JP5073941B2 - 無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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また、チキソトロピー性のような粘度特性を付与するには、天然又は合成高分子化合物が用いられる例が知られている。しかしながら、これらの組成物では、粒子の分散安定化向上は見られるものの、その高分子化合物の特性に合わせた製造工程の煩雑さをもたらし、効率的ではない。
更に、これらの高分子化合物は、溶質の影響を大きく受けてしまい、配合できる成分、量ともに制限を受けてしまうことにより、無機系研磨剤を大量に配合する方法と同様に組成物そのものの油脂洗浄力向上が困難となる。また、合成高分子化合物では残存モノマーによる安全性が常に課題となる。
これまで、いくつかのラメラ液晶状態を用いた洗浄剤の研究が行われているが、チキソトロピー性を持ったラメラ液晶液体洗浄剤組成物に対して無機系研磨剤を添加した応用例はあまり多くない。
しかしながら、この洗浄剤組成物は、水不溶性粒子の分散安定化を目的としており、硬表面洗浄組成物に求められる組成物自身の油脂洗浄力には関しては何等記載も示唆もされていないものである。
本発明の無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物は、(a)非石鹸系アニオン界面活性剤5〜30質量%と、(b)下記一般式(I)で示される半極性界面活性剤1〜10質量%と、(c)炭素数が8〜24の直鎖/分枝状となる高級アルコール、及び/又は脂肪酸の少なくとも1種を0.1〜10質量%と、(d)無機系研磨剤0.1〜30質量%とを含有し、(e)25℃におけるブルックフィールド型粘度計による該組成物の60rpmの粘度が1000〜5000mPa/sであり、かつ、6rpm/60rpmの粘度比が5以上となることを特徴とするものである。
この(a)成分のアニオン界面活性剤を非石鹸型に限定したのは、幅広いpH範囲、特に中性領域(pH5〜8)において、本発明の効果を更に発揮させるためである。
更に好ましくは、分枝型/2級型アルキル構造のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種以上含有ものが望ましい。また洗浄力の点から、好ましくは炭素数8〜18、更に好ましくは炭素数10〜16が望ましい。これらのうち洗浄力と保存安定性を両立する上で最も好ましくは、炭素数10〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、そのオキシエチレン基の平均付加モル数は好ましくは、0.1〜5、更に好ましくは、0.3〜4が好適である。
この(a)成分の含有量が5%未満であると、泡の持続力に劣り、一方、30%を超えると、高粘度化してしまい、流動性がなくなることとなり、好ましくない。
この(b)成分の含有量が1%未満であると、洗浄力低下及びラメラ液晶形成できず、一方、10%を越えて、多いと高粘度化してしまい、流動性がなくなることとなり、好ましくない。
また、これらの(b)成分の半極性面活性剤は、pHによって電荷変化をおこし、(a)成分との相互作用が変化する場合があることから、本発明では、pHは、好ましくは、5.5〜7.5、更に好ましくは、6.0〜7.0に調整することが望ましい。pHが5.5未満の場合は、(a)成分との相互作用が強すぎることでゲル化又は固化を起こしやすくなり、7.5より大きい場合には、逆に相互作用が弱くなりすぎて安定なラメラ液晶を形成できない場合がある。
具体的には、市販されているサフォール23(サソール社製、C12/C13=50%/50%、直鎖率:50%(直鎖率とは、原料アルコール中の直鎖アルキルアルコールの占める割合))、ダイアドール13(三菱化学社製、C13:100%、直鎖率50%)、ネオドール23(シェル社製、C12/C13=40%/60%、直鎖率80%)等の分枝及び直鎖状の混合型1級アルコール、イソフォール12(サソール社製、C12:100%)トリデカノール(協和発酵社製、C13:100%)等の分枝型1級アルコール、1−デカノールや椰子油高級アルコールなどの直鎖型アルコール、更には、2−デカノール等の分枝/直鎖状の2級アルコール、また脂肪酸としては飽和/不飽和アルキル鎖を有するラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の少なくとも1種が挙げられる。
好適な例としてはサフォール23、ダイアドール13、ネオドール23等の分枝及び直鎖状の混合型1級アルコール、2−デカノール等の2級アルコール、イソフォール12、トリデカノール等の分枝型1級アルコールが望ましい。特に好ましくはイソフォール12、トリデカノール等の分枝型1級アルコールが望ましい。
この(c)成分の含有量が0.1%未満であると、安定なラメラ液晶を形成できず、一方、10%を超えると、固化または乳化を起こし、好ましくない。
好ましくは、研磨力及びコストの面から、炭酸カルシウム(方解石)、シリカ(二酸化珪素)、ゼオライト、長石及びドロマイト、無水アルミナ、アルミナ水和物並びにそれらの混合物、特に好ましくは炭酸カルシウム(方解石)、シリカ(二酸化珪素)、並びに、これらの混合物が挙げられる。
また、無機系研磨剤の平均粒子径は、特に制限はないが、0.1〜200μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、1〜150μm程度である。この範囲(0.1〜200μm)内であれば、良好な洗浄効果と低い基材損傷性をうまく両立させることができる。
この(d)成分の含有量が0.1%未満であると、研磨力が低下し、一方、30%を超えて多いと、無機系研磨剤では自由水の減少による増粘が起こり、好ましくない。
より好ましいチキソトロピー性を持つには、6rpm/60rpm粘度比が5.2以上、更に好ましくは、5.5以上7.0以下とすることが望ましい。
粘度比が5未満であると、チキソトロピー性の低下だけではなく、常温において相分離をおこし、更に−5℃の低温条件下にて凍結することがある。
この安定なラメラ液晶を形成させるには、初めに、上記(a)成分と(b)成分によるラメラ液晶を形成させることが望ましい。そのときの(a)成分と(b)成分の質量比率(以後、a/bと記述)が、好ましくは、a/b=1〜6、特に好ましくは、a/b=2〜5とすることが望ましい。しかしながら(a)/(b)成分のみのラメラ液晶は常温において相分離(離水)を起こし、且つ−5℃にて凍結を起こす。このラメラ液晶に対して(c)成分を添加することで、安定で且つチキソトロピー性を持ったラメラ液晶を形成できる。この現象は(a)成分と(b)成分の強固な相互作用によって、密に配向したラメラ液晶に対して、(c)成分がくさび型となって配向に柔軟性を与え、ラメラ相間に水が保持できる構造に変化していると考えられる。このラメラ液晶の変化は偏光顕微鏡にて観察でき、(a)成分と(b)成分のみでは、規則性のない輝像が確認できるが、(c)成分を添加することによって、典型的な十字ニコル像へと変化する。チキソトロピー性及び高低温安定性を同時に満たすには、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の質量比率〔以後、a/b/c(a÷b÷c)と記述〕が、好ましくは、a/b/c=1〜4、特に好ましくは、a/b/c=1〜3とすることが望ましい。
用いることができるその他の成分としては、有機カルボン酸、両性界面活性剤及び無機塩が挙げられる。
この両性界面活性剤及び無機塩は、本発明品の液体洗浄組成物の粘度特性を発揮する上で、補助的な効果を持つ場合があり、目的の粘度特性を損なわない程度に含有することができる。
これらの含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、好ましくは、0.5〜8%、更に好ましくは、1〜5%とすることが望ましい。
また、用いることができる両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリウムベタイン、N−アルキルアミノ酸などの少なくとも1種が挙げられる。
また、無機塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属及びマンガン、亜鉛等の遷移金属の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物等が挙げられる。
特に、補助的な効果が高いものとして、好ましくは、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドプロピルベタインが望ましく、また、無機塩としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩が望ましい。
これらの両性界面活性剤及び無機塩の合計含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、好ましくは、0〜8%、更に好ましくは、0〜5%とすることが望ましい。
用いることができる非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミド等の少なくとも1種が挙げられる。
また、ハイドロトロープ剤としては、例えば、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸及びこれらの塩、炭素数10〜16の炭化水素、炭素数1〜5の一価アルコール、炭素数4〜12の多価アルコール、分子量が200〜2000までのポリアルキレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の少なくとも1種が挙げられる。
また、(a)成分の非石鹸型アニオン界面活性剤と(b)成分の半極性界面活性剤を直接混合するとゲル化を起こすことがある。本来なら、エタノール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等のハイドロトロープ剤により可溶化するのが一般的だが、このような方法は本発明の効果を有効に発揮できない場合があるため、(a)成分の非石鹸系アニオン界面活性剤と(b)成分の半極性界面活性剤の混合後のpHが5.5〜7.5となるように予めpH調整剤を添加することでこれを回避することができる。更に、予め(a)成分の非石鹸系アニオン界面活性剤に残部水を添加し、希釈しておくこともゲル化を防ぐ上で望ましい。また、(d)成分においては、固体を直接他の成分と混合すると泡噛みを起こしてしまうので、水と混合し、水性分散液として添加することが望ましい。これらを攪拌後、(c)成分を添加することが望ましい。
前記のように残部水、(a)成分、pH調整剤、(b)成分、必要によりその他成分を攪拌混合後、(d)成分、(c)成分を添加することが望ましい。
また、本発明の無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物は、台所等の食器類、調理器具などの硬表面の洗浄に好適なものとなり、更に、研磨剤だけでなく、酵素や香料等のカプセル等の機能性粒子を分散安定化するにも非常に有効なものとなる。
下記表1に示される配合組成により各種液体洗浄剤組成物(残部は、精製水で調整)を下記製造方法により調製した。
(製造方法)
攪拌槽(2Lのガラスビーカーに、直径6cm、幅1cmの45°傾斜パドル翼付き攪拌機を設置)に、精製水(残部水)と(a)成分を投入し、溶解するまで攪拌した。これにpH調整剤(濃硫酸)を加え攪拌後、(b)成分及びその他成分を加えて
、全体が均一になるまで攪拌した。次いで、予め精製水に分散(濃度30〜50質量%)しておいた(d)成分を混合し、さらに、(c)成分を添加して、全体が均一且つ一定粘度になるまで攪拌することで洗浄剤組成物を得た。
なお、温度は25℃、攪拌機の回転数は、溶液の物性や量に応じて、400〜700rpmの範囲で変化させた。
得られた各種液体洗浄剤組成物について、下記の試験方法等により、60rpmの粘度及び6rpm/60rpmの粘度比、洗浄力、低温分散安定性、高温分散安定性及び組成物の構造粘性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。なお、下記表1中の配合量は、質量%(全量100質量%)であり、各組成物は濃硫酸(純正試薬)によりpH6.7に調整したものである。
得られた各種液体洗浄組成物をPS11瓶に90g充填し、恒温槽にて25℃に調整した。ブルックフィールド型粘度計を用い、No.4ローターを設置し、恒温にした試料液をセットした。はじめにローターの回転数を60rpmに設定し、30秒後の粘度を測定した。
次に、回転数を6rpmに設定し、300秒後の粘度を測定した。これらから得られた数値から6rpm/60rpmの粘度比を算出した。
直径28cmのフライパンに牛脂3gを計りとり、10分間強火で加熱し、そのまま20℃で6時間放置したものを、激しく汚れた疎水表面汚垢とした。11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに38gの水道水と2gの洗浄剤組成物をとり、数回手で揉んだ後、この汚染したフライパンを25℃の水道水で通常家庭で行われるのと同様にして洗浄した。洗浄後、水道水でよくすすぎ、その時のフライパンの汚染されていた表面を手で触ったときの触感で、洗浄力を下記の評価基準に基づき評価した。
評価基準:
◎:フライパンのいずれの部位を触っても、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきはまったく感じられない。
○:フライパンの底面及び側面を触ると、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきは感じられないが、角の部位には僅かにぬるつきが残っている。
△:フライパンの底面を触ると、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきは感じられないが、側面や角の部位にぬるつきが残っている。
×:フライパン全体にぬるつきが感じられ、明らかに油が残留していることがわかる。
5°硬水2リットルに紅茶ティーパック(日本リーバ社)4個を入れ、90℃で1時間煮出したものを、白色陶器のコーヒーカップ(直径7cm)に200ml注ぎ、60℃12時間放置、さらに乾燥した分だけ、同様の紅茶を注ぎ、この操作を3回繰り返したものを茶渋汚垢とした。11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに38gの水道水と2gの洗浄剤組成物をとり、数回手で揉んだ後、この茶渋カップを25℃の水道水で通常家庭で行われるのと同様にして洗浄した。洗浄後、水道水でよくすすぎ、その時の茶渋カップの茶渋の残り具合を目視で下記の基準に基づき評価した。
評価基準:
◎:カップのいずれの部位も茶渋がない。
○:カップの喫水面(乾燥することで水が上下し、最も茶渋が強固に付着する部分)にのみ茶渋がうっすら見られる。
△:カップの喫水面(乾燥することで水が上下し、最も茶渋が強固に付着する部分)の茶渋が完全に残っている
×:カップの全体に茶渋が完全に残っている
組成物を100mlのガラス瓶(PS11)に90g充填し、−5℃の恒温槽に30日保存したときの状態を下記評価基準に従って評価した。
評価基準:
◎:保存後6rpm/60rpm粘度比が初期粘度比と比較して−0.2以内
○:保存後6rpm/60rpm粘度比が5以上
△:一部凍結または一部分離透明相(3mm以内)あり
×:凍結及び分離あり
組成物を100mlのガラス瓶(PS11)に90g充填し、50℃の恒温槽に30日保存したときの状態を下記評価基準に従って評価した。
評価基準:
◎:保存後6rpm/60rpm粘度比が初期粘度比と比較して−0.2以内
○:保存後6rpm/60rpm粘度比が5以上
△:一部分離透明相(3mm以内)あり
×:分離透明相あり
組成物を偏光顕微鏡を用いて直交偏光条件下で600倍で観察し、ラメラ液晶の存在を示す十字ニコル像が現れたか否かを調べ、以下の評価基準によって評価した。
評価基準:
◎:十字ニコルが全体にわたって見える
○:十字ニコルが一部見える
△:十字ニコルがほとんど見えない
×:十字ニコルが全く見えない
*1:AES(2) C12-13アルキルエトキシ硫酸エステルナトリウム(平均EO鎖長2モル、 原料アルコール:ネオドール23(シェル社製、C12/C13=40%/60%、直鎖率80%))
*2:AOS C14アルファオレフィンスルホン酸Na
*3:LAS 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na
*4:AO ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド(ライオン社製)
*5:Isofol12 分枝型C12アルコール(サソール社製)
*6:Neodol23 直鎖分枝混合型C12−13アルコール(シェル社製、C12/C13=40%/60%、直鎖率80%))
*7:シリカ SORBOSIL BFG10(イネオス社製)、モース硬度4.5〜5、平均粒径100μm
*8: 炭酸Ca シルバーW(白石工業)、モース硬度3、平均粒径3μm
*9:LPB ラウリン酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン(商品名ソフタゾリンLPB 川研ファインケミカル社製)
*10:MgSO4 硫酸マグネシウム七水和物
*11:AE(8) ポリオキシエチレンラウリルエーテル〔平均EO付加モル数8モル 原料アルコール:ネオドール23(シェル社製、C12/C13=40%/60%、直鎖率80%)〕
*12:ZnSO4 硫酸亜鉛七水和物
*13:香料 特開2002−327194号公報、表4〜11に記載の香料組成物A
*14:色素 黄色203号
Claims (4)
- (a)非石鹸系アニオン界面活性剤と、(b)半極性界面活性剤で示される質量比〔(a)/(b)〕が1〜6であることを特徴とする請求項1に記載の無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物。
- (a)非石鹸系アニオン界面活性剤と、(b)半極性界面活性剤と、(c)炭素数が8〜24の直鎖/分枝状となる高級アルコールで示される質量比〔(a)/(b)/(c)〕が1〜4であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物。
- (c)炭素数が8〜24の直鎖/分枝状となる高級アルコールを1〜3質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の無機系研磨剤含有液体洗浄剤組成物。
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