JP5071622B2 - 容器詰め飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
この方法は、充填・密封後の後殺菌工程が不要であるので、長大な設備であるパストライザーが不要であり、従来のホットパック法と比べて設備コスト・ランニングコストを削減できると共に、容器の減圧変形耐性に関する条件を緩和できるという利点を有するものであるが、密封後の冷却工程を必要とすると共に、従来のホットパック法と比べて緩和はされているが、内容物の熱劣化による風味や香味の低下、且つ容器の減圧変形耐性の要求は避けられないという問題点がある。
そこで、本発明は、上記提案した充填システムをさらに改善して、常温充填を可能にして内容物の熱劣化を緩和して風味や香味を良好に維持することができ、耐熱容器を用いる必要がなく、しかも密封後の加熱殺菌や冷却を必要とせず、且つアセプティック充填法のような薬剤や無菌水の大量使用を不要として、大幅な設備コストとランニングコストの低下を図ることができる新規な充填密封システムからなる容器詰め飲料の製造方法を提供することを目的とするものである。
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の容器詰め飲料の製造方法において、前記飲料がpH4.6以上でカテキン含有量が30mg%以上の飲料であり、該飲料を135℃、7.58秒の加熱殺菌と同等以上の殺菌値で加熱殺菌することを特徴とするものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の容器詰め飲料の製造方法において、前記飲料がpH4.6未満の酸性飲料であり、該酸性飲料を85℃、30分の加熱殺菌と同等以上の殺菌値で加熱殺菌することを特徴とするものである。
さらに、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰め飲料の製造方法において、前記環境管理空間がボックス内に収容された空間であることを特徴とするものである。
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜5に記載された容器詰め飲料の製造方法において、前記貯留タンクは無菌ガスで陽圧保持し、該貯留タンクから充填機への液送は、無菌ガスによる圧送であることを特徴とするものである。
さらにまた、請求項7に係る発明は、請求項1〜6に記載された容器詰め飲料の製造方法において、容器及びキャップ殺菌洗浄・充填・密封する周辺環境を予め殺菌・洗浄する薬剤として、過酢酸系薬剤、過酸化水素、オゾン系薬剤、次亜塩素酸を含有する塩素系殺菌剤のいずれかを用いるようにした。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の効果に加え、飲料がpH4.6以上でカテキン含有量が30mg%以上の飲料の場合、該飲料を135℃、7.58秒の加熱殺菌と同等以上の殺菌値で加熱殺菌するが、殺菌後常温まで急速冷却するので、熱劣化を緩和することができ、香味を維持することができる。そして、pH4.6以上でカテキン含有量が30mg%以上の飲料は、充填密封後における環境が芽胞菌が生存できない環境であるので、容器を飲料充填前に温水で殺菌・洗浄することで充填後のパストライザーでの殺菌を必要としない。
同様に請求項4の発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、前記飲料がpH4.6未満の酸性飲料の場合、該酸性飲料を85℃、30分と同等以上の殺菌値で加熱殺菌することで、密封後の菌の生育を防止することができ、且つ加熱殺菌後急速に冷却するので、風味や成分の劣化を防止することができ、しかも容器を飲料充填前に温水で殺菌・洗浄することで充填後のパストライザーでの殺菌を必要としない。
請求項5の発明によれば、容器の熱水殺菌、内容物の充填、容器の密封を行なう環境管理空間をボックス内に収容された空間とすることにより、該空間を外部と隔離し、外部環境からの汚染を防止することができる。
請求項6の発明によれば、以上の効果に加え、前記貯留タンクから充填機へ無菌ガスによって圧送することで、微細部分の殺菌が困難なポンプを使用せずに液送することができ、液送機構の無菌化を容易に図ることができるとともに、経路内の陽圧化による外気の進入を防止でき、飲料が外気によって汚染されるおそれがない。
さらに、請求項7の発明は、指定される薬剤によって、容器及びキャップ殺菌洗浄・充填・密封をする周辺環境を予め殺菌・洗浄するので、より確実な滅菌効果が上げられる。
本発明が適用される飲料は、pH4.6以上でカテキン含有量が30mg%以上の緑茶、ウーロン茶等の飲料、pH4.6未満の酸性飲料である。前記酸性飲料には、天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果汁入り清涼飲料、果粒入り果実飲料、レモンティー、スポーツドリンク等が含まれる。
図1に示す本実施形態の容器詰飲料の製造ラインにおいて、ボトル殺菌・洗浄装置10、充填機11、キャッパー12及びキャップ殺菌・洗浄装置(図示してない)は、環境管理空間14を形成するクリーンボックス15内に設置されている。なお、本明細書において、「環境管理空間」とは、予め充填・密封装置およびその周辺環境を薬剤で殺菌・洗浄して外界と隔離した空間を意味し、内部には無菌エアが供給され、外部に対して陽圧化され、外気が容易に流入しないようにしている。周辺環境の殺菌・洗浄は、容器詰飲料のライン稼働開始に先立って行うものであり、図1に示すように、クリーンボックス15内に、回転式の薬剤・熱水兼用の噴射ノズル16及び容器殺菌・洗浄装置10、充填機11、キャッパー12の容器と接触する部分に向けて集中的に薬剤または熱水を噴射する固定の噴射ノズル17を適宜配置してある。
また、本発明はクリーンボックスを薬剤で殺菌するので、使用薬剤や濃度によっては殺菌処理後の洗浄には上記のように温水を使用せずに無菌水を用いて洗浄するだけでも良い。この場合は切替弁4には三方弁を用い無菌水のタンクとも接続する変形構成をとることが必要である。
またオゾン系のものなど使用する薬剤によっては洗浄が必要とされないものもある。
飲料をボトルへ充填・密封するライン2の稼働中は、充填前の容器に熱水を噴射することによって加熱殺菌が行われるが、その際には図2においてボトル殺菌・洗浄室からの切替弁5は図の左側すなわち、温水タンク2に連通した形態でなされるので、その処理水は温水タンク2に環流され、再利用される。予め薬剤によって殺菌された環境管理空間14に外部から搬入されるボトルは一般的に清潔であり、仮に若干の菌付着があったとしてもここで殺菌・洗浄処理されているため、処理水の汚染はほとんど無いので再利用が可能であって、この点も排水量の削減に貢献する。外部から搬入されるキャップはボトルほど清潔でないので、キャップを殺菌・洗浄したキャッピング室からの処理水は切替弁5を図の右側すなわち、排水タンク3に連通した形態とし、再利用せずに排水タンクに流される。1回の充填・密封作業における洗浄水等の処理量は先の薬剤洗浄水とこのキャップの殺菌・洗浄に用処理水の合計となる。
すなわち、容器洗浄・充填・密封をする管理空間を予め40℃,濃度2000ppmの過酢酸系薬剤(商品名:トーヨーアクティブ)を用いて10分間殺菌した後90℃の熱水で洗浄し、B. subtilis, B. coagulans といった芽胞菌に対し6D以上の殺菌効果が確認された。また、熱水で90℃、3秒間の加熱殺菌・洗浄したボトルに、135℃、30秒の高温短時間の加熱殺菌後、常温まで急速冷却した緑茶飲料を、予め内容物の殺菌値以上に殺菌・洗浄されて無菌ガスで陽圧化されている貯留タンクに貯留し、そこからヘッドタンクに無菌ガスで圧送して充填機に供給して、管理空間内で予め熱水で殺菌洗浄されたボトルに充填し、且つ予め殺菌・洗浄されたキャップで密封した。なお、急速冷却器から充填機までの液経路は、無菌ガスで陽圧化され外気と遮断された閉鎖経路となっている。
以上のようにして得られた、製造終了直後の緑茶飲料について従来のホットパック法によって製造した場合との緑茶の色調、風味の変化を調べるために、緑茶のpH値、色調、ビタミンCをそれぞれ測定した。また、嗜好性について官能試験を実施した。それらの結果を表2、表3及び表4に示す。
また、ビタミンCの測定は、調合後の未加熱状態の濃度を測定し、且つ製造終了直後の飲料における濃度を測定し、残存率を調べた。
官能試験は、2点識別法に比べて正確性が高い三点識別法で実施し、比較対象とする2種類の茶飲料(実施例1のA、比較例1のB)を、A−A−B、A−B−B等3本を適宜組合せて用意し、それを20名のパネラーに試飲させて、両者の識別と嗜好性官能評価をさせた。
すなわち、容器洗浄・充填・密封をする管理空間を予め40℃,濃度2000ppmの過酢酸系薬剤(商品名:トーヨーアクティブ)を用いて10分間殺菌した後90℃の熱水で洗浄。また、熱水で90℃、3秒間の加熱殺菌・洗浄したボトルに、94.5〜96℃、30秒の高温短時間の加熱殺菌を行った後、常温(本実施例では31℃〜32℃)まで急速冷却した酸性飲料を、予め内容物の殺菌値以上に殺菌・洗浄されて無菌ガスで陽圧化されている貯留タンクに貯留し、以下実施例1と同様な方法でボトル詰酸性飲料を得た。なお、その場合の充填温度は30℃であった。そして、実施例1の場合と同様、製造終了直後の酸性飲料について従来のホットパック法によって製造した場合との酸性飲料の色調、風味の変化を調べるために、緑茶のpH値、色調、ビタミンCをそれぞれ測定した。それらの結果を表5、表6に示す。
以上のようにして得られた緑茶飲料について、製造終了直後(この場合は冷却後)の飲料について、実施例1と同様にして、緑茶の色調、風味の変化を調べるために、緑茶のpH値、色調、ビタミンCをそれぞれ測定した。また、実施例と同様な方法で3点識別法を用いて両者の識別と官能評価を行った。それらの結果を実施例1と共に表2〜表4に示す。
以上のようにして得られた酸性飲料について、製造終了直後(この場合は冷却後)の飲料について、実施例2と同様にして、100%オレンジジュースの色調、風味の変化を調べるために、そのpH値、色調、ビタミンCをそれぞれ測定した。それらの結果を実施例2と共に表5、表6に示す。
茶飲料の場合
pH値、色調:
上記実施例1で製造した2LのPETボトル詰緑茶飲料を、常温で2週間の保管後内容物の微生物変敗状態を目視により観察した。その結果、緑茶飲料の状態は良好で、微生物変敗による濁りはまったく観察されなかった。
pH値、色調:
実施例1、2と比較例1、2についての、色調測定、pH値測定、ビタミンC残存率の何れの点においても、実施例のものが比較例に比べて優れており、新鮮な色調を保持しビタミンCの残存率も高く、品質に優れた飲料が得られていることが確認された。そして、実施例1と比較例1についてのパネラー官能試験の結果でも圧倒的に実施例のものが嗜好性が高い結果となっており、本発明の容器詰飲料の製造方法を茶飲料及び酸性飲料に適用した場合の有効性が確認された。
3 排水タンク 4,5 切替弁
10 ボトル殺菌・洗浄装置 11 充填機
12 キャッパー 14 環境管理空間
15 クリーンボックス 16 回転式の熱水噴射ノズル
17 固定式の熱水噴射ノズル 20 調合タンク
21 バランスタンク 22 高温短時間殺菌機
23 急速冷却機 25 貯留タンク
26 ヘッドタンク
Claims (7)
- 容器及びキャップ殺菌洗浄・充填・密封をする周辺環境を予め薬剤を用いて殺菌し、洗浄する工程、冷却機から貯留タンクを経て充填機に至るまでの送液経路を充填する飲料の加熱殺菌条件と同等以上の条件で予め加熱殺菌・洗浄する工程、容器及びキャップの少なくとも内面を65℃〜100℃の温水で加熱殺菌・洗浄する工程を有し、充填する飲料を所定の殺菌値まで加熱殺菌を行った後、常温まで急速冷却し、該冷却された飲料を前記貯留タンクに貯蔵し、前記充填機に内容液を送ることによって前記送液経路を外部から空気の侵入のない閉鎖経路にし、且つ前記周辺環境を外界と隔離した環境管理空間として、該管理空間の中で前記飲料を前記殺菌済み容器に常温充填して密封することを特徴とする容器詰め飲料の製造方法。
- 周辺環境の薬剤を用いた殺菌後の洗浄には65℃〜100℃の温水を用いて殺菌機能も兼ねさせることを特徴とする請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 前記飲料がpH4.6以上でカテキン含有量が30mg%以上の飲料であり、該飲料を135℃、7.58秒と同等以上の殺菌値で加熱殺菌する請求項1または2に記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 前記飲料がpH4.6未満の酸性飲料であり、該酸性飲料を85℃、30分と同等以上の殺菌値で加熱殺菌する請求項1または2に記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 該環境管理空間はボックス内に収容された空間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 前記貯留タンクは無菌ガスで陽圧保持し、該貯留タンクから充填機への液送は、無菌ガスによる圧送であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器詰め飲料の製造方法。
- 容器及びキャップ殺菌洗浄・充填・密封をする周辺環境を予め殺菌洗浄する薬剤として、過酢酸系薬剤、過酸化水素、オゾン系薬剤、次亜塩素酸を含有する塩素系殺菌剤のいずれかを用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器詰め飲料の製造方法。
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