JP5641252B2 - 容器の殺菌・洗浄システム - Google Patents
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Description
温水殺菌と薬剤殺菌はその殺菌性に違いがあるため、温水殺菌の適用はそのボトルに充填される内容物によって制限を受けることになる。例えば、pH4.6以上の低酸性飲料の中で温水殺菌を適用することが出来る充填内容物としては、カテキンで静菌性を有する緑茶飲料、ウーロン茶、ミネラルウォータ等が挙げられ、一方pH4.6以下の酸性飲料では果汁飲料、スポーツ飲料等が挙げられ、その他には充填後の流通温度を10℃以下にしたチルド飲料も対象となる。また、温水殺菌を適用することが出来ない充填内容物としては麦茶またはミルクコーヒー等がある。
このように充填システムの殺菌・洗浄工程を薬剤殺菌工程で組み立てた場合、充填内容物には制限がないものの、静菌性を有する充填内容物に対しても、必要のない薬剤殺菌を適用しなければならず、その結果余分なコストが発生することになる。一方、充填システムの殺菌・洗浄工程を温水殺菌工程で組み立てた場合、上述した通り、充填内容物に制限があり、適用することが出来ない充填内容物が存在する。この場合、薬剤殺菌を有する充填システムが別途必要となり、ボトルの殺菌・洗浄に係るコストが増大することになる。
ところで、回転体に等間隔で複数のボトルグリッパと、これら各グリッパに対応するノズルと、複数種類の流体(液体)をノズルに供給する複数の流体供給源と、ノズルと流体供給源との間の通路を断続するロータリバルブを備えたロータリ式洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。このロータリ式洗浄装置は、ホイールの中心角の一部を一次洗浄領域、二次洗浄領域および水切り領域に各々割り当てて、ホイールの回転に伴ってボトルが一次洗浄領域または二次洗浄領域を通過する際に、ロータリバルブがノズルと流体との間の通路を順次接続して異なる流体をノズルに順次供給し、ボトルグリッパに保持されているボトルに異なる流体が順次噴射されるように構成されている。
しかし、上記ロータリ式洗浄装置では、下記の問題点を有している。例えば、一つのロータリ内で一次洗浄処理と二次洗浄処理を行うため、洗浄用流体によっては運転中の流体噴射ノズル内残留液の次に使用する洗浄流体への置換が困難で運用が難しくなる。また、洗浄流体変更により処理時間も変更する必要がある場合、噴射区間を決めるためのパーツ(特許文献1では長穴長さ変更のための固定プレート)を分解交換しなければならない。また、一次処理時間を長くしたい場合、対応するロータリの割り角(割り当てる角度幅)を変更(θ→θ':θ<θ')しなければならず、その結果、他方の二次処理時間が短くなるという問題点を有している。つまり、上記ロータリ式洗浄装置は、同一のロータリを複数の処理領域に分割し、容器の殺菌・洗浄処理を実施しているため、一次処理時間を長くする場合は必然的に二次処理時間は短くなるという問題点を有している。更に、ボトルを殺菌・洗浄する処理時間は、ロータリの回転速度と半径が一定の場合は、ロータリの割り角θに依存するため、結果的に処理時間の調整幅が狭いという問題点を有している。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、常に容器の種類およびその充填内容物に応じた最適な殺菌・洗浄工程を実施することができ、殺菌・洗浄に係る低コストを実現することが可能な容器の殺菌・洗浄システムを提供することにある。
前記容器搬送・液体噴射装置に異なる種類の液体を供給する複数の液体供給手段と、該複数の液体供給手段を切り換える切換手段とを前記容器搬送・液体噴射装置の外部に備えた、殺菌部及び洗浄部からなる容器の殺菌・洗浄システムにおいて、
前記複数の液体供給手段が、薬剤供給手段、無菌温水供給手段、常温無菌水供給手段、及び低温無菌水供給手段の内の少なくとも二種類の供給手段から成り、
前記殺菌部が使用目的に応じて薬剤供給手段または無菌温水供給手段を切り替え可能とし、
前記殺菌部及び洗浄部は複数のホイールで構成されると共に、各ホイール毎に1つのノズル噴射弁が配置されたことを特徴とするものである。
前記容器の殺菌・洗浄システムでは、液体供給システムを備える殺菌部の薬剤供給手段または無菌温水供給手段、及び洗浄部の常温無菌水供給手段または低温無菌水供給手段を使用目的に応じて切り換えることで、多用途に使用可能なシステムとなる。
上記容器の殺菌・洗浄システムでは、切換手段を上記構成とすることにより、簡便に噴射液を切り換え可能となる。
20 ボトル殺菌部
30 ボトル洗浄部
40 充填密封部
50 薬剤供給源
60 無菌水供給源
70 殺菌ノズル噴射弁ユニット
80 洗浄ノズル噴射弁ユニット
90 バルブ制御ユニット
100 容器の殺菌・洗浄システム
この容器の殺菌・洗浄システム100は、本発明の容器の殺菌・洗浄システムを、ペットボトルの無菌充填システムに適用した場合を示す。このペットボトルにおける容器の殺菌・洗浄システム100の構成は、ペットボトルを殺菌工程へ逐次供給するボトル供給部10と、ボトル供給部10から受け取ったペットボトルを殺菌処理するボトル殺菌部20と、ペットボトルを無菌水等で洗浄または冷却するボトル洗浄部30と、殺菌処理されたペットボトルに飲料を充填して「殺菌処理済みキャップ」にて密封する充填密封部40と、ボトル殺菌部20およびボトル洗浄部30に殺菌・洗浄液体を供給する液体供給系とを具備して構成されている。なお、液体供給系の詳細については、図2を参照しながら後述する。ボトル殺菌部20及びボトル洗浄部30は搬送装置としてホイールで構成され、さらにホイールの外周端部に設けられたペットボトルへ液体を噴射するための液体噴射装置として、ノズルが流路切換弁を介して複数の種類の液体供給源に接続されている。ここで、液体供給切換手段として設けられている切換弁は、液体噴射装置95の外部に設けられている。そのため、個々の液体噴射装置95に複数のノズルを備える場合、1つの切換弁でその噴射装置内全ての液体供給を切り換えられるので簡便である。なお、液体供給切換手段は、後述のボトル殺菌部20、ボトル洗浄部30内部に配置されていても良いが、図のように外部に配置された方が、切換手段のメンテナンスを行う際、ボトル殺菌部20、ボトル洗浄部30内に立ち入る必要がないため簡便にメンテナンスを行うことが出来るので好ましい。また、各ホイールにおいて斜線部で示されている範囲が、液体を噴射できる最長区間である。
この液体供給系統は、下流側の各殺菌ノズルへ薬剤を供給する薬剤供給源50と、下流側の各殺菌ノズルまたは各洗浄ノズルへ無菌水を供給する無菌水供給源60と、殺菌ノズル噴射弁ユニット70と、洗浄ノズル噴射弁ユニット80と、全てのバルブのON/OFF及びON時間を制御するバルブ制御ユニット90とから成る。
この殺菌・洗浄工程の形態は、ペットボトルを殺菌部20の薬剤で殺菌し、薬剤が付着したペットボトルを、洗浄部30の常温無菌水で濯ぐものである。従って、流路切換弁CV1は薬剤51の流路と殺菌ノズル噴射弁ユニット70の殺菌ノズル噴射弁V1,V2,V3,V4を接続し、さらに殺菌ノズル噴射弁V5とは、流路切換弁CV3を流路切換弁CV1側(薬剤側)に切り換えることで接続する。他方、流路切換弁CV2は常温無菌水62と洗浄ノズル噴射弁ユニット80の洗浄ノズル噴射弁V6,V7を接続する。また、連結弁SV3は閉とする。
最後に、ペットボトルをホイール33,34で搬送しながら付着した常温無菌水をドレンし、図2に示すように充填密封部40へ引き渡す。
この殺菌・洗浄工程の形態は、ペットボトルを殺菌部20の高温無菌水で殺菌し、この高温化したペットボトルを、洗浄部30の低温無菌水で冷却するものである。従って、流路切換弁CV1は高温無菌水61の流路と殺菌ノズル噴射弁ユニット70の殺菌ノズル噴射弁V1,V2,V3,V4を接続し、さらに殺菌ノズル噴射弁V5とは、流路切換弁CV3を流路切換弁CV1側(高温無菌水側)に切り換えることで接続し、他方、流路切換弁CV2は低温無菌水63の流路と洗浄ノズル噴射弁ユニットV6,V7を接続する。また、連結弁SV3は閉とする。
尚、前述した殺菌部20の高温無菌水によるペットボトルの加温が厳しくない場合は、低温無菌水の代わりに常温無菌水を使ってもよい。
この殺菌・洗浄工程の形態は、ペットボトルを殺菌部20の高温無菌水で殺菌し、この高温化したペットボトルを殺菌部20に供給した低温無菌水で冷却し、さらに、洗浄部30の低温無菌水で冷却するものである。
また、単一のシステムで容器の殺菌、洗浄、冷却または濯ぎに係る複数の処理を行うことが可能となり、殺菌・洗浄に係るコストが好適に低減する。
また、図7(a)に示すように液体噴射装置を備えた搬送装置も少なくとも2台備わっていれば、各液体噴射装置の液体噴射時間が固定されている場合でも液体噴射する搬送装置を選定することで噴射時間の変更が可能であり有用である。図7(a)の場合は、液体噴射装置を1台使用する場合のθと、2台使用する場合の2θの2通りの変更が可能である。さらに、図7(b)に示すように液体噴射区間幅が液体噴射する搬送装置で2種類以上異なっていると、組み合わせに幅ができ、設定できる時間の種類も増える。図7(b)の場合は液体噴射装置の組み合わせによってθa、θb、θa+θbの3通りの変更が可能である。
Claims (3)
- 容器を搬送する搬送装置と、搬送する前記容器に液体を噴射する液体噴射装置とから成る容器搬送・液体噴射装置を備え、
該容器搬送・液体噴射装置に異なる種類の液体を供給する複数の液体供給手段と、該複数の液体供給手段を切り換える切換手段とを前記容器搬送・液体噴射装置の外部に備えた、殺菌部及び洗浄部からなる容器の殺菌・洗浄システムにおいて、
前記複数の液体供給手段が、薬剤供給手段、無菌温水供給手段、常温無菌水供給手段、及び低温無菌水供給手段の内の少なくとも二種類の供給手段から成り、
前記殺菌部が使用目的に応じて薬剤供給手段または無菌温水供給手段を切り替え可能とし、
前記殺菌部及び洗浄部は複数のホイールで構成されると共に、各ホイール毎に1つのノズル噴射弁が配置されたことを特徴とする殺菌・洗浄システム。 - 前記洗浄部は、径の異なる大小のホイールから構成され、充填内容物及び容器種類に応じて常温無菌水供給手段または低温無菌水供給手段を切り換え可能としたことを特徴とする請求項1に記載の容器の殺菌・洗浄システム。
- 前記切換手段は流路切換弁であり、該流路切換弁は前記ホイールごとのノズル噴射弁に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器の殺菌・洗浄システム。
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