JP5071677B2 - ポリイミド金属積層体及び配線基板、多層金属積層体及び多層配線基板 - Google Patents
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Description
またこの発明は、配線パターンが形成された内層基板上に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られる表面改質したポリイミドフィルムを積層し、その上に湿式めっきにより導電層を形成した多層金属積層体及び多層配線基板に関するものである。
またポリイミドフィルム若しくは表面を変性したポリイミドの表面に、シード金属層、下地導電金属層を真空蒸着やスパッタリングプロセスにより形成し、下地導電金属層を電極とした電解金属めっきにより導電層を形成し、湿式メッキ法によりポリイミドフィルムの表面に金属層を形成させた金属積層ポリイミドフィルムが検討されている。
特許文献2には、少なくとも表面をセラミック変性又は擬セラミック変性した3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られるポリイミドフィルム上に、セラミック上に金属めっき可能な湿式めっきプロセスによって金属導電層を形成してなるポリイミド金属積層体が開示されており、ここではポリイミドフィルム上のセラミックとの間で金属皮膜の高い密着強度を得ている。
本発明では、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られる芳香族ポリイミドを用いて、容易に簡便に大量生産できる製法を用いて、この表面に湿式めっきプロセスによって金属導電層を形成して、従来に比べポリイミドフィルム表面と金属導電層との密着性が向上し、高温下でのエージング処理後の密着性が向上し、かつ電気絶縁信頼性が良好なポリイミド金属積層体、及びこの金属積層体を用いて得られる配線基板を提供することを目的とする。
さらにこの発明は、配線パターンが形成された内層基板上に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られる表面改質したポリイミドフィルムを積層し、その上に湿式めっきにより導電層を形成した、積層したポリイミドフィルム表面と金属導電層との密着性が向上し、高温下でのエージング処理後の密着性が向上し、かつ電気絶縁信頼性の良好な多層金属積層体及び多層配線基板を提供することを目的とする。
湿式めっきプロセスは、ポリイミドフィルムの変性した表面をアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる金属層を形成する工程とを有し、
ポリイミドは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られることを特徴とするポリイミド金属積層体に関する。
本発明の第二は、本発明の第一のポリイミド金属積層体を用いて、
ポリイミド金属積層体の金属層の一部をエッチングにより除去することにより金属配線を形成した配線基板に関する。
1)変性されたポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体の溶液を支持体上に流延塗布し、加熱して製造されたポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムの片面若しくは両面にアルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤から選ばれた成分を含む溶液を塗布し、これを加熱してイミド化して得られるフィルムであること。
2)金属層は、無電解ニッケルめっきによる無電解ニッケルめっき層であること好ましくは金属層は、無電解ニッケルめっき層にさらに無電解銅めっきを施して無電解銅めっき層を形成し、無電解ニッケルめっき層及び無電解銅めっき層から選ばれるめっき層を給電層としてさらにめっき層に電解銅めっきによる電解銅めっき層を形成した層であること。
3)ポリイミド金属積層体は、金属層とポリイミドフィルムとの初期引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上で、150℃空気中168時間処理後の引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上であること。
湿式めっきプロセスは、ポリイミドフィルムの変性した表面と必要に応じて形成したビアの内面とをアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる無電解金属めっき層を形成する工程とを有し、
ポリイミドは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られることを特徴とする多層金属積層体に関する。
本発明の第四は、本発明の第三の多層金属積層体の金属層の一部をエッチングにより除去することにより金属配線を形成した多層配線基板に関する。
1)変性されたポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体の溶液を支持体上に流延塗布し、加熱して製造されたポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムの片面若しくは両面にアルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤から選ばれた成分を含む溶液を塗布し、これを加熱してイミド化して得られるフィルムであること。
2)金属層は、無電解ニッケルめっきによる無電解ニッケルめっき層であること好ましくは金属層は、無電解ニッケルめっき層にさらに無電解銅めっきを施して無電解銅めっき層を形成し、無電解ニッケルめっき層及び無電解銅めっき層から選ばれるめっき層を給電層としてさらにめっき層に電解銅めっきによる電解銅めっき層を形成した層であること。
3)ポリイミド金属積層体は、金属層とポリイミドフィルムとの初期引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上で、150℃空気中168時間処理後の引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上であること。
湿式めっきプロセスに塩基性アミノ酸水溶液で処理する工程を加えない従来のプロセスより得られるポリイミド金属積層体に比べて、ポリイミドフィルム表面と金属層との密着性が向上し、高温下でのエージング処理後の密着性が向上し、かつ電気絶縁信頼性が良好であり、優れたポリイミド回路基板を提供することができる。
本発明の多層金属積層体は、内層の配線基材に積層した変性したポリイミドフィルムと、湿式めっきプロセスに塩基性アミノ酸水溶液で処理する工程を加えることにより、内層基材の外側に積層した変性したポリイミドフィルムとフィルムに直接湿式めっきプロセスにより形成された金属層とが、従来に比べてポリイミドフィルム表面と金属層との密着性が向上し、高温下でのエージング処理後の密着性が向上し、かつ電気絶縁信頼性が良好であり、優れた多層の回路基板を提供することができる。
変性されたポリイミドフィルムにおいて、アルミニウム酸化物、チタン酸化物及びシリコン酸化物より選ばれる成分により変性されたとは、少なくともフィルム表面の一部にアルミニウム−酸素結合、チタン−酸素結合又はシリコン−酸素結合のような金属酸化物が形成されている状態を示し、完全な酸化物でなくても、例えば水酸化アルミニウム、チタンの水酸基、シリコンの水酸基などや、ダングリングボンドなどが一部に存在してもよい。
変性されたポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の溶液から製造されることが好ましい。
中でもs−BPDAを主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分は、s−BPDAを75モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む芳香族テトラカルボン酸成分が好ましく、
フェニレンジアミン類及びジアミノジフェニルエーテル類から選ばれるジアミン成分が、芳香族ジアミン成分中75モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む芳香族ジアミン成分が好ましい。
さらに、本発明の特性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸およびジアミンを用いることもできる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下単にs−BPDAと略記することもある。)を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られるポリイミドは、溶媒に可溶であれば、ポリイミド溶液として利用できる。
ジアミノジフェニルエーテル類としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどを挙げることが出来、好ましくは3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルである。
フェニレンジアミン類及びジアミノジフェニルエーテル類は、単独でも又は2種以上用いてもよい。
ポリイミド前駆体溶液又はポリイミド溶液の自己支持性フィルムは、ポリイミド前駆体溶液又はポリイミド溶液を支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)、例えば支持体上より剥離することができる程度に加熱して製造される。
このときの加熱温度および加熱時間は適宜決めることができ、例えば、温度100〜180℃で3〜60分間程度加熱すればよい。
ポリイミド前駆体溶液の自己支持性フィルムは、その加熱減量が20〜50質量%の範囲にあること、さらに加熱減量が20〜50質量%の範囲で且つイミド化率が8〜55%の範囲にあることが、自己支持性フィルムの力学的性質が十分となり、好ましい。また、自己支持性フィルムの上面にカップリング剤などの溶液を塗工する場合には、カップリング剤溶液をきれいに塗布しやすくなり、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察されないために好ましい。
ポリイミド溶液の自己支持性フィルムは、支持体より剥がれればよく、好ましくは加熱減量が20〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、自己支持性フィルムの質量W1とキュア後のフィルムの質量W2とから次式によって求めた値である。
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
自己支持性フィルム加熱又は加熱・イミド化は、キュア炉などを用いることができ、ピンテンタ、クリップ、枠などで、少なくとも長尺の固化フィルムの長手方向に直角の方向、すなわちフィルムの幅方向の両端縁を固定し、必要に応じて幅方向に拡縮して加熱処理を行うことが好ましい。
カップリング剤やキレート化合物は、ポリイミド又はポリイミドの表面を形成するポリイミド前駆体溶液(例えば、ポリアミック酸溶液など)に可溶性のものを好適に使用することができる。
カップリング剤やキレート化合物の有機溶媒溶液としては、特に、カップリング剤やキレート化合物が0.01質量%以上、特に好ましくは0.05〜60質量%、さらに好ましくは0.1〜55質量%の濃度で溶媒に均一に溶解している、低粘度(特に、回転粘度10〜5000センチポイズ)のものが好ましい。
ノニオン系界面活性剤を使用する場合、塗布液中の界面活性剤の濃度は、シリコン系界面活性剤の場合は10〜10000ppm程度が好ましく、20〜2000ppm程度が特に好ましい。ポリエチレングリコール系界面活性剤の場合は0.1〜40%程度が好ましく、1〜20%程度が特に好ましい。ノニオン系界面活性剤の濃度がこれより低いと、十分な表面平滑性向上効果を得ることが難しくなる。一方、ノニオン系界面活性剤の濃度が高くなりすぎると、得られるポリイミドフィルムの平滑性が失われることがある。
カップリング剤やキレート化合物の有機溶媒溶液の塗布量は適宜決めることができ、例えば、1〜50g/m2が好ましく、2〜40g/m2がさらに好ましく、3〜30g/m2が特に好ましい。塗布量は、両方の面が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
湿式メッキプロセスとは、ポリイミドフィルムの変性した表面をアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる金属層を形成する工程とを有し、
好ましくは少なくともアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸水溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる無電解金属めっき層を形成する工程、無電解金属めっき層を給電層として電解金属めっきにより電解金属めっき層を形成する工程とを有し、
さらに好ましくは少なくともアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸水溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解下地金属めっき工程、無電解金属めっきによる無電解金属めっき層を形成する工程、無電解金属めっき層を給電層として電解金属めっきにより電解金属めっき層を形成する工程の順に行うことを挙げることが出来る。
1)アルカリ溶液で処理する工程として、アルミニウム酸化物、チタン酸化物及びシリコン酸化物より選ばれる成分により変性されたポリイミドフィルムの変性表面を水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ溶液と噴きつけや浸漬などの方法で接触させる工程であり、例えば水酸化カリウムや水酸化ナトリウム10〜200g/Lの水溶液で25〜80℃、10秒〜10分浸漬処理する方法で行うことが出来る。
2)塩基性アミノ酸水溶液で処理する工程として、上記1)の工程後、ポリイミドフィルムの変性した表面を、アミノ酸を含む塩基性溶液を用いて、噴きつけや浸漬などの方法で接触させる工程であり、例えば水酸化カリウムでpHを6に調整したリシン塩酸塩やアルギニン塩酸塩30〜300g/L水溶液で30〜60℃、10秒〜10分浸漬処理する方法で行うことが出来る。
3)触媒を付与する工程として、上記2)の工程後、ポリイミドフィルムの表面が無電解下地金属めっきが可能になるように、ポリイミドフィルムの変性した表面の一部又は全部に触媒を吸着などの方法で付与する工程であり、例えば、ポリイミドフィルムの表面イオン性パラジウム触媒溶液で30〜60℃、1〜10分間浸漬してパラジウムイオンを吸着させ、その後、還元溶液に浸して、パラジウムイオンを金属パラジウムに還元させる工程である。
4)無電解下地金属めっき工程として、上記3)の工程後、無電解銅メッキの前に、ニッケル、インジウム、亜鉛などの下地金属層を無電解メッキ法により形成する工程であり、例えば市販の無電解ニッケルめっき浴で、35℃25〜45℃で2分〜10分間浸漬することにより行うことができる。
5)無電解金属めっきによる無電解金属めっき層を形成する工程として、上記4)の工程後、無電解下地金属めっき層の表面に無電解銅めっきにより、無電解銅層を形成する工程であり、例えば市販の無電解置換銅めっき浴で、25℃〜40℃で30秒〜5分間浸漬することにより行うことができる。
6)無電解金属めっき層を給電層として電解金属めっきにより電解金属めっき層を形成する工程について、上記5)の工程後、無電解銅めっき層の表面に、電解銅メッキ法により、電解銅層を形成する工程であり、例えば、市販の硫酸銅めっき浴で、10〜30℃、陰極電流密度1〜10A/dm2で5〜60分電解により行うことができ、ポリイミド金属積層体を製造することが出来る。
また、ここでは導電層として銅を形成する場合を示したが湿式めっき可能な金属であれば何ら制限されることは無く、また、良質な導電層の厚みを十分得る為の例として、ここでは電解銅めっき層を形成し、下地層と電解銅めっきの密着性向上のための無電解銅めっき層を形成しているが、要求性能により無電解めっきだけでもよいし、若しくは下地層を導電層とした電解めっきだけでもよいし、電解めっきの電極層として無電解めっきで形成された金属とは異なる金属を電解めっきにより形成したものでもよい。また、下地層形成が不用なプロセスであれば、この発明においても下地層の形成は必須ではない。
一例として、絶縁基板上に配線パターンが形成された内層基板上に、片面若しくは両面を変性されたポリイミドフィルムの変性した表面が外側になるように積層し、その後必要に応じてポリイミドフィルムを貫通するビアを形成し、
積層したポリイミドフィルムの外面及び形成したビアの一部又は全部を湿式めっきプロセスにより金属層を形成して、多層金属積層体を得ることが出来る。
別の一例として、絶縁基板上に配線パターンが形成された内層基板上に、ビアを有する変性されたポリイミドフィルムの変性した表面が外側になるように積層し、積層したポリイミドフィルムの外面及びビアの一部又は全部を湿式めっきプロセスにより金属層を形成して、多層金属積層体を得ることが出来る。
本発明のポリイミド金属積層体又は多層金属積層体は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などの公知の方法により金属配線を形成されている配線基板を製造することが出来る。
撹拌機、窒素導入管および還流管を備えた300mlガラス製反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド183gおよび0.1gのモノステアリルリン酸エステルトリエタノ−ルアミン塩、0.1g(固形分)の平均粒径0.08μmのコロイダルシリカを加え、撹拌および窒素流通下、パラフェニレンジアミン10.81g(0.1000モル)を添加し、50℃に保温し完全に溶解させた。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.229g(0.09935モル)を発熱に注意しながら除々に添加し、添加終了後50℃に保ったまま5時間反応を続けた。この後、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2水和物0.2381g(0.00065モル)を溶解させた。得られたポリアミック酸溶液は褐色粘調液体であり、25℃における溶液粘度は約1500ポイズであった。
参考例1で製造したポリアミック酸溶液をガラス基板上に流延塗布し、150℃で10分間乾燥し、基板から剥がしして自己支持性フィルムを製造した。自己支持性フィルムの両端をフレーム上に拘束して、200℃で3分間、300℃で3分間、480℃で4分間熱処理して厚み25μmのポリイミドフィルムBを得た。ポリイミドフィルムBは、50〜200℃での熱膨張係数は15×10−6cm/cm/℃(MD、TDの平均)であった。
参考例1の自己支持性フィルムの両端をフレーム上に拘束して、2質量%のアルミニウムキレ−ト化合物(エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート)のDMAc溶液を塗布する代りに、5質量%の濃度でシランカップリング剤(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を含有するN,N−ジメチルアセトアミド溶液(約10g/m2で塗工)を用いた以外は、参考例1と同様に加熱イミド化して、厚み25μmのポリイミドフィルムCを得た。
参考例1で得たアルミ変性ポリイミドフィルムAと参考例3で得たシリコン変性ポリイミドフィルムC及びを市販のポリイミドフィルム(商品名:UPILEX−S、宇部興産社製)を用いて、以下に示す湿式メッキプロセスにより、ポリイミドフィルムの変性された表面に厚み10μmの銅層を有する2種類のポリイミド銅積層体(A、C)を得た。
ポリイミド銅積層体A及びポリイミド銅積層体Cを用いて、金属層とポリイミドフィルムとの初期引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))、大気中150℃・168時間後の引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))を測定し、結果を表1に示す。
1)アルカリ処理工程:水酸化カリウム50g/Lの水溶液で50℃、5分浸漬処理。
2)塩基性アミノ酸処理工程:水酸化カリウムでpHを6に調整したL−リシン塩酸塩180g/L水溶液で50℃、1分浸漬処理。
3)触媒付与処理工程:
・プレディップ(荏原ユージライト社製PC−64H)室温、1分浸漬処理
・アクチベーター(荏原ユージライト社製PC−65H)50℃、5分浸漬処理
・アクセレレータ(荏原ユージライト製社PC−66H)室温、5分浸漬処理
4)無電解下地ニッケルめっき工程:無電解ニッケルめっき浴((荏原ユージライト社製ENILEXNI−100)35℃、5分浸漬処理
5)無電解銅めっき工程:無電解置換銅めっき浴(硫酸銅75g/L、硫酸180g/Lの水溶液)室温、2分浸漬処理
6)電気銅めっき工程:硫酸銅めっき浴(荏原ユージライト社製Cu−Brite21)30℃、陰極電流密度3A/dm2で30分電解
実施例1の変性ポリイミドフィルムの代りに、市販の酸成分としてs−BPDAを用いているポリイミドフィルム(商品名:UPILEX−S、宇部興産社製)を用いて、以下に示す湿式メッキプロセスにより、ポリイミドフィルムの表面に厚み10μmの銅層を形成した。しかしポリイミドフィルム(商品名:UPILEX−S、宇部興産社製)の表面に、銅層が形成されたものの密着力は非常に弱く、ピ−ル強度測定以前に剥離した。
実施例1で得たポリイミド銅積層体Aを用いて、塩化第2鉄による公知のエッチング法により銅の一部を除去して、40μmピッチの櫛型電極を形成し、櫛型電極上に保護膜(味の素社製ABF−LE、150℃2時間硬化)を真空プレスで形成し、85℃、85%Rhの環境下52Vのバイアス電圧を印加して絶縁信頼性試験を行い、結果を図1に示す。1000時間経過においても絶縁性の劣化は全く認められなかった。
Claims (11)
- 片面若しくは両面をアルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤より選ばれる成分により変性されたポリイミドフィルムの変性した表面に、湿式めっきプロセスにより金属層を形成したポリイミド金属積層体であり、
湿式めっきプロセスは、ポリイミドフィルムの変性した表面をアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる金属層を形成する工程とを有し、
ポリイミドは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする
芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られることを特徴とするポリ
イミド金属積層体。 - 変性されたポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られ
るポリイミド前駆体の溶液を支持体上に流延塗布し、加熱して製造されたポリイミド前駆
体溶液の自己支持性フィルムの片面若しくは両面にアルミニウムキレート化合物、アルミ
ニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤から選ばれた成
分を含む溶液を塗布し、これを加熱してイミド化して得られるフィルムであることを特徴
とする請求項1に記載のポリイミド金属積層体。 - 金属層は、無電解ニッケルめっきによる無電解ニッケルめっき層であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド金属積層体。
- 金属層は、無電解ニッケルめっき層にさらに無電解銅めっきを施して無電解銅めっき層
を形成し、無電解ニッケルめっき層及び無電解銅めっき層から選ばれるめっき層を給電層
としてさらにめっき層に電解銅めっきによる電解銅めっき層を形成した層であることを特
徴とする請求項3に記載のポリイミド金属積層体。 - ポリイミド金属積層体は、金属層とポリイミドフィルムとの初期引き剥がし強度(90
度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上で、150℃空気中168時間処理
後の引き剥がし強度(90度ピ−ル試験(5cm/分))が0.5kN/m以上であるこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド金属積層体。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド金属積層体を用いて、
ポリイミド金属積層体の金属層の一部をエッチングにより除去することにより金属配線を
形成した配線基板。 - 絶縁基板上に配線パターンが形成された内層基板上に、片面若しくは両面をアルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤より選ばれる成分により変性されたポリイミドフィルムの変性した表面が外側になるように積層し、その後ポリイミドフィルムを貫通するビアを形成し、積層したポリイミドフィルムの外面及び形成したビアの一部又は全部を湿式めっきプロセスにより金属層を形成した多層金属積層体であり、
湿式めっきプロセスは、ポリイミドフィルムの変性した表面と形成したビアの内面とをアルカリ溶液で処理する工程、塩基性アミノ酸溶液で処理する工程、触媒を付与する工程、無電解金属めっきによる無電解金属めっき層を形成する工程とを有し、
ポリイミドは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする
芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られることを特徴とする多層金属積層体。 - 変性されたポリイミドフィルムは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られ
るポリイミド前駆体の溶液を支持体上に流延塗布し、加熱して製造されたポリイミド前駆
体溶液の自己支持性フィルムの片面若しくは両面にアルミニウムキレート化合物、アルミ
ニウムカップリング剤、チタンカップリング剤及びシランカップリング剤から選ばれた成
分を含む溶液を塗布し、これを加熱してイミド化して得られるフィルムであることを特徴
とする請求項7に記載の多層金属積層体。 - 金属層は、無電解ニッケルめっきによる無電解ニッケルめっき層であることを特徴とす
る請求項7又は請求項8に記載の多層金属積層体。 - 金属層は、無電解ニッケルめっき層にさらに無電解銅めっきを施して無電解銅めっき層
を形成し、無電解ニッケルめっき層及び無電解銅めっき層から選ばれるめっき層を給電層
としてさらにめっき層に電解銅めっきによる電解銅めっき層を形成した層であることを特
徴とする請求項9に記載の多層金属積層体。 - 請求項7〜10のいずれか1項に記載の多層金属積層体の金属層の一部をエッチングにより除去することにより金属配線を形成した多層配線基板。
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