JP5071085B2 - エキシマ放電ランプ - Google Patents
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Description
エキシマ放電ランプは、一対の電極間に配置された希ガス等の放電用ガスを放電させてエキシマ分子を形成し、エキシマ分子が解離する過程で放射されるエキシマ光を利用するものである。
而して、近時においては、表面処理されるべき被光照射対象物(被処理体)例えば液晶基板の大型化に伴って、長尺なエキシマ放電ランプが必要となってきており、例えば、略直方体形状のガラス製放電容器を備えてなり、放電容器における一対の対向壁の各々の外面に外部電極が配設され、放電容器内に放電用ガスが封入された構成のエキシマ放電ランプが普及してきている(特許文献1参照)。
このような構成のエキシマ放電ランプによれば、被光照射対象物とエキシマ放電ランプによる光照射面との間の距離を被光照射対象物の面方向に対して一定にすることができて照射効率を高めることができる、とされている。
そして、放電容器に反りが生じたままの状態で使用し続けると、被光照射対象物を所望の紫外線照度分布で光照射することができなくなるばかりか、例えば放電ランプの両端部を固定支持した場合には、放電容器に機械的歪が生じ、紫外線歪と機械的歪との両方の影響を受けることによって放電容器が破損に至るおそれがあることが明らかになった。
前記対向壁の一方の内壁面には、少なくともシリカ粒子を含む紫外線散乱粒子よりなる紫外線反射膜が形成されており、
前記対向壁の他方の内壁面と、これと略垂直に連続する側壁の内壁面とにより形成される少なくとも隅部に、前記放電容器の長手方向の全域にわたって伸びるように、紫外線反射膜が形成されていることを特徴とする。
このエキシマ放電ランプ10は、例えば合成シリカガラスよりなり、両端が封止されて内部に放電空間Sが形成された、外形が管軸方向に長尺な扁平な略直方体形状の放電容器11を備えており、放電空間S内には、例えばキセノンガスなどのエキシマ発光ガスが封入されている。
このような外部電極18は、例えば、金属よりなる電極材料を放電容器11にペースト塗布することにより、あるいは、プリント印刷することによって形成することができる。
紫外線反射膜20の厚みは、例えば10〜1000μmであることが好ましく、これにより、拡散反射による十分な紫外線反射機能を確実に得ることができる。
シリカ粒子の「粒子径」とは、紫外線反射膜20をその表面に対して垂直方向に破断したときの破断面における、厚み方向におけるおよそ中間の位置を観察範囲として、走査型電子顕微鏡(SEM)によって拡大投影像を取得し、この拡大投影像における任意の粒子を一定方向の2本の平行線で挟んだときの当該平行線の間隔であるフェレー(Feret)径をいう。
また、中心粒径を有するシリカ粒子の割合が50%以上であることが好ましい。
シリカ粒子の「中心粒径」とは、上記のようにして得られる各粒子の粒子径についての最大値と最小値との粒子径の範囲を、例えば0.1μmの範囲で、複数の区分例えば15区分程度に分け、それぞれの区分に属する粒子の個数(度数)が最大となる区分の中心値をいう。
シリカ粒子が、真空紫外光の波長と同程度である上記範囲の粒子径を有するものであることにより、真空紫外光を効率よく拡散反射させることができる。
(1)高さh,幅W,長さLの関係がh≦W<Lであること。
(2)幅Wが30〜50mmであること。
(3)長さLが600mm以上であること。
(4)長さLと高さhとの比L/hが40以上であること。
隅部紫外線反射膜25を上述した紫外線反射膜20と同種のもの(粒子堆積体)により構成する場合には、上記紫外線反射膜20の形成方法と同様に、流下法によって形成することができ、その厚みは、例えば10〜1000μmとされることが好ましい。
すなわち、放電容器11における隅部15は、放電容器11の形態的に機械的歪みを有している状態である上、さらに、真空紫外光が照射されることによって放電容器11を構成するシリカガラスが収縮して紫外線歪みが生じるため、エキシマ放電ランプが長時間点灯された場合には、エキシマ放電ランプの反り、あるいは、例えば隅部15における長手方向の中央部にクラックが発生して、破損に至る場合がある。なお、放電容器11における両側壁13,13は共に同等の真空紫外光が照射されるため、実質的に反りの原因とならず、内面に紫外線反射膜20が設けられた上壁12Aと光出射窓16を構成する下壁12Bとの間の紫外線歪みの差が問題になると考えられる。
然るに、放電容器11の隅部15に隅部紫外線反射膜25が形成されていることにより、上記構成のエキシマ放電ランプ10によれば、長時間点灯された場合であっても、放電容器11の下壁12Bを構成するシリカガラスに、紫外線歪が点灯時間の経過に伴って蓄積されることが抑制されるので、放電容器11の上壁12Aを構成するシリカガラスとこれに対向する放電容器11の下壁12Bを構成するシリカガラスとにおける紫外線歪みの差を緩和することができる結果、エキシマ放電ランプ10の反りや破損が生ずることを確実に防止することができ、従って、真空紫外光を所望の光照射分布で長期間の間にわたって確実に放射することができる。
<実験例1>
図1〜図3に示す構成に従って、互いに同一構成の3本の本発明に係るエキシマ放電ランプ(これを、ランプ1〜3とする。)を作製すると共に、隅部紫外線反射膜を有さないことの他は、ランプ1〜3と同一の構成を有する比較用のエキシマ放電ランプ(これを、比較用ランプ1とする。)を作製した。これらのランプ1〜3および比較用ランプ1の基本構成は、以下に示す通りである。
放電容器は、材質がシリカガラスであって、長さL1600mm、高さh15mm、幅W43mm、肉厚が2.5mmであるものである。なお、肉厚の大きさは、エキシマランプの機械的強度の観点から選ばれた厚みであり、例えば2.2±0.8mm(1.4〜3.0mmの範囲内であれば、機械的強度は厚みが変わっても略一定である。
放電容器内に封入される放電用ガスは、キセノンガスであり、その封入量は40kPaである。
外部電極の寸法は、30×1540mmである。
紫外線反射膜は、粒径範囲が0.4〜1.5μm、中心径が0.7μmであるシリカ粒子と、粒径範囲が0.2〜0.5μm、中心径が0.3μmであるアルミナ粒子とよりなり、流下法によって、焼成温度を1100℃として、40μmの厚さで形成した。紫外線反射膜におけるアルミナ粒子の含有割合は10質量%である。
反り量の測定は、図4に示すように、エキシマ放電ランプ(10)の管軸方向の両端部を紫外線反射膜(20)が形成された上壁(12A)を上向きにして(光出射方向が下方となる姿勢で)2点で支持した状態において、支持部(Mb)とランプ中央部(放電容器端部から800mmの位置,Ma)とを測定点として、放電容器(11)の水平位置を基準とする各測定点(Ma,Mb)の高さレベルを、エキシマ放電ランプ(10)の上方からダイヤルゲージを放電容器(11)の上壁(12A)の外表面に接触させることにより測定し、支持部(Mb)の高さレベルとランプ中央部(Ma)の高さレベルとの差(Δb)を算出する。
そして、エキシマ放電ランプ作製直後における高さレベルの差と、1000時間連続点灯させた後における高さレベルの差との差を反り量として算出した。ここに、エキシマ放電ランプ作製直後における高さレベルの差は、自重によるたわみ量を含むものである。
また、放電容器の全長Lが1000mm以上の放電ランプにおいては、点灯時間1000時間あたりの反り量が1.5mm以下であれば、実用上問題はなく、所望の紫外線照射分布を得ることができる。
放電容器の全長Lが1000mm未満であって、放電容器の高さh〔mm〕と、長さ(全長)L〔mm〕との比L/hの値が比較的大きいエキシマ放電ランプにおいて、本発明の効果が奏されるランプ寸法仕様について検証した。
上記実験例1において作製したランプ1において、放電容器の長さLを600mmとすると共に、放電容器の高さhを13mm、15mm、17mmとしたことの他は同一の構成を有する3種類のエキシマ放電ランプ(以下、ランプ4,5および参照用ランプ1とする。)を作製すると共に、隅部紫外線反射膜を有さないことの他はランプ4,5および参照用ランプ1と同一の構成を有する比較用のエキシマ放電ランプ(以下、比較用ランプ2,3,4とする。)を作製した。
また、放電容器の全長Lが1000mm未満であって、長さLと高さhとの比L/hが40以上である放電ランプにおいては、点灯時間1000時間あたりの反り量が0.6mm以下であれば、実用上問題はなく、所望の紫外線照射分布を得ることができる。
例えば、本発明のエキシマ放電ランプにおいては、図5に示すように、紫外線反射膜が形成された放電容器における一対の対向壁の一方の壁と対向する他方の壁12Bの内壁面とこれに略垂直に連続する側壁13の内壁面とにより形成される隅部15と、他方の壁12Bの内壁面における外部電極18が配設されていない領域に相当する電極非配置領域Aとにおいて、紫外線歪蓄積抑制機能を有する紫外線反射膜25が形成された構成とすることができる。
このような構成によれば、放電容器11の隅部15に加えてさらに電極非配置領域Aに紫外線反射膜25が形成されていることにより、電極18が配置された領域におけるシリカガラスと隅部15のシリカガラスとの温度差に起因して隅部15に生ずる熱歪の程度を緩和することができるので、エキシマ放電ランプの反り量軽減効果を一層確実に得ることができる。
11 放電容器
12A 上壁(一方の壁)
12B 下壁(他方の壁)
13 側壁
15 隅部
16 光出射窓(光出射部)
18 外部電極
20 紫外線反射膜
20A 紫外線反射膜
25 紫外線反射膜(隅部紫外線反射膜)
S 放電空間
A 電極非配置領域
Mb 支持部
Ma ランプ中央部
Claims (2)
- 外形が略直方体形状の放電容器を備え、当該放電容器内にエキシマ発光ガスが封入され、当該放電容器における一対の対向壁の各々の外面に外部電極が配設されたエキシマ放電ランプにおいて、
前記対向壁の一方の内壁面には、少なくともシリカ粒子を含む紫外線散乱粒子よりなる紫外線反射膜が形成されており、
前記対向壁の他方の内壁面と、これと略垂直に連続する側壁の内壁面とにより形成される少なくとも隅部に、前記放電容器の長手方向の全域にわたって伸びるように、紫外線反射膜が形成されていることを特徴とするエキシマ放電ランプ。 - 放電容器における、前記対向壁の外面間の距離をh〔mm〕、前記両側壁の外面間の距離をW〔mm〕、前記対向壁および側壁と略垂直に連続する両端壁の外面間の距離をL〔mm〕とするとき、h≦W<Lであって、Wが30〜50mm、Lが600mm以上、L/h≧40であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマ放電ランプ。
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