JP5071987B2 - パラメトリック較正方法 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/737,334号(2005年11月14日出願)に基づく利益を主張する。この先の出願の開示全体は、本明細書によって参考として援用される。
(技術分野)
本発明は、生命工学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、核酸増幅技術を用いる分析物ポリヌクレオチドの定量化に関し、さらにより詳しくは、分析物ポリヌクレオチドと同時に増幅する内部標準物質の使用に関する。
(発明の背景)
インビトロ核酸増幅の動態解析を含む方法は、分析物ポリヌクレオチドを定量化するための重要なツールとなってきた。「リアルタイム」増幅手順と呼ばれることもあるこれらの手順では、核酸増幅反応混合物中に存在するアンプリコンの量を、増幅手順の過程にわたって時間の関数としてモニタリングする。完全に自動化されたリアルタイム核酸アッセイには、反応の間に得られた時間依存性データを解析できる機械が実行可能なアルゴリズムが必要である。これに関連して、観察される増幅結果をもたらす核酸の量または濃度を正確に出力するデータ処理アルゴリズムが必要である。
特定の核酸標的の絶対量の定量に関係する問題は、特許文献において十分に理解されている。これらの問題は、増幅プロセスの指数性、および反応速度を制御する任意の変数、例えば、プライマー対の長さおよびヌクレオチド配列の小さな相違が、アンプリコン収率に劇的な相違をもたらし得るという事実によるものであった。Wangらは、特許文献1において、分析物ポリヌクレオチドを増幅した同一プライマーを用いて増幅した内部標準の使用を記載し、標準として無関係のcDNAを使用することにより、定量されている特定の標的核酸と無関係な第2セットのオリゴヌクレオチドプライマーが必要となるという事実に対応した。Wangらによれば、2セットの無関係なプライマーを用いる分析は、2つの独立した増幅反応の相対比較を提供できるだけでなく、核酸標的濃度の絶対尺度も提供できる。他のものがこの教示に続き、同様の配列を有することによって、また共通のプライマー対を用いて増幅することによって対象の標的に似た内部標準を用いた(公開された米国特許出願第10/230,489号参照のこと)。さらに、その他のものも、増幅効率を決定することによる定量的方法を記載している(特許文献2参照のこと)。さらに別のアプローチは、対照および標的配列の増幅比を決定することを含んでいた(特許文献3参照のこと)。
同時に増幅される種の効率を調節するいくつかの先行する定量的アルゴリズムは、臨界範囲を超える較正曲線の挙動を推定するために合理的に設計された方程式に依存すること明白である。結果として、これらのアプローチは、手順に用いた標準の全範囲にわたって実験データと適合しない場合がある。あるいは、先行アルゴリズムは、特定の増幅法にとって最適であり、そのため、概して、種々のアッセイプラットフォームにわたっては適していない。
本明細書に記載される本発明は、これらの欠点に対応しており、分析物ポリヌクレオチドの定量を改善することがわかった。
米国特許第5,219,727号明細書 欧州特許出願公開第1138784号明細書 米国特許第6,066,458号明細書
(発明の概要)
本発明の第1の態様は、試験サンプルに含まれる分析物ポリヌクレオチドを定量化するためのパラメトリック較正曲線を作成する方法に関する。この方法によれば、まず、各々、一定量の核酸標準物質と既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準とを含む複数の標準サンプルを形成する工程がある。次に、複数の標準サンプルの各々について、核酸標準物質と分析物ポリヌクレオチド標準とをインビトロ核酸増幅反応において同時に増幅させる工程がある。次に、同時に増幅させる工程の各インビトロ核酸増幅反応において同時に増幅された核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候を決定する工程がある。これによって、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、核酸標準物質の決定された増幅の兆候の収集物と、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、分析物ポリヌクレオチド標準の決定された増幅の兆候の収集物とが得られる。次に、第1の曲線を、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、核酸標準物質の決定された増幅の兆候の収集物と適合するよう第1のパラメトリック方程式を最適化し、これにより第1の適合された方程式を得る工程がある。次に、第2の曲線を、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、分析物ポリヌクレオチド標準の決定された増幅の兆候の収集物と適合するよう第2のパラメトリック方程式を最適化し、これにより第2の適合された方程式を得る工程がある。次に、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の増分値で、第1および第2の適合された方程式を解き、(a)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、核酸標準物質の適合された増幅の兆候と、(b)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、分析物ポリヌクレオチド標準の適合された増幅の兆候とを得る工程がある。最後に、(a)第1の次元に、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、分析物ポリヌクレオチド標準の適合された増幅の兆候、(b)第2の次元に、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、核酸標準物質の適合された増幅の兆候、および(c)第3の次元に既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数を関連づけることによって三次元パラメトリック較正曲線を作成する工程がある。好ましい実施形態では、発明の方法は、第1および第2の次元によって規定される測定面上に三次元パラメトリック較正曲線を射影し、それによって測定面での2次元較正曲線射影を作製する工程をさらに含む。この場合には、同時に増幅させる工程は、第1のセットの増幅オリゴヌクレオチドを用いて核酸標準物質を増幅する手順と、第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドを用いて分析物ポリヌクレオチド標準を増幅する手順とを含み得る。この場合、第1および第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドは、互いに異なっていることが好ましい。あるいは、増幅の兆候を決定する工程は、増幅の閾値に基づいた兆候を決定することを含み得る。別の代替法では、増幅の兆候を決定する工程は増幅の閾値に基づいた兆候を決定することを含まない。さらに別の代替法では、第1および第2の適合された方程式の各々は、4つの係数を有する。発明の方法の別の好ましい実施形態では、同時に増幅させる工程におけるインビトロ核酸増幅反応は、等温インビトロ核酸増幅反応である。例えば、等温インビトロ核酸増幅反応は、転写関連増幅反応であり得る。異なる好ましい実施形態では、発明の方法が、測定面上に三次元パラメトリック較正曲線を射影する工程を含む場合には、(a)試験サンプルと一定量の核酸標準物質とを含む試験反応混合物を形成する工程、(b)インビトロ核酸試験増幅反応において、試験反応混合物中に含まれる核酸標準物質と任意の分析物ポリヌクレオチドとを同時に増幅する工程、および(c)インビトロ核酸試験増幅反応において同時に増幅された、核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチドの増幅の兆候を決定する工程がさらに含まれる。試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドを定量化するさらなる工程があることがより好ましい。定量化工程が、インビトロ核酸試験増幅反応において同時に増幅された核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチドの決定された増幅の兆候を、測定面における二次元較正曲線射影と比較することを含むことがさらにより好ましい。あるいは、定量化工程は、まず、測定面において、インビトロ核酸試験増幅反応において同時に増幅された核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチドの決定された増幅の兆候の座標を有する試験サンプルデータ点を指定することと、次いで、試験サンプルデータ点と測定面における二次元較正曲線射影上の点とを隔てる距離を最小化する、三次元パラメトリック較正曲線の三次元座標の値を決定することを含み得る。この場合、三次元パラメトリック較正曲線の三次元座標の値を決定する工程は、直角三角形斜辺の長さを算出することを含み得る。あるいは、同時に増幅させる工程が、第1のセットの増幅オリゴヌクレオチドを用いて核酸標準物質を増幅することと、第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドを用いて分析物ポリヌクレオチド標準を増幅することとを含み、第1および第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドが互いに異なっている。さらに別の代替法では、増幅の兆候を決定する工程は、増幅の閾値に基づいた兆候を決定することを含む。さらに別の代替法では、増幅の兆候を決定する工程は、増幅の閾値に基づいた兆候を決定することを含まない。さらなる別の代替法では、第1および第2の適合された方程式は、4つの係数を有する。別の代替法では、同時に増幅させる工程におけるインビトロ核酸増幅反応は、等温インビトロ核酸増幅反応である。別の代替法では、等温インビトロ核酸増幅反応は、転写関連増幅反応である。
本発明の別の態様は、核酸増幅結果の内部較正調整によって試験サンプル中に含まれる分析物核酸を定量化する方法に関する。この方法は、標準データセットおよび試験データセットを集める第1の工程を含む。標準データセットは、複数の標準核酸増幅反応から得られる結果を含み、各標準核酸増幅反応は、一定出発量の核酸標準物質と異なる既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準とを含む。複数の標準核酸増幅反応は、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候と、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準と同時に増幅された核酸標準物質の増幅の兆候とをもたらす。試験データセットは、一定出発量の核酸標準物質と、未知出発量の分析物核酸とを含む試験核酸増幅反応から得た結果を含む。試験核酸増幅反応は、試験サンプル中に含まれる分析物核酸の増幅の兆候と、分析物核酸と一緒に同時に増幅された核酸標準物質の増幅の兆候とをもたらす。次に、(a)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候を表す第1の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第1の次元と、(b)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として核酸標準物質の増幅の兆候を表す第2の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第2の次元と、(c)第1および第2の最適化されたパラメトリック方程式の第3の次元のパラメータとを含む三次元パラメトリック較正曲線を作成する工程がある。この第3の次元のパラメータは、複数の標準核酸増幅反応において用いられた既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数である。三次元パラメトリック較正曲線の第1および第2の次元が測定面を規定するということは明白である。この測定面は、三次元パラメトリック較正曲線の射影を含む。次に、測定面において試験サンプルデータ点を指定する工程があり、試験サンプルデータ点は、分析物核酸の増幅の兆候と、試験核酸増幅反応において分析物核酸と同時に増幅された核酸標準物質の増幅の兆候との一セットの座標を含む。最後に、第3の次元のパラメータの値を変えることによって、測定面において指定された試験サンプルデータ点と、測定面における三次元パラメトリック較正曲線の射影との間の最小距離を決定する工程がある。決定された最小距離をもたらす第3の次元のパラメータの値によって、試験サンプル中に含まれる分析物核酸の量を推定する。第1の一般的に好ましい実施形態によれば、決定する工程は反復コンピュータ計算プロセスによって決定することを含む。この場合、反復コンピュータ計算プロセスが複数の直角三角形の斜辺の長さを計算することを含むことが望ましい。複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応は、アンプリコンを合成するために熱サイクルを用いない等温増幅反応であることがより好ましい。好ましい代替実施形態では、複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応によって、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第1のセットを用いて分析物核酸および分析物ポリヌクレオチド標準を増幅し、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第2のセットを用いて核酸標準物質を増幅する。この場合、第1および第2のセット増幅オリゴヌクレオチドは、互いに同一である。別の好ましい代替実施形態では、複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応によって、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第1のセットを用いて分析物核酸および分析物ポリヌクレオチド標準を増幅し、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第2のセットを用いて核酸標準物質を増幅する。この場合、第1および第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドは、互いに同一ではない。さらに別の好ましい代替実施形態では、収集する工程、作成する工程、指定する工程および決定する工程は、試験核酸増幅反応および複数の標準核酸増幅反応を実施するために用いられるデバイスの不可欠な構成要素であるコンピュータソフトウェアによって各々自動化されている。別の一般的に好ましい実施形態によれば、複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応の各々は、アンプリコンを合成するために熱サイクルを用いない等温増幅反応であり得る。別の一般的に好ましい実施形態によれば、複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応は、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第1のセットを用いて分析物核酸および分析物ポリヌクレオチド標準を増幅でき、また2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第2のセットを用いて核酸標準物質を増幅できる。この場合、第1および第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドは互いに同一である。別の一般的に好ましい実施形態によれば、複数の標準核酸増幅反応および試験核酸増幅反応は、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第1のセットを用いて分析物核酸および分析物ポリヌクレオチド標準を増幅し、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第2のセットを用いて核酸標準物質を増幅する。この場合、第1および第2のセットの増幅オリゴヌクレオチドは、互いに同一でない。さらに別の一般的に好ましい実施形態では、第1および第2の最適化されたパラメトリック方程式は各々、4つの固定係数を有する。
本発明の別の態様は、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの初期量を定量化するシステムに関する。概して言えば、このシステムは、重要な構成要素として以下を含む:(1)獲得手段、(2)プログラム可能な処理手段および(3)報告手段。これらの構成要素のうち最初のものに特に関連して、(a)さまざまな(a range of)出発量の分析物ポリヌクレオチド標準と、一定出発量の核酸標準物質とを用いて実施した複数のインビトロ核酸標準増幅反応において、一緒に同時に増幅された分析物ポリヌクレオチド標準および核酸標準物質の各々の増幅の時間依存性兆候の標準データセット、(b)インビトロ核酸試験増幅反応において一緒に同時に増幅された、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドおよび核酸標準物質の各々の増幅の時間依存性兆候の試験データセットを得るための手段がある。システム発明の第2の構成要素に特に関連して、試験データセットを標準データセットから作成された三次元較正曲線と比較することによって、標準データセットおよび試験データセットを処理するためのプログラム可能な手段がある。三次元較正曲線は、インビトロ核酸標準増幅反応に投入された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候を表す、第1の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第1の次元を含む。三次元較正曲線は、インビトロ核酸標準増幅反応に投入された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として同時に増幅された核酸標準物質の増幅の兆候を表す第2の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第2の次元をさらに含む。三次元較正曲線は、第1および第2の最適化されたパラメトリック方程式の第3の次元のパラメータをさらに含む。この第3の次元のパラメータは、インビトロ核酸標準増幅反応に投入された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む。三次元パラメトリック較正曲線の第1および第2の次元が測定面を規定し、この測定面は、三次元パラメトリック較正曲線の射影を含むことは明らかである。発明のシステムの第3の構成要素に特に関連して、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの初期量を定量化する、処理された試験データセットから得た結果を報告する手段がある。
(定義)
以下の用語は、明示的に別段の定めをした場合を除き、この開示内容の目的上、以下の意味を有する。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、RNA、DNAまたはRNAおよびDNAの両方を含むキメラ分子のいずれかを意味する。
「分析物ポリヌクレオチド」または「分析物核酸」とは、定量される対象のポリヌクレオチドを意味する。
本明細書において「試験サンプル」とは、特定のポリヌクレオチド種の存在について調べられる任意のサンプルである。試験サンプルとして、ヒト、動物、環境から得られた任意の組織もしくはポリヌクレオチド含有物質、または実験室で誘導されたか、もしくは合成されたサンプルが挙げられる。
本明細書において、「標準サンプル」とは、分析物ポリヌクレオチド標準を含むサンプルである。
「分析物ポリヌクレオチド標準」とは、既知量の分析物ポリヌクレオチドまたはその断片を意味する。例えば、HIV−1分析物ポリヌクレオチド標準は、既知数のコピーのHIV−1ゲノム、HIV−1転写物またはウイルスゲノムの一部に相当するインビトロ合成された転写物を含み得る。
「アンプリコン」とは、標的核酸配列がポリヌクレオチドコピーの合成の鋳型として働く増幅反応のポリヌクレオチド生成物、すなわち増幅産物である。
「増幅」または「核酸増幅」または「インビトロ核酸増幅」とは、標的核酸配列またはその相補体またはその断片の複数のコピー(RNAおよびDNA同等物を考慮)を得るための任意の既知手順を意味する。「その断片」の増幅とは、完全な標的領域核酸配列またはその相補体未満を含む、増幅された核酸の生成を指す。このような断片は、標的核酸の一部を増幅することによって、例えば、標的核酸の内部部分とハイブリダイズし、そこから重合を開始する増幅オリゴヌクレオチドを用いることによって生じ得る。
本明細書において「熱サイクル」とは、反応混合物における反復される温度の変化(すなわち、温度の上昇または低下)を指す。熱サイクルを受けるサンプルは、ある温度から別の温度へ移動し、その温度で安定化し、第2の温度へ移行または出発温度へ戻る場合がある。温度サイクルは、対象の特定の化学反応を研究または完了するのに必要な回数繰り返してもよい。
「標的核酸」または「標的」とは、標的核酸配列を含む核酸を意味する。一般に、増幅される標的核酸配列は、2つの反対の位置に配置されたオリゴヌクレオチドの間に位置し、オリゴヌクレオチドの各々と相補的である標的核酸の一部を含む。
「標的核酸配列」または「標的配列」または「標的領域」とは、一本鎖核酸分子のヌクレオチド配列のすべてまたは一部、それに相補的なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を含む特定のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を意味する。
「転写関連増幅」とは、RNAポリメラーゼを用い、核酸鋳型から複数のRNA転写物を生じる、任意の種類の核酸増幅を意味する。従来、これらの増幅反応は、DNAポリメラーゼの活性によって延長され得る3’末端を有する少なくとも1種のプライマーを用いる。「転写媒介性増幅」(TMA)と呼ばれる転写関連増幅法の一例は、通常、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸および標的核酸と相補的であるオリゴヌクレオチドを含むプロモーターを用いる。TMAの変法は、Burgら、米国特許第5,437,990号;Kacianら、米国特許第5,399,491号および同5,554,516号;Kacianら、PCT番号WO93/22461;Gingerasら、PCT番号WO88/01302;Gingerasら、PCT番号WO88/10315;Malekら、米国特許第5,130,238号;Urdeaら、米国特許第4,868,105号および同5,124,246号;McDonoughら、PCT番号WO94/03472;およびRyderら、PCT番号WO95/03430に詳細に開示されるように当技術分野では周知である。出願番号11/213,519を有する米国特許出願に開示されるような、DNAポリメラーゼによって延長され得る単一のプライマーのみを用いる他の転写関連増幅法は、この定義によって特に包含され、本明細書に開示される方法と関連して用いるのにかなり好ましい。
本明細書において「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」とは、少なくとも2個、通常、約5〜100個の間の化学サブユニットからなる重合鎖であり、各サブユニットはヌクレオチド塩基部分、糖部分および直線的な空間配置にサブユニットを接続する連結部分を含む。共通のヌクレオチド塩基部分として、グアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)があるが、水素結合可能な他の稀なまたは修飾されたヌクレオチド塩基は当業者に周知である。オリゴヌクレオチドは、任意の糖部分、塩基部分および主鎖構成要素の類似体を場合により含んでよい。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、約10〜約100残基の範囲の大きさに入る。オリゴヌクレオチドは天然に存在する供給源から精製されていてよいが、種々の周知の酵素または化学法のいずれかを用いて合成されることが好ましい。
「増幅オリゴヌクレオチド」または「増幅オリゴマー」とは、標的核酸またはその相補体とハイブリダイズするオリゴマーを意味し、核酸増幅反応に参加する。増幅オリゴマーの例として、増幅プロセスの一部として伸長される3’末端を含むプライマーが挙げられるが、ポリメラーゼによって伸長されないが(例えば、3’がブロックされたオリゴマー)、プライマーからの効率的な増幅に参加し、これを促進し得るオリゴマーも挙げられる。増幅オリゴマーの好ましい大きさの範囲として、約10〜約60nt長であり、標的核酸配列(またはその相補鎖)の領域に対して相補的である少なくとも10個の連続する塩基、より好ましくは、少なくとも12個の連続する塩基を含むものが挙げられる。連続する塩基は、増幅オリゴマーが結合する標的配列に対して、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは約100%相補的である。増幅オリゴマーは、修飾されたヌクレオチドまたは類似体、または増幅反応に参加するが標的核酸に対して相補的でないか、もしくは標的核酸に含まれていないさらなるヌクレオチドを場合により含み得る。3’がブロックされているが、標的核酸とハイブリダイズでき、転写を開始するよう働く上流プロモーター配列を提供する増幅オリゴマーは、「プロモータープロバイダー」オリゴマーと呼ばれる。
「プライマー」とは、鋳型核酸とハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長され得る3’OH末端を有する増幅オリゴマーである。プライマーの5’領域は、標的核酸(例えば、プロモーター配列)に対して非相補的であり、「プロモーター−プライマー」と呼ばれるオリゴマーをもたらし得る。当業者には当然のことながら、プライマーとして機能し得る任意のオリゴマーは、5’プロモーター配列を含み、ひいてはプロモータープライマーとして機能し得るよう修飾されていてよい。同様に、任意のプロモーター−プライマーが、プロモーター配列の除去によって、またはプロモーター配列を含まない合成によって修飾されていてよく、依然としてプライマーとして機能する場合がある。
本明細書において、増幅オリゴヌクレオチドの「セット」とは、インビトロ核酸増幅反応に協調的に参加してアンプリコンを合成する2以上の増幅オリゴヌクレオチドの収集物を指す。
本明細書において「プローブ」とは、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、核酸中の、好ましくは、増幅された核酸中の標的配列と特異的にハイブリダイズして検出可能なハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドである。
本明細書において、核酸増幅の「時間依存性」モニタリングまたは「リアルタイム」での核酸増幅のモニタリングとは、核酸増幅反応物中に存在するアンプリコンの量が反応時間またはサイクル数の関数として測定され、次いで、これを用いて増幅反応が開始された時点で反応混合物中に存在する鋳型の出発量を決定するプロセスを指す。例えば、アンプリコンの量を測定し、次いで、PCRなどの熱サイクルを含む増幅反応の完全なサイクルの各々を開始することができる。あるいは、増幅サイクル間の移行を開始するために物理的介入を必要としない等温増幅反応を連続的に、または一定の時間間隔でモニタリングし、時間の関数として存在するアンプリコンの量に関する情報を得ることができる。
本明細書において、「増殖曲線」とは、時間またはサイクル数の関数としての、反応物中の合成産物、例えば、アンプリコンの出現の特徴的なパターンを指す。増殖曲線は、産物量のいくつかの指標、例えば、蛍光測定値(y軸)に対する時間(x軸)の二次元プロットとして表されることが好都合である。すべてではないが、いくつかの増殖曲線はシグモイド型を有する。
本明細書において、増殖曲線の「ベースライン相」とは、産物(例えば、アンプリコン)の量が実質的に一定の速度で増大する曲線の初期相を指し、この速度は、増殖曲線の増殖相(対数−直線プロフィールを有する場合もある)に特徴的な増加速度未満である。増殖曲線のベースライン相は、典型的には、極めて緩やかな傾きを有し、ゼロに近似することも多い。
本明細書において、増殖曲線の「増殖相」とは、測定可能な産物が経時的に実質的に増加する曲線の部分を指す。典型的な核酸増幅反応におけるベースライン相から増殖相への移行は、経時的に増大する速度でのアンプリコンの出現を特徴とする。増殖曲線の増殖相からプラトー相への移行は、アンプリコン出現の速度が低下し始める変曲点で始まる。
本明細書において、三相性の増殖曲線の「プラトー相」とは、曲線の最終相を指す。プラトー相では、測定可能な産物形成の速度は、通常、対数−直線相におけるアンプリコン生成の速度よりも実質的に低く、ゼロに達する場合さえもある。
本明細書において、語句「増殖の兆候」とは、核酸増幅反応における所定のレベルの進行を示すリアルタイム実施曲線の特徴を指す。このような兆候は、通常、その強度が、時間、サイクル数などの関数として、反応混合物中に存在するアンプリコンの量と関連している測定可能なシグナル(例えば、蛍光読み取り値)を示す「増殖曲線」と呼ばれることもある実施曲線の数学的解析によって決定される。
「核酸標準物質」または「内部標準物質」とは、インビトロ核酸増幅反応において増幅でき、同一増幅反応において同時に増幅された分析物ポリヌクレオチドと区別できるポリヌクレオチドを意味する。特定の好ましい実施形態では、内部標準物質および分析物ポリヌクレオチドは、インビトロ核酸増幅反応において1種以上の異なる増幅オリゴマーまたはプライマーを用いて同時に増幅される。例えば、以下に詳述される作業実施例において用いられる分析物および内部標準物質ポリヌクレオチドを、共有されていない増幅オリゴヌクレオチドを用いて増幅した。他の好ましい実施形態では、内部標準物質および分析物ポリヌクレオチドは、インビトロ核酸増幅反応において同一の増幅オリゴマーまたはプライマーを用いて同時に増幅される。
本明細書において「内部較正調整」とは、「核酸標準物質」または「内部標準物質」と呼ばれる、同時に増幅された標的核酸について得られた結果と比較することによって、増幅を行った試験サンプル中の分析物核酸の出発量を決定するための定量的手順を指す。
「パラメトリック方程式」とは、「パラメータ」と呼ばれる変数または独立変数に、任意の指定の値を入れて従属変数の値を得ることを可能にする方程式を意味する。例えば、二次元曲線が第3の変数Sの関数としてとして描かれている場合には、任意のSの値で曲線に沿った位置は、パラメトリック方程式:x=x(S)およびy=y(S)によって記載することができる。次いで、xおよびyは、「パラメータ」Sに対するその従属によって互いに関連している。
本明細書において「パラメータ」とは、一セットのパラメトリック方程式中の従属変数である。
本明細書において「パラメトリック較正曲線」とは、(a)増幅反応が開始された時点での反応混合物中に存在する既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を表すパラメータの関数としての、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候(すなわち、「Tt(S)」)と、(b)増幅反応が開始された時点での反応混合物中に存在する既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を表すパラメータの関数としての、同一増幅反応において分析物ポリヌクレオチド標準と同時に増幅された、既知の、一定量の核酸標準物質の増幅の兆候(すなわち、「ICt(S)」)との間の、視覚的表示およびその電子表示を含む数学的関係である。例えば、三次元パラメトリック較正曲線は、ある次元でTt(S)、別の次元でICt(S)、および第3の次元で、増幅反応が開始された時点での反応混合物中に存在する既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準(すなわち、「S」)を電子スプレッドシート形式で示すか、関連付けることができる。この三次元較正曲線の、二次元測定面への射影が、二次元パラメトリック較正曲線を表す。
本明細書において「パラメトリック較正方法」とは、パラメトリック較正曲線の作成および/または使用を含む定量的方法である。
本明細書において、語句「の関数として」とは、従属変数(すなわち、1以上の他の変数によって決まる変数)と独立変数(すなわち、いずれの他の変数の値も考慮せずに自由に選択されたその値を有し得る変数)との間の関係を表し、独立変数の各入力値は、従属変数の一出力値とまさに関連する。
本明細書において、パラメトリック方程式を「最適化すること」とは、パラメトリック方程式中の係数の数値を得て実験測定値を「適合」または近似させる式を得るために、数学モデル化または曲線適合手順において通常実施されるプロセスを指す。
本明細書において、用語「最適化されたパラメトリック方程式」および「適合された方程式」および「適合されたパラメトリック方程式」は、最適化手順の結果として係数の固定された数値を含むパラメトリック方程式の代替言及である。
本明細書において「増分」値とは、一定の程度で徐々に増加または減少する値を指す。
本明細書において「反復」コンピュータ計算法は、解への逐次近似によって問題(例えば、方程式または方程式のシステム)を解こうとする。
本明細書において、語句「増幅の閾値に基づいた兆候」とは、アンプリコン合成のベースラインシグナルを定量化することを必要とし、この定量化されたベースラインシグナルに基づく計算(例えば、差または商の計算)をさらに必要とする増幅の兆候を指す。TTime決定は、増幅の閾値に基づいた兆候の例であるが、TArcおよびOTArc決定は、増幅の閾値に基づかない兆候の例である。
本明細書において、面において「指定すること」(例えば、測定面においてデータ点を指定すること)とは、二次元グラフの面において点を設計するための、コンピュータソフトウェアの使用を含み得る手順を指す。これは、面においてデータ点の座標(例えば、xおよびy座標)を同定することを含み得る。
「本質的にからなる」とは、本発明の基本的特徴および新規特徴を実質的に変更しない、さらなる構成要素(類)、組成(類)または方法工程(類)が本発明には含まれ得るということを意味する。本発明の基本的特徴および新規特徴に実質的な効果を有する任意の構成要素(類)、組成(類)または方法工程(類)は、この用語に入らない。
(発明の詳細な説明)
本明細書には、リアルタイム核酸増幅を用いて分析物ポリヌクレオチドの定量化を改善する方法が開示されている。より詳しくは、本発明は、リアルタイム増幅アッセイにおいて内部較正結果を評価する方法、内部較正結果を考慮する分析物ポリヌクレオチドの定量化における調整、これによりアッセイ精度および確度を改善することに関する。これらの方法によって、標的量が同一であるが、増幅条件がわずかに異なるサンプル間のばらつきの補正が可能となる。空間曲線パラメトリック較正を用いて、分析物ポリヌクレオチドと内部標準物質との両方の増幅プロフィールから得た測定された兆候を用いて、未知試験サンプル中に存在する分析物ポリヌクレオチドコピー数を推定する。
開示される方法の特定の実施形態によれば、リアルタイム増幅反応から得た結果を処理して増幅の兆候を計算する。概して言えば、これらの兆候は増幅反応の程度の指標である。次いで、測定された、または計算された増幅の兆候を用いて、1つは分析物ポリヌクレオチド標準の、他方は内部標準物質の、2つの異なる二次元プロットを作成する。より詳しくは、これらの標的の測定された増幅の兆候を、増幅反応に投入した分析物ポリヌクレオチド標準のコピー数のいくつかの尺度に対してプロットする。次いで、これらのプロットから得られる情報を合わせて較正空間曲線、例えば、三次元較正曲線を作成できる。これらの手順に用いたデータセットは、各々、分析物ポリヌクレオチド標準の既知数のコピーを含み、各々、増幅反応を開始する前に一定数の内部標準物質鋳型を含む、増幅反応の収集物から作成する。
モデルパラメトリック方程式の変数(すなわち、「係数」)を、二次元プロットの各々のデータ点に適合させ、測定された値と適合する曲線を規定する2つの方程式を得ることができる。より詳しくは、予め選択されたパラメトリック方程式の係数は、モデル方程式を測定されたデータ点と適合することによって最適化または決定することができる。これは、測定されたデータとモデル(すなわち、適合された)値との間の相違を最小にする係数の数値を解き、これにより適合された曲線を得ることによって達成できる。当業者ならば、これらの手順は曲線適合技術を用いて実施できるということは認識するであろう。得られた方程式の1つは、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準(Tt)の測定可能な増幅の兆候を、反応物へ投入された既知数の分析物ポリヌクレオチド標準分子(S)の第1の関数として表す(すなわち、Tt=Tt(S))。第2の方程式は、内部標準物質(ICt)の測定可能な増幅の兆候を、反応物中に投入された既知数の分析物ポリヌクレオチド標準分子の第2の関数として表す(すなわち、ICt=ICt(S))。このようにしてTtおよびICtは、パラメータSに対するこれらの従属によって互いに関連している。第3の方程式は、増幅反応物中に投入された分析物ポリヌクレオチド分子の数(Z)を、反応物中に投入された既知数の分析物ポリヌクレオチド標準分子の関数として表す(すなわち、Z=Z(S))。例えば、特定の具体的な実施形態では、この第3の関数はZ=log10(S)の形をとり得る。
較正関係は、測定面におけるパラメトリック曲線としてプロットでき、各データ点は座標(Tt、ICt)を有し、分析物ポリヌクレオチド標準分子(S)の数は測定面における曲線のパラメータである。あるいは、較正関係は、三次元で空間曲線としてプロットでき、パラメータSは測定面の上の高さとしてプロットされる。分析物ポリヌクレオチドおよび未知数の分析物ポリヌクレオチド分子を含む試験反応物において増幅された内部標準物質の増幅の兆候もパラメトリック較正プロットの測定面にプロットできる。
図6Aは、三次元パラメトリック較正曲線、例えば、図5に示されるものの測定面上の射影に対応する二次元関係を示す。未知数の分析物ポリヌクレオチド分子とともに開始された増幅反応物中の分析物および内部標準物質ポリヌクレオチドの増幅の兆候座標を表す(Tt?,ICt?)によって示される試験サンプルデータ点も示されている。この試験サンプル増幅反応物はまた、較正曲線を作成するために用いる標準反応のすべてに用いる同一の一定量の内部標準物質も含んでいた。上記で論じたように、図に示される二次元関係を作成するための少なくとも2つの方法がある。もちろん、Z=Z(S)であるので、図6A〜6Bに示されるグラフにおいてz軸が想定される。図6Aは、試験反応において同時に増幅された分析物ポリヌクレオチドと内部標準物質との測定された増幅の兆候の座標を関連付けるパラメトリック較正曲線の測定面での指定を示す。
試験反応物に用いた出発分析物ポリヌクレオチドコピー数を推定するために、測定面におけるパラメトリック較正曲線上のSの値を変えて、測定空間中の試験サンプル座標に最も近い測定面における較正曲線上点を決める。測定空間中の試験サンプルの座標とモデル較正空間曲線上の点との間の距離を、ユークリッドノルムおよび以下の方程式を用いることによって簡単に計算することができる。
Figure 0005071987
この方程式では、測定面中の試験座標(Tt?,ICt?)と、特定のS値(Tt(S),ICt(S))について決定される測定面中の較正曲線上の点との間の距離を規定する直角三角形の斜辺(δ)の二乗は、試験反応物中の内部標準物質の測定された増幅の兆候と、較正曲線上の点の増幅の兆候との間の差異の二乗(すなわち、(ICt?−ICt(S)))に付加された、未知の分析物ポリヌクレオチドの測定された増幅の兆候と、較正曲線上の点の増幅の兆候との間の差異の二乗(すなわち、(Tt?−Tt(S)))に等しい。測定面中の試験サンプル座標と較正曲線との間の最小距離(すなわち、最小δ)を生じるSの値に対応する、パラメトリック較正曲線上の分析物ポリヌクレオチドコピー数値(すなわち、z次元におけるSの値)から、試験サンプル中の分析物ポリヌクレオチドが推定される。当業者には当然のことであろうが、最小距離を提供するSの値の決定は、Sの種々の値でδの値を計算することを含む反復コンピュータ計算プロセスを用いて達成できる。
図6Bは、図6Aに示されるような座標(Tt?,ICt?)を有するデータ点を生じさせる試験サンプル中の分析物ポリヌクレオチドの量を推定するこの方法を特に示す。この方法は、点を、測定面中の試験サンプルデータ点に最も近い測定面中のパラメトリック較正曲線上に位置させるようにパラメータSの値を変えることを含むことが好ましい。座標(Tt?,ICt?)を有するデータ点と、測定面中のパラメトリック較正曲線射影との間の分離の大きさを最小にするSの値を決定することによって、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの量が推定される。測定面中のパラメトリック較正曲線と、試験サンプルの座標を表す点との間の分離の大きさは、記号「δ」によって示される。図6Bは、試験サンプルデータ点に関してパラメトリック較正曲線上の2つの任意点を示す。各点は、座標(Tt(S),ICt(S))の独特のセットと関連している。試験サンプルデータ点の座標は、(Tt?,ICt?)である。測定面中の較正曲線上に同定される点の各々を用いて、投入された分析物ポリヌクレオチドの各レベルに対して独特である三角形を作成することができる。各場合において、この三角形の斜辺は、試験データ点と、測定面中に引かれた曲線との間の分離の大きさを表す。斜辺の大きさは、方程式(1)に具体化されるようにピタゴラスの定理を適用することによって簡単に計算できる。
同時に増幅可能な内部標準物質から得られた結果を分析して用いる本方法が、先に記載された方法と実質的に異なっていることは明白である。例えば、開示される方法は、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質核酸が、同一の増幅オリゴヌクレオチドまたは異なる増幅オリゴヌクレオチドを用いて増幅する場合に得られたデータに、同様に良好に適用される。また、標準および内部標準物質の決定した測定値の間の比を定める必要がない。さらに、開示された方法は、いずれの形の較正適合関数にも一般化され、より大きな数の独立した測定にも一般化される。例えば、分析物ポリヌクレオチド標準および内部標準物質の時間記録の各々が、各々2つの兆候を特徴とする場合には、4つの兆候が4次元の超平面を形成し、較正曲線は5次元空間曲線となる。したがって、本明細書に開示される方法は、広く適用可能であり、その値は特定のインビトロ増幅法に制限されない。
(有用な増幅法)
パラメトリック較正方法に関連して有用な増幅法の例として、限定されないが、以下が挙げられる:転写媒介性増幅(TMA)、単一プライマー核酸増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、自律的配列複製(Self−Sustained Sequence Replication)(3SR)、DNAリガーゼ連鎖反応(LCR)ならびに自己複製ポリヌクレオチド分子および複製酵素、例えば、MDV−1 RNAおよびQ−β酵素を用いる増幅法。これらの種々の増幅技術を実施する方法はそれぞれ、米国特許第5,399,491号、公開米国特許出願番号第11/213,519号、公開欧州特許出願EP0525882、米国特許第4,965,188号、同5,455,166号、Guatelliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:1874〜1878頁(1990)、国際公開番号WO89/09835、米国特許第5,472,840号およびLizardiら、Trends Biotechnol.9:53〜58頁(1991)に見出すことができる。核酸増幅反応の実施方法を説明するこれらの文書の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
単一の伸長可能なプライマーのみを必要とする増幅反応は、開示される較正方法と関連して使用するのに特に好ましい。これらの反応として、単一の伸長可能なプライマーを、核酸ポリメラーゼによって伸長され得ない3’がブロックされたオリゴヌクレオチドと組み合わせて用いる転写関連増幅システムが挙げられる。このような増幅反応を実施する方法は、例えば、米国特許出願番号第11/213,519号に詳述されている。
(有用な増幅の兆候の例)
種々の増幅の兆候を、開示される方法と関連して使用できる。例えば、当業者によく知られる数学的手法およびコンピュータ計算手法を用いて、リアルタイム実施曲線の第1の導関数の最大の出現回数、または第2の導関数の最大の出現回数を同定できる。増殖曲線のこれらの特徴を決定するためのアプローチは、米国特許第6,503,720号においてWittwerらによって詳述されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。他の有用なアプローチは、増殖曲線の導関数を計算することと、増殖曲線の特徴を同定することと、次いで、導関数の特徴に対応する閾値時間またはサイクル数を決定することとを含む。このような技術は、米国特許第6,783,934号に開示されており、その開示内容は参照により組み込まれる。さらに他の有用な増幅の兆候として、「TTime」、「TArc」および「OTArc」が挙げられる。
図1は、上記で参照される増幅の兆候が、リアルタイム実施曲線上の異なる点を同定するということを示す。それにもかかわらず。これらの異なる兆候の各々を、開示される較正アルゴリズムに従って用いて、較正曲線またはプロットを作成することができる。これは、本明細書に記載される技術の多用途性を示す。
(TTime値を決定する方法)
簡単に言えば、TTime値によって、リアルタイム増幅反応においてアンプリコン生成を示す特定の閾値を通過する時間を推定する。TTime値を計算して用いるアルゴリズムは、米国特許出願番号第60/659,874号に記載されており、その開示内容は参照により組み込まれる。図2は、リアルタイム実施曲線のセグメントでTTime値を決定する方法を示す。
TTime決定の一般的な特徴を示すために、一連の時間ベースの蛍光読み取り値として収集されたデータを得ること、およびこのようなデータは比較蛍光単位(「RFU」)の点で言及できるものとする。所与の時間間隔で測定された各データ点をRFU(t)と呼ぶ。一般に、各RFU(t)プロットは、初期の、最小レベルのまたはその付近の実質的に平坦な部分と、それに続く急激な、比較的急勾配の傾斜の部分、および通常、最大レベルのまたはその付近の平坦な部分を含む終わり部分を特徴とする。
TTime(「出現の時間」としても知られる)とは、以下に論じるように正規化されたデータRFU(t)が所定の閾値の値に達する時間を指す。以下により詳細に記載するように、標準曲線を用いて、特定のサンプルについて決定されたTTimeを、内部標準物質の増幅について調整することなしに、分析物量または濃度と相関させ、それによってサンプルの分析物量または濃度を示すことができる。一般に、対象の分析物の濃度が高いほど、RFU(t)曲線は急勾配であり、TTimeは短い。
TTime決定手順の第1の工程はバックグラウンド調整およびデータの正規化である。バックグラウンド調整は、例えば、核酸増幅反応を実施およびモニタリングするために用いられる機器中の他のモジュールからの漂遊電磁シグナルからのバックグラウンド「ノイズ」によるシグナルデータRFU(t)の部分を差し引くために実施する。バックグラウンド調整は、データRFU(t)からバックグラウンドの値「BG」を単に差し引き、調整したデータRFU(t)を得ることによって実施する。すなわち、RFU(t)=RFU(t)−BG。
バックグラウンドBGは以下のように求める。第1に、データ点の間の時間間隔を求める。時間間隔は、サイクル時間(すなわち、連続するデータ測定の間の時間)にデータ点(すなわち、0番目のデータ点、1番目のデータ点、2番目のデータ点、...n番目のデータ点)を乗じ、60秒で除することによって求める。例えば、30秒というサイクル時間を仮定すると、15番目のデータ点の時間間隔は(15×30秒)/60秒=7.5分である。次に、最小シグナルデータ点および最大シグナルデータ点を加え、2で除することによってシグナルデータの中間点を見出す。すなわち:(RFUmax+RFUmin)/2。中間点の値に対応する時間で出発し、後方に作業しながら、各対のデータ点の傾きを計算する:
(RFU(t)−RFU(t−1))/Δt(t→t−1)。固定的な傾きの値よりも小さい最初の傾きの値(すなわち、RFU(t)曲線がその上方への傾きを始める前の値、例えば、−0.0001)を見出すことによって、RFU(t)の傾きが平坦化する場所を見出す。ひとたび、この傾きを見出すと、負でない次の傾きを見出す;この値がHindexである。次に、最初のデータ点で出発し、Hindex値に対応するRFU値に進むRFU(t)値の全範囲の平均をとる。このデータの平均は、0.15という固定的バックトリム値を用いてデータのこの範囲に対してEXCEl表計算ソフト(Microsoft Corporation;Redmond,WA)のTRIMMEAN関数を用いてとることが好ましい。この平均値がバックグラウンド、BGである。
データを正規化するために、バックグラウンドについて調整した各データ点を、同様にバックグラウンドについて調整した最大データ点で除す。これは以下のように計算できる。
Figure 0005071987
したがって、RFU(t)は0と1との間となる。
次いで、RFUn(max)からRFUn(min)を差し引くことによってデータの範囲を計算する。計算された範囲が一致しないか指定された最小範囲(例えば、0.05)を超える場合には、データは疑わしく、問題のある信頼性と考えられ、このようにして、TTimeは計算される。最小範囲は経験的に決定され、蛍光測定機器毎に変わり得る。理想的には、指定された最小範囲は、最小から最大へのデータ値の変動がシステムのノイズを超えるのを確実にするよう選択される。
次いで、曲線適合手順を、正規化された、バックグラウンド調整されたデータに適用する。周知の曲線適合法のいずれを用いてもよいが、好ましい一実施形態では、線形最小二乗(「LLS」)曲線適合を用いる。曲線適合は、所定の下界と上界との間のデータの一部についてのみ実施する。データに適合する曲線を見出した後の最終目標は、曲線が所定の閾値と交差する点に対応する時間を見出すことである。好ましい実施形態では、正規化されたデータの閾値は、0.11である。上界および下界は、曲線が種々の対照データセットと適合するその範囲が、所与の閾値と関連する時間の最小の変動を示すよう、経験的に決定する。好ましい実施形態では、下界は0.04であり、上界は0.36である。曲線は、下界より低い最初のデータ点から上界を過ぎる最初のデータ点に伸びるデータについて適合する。
次に、適合の傾きが統計的に有意であるかどうかを調べる。例えば、一次係数のp値が0.05未満である場合には、適合は有意であると考えられ、処理が続く。そうでない場合には、処理は停止する。あるいは、データの妥当性はR値によって調べることができる。
適合された曲線の直線の傾き(m)および切片(b)を求める。その情報を用い、以下の方程式によってTTimeを求めることができる。
Figure 0005071987
(TArc値を決定する方法)
「TArc」および「OTArc」と呼ばれる時間依存性の増幅の兆候は、リアルタイム実施曲線のベクトルベースの分析を用いて決定する。TArc値は、増殖曲線が曲がるか、上方に「逸れ」始める時間において点を同定する。この決定された点を、標準曲線を作成するために、または試験サンプル中の分析物ポリヌクレオチドの量または濃度に関連する増幅反応のパラメータを定めるために用いることができる。ベクトル分析は、実質的に均一な時間間隔にわたって分布するデータ点を有する増殖曲線を用いて実施することが最も好都合である。TArcおよびOTArc値の決定および使用に関する詳細な提示は、米国特許出願番号11/474,698に記載されており、この出願の明細書および図面に含まれる開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。ベクトル分析の根底にある本質的な概念は、図3A〜3Bに簡単に示されている。
(方向的に同様のベクトルを用いるTArc値の決定)
TArc値を決定するための1つのアプローチは、方向的に同様であるベクターの対を形成するセットを用いる。これは、ベクトルはそのx成分において同一の方向を共有するということを意味する。したがって、方向的に同様であるベクトルは、x値が増大する方に向けられたx成分を有する。これは、方向的に反対のベクトルを特徴とする状況と区別され、これでは、一方のベクトルが、x成分において他方の反対を向いている。
図3Aは例示増殖曲線の一部に描かれた方向的に同様のベクトルの対のセットの配置を示す。図中に示されるように、増殖曲線の最初のデータ点(x1,y1)に位置するその尾部と、同一増殖曲線の第2のデータ点(x2,y2)に位置するその頭部とを有する第1のベクトル(すなわち、ベクトルa)を確立する。第2のデータ点のx成分(すなわち、時間またはサイクル数軸)は、第1のデータ点のx成分より大きい値を有する(すなわち、x2>x1)。例示目的上、増殖曲線を時間の次元で5秒間隔に解析する場合には、第1のデータ点の時間の値は0秒であり得、第2のデータ点の時間の値は5秒であり得る。この例示では、2つのデータ点の時間の値は、増殖曲線の時間の次元では空間的に1単位(すなわち、5秒)離れている。最初のベクトルの大きさは、簡単に、第1および第2のデータ点を隔てる距離である。第1および第2のデータ点のy成分は、指定の時点で測定されたアンプリコンシグナルの大きさに対応する。第2のベクトル(ベクトルb)は、その尾部が、第1のベクトルに用いられた増殖曲線の同一の第1のデータ点(x1,y1)に位置し、その頭部が、x成分が第1のベクトルの第2のデータ点のx成分よりも大きい(すなわち、x3>x2)増殖曲線の第3のデータ点(x3,y3)に位置して確立される。例えば、第1のベクトルを確立するための2つのデータ点の時間の次元の値は、x軸上で1単位分隔たっている場合には、第2のベクトルを確立するために用いられる2つのデータ点は、x軸上でこの数より大きな量の分だけ隔たっていなくてはならない。実際、第2のベクトルのx成分の大きさは、第1のベクトルのx成分の大きさより、少なくとも2倍大きくてよく、20倍以上高くてよい。
方向的に同様であるベクトルを用いてTArcを求める方法に従って、2つのベクトルの対のセット(すなわち、ベクトルaおよびベクトルb)を、共通の始点(すなわち、各ベクトルの尾部に相当するデータ点)を共有する対のベクトルの単一のセットの各ベクトルを用い、増殖曲線に沿って、一定の時間間隔またはサイクル数間隔で確立する。第1および第2のベクトルのx成分は、分析のために一定に保たれる所定の値の分、空間的に隔たっている。例えば、各対における第1のベクトルのx成分の大きさが5秒である場合には、各対における第2のベクトルのx成分の大きさは、例えば、85秒で一定に維持され得る。これは、ベクトルの異なる対のセットの始点が異なる時点に位置する、2つのベクトルの複数の対のセットをもたらす。次いで、方向的に同様のベクトルの対のセットの始点は、ベクトルの対のセットを確立する反復プロセスにおいて、時間軸(すなわち、x軸)に沿って増加される。増殖曲線に沿った、複数の規則的に隔たっている時点が、種々のベクトルの対のセットの始点として働くことが好ましい。
ひとたび、ベクトルの対のセットが確立されると、単一のセットの2つのベクトルの間の関係を特徴付ける少なくとも1つの特徴が決定される。例えば、2つのベクトルの間の角度(ω)を、当業者によく知られる標準的な数学的手法を用いて決定できる。決定された角度は、増殖曲線に沿った時間またはサイクル数の値と関連している。例えば、2つのベクトル(すなわち、ベクトルaおよびベクトルb)の間の角度は、方程式(4)に従って決定できる。
Figure 0005071987
当業者ならば、方程式(4)から、2つのベクトルのドット積は方程式(5)によって規定される特性を有し、角度オメガ(ω)はベクトルaとベクトルbとの間の角度であるということは理解するであろう(2つのベクトルはゼロではないと仮定するので、それらの間の角度は十分に規定される)。ベクトルの間の角度は、区間(0,π)における数値を有する。ドット積およびベクトルのノルムは容易にコンピュータで計算されるので、この式を用いてベクトルの間の角度を計算することができる。
Figure 0005071987
増殖曲線のx軸に沿った各時間の値は、角度値と関連している。これは表の形式を用いて達成できることが好都合である。
図3Aに示されるように、2つの方向的に同様のベクトルの間の角度(ω)は、増殖曲線の上に凹の変曲を包含する時間間隔内に最大値に達し、時間軸上のその点は、「TArc」であるといわれる。2つのベクトルは、増殖曲線の増殖相または対数線形相の開始および結末で実体のある角度で隔たっているので、また、最初の例に相当する時間の値が極めて興味深いので、好都合であるが、増殖曲線の増殖相の結末に先行する増殖曲線の一部でベクトル解析を実施するために必要ではない。これは、例えば、凸面屈曲およびプラトー相を特徴とする曲線の一部を排除するスライドウィンドウベクトル解析を用いることによって達成できる。増殖曲線の解析される部分にわたってωが最大である点を決定することは、通常用いられるコンピュータ表計算プログラムに精通している人にはよく知られていることであるが、数の列をソートすることによって簡単に達成でき、次いで、列中の最大角度値と関連している時点またはサイクル数を同定する。最大TArc値を決定するために曲線部分の導関数または傾きを計算することは必要ない。
次いで、このようにして決定されたTArc値を、ポリヌクレオチド量または濃度の定量的解析に用いることができる。より詳しくは、ひとたび、既知量の標的または標準物質を用いて実施された増幅反応についてTArc値が確立されると、それらのデータ点を保存し、グラフにプロットするか、そうでなければ、標準曲線を確立するために用いることができる。同様に、未知出発量の分析物ポリヌクレオチドを用いて実施した増幅反応について決定されたTArc値を、標準曲線と比較し、試験を受けているサンプル中の分析物ポリヌクレオチド出発量を決定することができる。
したがって、図3Aに示されるベクトルベースのアルゴリズムは、x次元において方向的に同様である2つのベクトルの対のセットを用いた。増殖曲線に沿って2つのベクトルを増加させたときにその間の角度の機会を生じさせるためには、この配置には、ベクトルがx次元において異なる大きさを有することが必要であった。このアルゴリズムは、曲線の特徴として、2つのベクトル間のより小さい角度が最大となるx軸上の点を同定することをさらに含む。既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を用いて実施した反応の解析に起因する場合、この特徴の数値を、投入した標的コピー数のlog10に対してプロットし、標準曲線を作成できた。あるいは、特徴が、試験サンプルを用いて実施した反応の解析に起因する場合には、決定した特徴を標準プロットと比較し、試験サンプル中に存在する分析物ポリヌクレオチドの出発量または濃度を求めることができた。
(方向的に反対のベクトルを用いてのOTArc値の決定)
OTArc値を決定するために使用できる代替ベクトルベースアルゴリズムは、増殖曲線に沿ってベクトルの対のセットを確立する反復プロセスを同様に含むが、方向的に同様のベクトルの代わりに方向的に反対のベクトルを用いる。方向的に同様のベクトルを用いるアルゴリズムと対照的に、方向的に反対のベクトルを用いるアルゴリズムは、x次元において異なる大きさを有するために対のセットにおけるベクトルの両方を必要とせず、2つのベクトル間の角度が最大ではなく最小になる点をx軸に沿って同定することを含む。この後者のアプローチにしたがって、2つのベクトルの対のセットは、それらが、2つのベクトルの共有される始点に関してx次元において方向的に反対であるように確立できる。一般に、一対の方向的に反対のベクトルの一方のメンバーは、共有される始点からx値が減少する方向に延在し、対の他方のメンバーはx値が増大する方向に延在する。
方向的に反対のベクトルを用いるアルゴリズムの重要な態様、および方向的に同様のベクトルを用いるアルゴリズムに対するその関係は、図3Bを参照して理解され得る。この図は、方向的に反対のベクトルの対のセットを、増殖曲線のx次元に沿ってどのように増大させることができるかを図式的に示し、2つのベクトルの間の角度が、ベースラインと増殖曲線の増殖相との間の移行の近接においてどのように最小となるかを実証している。方向的に反対のベクトルに基づくアルゴリズムを用いる場合には、ベクトルが、そのx成分の異なる大きさを有する必要がないことは明らかである。
図3Bに示されるように、方向的に反対のベクトルを用いるアルゴリズムに従って、2つのベクトルの複数の対のセットは、増殖曲線のx次元に沿って異なる点で確立される。単一のセットのベクトルの各々のベクトルは、同一の始点(x1,y1)を共有する。また、図に示されるように、ベクトルは、その方向がx次元において互いに反対であるように確立される。この場合、第1のベクトル(すなわち、ベクトルa)の頭部でのx座標は、共有される始点でのx座標の値より小さい値を有し、第2のベクトル(すなわち、ベクトルb)の頭部でのx座標は、共有される始点のx座標の値よりも大きい値を有する。換言すると、方向的に反対のベクトルx2<x1<x3を用いる場合には、x1は共有される始点のx座標であり、x2は、x値が減少する方に向けられたベクトルの頭部でのx座標であり、x3はx値が増大する方に向けられたベクトルの頭部でのx座標である。この配置は、x1<x2<x3である方向的に同様のベクトルを用いる本発明の実施形態とは区別される。
したがって、核酸増幅反応におけるアンプリコン生成の時間依存性モニタリングの増殖曲線を表す数値データを曲線適合によって処理し、最適化された方程式を得る場合には、その方程式を用いて、処理された増殖曲線を任意の時間間隔に解析することができる。例えば、これらの時間間隔は各5秒、各10秒または他の所望の時間またはサイクル数間隔であり得る。この実施例を続けながら、方向的に反対のベクトルのx成分の大きさを50秒に任意に設定できる。このような場合、ベクトルの第1の対のセットの始点を、x1=50秒に確立でき、第1のベクトルの頭部をx2=0秒に位置づけ、方向的に反対の第2のベクトルの頭部をx3=100秒に位置づける。上記のように、ベクトルの第2の対のセットは、ベクトルの第2の対のセットの始点がx1=55秒に確立されるように増殖曲線のx次元に沿って値を増加させ、このプロセスを所望のように反復する。
ベクトルのy座標の値は、好ましくは、実験データから直接決定されるか、またはより好ましくは、移動平均平滑化関数もしくは曲線適合操作を用いて計算されるかのいずれかである。曲線フィッティングを用いる場合には、ベクトルのy座標の値は、最適化された方程式を、本明細書に記載される技術または当業者によく知られる他の技術を用いて解くことによって計算されることが好ましい。確立された、ベクトルの異なる対のセットのxおよびy座標を用いて、標準的な数学的アプローチ、例えば、上記の方程式(4)を用いてベクトル間の角度を計算することができ、計算された角度は、増殖曲線のx次元に沿って種々の時点と関連している。方向的に反対のベクトルを用いるアルゴリズムにしたがって、最小角を有するベクトル対の始点と関連している時間成分を決定することによって、標準曲線を作成するために投入されたlog10標的コピー数に対してプロットされるべき、または試験サンプル中のポリヌクレオチド分析物の量または濃度を同定するために標準曲線と比較されるべき曲線の特徴(すなわち、OTArc)が同定される。
(較正アルゴリズムを実行するための装置)
本明細書に開示される較正アルゴリズムは、コンピュータまたは類似の処理デバイス(本明細書では以下「コンピュータ」)を用いて実施することが好都合である。種々の好ましい実施形態では、アルゴリズムを実施するためのソフトウェアまたは機械によって実行可能な指示をロードするか、そうでなければフリースタンディングコンピュータのメモリー要素に、もしくは、解析を受けている生成物の量を好ましくは時間の関数としてモニタリングするのに用いられるデバイスと連結しているコンピュータのメモリー要素に入れることができる。高度に好ましい実施形態では、較正アルゴリズムを実行するためのソフトウェアは、反応混合物中に存在するアンプリコンの量を時間の関数としてモニタリングできるデバイスと連結しているか、もしくは、その不可欠の一部であるコンピュータのメモリー要素中に入っている。
実際、リアルタイム増幅デバイスおよび/またはリアルタイム増幅デバイスの検出システムを制御するためのシステム制御装置のいずれか又は両方を、前もってプログラムされたまたはユーザーが入力した指示にしたがって、これらの機器の操作を指示するよう機能する適切にプログラミングされたコンピュータとつなぐことができる。コンピュータはこれらの機器からデータおよび情報を受け、この情報を解釈し、操作し、ユーザーに報告できることが好ましい。
一般に、コンピュータは、通常、1セットのパラメータフィールドへのユーザー入力の形、または前もってプログラムされた指示の形(例えば、種々の異なる具体的な操作について前もってプログラムされた)のいずれかでユーザー指示を受け取るための適当なソフトウェアを含む。次いで、ソフトウェアが、これらの指示を、所望の操作を実施するために、リアルタイム増幅制御装置の操作を指示するのに適当な原語に変換する。また、コンピュータは、システム内に含まれる1以上のセンサー/検出器からデータを受け取り、プログラミングにしたがってデータを解釈することができる。このシステムは、検出器によって検出される、時間の関数として対象の核酸の増幅されたコピーの量を表す増殖曲線の特徴を、試験サンプル中に存在する対象の核酸のコピー数と関連付けるソフトウェアを含むことが好ましい。
好ましくは、開示される較正アルゴリズムを実行するために用いられるコンピュータが、リアルタイム核酸増幅反応を実施および解析するための器具の不可欠な構成要素である場合には、器具は温度制御インキュベータ、シグナルを集めるための検出デバイス、シグナルを解析するためのコンピュータまたはプロセッサなどの解析デバイス、および解析デバイスによって得られたまたは作成されたデータを示すための出力デバイスを含むことが好ましい。解析デバイスは、当技術分野で公知の入力デバイスを介して温度制御インキュベータと接続していてもよいし、および/またデータを提示するための当技術分野で公知の出力デバイスと接続していてもよい。一実施形態では、温度制御インキュベータは温度サイクル可能である。
概して言えば、開示される較正アルゴリズムに関連して有用なリアルタイム核酸増幅を実施するための器具の種々の構成要素は、当業者によく知られている従来の構成要素である。リアルタイム核酸増幅を実施および解析するために用いられる温度制御インキュベータは、複数の反応試験管を保持することができる常套の設計のものであり得る。例えば、インキュベータは、標準増幅反応試験管中の温度制御ブロック中に、またはマルチウェルプレートのウェル中に、最大96の反応サンプルを保持することができ、最大384の反応サンプルがより好ましく、最大1536の反応サンプルいっそうより好ましい。一態様では、検出システムは、1以上の蛍光標識から光シグナルを検出するのに適している。検出システムの出力(例えば、増幅反応の間に生じたものに対応するシグナル)は、データ格納および操作のためにコンピュータに供給され得る。一実施形態では、システムは、複数の異なる種類の光シグナル、例えば、複数の異なる種類の蛍光標識を検出し、マイクロプレート蛍光読み取り機の能力を有する。検出システムは、可視光レーザーまたは紫外線ランプまたはハロゲンランプであり得る励起光供給源を含むマルチプレックス化蛍光光度計と、個々の反応試験管に励起光を分配し、反応試験管からの蛍光を受け取るマルチプレクサデバイスと、蛍光をその波長によって励起光から分けるフィルタリング手段と、蛍光光強度を測定する検出手段とであることが好ましい。温度制御インキュベータの検出システムは、フルオロフォア選択の融通性、高い感度および優れたシグナル対ノイズ比を可能にする広い検出範囲を提供することが好ましい。検出システムによって受け取られる光シグナルは、通常、シグナルに変換され、これがプロセッサによって作動されてデータを提供することができ、これはユーザーによってプロセッサと通信してこのデータをユーザーデバイスのディスプレイで見ることができる。ユーザーデバイスは、ユーザーインターフェースを含んでもよいし、キーボードおよびビデオモニターを備える常套の市販のコンピュータシステムであってもよい。ユーザーデバイスによって提示され得るデータの例として、集合体中のすべての試験管または反応容器の、および用いたすべての標識の増幅プロット、散布図、サンプル値スクリーン、光シグナル強度スクリーン(例えば蛍光シグナル強度スクリーン)、最終判断結果、テキスト報告などが挙げられる。
(アルゴリズムの説明−パラメトリック較正曲線の作成)
パラメトリック較正曲線の作成は、各々、一定量の核酸標準物質(すなわち、内部標準物質ポリヌクレオチド)と、種々の既知量の分析物ポリヌクレオチド標準とを含む、複数の標準サンプルを形成する工程ではじまる。例えば、複数の標準サンプルの各々は、10,000コピーの内部標準物質ポリヌクレオチドを含み得る。種々のサンプルはまた、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を、例えば、あるサンプルから次のもので10倍異なる標準の量で含み得る。
次いで、内部標準物質ポリヌクレオチドと分析物ポリヌクレオチド標準とを単一の増幅反応において同時に増幅させ、標準反応における内部標準物質および分析物ポリヌクレオチド各々の増幅の兆候を測定するかそうでなければ決定する工程がある。概して言えば、これらの兆候は、特定の点に到達するために増幅反応に必要な時間の値、または特定の量または閾値に到達した生成されるアンプリコンの量に必要な時間の値となることが好ましい。このような兆候は、熱または他のサイクリングを含む増幅反応のサイクル数または時間増分で測定できる。時間増分を表す兆候は、増幅反応を進めるために、オペレータまたは機械の介入を必要とする別個の反応サイクルを含まない等温増幅反応にとって好ましい。これらの手順の結果は、増幅反応が開始される前に反応混合物中に存在した既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチドの各々の増幅の兆候の収集物である。
もちろん、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準および増幅された内部標準物質の、測定された得られた増幅の兆候は、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量と関連しているか、または関係している。これは、(a)既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を用いて実施された反応の増幅の兆候(Tt)と、(b)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量(S)とを、グラフ作成すること、プロットすることまたはより好ましくは、電子的に関連付けることによって形式化することができる。同様に、これは、(a)内部標準物質の増幅の兆候(ICt)および(b)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量(S)を、グラフ作成すること、プロットすることまたはより好ましくは、電子的に関連付けることを含み得る。図4中の個々のデータ点は、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としてプロットされた、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準および増幅された内部標準物質の測定された増幅の兆候を表す。
較正曲線を作成する方法にしたがって、関係する手順または工程は、以下と適合するようパラメトリック方程式を最適化することを含む:(1)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候、および(2)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての、増幅された内部標準物質の増幅の兆候。これは、標準的な数学的曲線適合技術をデータセットの各々に適用し、それに関連している曲線を規定する方程式(「すなわち、適合された方程式」)を得ることによって達成できることが好都合である。したがって、2つの異なる二次元曲線の各々の方程式をこの手順によって得ることができる。一実施形態では、曲線の各々を説明するために単一の種類の方程式を用い、二次元曲線の各々は、方程式係数の異なるセットの数値と関連している。曲線適合手順に用いたパラメトリック方程式は、曲線フィッティング手順の間に最適化され、決定される、3つもの、より好ましくは、4つもの係数を含むことが好ましい。高度に好ましいパラメトリック方程式は、まさに4つの係数を有し、他の高度に好ましいパラメトリック方程式は、まさに5つの係数を有する。パラメトリック方程式を、測定された増幅の兆候に適合するよう最適化することは、市販のソフトウェアパッケージ、例えば、Microsoft Corporation(Redmond,WA)製の、式の最適値を見出すための、また方程式を解くためのEXCELアドインツールとして入手可能であるSOLVERプログラムを用いて容易に達成できる。この手順によって作成された曲線は、反応物に投入された分析物ポリヌクレオチド標準のレベルの増大が、分析物ポリヌクレオチド標準プロットの増幅の兆候の減少(例えば、出現の時間が減少する)と相関するような、内部標準物質プロットの増幅の兆候の増大(例えば、出現の時間が増大する)と相関するような形であることが好ましい。実際、一般的に、内部標準物質の増幅の兆候を示す値は、増幅反応において試験した投入した分析物ポリヌクレオチド標準(S)値の範囲にわたって実質的に一定でないことが好ましい。図4に引かれる曲線は、既知出発量の投入された分析物ポリヌクレオチド標準(S)の値の範囲にかけて解かれた適合されたパラメトリック方程式の図式的生成物を表し、本明細書において「適合された増殖の兆候」と呼ばれる。したがって、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の増分値で適合されたパラメトリック方程式を解くことは、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての核酸標準物質の適合された増幅の兆候と、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の適合された増幅の兆候とをもたらす。
他のパラメトリック方程式が、曲線適合手順に用いられ、良好な結果を伴っているが、以下に記載される手順では、以下の形を有する常套の4パラメータロジスティック(「4PL」)パラメトリック方程式を用いた:
Figure 0005071987
これらの方程式では、Tt(S)は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての既知量の分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候を表し、ICt(S)は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部標準物質の増幅の兆候を表す。標準手順によって最適化できるこれらの方程式中の4つの係数は、a〜dと同定される。増幅反応中に投入された分析物ポリヌクレオチド標準のコピー数は、方程式中のパラメータ「S」によって同定される。もちろん、本明細書に教示される方法を用いることにおける成功はいずれか特定のパラメトリック方程式の使用を必要としないということは理解されなければならない。例えば、三次の多項式に基づくパラメトリック方程式も使用され、優れた結果を伴い、本発明の範囲内に入る。しかし、曲線適合のための他の考慮される代替案として、非直線および直線モデルの両方が挙げられ、例えば、限定されないが、回帰分析がある。
次いで、三次元パラメトリック較正曲線を作成する工程がある。これは、(1)分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候(Tt)、(2)内部標準物質の増幅の兆候(ICt)、および(3)これらの増幅の兆候をもたらす反応に用いた分析物ポリヌクレオチド標準の量(S)の間の関係、例えば、三次元曲線の電子的表現を確立することを含むことが好ましい。一実施形態では、この手順の結果は、図5に示される三次元グラフ上にプロットされた標準曲線であり、第3の次元(すなわち、z軸)は、増幅反応中に投入された分析物ポリヌクレオチドの量(S)に相当する。もちろん、図5に示されるように、このような曲線はまた、測定面上に射影を有する。これらの関連する標準曲線の各々を用い、同時に増幅された分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の、測定された増幅の兆候のみをかんがみて、試験サンプル中に存在する分析物ポリヌクレオチドの量を決定することができる。
(アルゴリズムの説明−較正曲線を使用)
以下、空間較正曲線を用いる工程を説明する。
第1に、標準曲線を作成するために用いた標準サンプルの各々の中に存在した同じ既知出発量の核酸標準物質ポリヌクレオチドと、定量されるべき未知出発量の分析物ポリヌクレオチドとを含む、少なくとも1つの試験反応混合物を形成する工程がある。
次いで、単一の増幅反応において、試験反応混合物中に存在し得る核酸標準物質と任意の分析物ポリヌクレオチドとを同時に増幅し、試験反応混合物中に含まれる核酸標準物質および分析物ポリヌクレオチドの増幅の兆候を測定するか、そうでなければ決定する工程がある。上記のように、これらの兆候は、特定の点に到達するために増幅反応に必要な時間の値、または特定の量または閾値に到達するために、生成されるアンプリコンの量に必要な時間の値であり得る。このような兆候は、時間増分の熱または他のサイクル工程を含む増幅反応のサイクル数で測定できる。時間の増分を表わす兆候は、増幅反応を進めるためにオペレータまたは機械の介入を必要とする別個の反応サイクルを含まない等温増幅反応にとって好ましい。
次いで、三次元パラメトリック較正曲線のx−y面(すなわち、「測定面」)において、試験反応中の同時に増幅された分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の測定された増幅の兆候の座標を関連付けし、プロットまたは指定する(例えば、電子的に指定)工程がある。三次元較正曲線の測定面におけるこの関係を、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチの量を求めるために使用できる。
最後に、測定面における試験サンプルの座標と、測定面における較正曲線射影との間の最小距離を与えるパラメータSの値を決定する工程がある。換言すれば、この工程は、測定面における試験サンプルの座標と、測定面における較正曲線射影との間の相違の大きさを最小にするために、パラメータSの値を変動させる計算を実施することを含む。試験サンプル中に存在する標的の量を、この最小距離を提供するパラメータSの値として推定する。これは、上記のユークリッドノルムおよび反復コンピュータ計算プロセスを用いることによって達成できる。
(分析物ポリヌクレオチドの定量化のための較正方法の適用)
以下の実施例によって、リアルタイム核酸増幅システムにおける分析物アンプリコンおよび内部標準物質アンプリコンの生成の間の相互依存が実証された。このシステムでは、内部標準物質コピー数は一定に保持され、分析物ポリヌクレオチド標準のコピー数は変更された。この例示に用いられた転写関連増幅法は、DNAポリメラーゼによって延在可能な3’末端を有する1種のプライマーと、DNAポリメラーゼによって延在し得ないブロックされた3’末端を有する1種のT7プロモーター・プロバイダー・オリゴヌクレオチドの組み合わせを用いたが(本質的に、公開米国特許出願第11/213,519号において、Beckerらによって記載されるような)、本明細書に記載されるパラメトリック較正方法はまた、本質的に、任意のその他のインビトロ核酸増幅システム、例えば、DNAポリメラーゼによって延在可能な3’末端を有する反対に配置されたプライマーの対のセットを用いるものとともに使用できる。実際、増幅オリゴヌクレオチドまたはプライマーの共有されるセットを用いる分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の同時に増幅に起因する競合増幅システムは、本明細書に開示されるパラメトリック較正方法を用いて優れた結果を与え、そのため、好ましい増殖反応のカテゴリーに相当する。増幅反応時間の関数として集められた蛍光発光結果を、バックグラウンドを上回る「出現の時間」と呼ばれることもある、蛍光シグナルが所定の閾値を越える点を求めるために数学的アルゴリズムを用いて処理した。この処理工程の性質は、決定的とは考えらず、増殖曲線上の点を求めるためには多数の代替処理アプローチを使用できる。時間依存性の増殖の兆候を調べる方法の例として、米国特許出願第60/659,874号の110〜116頁に記載されるTTimeならびに両方とも米国特許出願第11/474,698号及び他のものに記載されるTArcおよびOTArcが挙げられる。発明のパラメトリック較正アルゴリズムを例示するために、以下の実施例において得られた時間依存性蛍光結果を、時間依存性の増幅の兆候を定めるためにTTimeアルゴリズムによって処理した。
実施例1には、既知数の分析物ポリヌクレオチド標準を、単一の増幅反応において、既知の、一定数の内部標準物質ポリヌクレオチドと一緒に同時に増幅した手順が記載されている。この実施例では、分析物ポリヌクレオチド標準および内部標準物質を、異なる増幅オリゴヌクレオチドを用いて増幅した。ポリヌクレオチドの各々を、競合増幅形式で増幅オリゴヌクレオチドの共有されるセットを用いて増幅する代替配置も用い、極めて良好な結果が伴われ、好ましい実施形態を表す。
(実施例1)
(分析物および内部標準物質アンプリコン合成の時間依存性モニタリング)
HIV−1サブタイプBおよび核酸標準物質配列を、米国特許出願第11/213,519号に記載される転写関連増幅法を用いて増幅した。HIV−1分析物ポリヌクレオチドアンプリコンおよび内部標準物質アンプリコンの時間依存性合成を、識別可能な分子トーチハイブリダイゼーションプローブを用いてモニタリングした。これらの手順では、2つのマルチプレクス化増幅反応は共通のプライマーまたはプローブのいずれかを共有していなかった。したがって、HIV−1標的は、T7プロバイダーオリゴヌクレオチド、非T7プライマー、ブロッカーオリゴヌクレオチドを用いて増幅し、各々がHIV−1標的に特異的であり、核酸標準物質には特異的でない分子トーチを用いて検出した。同様に、内部標準物質を、T7プロバイダーオリゴヌクレオチド、非T7プライマー、ブロッカーオリゴヌクレオチドを用いて増幅し、各々が核酸標準物質に特異的であり、HIV−1標的に特異的でない分子トーチを用いて検出した。増幅反応は、一定温度(すなわち、熱サイクルなし)で実施し、アンプリコン形成は、時間の関数として蛍光発光によってモニタリングした。異なるハイブリダイゼーションプローブによって生じたシグナルは、その蛍光発光スペクトルによって互いに識別可能であった。すべての反応が、30,000コピーの内部標準物質を含んでおり、12の複製で実施した。HIV−1標的のコピー数は、0〜500,000コピー/反応の範囲であった。増幅反応および検出工程は、CHROMO4 REAL−TIME DETECTOR機器(MJ Research/Bio−Rad Laboratories,Inc.;Hercules,CA)を用いて実施した。アンプリコン合成の程度に比例する時間依存性蛍光シグナルを、あるものの最大相対蛍光単位(RFU)に対して正規化した。反応混合物中に存在するアンプリコンの量を示す蛍光読み取り値は、約20秒毎にとった。種々の標的のバックグラウンド閾値を上回る蛍光シグナルの発生時期を示すTTime値を、本質的に米国特許出願第60/659,874号に開示されるように決定した。
増幅反応に起因する結果を集め、比較のための種々の数学的アプローチを用いて処理した。分析物ポリヌクレオチドの、反応時間に対する蛍光シグナルのグラフプロット(すなわち、リアルタイム実施曲線)は、最大10倍異なる分析物ポリヌクレオチドの量を有するサンプル中の重複について強力な証拠を示した。したがって、10コピーの分析物ポリヌクレオチドを用いて実施した反応の実施曲線は、50コピーの分析物ポリヌクレオチドを用いて実施した反応の実施曲線などが幾分か散在していた。この変動は、表1に現れる相対的に高い標準偏差値によって定量的に反映された。概して言えば、より高いレベルの分析物ポリヌクレオチド標準を用いて開始した反応は、より低いレベルの分析物ポリヌクレオチド標準を用いて開始した反応と比較した場合に、内部標準物質アンプリコン合成を特徴的に抑制した。より詳しくは、表1に要約されるように、HIV−1分析物ポリヌクレオチドアンプリコンの生成を表す蛍光シグナルは、試験された最大レベルの標的の9.9分ほどの短いものから、試験された最低レベルの標的の23.2分という長いものまでの範囲のTTime値をもたらした。内部標準物質の定められたTTime値は、15.43分ほどの短いものから、27.59分ほどの長いものまでの範囲であった。
Figure 0005071987
以下の実施例は、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質増幅反応の間の動力学的プロフィールの間の逆相関がグラフによって確認される、投入された分析物ポリヌクレオチドコピー数の関数としての時間依存性の増殖の兆候のプロットの仕方を例示する。以下に記載するように、HIV−1分析物ポリヌクレオチド標準の時間依存性の増幅の兆候は漸増量の投入された分析物ポリヌクレオチドの関数として減少したが、内部標準物質の時間依存性の増幅の兆候は、連続的に増大した。これによって、増幅の開始前に反応混合物中に存在する分析物ポリヌクレオチドの量と、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の両方の時間依存性の増幅の兆候との間の強力な相互依存が確認された。適合された曲線を説明する1セットの最適化されたパラメトリック方程式をもたらした曲線適合手順がさらに示される。
実施例2は、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の増幅プロフィールの間の逆相関、ならびに実験結果に適合するパラメトリック方程式を得るための曲線適合技術の使用を示す。後の実施例は、三次元較正曲線を構築するための得られた方程式の使用を記載する。
(実施例2)
(増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量に対する時間依存性の増幅の兆候の関連付け)
前述の実施例の増幅反応において得られた、分析物ポリヌクレオチド標準および内部標準物質アンプリコンの合成について決定された時間依存性の増幅の兆候の数値(すなわち、TTime値)を、電子スプレッドシートに入力し、x軸に、投入した分析物ポリヌクレオチド標準(例えば、log10コピーで測定された)を有し、y軸に、増幅された標的の各々の時間依存性の増幅の兆候を有する二次元グラフ形式で可視化した。次いで、当業者によく知られる標準手順を用いて、曲線を測定されたデータ点に適合させた。これは、適合された曲線と測定されたデータとの間の偏差を最小にするようパラメトリック方程式を最適化することを含んでいた。これらの関係を、定量化可能な方法で確立するために種々のアプローチを用い、曲線適合手順に種々のモデルパラメトリック方程式を使用できた。この技術は、パラメータSの関数として表される一般方程式を用いて特に示し、Sは投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量とした。分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質データセットを別個に処理することによって、方程式6〜7中のa〜dの数値を、Microsoft Corporation(Redmond,WA)製の、EXCEL表計算ソフトウェアアドインツールとして入手可能である市販のSOLVERソフトウェアを用いて最適化した。この操作の結果は、それぞれ、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の測定された時間依存性の増幅の兆候に適合された曲線を規定する最適化された係数の固定されたセット(a〜d)を各々有する2つの方程式であった。これらの方程式は以下の形を有していた:
Figure 0005071987
投入された分析物ポリヌクレオチドの量の関数として、TTime値として表される、時間依存性の増幅の兆候を表すデータ点の二次元プロットが、最適化されたパラメトリック方程式の解を表す適合された曲線とともに図4に提示されている。
以下の実施例は、(1)分析物ポリヌクレオチド標準の時間依存性の増幅の兆候(Tt)、(2)内部標準物質の時間依存性の増幅の兆候(ICt)、および(3)これらの時間依存性の兆候をもたらした反応に用いたポリヌクレオチド標準の量(S)の間の三次元関係の確立を記載する。
実施例3は、三次元パラメトリック較正曲線の作成を示す。
(実施例3)
(三次元でのパラメトリック較正曲線の確立)
MATLABソフトウェア(The MathWorks;Natick,MA)を用いて作成した電子スプレッドシートを用い、前述の実施例に記載の、適合された曲線を規定する方程式を用いて三次元較正曲線を確立した。この関係を確立するために用いた3つの関数は以下のとおりであった:(1)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の時間依存性の増幅の兆候;(2)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての内部標準物質の時間依存性の増幅の兆候;および(3)分析物ポリヌクレオチド標準の量をz次元に関連させる数学的関数。較正曲線を示すために用いたグラフプロットの3つの軸は以下のように割り当てた:
Figure 0005071987
z次元のSの値を変えること、xおよびyそれぞれの値を解くこと、次いで、結果をグラフによって示すことによって、図5に示される三次元較正曲線が確立された。この三次元曲線は、(1)可変量の分析物ポリヌクレオチドと、一定量の内部標準物質とを同時に増幅する反応における測定可能な増幅の兆候、および(2)増幅反応の開始時点に反応混合物中に存在する分析物ポリヌクレオチド標準の量の間の関係を表す。三次元プロットのx−y面は、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の測定可能な増幅の兆候を互いに関連付けるので、この面は「測定面」と呼ばれる。また、図5には、三次元較正曲線の二次元測定面への射影が示されている。図中の測定面に対応する電子スプレッドシートの形またはグラフの形いずれかでの二次元関係は、適合されたパラメトリック方程式を、分析物ポリヌクレオチド標準の投入された量(S)の値の範囲にわたってTt(S)およびICt(S)に関して解くことと、次いで、結果をグラフ化することまたは電子表示することとによって作成することもできる。測定面中の三次元標準曲線および二次元曲線を用い、同時に増幅された分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の、測定された時間依存性の増幅の兆候をかんがみて、試験サンプル中に存在する分析物ポリヌクレオチド量を決定することができる。
実施例4は、パラメトリック較正方法が分析物ポリヌクレオチド定量化の精度および確度を改善させたという証拠を記載する。この結論は、前述の実施例において得られた結果の解析に基づいた。
(実施例4)
(リアルタイム核酸増幅プロトコールを用いてパラメトリック較正方法によって分析物ポリヌクレオチドの定量化を改善した)
上記の核酸増幅反応から得られた結果の統計分析を用いて、パラメトリック較正方法の適用から得られた較正曲線の精度および正確度の改善を評価した。反応中に投入された分析物ポリヌクレオチドの量の関数として、実施例1において、HIV−1分析物ポリヌクレオチドの増幅の兆候について決定された値を用い、常套の線形最小二乗曲線適合手順によって最良適合の線を確立した。HIV−1分析物のlog10コピーの平均数、HIV−1分析物のlog10コピーの数の標準偏差、最良適合の線から求められる平均log10コピー差異を計算し、内部較正を用いた何らかの調整の不在下で得られた較正プロットの質を評価した。分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の両方について決定された増幅の兆候、ならびに(a)分析物ポリヌクレオチドの増幅のTTime、(b)内部標準物質ポリヌクレオチドの増幅のTTime値、および(c)反応に投入された分析物ポリヌクレオチのコピー数を関連付ける図5に示されるパラメトリック較正曲線を用いて並行決定を行った。この情報の要約は表2に提示している。
Figure 0005071987
表2に提示される結果により、パラメトリック較正方法は、インビトロ核酸増幅反応の時間依存性モニタリングを用いる分析物ポリヌクレオチドの定量化を大幅に改善したということが確認された。理想的には、「分析物標準偏差log10コピー」と記される列に現れる数はできるだけ小さいことが必要である。これらの列の値は、計算された分析物log10コピー数の偏差を表し、そのため、アッセイ精度と関連する。列3および6中の入力を比較することによって、パラメトリック較正方法は有利により低い標準偏差を均一にもたらしたということが示され、そのように、改善されたアッセイ精度を反映した。また、理想的には、「分析物平均log10コピー差異」と記される列に現れる数は、できるだけゼロに近いことが必要である。これらの列中の値は、分析物ポリヌクレオチドlog10コピー数を正確に予測する能力を表す。列4および7中の入力を比較することによって、パラメトリック較正方法が、50コピー入力を除くすべての分析物ポリヌクレオチドコピーレベルで定量化において正確度の改善をもたらし、50コピー入力は両データ処理アルゴリズムについて本質的に同様であるということが明らかであった。全体的に、表2の情報は、パラメトリック較正方法は分析物ポリヌクレオチド定量化の精度および正確度を改善するということを示した。
以下の実施例は、既知量の分析物ポリヌクレオチドを含んでおり、パラメトリック較正方法の値を評価するために意図的に阻害された増幅反応を記載する。これらの手順はまた、3つの異なる曲線解析アルゴリズムを用いて時間依存性の蛍光読み取り値を処理することを含んでいた。第1のアルゴリズムは、前述の実施例に記載される、TTimeの閾値に基づいた決定を含んでいた。第2および第3の曲線解析アルゴリズムは、TArcおよびOTArc値の決定を含んでおり、これらの決定のどちらも、蛍光のベースラインレベルまたは増幅の兆候を決定するために用いた蛍光の閾値の評価を必要としない。
実施例5は、パラメトリック較正方法が、増幅の阻害を示すサンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの量を定量化するために有用であったということを示す比較証拠を記載する。結果は、改善は増殖の兆候を確立するために用いた曲線解析アルゴリズムとは独立しているということを示した。
(実施例5)
(パラメトリック較正方法は、核酸増幅の阻害を示す試験サンプルにおける分析物ポリヌクレオチドの定量化を改善する)
三次元パラメトリック較正曲線(例えば、図5に示されるような)を、同一のデータセットを並行して処理し、異なる曲線解析アルゴリズムを用いて増幅の兆候として同定するという点を除き、前述の実施例に記載される手順を用いて作成した。パラメトリック較正曲線を作成するために用いた増幅反応は、意図的に阻害されなかった。実験用試験サンプルの増幅反応は、既知量のHIV−1分析物ポリヌクレオチドを、30,000コピーの無関係の内部較正ポリヌクレオチドと組み合わせて含むよう調製した。試験サンプル反応にはその後に実施される転写関連増幅反応の効率を阻害するために、5〜20容積%のHEPESベースの洗浄バッファーを含むよう補給した。増幅反応を、前述の実施例に記載されるように実施し、アンプリコン生成に比例する蛍光読み取り値を、分析物および内部標準物質ポリヌクレオチドの両方について反応時間の関数としてモニタリングした。すべての反応は、10の複製で実施した。得られたデータセットを並行して処理し、TTime、TArcおよびOTArcアルゴリズムを用いて増幅の兆候を同定した。阻害された試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの量を、2つの異なる方法によって計算した。第1のアプローチでは、分析物ポリヌクレオチドの量を、内部較正データを用いずに推定した。これらの決定は、試験サンプル中に含まれる分析物ポリヌクレオチドについて決定された増幅の兆候と、標準反応の投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候の直線適合のみを含んでいた。第2のアプローチでは、分析物ポリヌクレオチドの量は、三次元パラメトリック較正曲線を用いて推定し、この手順は、上記のように、測定面にプロットされた実験データ点を、測定面上の三次元パラメトリック較正曲線から隔てるユークリッドノルムを最小化することを含む。すべての例において、増幅の兆候は一致しており、このことは、TTime値を用いて作成された較正データを、TTimeを同定するために処理したデータを用いて試験サンプル中の分析物ポリヌクレオチの量を評価するために用いたということを意味する。同様に、TArcおよびOTArc値を用いて作成した較正データを、それぞれ、TArcおよびOTArcを同定するために処理したデータを用いて試験サンプル中の分析物ポリヌクレオチドの量を評価するために用いた。これらの手順の要約した結果が表3−5に提示されている。
Figure 0005071987
Figure 0005071987
Figure 0005071987
正規化されたランク付けシステムを用いて、パラメトリック較正方法が、増幅反応が阻害を示した場合に分析物ポリヌクレオチド定量化を改善したことを確認した。さらに、この評価によって、パラメトリック較正方法と併用して有用な増幅の兆候の種々の決定方法の相対的有効性の比較が可能となった。このランク付けシステムは、解析に含まれる試験数をまず決定すること(すなわち、表3〜5において「用いるデータ点」として同定される列を合計すること)を含んでいた。次いで、各表における「加重標準偏差log10コピー」列の合計を決定し、次いで、解析に含まれる試験数で除する。これは、アッセイ精度の加重尺度を与えた。次いで、各表における「加重平均log10コピー差異」列の絶対値の合計を求め、次いで、解析に含まれる試験数で除する。これは、アッセイ正確度の加重尺度を与えた。計算したアッセイ精度の加重尺度および正確度を乗じ、得られた積に100を乗じ、精度および正確度の集成値を反映する単一の値を得た。この評価における理想的なスコアはゼロとなる。これらの計算の結果は、表6に示されている。また、較正調整による改善の大きさの指標が表に示されている。この値は、調整していない状態のアッセイ質スコアから、パラメトリック較正方法による調整のアッセイ質スコアを差し引くこと、次いで、調整していない状態のアッセイ質スコアで差異を除することによって決定した。増幅の兆候がTTimeアルゴリズムによって決定される実施例では、改善スコアを、(15.59−8.87)/15.59として計算した。ゼロという改善スコアは、改善がないことを示し、理想的改善スコアは1である。
Figure 0005071987
表6に要約されるランキング情報によって、分析物ポリヌクレオチドおよび内部標準物質の増幅の兆候を決定する3つの異なる方法の各々が、分析物ポリヌクレオチドを定量化するためにパラメトリック較正方法と併用される場合に、増幅反応が大幅に阻害される場合であっても、良好な結果を与えるということが確認された。表6中の最後の列は、増幅の兆候を決定する種々の方法の間の質をアッセイするための相対的改善を示す。1.0の値に近い入力ほど、ますます良好なレベルの改善を示す。表6から引き出されるように、実施曲線が任意の閾値を越える時間の決定を含まない2つの実施曲線解析アルゴリズム(すなわち、TArcおよびOTArc)は最大の改善をもたらした。上記の解析を、大幅に阻害されたサンプルから得られた結果(すなわち、20%洗浄バッファーを含む反応に相当する)に制限すると、パラメトリック較正方法の使用に起因する改善スコアがいっそうより著しいことは明らかである。
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して、かなり詳細に記載され、示されているが、当業者ならば、本発明の他の実施形態を容易に理解するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に包含されるすべての改変および変形を含むと見なされる。
図1は、種々の増幅の兆候に対応する位置を示す、例示的リアルタイム実施曲線のグラフ表示である。実施曲線上の記号は、TArc(白抜きの四角)、OTArc(白抜きの三角)、TTime(×)の増幅の兆候、第1の導関数の最大(白抜きの菱形)および第2の導関数の最大(白抜きの丸)を特定する。決定されたOTArcおよびTTime増幅の兆候は、ほぼ同じ場所にあることは明らかである。 図2は、TTime値を決定するために用いた手順の図解である。x軸は時間間隔を示し、y軸はバックグラウンドを差し引き、正規化されたRFU(相対蛍光単位)を示す。細い水平の線は、蛍光閾値を示す。時間の関数としての蛍光読み取り値は、塗りつぶされた菱形によって示されている。太い線は、0.04〜0.36の間隔にかけてのデータの傾きを示すよう引かれている。 図3A〜3Bは、方向的に同様のベクトルを用いてTArc値を決定する方法(パネルA)および方向的に反対のベクトルを用いてOTArc値を決定する方法(パネルB)の図解である。両パネルは、増殖曲線の一部の上に引かれた2つのベクトル(ベクトル「a」と「b」)の対になったセット示す。2つのベクトル間の角度はωとして特定される。 図4は、一定量の核酸標準物質とともに開始されたリアルタイム増幅反応についての、反応混合物中に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量(x軸)に対してプロットされた増幅の兆候(y軸)を示す2次元のグラフである。既知量の分析物ポリヌクレオチド標準の結果を示すデータ点は、白抜きの三角によって表され、内部標準物質の結果を示すデータ点は、白抜きの円によって表されている。グラフ上のいくつかのデータ点は重複している。グラフに引かれた曲線は、曲線適合パラメトリック方程式の結果である。 図5は、TTime単位(すなわち、分)で表される分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候(Tt(S));TTime単位(すなわち、分)で表される内部標準物質の増幅の兆候(ICt(S))、および(Z)S=log10(S)として表される、増幅反応中に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数の間の関係を示す三次元のグラフである。個々の増幅反応の増幅の兆候の測定を表すデータ点は、プラス記号(+)によって示されている。点線の太い曲線は、三次元パラメトリック較正曲線を表す。実線の曲線は、測定面中にプロットされたパラメトリック較正曲線を表す。測定面中の曲線は、測定面上の三次元曲線の射影である。 図6A〜6Bは、パラメトリック較正曲線および測定面中にプロットされた試験サンプルデータ点を示すグラフである。図6Aは、パラメトリック較正曲線および座標(Tt?,ICt?)を有する試験サンプルデータ点を示す。図6Bは、試験サンプルデータ点と、測定面中の二次元較正曲線上の種々の点との間の距離をどのように算出できるかを示す。較正曲線上の2つの任意の点を(Tt(S),ICt(S))および(Tt(S),ICt(S))によって特定する。試験サンプルデータ点と較正曲線とを隔てる距離は、直角三角形の斜辺(δ)を計算することによって求めることができる。

Claims (5)

  1. インビトロ核酸増幅結果の内部較正調整によって、試験サンプル中に含まれる分析物核酸を定量化するコンピュータ実装方法であって、
    該方法は、
    (a)標準データセットおよび試験データセットを集める工程であって、
    該標準データセット、複数の標準核酸増幅反応から得られた結果を含み、各標準核酸増幅反応は、一定出発量の核酸標準物質と、異なる既知出発量の分析物核酸標準とを含み、
    該複数の標準核酸増幅反応
    該既知出発量の分析物核酸標準の関数として分析物核酸標準の増幅の兆候であって、該増幅の兆候は、該複数の標準核酸増幅反応における所定のレベルの進行を示すリアルタイム実施曲線の特徴として定義される、兆候と、
    該既知出発量の分析物核酸標準の関数としての該分析物核酸標準と同時に増幅された該核酸標準物質の増幅の兆候であって、該試験データセットは、該一定出発量の核酸標準物質と、未知出発量の分析物核酸とを含む、試験核酸増幅反応からの結果を含む、兆候
    をもたらし、
    試験核酸増幅反応
    該試験サンプル中に含まれる該分析物核酸の増幅の兆候と、
    該分析物核酸と一緒に同時に増幅された該核酸標準物質の増幅の兆候と
    をもたらす、工程;と
    (b)三次元パラメトリック較正曲線を作成する工程であって、
    該三次元パラメトリック較正曲線は、
    該既知出発量の分析物核酸標準の関数としての該分析物核酸標準の増幅の兆候を表す、第1の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第1の次元と、
    該既知出発量の分析物核酸標準の関数としての核酸標準物質の増幅の兆候を表す、第2の最適化されたパラメトリック方程式の解を含む第2の次元と、
    該複数の標準核酸増幅反応に用いた該既知出発量の分析物核酸標準を含む、該第1の最適化されたパラメトリック方程および該第2の最適化されたパラメトリック方程式の第3の次元のパラメータと
    を含
    該三次元パラメトリック較正曲線の第1の次元および第2の次元、測定面を規定し、
    該測定面、該三次元パラメトリック較正曲線の射影を含む、工程;と、
    (c)該分析物核酸の増幅の兆候と、該試験核酸増幅反応において該分析物核酸と同時に増幅された該核酸標準物質の増幅の兆候との1セットの座標を含む、該測定面中の試験サンプルデータ点を指定する工程;と、
    (d)該第3の次元のパラメータの値を変えることによって、該測定面中の指定された試験サンプルデータ点と、該測定面における三次元パラメトリック較正曲線の射影との間の最小距離を決定する工程であって、これにより、該決定された最小距離をもたらす該第3の次元のパラメータの値、該試験サンプル中に含まれる該分析物核酸の量を推定する、工程;と
    を含む、方法。
  2. 前記複数の標準核酸増幅反応および前記試験核酸増幅反応、アンプリコンを合成するために熱サイクルを用いない等温増幅反応である、請求項に記載の方法。
  3. 前記複数の標準核酸増幅反応および前記試験核酸増幅反応、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第1のセットを用いて前記分析物核酸および前記分析物核酸標準を増幅し、2種の増幅オリゴヌクレオチドのうちの第2のセットを用いて前記核酸標準物質を増幅し、該第1のセットの増幅オリゴヌクレオチドおよび該第2のセットの増幅オリゴヌクレオチド、互いに同一である、請求項に記載の方法。
  4. 前記第1の最適化されたパラメトリック方程式および前記第2の最適化されたパラメトリック方程式は、以下の形式:
    Figure 0005071987
    を有する4パラメータパラメトリック方程式を利用し、
    Tt(S)は、分析物核酸標準の出発量の関数としての既知量の分析物核酸標準の増幅の兆候を表し、
    ICt(S)は、分析物核酸標準の出発量の関数としての内部標準物質の増幅の兆候を表し、
    標準手順によって最適化されることが可能なこれらの方程式中の4つの係数は、a 〜d として同定される、請求項1に記載の方法。
  5. インビトロ核酸増幅結果の内部較正調整によって、試験サンプル中に含まれる分析物核酸を定量化するためのシステムであって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合された手段を含む、システム。
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