JP2007063410A - 抗菌防カビ性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂に対して従来よりも少量の抗菌防カビ剤の添加で抗菌性と防カビ性が発揮できる抗菌防カビ性樹脂組成物およびその成型体を提供する。
【課題を解決するための手段】
第4級アンモニウム超強酸塩(A)、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン(B)、並びに他の熱可塑性樹脂(C)を含有し、下記(i)および(ii)を満たす抗菌防カビ性樹脂組成物。
(i)(A)の溶解度パラメーター(SPA)と(B)の溶解度パラメーター(SPB)の差の絶対値|SPA−SPB|が2以下である。
(ii)(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基の重量比が0.001〜0.18である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗菌防カビ性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、第4級アンモニウム超強酸塩型抗菌剤を含む抗菌防カビ性樹脂組成物に関する。
従来、衛生上のニーズ等から、樹脂に抗菌防カビ剤を配合して抗菌性と防カビ性を付与することが行われてきた。添加する抗菌防カビ剤としては、無機系の抗菌剤、例えば銀、銅および亜鉛ゼオライト(特許文献−1参照)や、有機系の抗菌剤、例えばイミダゾール系抗菌剤(特許文献−2参照)、チアゾリン系抗菌剤(特許文献−3および−4参照)およびアニオン性高分子と第4級アンモニウム塩との塩(特許文献−5参照)が知られている。
特開平6−116458号公報、 特開昭52−7435号公報、 特開平8−310903号公報、 特開平11−207880号公報、 特開2000−154105号公報。
しかしながら、従来の無機系および有機系の抗菌防カビ剤は、抗菌性については一定の効果があるが、防カビ性については十分な効果が発揮できていなかった。
樹脂に対して多量の抗菌防カビ剤を配合すると、ある程度の防カビ性を示すが、多量の添加による樹脂の着色問題や成型体の物理的物性の低下または樹脂との混練時に抗菌剤が樹脂からしみだし、成形が困難になるなどの問題が起こり易かった。
本発明が解決しようとする課題は、抗菌性だけでなく防カビ性についても従来の抗菌防カビ性樹脂組成物よりも優れ、しかも抗菌防カビ剤の添加量が従来よりも少量であっても、抗菌性と防カビ性、特に防カビ性が発揮できる抗菌防カビ性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、第4級アンモニウム超強酸塩(A)、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン(B)、並びに他の熱可塑性樹脂(C)を含有し、下記(i)および(ii)を満たす抗菌防カビ性樹脂組成物、並びに該抗菌防カビ性樹脂組成物を成型してなる抗菌防カビ性樹脂成型体である。
(i)(A)の溶解度パラメーター(SPA)と(B)の溶解度パラメーター(SPB)の差の絶対値|SPA−SPB|が2以下である。
(ii)(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基の重量比が0.001〜0.18である。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物およびその成型体は、優れた抗菌性と防カビ効果を発揮し、樹脂組成物中の抗菌防カビ剤の含有量が従来の添加量に比べて少なくても優れた抗菌性と防カビ効果を発揮する。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、抗菌性と防カビ性を付与する目的の他の熱可塑性樹脂(本願発明における「他の熱可塑性樹脂(C)」)に第4級アンモニウム超強酸塩(A)(以下、単に(A)と記載する場合がある)を添加するだけでなく、さらに、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン(B)(以下、単に(B)と記載する場合がある)を含有させ、かつ、(A)、(B)のSP値が特定の関係にあること、および(A)、(B)および(C)の含有量が特定の範囲にあることと、(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基の重量比が特定の範囲にあることによって、抗菌性のみでなく、特に防カビ性に効果を発揮するものである。
本発明において、(A)には、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム超強酸塩(A1);アミド基[アルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基]または/および炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する第4級アンモニウム超強酸塩(A2);並びに環状アミン(ピリジン、モルホリンなど)型第4級アンモニウム超強酸塩(A3)が含まれる。
Figure 2007063410
一般式(1)におけるR1およびR2は炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基およびアルケニル基など)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)、オレイル基などが挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。これらのうち、好ましいのは炭素数が1〜14、さらに炭素数1〜8、特に炭素数1または2のものであり、最も好ましいのはメチル基である。また、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基を表す。直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基としては、前記例示したものが挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基およびフェネチル基など、アリールアルケニル基としてはスチリル基およびシンナミル基などが挙げられる。
3のうち好ましいのは炭素数が1〜18の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜15のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、さらに好ましいのは炭素数が6〜14の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基である。
4は炭素数8〜22の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基およびオレイル基などが挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。R4のうち好ましいのは炭素数8〜18の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基、さらに好ましいのは炭素数10〜16の直鎖また分岐の脂肪族炭化水素基である。X-は超強酸のアニオンを表す。
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の具体例としては以下のものが挙げられる。
3が脂肪族炭化水素基の場合は:
1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムおよびメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム);
2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモニウム);および
1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウムおよびメチルジエチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
3がアリールアルキル基の場合は:
ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。
(A1)のうち、抗菌性の観点から好ましいのは、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムおよびジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
(A2)を構成する第4級アンモニウム基としては、例えばオレアミドエチルジエチルメチルアンモニウム、ステアラミドエチルジエチルベンジルアンモニウム、およびステアラミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基などが挙げられる。
(A3)を構成する第4級アンモニウム基をしては、アルキロキシ(炭素数8〜24)メチルピリジニウム基(例えばステアリロキシメチルピリジニウム基)、アルキル(炭素数8〜24)オキシメチルピリジニウム基(例えば、ヘキサデシルオキシメチルピリジニウム基)、およびアルキル(炭素数10〜24)ピリジニウム基(例えば、テトラデシルピリジニウム基)などが挙げられる。
(A)のうちのアニオンを構成する超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H0)が100%硫酸の−11.93以下のものであり、プロトン酸、およびプロトン酸とルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。
プロトン酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H0=−14.10)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H0=−14.00)などが挙げられる。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素、五フッ化タウリンなどが挙げられる。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸、六フッ化タウリンなどが挙げられる。
上記の超強酸のうち、本発明の一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A)の耐熱性の観点から、好ましいのは、Hammettの酸度関数(H0)が−12.00以下のもの、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、六フッ化リン、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン、六フッ化砒素、および六フッ化タウリンなど、さらに好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸および六フッ化リン酸、特に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸と四フッ化硼素酸である。
(A)のうち、耐熱性、少量の添加で抗菌防カビ性を発揮できる点および抗菌防カビ性の持続性の観点から、好ましいのは(A1)であり、特に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩およびジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸である。
(A)の製造方法としては限定はなく公知の方法でよく例えば下記の[I]および[II]の方法が挙げられる。好ましいのは[II]の方法である。
[I] 第4級アンモニウム塩〔例えば、クロルアニオンからなる塩〕の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩またはカリウム塩など)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して得られる水溶液を70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を溶媒(例えば、メタノール)の存在下(第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%)または非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、さらに前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。溶媒を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
本発明における(A)は、通常は固体であり、その融点は通常30〜100℃であり、好ましくは40〜80℃である。
本発明におけるカルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン(B)としては、以下の(B1)と(B2)の2種類のものがある。
(B1)予め製造されたポリオレフィンを変性したもの。
(B2)オレフィン、並びにカルボキシル基またはカルボン酸無水物基を有するビニル単量体を共重合したもの。
(B1)において、変性される前のポリオレフィンとしては、炭素数2〜24のオレフィンを単量体としてなるポリオレフィンが挙げられる。
炭素数2〜24のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセンおよび1−オクタデセンなどが挙げられる。
変性される前のポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体及びプロピレン/1−ヘキセン共重合体)が挙げられる。
なお、本発明における変性される前のポリオレフィンとしては、オレフィン以外のビニル単量体を全単量体のうちの20モル%以下、好ましくは10モル%以下含有する共重合体であってもよい。オレフィン以外のビニル単量体としては、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、ジエンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜12)などが挙げられる。
変性される前のポリオレフィンのうち、防カビ性の効果を発揮しやすいという観点から好ましいのは炭素数2〜6のオレフィンを単量体としてなるポリオレフィンである。
変性を受けるポリオレフィンの重量平均分子量(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる測定;以下Mwと略記する)は、好ましくは400〜90,000、さらに好ましくは900〜70,000である。
変性を受けるポリオレフィンのうち好ましいのは、高分子量のポリオレフィンを熱減成(高分子量ポリオレフィンを、通常300〜450℃で0.5〜10時間、好ましくは320〜430℃で0.7〜7時間加熱)して低分子量化して得られるMwが400〜10,000の低分子量ポリオレフィンである。
ポリオレフィンの変性の方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)α,β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物を、必要によりラジカル開始剤の存在下、溶融法または溶液法のいずれかの方法で反応させ変性する方法。
(2)酸素および/またはオゾン等を用いてポリオレフィンを酸化する方法。
(1)の変性方法において使用されるα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物としては、炭素数3〜6のα,β−不飽和モノカルボン酸[例えば(メタ)アクリル酸およびクロトン酸など]、炭素数4〜8のα,β−不飽和ジカルボン酸[例えばマレイン酸、フマル酸およびイタコン酸など]、およびこれらの酸無水物[無水(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸および無水イタコン酸など]があげられる。
これらのうち好ましいのは防カビ性の効果を発揮しやすいという観点から酸無水物、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
(1)の変性方法におけるα,β−不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物の仕込み量は、(A)の重量に対する(B)のカルボニル基の重量割合を0.1〜18重量%に設定する必要があるという観点から、ポリオレフィン変性を受けるの重量に基づき、通常1〜25重量%、好ましくは3〜20%(以下、%は特に限定しない限り重量%を表す)である。
ラジカル開始剤としては、例えば、アゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル)および過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を一個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキサイド]および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルキクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネートおよびt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。これらのうち、反応性の観点から好ましいのは単官能過酸化物、特に好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびジクミルパーオキサイドである。
溶液法における溶媒としては有機溶媒[炭素数3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−およびテトラクロロエタンおよびジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびジ−t−ブチルケトン)およびエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテルおよびジオキサン)]などが使用できる。
溶融法における反応温度は、変性を受けるポリオレフィンが溶融する温度であればよく、反応性の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
溶液法における反応温度は変性を受けるポリオレフィンが溶媒に溶解する温度であればよく、反応性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
変性されたポリオレフィンのMwは、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜70,000、特に好ましくは1,500〜50,000である。Mwが500以上であれば抗菌防カビ性樹脂組成物の耐熱性の観点から好ましく、100,000以下であれば抗菌剤が少量でも効果が発揮されやすいという観点から好ましい。
(2)の方法における酸素およびオゾンを用いるポリオレフィンの酸化方法としては、例えば、0.5%の空気を含んだオゾンガスを120℃で7時間吹き込むことで達成できる。
供給されるガス量は、2.5L/minが好ましい。(例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法)。
本発明における(B)のうちの(B2)(オレフィン、並びにカルボキシル基またはカルボン酸無水物基を有するビニル単量体を共重合したもの)としては、前記のオレフィン、並びにα,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物の共重合体が挙げられる。
好ましいオレフィンとしては炭素数2〜6のオレフィンが挙げられ、好ましいα,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物としてはマレイン酸および無水マレイン酸、特に無水マレイン酸が挙げられる。
オレフィンと、α,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物との共重合における仕込みモル比は、(A)の重量に対する(B)のカルボニル基の重量割合を0.1〜18重量%に設定する必要があるという観点から、好ましくは99/1〜2/98、さらに好ましくは95/5〜3/97、特に好ましくは80/20〜4/96である。
(B2)のMwは、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜70,000、特に好ましくは1,500〜50,000である。Mwが500以上であれば抗菌防カビ性樹脂組成物の耐熱性の観点から好ましく、100,000以下であれば抗菌剤が少量でも効果が発揮されやすいという観点から好ましい。
本発明における(B)のうちで最も好ましいのは、防カビ性の観点から、無水マレイン酸で変性された、炭素数2〜6のオレフィンを単量体としてなるポリオレフィンである。
本発明における(B)の吸水率は、後述の抗菌防カビ性樹脂組成物の成型体の耐水性の観点から、好ましくは10%未満である。本発明において吸水率は ASTM−D570法(23℃、24時間後)で測定されるものである。
本発明における他の熱可塑性樹脂(C)は、(B)以外の熱可塑性樹脂であり、例えば以下のものが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂[たとえばポリプロレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート系共重合樹脂など];ポリアクリル系樹脂[たとえばポリメタクリル酸メチルなど];ポリスチレン系樹脂[たとえばポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)など];ポリエステル系樹脂[たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなど];ポリアミド系樹脂[たとえばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12など];ポリカーボネート系樹脂[たとえばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等];ポリアセタール樹脂;熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂であり、特に好ましいものはポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、(A)の溶解度パラメーター(SPA)と(B)の溶解度パラメーター(SPB)の差の絶対値|SPA−SPB|が2以下であることを必須とし、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1以下である。
|SPA−SPB|が2以下であることは(A)と(B)のSP値が近いことを示している。
|SPA−SPB|が2以下の場合は、抗菌防カビ剤成分である(A)の分散性がよくなり、少量の(A)で効率的な抗菌防カビ性が発現する。
SPAは通常8〜20、好ましくは8〜13であり、SPBは通常7〜18、好ましくは7.5〜13である。
なお、SP値は、Fedorsの方法(Polymer Engineering and Science, vol.14, P152)によって計算できる。
また、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、防カビ性の発揮という観点から、(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基(>C=O基)の重量比が0.001〜0.18であることを必須とする。
カルボニル基の重量比の好ましい範囲は防カビ性の発揮という観点から、0.01〜0.17、さらに好ましくは0.03〜0.15である。
(B)中のカルボニル基の重量は、(B)中のカルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基の含有量を、(B)の製造時の仕込み量から計算するか、または(B)をNMRで分析して計算し、カルボニル基(>C=O基)に換算して求めることができる。
また、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、防カビ性の発揮という観点から、樹脂組成物の重量に基づく(A)の含有量が好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.1〜3%、(B)の含有量が好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.3〜3%、および(C)の含有量が好ましくは85〜99%、さらに好ましくは95〜99%である。
なお、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物がマスターバッチとして使用される場合は、
樹脂組成物の重量に基づく(A)の含有量が好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜30%であり、(B)の含有量が好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜30%であり、(C)の含有量が好ましくは50〜98%、さらに好ましくは50〜90%である。
また、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物において、(B)の重量に基づく(A)の含量は好ましくは50〜500%であり、さらに好ましくは75〜400%、特に好ましくは90〜250%である。(A)の含量が50%以上であれば(A)の抗菌防カビ性が十分に発揮でき、500%以下であれば成型体の物理的物性を低下させることが少ない。
また、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物において、(C)の重量に基づく(A)の含量は、好ましくは0.01〜10%、抗菌防カビ性効果と樹脂物性の観点から好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.2〜5%、とくに好ましくは0.3〜3%となるような添加量である。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、必要によりさらに顔料、核剤、可塑剤、安定剤、充填材、難燃剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤から選ばれるその他の添加剤を含有させることができる。
顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、カドミウム、群青、アゾ系、フタロシアニン系、建染染料系、キナクリドン系、ジオキサジン系、染付レーキなど;核剤としては、ジベンジリデンソルビトールなど;可塑剤としては、フタル酸エステル系(ジオクチルフタレートなど)、リン酸エステル系、アジピン酸系、セバチン酸エステル系、グリコール酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ系など;安定剤としては、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、シリカゲル共沈けい酸鉛、液状金属系、ラウレート系有機スズ、マレエート系有機スズ、メルカプタイド系有機スズ、アンチモン系、エポキシ系、亜リン酸エステル系など;充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けい酸、けい酸塩、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、カーボン繊維、金属繊維、セラミックウィスカ、チタンウィスカなど;難燃剤としては、リン酸エステル系[トリクレジルホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートなど]、臭素系(デカブロモビフェニルエーテルなど)、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩系(ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなど)、水酸化アルミニウム、赤リン、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、ヘット酸、テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。
また、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)など];硫黄系酸化防止剤[ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート(DSTDP)など];リン系酸化防止剤[トリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)など];アミン系酸化防止剤[オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミンなど]など;紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど)、サリチレート系(フェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど)、ベンゾトリアゾール系[(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよびその(共)重合体など]、アクリル系[エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレートなど]など;が挙げられる。
上記その他の添加剤の使用量は、(C)の重量に基づいて、可塑剤、充填材は通常80%以下、好ましくは10〜50%、難燃剤は通常40%以下、好ましくは10〜30%、顔料は通常40%以下、好ましくは1〜10%、核剤、安定剤は通常10%以下、好ましくは1〜5%、酸化防止剤、紫外線防止剤は通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、(A)、(B)および(C)、並びに必要によりその他の添加剤を溶融混練した後、冷却して得られる。
溶融混練は、ヘンシェルミキサーなどの混合機で混合した後、2軸押出機などを用いて混練(通常150〜250℃)して行われ、通常は、さらにペレット、粉末またはブロック状などに成形される。
また、予め(A)と(B)を、少量の(C)に加熱溶融混練し、(A)と(B)の濃度が比較的高濃度のマスターバッチを製造した後、さらに(C)を加えて加熱溶融混練して抗菌防カビ性樹脂組成物を製造することもできる。
マスターバッチを製造する場合の(A)、(B)および(C)の好ましい含有量は前述の通りである。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物は、従来の抗菌防カビ性樹脂組成物に比較して少量の
抗菌防カビ剤の添加量であっても、抗菌性と防カビ性、特に防カビ性が発揮できる抗菌防カビ性樹脂組成物である。
従って、樹脂組成物の混練成型工程で抗菌防カビ剤が樹脂成分からしみだして、成型が困難になるなどの問題が起こりにくい。
また、樹脂組成物の成型工程で熱分解を起こしにくいので、抗菌防カビ性が低下したり成型体が着色するという問題が起こりにくい。
さらには、成型体の物理的物性を低下させることも少なく、機械的強度に優れ、耐水性も良好である。
また、抗菌防カビ剤の添加量が少ないので経済的である。
本発明における抗菌防カビ性樹脂組成物を成型して得られる成型体は、上記抗菌防カビ性樹脂組成物のペレットまたは粉末等を、さらに加圧成型機もしくは射出成型機等により成型加工する方法、または抗菌防カビ性樹脂組成物の各成分を加熱溶融混練した後、連続的に加圧成型機もしくは射出成型機等により成型加工する方法により得られるものである。
成型加工時の温度は、(C)の種類によって適宜選択されるが、通常180〜250℃、好ましくは200〜230℃である。
本発明の成型体の形状は、ブロック状物、板状物、シート、フィルムおよび糸などである。成型体は浴槽、洗面台等のサニタリー用品、冷蔵庫、洗濯機等の家電用品、食卓、台所等の家庭用品、塩ビパイプ等の建築用品、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、スパンデックス等の繊維および繊維製品、ポリエチレンシート等の包装用品などの各種用途に使用できる。
<実施例>
以下実施例および製造例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
[(A)の製造例]
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル)、および炭酸ジメチル144部(1.6モル)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)を得た。さらに、30〜60℃に昇温したのち、その温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液114部(0.55モル)を2時間で徐々に加えた。その後、さらに、同温度で1時間攪拌した後、静置分液した上層を分取し、メタノールと水を減圧下、80〜100℃で留去して、さらに減圧乾燥(減圧度950hpa、105℃×3時間)した後、80℃で溶融状態にして、析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩(A1−1)(SPA=8.18)206部を得た。
製造例2
製造例1と同様にして得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、減圧乾燥(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1−2)(SPA=7.84)250部を得た。
[(B)の製造例]
製造例3
エチレン/プロピレン共重合体である高分子量ポリオレフィン(メルトインデックス=45g/10分のもの;測定法はASTM−D−1238)を熱減成(窒素ガス通気下、常圧、360℃×80分にて実施)して得られた、プロピレン98モル%とエチレン2モル%を構成単位とする、Mw13,000の低分子量ポリオレフィン80部を、冷却管付き三ツ口フラスコに入れ、窒素置換した後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温し溶融させた。
ここに無水マレイン酸5部を加え、均一に混合した後、キシレン10部に溶解させたジクミルパーオキサイド0.5部を滴下し、180℃で3時間攪拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、軟化点154℃、Mw40,000、SPB=8.16、吸水率=1.8%の無水マレイン酸変性ポリオレフィン(B−1)を得た。
製造例4
エチレン/プロピレン共重合体である高分子量ポリオレフィン(メルトインデックス=45g/10分のもの;測定法はASTM−D−1238)を熱減成(窒素ガス通気下、常圧、360℃×80分にて実施)して得られた、プロピレン98モル%とエチレン2モル%を構成単位とする、Mw13,000の低分子量ポリオレフィン80部を、冷却管付き三ツ口フラスコに入れ、窒素置換した後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温し溶融させた。
ここに無水マレイン酸10部を加え、均一に混合した後、キシレン10部に溶解させたジクミルパーオキサイド0.5部を滴下し、180℃で3時間攪拌を続けた。その後、減圧下でキシレンを留去し、軟化点145℃、Mw30,000、SP値=8.33、吸水率=2.5%の無水マレイン酸変性ポリオレフィン(B−2)を得た。
製造例5
加熱冷却装置、攪拌機および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、溶剤としてキシレンを50部、モノマーとしてα−メチルスチレン、アクリル酸メチル及び無水マレイン酸を、それぞれ15部(25モル%)、43部(65モル%)及び7部(10モル%)仕込み、重合開始剤として「パーカドックス12」(登録商標)[化薬アクゾ(株)製]を0.6部添加した。
系内溶液を120℃で16時間加熱し重合反応させ、得られた反応生成物と未反応モノマー混合液をクロロホルム30部で希釈した後、メタノール300部中に投入してポリマー成分を沈殿させた。濾過して未反応モノマーを除去し、残査を乾燥(100℃で16時間)することで粉末状の共重合体(B−3)(Mw=72,000、SP値=10.48、吸水率=7.8%) を得た。
比較製造例1
市販の高分子量ポリプロピレン樹脂を熱減成(窒素ガス通気下、常圧、360℃×70分にて実施)して得られた低分子ポリプロピレン(X−1)(数平均分子量Mn=3,500、SP値=8.0、吸水率=1.0%)を得た。
実施例1〜5、比較例1〜14
表1〜表4に示す、(C)のうちの10部およびその他の成分とをヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて200℃で溶融混練してペレット状のマスターバッチを得た。このマスターバッチにさらに残りの(C)を同じミキサーで混合し、同じ押出機にて200℃で溶融混練しペレット状の抗菌防カビ性樹脂組成物を得た。
さらにこれらのペレットを射出成型形して、実施例および比較例の成型体(50mm×50mm×2mm)を得た。 尚、(C)としては出光興産(株)製のポリプロピレン樹脂「E−105GM」(以下PPと略)をもちいた。
なお、比較の抗菌剤は以下のものである。
(Y−1)は銀ゼオライト
(Y−2)は2−(4'−チアゾリル)−ベンズイミダゾール
(Y−3)は塩化ジメチルジn−デシルアンモニウム
<成型体の抗菌性評価>
上記の成型体の抗菌性をJIS Z 2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に従って評価した。
即ち、普通ブイヨン培地を滅菌精製水で500倍希釈した液で菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した試験菌液を、試験片(成型体試験片;50mm×50mm×2mm)上に0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせ温度35±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、試験片とフィルムを10mlのSCDLP培地で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供して生菌数を求めた。
結果を表1〜表4に示す。
<成型体の防カビ性評価>
カビとして、Aspergillus nigarを用い、JIS L 1902に準拠して、以下の方法で防カビ性を評価した。
供試菌をPDA寒天培地で培養し、着生した胞子を生理食塩水で集め、ガーゼをつめたチップでろ過して胞子懸濁液を作成した。この胞子懸濁液を、無菌水で20倍に希釈した1/20PDA液体培地を用いて胞子数約105〜106cells/mlに調整し、これを試験菌液とした。
試験片(成型体試験片;50mm×50mm×2mm)上に0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせ、温度30±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、試験片とフィルムを10mlの生理食塩水で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供して胞子数を求めた。
胞子数測定
洗い出し液1mlを採取し、生理食塩水9mlの入った試験管に混ぜ、よく撹拌した。この試験管から1mlを採取し、別の試験管の生理食塩水9mlに入れて撹拌した。この操作を繰り返して、10倍希釈法による希釈系列を作成した。各希釈系列の試験管から0.05ml採取し、PDA寒天培地に塗布した後、30℃で48時間培養した。30〜300個のコロニーが現れた希釈系列のシャーレの胞子数を測定した。
胞子数は、以下の計算式で求めた。
胞子数 M=Z×R×20
ここで、Zはコロニー数(2枚のシャーレの平均)、Rは希釈倍率である。
胞子数が少ないほど、防カビ性が高いことを示している。なお胞子数が0は、胞子が全く観察されないことを示しており、非常に高い防カビ性を有していることを示している。
結果を表1〜表4に示す。
Figure 2007063410
Figure 2007063410
Figure 2007063410
Figure 2007063410
表1〜4から、本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物からなる成型体(実施例1〜5)は;
1.(B)としてカルボニル基を含有しないポリオレフィンを使用した場合(比較例1)に比較して防カビ性に優れており、しかも(A)の添加量が少なくても防カビ性を発揮することができる。
2.(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基の量が多すぎる場合(比較例3〜8)に比較して防カビ性に優れており、しかも(A)の添加量が少なくても防カビ性を発揮することができる。(比較例4、6、8のように(A)の添加量を増やしても効果少ない)
3.|SPA−SPB|が2以上である(比較例9、10)に比較して防カビ性に優れており、しかも(A)の添加量が少なくても防カビ性を発揮することができる。(比較例10のように(A)の添加量を増やしても効果少ない)
4.従来の無機系抗菌剤や有機系抗菌剤を使用した場合(比較例11〜14)に比べて抗菌性だけでなく防カビ性に優れており、しかも(A)の添加量が少なくても防カビ性を発揮することができる。(比較例14のように(A)の添加量を増やしても効果少ない)
本発明の抗菌剤組成物を用いて得られる抗菌性樹脂組成物は、成型して成型体とされ、抗菌性のブロック状物、板状物、シート、フィルムおよび糸などに利用できる。そしてそれらの成型体は浴槽・洗面台等のサニタリー用品、冷蔵庫・洗濯機等の家電用品、食卓・台所等の家庭用品、塩ビパイプ等の建築用品、ポリプロピレン・ポリエステル・ナイロン・スパンデックス等の繊維および繊維製品、ポリエチレンシート等の包装用品などの各種用途に使用できる。

Claims (7)

  1. 第4級アンモニウム超強酸塩(A)、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン(B)、並びに他の熱可塑性樹脂(C)を含有し、下記(i)および(ii)を満たす抗菌防カビ性樹脂組成物。
    (i)(A)の溶解度パラメーター(SPA)と(B)の溶解度パラメーター(SPB)の差の絶対値|SPA−SPB|が2以下である。
    (ii)(A)の重量に対する(B)中のカルボニル基の重量比が0.001〜0.18である。
  2. (A)が、一般式(1)で表される第4級アンモニウム超強酸塩である請求項1記載の抗菌防カビ性樹脂組成物。
    Figure 2007063410
    (式中、R1およびR2は同一の又は異なる、炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基、R3は炭素数が1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基又は炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、R4は炭素数が8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、X-は超強酸のアニオンを表す。)
  3. (B)の重量平均分子量が500〜100,000である請求項1または2記載の抗菌防カビ性樹脂組成物。
  4. (B)が、炭素数2〜6のオレフィンを単量体としてなるポリオレフィンの無水マレイン酸変性物である請求項1〜3のいずれか記載の抗菌防カビ性樹脂組成物。
  5. (B)の吸水率が10重量%未満である請求項1〜4のいずれか記載の抗菌防カビ性樹脂組成物。
  6. 樹脂組成物の重量に基づく(A)の含有量が0.01〜10重量%、(B)の含有量が0.1〜10重量%、および(C)の含有量が85〜99重量%である請求項1〜5のいずれか記載の抗菌防カビ性樹脂組成物
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の抗菌防カビ性樹脂組成物を成型してなる抗菌防カビ性樹脂成型体。
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JP2015199219A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 防かび性樹脂成形体の製造方法

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