JP5073951B2 - 被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、AlおよびSを含有する快削鋼を、その鋳造時にノズルを閉塞することがないように溶製し、被削性と強度特性のよい機械構造用鋼を製造する方法に関する。
近年の切削加工の高速化と自動化の発展にともない、機械構造用部品に要求される鋼材の被削性がますます重要視されるようになり、被削性を一段と改善した快削鋼の需要は著しく高まっている。しかも、鋼材には、軽量化の観点からさらなる高強度化が要求されている。
一般に、この種鋼材の被削性は、鋼の高強度化が増すにつれて劣化する傾向があるため、このふたつの相反する特性を同時に満足する鋼材が要求されるのは当然である。この要求に対しては、鉛快削鋼が主流であったが、鉛による環境汚染は鉛の使用を規制し、無鉛タイプの快削鋼の研究開発を積極化している。
すでにその結果は、いくつかの発明となって下記するような特許文献に公開され、一部は実用化されているものもある。
MnSを利用するタイプの快削鋼として、特許文献1は、切り屑の分断性と工具寿命を保持して被削性を向上する横目靭性にすぐれた鋼を示す。また、特許文献2は、被削性にすぐれ、強度異方性の小さい機械構造用鋼を示す。さらに、特許文献3は、機械的性質にすぐれ、ドリル穴あけ加工性によい機械構造用鋼が示されている。これらは、鋼中のS量を増してMnSを多く生じさせるとともに、同MnS中にCaやMgを含有させることによって、MnSの分布および形態を制御し、以って鋼の機械的性質および被削性の双方を改善しようとする。
ところが、このように、高S鋼中にCa、Mgを添加すると、溶鋼中にCaS、MgSが生成し、これらの固体硫化物は、溶鋼の鋳造時にノズルの内部に付着して閉塞に至ることがすでに知られている。ノズル閉塞は安定鋳造を阻害するばかりか、これを溶解しようとして吹き込む酸素は、溶鋼を酸化して酸化物系介在物を増加させる。一方で、ノズル内壁の付着物が剥離して溶鋼中に混入して巨大介在物になると、鋼の強度特性を著しく劣化するのは当然である。
したがって、この種鋼の溶製にあたっては、鋳造ノズルの閉塞を阻止することが必須であり、下記非特許文献1は、Alを含有する溶鋼にCaを添加することによって、酸化物を低融点(約1400℃)の12CaO・7Alに改質し、ノズル内壁への付着を防止する方法を掲載する。ところが、現実には、快削鋼として、0.01%以上のSを含有すると、上記したCa添加によるAlの改質と競合して、固体のCaSも発生してノズルの閉塞を誘発する。もっとも、下記特許文献4は、その対策案を示すが、AlとCaSのみを考慮したノズル閉塞低減方法であり、硫化物形態制御の点でなお十分ではない。
下記する特許文献5は、AlおよびSを含有する鋼であって、脱酸生成物としてアルミナ系介在物 を不可避的に含有する溶鋼に、まずCaを、ついでMgをそれぞれ添加する方法を示す。この操作により、酸化物組成がCaO−Alの2元系である12CaO・7Alが、さらに低融点のCaO:46%、:Al47%、MgO:7%。融点約1340℃)のCaO−Al−MgO3元系に改質される。これにより、ノズルの閉塞を防止し、同時に、CaOの活量低下によるCaS生成の大幅生成を抑制し、CaSを複合化した酸化物が消滅し、介在欠陥物が軽減できるという。ところが、この方法は、ノズル閉塞の緩和および大型介在物の低減が期待できるとしても、硫化物を形態制御するためのCaおよびMgの量がSに対して少ないため、ますます要求度が増している被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼を提供するにはなお不十分である。
特開2002−069570号公報 特開2002−180184号公報 特開平10−287953号公報 特開昭63−7322号公報 特開平8−225822号公報 昭和56年4月丸善株式会社刊行 「カルシウム鋼」 81〜83頁
本発明は、被削性向上のために、高S化成分にさらにCaおよびMgを併添した鋼であって、さらに強度特性を維持するために、MnSが微細に分散して球状化され、さらに結晶粒の微細化のためにAlを含有している鋼を、ノズルを少しも閉塞することなく製造することを課題とする.
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために、
)所定の基本成分を含有し、Sを0.02%以下に調製した溶鋼に、重量比が5≦(Ca/S0)≦30、6≦(Ca/Mg)≦8ならびに0.4≦(Al+S0)/(Ca+Mg)≦0.65の各条件を同時に満足するように、Al、CaおよびMgを添加して、CaO−Al−MgO系の複合酸化物に転化制御したのち、所定量のSを追添し、Al:0.1%以下、S:0.02%超0.2%以下、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下を含有する鋼を溶製することを特徴とする被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法(ここで、S 0 は、Al、CaおよびMgを添加する前のSを0.02%以下に調製した溶鋼中に含まれるSの含有重量を示す)、
)所定の基本成分を含有し、Sを0.02%以下に調製した溶鋼に、重量比が5≦(Ca/S)≦30、6≦(Ca/Mg)≦8ならびに0.4≦(Al+S0)/(Ca+Mg)≦0.65の各条件を同時に満足するように、Al、CaおよびMgを添加し、さらに、Li、Na、K、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Pr、Ti、ZrまたはHfの1種もしくは2種以上を添加し、CaO−Al−MgO−M系(M=Li、Na、K、Sr、Ba、La,Ce、Nd、Pr、Ti、ZrまたはHf)の複合酸化物に転化制御したのち、所定量のSを追添し、Al:0.1%以下、S:0.02%超0.2%以下、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下を含有する鋼を溶製することを特徴とする被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法(ここで、S 0 は、Al、CaおよびMgを添加する前のSを0.02%以下に調製した溶鋼中に含まれるSの含有重量を示す)、
)複合酸化物がMgO・Al飽和のCaO−Al−MgOであることを特徴とする上記に記載された被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法、
)複合酸化物がMgO・Al飽和のCaO−Al−MgO−M系であることを特徴とする上記に記載された被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法、ならびに
)溶鋼を1550℃以上の温度で鋳造することを特徴とする上記1〜4に記載の被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法、である。
本発明は、必要とするS成分の全量を最初から配合した溶鋼にCaやMg等を添加しないで、0.02%以下の低Sに調整した溶鋼にCaおよびMgを添加し、あるいはさらにLi、Ba、REM、Ti等の元素Mを追添して、これらの複合酸化物に転化調整してから、不足分のSを追添して所定のS量を鋼中に確保する方法である。このようにして溶製することにより、CaSやMgSの固体硫化物の生成が抑制され、それらが鋳造時にノズルの内壁に付着して閉塞することがない。しかも、付着物が剥落して溶鋼中に混入し、巨大介在物となって鋼の強度特性を著しく劣化することもない。その結果、被削性および強度特性にすぐれた高品質の機械構造用鋼が容易に製造できる。
本発明は、基本成分として、Al:0.1%(0を含む。)以下、S:0.02%超0.2%以下、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下を含有する快削鋼を溶製する方法である。
Alは、鋼を溶製する際の脱酸元素として重要であるほか、窒化物を生成してオーステナイト結晶粒の微細化にも有効であるが、過剰に加えると、結晶粒が粗大化して鋼の靭性に悪影響をおよぼすので、0.1%以下とし、より好ましくは0.05%以下に抑制するのが良い。
Sは、硫化物系介在物を生成して被削性を向上させるのに有効な元素であり、こうした効果を発揮させるには0.02%を超えて含有させることが必要である。しかしながら、過剰に含まれるとMnSなどの硫化物が起点となって、割れが発生しやすくなるため0.2%以下に抑えることが肝要である。
Caは、0.0001%未満では、被削性(工具寿命)および鋼の強度特性が満足できない。しかし、過剰になると、上記硫化物が硬くなり、切り屑の分断性を低下するので、0.02%を上限とした。好ましくは、0.01%以下がよい。
MgについてもCaと同じことがいえるので、0.0001%〜0.02%の範囲とし、好ましくは0.01%以下に抑えるのがよい。
つぎに、本発明は、以上の基本成分を含有する鋼を溶製するにあたって、CaおよびMgの添加との関係で、Sを2回に分けて添加するのが大きな特徴である。
すなわち、0.02%以下にSを調整した炉内の溶鋼に、まずCaとMgを添加する。この添加方法はとくに限定されないが、蒸発しやすいので、たとえば、Ca、Mg合金材の粒状物を鉄製チューブ中に充填したものをそのまま溶湯に供給し、あるいは、上記粒状物を不活性ガスに乗せて溶湯中に吹き込む方法で添加する。なお、両元素は添加歩留りがよくないので、製鋼工程の作業性を考慮し、取鍋、タンデイッシュあるいはモールド等に存在する溶鋼に、数回に分けて添加し、歩留りを向上することができる。なおまた、両元素の大気酸化ロスを防止するために、溶鋼をスラグ、とくにCaO、MgOを含有するスラグで覆っておくのが好ましい。
本発明では、CaおよびMgの添加操作を終えた溶鋼を取鍋に移したのち、目標値に対して不足分のSを溶鋼に追添して所定量のSを確保することにより、最初に総量のSを添加して溶製した鋼と全く同品質の鋼が得られる。そして、0.02%以下の低S量の溶鋼に好ましくはAl、CaおよびMgを添加してCaO−Al−MgO系の酸化物に転化させると、高Sの溶鋼にCa、Mgを添加する方法で懸念されるCaSやMgSのような固体の硫化物発生がなく、したがってノズルの内壁にそれらの固体硫化物が付着して閉塞するおそれが激減する。
また、S追添後の溶鋼段階では、MgO・Alを核にしたCaSあるいはMgSが生成し、凝固時にはこれらの周囲にMnSができ、その結果、最終的には、MgO・Alを核とする(Mn、Ca、Mg)Sの形態となる。そして、これらは、後工程の鋼材圧延時にMnSの延伸を抑制し、材料特性の異方性を防止、低減する効果をもたらす。
さらに、本発明は、MgO・Al飽和のCaO−Al−MgO系の酸化物に制御することができる。このためには、Al、Ca、MgおよびS(Ca等の添加前)を、下記3条件のすべてを満足するような濃度範囲で添加すればよい。なお、ここでMgO・Al飽和とは、固体MgO・Alと液体CaO−Al−MgOが共存している状態を意味する。
・ 条件1 5≦(Ca/S0)≦30(重量比、以下同じ。)
・ 条件2 6≦(Ca/Mg)≦8
・ 条件3 0.4≦(Al+S0)/(Ca+Mg)≦0.65
なお、ここで、S0は、0.02%以下に調製された、Al、CaおよびMg添加前の溶鋼中のS含有重量を示す。
条件1においてCa/Sの比が5以下では、CaがSとの直接反応により、CaSの生成に消費され、酸化物の組成制御に使用できない。また、同比が30より大となると、CaOの活量を増大させ、CaSの生成を抑制できるAl、S濃度の安定領域を狭めることになる。
条件2においてCa/Mgの比が6より小さくなると、液相酸化物の量が減少し、逆に8より大となると、MgO・Al飽和の酸化物への制御が困難となる。
条件3において、(Al+S0)/(Ca+Mg)の比が0.4より小であるとCaOの活量を増大させ、CaSの生成を抑制できるAl、S濃度の安定領域を狭くする。また、0.65より大となると、酸化物がAl側にシフトしてその融点を上昇させ、固体酸化物がノズルを閉塞するのでよくない。
なお、上述したようなMgO・Al飽和のCaO−Al−MgO系酸化物への制御操作を、製鋼の1600℃にて実施する場合は、Al/(Al+CaO+MgO)の比が60〜80%となるように制御するとよい。これは既知のCaO−Al−MgOの相平衡図から明らかである。
図1は、上述した各種系の酸化物への転化の際のCaSの生成状態を、AlおよびSの含有量との関係においてプロットしたものである。同図に示すとおり、単なるCa添加により、酸化物をCaO−Al系(例えばAl濃度:58〜64%、aCaO=0.09、aAl=0.42)に制御した場合、0.02%AlにおけるCaSを生成しない上限S量は約0.03%である。
これに対してCa+Mgの添加により、CaO−Al−MgO系(例えば、Al濃度:3.5%、aCaO=0.05、aMgO=0.15、aAl=0.54)の液相に制御した場合は、単なるCa添加の場合よりも酸化物が低融点化するとともにaCaOが低下し、上限S量が約0.06%まで上昇する。また、図1の三角印はMg添加量をさらに増やし、MgO・Al飽和CaO−Al−MgO系(例えば、Al濃度:58〜64%、MgO濃度:10%、aCaO=0.07、aMgO=0.7、aMgO・Al=1)の液相に制御した場合であるが、これより上限S量はCaO−Al−MgO系と同等レベルとなることが読み取れる。
なお、前述の目標とする酸化物組成範囲内において、酸化物中のAl濃度を高くすることにより、aCaOが低下し、CaSの未生成領域は増大するが、酸化物組成が目標組成からより高Al側(液相が存在しない領域)にずれた場合は、CaSではなくAl系の固体酸化物により、ノズルの閉塞が起こる。
また、本発明は、CaおよびMgを添加した後に残量のSを溶鋼に添加する前に、元素M(Li、Na、K、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Pr、Ti、ZrまたはHf)の1種もしくは2種以上を溶鋼に添加することができる。これらを添加すると、CaおよびMgは、CaO−Al−MgO−M系の複合酸化物に、あるいはMgO・Al飽和のCaO−Al−MgO−M系の複合酸化物に制御される。
このように、CaおよびMgの酸化物がCaO−Al3−MgOの3元系から、CaO−Al3−MgO−Mの複合酸化物に転化制御すると、後者は前者より低融点化し、既述したようなノズルの閉塞防止に有利に作用する。また、この複合酸化物の生成後、過剰に存在する元素M(Li、Ba、REM、Ti等)は、溶鋼の凝固時に硫化物、すなわち(Mn、M)Sを形成し、後工程の鋼材圧延時にMnSの延伸を抑制し、材料特性の異方性を防止、低減する効果がある。
上記元素M(Li、Ba、REM、Ti等)は、溶鋼に対して0.0001〜0.3%の範囲で添加することにより、先に添加しておいたCaおよびMgと反応して、CaO−Al−MgO−Mあるいはさらに、MgO・Al飽和のCaO−Al3−MgO−Mの複合酸化物に転化する。また、これらの元素Mは、鉄合金材の形で供給されることが好ましい。
なお、ここに述べたMgO・Al飽和のCaO−Al3−MgO−M複合酸化物に転化するための方法としては、既述したMgO・Al飽和のCaO−Al−MgO系酸化物の場合と同じ3条件1〜3がそのまま適用できることはいうまでもない。
以上のほか、本発明の実施時に炉内の溶鋼を鋳型に鋳造するとき、鋳造温度を1550℃以上の可及的高温にすることにより、CaS未生成領域が増大し、ノズル耐火物の介在物付着をより低減させる。また、前記Li等の元素Mを添加することにより、酸化物はさらに低融点化し、CaS未生成領域は増大する。
(実施例)500kgの溶鋼が保持できる誘導炉で、C:0.2%、Si:0.2%、Mn:0.8%、P:0.01%、S:0.02%、Cr:1%,Mo:0.2%、Al:0.005〜0.02%の組成を有する溶鋼を溶解、保持し、この溶鋼にCaおよびMgをそれぞれCa−Si等のCa合金及びFe−Si−Mg等のMg合金の形で添加した。ついで、同溶鋼を取鍋に移し、特定の溶鋼にはさらに元素M(Li、Ba、REM、Ti等)の所定量を添加して複合酸化物を安定的に制御したのち、残量のSを添加した。
この工程では、表1、3、5に示したように、本発明の実施例群1〜3は、すべて0.02%の低Sの溶鋼にCa、Mgを添加してから、不足分のSを追添した。これらに対して、表7の比較例群は、本発明から外れて、中S群(0.03〜0.12%)および高S群(>0.12%)各レベルSの溶鋼を対象として、CaあるいはCa、Mgを添加した。しかし、これらの比較例群は、Ca、Mg等の添加重量比を加減して本発明から外れたものとした。
つぎに、各溶鋼を10分程度保持し、温度調整を行った後、取鍋のストッパを開き、直径12mmのノズルから、取鍋の下部に設置した鋳型に鋳造した。鋳造温度は1550℃とした。同時に、鋳型の下部に設置した重量測定用のロードセルで、溶湯の注入速度を計測した。また、注入完了後にノズル内壁の付着物を定量的に観察した。
さらに、得られた各鋼塊を155□mmに鍛造し、すべて同じ条件で直径30mmに圧延したのち、各圧延材の被削性および強度特性を評価した。
各圧延材試片のAl、Ca、Mg、Sならびに元素Mの最終含有量の値およびノズルの閉塞指数は、表2、4、6、8に示した通りである。n値は、ノズルの閉塞指数を示す。
表1および2の実施例群1は、0.02%以下の低S含有溶鋼にCa等を添加してから、残Sを追添する本発明の方法を示す。これらは、いずれもMgO・Al飽和のCaO−Al−MgO系酸化物を生成し、n値は1で、実質的にノズルの閉塞を生じていない。
これに対して、表7の比較例が明示するように、中ないし高S含有の溶鋼にCa等を添加する既知の溶製法(比較例1〜6)では、ノズルが固体硫化物によって閉塞することが顕著である。
さらにLi、Ba、Ti等の元素Mを併添すると、ノズルの閉塞は実質的に生じないことがわかる。すなわち、表3〜6は、0.02%Sの溶鋼にこれら元素Mを併添したものであるが、すべてノズルの閉塞を生じていない。また、表3、4は、Ca、Mg等の添加重量比に関する条件を一部外した場合であるが、元素Mの添加により液体酸化物を生成し、固体介在物を見ない。一方、表5、6の場合は、同時にCa、Mg等の添加重量比に関する3条件を満足させた場合で、MgO・Al飽和のCaO−Al−MgO−M酸化物を生成し、n値は1である。
なお、各表は以下の内容をそれぞれ示すものである。
表1:本発明実施例群1の成分含有量
表2:本発明実施例群1のCa等添加条件および固体介在物
表3:本発明実施例群2の成分含有量
表4:本発明実施例群2のCa等添加条件および固体介在物
表5:本発明実施例群3の成分含有量
表6:本発明実施例群3のCa等添加条件および固体介在物
表7:比較例群の成分含有量
表8:比較例群のCa等添加条件および固体介在物
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SおよびAlの相関によるCaSの生成状況をあらわすグラフである。

Claims (5)

  1. 所定の基本成分を含有し、Sを0.02%以下に調製した溶鋼に、重量比が5≦(Ca/S0)≦30、6≦(Ca/Mg)≦8ならびに0.4≦(Al+S0)/(Ca+Mg)≦0.65の各条件を同時に満足するように、Al、CaおよびMgを添加して、CaO−Al−MgO系の複合酸化物に転化制御したのち、所定量のSを追添し、Al:0.1%以下、S:0.02%超0.2%以下、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下を含有する鋼を溶製することを特徴とする被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法。
    ここで、S0は、Al、CaおよびMgを添加する前のSを0.02%以下に調製した溶鋼中に含まれるSの含有重量を示す。
  2. 所定の基本成分を含有し、Sを0.02%以下に調製した溶鋼に、重量比が5≦(Ca/S)≦30、6≦(Ca/Mg)≦8ならびに0.4≦(Al+S0)/(Ca+Mg)≦0.65の各条件を同時に満足するように、Al、CaおよびMgを添加し、さらに、Li、Na、K、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Pr、Ti、ZrまたはHfの1種もしくは2種以上を添加し、CaO−Al−MgO−M系(M=Li、Na、K、Sr、Ba、La,Ce、Nd、Pr、Ti、ZrまたはHf)の複合酸化物に転化制御したのち、所定量のSを追添し、Al:0.1%以下、S:0.02%超0.2%以下、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下を含有する鋼を溶製することを特徴とする被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法。
    ここで、S0は、Al、CaおよびMgを添加する前のSを0.02%以下に調製した溶鋼中に含まれるSの含有量を示す。
  3. 複合酸化物がMgO・Al飽和のCaO−Al3−MgO系であることを特徴とする請求項1に記載された被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法。
  4. 複合酸化物がMgO・Al飽和のCaO−Al3−MgO−M系であることを特徴とする請求項2に記載された被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法。
  5. 溶鋼を1550℃以上の温度で鋳造することを特徴とする請求項1〜4に記載の被削性と強度特性にすぐれた機械構造用鋼の製造法。
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