JP5068748B2 - ポリヌクレオチドを定量するための方法およびアルゴリズム - Google Patents

ポリヌクレオチドを定量するための方法およびアルゴリズム Download PDF

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Description

本願は、2005年6月22日に出願された米国仮出願第60/693,455号の利益を享受するものである。
本発明は生命工学の分野に関連する。より詳細には、本発明はリアルタイム核酸増幅を用いたポリヌクレオチド定量に関する。
核酸定量に関連する分子診断の領域の一部、は核酸増幅反応から得られる結果を解釈するための手段として速度論的分析を包含している。場合により「リアルタイム」増幅法と称されるこれらの操作法においては、核酸増幅反応混合物中に存在するアンプリコンの量を時間の関数としてモニタリングする。理想的には、このモニタリングの結果はジグモイド型を有する増大曲線であり、その場合、初期ベースライン相の後に増大相があり、その後にプラトー相がある。
分子診断の分野における別の重要な傾向は実験操作及び結果分析の完全自動化を目標とした時勢の流れである。完全自動化リアルタイム核酸試験はデータを分析することが可能な機械実行可能なアルゴリズムを必要とする。この点に関し、観察された増幅結果の原因となった核酸の量又は濃度を正確にアウトプットするデータ処理アルゴリズムの必要性が存在する。
リアルタイム増幅反応の分析を自動化する従来の方法は増大曲線の数学的取り扱いに依存していた。例えば、特定のアルゴリズムは増大曲線の対数−直線セグメントの傾きに、又は、曲線の大部分又は全ての導関数系の分析に基づいている。頻繁には、真に陽性の増幅結果を示すためには超過しなければならない或る「閾値」を計算することが更に必要となる。
残念なことに、リアルタイム核酸増幅反応から得られる結果を分析するための一部の従来の方法の定量能力は極めて低い標的水準(即ち約100コピー/反応未満)においては弱化する。このことは、恐らくは同一の初期標的量を用いて実施される異なる反応が幾分異なる比率でアンプリコンを生産することを意味する、極めて低い標的水準を使用しながら実施される反応の増大曲線を特徴付けるファニングパターンに起因すると考えられる。換言すれば、極めて低い鋳型水準を使用しながら実施される反応における増幅の動態は感知できる変動を呈し、そしてこの変動が一部のアルゴリズムにより発生する最終的な定量結果の不確実性の原因となる。陽性の結果を示す閾値の計算を追加的に必要とする方法はこの不確実性を悪化させる。
即ち、標的の低い水準のリアルタイム増幅から誘導されたデータの変動に関連する問題により重篤に弱化することの無い定量法の必要性が存在している。
本発明の第1の態様は被験試料中の核酸の量を測定するための方法に関する。方法によれば、第1に、インビトロ増幅反応において核酸の所定の遺伝子座を増幅することにより核酸増幅産物を生成するための工程が存在する。次にインビトロの増幅反応の間の異なる時点において存在する核酸増幅産物の量に比例する値を測定することにより、増大曲線を集合的に定義する時間依存性の値の集合を生成するための工程が存在する。次に、増大曲線の少なくとも一部分に対してベクトル解析を実施することにより増大曲線の時間依存性の特徴を同定するための工程が存在する。このベクトル解析は(a)時間依存性の値の集合物を用いながら増大曲線の時間次元上の異なる点において第1及び第2のベクトルの対を複数個確立するための工程を包含し、ここで複数個のうちのベクトルの単一の対の各ベクトルは同じ原点(the same origin)を有し、そして、ここで複数個のうちのベクトルの単一の対の第1のベクトルの終点及び第2のベクトルの終点は各々増大曲線の異なる点に位置づけられている。ベクトル解析操作法の次の工程は、(b)ベクトル解析の工程(a)において確立された第1及び第2のベクトルの複数個の対を用いながら増大曲線の時間依存性の特徴を同定することを包含する。最後に、本発明の方法は、増大曲線の時間依存性の特徴から試料中の核酸の量を測定するための工程を包含する。好ましい実施形態においては、ベクトル解析の工程(b)はベクトルの各異なる対についてベクトルの該対に依存したパラメーターの値を計算することを包含する。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。その場合、ベクトル解析の工程(b)は更に、ベクトル間角度が最小角度となる増大曲線上の位置を同定することを含んでよい。或いは、ベクトル解析の工程(b)は更に、ベクトル間角度が最大角度となる増大曲線上の位置を同定することを含んでよい。別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは増大曲線の時間次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に類似するベクトルである。更に別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは増大曲線の時間次元において異なる大きさを有するが、方向的に逆のベクトルである。更に別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは増大曲線の時間次元において同じ大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。更に別の好ましい実施形態においては、本発明の方法はベクトル解析を実施するための工程の前に処理工程を更に含む。この処理工程は、平滑化関数により第1の測定工程の時間依存性の値の収集物を処理することにより平滑化された数的データを与えることを含む。この場合、ベクトル解析の工程(a)において使用される時間依存性の値の収集物は処理工程から得られた平滑化された数的データである。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、平滑化関数は移動平均平滑化関数又は曲線フィッティング平滑化関数のいずれかである。処理工程を包含する方法の別の好ましい実施形態においては、ベクトル解析の工程(b)はベクトルの各異なる対に関してベクトルの対に依存するパラメーターの値を計算することを包含する。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。処理工程を包含する方法の別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルが増大曲線の時間次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に類似するベクトルである。その場合、ベクトル解析の工程(b)はベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。高度に好ましい実施形態においては、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。処理工程を包含する方法の別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルが増大曲線の時間次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。この場合、ベクトル解析の工程(b)はベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。処理工程を包含する方法の別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは増大曲線の時間次元において同じ大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。その場合、ベクトル解析の工程(b)はベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。概して、本発明の方法の増幅工程におけるインビトロ増幅反応は等温インビトロ増幅反応であってよい。より好ましくは、第1の測定工程における核酸増幅産物の量に比例する値は蛍光の値である。更に好ましくは、増大曲線の時間依存性の特徴から測定するための工程が増大曲線の時間依存性の特徴を標準検量線と比較することを包含する。更により好ましくは、ベクトル解析を実施するための工程はコンピュータにより自動化される。
本発明の別の態様は、被験試料中の核酸の量を定量するための方法に関する。方法によれば、第1に、被験試料を増幅剤に接触させるための工程が存在する。次に、インビトロ増幅反応において核酸の所定の遺伝子座を増幅することにより核酸増幅産物を生成するための工程が存在する。次に、増幅反応の間の異なる時点において存在する核酸増幅産物の量に比例する値を測定するための方法が存在する。場合により、測定された値を平滑化関数を用いて処理することにより処理された値を得るための工程が存在する。次に、ベクトル解析を、(a)場合により行う処理工程を省略する場合は測定された値、又は、(b)場合により行う処理工程を包含する場合は処理された値、の何れかに対して実施するための工程が存在する。ベクトル解析の目的は測定された値又は処理された値の時間依存性の特徴を同定することである。最後に、時間依存性の特徴から被験試料中の核酸の量を計算するための工程が存在する。
本発明の別の態様は、一般的に、曲線上の特徴を同定する方法に関する。方法によれば、第1に、曲線に関する数的データを得るための工程が存在する。次に、数的データを用いて第1の次元上の異なる点において第1及び第2のベクトルの複数個の対を確立するための工程が存在する。その複数個のうちのベクトルの単一の対の各ベクトルは同じ原点を有し、そして、複数個のうちのベクトルの単一の対の第1のベクトルの終点及び第2のベクトルの終点は各々増大曲線の異なる点に位置づけられている。次に、確立工程から得られた第1及び第2のベクトルの複数個の対を用いながら曲線上の特徴を同定するための工程が存在する。概して、複数のベクトル対を確立し、そして、曲線の特徴を同定するための工程はコンピュータにより自動化される。好ましい実施形態においては、曲線の特徴を同定するための工程は、複数のうちのベクトルの各対についてベクトルの対に依存したパラメーターの値を計算することを包含する。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。その場合、同定する工程は更に、ベクトル間角度が最小角度となる増大曲線上の位置を同定することを含んでよい。或いは、想定する工程は更に、ベクトル間角度が最大角度となる増大曲線上の位置を同定することを含んでよい。別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に類似するベクトルである。更に別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。又更に別の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において同じ大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。更に別の好ましい実施形態においては、本発明の方法は、平滑化関数により工程(a)において得られた数的データを処理することにより平滑化された数的データを与えるための工程を更に包含する。その場合、ベクトルの複数の対を確立するための工程において使用される数的データは処理工程から得られた平滑化された数的データである。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、処理工程における平滑化関数が移動平均平滑化関数又は曲線フィッティング平滑化関数のいずれかである。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、同定する工程はベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含する。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度である。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に類似するベクトルである。その場合、同定する工程はベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において異なる大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。その場合、同定する工程は複数のうちのベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。処理工程を包含する方法の好ましい実施形態においては、ベクトルの単一の対における各ベクトルは曲線の第1の次元において同じ大きさを有し、これらのベクトルは方向的に逆のベクトルである。その場合、同定する工程は複数のうちのベクトルの各対に関してベクトルのその対に依存するパラメーターの値を計算することを包含してよい。例えば、このパラメーターはベクトル間の角度であってよい。
定義
特段の記載が無い限り本開示の目的の為には以下の用語は以下に記載する意味を有するものとする。
本明細書においては、「被験試料」とは、特定のポリヌクレオチド種の存在に関して検査されるべき何れかの試料である。被験試料はヒト、動物、環境、実験由来又は合成の試料から得られた何れかの組織又はポリヌクレオチド含有物質を包含する。
本明細書においては、「ポリヌクレオチド」とは、RNA、DNA又はRNAとDNAの両方を含むキメラ分子を意味する。
「分析対象アンプリコン」とは、分析対象ポリヌクレオチドがポリヌクレオチドコピー又は増幅産物の合成のための鋳型として機能した増幅反応のポリヌクレオチド産物である。
「分析対象ポリヌクレオチド」とは、核酸増幅反応により複製されるべき標的ポリヌクレオチドである。
本明細書においては、「検出可能な標識」とは、検出されることができる、又は、検出可能な応答をもたらすことができる化学種である。本発明による検出可能な標識は直接又は間接的にポリヌクレオチドプローブに連結することができ、そして、放射性同位体、酵素、ハプテン、発色団、例えば染料又は検出可能な色を与える粒子(例えばラテックスビーズ又は金属粒子)、ルミネセント化合物(例えばバイオルミネセント、ホスホルミネセント又はケミルミネセント部分)及び蛍光化合物を包含する。2本鎖DNAに特異的に結合する蛍光染料もなお、検出標識の他の例である。
「均質試験」とは、特異的プローブハイブリダイゼーションの範囲を決定する前に、ハイブリダイズしたプローブを非ハイブリダイズのプローブから物理的に分離することを必要としない検出操作法を指す。例示される均質試験、例えば本明細書に記載するようなものは、分子ビーコン、分子トーチ又は適切な標的にハイブリダイズした場合に蛍光シグナルを発射する他の自己報告性のプローブ並びに当該分野で知られた他の均質に検出可能な標識を使用する。
本明細書においては、「増幅」又は「核酸増幅」」という用語は及びそれらの変形例は標的核酸配列、その相補体又はフラグメントの複数のコピーを得るためのインビトロの操作法を指す。概して、増幅とは被験試料中に存在する初期量と比較した場合に少なくとも10倍これらのコピーの数が増大することを意味する。
本明細書においては、「熱サイクリング」とは、反応混合物の温度の反復変化(即ち温度の増大又は低下)を指す。熱サイクリングを実施中の試料はある温度から別の温度に移行し、その温度で安定化し、第2の温度に遷移するか、又は、出発温度に復帰する。温度サイクルは目的の特定の化学反応を検討又は完了するために必要な回数反復してよい。
「標的核酸」又は「標的」とは、標的核酸配列を含む核酸を意味する。一般的に、増幅すべき標的核酸配列は2つの逆方向に配置したオリゴヌクレオチドの間に位置付けられ、そしてオリゴヌクレオチドの各々に相補である標的核酸の部分を包含することになる。
「標的核酸配列」又は「標的配列」又は「標的領域」とは、1本鎖核酸分子のヌクレオチド配列の全て又は部分を含む特定のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド配列、及びそれらの相補のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを意味する。
「転写関連増幅」とは、核酸鋳型から複数のRNA転写物を生成するためにRNAポリメラーゼを使用する核酸増幅の何れかの型を意味する。従来より、これらの増幅反応はDNAポリメラーゼの活性により伸長することができる3’末端を有する少なくとも1つプライマーを使用する。転写関連増幅方法の一例である「転写媒介増幅(TMA)」と称されるものは、一般的に、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシドトリホスフェート、リボヌクレオシドトリホスフェート及びプロモーター−鋳型相補オリゴヌクレオチドを使用し、そして場合により類縁体オリゴヌクレオチド1つ以上を包含する場合がある。TMAの変形例はBurg等の米国特許第5,437,990号;Kacian等の米国特許第5,399,491号及び同第5,554,516号;Kacian等のPCT WO93/22461;Gingeras等のPCT WO88/01302;Gingeras等のPCT WO88/10315;Malek等の米国特許5,130,238;Urdea等の米国特許4,868,105及び5,124,246;McDonough等のPCT WO94/03472;及びRyder等のPCT WO95/03430に詳細に開示されている通り、当該分野で良く知られている。Kacian等の方法は本明細書に開示した型の核酸増幅操作法を実施するために好適である。
本明細書においては、「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴマー」とは、少なくとも2つ、一般的に約5〜約100の化学的サブユニットの重合体鎖であり、各サブユニットはヌクレオチド塩基部分、糖部分及びサブユニットを線状の空間的配置に連結する連結部分を含む。共通のヌクレオチド塩基部分はグアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びウラシル(U)であるが、水素結合可能な他の稀少又は修飾されたヌクレオチド塩基も当該分野で良く知られている。オリゴヌクレオチドは場合により糖部分、塩基部分及び骨格成分の何れかの類縁体を包含してよい。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは約10〜約100残基のサイズ範囲に含まれる。オリゴヌクレオチドは天然に存在する原料から精製してよいが、好ましくは、種々のよく知られた酵素的又は化学的方法の何れかを用いて合成される。
本明細書においては、「プローブ」とは、ハイブリダイゼーションを促進する条件下、核酸、好ましくは増幅された核酸中の標的配列に特異的にハイブリダイズして検出可能な亜ハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドである。プローブは場合によりプローブの末端に結合していてよい、又は、内在していてよい検出可能な部分を含有してよい。検出可能な部分は直接的(即ち標的配列又は増幅された核酸に直接ハイブリダイズするプローブから得られるもの)又は間接的(即ち標的配列又は増幅された核酸にプローブを連結させる中間的な分子構造にハイブリダイズするプローブから得られるもの)であってよい。プローブの「標的」は一般的に標準的な水素結合(即ち塩基対形成)を用いてプローブオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分に特異的にハイブリダイズする増幅された核酸内に含有される配列を指す。プローブは標的特異的な配列、及び場合により検出すべき標的配列に対して非相補である他の配列を含んでよい。
本明細書においては、「増幅プライマー」とは、標的核酸又はその相補体にハイブリダイズし、そして核酸増幅反応に参加するオリゴヌクレオチドである。例えば、一部の増幅プライマー又はより簡素には「プライマー」は、DNAポリメラーゼ活性により伸長することができる3’末端を有する鋳型核酸にハイブリダイズできる場合により修飾されたオリゴヌクレオチドであってよい。一般的に、プライマーは下流の標的相補配列、及び場合により標的核酸に非相補の上流の配列を有することになる。任意の上流配列は例えばRNAポリメラーゼプロモーターとして作用するか、又は、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有していてよい。
本明細書においては、核酸増幅の「時間依存性」のモニタリング又は「リアルタイム」における核酸増幅のモニタリングは核酸増幅反応において存在するアンプリコンの量のインジケーターが時間の関数として測定され、そして増幅反応が開始された時点において反応混合物中に存在していた鋳型の出発量を測定するために使用される過程を指す。例えば、アンプリコンの量は、PCRのような熱サイクリングを含む増幅反応の各完全サイクルを開始するよりも前に測定することができる。或いは、増幅サイクル間の遷移を開始するために物理的介入を必要としないなど、温増幅反応を連続して、又は、規則的な時間間隔(即ち「リードサイクル」)においてモニタリングすることにより時間の関数として存在するアンプリコンの量に関する情報を得ることができる。
本明細書においては、「増大曲線」とは、時間又はサイクル数の関数としての、反応におけるアンプリコンのような合成生成物の出現の特徴的なパターンを指す。増大曲線は蛍光測定のような生成物の量のあるインジケーター(y軸)に対する時間(x軸)の二次元プロットとして好都合に示される。即ち、増大曲線は好都合には1つの軸上に示された時間の次元を有する。全てではないが一部の増大曲線はジグモイド型を有する。
本明細書においては、増大曲線の「ベースライン相」とは生成物(例えばアンプリコン)の量が実質的に一定の速度において増大する曲線の初期の相を指し、この速度は増大曲線の増大相(対数−直線プロファイルを有する場合がある)に特徴的な増大速度より低値である。増大曲線のベースライン相は典型的には極めて小さい傾きを有し、頻繁にはゼロ値である。
本明細書においては、増大曲線の「増大相」とは、測定可能な生成物が実質的に時間と共に増大する曲線の部分を指す。典型的な核酸増幅反応におけるベースライン相から増大相への遷移は時間と共に増大する速度でのアンプリコンの出現を特徴としている。増大曲線の増大相からプラトー相への遷移はアンプリコン出現速度の低下か開始される変曲点において開始される。
本明細書においては、3相増大曲線の「プラトー相」とは、曲線の最終相を指す。プラトー相においては、測定可能な生成物の形成の速度は対数−直線相におけるアンプリコン産生の速度よりも実質的に低値となり、そしてゼロ値に近似する場合さえある。
本明細書においては、「ベクトル」とは、大きさ及び方向の両方により記載される数学的な量である。ベクトルは尺度を有するベクトルダイアグラムの使用により表すことができる。そのようなダイアグラム上において、ベクトルを表す矢印が描かれ、そのベクトルには明瞭な頭部と尾部を有する。ベクトルの尾部の位置をベクトルの「始点」と称する場合がある。ベクトルの大きさはその長さにより示される。
「変曲」とは屈曲又は曲線化を意味する。
「変曲点」とは、凸から凹への、又は凹から凸への曲線の変化が存在する曲線上の位置を意味する。
「凹」とは円又は球の内部のように曲線化していることを意味する。
「凸」とは円又は球の外部のように曲線化していることを意味する。
「本質的になる」とは、本発明の基本的で新規な特徴を物質的に変化させない別の成分、組成又は方法が本発明に包含されてよいことを意味する。本発明の基本的で新規な特徴に対して物質的影響を有する何れの成分、組成又は方法もこの用語の範囲から外れる。
発明の詳細な説明
序論及び概説
本明細書において、核酸増幅の時間依存性モニタリングにおいて生じるような実験デーにより、又は、数学的関数により表される曲線を分析するための機械実行可能なアルゴリズムを開示する。増大曲線の対数−直線相の分析に、又は増幅反応において合成されたアンプリコンの量が閾値水準を超過する時間を同定することに依存するのではなく、むしろ、本発明は増大曲線における上に凹の曲率の開始に相当する特徴を同定するために二次元ベクトル解析を使用する。好ましくは、この同定する特徴は増大曲線のベースライン相と増大相の間に所在する。
ベクトルに基づく解析方法を試験することにより、インプット標的の低水準の定量が、増大曲線の対数−直線相の直線回帰分析及び増幅シグナルがバックグラウンド閾値を超過した時点の測定に基づいた代替アルゴリズムと比較して、優れていたことがわかった。このような代替アルゴリズムは米国特許出願60/659,874に記載されている。
更に又、開示された分析方法は好都合にも、導関数を計算すること、又は、他の態様により増大曲線の一部分の傾きを求めることの必要性を排除し、そして更に、アンプリコンの量を外挿するために使用される閾値を確立することの必要性も排除する。実際に、曲線上又は曲線を示すデータ点上に描画される2ベクトルの間の関係に依存している開示された方法及びアルゴリズムは、非理想的な増大曲線が生じるような異なる増幅化学が関与している可能性がある場合に、優れた精密性を示す。
好ましい実施形態においては、核酸増幅反応におけるアンプリコン合成の時間依存性モニタリングから得られた結果を分析するために開示されたアルゴリズムを使用する。共通して実施されている通り、核酸増幅反応において合成された分析対象アンプリコンの量を示す検出可能なシグナルは反応の過程中異なる時点においてモニタリングされる。増幅は一般的に、定義された配列を有し、そして核酸標的の所定の遺伝子座を増幅するオリゴヌクレオチドの活性により起こる。検出可能なシグナルは例えば蛍光シグナル、電子シグナル、電気化学又は電気ケミルミネセントシグナルであってよい。検出可能なシグナルは定期的なサイクル間隔において、又は、定期的又は連続的な時間間隔においてモニタリングしてよい。
簡明に述べれば、開示されたアルゴリズムは増大曲線上の特徴を同定するために分析すべきデータのベクトル解析を実施することを包含する。実験データを用いて確立される2ベクトル間の関係を特徴付ける少なくとも1つ特徴(例えば角度)を同定することを包含するこの方策を用いることにより、増大相の開始を示すために閾値を使用する必要性がなくなる。好ましい実施形態においては、開示された方法はアンプリコン合成の時間依存性読み取り値を示す増大曲線の少なくとも一部分上でベクトル解析を実施することを包含する。ベクトル解析は増大曲線の時間軸上の異なる点においてベクトルの複数対を確立することを包含する。単一の対における各ベクトルは同じ始点を共有しており、そして対における各2ベクトルの終点は増大曲線上の異なる点に位置付けられている(図5A及び5B参照)。増大曲線の時間依存性の特徴はこの態様において確立される第1及び第2のベクトルの複数対を用いて同定することができる。特定の実施形態においては、ベクトル解析を実施する前に、増大曲線中のアンプリコン合成を示す値の曲線フィッティング又は「平滑化」のための任意の工程が存在する。この場合、ベクトル解析は好ましくは生データの変わりに平滑化又は「フィットされた」曲線を用いて実施する。これらの工程の結果は標準曲線を生成するため、又は、被験試料を用いて実施した増幅反応を示す増大曲線の特徴を調べるために、容易に使用することができる。このような方法により、被験試料中に存在するポリヌクレオチドの出発量を定量することができる。
有用な増幅方法
本発明と組み合わせる場合に有用な増幅方法の例は、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置き換え増幅(SDA)、自己持続型配列複製(3SR)、DNAリガーゼ連鎖反応(LCR)及び自己複製ポリヌクレオチド分子及び複製酵素、例えばMDV−1 RNA及びQ−ベータ酵素を用いた増幅方法を包含する。これらの種々の増幅手法を実施するための方法は、それぞれ、米国特許5,399,491、欧州特許公開EP0525882、米国特許4,965,188、米国特許5,455,166、Guatelli et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878(1990)、国際公開WO89/09835、米国特許5,472,840及びLizardi et al., Trends Biotechnol.9:53−58(1991)に記載されている。核酸増幅反応の実施方法を記載するこれらの文書の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
当然ながら、核酸を増幅する他の方法を本明細書に開示したアルゴリズム及び方法を用いながら分析することもできる。実際、特定の好ましい実施形態は単一の伸長可能なプライマーのみを必要とし、そして特に3’−ブロックオリゴヌクレオチドと組み合わせて単一の伸長可能なプライマーを使用する転写関連増幅系を包含する増幅反応の時間依存性モニタリングを使用している。単一の伸長可能なプライマーの使用に基づく例示ざれる核酸増幅方法は2005年8月26日に出願され、そして2006年3月2日に公開された米国特許出願11/213,519に示されている。この出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の別の好ましい実施形態においては、核酸配列はTMAプロトコルを用いて増幅される。このプロトコルによれば、DNAポリメラーゼ活性を与える逆転写酵素は同様に内因性RNaseH活性も保有している。この操作法において使用されるプライマーの1つは増幅されるべき標的核酸の1つの鎖に相補である配列の上流に位置するプロモーター配列を含む。増幅の第1工程において、プロモーター−プライマーは所定の部位において標的RNAにハイブリダイズする。逆転写酵素はプロモーター−プライマーの3’末端からの伸長により標的RNAの相補DNAコピーを形成する。新しく合成されたDNA鎖との逆鎖プライマーの相互作用の後、DNAの第2の鎖が逆転写酵素によりプライマーの末端から合成され、これにより2本鎖DNA分子が形成される。RNAポリメラーゼはこの2本鎖DNA鋳型におけるプロモーター配列を認識し、そして転写を開始する。新しく合成されたRNAアンプリコンの各々はTMA過程に再進入し、そして新しい回の複製のための鋳型として作用し、これによりRNAアンプリコンの指数的増大をもたらす。DNA鋳型の各々はRNAアンプリコン100〜1000コピーを生成することができるため、この増大は1時間未満のうちに100億アンプリコンの生産をもたらすことができる。全過程は自触反応性であり、そして一定の温度において実施される。
有用なプローブ標識系及び検出可能な部分
本発明によるプローブのための好ましい検出可能な標識は均質試験系において検出可能である(即ち、混合物において、結合型の標識されたプローブは未結合型の標識されたプローブと比較して検出可能な変化、例えば安定性又は示差的分解を示す)。
特異的核酸ハイブリダイゼーションをモニタリングするために使用できる本質的に如何なる標識及び検出システムも本発明と組み合わせて使用できる。有用な標識の集合に属するものは、蛍光部分(単独又は「クエンチャー」部分との組合せ)、ケミルミネセント分子、及び電子的検出方法に適する酸化還元活性部分である。一部の実施形態においては、好ましい蛍光標識は非共有結合標識(例えばインターカレーション染料)、例えば臭化エチジウム、臭化プロピジウム、クロモマイシン、アクリジンオレンジ等を包含する。他の実施形態においては、共有結合蛍光剤の使用が好ましい。好ましいケミルミネセント分子はアクリジニウムエステルを包含する。これらの検出可能な標識の例は均質保護試験と組み合わせて使用するために米国特許5,283,174においてArnold等により開示されている。好ましい電子標識及び検出法は米国特許5,591,578及び5,770,369、及び国際特許出願WO98/57158に開示されている。本発明における標識として有用な酸化還元部分は遷移金属元素、例えばCd、Mg、Cu、Co、Pd、Zn、Fe及びRuを包含する。
一部の実施形態においては、検出前に未ハイブリダイズプローブの除去を先ず必要とすることの無い被験試料中のプローブ:標的デュプレックスの検出を促進するためには、少なくとも或る程度の自己相補性を示すプローブが望ましい。例示すれば、個々の自己相補性領域及び標的相補性領域が含まれるように「分子トーチ」及び「分子ビーコン」と称される構造を設計する。分子トーチは米国特許6,361,945に詳細に説明されており、そして分子ビーコンは米国特許5,925,517に詳細に説明されており、これらの特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。これらの自己報告性プローブの両方とも、プローブが何れかのハイブリダイズした標的の非存在下において閉鎖されたコンホーメーション内にある場合に相互作用する標識対を包含する。標的核酸と標的相補配列のハイブリダイゼーションによりプローブの自己相補性部分が分離し、これによりプローブがオープンコンホーメーションにシフトする。オープンコンホーメーションへのシフトは、例えば蛍光団及びクエンチャー(例えばDABCYL及びEDANS)であってよい標識対の相互作用の低下により検出可能となる。
分子トーチ、分子ビーコン等は好ましくは検出可能な標識の相互作用対により個々に標識される。標識の相互作用対のメンバーとして好ましい検出可能な標識の例はFRET又は非FRETエネルギー転移機序により相互に相互作用する。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、熱エネルギーへの変換を伴うことなく、そしてドナー及びアクセプターに速度論的衝突を起こされることなく、原子間距離よりもかなり大きい距離に渡って発色団間の共鳴相互作用により、分子又は分子の系における自身の利用部位への吸収部位からのエネルギー量子の無放射線性の伝達を使用している。「ドナー」とは、先ずエネルギーを吸収する部分であり、そして「アクセプター」とはエネルギーが後に転移する部分である。アクセプター分子にドナーから励起エネルギーを転移させることができる「非FRET」エネルギー転移過程は他に少なくとも3つ存在する。
本発明と組み合わせて使用してよいドナー/アクセプター標識対の例は、FRETを非FRET対と区別しない場合、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、クマリン/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、フルオレセイン/DABCYL、フシファーイエロー/DABCYL、BODIPY/DABCYL、エオシン/DABCYL、エリスロシン/DABCYL、テトラメチルローダミン/DABCYL、テキサスレッド/DABCYL、CY5/BH1、CY5/BH2、CY3/BH1、CY3/BH2及びフルオレセイン/QSY7染料を包含する。当業者の知る通り、ドナーとアクセプター染料が異なる場合、エネルギー転移はアクセプターの増感蛍光の出現により、又はドナー蛍光のクエンチングにより、検出することができる。ドナー及びアクセプター種が同じ場合、エネルギーは、生じる蛍光脱分極により検出できる。非蛍光アクセプター、例えばDABCYL及びQSY7染料は、直接の(即ち非感作の)アクセプターの励起に起因するバックグラウンド蛍光の潜在的な問題を好都合に排除する。ドナー−アクセプター対の一方のメンバーとして使用できる好ましい蛍光団部分は、フルオレセイン、ROX、TAMARA及びCY染料(例えばCY5)を包含する。ドナー−アクセプター対のもう一方のメンバーとして使用できる高度に好ましいクエンチャー部分はDABCYL及びBLACK HOLE QUENCHER部分を包含し、これらはBiosearch Technologies,Inc,.(Novato,CA)から入手可能である。
PCRに基づく方法と組み合わせて最も共通して使用されている特定のアンプリコンモニタリング操作法はヌクレアーゼ活性により消化することができるDNA結合染料又はプローブの使用に依存している。第1の例においては、反応において存在する分析対象アンプリコンの量は好ましくは蛍光2本鎖DNA認識化合物を用いてモニタリングする。これは2本鎖増幅産物の量が通常は、分析すべき試料中に元から存在する核酸の量を超過することから、可能となるのである。2本鎖DNA特異的染料は、染料が2本鎖DNAに結合している場合のみに適切な波長の光による励起により増強された蛍光が生じるように、これらのモニタリング操作法において使用してよい。好ましくはSYBR Green I(Molecular Probes/Invitrogen Corporation;CA)のようにPCR反応の効率に影響しない染料のみを使用する。代替の操作法においては、増幅産物は、蛍光物体で標識された1本鎖ハイブリダイゼーションプローブを用いて検出する。この物体の蛍光の発射は同じプローブ上に存在し、そしてクエンチング化合物として機能する第2の標識によりクエンチングされる。PCR反応のアニーリング工程の間、プローブはその標的配列にハイブリダイズし、そしてその後、プライマーの伸長の間、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが、蛍光物体がクエンチャー化合物から分離するようにハイブリダイゼーションプローブを消化する。適切な励起の後、蛍光の発射を蓄積増幅産物のインジケーターとしてモニタリングすることができる。
合成の手法、及び、核酸に標識を結合させて標識を検出する方法は当該分野で良く知られている(例えばSambrook et al., Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989),Chapter 10;Nelson等の米国特許5,658,737;Woodhead等の米国特許5,656,207;Hogan等の米国特許5,547,842;Arnold等の米国特許5,283,174;Kourilsky等の米国特許4,581,333)及びBecker等の欧州特許出願0747706参照)。
複合曲線分析のためのベクトルに基づく研究法の開発
リアルタイム核酸増幅を用いた本発明者等の経験によれば、高値及び非常に低値の水準の分析対象ポリヌクレオチドを用いて反応を開始した場合、曲線の形状はかなり異なってくることが示されていた。より詳細には、高水準の分析対象ポリヌクレオチドを使用しながら実施した反応は一般的にジグモイド型の形状を有する曲線を与えた。逆に、極めて低値の水準の分析対象ポリヌクレオチドを使用して実施した反応は、アンプリコンの蓄積を示すシグナルはモニタリング期間全体に渡って連続的に増大する増大期に遷移するベースラインを有する2相性の曲線を与えた。本発明者等は更に、極めて低値の水準の分析対象ポリヌクレオチドを使用して実施した反応は、同じ低標的水準を用いて実施した平行反応がある範囲の傾きを有する増大曲線を示す「ファニング(fanning)」のパターンを呈することを観察している。時間の関数としてモニタリングされ、そして、「ファニング」のパターンを呈する増大曲線を与える核酸増幅反応の例は図13において示す。導関数に基づいた計算を用いて増大曲線を分析するための方法はファニングを呈する結果を伴う場合に頻繁に試みられる。
曲線の形状が異なる可能性があるにも関わらず、本発明者等は、何れかの特定の水準の分析対象ポリヌクレオチドを用いて開始した反応から生じる本質的に全ての増大曲線が、実質的には、アンプリコンシグナルがベースライン相から出現した共通の時点を共有していることを同定した。換言すれば、単一の高水準の分析対象ポリヌクレオチドで開始した増幅反応の曲線の特性は出現の共通の時点(即ちベースライン相の終点)を共有している。同様に、単一の高水準の分析対象ポリヌクレオチドで開始した増幅反応の曲線の特性は、異なる反応がファニングの証拠を示している場合であっても、ベースライン相から出現した共通の時点を共有していた。
従って、何れかの特定の増幅反応がベースライン相から増大相に遷移する時点を実際に測定するための数学的研究法を開発することは有利である。このような研究法は全ての増大曲線の共通の特徴の同定を容易にし、そして分析における異なる曲線が同様の形状を共有することを必要としない。
本明細書に開示したベクトルに基づく曲線分析方法についての肯定的な属性は図13から解る通りであり、これは曲線分析の閾値に基づく方法と比較してファニング作用(fanning effect)の影響を低減する方法を示している。より詳細には、図は、ファニングした増大曲線が閾値(太破線で示す)を超過することが必要な場合に、TArc値(傾斜点線で示す)が測定される時間の値と比較して狭小な範囲に渡って変動する方法を示している。更に又、導関数に基づく曲線分析方法(例えば第1又は第2導関数の極大を同定することに基づく)がやはり低い精度を有するファニング増大曲線上の点を同定することも明らかである。顕著には、例示される増大曲線のこれらの異なる特徴の相対的位置は図6に示す通りである。即ち、本明細書に開示したベクトルに基づく方法は閾値系の曲線分析方法、又は導関数系の曲線分析方法の何れと比較しても、より精密な結果を好都合にもたらすのである。
ベクトルに基づく解析の適用
概して、本明細書に開示するベクトルに基づく方法及びアルゴリズムは何れの曲線の分析にも適用できる。しかしながら、方法は好ましくはベースライン相及び増大相を包含する「増大曲線」の分析に適用される。図1Aは早期のベースライン相及び後期の増大相より本質的になる2相性の増大曲線を示す。曲線の増大相は正の傾きを特徴としており、曲線のy成分が時間の関数として増大することを意味している。重要な点は、曲線の増大期の部分の傾きがベースライン相の傾きより大きいことである。図1Bはプラトー相(plateau phase)を更に包含する3相性の増大曲線を示す。プラトー相の領域内の曲線の傾きは増大相のものより低値である。用語的に簡略化するために、3相性増大曲線の増大相は、本明細書においては代替として「増大相」又は「対数−直線」相と称する。対数−直線相は従来よりアンプリコン産生が指数的である増大曲線の部分を包含している。特定の関連においては、図1Aに示した曲線は図1Bに示した曲線の破断型とみなすことができる。曲線の破断は特定の量又は最大測定値のパーセントより低値のy軸値を有する曲線の部分の分析のみを包含するか、或いは他の態様でそれを可能にすることにより媒介してよい。
図1A−1Bに示す曲線の各々は異なる相(点線円で示す)の間の遷移を包含する。これらの遷移は、曲線が3つの理想化された相(ベースライン、増大/対数−直線、又は定常)の1つにおいてのみ存在するとは考えることができない短い期間を指定している。増大曲線の遷移相の位置を同定することは、価値ある情報を与える場合が多く、そして本発明の1つの目的である。より詳細には、曲線のベースライン相の終結及び増大相又は対数−直線相への遷移の開始を同定することが有利であった。
開示された方法及びアルゴリズムの1つの態様は時間の関数として測定可能な結果を特徴付けるデータ上のベクトル解析を実施することに関する。この関連において、定量的な方法は好ましくは曲線のベースライン相から増大相への遷移を示す増大曲線の特徴を同定するためのベクトル解析を包含する。分析において測定することができる代替パラメーターが存在するため、制約無く種々の代替例を確保するという意図により一般的な用語である「特徴」を適用する。これらの種々のパラメーターの例は(1)実験データを示す増大曲線上に描画された2ベクトル間の角度、(2)実験データを示す増大曲線の時間成分の関数としての2ベクトル間の角度の変化率、及び(3)実験データを示す増大曲線上に描画された2ベクトルの矢先を連結する第3のベクトルの大きさ、を包含する。
ベクトル解析の特定の実施形態においては、各増大曲線に関して同定される特徴は本明細書に記載した曲線上に描画されたベクトルの対としたセットの間の角度に関連する。1つの実施形態において、同定される特徴はベクトルの対としたセットの間の最大角度に関連する曲線の時間軸に沿った位置である(即ち本明細書における「TArc」)。異なる実施形態においては、同定される特徴はベクトルの対としたセットの間の最小角度に関連する曲線の時間軸に沿った位置である(即ち本明細書における「OTArc」)。
ベクトル解析
本発明は増大曲線が上方向に曲線化又は「変曲」する点を側定するためにベクトル解析を使用する。「TArc」又は「OTArc」であってよいこの測定点は、検量線を作成するため、又は、被験試料中の分析対象ポリヌクレオチドの量又は濃度に関連する増幅反応のパラメーターを確立するために使用できる。これは被験試料に関して得られた増大曲線の測定された時間依存性特徴を標準検量線と比較することを包含する。ベクトル解析は最も好都合には、実質的に均一な時間間隔に渡って分布するデータ点を有する増大曲線を用いて実施される。ベクトル解析の根拠となる本質的概念は図2−3及び図5に示す通りである。
方向的に類似するベクトル−TArcを用いるアルゴリズム
1つの実施形態において、ベクトルに基づく解析方法は方向的に類似であるベクトルを用いる。このことは、ベクトルがそのx成分を同じ方向に共有していることを意味する。即ち、例えば、方向的に類似するベクトルは漸増するx値に向けて方向付けられたx成分を有することになる。これは、一方のベクトルがx成分においてもう一方と逆に方向付けられている、方向的に逆のベクトルを特徴付ける状況とは区別される。
図2は例示される増大曲線上に描画された方向的に類似するベクトルの単一の対としたセットの配置を示す。図に示される通り、第1のベクトル(即ちベクトルa)は増大曲線の第1のデータ点(x1,y1)上に位置付けられた自身の始点(即ち尾部末端)及び増大曲線の第2のデータ点(x2,y2)上に位置付けられた自身の頭を有するように確立される。第2(即ち時間又はサイクル数の軸)は第1のデータ点のx成分より高値の値を有する(即ちx2>x1)。説明を目的として、仮に増大曲線が時間の次元において5秒間隔にパースされているとすれば、第1のデータ点の時間の値は0秒であり、そして第2のデータ点の時間の値は5秒となることができる。この説明において、2データ点の時間の値は増大曲線の時間の次元において1単位(即ち5秒)だけ間隔をあけている。第1のベクトルの大きさは単に第1及び第2のデータ点を分ける距離となる。第1及び第2のデータ点のy成分は特定の時点において測定されたアンプリコンシグナルの大きさに相当する。第2のベクトル(ベクトルb)は第1のベクトルに関して使用された増大曲線上の同じ第2のデータ点(x1,y1)上に位置する自身の始点及び第1のベクトルの第2のデータ点のx成分より高値のx成分を有する増大曲線の第3のデータ点(x3,y3)上に位置する自身の頭を有するように確立される(即ちx3>x2)。例えば、第1のベクトルを確立するために使用された2データ点の時間次元の値がx軸上で1単位だけ隔たっているとすれば、第2のベクトルを確立するために使用される2データ点はこの数より高値の分量だけx軸上で隔たっていなければならない。
好ましくは、第2のベクトルのx成分の大きさは第1のベクトルのx成分の大きさより高値、より好ましくは、少なくとも2倍、更に好ましくは少なくとも5倍、より更に好ましくは少なくとも10倍、そしてなお好ましくは少なくとも20倍、高値である。一部の高度に好ましい実施形態においては、第2のベクトルのx成分は第1のベクトルのx成分より、25倍以下、より好ましくは20倍以下、又は更には15倍以下だけ、高値である。特定の高度に好ましい実施形態においては、第2のベクトルのx成分は第1のベクトルのx成分より、2〜25倍、より好ましくは5〜25倍、更に好ましくは10〜20倍、又はより更に好ましくは15〜20倍の分だけ、高値である。例えば第2のベクトルのx成分は17倍分だけ、第1のベクトルのx成分より高値であってよい。この後者の例においては、増大曲線の時間次元における1単位が5秒に等しい場合、第2のベクトルのx成分は85秒となる。第3のデータ点のy成分は特定の時点において測定したアンプリコンシグナルの大きさに相当することは明らかである。
本発明によれば、2ベクトル(即ちベクトルa及びベクトルb)の対としたセットが、増大曲線に沿って、規則的な時間間隔又はサイクル数間隔において確立され、ここで対ベクトルの単一のセットの各ベクトルは共通の始点を共有している(即ち各ベクトルの尾部に相当するデータ点)。ベクトルの対としたセットの各々の第1及び2のベクトルのx成分の大きさは解析に対して一定に維持される。例えば、各対の第1のベクトルのx成分の大きさが5秒である場合、各対の第2のベクトルのx成分の大きさは一定、例えば85秒に保持することができる。これにより2ベクトル対としたセット複数が生じ、ここで異なるベクトル対としたセットの始点は異なる時点に位置付けられる。表1はベクトルの対としたセットを確立する反復処理において方向的に同じベクトルの対としたセットのx成分がどのように漸増するかを説明しており、ここで「x1」は共有されている始点のx座標の値であり、「x2」は第1のベクトルの終点におけるx座標の値であり、そして「x3」は第2のベクトルの終点におけるx座標の値である。図3はベクトル対の3セットの位置づけを示す。好ましくは、増大曲線上の複数の規則的に間隔を置いた時点がベクトルの異なる対としたセットの始点として作用する。
Figure 0005068748
ベクトルの対としたセットが確立された後、次には、単一のセットの2ベクトルの間の関係を特徴付ける少なくとも1つの特徴を同定又は測定する。好ましい実施形態においては、2ベクトル間の角度(ω)を当該分野で知られた標準的な数学的手法を用いて求める。求められた角度は増大曲線に沿った時間又はサイクル数の値に関連する。例えば、2ベクトル(即ちベクトルa及びベクトルb)の間の角度は等式(1)に従って求めることができる。
Figure 0005068748
等式(1)から、2ベクトルのドット積は等式(2)により定義される特性を有することは当該分野で知られており、ここで角オメガ(ω)はベクトルa及びベクトルbの間の角度である(2ベクトルが非ゼロであり、その間の角度が明確に定義されると仮定する)。ベクトル間の角度は間隔(0、B)の数値を有する。明確化の為に角オメガ(ω)及び円の残余部分の計算された値の間の関係を図4に示す。ベクトルのドット積及びノルムは容易に算出されるため、この式を用いてベクトル間の角度を計算することができる。
Figure 0005068748
即ち、増大曲線のx軸に沿った各々の時間値は角度の値と関連している。このことはテーブルフォーマットを用いて好都合に達成できる。
2ベクトル間の角(ω)は増大曲線の上に凹の変曲点を包含する時間間隔内の最大値に達することになり、そして時間軸上のその点は「TArc」と称する。2ベクトルは増大曲線の増大相又は対数−直線相の開始及び終結においてかなりの角度で分離されることになるため、そして、第1の例に相当する時間の値が最も重要であるため、増大曲線の増大相の終結に先立つ増大曲線の部分に対してベクトル解析を実施することは、好都合であるが、必要ではない。これは例えば凸曲面を特徴とする曲線の部分及びプラトー相を除外するスライディングウィンドゥベクトル解析を用いて達成できる。一部の例においては、これはアンプリコン産生の最大シグナルの75%又は85%のような固定されたパーセンテージを示す増大曲線の部分を解析することを包含してよい。「スライディングウィンドゥ」ベクトル解析とは、ベクトルを確立し、そしてその間の角度を求め、そして次に増大曲線のx軸に沿って漸増しながら過程を繰り返す反復処理を意味する。増大曲線の解析された部分に渡ってTが最大となる点を求めることは、単純に、一般的に使用されているコンピュータスプレッドシートプログラムを熟知している当業者がよく知る通り、数のコラムをソートし、そして次にコラム内の最大角度値に関連する時点又はサイクル数を同定することにより達成することができる。最大TArc値を求めるために曲線部分の導関数又は傾きを計算することは不必要である。
このようにして求められたTArc値は、次に、ポリヌクレオチドの量又は濃度の定量分析の為に使用できる。より詳細には、標的又はキャリブレーターの既知量を用いながら実施される増幅反応に関してTArc値を確立した後、これらのデータ点を保存し、グラフ上にプロットするか、又は他の態様において使用して検量線を確立する。図8〜12は、そこに示している結果を得るために使用した増幅反応は既知量のHIV−1標的ポリヌクレオチドを用いて実施したことから、例示される検量線を示すものである。同様に、未知の出発量の分析対象ポリヌクレオチドを用いて実施した増幅反応に関して求められたTArc値を検量線と比較することにより試験実施中の試料中の分析対象ポリヌクレオチドの出発量を求めることができる。
好ましくは、反復分析は、曲線のベースライン相から増大相への遷移を示す上方向の変曲点を含む曲線の部分に渡って実施する。この反復分析においては、ベクトルの第1の対としたセットの始点を増大曲線の第1の位置に所在させ、そして、ベクトルの第2の対としたセットの始点を次の時点に相当する増大曲線の次の位置に所在させる。顕著には、増大相からプラトー相への遷移を特徴付ける凸曲面を包含する曲線の部分に渡ってベクトル解析を継続することは不必要である。即ち、ベクトル解析は、プラトー相への明らかな遷移を示しているような曲線の部分を除外するだけで十分である何れかの特定の増大曲線に関するy軸上において得られた最大値の一定のパーセントを示す増大曲線の部分に限定することができる。例えばベクトル解析は曲線のy軸上で得られた最大値の85%以下、より好ましくは75%以下を示す増大曲線の部分に限定することができる。これにより可能なTArcの解としてのプラトー相に到る凸曲線が排除される。顕著には、「凸」曲線とは外向に曲線化している曲線の表面を指し、そして「凹」曲線とは球の内面のように曲線化している表面を指す。
方向的に逆のベクトル−OTArcを用いるアルゴリズム
上記した、そして実施例1において後述するベクトルに基づくアルゴリズムはx次元において方向的に類似する2ベクトルの対としたセットを使用している。より詳細には、方向的に類似するベクトルは両方とも、漸増するx値の方向に共有始点から伸長している。この配置によりベクトルは、2ベクトルが増大曲線に沿って漸増するに従いそれらの間の角度が生じるためにはx次元において異なる大きさを有することが必要となっている。アルゴリズムは更に曲線の特徴として2ベクトルの間のより小さい角度が最大となったx軸上の点を同定することを包含している(図4参照)。既知量の分析対象ポリヌクレオチド標準物質を使用しながら実施した反応の分析から誘導する場合、この特徴の数値をインプット標的コピー数の対数に対してプロットすることにより標準曲線を作成できる。或いは、特徴を被験試料を使用しながら実施した反応の分析から誘導する場合、測定された特徴を標準プロットと比較することにより被験試料中に存在する分析対象ポリヌクレオチドの出発量又は濃度を測定することができる。
本発明の範囲内に属する別のベクトルに基づくアルゴリズムは、同様に、増大曲線に沿ったベクトルの対としたセットを確立する反復処理を採用しているが、方向的に類似するベクトルの代わりに方向的に逆のベクトルを使用している。ここでもまた、方向的に類似するベクトルを使用するアルゴリズムとは対照的に、方向的に逆のベクトルを使用するアルゴリズムは両方のベクトルがx次元において異なる大きさを有することを要求しておらず、そして、2ベクトル間の角度が最大ではなく最小となるx軸に沿った点を同定することを採用している。後者の研究法によれば、2ベクトルの対としたセットは、それらが2ベクトルの共有始点に対してx次元上で方向的に逆であるように確立される。一般的に方向的に逆のベクトルの対の一方のメンバーはx値が漸減する方向に共有始点から伸長し、対のもう一方はx値が漸増する方向に共有始点から伸長する。
方向的に逆のベクトルを使用するアルゴリズムの重要な態様、及び、方向的に類似するベクトルを使用するアルゴリズムとのその関連性は図5A−5Bを参照しながら理解することができる。図5Aは方向的に類似するベクトルの対としたセットが如何にして増大曲線のx次元に沿って漸増することができるかを模式的に示しており、そして2ベクトル間の角度が如何にして増大曲線のベースラインと増大相の間の遷移の近接部において最大となるかを明らかにしている。図5Bは方向的に逆のベクトルの対としたセットが如何にして増大曲線のx次元に沿って漸増することができるかを模式的に示しており、そして2ベクトル間の角度が如何にして増大曲線のベースラインと増大相の間の遷移の近接部において最小となるかを明らかにしている。顕著には、図5Bに示す通り、方向的に逆のベクトルに基づいたアルゴリズムを用いた場合に、ベクトルがそのx成分の異なる大きさを有することを必要としない。1つの好ましい実施形態において、方向的に逆のベクトルを用いて分析を実施する場合に、2ベクトルのx成分の大きさは同じである。別の好ましい実施形態においては、方向的に逆のベクトルを用いて分析を実施する場合に、2ベクトルのx成分の大きさは相互に異なっている。
図5Bに示す通り、そして、方向的に逆のベクトルを用いたアルゴリズムに従えば、複数セットの2ベクトルを増大曲線のx次元に沿った異なる点に確立する。ベクトルの単一のセットのベクトルの各々は同じ始点(x1,y1)を共有している。同じく図に示す通り、ベクトルはそれらの方向がx次元において相互に逆となるように確立する。この場合、第1のベクトル(即ちベクトルa)の頭におけるx座標は共有始点におけるx座標の値より低値の値を有し、そして第2のベクトル(即ちベクトルb)の頭におけるx座標は共有始点におけるx座標の値より高値の値を有する。換言すれば、方向的に逆のベクトルを用いた場合、x2<x1<x3となり、式中x1は共有始点のx座標であり、式中x2はx値漸減方向に方向付けられたベクトルの終点におけるx座標であり、そして式中x3はx値漸増方向に方向付けられたベクトルの終点におけるx座標である。この配置はx1<x2<x3である方向的に類似するベクトルを使用する本発明の実施形態とは区別されるものである(図2及び図5A参照)。
即ち、核酸増幅反応におけるアンプリコン産生の時間依存性のモニタリングに関する増大曲線を示す数的データを最適化等式をもたらすために曲線フィッティングにより処理する場合、その等式は、処理された増大曲線を自由裁量の時間間隔にパースするために使用することができる。例えば、これらの時間間隔は各々5秒、各々10秒、又は他の所望の時間又はサイクル数の間隔であることができる。引き続きこの例を用いれば、方向的に逆のベクトルのz成分の大きさは自由裁量において50秒に設定することができる。そのような場合、第1の対としたセットのベクトルの始点はx1=50秒に確立することができ、次に第1のベクトルの終点をx2=0秒に位置付けることができ、そして方向的に逆の第2のベクトルの終点をx3=100秒に位置付けることができる。上記した通り、第2の対としたセットのベクトルは、第2の対としたセットのベクトルの始点がx1=55秒において確立されるように、増大曲線のx次元に沿って漸増し、そして、その過程を所望に応じて反復する。表2は方向的に逆のベクトルの対としたセットのx成分がベクトルの確立された対としたセットの反復処理において如何にして漸増するかを説明しており、ここで「x1」は共有始点のx座標の値であり、「x2」は第1のベクトルの終点におけるx座標の値であり、そして「x3」は第2のベクトルの終点におけるx座標の値である。
Figure 0005068748
ベクトルのy座標の値は好ましくは実験データから直接求めるか、或いは、より好ましくは移動平均平滑化関数又は曲線フィッティングの操作を用いて計算される。曲線フィッティングを使用する場合は、ベクトルのy座標は好ましくは本明細書に記載した手法又は当該分野で良く知られている他の手法を用いて最適化された等式を解くことにより計算される。確立されたベクトルの異なる対としたセットのx及びy座標の場合、ベクトル間の角度は上記した等式(1)のような標準的な数学的研究法、及び、増大曲線のx次元に沿った異なる時点に関連する計算された角度を用いて計算することができる。方向的に逆のベクトルを用いるアルゴリズムによれば、最小角度を有するベクトル対の始点に関連する時間成分を求めることは、標準曲線を作成するためにインプット対数標的コピー数に対してプロットされるべき、又は、被験試料中のポリヌクレオチド分析対象の量又は濃度を同定するために標準曲線と比較されるべき、曲線の特徴(即ちOTArc)を同定することになる。
顕著には、図5の異なるパネルにおいて模式化した2つの研究法は同じ曲線の異なる特徴を同定する。より詳細には、方向的に類似するベクトルを使用する分析は、ベースラインと増大相を分離する遷移において最大の凹曲率に少なくとも僅かにでも先行する曲線上の点を同定する。これとは対照的に、方向的に逆のベクトルを使用する分析は、x次元において僅かに遅れて起こり、そしてベースラインと増大相の間の遷移内の最大凹変曲点により緊密に関連している曲線の特徴を同定する。図6はこのことを、核酸増幅反応に関する生データの増大曲線(即ち如何なる平滑化アルゴリズムによっても処理されていない)を示すことにより説明しており、そして、TArc、OTArc、第2導関数の最大値及び第1導関数の最大値に関して同定された曲線上の点を示している。当然ながら、TArc及びOTArcの値は増大曲線上に示された点に関連するx軸上の時間の値を示す。
ベクトル解析の前の増大曲線データの平滑化
開示したベクトル解析アルゴリズムの頑健性を確認するために、分析に使用した増大曲線データの性質を向上させる方法を検討した。より詳細には、移動平均又は曲線フィッティングの手法の何れかを用いた増大曲線の平滑化の方法を本目的の為に使用した。
移動平均による平滑化
移動平均を用いて曲線全体に渡り等しく適用された増大曲線データにおける統計学的な変動即ち「ノイズ」の影響を最小限にした。移動平均平滑化関数はリスト中の特定の値の周囲の値のセットの平均を取り上げる。1つの実施形態において、蛍光の測定値を示す5つの逐次的データ点の移動平均を使用した。この操作法は、増大曲線に関する新しいデータセットとして後に使用される蛍光測定値を調節している。表3は7データ点のセットの移動平均の計算を示す。
Figure 0005068748
本明細書に記載したベクトル解析を用いてリアルタイム核酸増幅反応において得られ、そして移動平均手法により平滑化されている時間依存性蛍光データを分析した。顕著には、移動平均の手法は増大曲線を定義した等式を与えなかった。
曲線フィッティングによる平滑化
ベクトル解析において使用される増大曲線データを平滑化する別の方法は「曲線フィッティング」と称される操作法を用いた増大曲線を定義する等式の誘導を採用している。この研究法においては、幾つかの候補の等式の1つが増大曲線に関する基本的な数学的モデルとして機能している。異なる等式の各々が異なる増大曲線パラメーターを特徴付けている変数を包含している。これらの変数の値を推定した後、当該分野で知られた日常的を超えないモデリングの操作法を用いながら、曲線を定義する等式を得るために推定値をモディファイする反復処理を市販の曲線フィッティングソフトウエアを用いて実行した。本明細書に記載する曲線フィッティングの全ては特に、式に関する最適値を同定して等式を解くためのEXCELアドインツールとしてMicrosoft Corporation(Redmond,WA)から入手できるSOLVERプログラムを使用している。しかしながら、他の市販の曲線フィッティングプログラムもベストフィットの曲線を良好に確立するために使用できる。本明細書において使用する曲線フィッティングの操作法は対象となる増大曲線又はその一部分を定義する等式をもたらしている。
曲線フィッティングにより演繹された等式を用いて、増大曲線を時間間隔にパースし、パースされた時間間隔の関数としてアンプリコンシグナルの大きさを測定し、そして、上記したベクトル解析法に従ってベクトルの対としたセットを描画し、TArc又はOTArcの値を求めた。時間又は斎宮数の関数として合成された分析対象アンプリコンの量を関連付けるデータの曲線フィッティングは異なる数学的モデルを用いて実施できる。顕著には、この操作法は増大曲線を定義する等式を与えるため、自由裁量でパースされた時間間隔を用いてベクトル解析を実施することが可能である。即ち、リアルタイム増幅操作法における蛍光読み取り値が30秒の間隔で収集されたのみであったとしても、曲線フィッティング操作法から誘導された等式は5秒間隔のような自由裁量の間隔にパースすることも可能とする。
曲線フィッティング:モデルA
曲線フィッティング操作法の1つの実施形態はWeusten et al.,Nucleic Acids Res.Vol.30,No.6e26,pp.1−7(2002)に記載のもののような多項式を用いて開始した。本発明と組み合わせて曲線フィッティングを使用する方法を明らかにするために使用された第1のモデルは、4点曲線フィッティングを採用しており、そして等式(3)により定義されている。
Figure 0005068748
等式(3)において、R(t)は特定の時点におけるポリヌクレオチド水準(即ち量又は濃度)を示し;Yはバックグラウンドシグナル(即ち増大相前のベースライン蛍光シグナル)を示し;a1及びa2は増大を示すパラメーターであり;そしてa3は曲線の増大相への遷移を示す曲率の所在を定義する。顕著には、a1a2は曲線の対数−直線部分の傾きであり、そしてそのため、アンプリコン形成の速度に関連している。異なる変数の値を調節する反復処理をSOLVERプログラムを用いて実施することにより変数の各々に対して以下の通り初期推定を行い、即ち、Yは0.1RFU(相対蛍光単位)と推定し;a1は0.05と推定し、そしてa2は1と推定した。これらの推定は全ての計算に関して固定されている。a3の変数の値は何れかの特定の増幅反応の過程の間に測定された最大蛍光シグナルの25%を達成するために必要である時間より3分低値であると推定された。Y変数に関する初期推定値は全ての曲線に適用される汎用的な最小関数に基づいており、最低値はy軸上のゼロとして定義される。初期推定値はベースラインの安定化及び一般的には「ノイズ」と称される変動の観察された水準に相当する、ベースライン蛍光シグナルに近似している。a3に関する初期推定値は、何れかの特定の増幅反応の過程の間に測定された最大蛍光シグナルの25%が、シグナルがバックグラウンド蛍光シグナルを超えた曲線の一部分にあったこと、及び、この時間の値から3分を差し引くことにより曲線の増大相の開始により近い位置が確保されることを確実にしているという日常的な観察事例に基づいている。a1及びa2に関する初期静的推定値は、Y及びa3がY及びa3の最適化された値に非常に近似している場合にSOLVERソフトウエアがa1及びa2に関する最終的な値を最適化することができるという所見に基づいている。簡明に述べれば、Y及びa3の初期推定値がY及びa3の最終的な値に非常に近似している場合には、SOLVERソフトウエアは、a1及びa2に関する初期推定値が理想的なものに満たない場合であっても、a1及びa2に関する値を反復処理により最適化することができる。
TArc及びOTArcの値を求めることは対象曲線のベースライン相から増大相への遷移の分析を必要としたため、増大相からプラトー相への凸遷移により示され、これに継続する曲線の部分に対して曲線フィッティングを実施する必要がなかった。即ち、操作法は増大曲線データの僅か75%に対して曲線フィッティングを実施することにより簡素化された。より詳細には、リアルタイム増幅操作法において測定された測定蛍光シグナルの最大振幅の0〜75%を示すデータのみを曲線フィッティングの為に使用した。曲線の上部分の分析はTArc又はOTArcの値の何れの計算の為にも必要ではなかった。上記した通り、反復計算手法を用いながら、実験データにより示される増大曲線に実質的に合致する等式が生じるように4変数の各々の値を確立した。
曲線フィッティング:モデルB
ベクトルに基づく解析方法の良好性が曲線フィッティング操作法を実施するための何れかの特定の数学的モデルの使用に依存していないことを証明するために、別の数学的モデルも使用した。この第2の例においては、市販のTABLECURVEソフトウエアパッケージ(SYSTAT Software Inc.;Richmond,CA)を使用することにより例示されるリアルタイム核酸増幅曲線を説明する等式を同定及び選択した。得られた等式は、数学的モデリング(本明細書においては「モデルB」と称する)の為に使用され、下記により示されるものである。
Figure 0005068748
等式(4)において、R(t)は特定の時点におけるポリヌクレオチドの水準(即ち量又は濃度)を示す。等式(4)における5パラメーターは「a」、「b」、「c」、「d」及び「e」である。変数「t」は時間を表す。上記した研究法と同様、モデルBはEXCELアドインツールとしてMicrosoft Corporation(Redmond,WA)から入手できるSOLVERプログラムを使用しながら各データセットについて最適化されている。初期推定値を使用したが、モデルAの考察において記載した範囲までは最適化されなかった。
モデルBによれば、反応の過程中に測定された最大蛍光シグナルの85%を示すリアルタイム増幅反応から得られたデータを分析に使用した。この簡素化は、TArc又はOTArc値の何れを同定するためにもプラトー相への凸遷移を示す増大曲線の部分を使用する必要はなかったため、可能となった。
曲線フィッティング:モデルC
ベクトルに基づく解析方法の良好性が曲線フィッティング操作法を実施するための何れかの特定の数学的モデルの使用に依存していないことを更に明確化するために、更に別の数学的モデルも使用した。上記した通り、TABLECURVEソフトウエアパッケージをここでも使用することにより例示されるリアルタイム核酸増幅曲線を説明する等式を同定及び選択した。得られた等式は、数学的モデリング(本明細書においては「モデルC」と称する)の為に使用され、下記により示されるものである。
Figure 0005068748
等式(5)において、R(t)は特定の時点におけるポリヌクレオチドの水準(即ち量又は濃度)を示す。等式(5)における5パラメーターは「a」、「b」、「c」、「d」及び「e」である。変数「t」は時間を表す。上記した研究法と同様、モデルBはEXCELアドインツールとしてMicrosoft Corporation(Redmond,WA)から入手できるSOLVERプログラムを使用しながら各データセットについて最適化されている。初期推定値を使用したが、モデルAの考察において記載した範囲までは最適化されなかった。
モデルCによれば、反応の過程中に測定された最大蛍光シグナルの80%を示すリアルタイム増幅反応から得られたデータを分析に使用した。ここでも又、この簡素化は、TArc又はOTArc値の何れを同定するためにもプラトー相への凸遷移を示す増大曲線の部分を使用する必要はなかったため、可能となった。
大局的最小値の任意の差し引き
当業者の知る通り、実質的に全ての核酸検出システムが、何れかの核酸増幅の非存在下の検出可能なバックグラウンドシグナルのある水準を伴っている。このバックグラウンドは例えばアンプリコンの出現に関して分析される反応混合物の入った容器の天然の蛍光特性に起因すると考えられる。操作法におけるバックグラウンド蛍光が無視できない場合、好ましくは大局的最小値差し引きの工程は、大局的最小値を同定すること、そして次にこの値をアンプリコン検出に関するシグナルを示す全てのデータ点から差し引くことにより、実施される。これが行われれば、異なる時点において存在したアンプリコンの量に関して得られたシグナルを直接巣後に比較することができる。即ち、大局的最小値差し引きは普遍的で静的なYの予測値は推定を容易にするのである。大局的最小値は測定値の集合のうちの最低測定値であると理解される。
大局的最小値差し引きを実施することの利点は異なる蛍光染料を使用する多重の増幅及び検出の反応に関する場合、特に注目すべきものとなる。典型的には、異なる蛍光染料は異なる水準のバックグラウンド蛍光により特徴付けられる。
ベクトルに基づくアルゴリズムを実行するための装置
本明細書に開示したベクトルに基づくアルゴリズムは好都合にはコンピュータ又は同様の処理デバイス(以降「コンピュータ」)を用いて実行される。異なる好ましい実施形態においては、アルゴリズムを実施するためのソフトウエア又は機械実行可能なインストラクションをロードするか、又は他の態様において独立したコンピュータのメモリ要素内に、又は、分析されている生成物の量を好ましくは時間の関数としてモニタリングする為に使用されるデバイスに連結されたコンピュータのメモリ要素内に保持することができる。高度に好ましい実施形態においては、ベクトルに基づくアルゴリズムを実行するためのソフトウエアは、時間の関数として反応混合物中に存在するアンプリコンの量をモニタリングすることができるデバイスに連結した、又は、その一体型の部品であるコンピュータのメモリ要素内に保持する。
実際、リアルタイム増幅デバイスを制御するためのコントローラーシステム及びリアルタイム増幅デバイスの検出システムの何れか又は両方を、プログラムされた、又はユーザーインプットのインストラクションに従って、これらの機器の操作を指示する機能を有する適切にプログラムされたコンピュータにカップリングすることができる。コンピュータは又好ましくはこれらの機器からデータ及び情報を受け取り、そしてその情報を解釈し、操作し、そしてユーザーに報告することができる。
一般的に、コンピュータは典型的には、パラメーターフィールドのセット内へのユーザーインプットの形態の、又は、プログラムされた(例えば種々の異なる特定の操作に対してプログラムされた)インストラクションの形態の何れかのユーザインストラクションを受け取るための適切なソフトウエアを包含する。次にソフトウエアはこれらのインストラクションを、所望の操作を実施するためのリアルタイム増幅コントローラーの操作を指示するための適切な言語に変換する。コンピュータは又、システム内に包含されるセンサー/検出器1つ以上からデータを受信し、そして、プログラミングに従ってデータを解釈することができる。システムは好ましくは、検出器により検出された時間の関数としての目的の核酸の増幅されたコピーの量を示す増大曲線の特徴を被験試料中に存在する目的の核酸のコピー数に相関付けるソフトウエアを包含する。
ベクトルに基づくアルゴリズムを実行するために使用されるコンピュータがリアルタイム核酸増幅反応を実施して分析するための装置の一体型の要素である場合は、装置は好ましくは温度制御インキュベーター、シグナルを収集するための検出デバイス、シグナルを分析するための分析デバイス(例えばコンピュータ又はプロセッサ)及び得られた、又は分析デバイスにより発生されたデータをディスプレイするためのアウトプットデバイスを含む。分析デバイスは当該分野で知られたインプットデバイスを介して温度制御インキュベーターに連結、及び/又は、データディスプレイのための当該分野で知られたアウトプットデバイスに連結されていてよい。1つの実施形態において、温度制御インキュベーターは温度サイクリングが可能である。
概して、ベクトルに基づくアルゴリズムとの組み合わせにおいて有用なリアルタイム核酸増幅を実施するための装置の種々の要素は当該分野で知られた従来の要素となる。リアルタイム核酸増幅を実施及び分析するために使用される温度制御インキュベーターは、反応管複数又は96反応試料までを、標準的な増幅反応管中の温度制御ブロック中、又は、マルチウェルプレートのウェル中に保持できる従来の設計のものであってよい。1つの態様において、検出システムは蛍光標識1つ以上から発生する光学的シグナルを検出するために適している。検出システムのアウトプット(例えば増幅反応の間に発生するものに相当するシグナル)はデータの格納及び操作の為にコンピュータにフィードされることができる。1つの実施形態において、システムは複数の異なる型の光学的シグナル、例えば複数の異なる型の蛍光標識を検出し、そしてマイクロプレート蛍光リーダーの能力を有する。検出システムは好ましくは、可視光レーザー又は紫外線ランプ又はハロゲンランプ又は光発射ダイオード(LED)であってよい励起光源を備える多重通信の蛍光計、個々の反応管に励起光を分布させるため、及び反応管から生じた蛍光を受け取るための多重通信デバイス、蛍光をその波長により励起光から分離するためのフィルタリング手段、及び、蛍光強度を測定するための検出手段であってよい。好ましくは、温度制御インキュベーターの検出システムは蛍光団選択の柔軟性、高い感度及び優秀なSN比を可能にする広い検出範囲を与える。検出システムにより受けとられる光学的シグナルは、一般的には、プロセッサにより操作されることによりプロセッサと連絡しているユーザーデバイスのディスプレイ上においてユーザーにより目視されることができるデータを与えるシグナルに変換される。ユーザーデバイスはユーザーインターフェースを含んでよく、或いは、キーボード及びビデオモニターを有する従来の市販のコンピュータシステムであってよい。ユーザーデバイスによりディスプレイすることができるデータの例は増幅プロット、スキャッタープロット、組立物中の全ての試験官又は反応容器に関する、そして使用される全ての方式に関する試料値スクリーン、光学的信号強度スクリーン(例えば蛍光シグナル強度スクリーン)、最終コール結果、テキストレポート等を包含する。
ポリヌクレオチドの定量へのベクトルに基づくアルゴリズムの適用
1つの実施形態によれば、分析対象を定量するための方法が記載され、その場合、分析対象はポリヌクレオチドである。方法は分析対象を増幅剤(及び分析対象の少なくとも部分を増幅するために必要とされる全ての化合物)に接触させ、そして、分析対象の少なくとも部分を増幅することにより分析対象アンプリコンを形成する工程を含む。典型的には分析対象の限定された領域のみを増幅する。より詳細には、2つの増幅オリゴヌクレオチドによりフランキングされた分析対象ポリヌクレオチドの配列を反応において増幅する。次に増幅産物の量を反応時間の関数として求め、時間依存性アンプリコン形成のベクトル解析を実施することにより反応を説明する増大曲線のベースライン相から増大相への遷移を示す特徴を求める。増幅産物の量と反応時間の間の定量的関係は2次元グラフ上の増大曲線の形態で好都合に可視化されるが、ベクトル解析は典型的には数的データのみを用いながらコンピュータ又はデータプロセッサにより実施される。1つの好ましい実施形態においては、増幅産物は蛍光を用いて検出され、そして増幅産物はTMA、NASBA、PCR又はSDA反応において形成される。本発明に関する場合、時間の関数として増幅産物の量を求めることは、増幅産物の絶対量を測定することが必要であることを意味しない。むしろ相対的なシグナルを求めることで十分であり、その理由は、相対値を求めることでベクトル解析の実施が可能になり、これにより増大曲線の特徴が求まり、これを次に本発明に従って使用することにより増幅反応において存在する初期分析対象ポリヌクレオチドの絶対的な量又は濃度が求められるからである。
開示したベクトルに基づくアルゴリズムが如何にしてリアルタイム増幅法を用いた核酸の定量に適用できるかを更に詳細に説明するために、単一セットのデータを選択し、(1)生データのベクトルに基づく解析、(2)移動平均を計算することにより平滑化されたデータのベクトルに基づく解析、又は(3)数学的モデリングを用いた実験データの曲線フィッティングにより得られているデータのベクトルに基づく解析のいずれかを用いた評価に付した。
実施例1は如何にして方向的に類似するベクトルを用いたベクトルに基づくアルゴリズムを用いることによりリアルタイム核酸増幅反応の結果を分析するかを説明している。
実施例1
方向的に類似するベクトルを用いたベクトルに基づく解析方法の適用
TMA反応のシリーズを5x10〜5x10コピーのHIV−1サブタイプB分析対象RNA及びアンプリコンに特異的な分子トーチを用いて実施した。アンプリコン合成を示す蛍光シグナルを時間の関数としてモニタリングし、そして結果を図7に示すグラフ上にプロットした。この操作法において、アンプリコン反応混合物中に存在するアンプリコンの量を示す蛍光値を約19.4秒毎に読み取った。図に示す結果セットは、データ平滑化の異なる条件下において方向的に類似するベクトルを使用した開示アルゴリズムを用いて処理した。
これらの分析において使用したベクトルに基づくアルゴリズムを確立された対としたセットのベクトルを包含しており、セットの各ベクトルは増大曲線上に示されるデータ点に沿って共通の始点を共有している。セット内のベクトルは、増大曲線のベースラインと増大相の間の遷移の近接部においてベクトルが異なる方向を有するように異なるx成分の大きさを有している。分析を簡素化するために、増大曲線のプラトー相への遷移に先行する(即ち最大蛍光読み取り値の約75%となる)データ点のみを計算に使用した。異なるベクトルセットの間の角度を計算し、そして最大角度をもたらすベクトルセットに関連する時間をTArcとした。これを図5Aに示す。次にTArc値をインプットコピー数の対数に対してプロットし、そして最もフィットする直線又は曲線のパラメーターを求めた。内部キャリブレーターを使用する場合は、標的と内部キャリブレーターの間の関係をインプットコピー数の対数に対してプロットし、そして最もフィットする直線又は曲線のパラメーターを求めた。
平滑化達成のための処理を行うか行わないかに関わらず。実験データへの本分析方法の適用は以下に説明する通りである。全ての場合において、増幅反応は6連で実施し、これらの連から得られた結果を統計学的分析に使用した。添加分析対象ポリヌクレオチド非存在下で実施した試行が分析対象の存在を示すと考えるために必要な最低範囲基準を超過する結果をもたらした例は無かった。即ち、操作法において擬陽性は観察されなかった。
実験生データ
ベクトルに基づくアルゴリズムを使用生データの分析に直接適用することにより、図7に示す結果が得られた。TArc値は、試験した分析対象ポリヌクレオチドの各水準において作成された曲線の各々に対して求め、そしてこれらの結果を図8に示すグラフ上にプロットした。図中にプロットした結果の総括を表4に示す。
Figure 0005068748
表4及び図8に示した結果により示される通り、求められたTArc値とインプット鋳型コピー数との間には強力な関係が存在した。図8にプロットしたデータ点間の散乱は図7の曲線においてプロットしたデータ間の変動に起因していた。明らかに開示アルゴリズムは、移動平均の計算によるか曲線フィッティングにより平滑化されていない実験生データを処理するために使用することができ、これにより増幅反応への鋳型インプット量と求められたTArc値の間の関係が求められる。TArc値を用いて求められた直線のパラメーターを表9に示す。
移動平均による平滑化
5隣接データ点に渡る移動平均の計算により先ず平滑化されているデータの分析にベクトルに基づくアルゴリズムを適用した。TArc値は、試験した分析対象ポリヌクレオチドの各水準において作成された複数連の曲線の各々に対して求め、そしてこれらの結果を図9に示すグラフ上にプロットした。図中にプロットした結果の総括を表5に示す。
Figure 0005068748
表5及び図9に示した結果により示される通り、求められたTArc値とインプット鋳型コピー数との間には強力な関係が存在した。ここでも又、図にプロットしたデータ点間の散乱は図7の曲線においてプロットしたデータ間の変動に起因していた。明らかに開示アルゴリズムは、移動平均の計算により平滑化されている実験生データを処理するために使用することができ、これにより増幅反応への鋳型インプット量と求められたTArc値の間の関係が求められる。TArc値を用いて求められた直線のパラメーターを表9に示す。
曲線フィッティングによる平滑化(モデルA)
曲線フィッティングにより等式を確立するために使用されているデータの分析にベクトルに基づくアルゴリズムを適用した。本手法の第1の例においては、上記した等式(3)を用いながら各データセットにつき4点曲線フィッティングを実施した。異なる変数に対する初期推定値は本数学的モデルの考察に関連して上記に示した通りである。異なる変数の値を調節する反復処理を実施することにより、やはり上記した通り、各曲線に関する等式を求めた。その後、等式により示される増大曲線を5秒の時間単位にパースし、そして開示したアルゴリズムに従って、ベクトルのシリーズに対して始点としてこれらの時点を用いながらベクトル解析を実施した。TArc値は、試験した分析対象ポリヌクレオチドの各水準において作成された複数連の曲線の各々に対して求め、そしてこれらの結果を図10に示すグラフ上にプロットした。図中にプロットした結果の総括を表6に示す。
Figure 0005068748
表6及び図10に示した結果により示される通り、求められたTArc値とインプット鋳型コピー数との間には強力な関係が存在した。図10にプロットしたデータ点間の散乱は図7の曲線においてプロットしたデータ間の変動に起因していた。明らかに開示アルゴリズムは、第1の曲線フィッティング法により平滑化されている実験データを処理するために使用することができ、これにより増幅反応への鋳型インプット量と求められたTArc値の間の関係が求められる。TArc値を用いて求められた直線のパラメーターを表9に示す。
曲線フィッティングによる平滑化(モデルB)
次に、ベクトルに基づくアルゴリズムを別の曲線フィッティング操作により等式を確立するために使用されているデータの分析に適用した。手法の第2の例においては、上記した等式(4)を用いながら各データセットにつき5点曲線フィッティングを実施した。本数学的モデルの考察に関連して上記した通り、異なる変数に対する初期推定値を使用し、そして異なる変数の値を調節する反復処理を実施することにより、各曲線に関する等式を求めた。その後、等式により示される増大曲線を5秒の時間単位にパースし、そして開示したアルゴリズムに従って、ベクトルのシリーズに対して始点としてこれらの時点を用いながらベクトル解析を実施した。TArc値は、試験した分析対象ポリヌクレオチドの各水準において作成された複数連の曲線の各々に対して求め、そしてこれらの結果を図11に示すグラフ上にプロットした。図中にプロットした結果の総括を表7に示す。
Figure 0005068748
表7及び図11に示した結果により示される通り、求められたTArc値とインプット鋳型コピー数との間には強力な関係が存在した。図11にプロットしたデータ点間の散乱は図7の曲線においてプロットしたデータ間の変動に起因していた。明らかに開示アルゴリズムは、第1の曲線フィッティング法により平滑化されている実験データを処理するために使用することができ、これにより増幅反応への鋳型インプット量と求められたTArc値の間の関係が求められる。TArc値を用いて求められた直線のパラメーターを表9に示す。
曲線フィッティングによる平滑化(モデルC)
次に、ベクトルに基づくアルゴリズムを更に別の曲線フィッティング操作により等式を確立するために使用されているデータの分析に適用した。手法の第3の例においては、上記した等式(5)を用いながら各データセットにつき5点曲線フィッティングを実施した。本数学的モデルの考察に関連して上記した通り、異なる変数に対する初期推定値を使用し、そして異なる変数の値を調節する反復処理を実施することにより、各曲線に関する等式を求めた。その後、等式により示される増大曲線を5秒の時間単位にパースし、そして開示したアルゴリズムに従って、ベクトルのシリーズに対して始点としてこれらの時点を用いながらベクトル解析を実施した。TArc値は、試験した分析対象ポリヌクレオチドの各水準において作成された複数連の曲線の各々に対して求め、そしてこれらの結果を図12に示すグラフ上にプロットした。図中にプロットした結果の総括を表8に示す。
Figure 0005068748
表8及び図12に示した結果により示される通り、求められたTArc値とインプット鋳型コピー数との間には強力な関係が存在した。図12にプロットしたデータ点間の散乱は図7の曲線においてプロットしたデータ間の変動に起因していた。明らかに開示アルゴリズムは、第1の曲線フィッティング法により平滑化されている実験データを処理するために使用することができ、これにより増幅反応への鋳型インプット量と求められたTArc値の間の関係が求められる。TArc値を用いて求められた直線のパラメーターを表9に示す。
Figure 0005068748
表9に総括した結果は異なる分析操作法の全てが実質的に同一の結果をもたらしたことを示している。即ち、ベクトルに基づく方法は実験生データ並びに平滑化関数により処理されているデータを分析するために有用であった。
実施例2は如何にして方向的に逆のベクトルを用いたベクトルに基づくアルゴリズムを用いることによりリアルタイム核酸増幅反応の結果を分析するかを説明している。方向的に類似するベクトルを用いたベクトルに基づくアルゴリズムを用いて実施した比較分析も提示する。以下に示す結果により明らかな通り、ベクトルに基づくアルゴリズムは両方とも、2つの研究法により同定された曲線の特徴が異なっているにもかかわらず、実質的に等しい結果をもたらしていた。
実施例2
方向的に逆のベクトルを用いたベクトルに基づく解析の適用
核酸増幅反応の時間依存性モニタリングから得られた結果の単一のセットを方向的に類似するベクトル又は方向的に逆のベクトルを用いた独立したアルゴリズムを実行するためにプログラムを動かすコンピュータを用いて平行して処理した。HIV−1分析対象ポリヌクレオチドを増幅するTMA反応を0〜5x10コピー/反応の範囲の分析対象ポリヌクレオチド量を用いて実施した。反応中に存在するアンプリコンの量を示す蛍光値は約19.4秒毎に読み取った。増幅反応から得られた数的結果は上記したモデルA(等式(3))を用いながら4点曲線フィットにより平滑化の為に処理した。異なる変数に対する初期推定値は本数学的モデルの考察に関連して上記に示した通りである。異なる変数の値を調節する反復処理を実施することにより、やはり上記した通り、各曲線に関する最適化等式を求めた。その後、求めた等式により示される増大曲線を5秒の時間単位にパースし、ベクトルのシリーズに対して始点としてこれらの時点を用いながらベクトル解析を実施した。
方向的に逆のベクトルを用いたアルゴリズムは50秒のx成分の大きさを用いることにより、処理された増大曲線のx次元に沿って漸増したベクトルの対としたセット複数の各々のメンバーを確立した。即ち、本操作法のベクトルのx成分は表2に示す通り漸増した。このアルゴリズムによれば、各曲線の同定された特徴は、方向的に逆のベクトルの対としたセットの集合物内のベクトル間の角度が最小(即ちOTArc値)となった時間の値(即ちx軸上の点)であった。これを図5Bに示す。これらの結果の総括を表10に示す。
方向的に類似するベクトルを使用するアルゴリズムは、処理された増大曲線のx次元に沿って漸増するベクトルの対としたセット複数の第1のメンバーを確立するために5秒のx成分の大きさを、そして、第2のメンバーを確立するために85秒のx成分の大きさを使用している。即ち、操作法におけるベクトルのx成分は表1に示す通り漸増した。このアルゴリズムによれば、各曲線の同定された特徴は、ベクトルの対としたセットの集合物内のベクトル間の角度が最大(即ちTArc値)となった時間の値(即ちx軸上の点)であった。これらの結果の総括を表11に示す。
Figure 0005068748
Figure 0005068748
表10及び表11に示した結果を比較すれば、2つのベクトルに基づくアルゴリズムは実質的に同一の結果を示したが、例外として、TArc及びOTArcの平均値は予測よりも約0.5分、時間においてシフトしていた。明らかに、2アルゴリズムは非常に合致した結果を示しており、そしてリアルタイム核酸増幅反応からえら得た結果を分析するために使用できる。より詳細には、何れのアルゴリズムも標準曲線を確立するため、又は被験試料中の分析対象ポリヌクレオチドの量又は濃度を求めるために使用できる。更に又、いずれのアルゴリズムも増大曲線を示す実験生データを分析するため、又は、平滑化操作を用いた処理後の実験データを分析するために使用できる。例示される平滑化操作は、自由裁量でパースされた時間漸増分に関して解くことができる最適化された等式を確立するための移動平均を計算することによる平滑化及び曲線フィッティングによる平滑化を包含する。
上記した説明は、増大曲線の一貫した特徴を同定する何れかのベクトルに基づくアルゴリズムを使用することにより、リアルタイム核酸増幅反応を分析することができ、これにより標準プロットを得ることができ、又は被験試料中の分析対象ポリヌクレオチドを定量することができることを証明している。有用なアルゴリズムは方向的に類似するベクトルの対としたセット、又は、方向的に逆のベクトルの対としたセットを使用することができる。ベクトルの単一のセットの異なるメンバーは、分析中の増大曲線に沿ったベクトルの漸増セットについて使用される次元において同一又は異なる大きさを有することができる。更に又、有用なベクトルに基づくアルゴリズムは生の実験結果、又は平滑化関数により処理された結果を分析するために使用することができる。好ましい平滑化関数の例は移動平均の計算及び曲線フィッティング操作を包含する。
本発明はその多くの特定の実施例及び実施形態を参照しながら説明してきた。当然ながら、上記詳細な説明を検討することにより本発明の多くの異なる実施形態が当業者には示唆されるものとなる。即ち、本発明の真の範囲は添付請求項を参照することにより決定される。
図1A〜1Bは実際の増大曲線を示す。図1Aはベースライン相及び増大相を有する2相製の増大曲線を示す。図1Bはベースライン相、対数−直線増大相及びプラトー相を有する3相の増大曲線を示す。各々の異なる相は破線の縁で示した「遷移」により相互に分離されている。ベースライン相と増大相の間の遷移は凹曲率を示し、そして増大相とプラトー相の間の遷移は凸曲率を示す。第1導関数の極大は各増大曲線につき「A」で示す。第2導関数の極大は各増大曲線につき「B」で示す。 図1A〜1Bは実際の増大曲線を示す。図1Aはベースライン相及び増大相を有する2相製の増大曲線を示す。図1Bはベースライン相、対数−直線増大相及びプラトー相を有する3相の増大曲線を示す。各々の異なる相は破線の縁で示した「遷移」により相互に分離されている。ベースライン相と増大相の間の遷移は凹曲率を示し、そして増大相とプラトー相の間の遷移は凸曲率を示す。第1導関数の極大は各増大曲線につき「A」で示す。第2導関数の極大は各増大曲線につき「B」で示す。 図2は増大曲線の一部分上に描画した2つのベクトル(ベクトル「a」及び「b」)の対としたセットを示す。2ベクトルの間の角度はTとして指定する。 図3は異なる位置において自身の上に記載されたベクトルの3対としたセットを有する増大曲線の一部を示す。各ベクトル対(即ちベクトルa及びベクトルb)は数字の下付文字で指定される。ベクトルの中央の対は他のベクトル対の間の角度よりも大きい角度(ω)を定義するものとして示す。 図4A〜4Bは角Tに関して計算された値と円の残余部分の間の関係を説明している。パネルAは方向的に類似する2ベクトルを示す。パネルBは方向的に逆の2ベクトルを示す。 図4A〜4Bは角Tに関して計算された値と円の残余部分の間の関係を説明している。パネルAは方向的に類似する2ベクトルを示す。パネルBは方向的に逆の2ベクトルを示す。 図5A〜5Bは方向的に類似するベクトル(パネルA)及び方向的に逆のベクトル(パネルB)を用いたベクトルに基づくアルゴリズムの間の相違を模式的に示す。この説明において、「蛍光」(y軸)はインビトロ増幅反応において存在する核酸増幅産物の量に比例している。方向的に類似するベクトルの間の角度が最大となる増大曲線上の点(パネルA参照)に関連する時間の値を本明細書においては「TArc」と称する。方向的に逆のベクトルの間の角度が最小となる増大曲線上の点(パネルB参照)に関連する時間の値を本明細書においては「OTArc」と称する。 図5A〜5Bは方向的に類似するベクトル(パネルA)及び方向的に逆のベクトル(パネルB)を用いたベクトルに基づくアルゴリズムの間の相違を模式的に示す。この説明において、「蛍光」(y軸)はインビトロ増幅反応において存在する核酸増幅産物の量に比例している。方向的に類似するベクトルの間の角度が最大となる増大曲線上の点(パネルA参照)に関連する時間の値を本明細書においては「TArc」と称する。方向的に逆のベクトルの間の角度が最小となる増大曲線上の点(パネルB参照)に関連する時間の値を本明細書においては「OTArc」と称する。 図6は核酸増幅反応において得られた実際の結果を表している増大曲線を示す。増大曲線は平滑化を包含していない生の実験データを示す。増大曲線に付記されているものはTArc、OTArc、第2導関数の極大及び第1導関数の極大の位置を示すインジケーターである。 図7は種々の量のインプットHIV−1分析対象ポリヌクレオチド(「コピー/反応」により標示)を用いて実施した核酸増幅反応に関する時間の関数としての核酸増幅産物の量(蛍光シグナルにより測定)を示す増大曲線のシリーズである。 図8は図7に出現した生の実験データのベクトルに基づく解析から得られた結果を示すグラフである(無平滑化関数)。グラフはリアルタイム核酸増幅反応にインプットされたHIV−1分析対象ポリヌクレオチド標準物質の量(x軸)及び計算されたTArc時間(y軸)を関連付ける。データ点(白抜き菱形)は個々の増大曲線に関する計算されたTArc値を示す。 図9は移動平均平滑化関数を用いて処理した後の図7に出現した実験データのベクトルに基づく解析から得られた結果を示すグラフである。グラフはリアルタイム核酸増幅反応にインプットされたHIV−1分析対象ポリヌクレオチド標準物質の量(x軸)及び計算されたTArc時間(y軸)を関連付ける。データ点(白抜き菱形)は個々の増大曲線に関する計算されたTArc値を示す。 図10は曲線フィッティング平均平滑化関数(等式3、後述)を用いて処理した後の図7に出現した実験データのベクトルに基づく解析から得られた結果を示すグラフである。グラフはリアルタイム核酸増幅反応にインプットされたHIV−1分析対象ポリヌクレオチド標準物質の量(x軸)及び計算されたTArc時間(y軸)を関連付ける。データ点(白抜き菱形)は個々の増大曲線に関する計算されたTArc値を示す。 図11は曲線フィッティング平均平滑化関数(等式4、後述)を用いて処理した後の図7に出現した実験データのベクトルに基づく解析から得られた結果を示すグラフである。グラフはリアルタイム核酸増幅反応にインプットされたHIV−1分析対象ポリヌクレオチド標準物質の量(x軸)及び計算されたTArc時間(y軸)を関連付ける。データ点(白抜き菱形)は個々の増大曲線に関する計算されたTArc値を示す。 図12は曲線フィッティング平均平滑化関数(等式5、後述)を用いて処理した後の図7に出現した実験データのベクトルに基づく解析から得られた結果を示すグラフである。グラフはリアルタイム核酸増幅反応にインプットされたHIV−1分析対象ポリヌクレオチド標準物質の量(x軸)及び計算されたTArc時間(y軸)を関連付ける。データ点(白抜き菱形)は個々の増大曲線に関する計算されたTArc値を示す。 図13は5,000コピー/反応の分析対象ポリヌクレオチドを使用しながら実施した核酸増幅反応に関する時間の関数としての合成された核酸増幅産物の量(蛍光シグナルにより測定)を示す増大曲線のシリーズである。0.10の蛍光単位において任意に設定されている水平の太破線は、蛍光シグナルが正と採点された時点を示すために閾値系アルゴリズムを用いて同定される増大曲線上の点を示す。斜点線はTArc値を同定するためにベクトルに基づくアルゴリズムを用いて同定される増大曲線上の点を示す。

Claims (10)

  1. 被験試料中の核酸の量を決定するための方法であって、
    下記工程:
    (i)インビトロ増幅反応において該核酸の所定の遺伝子座を増幅することにより核酸増幅産物を生成する工程;
    (ii)増大曲線を集合的に定義する時間依存性の値の集合を生成するために、該インビトロ増幅反応の間の異なる時点において存在する核酸増幅産物の量に比例する値を決定する工程;
    (iii)ベースライン相から該増大曲線の増大相への遷移を示す時間依存性の特徴を同定するために該増大曲線の少なくとも一部分に対してコンピュータによって自動化されたベクトル解析を実施する工程であって、
    ここで、該ベクトル解析は下記工程:
    (a)該時間依存性の値の集合を用いながら増大曲線の時間次元上の異なる点において、第1および第2のベクトルの対を複数個確立する工程であって、該複数個のうちで単一の対のベクトルの各ベクトルは、該増大曲線上の点に位置づけられた同じ原点を有し、かつ、該複数個のうちで単一の対のベクトルのうち第1のベクトルの終点および第2のベクトルの終点の各々は、該増大曲線の異なる点に位置づけられている、工程
    (b)各異なる対のベクトルについてそれらの間の角度の値を計算する工程、および、
    (c)一方のベクトルが該増大曲線の時間次元において他方と逆の方向である方向的に逆のベクトルの間の最小角度に関連付けられた時間値、または、該増大曲線の時間次元において同じ方向である方向的に類似するベクトルの間の最大角度に関連付けられた時間値として、該増大曲線の該時間依存性の特徴を同定する工程、
    を含む、工程;ならびに、
    (iv)該増大曲線の該時間依存性の特徴から被験試料中の核酸の量を決定する工程であって、該決定する工程は、該増大曲線の該時間依存性の特徴を標準検量線と比較することを含み、該標準検量線は、工程(c)において同定された増大曲線の時間依存性の特徴を用いて生成され、該核酸の既知の初期量を用いて得られる、工程;
    を含む、方法。
  2. ベクトルの前記単一の対における各ベクトルが前記増大曲線の時間次元において同じ大きさを有し、該ベクトルは、一方のベクトルが該増大曲線の時間次元において他方と逆の方向である方向的に逆のベクトルである請求項1に記載の方法。
  3. 前記ベクトル解析を実施するための工程の前に処理工程を更に含み、
    該処理工程は、決定する工程(ii)の時間依存性の値の集合を平滑化関数により処理することにより平滑化された数的データを与えることを含み、そしてここでベクトル解析の工程(a)において使用される時間依存性の値の該集合が該処理工程から得られた平滑化された数的データである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ベクトル解析を実施するための工程の前に処理工程を更に含み、
    該処理工程は、決定する工程(ii)の時間依存性の値の集合を平滑化関数により処理することにより平滑化された数的データを与えることを含み、そしてここでベクトル解析の工程(a)において使用される時間依存性の値の該集合が該処理工程から得られた平滑化された数的データである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記処理工程における平滑化関数が移動平均平滑化関数および曲線フィッティング平滑化関数よりなる群から選択される請求項3または4に記載の方法。
  6. ベクトルの前記単一の対における各ベクトルが前記増大曲線の時間次元において異なる大きさを有し、該ベクトルは方向的に類似するベクトルであり、該増大曲線の時間次元において同じ方向を共有する、請求項3または5に記載の方法。
  7. ベクトルの前記単一の対における各ベクトルが前記増大曲線時間次元において異なる大きさを有し、該ベクトルは方向的に逆のベクトルであり、一方のベクトルは、該増大曲線の時間次元において他方と逆の方向である、請求項3または5に記載の方法。
  8. 増幅工程における前記インビトロ増幅反応が等温インビトロ増幅反応である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記決定する工程(ii)における核酸増幅産物の量に比例する値が蛍光の値である請求項に記載の方法。
  10. 請求項1の方法の工程(ii)、(iii)、(iv)または請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム製品。
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