー温度230℃の条件で射出成型して、実施例9〜16および比較例2〜9の試験片(50mm×50mm×2mm)を得た。なお、樹脂としては電気化学工業(株)製の透明ABS樹脂「TE−10」(以下ABSと略)と出光興産(株)製のポリプロピレン樹脂「E−105GM」(以下PPと略)をもちいた。なお、抗菌剤を添加しないで、ABS樹脂のみを用いて同様に試験片を作製し、ブランクの試験片とし、比較例10とした。
実施例9〜16および比較例2〜9で使用した抗菌剤は以下のものである。
上記の(A−1)〜(A−6)、
(X−1)上記の1,2−ジヒドロキシ−n−ヘキサンのEO平均0.7モル付加物
(X−2)1,2−ジヒドロキシ−n−デカン
(X−3)1,2−ジヒドロキシ−n−ドデカン
(X−4)銀ゼオライト
(X−5)2−(4'−チアゾリル)−ベンズイミダゾール
(X−6)塩化ジメチルジn−デシルアンモニウム
本発明の抗菌性樹脂成形体(実施例9〜17)および比較の成形体(比較例2〜10)の抗菌性をJIS Z 2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に準じて評価した。
(i)グラム陰性菌[大腸菌(Escherichia coli ATCC 8379)および緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)]およびグラム陽性菌[黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538)]は、標準寒天培地に接種し、35℃、24時間培養後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)を用いて、菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した。
(ii)酵母(赤パン酵母:Rhodotorula rubra HIC 3420)は、ポテトデキストロース寒天培地に接種し、25℃で72時間培養後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)を用いて、菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した。
(iii)カビ(黒カビ:Aspergillus niger IFO 4407および青カビ:Penicillium citrinum IFO 6352)は、ポテトデキストロース寒天培地に接種し、25℃で7〜10日間培養後、Tween 80を0.05重量%添加した生理食塩水を用い、胞子懸濁液(菌数2.5×105〜10×105個/ml)を調製した。
試験片(50mm×50mm×2mm)上に、試験菌液を0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせ温度35±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、試験片とフィルムを10mlのSCDLP培地で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供して生菌数を求めた。結果を表2および表3に示す。
上記実施例9〜16および比較例2〜9において得られたペレット状の抗菌性樹脂組成物、または比較例10のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製)を用いて、シリンダー温度280℃の条件で100mm×100mm×2mmの成形片を作成し、色相を日本電色工業製の測定色素計を用いて測定した。結果を黄色度で表し、数値が大きいほど黄色度が大きく、着色が強い。結果を表2および表3に示す。
ASTM D257(1984年)に準じて測定した。結果を表2および表3に示す。
試験片(100×100×2mm)を23℃、湿度50%RHの条件で48時間静置後、超絶縁計[東亜電波工業(株)製、DSM−8103(平板試料用電極SME−8310)]により同条件の雰囲気下で表面固有抵抗値を測定した(ASTM D257に準拠)。
比較の抗菌剤に比べて低添加量でも優れた抗菌性があり、また、グラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母およびカビのいずれにも優れた効果があり、抗菌スペクトルが広いことがわかる。さらに、比較の抗菌剤に比べて、耐熱性に優れており、高温で加熱されても着色が少ない、ということがわかる。
さらには、本発明の樹脂用抗菌剤からなる成形体は、帯電防止効果も発揮することがわかる。
Claims (5)
- 一般式(1)で示される化合物の1種以上を含有してなる樹脂用抗菌剤。
- 一般式(1)で示される化合物の2種以上を含有してなる請求項1記載の樹脂用抗菌剤。
- 一般式(2)で示される1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるアルキレンオキサイド付加物である請求項1または2記載の樹脂用抗菌剤。
- アルキレンオキサイド付加物における、1,2−ジオールの1分子当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数が0.5〜10である請求項3記載の樹脂用抗菌剤。
- 未反応1,2−ジオールの含有量が、アルキレンオキサイド付加物の重量に基づいて50重量%未満である請求項3または4記載の樹脂用抗菌剤。
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