以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素については、共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。なお、各図中、UPは、使用状態での上方を示す。
<第一実施形態>
図1に示すように、本実施形態にかかる電子機器としてのテレビジョン装置1は、スタンド2と、当該スタンド2に支持された本体部3と、を備えている。
スタンド2は、基台部2aと、基台部2aから上方に本体部3の中央部の後方まで伸びる脚部2bと、を有している。そして、本体部3の筐体3aの後部(背面部)が、脚部2bの先端部に(いずれも図示せず)、例えばボールジョイントやユニバーサルジョイント等を含んで構成される図示しないヒンジ機構を介して、回動可能に支持されている。
本体部3は、筐体3aと、筐体3aの前面3bに設けられた開口3cから前方に露出する表示画面4aを有した表示装置(ディスプレイ)としてのディスプレイパネル4(例えばLCD(Liquid Crystal Display)等)と、CPU等の電子部品が実装された基板(図示せず)と、音声出力用のスピーカ10(図2参照)と、を備えている。基板とディスプレイパネル4とは、筐体3aの内部に収容された収容部材に相当する。
筐体3aは、矩形状の扁平な形状に形成されているとともに、その前面3bに開口3cが形成されている。筐体3aは、マスク3dおよびケース3eとが接合されて構成されている。筐体3aは、後壁部3fと、この後壁部3fの前方に位置して後壁部3fと対向した前壁部3gと、後壁部3fの周縁部と前壁部3gの周縁部とを接続した周壁部3hと、を有している。前壁部3gに、開口3cが形成されている。
この筐体3aの内部には、図1、図2に示すように、骨格部材としてのインナプレート11が配設されている。インナプレート11は、筐体3aの後壁部3fに、図示しないねじ等の固定部材を介して固定されている。インナプレート11の前面11aには、ディスプレイパネル4が図示しないねじ等によって固定されている。インナプレート11は、筐体3aの内部に収容された収容部材に相当する。
基板は、インナプレート11の後方(背面側)、即ちディスプレイパネル4の後方に配設されて、筐体3aに収容されている。基板は、筐体3aの後壁部3fに、図示しないねじ等によって固定されている。基板と当該基板に実装された図示しない部品等によって、基板アセンブリが構成されている。
ディスプレイパネル4は、前後方向(図1の紙面に垂直な方向)に薄い扁平な直方体状に形成されている。ディスプレイパネル4は、基板に実装された電子部品等で構成された制御回路に含まれる映像信号処理回路(いずれも図示せず)から映像信号を受け取り、その前面側の表示画面4aに、静止画や動画等の映像を表示させる。テレビジョン装置1の制御回路は、映像信号処理回路の他、いずれも図示しないチューナ部や、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号処理部、AV(Audio Video)入力端子、リモコン信号受信部、制御部、セレクタ、オンスクリーンディスプレイインタフェース、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、音声信号処理回路等を有している。
スピーカ10は、図2に示すように、筐体3aの一辺部の内部に収容されている。スピーカ10は、スピーカホルダ12を介して筐体3aに固定されている。スピーカ10は、図示しないハーネスを介して基板のスピーカ制御回路(図示せず)に接続されており、スピーカ制御回路の制御により、音声を放射面10aから放射する。スピーカ10は、略円柱状の基部10bと、この基部10bから延出した延出部10cと、を有しており、延出部10cに放射面10aが設けられている。延出部10cは、基部10bから遠ざかるにしたがい大径となるように形成されている。このスピーカ10が放射した音は、筐体3aの周壁部3hに形成された放射口3iから筐体3aの外部へ放射される。
スピーカホルダ12は、スピーカ10を保持する部品であり、筐体3aおよびインナプレート11とは別に構成された部品である。スピーカホルダ12は、筐体3aの一側部の内部に配置されている。スピーカホルダ12は、スピーカ10を保持した状態で、インナプレート11の後面11bに係合構造13によって取り付けられている。スピーカホルダ12は、弾性材料によって構成されており、弾性を有している。スピーカホルダ12は、各部が一体成形された成型部品である。本実施形態では、弾性材料は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴムである。なお、弾性材料としては、ゴムに限るものでななく、ゴム以外の他の樹脂等であっても良い。スピーカホルダ12は、スピーカ10を嵌合によって保持している。
スピーカホルダ12は、図2ないし図4に示すように、直方形状の本体部12aと、この本体部12aの一側部から延出した延出部12bと、を有している。本体部12aは、インナプレート11から離間した後壁部としての保持壁部12cと、この保持壁部12cの周縁からインナプレート11の後面11bに向けて延出した周壁部12dと、を有している。本体部12aのインナプレート11側の部分には、開口12eが形成されている。別の言い方をすると、スピーカホルダ12の正面には、開口12eが形成されている。この開口12eは、インナプレート11の後面11bによって閉塞されている。保持壁部12cには、スピーカ10の基部10bが嵌合した係合孔12fが形成されており、保持壁部12cは、この嵌合によってスピーカ10を保持している。本体部12aは、その内部に空気室12gを形成している。空気室12gは、スピーカ10から放射された音の音場となる。
延出部12bは、本体部12aよりも小さい直方形状に形成されて、本体部12aとの接続部に段差を形成している。この延出部12bは、筒状に形成されており、一端部の開口である入口12hが本体部12aの内部に連通している一方、他端部の開口である出口12iが筐体3aの放射口3iに連通している。延出部12bは、ダクトとして機能する。
このスピーカホルダ12は、インナプレート11とによって、スピーカ10から放射された音を放射口3iへ案内する音案内構造14を構成している。即ち、音案内構造14は、スピーカホルダ12を含み、スピーカ10から放射された音を放射口3iへ案内する。また、この音案内構造14は、スピーカ10の後面から放射される音がスピーカ10の前面(正面)に回り込むのを抑制する遮音部材としても機能している。
音案内構造14の内部空間は、出口12i以外が略密閉されており、音案内構造14はボックス構造となっている。この音案内構造14は、スピーカ10から空気室12gに放射された音(音波)を出口12iへ案内する。これにより、スピーカ10から放射された音が筐体3aの放射口3iへ放射される。
スピーカホルダ12をインナプレート11の後面11bに取り付けた係合構造13は、図2に示すように、インナプレート11の後面11bに立設されたピン11cと、スピーカホルダ12に設けられてピン11cに係合、具体的には嵌合した取付片12j(図3および図4も参照)と、を有する。これらのピン11cおよび取付片12jは、複数設けられている(図2では、それぞれ一つずつが示されている)。詳細には、取付片12jは、スピーカホルダ12の4つの側面のうち出口12iが設けられていない3つの側面にそれぞれ一つずつ設けられている。取付片12jには、ピン11cが係合(嵌合)する係合孔12kが形成されている。この係合構造13は、スピーカホルダ12をインナプレート11に着脱可能に係合(嵌合)によって取り付けている。このように、本実施形態では、スピーカホルダ12が、スピーカ10を係合(嵌合)保持した状態で、骨格部材であるインナプレート11に係合構造13によって取り付けられる。これにより、スピーカ10を比較的に容易にインナプレート11に取り付けることができる。
以上説明したように、本実施形態では、スピーカホルダ12を含んだ音案内構造14が、スピーカ10から放射された音を放射口3iへ案内する。したがって、スピーカ10が発する音を音案内構造14によって筐体3aの外側により良好に放射することができる。また、本実施形態では、スピーカホルダ12の一部が音案内構造14を兼ねているので、スピーカホルダ12をスピーカホルダ12以外の部材だけで構成した場合に比べて、テレビジョン装置1の構成を簡素化することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ12が、スピーカ10を保持した状態で、骨格部材であるインナプレート11に係合構造13によって取り付けられている。したがって、スピーカ10の振動が筐体3aに直接伝達することを抑制することができる。よって、筐体3aから異音が発生するのを抑制できる。したがって、スピーカ10が放射した音が上記異音に妨げられることなく、筐体3aの外側に放射される。よって、スピーカ10が発する音を筐体3aの外側により良好に放射することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ12に、空気室12gが設けられているので、スピーカ10の音質を向上することができる。
<第二実施形態>
本実施形態にかかる電子機器としての所謂ノート型のパーソナルコンピュータ20は、図5ないし図7に示すように、矩形状の扁平な第一の本体部21と、矩形状の扁平な第二の本体部22と、を備えている。これら第一の本体部21および第二の本体部22は、ジョイント部23を介して、相対回動可能に接続されている。
パーソナルコンピュータ20は、図5に示す第一の使用形態や、図6に示す第二の使用形態で使用されうる。第一の使用形態は、図5に示すように、第一の本体部21および第二の本体部22を比較的大きく拡開させた状態で、例えば使用者が両手で把持する使用形態である。一方、第二の資料形態は、図6に示すように、第一の本体部21および第二の本体部22を比較的小さく拡開させた状態で、例えば机上に載置される使用形態である。
第一の本体部21には、筐体21aの外面としての前面21b側に露出する状態で、前面(表示画面25a)側にタッチパネル24を配した表示装置としてのLCD等のディスプレイパネル25や、押しボタン機構26等が設けられている。一方、第二の本体部22には、筐体22aの外面としての前面22b側に露出する状態で、前面(表示画面28a)側にタッチパネル27を配した表示装置としてのLCD等のディスプレイパネル28や、押しボタン機構29等が設けられている。また、第二の本体部22は、音声出力用のスピーカ50(図10参照)を内蔵している。
パーソナルコンピュータ20は、図5や図6に示す展開状態では、ディスプレイパネル25,28や、押しボタン機構26,29のカバー体26a,29a等が露出し、ユーザが使用可能な状態となる。一方、図示しない折り畳み状態では、パーソナルコンピュータ20は、前面21b,22b同士が相互に近接した状態で対向して、ディスプレイパネル25,28や、押しボタン機構26,29のカバー体26a,29a等が、筐体21a,22aによって隠された状態となる。本実施形態では、タッチパネル24,27や、押しボタン機構26,29、マイク(図示せず)等が入力操作部に相当し、ディスプレイパネル25,28や、スピーカ50等が出力部に相当する。なお、キーボードや、クリックボタン、ポインティングデバイス等(図示せず)を有したパーソナルコンピュータでは、それらキーボードやクリックボタン等も入力操作部となる。
ジョイント部23は、第一の本体部21と第二の本体部22とを接続する部品であり、第一の本体部21および第二の本体部22とは別の部品として構成されている。ジョイント部23は、基端側に位置する第一の本体部21の端部21cと、第二の本体部22の端部22cと、を接続している。端部21c,22cの端縁21d,22dの長手方向の中央部には、当該方向の両端部を残して、当該方向の開口幅が長くかつ奥行きの短い矩形状の切欠21e,22eが形成されている。そして、ジョイント部23の半分が一方の切欠21eに挿入され、他の半分がもう一方の切欠22eに挿入されている。ジョイント部23の長さLは、切欠21e,22eの幅より僅かに短い。また、ジョイント部23の幅Wは、折り畳み状態で相互に重なり合った第一の本体部21および第二の本体部22の厚さの合計とほぼ同じである。
第一の本体部21とジョイント部23とは、第一のヒンジ機構30Aを介して回動軸Ax1回りに相対回動可能に接続されており、また、第二の本体部22とジョイント部23とは、第二のヒンジ機構30Bを介して回動軸Ax2回りに相対回動可能に接続されている。回動軸Ax1および回動軸Ax2は、相互に平行である。本実施形態では、第一のヒンジ機構30Aおよび第二のヒンジ機構30Bは相互に連動しており、ジョイント部23に対する第一の本体部21の回動軸Ax1回りの相対回動角度と、ジョイント部23に対する第二の本体部22の回動軸Ax2回りの相対回動角度とが、同じである。ただし、これらのジョイント部23に対する相対回動方向は相互に逆である。よって、ユーザが、ジョイント部23に対して第一の本体部21および第二の本体部22のうち一方を開く操作を行うと、パーソナルコンピュータ20は展開状態となり、閉じる操作を行うと、パーソナルコンピュータ20は折り畳み状態となる。また、ユーザが、第一の本体部21および第二の本体部22を開く操作を行うと、パーソナルコンピュータ20は展開状態となり、閉じる操作を行うと、パーソナルコンピュータ20は折り畳み状態となる。
本実施形態では、図7ないし図9に示すように、電子部品等を含む制御回路の少なくとも一部が実装された基板31a(基板アセンブリ31)が、例えば、第二の本体部22の筐体22a内に配置されている。ディスプレイパネル28および基板31aは、筐体22aに、図示しないねじ等によって固定されている。一方、図7に示すように、第一の本体部21では、ディスプレイパネル25の後面側(背面側)に、機器電源としてのバッテリ32が配置されている。バッテリ32は、第一の本体部21の筐体21aに着脱可能に取り付けられる。このように、本実施形態では、CPU38等の主たる電子部品が実装された基板31a(基板アセンブリ31)とバッテリ32とが、第一の本体部21と第二の本体部22とに分けて設けられている。基板アセンブリ31とバッテリ32とが第一の本体部21および第二の本体部22のうち一方に集約された場合、例えば、本体部の厚みが大きくなったり、逆に厚みの制約によってバッテリ32の大きさひいては容量が制限されやすくなったりといった、不都合が生じやすい。この点、本実施形態では、基板アセンブリ31とバッテリ32とが、第一の本体部21と第二の本体部22とに分けて設けられているため、このような不都合が生じるのを回避しやすくなる。ただし、図6に示す第二の使用形態で、パーソナルコンピュータ20を、机上等により安定的に載置するため、本実施形態では、第一の本体部21の質量が、第二の本体部22の質量より大きい。本実施形態では、第一の本体部21が、基板アセンブリ31が収容された第二の本体部22にヒンジ機構30A,30Bを介して相対回動可能に接続された別の本体部に相当する。また、第一の本体部21のディスプレイパネル25の表示画面25aが、別の表示画面に相当する。基板とディスプレイパネルとは、筐体の内部に収容された収容部材に相当する。
ディスプレイパネル25,28は、それぞれ、扁平な直方体状に形成されている。ディスプレイパネル25,28は、基板31aに実装された電子部品等で構成された制御回路から表示信号を受け取り、静止画や動画等の映像を表示する。本実施形態でも、ディスプレイパネル25,28の表示画面25a,28aで表示された映像を示す光は、無色透明のタッチパネル24,27を通過して前方へ出射される。なお、パーソナルコンピュータ20の制御回路は、制御部、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、インタフェース回路、各種コントローラ等を有している。
また、第二の本体部22には、図10、図11等に示すように、第二の基板51が内蔵されている。この第二の基板51は、スピーカ50や押しボタン機構29のインタフェースが実装されている。この第二の基板51は、コネクタ52に接続されたハーネス53を介して基板31aに接続されている。ここで、押しボタン機構29は、例えば電源スイッチである。第二の基板51は、筐体22aの内部に収容された収容部材に相当する。
図8等に示すように、第二の本体部22の筐体22aは、マスク22nおよびケース22mを備えている。このような筐体22aは、後壁部22eと、この後壁部22eの前方に位置して後壁部22eと対向した前壁部22fと、後壁部22eの周縁部と前壁部22fの周縁部とを接続した周壁部22gと、を有している。後壁部22eは、ケース22mによって形成されており、前壁部22fは、マスク22nによって形成されており、周壁部22gは、マスク22nおよびケース22mによって形成されている。図5に示すように、前壁部22fには、開口22yが形成されている。マスク22nおよびケース22mは、ねじ止めや、係合、嵌合等によって相互に一体化されている筐体22aの外郭を構成している。筐体22aの内部には、骨格部材としてのインナプレート36が配設されている。インナプレート36は、マスク22nあるいはケース22m(例えばケース22m)にねじ止め等で固定されている。筐体22aは、ディスプレイパネル28を、その表示画面28aが前面に露出した状態で収容するとともに、基板アセンブリ31を収容する。そして、インナプレート36は、ディスプレイパネル28と基板31a(基板アセンブリ31)との間、すなわち、ディスプレイパネル28の後方でありかつ基板31aの前方である位置に配置されている。そして、インナプレート36に、基板31aが固定具としてのねじ(図示せず)によって固定されている。また、ディスプレイパネル28は、インナプレート36およびマスク22nに支持されている。インナプレート36は、筐体22aの内部に収容された収容部材に相当する。
筐体22aのケース22mは、図8、図10に示すように、板部材22hとこの板部材22hの周部に溶着された外周部材22iとを有している。筐体22aの側部を構成する外周部材22iには、スピーカ50から放射された音を筐体22aの外部へ放射する放射口22jや、LED(図示せず)等のランプ用の窓22kが形成されている。
インナプレート36は、図8、図11、図12に示すように、概略矩形板状の本体部36aと、この本体部36aの側部から張り出し形成された略矩形板状の張出部36bと、を有している。図10に示すように、張出部36bの保持面としての後面(背面)36cには、スピーカホルダ60を介してスピーカ50が取り付けられている。一方、張出部36bの前面(正面)36dには、第二の基板51が固定手段である両面テープ61によって接着されている。なお、固定手段は、接着剤であっても良い。また、図11、図12に示すように、本体部36aと張出部36bとの間には、リブ36eが立設されており、このリブ36eはスピーカホルダ60の搭載領域Aの外側に配置されている。さらに、張出部36bには、上述のリブ36eとは別の一対のリブ36f,36gがスピーカホルダ60の搭載領域Aの外側で相互に対向して配置されている。これらの一対のリブ36f,36gとリブ36eとは、スピーカホルダ60の搭載領域Aを囲っている。
また、張出部36bの保持面としての後面36cには、図11、図12に示すように、係合部としての一対のピン36hと、一対のリブ36iとが立設されており、これらは、スピーカホルダ60をインナプレート36に係合によって係合構造62を構成している。一方のピン36hは、張出部36bの基部に立設され、他方のピン36hは張出部36bの張り出し先端部に立設されている。ピン36hには、それぞれリブ36jが設けられている。また、一対のリブ36iは、張出部36bの張り出し先端部において並列配置されて相互に対向している。一方のリブ36iは、張出部36bの張り出し先端部に立設された他方のピン36hに隣接して配置されている。
また、張出部36bには、第二の基板51の一部をインナプレート36の後面36c側(スピーカ50側)に露出させた開口36kが形成されている。この開口36kは、スピーカホルダ60内に連通している。そして、この開口36kには、スピーカ50のハーネス63(図9参照)が挿通されている。そして、この開口36kに臨む位置に第二の基板51が配置されている。即ち、第二の基板51は、開口36kに臨んだ状態でインナプレート36における後面36c(保持面)の裏面である前面36dに重複して配置されている。
スピーカ50は、図10に示すように、筐体22aの一辺部の内部に収容されている。スピーカ50は、スピーカホルダ60を介してインナプレート36に固定されている。スピーカ50は、ハーネス63(図9参照)を介して基板のスピーカ制御回路(図示せず)に接続されており、スピーカ制御回路の制御により、音声を放射面から放射する。スピーカ50は、略円柱状の基部50aと、この基部50aから延出した延出部50bと、を有しており、延出部50bに放射面50cが設けられている。このスピーカ50が放射した音は、筐体22aの周壁部22gに形成された放射口22jから筐体22aの外部へ放射される。
スピーカホルダ60は、スピーカ50を保持する部品であり、筐体22aおよびインナプレート36とは別に構成された部品である。スピーカホルダ60は、筐体22aの一辺部の内部に配置されて、インナプレート36の保持面である後面36cに取り付けられている。スピーカホルダ60は、弾性材料によって構成されており、弾性を有している。スピーカホルダ60は、各部が一体成形された成型部品である。本実施形態では、弾性材料は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴムである。なお、弾性材料としては、ゴムに限るものでななく、ゴム以外の他の樹脂等であっても良い。スピーカホルダ60は、スピーカ50を嵌合によって保持している。
スピーカホルダ60は、図10や図13,図14に示すように、基壁部としての後壁部60aと、この後壁部60aに接続された側壁部(周壁部)60bと、を有しており、側壁部60bがインナプレート36の後面36cに当接している。詳細には、スピーカホルダ60は、スピーカ50を保持する概略円筒形状の本体部60cと、この本体部60cの一側部から延出した延出部60dと、本体部60cに接続された拡張部60eと、を有している。スピーカホルダ60のインナプレート36側の部分には、開口60fが形成されている、別の言い方をすると、スピーカホルダ60の前面(正面)には、開口60fが形成されている。この開口60fは、インナプレート36の後面36cによって閉塞されている。そして、スピーカホルダ60における本体部60cと延出部60dとの間に、出口60gが形成されており、この出口60gは、筐体22aの放射口22jに臨んでいる。
本体部60cは、段付き円筒状の嵌合部60hと、この嵌合部60hの後面側の一部を覆って嵌合部60hに接続された覆い壁部60iと、を有している。
嵌合部60hの一部は、インナプレート36まで延出して脚部60jを構成しており、この脚部60jは、スピーカホルダ60の側壁部60bを構成している。嵌合部60hの内周には、環状の凹部60kが形成されており、この凹部60kに、スピーカ50の延出部50bに形成された円環状の嵌合片50dが嵌合している。
覆い壁部60iは、後壁部22eを構成するものである。この覆い壁部60iは、スピーカ50の後面部に当接している。この覆い壁部60iには、ハーネス63が挿通した第一のハーネス挿通口60mが形成されている。また、覆い壁部60iには、第一のハーネス挿通口60mとは別に、開口60nが形成されている。
この本体部60cは、その内部に第一の空気室60pを形成している。第一の空気室60pは、スピーカ50から放射された音の音場となる。この第一の空気室60pは、インナプレート36の保持面である後面36cと第二の基板51とによって閉塞されている。
また、本体部60cには、係合構造62を構成する2つの取付片60qが接続されている。これらの取付片60qは、本体部60cの覆い壁部60iから嵌合部60hの外側へ向けて張り出している。取付片60qの先端部には、嵌合孔60rが形成されており、この嵌合孔60rにピン36hが嵌合している。2つの取付片60qは、図9に示すように、本体部60cの筒軸心方向(図9のの紙面に垂直な方向)に沿って見たときに、本体部60cの筒軸心aと一方の嵌合孔60rを通る直線bに対して、他方の嵌合孔60rがずれて配置されている。一方の取付片60qには、ピン36hの外形に沿って形成されたピン当接部60sが接続されており、このピン当接部60sがピン36hに当接して、スピーカホルダ60とピン36hとの間の隙を埋めている。即ち、スピーカホルダ60の少なくとも一部としてのピン当接部60sは、音案内構造90を構成する収納部材としてのインナプレート36のピン36hに沿って形成されてピン36hに当接している。一方の取付片60qは、ピン36hに嵌合した状態で、ハーネス63に当接してハーネス63を位置決めしている。
延出部60dには、出口60gと放射口22jとに連通した凹状の通路部60tが形成されている。この延出部60dの先端部は、図10に示すように、インナプレート36の縁部に係止されて位置決めされている。延出部60dには、係合構造62を構成する一対の係合孔60uが形成されており、これらの係合孔60uは、インナプレート36に形成された一対のリブ36iにそれぞれ係合している。係合孔60uは、リブ係合部に相当する。
拡張部60eは、スピーカホルダ60の後壁部60aおよび側壁部60bを構成している。拡張部60eは、内部に第二の空気室60vを形成している。第二の空気室60vは、インナプレート36の保持面である後面36cと第二の基板51とによって閉塞されている。第二の空気室12gは、第一の空気室60pに連通しており、スピーカ50から放射された音の音場となる。また、拡張部60eには、切欠き60wが形成されており、この切欠き60wを通ってハーネス63が第二の基板51のコネクタ70(図11参照)に接続されている。この拡張部60eと延出部60dとの間に、一方の取付片60qが設けられている。
スピーカホルダ60は、インナプレート36および第二の基板51によって、スピーカ50から放射された音を放射口22jへ案内する音案内構造90を構成している。即ち、音案内構造90は、スピーカホルダ60を含み、スピーカ50から放射された音を放射口22jへ案内する。そして、音案内構造90は、少なくとも一つの収容部材として、インナプレート36と第二の基板51とを含んでいる。スピーカホルダ60は、筐体22aの内面と離間している。
音案内構造90の内部空間は、出口60g以外が略密閉されており、音案内構造90はボックス構造となっている。この音案内構造90は、スピーカ50から空気室12gに放射された音(音波)を出口へ案内する。これにより、スピーカ50から放射された音が筐体の放射口22jへ放射される。また、このスピーカホルダ60は、スピーカ50の後面部から放射される音がスピーカ50の正面部に回り込むのを抑制する遮音部材としても機能している。
ここで、上述の通り、インナプレート36は、保持面であるインナプレート36の後面36cと係合部である一対のピン36hとを有している。そして、スピーカホルダ60は、インナプレート36と筐体22aとの間に配置されて、インナプレート36の後面36cに当接しピン36hに係合した取付位置に位置している。そして、この取付位置にスピーカホルダ60が位置した状態では、スピーカホルダ60と筐体22aとの間には隙間e(図10)が存在する。そして、筐体22aは、スピーカホルダ60が取付位置から当該筐体22aに向けて(図10中の矢印f方向)移動した(ずれた)場合、スピーカホルダ60と当接してスピーカホルダ60の移動を規制する。
また、放射口22jは、フィルタ部材66によって覆われている。このフィルタ部材66は、例えば、不織布である。フィルタ部材66は、筐体22aの内面に接着等によって固定されている。
また、本実施形態では、図15に示すように、ケース22mにおけるスピーカホルダ60と対向する領域gには、外周部材22iと板部材22hとの溶着がなされておらず、それ以外の部分に溶着部67が配置されている。
また、図9に示すように、スピーカ50は、第二の本体部22の一辺部に配置されている一方、排熱機構としてのファン機構68が第二の本体部22の他辺部に配設されている。これにより、スピーカ50がファン機構68に対して比較的遠くに位置するので、ファン機構68が発する音の影響をスピーカ50が受けることを抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態では、スピーカホルダ60を含んだ音案内構造90が、スピーカ50から放射された音を放射口22jへ案内する。したがって、スピーカ50が発する音を音案内構造90によって筐体22aの外側により良好に放射することができる。また、本実施形態では、スピーカホルダ60の一部が音案内構造90を兼ねているので、スピーカホルダ60をスピーカホルダ60以外の部材だけで構成した場合に比べて、パーソナルコンピュータ20の構成を簡素化することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ60が、スピーカ50を保持した状態で、骨格部材であるインナプレート36に係合構造62によって取り付けられている。したがって、スピーカ50の振動が筐体22aにスピーカ50の振動が伝わるのを抑制することができる。よって、筐体22cから異音が発生するのを抑制できる。したがって、スピーカ50が放射した音が上記異音に妨げられることなく、筐体22aの外側に放射される。つまり、スピーカ50が発する音を筐体22aの外側により良好に放射することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ60に、第一および第二の空気室60p,60vが設けられているので、スピーカ50の音質を向上することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ60が弾性を有している。したがって、スピーカホルダ60をインナプレート36に密着させることができ、スピーカホルダ60とインナプレート36との間から音漏れが発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、スピーカホルダ60の少なくとも一部であるピン当接部60sが、音案内構造90を構成する収納部材であるインナプレート36に沿って形成されてインナプレート36(ピン36h)に当接している。したがって、スピーカホルダ60をインナプレート36に密着させることができ、スピーカホルダ60とインナプレート36との間から音漏れが発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、音案内構造90を構成するインナプレート36にリブ36iが設けられており、スピーカホルダ60には、リブ36iに係合した係合孔60uが形成されている。したがって、インナプレート36の変形を抑制することができる。
また、本実施形態では、骨格部材であるインナプレート36は、保持面である後面36cと係止部であるピン36hとを有する。スピーカホルダ60は、インナプレート36と筐体22aとの間に配置されて、後面36cに当接しピン36hに係合した取付位置に位置する。取付位置にスピーカホルダ60が位置した状態では、スピーカホルダ60と筐体22aとの間には隙間が存在する。そして、筐体22aが、スピーカホルダ60が取付位置から当該筐体22aに向けて移動した場合、スピーカホルダ60と当接してスピーカホルダ60の移動を規制する。したがって、スピーカホルダ60が筐体22a内で大きく変位することを抑制することができる。
また、本実施形態では、骨格部材であるインナプレート36は、スピーカホルダ60と当接した保持面である後面36cを有する。後面36cには、スピーカホルダ60内に連通した開口36kが設けられている。第二の基板51は、開口36kに臨んだ状態でインナプレート36における後面36cの裏面(つまり、前面36d)に重複して配置されている。第二の基板51とインナプレート36とが、当該第二の基板51と当該インナプレート36との間に位置した接着部材である両面テープ61によって接着されている。したがって、第二の基板51とインナプレート36との間から音漏れが発生することを抑制することができる。
<第3実施形態>
本実施形態は、図16に示すように、第二実施形態に対して、スピーカホルダ60と筐体22aの内面とが当接している点が異なり、他の構成は第二実施形態と同じである。上記の当接部分は図16中に符号hで示してある。即ち、本実施形態では、スピーカホルダ60は、筐体22aと骨格部材であるインナプレート36との間に配置され、且つ筐体22aとインナプレート36とに当接して移動が規制されている。
このような構成によれば、スピーカホルダ60が筐体22a内で変位することを抑制することができる。
以上の通り、上記各実施形態によれば、スピーカが発する音を筐体の外側により良好に放射することができるテレビジョン装置および電子機器を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
例えば、上記実施形態では、本発明を、テレビジョン装置や、表示画面を二つ有するノート型のパーソナルコンピュータとして実施した構成を例示したが、本発明は、少なくとも一つの表示画面を有する他の電子機器、例えば、表示画面が一つのコンピュータ(ノート型、デスクトップ型)や、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートブック、スマートフォン、携帯電話端末等として実施することもできる。
また、ディスプレイ装置や、表示画面、ディスプレイパネル、筐体、基板、第二の基板、インナプレート、スピーカ、スピーカホルダ、電子部品、ファン、ピン、リブ等のスペック(方式や、構造、形状、材質、大きさ、数、方向、種類、配置等)は、適宜変更して実施することができる。
実施形態は、以下を含む。
(1)
放射口が側面に設けられた筐体と、
前記筐体に収容され、外部に通じた貫通孔が設けられていない閉塞された面部を含む骨格部材と、
前記筐体に収容され、前記放射口の開口された方向と交差する方向であって前記骨格部材の前記閉塞された面部に面する方向に放射部が向けられたスピーカと、
前記スピーカを保持した部分と該部分から前記骨格部材側に延びた壁部とを含み、前記放射部に向けられた前記閉塞された面部に覆われる第1開口部と、前記閉塞された面部よりも前記スピーカ側に寄って開口されるとともに一側部から前記放射口に臨む第2開口部と、が設けられた弾性の部品と、
を備えた電子機器。
(2)
放射口が設けられた筐体と、
前記筐体に収容され、前記筐体外部に通じた貫通孔が設けられていない、閉塞された面部に放射部が向けられたスピーカと、
前記スピーカと前記閉塞された面部との間に延びるとともに、前記スピーカと前記閉塞された面部との間の一側部から前記放射口に臨む開口部が設けられた保持部と、
を備えた電子機器。
(3)
前記部品は、ゴム材料で構成され、内部空間における前記第2開口部以外を略密閉する前記(1)に記載の電子機器。
(4)
前記部品は、本体部と延出部とを有し、
前記第2開口部は、前記本体部と前記延出部との間に位置する前記(1)または(3)に記載の電子機器。
(5)
前記骨格部材には、前記スピーカ側に向かって突出されたリブが設けられている前記(1),(3)または(4)に記載の電子機器。
(6)
ピンを有し、
前記部品は、前記ピンに貫通される前記(1),(3),(4)または(5)に記載の電子機器。
(7)
前記部品は、前記本体部に接続された拡張部を有し、
前記本体部と前記拡張部との内部が連通し、
前記本体部は、前記スピーカを保持する円筒形状である前記(4)に記載の電子機器。
(8)
前記本体部は、前記スピーカが嵌合した嵌合部を有する前記(7)に記載の電子機器。
(9)
前記部品には、前記第2開口部と前記放射口とに連通した凹状の部分が設けられている前記(1),(3),(4),(5),(6),(7)または(8)に記載の電子機器。