JP2010003599A - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネル(セル)の蛍光体発光の取り出し効率を考慮して表示輝度を確保しつつ、パネルの基本発光効率やコントラスト等の特性の向上または確保を実現できる技術を提供する。
【解決手段】本PDP製造方法では、前面基板構造体11における膜面(表示面40(前面)とは反対側の放電空間13(放電セル30)に向く側の第1の面41)において、前面基板構造体11のヘイズが10%以上〜70%以下となるように凹凸形状を形成する工程を有する。凹凸は例えば保護層4表面にサンドブラスト方法などによって形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)製造方法に関し、特に、セル構造やコントラスト及び表示輝度の特性などに関する。
従来一般的な交流駆動・面放電型のPDP(カラーPDP)において、コントラストや表示輝度等の特性の改善は基本的な課題である。例えば、明室コントラストは、〔明室コントラスト〕={〔白輝度〕+〔外光反射光輝度〕}/{〔黒輝度(背景発光)〕+〔外光反射光輝度〕}で表され、黒輝度(背景発光)や外光反射光輝度が大きいと低下する。また、コントラストの確保または向上と共に、パネルの発光効率の向上によって表示輝度(セル点灯輝度)を確保または向上することも重要である。
パネルのコントラストの向上に関する従来技術としては、以下に挙げるように、PDPの前面基板の保護層などの面に、数十nm〜500nm程度(あるいはそれ以下)の微細な大きさで凹凸を設けるものがある。
(1)特開平10−334811号公報(特許文献1)には、輝度改善、放電効率向上の目的で、プラズマエッチング法により、保護層の表面に凹凸(三角状)を形成する旨が記載されている。当該凹凸は、現実的に考えてかなり微細な段差(数十nm程度)になると推測される。
なお、特許文献1は、凹凸に関する記載、及びエッチング方法の記載があるが、本発明とは凹凸定義等が異なる。
(2)特開2007−334294号公報(特許文献2)には、防眩性のフィルムにおいて、微粒子(フィラー)を含有することにより凹凸構造を持つフィルムについて記載されている。また、ヘイズの値が40%〜70%と記載されている。
なお、特許文献2は、凹凸に関する記載、フィルタ(フィルム)、フィラーを用いる方法等の記載があるが、前述同様に本発明とは凹凸定義等が異なる。特許文献2等は、パネルの前面(表示面)にフィルタ(フィルム)の凹凸を設けるが、本発明ではパネルの内側の膜面に凹凸を設ける。
(3)特開2005−507550号公報(特許文献3)には、放電空間において発光効率向上に寄与する真空紫外光(波長:130〜200nm)に作用するように、誘電体層を加工し、誘電体層と保護膜との界面に凹凸をつける旨が記載されている。また、誘電体の粗さ平均が100〜400nmである旨が記載されている。
なお、特許文献3は、凹凸に関する記載、誘電体層に凹凸を設ける記載があるが、前述同様に本発明とは凹凸定義等が異なる。特許文献3は、対象とする光の波長(130〜200nm)が本発明で対象とする光の波長(400〜800nm)とは異なるため、上記界面の凹凸の大きさも本発明の凹凸の大きさとは異なる。
(4)特開2007−227132号公報(特許文献4)には、目的として前面基板と背面基板を重ねた際に圧力(荷重)を分散して基板割れや電極配線の断線を防ぐ旨が記載されている。また、保護膜の表面粗さ(Ra)が0.25〜0.49μmである旨が記載されている。
なお、特許文献4は、凹凸に関する記載があるが、前述同様に本発明とは凹凸定義等が異なる。
(5)特開平10−540932号公報(特許文献5)には、発光効率向上の目的で、保護層の凹凸形状の周期及び振幅が0.1〜100μm(かなり広い範囲)と記載されている。
なお、特許文献5は、凹凸に関する記載があるが、前述同様に本発明とは凹凸定義等が異なる。
特開平10−334811号公報 特開2007−334294号公報 特開2005−507550号公報 特開2007−227132号公報 特開平10−540932号公報
従来技術のPDPのコントラスト等の特性に関して、パネルの反射率が高い構造であることから、コントラストが不十分であるという問題がある。パネル(セル)に対し入射する外光(室内照明光)が、放電空間(放電セル)に形成されている赤(R),緑(G),青(B)の各色の発光用の蛍光体で反射され、その反射光(白色光)がパネル前方(視線方向)へ出射する。パネルの反射率が大きい構造であるため、当該反射光(白色光)の輝度が比較的大きく、明室コントラスト等のコントラスト特性を低下させる。パネル単体(フィルタ等が無い状態)では、見る者にとって、非点灯時の画面(表示領域)が白っぽく見える。
上記に対し、従来技術では、いずれも、前面基板の膜面に凹凸を設ける構造を考えた場合、数十nm〜500nm程度といった微細な大きさ(スケール)で凹凸を設けるものである。この場合、コントラストと表示輝度の両方を確保または向上することは難しい。
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、パネル(セル)の蛍光体発光の取り出し効率を考慮して表示輝度を確保(低下抑制)しつつ、パネルの基本発光効率やコントラスト等の特性の向上または確保を実現できる技術を提供することである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、PDPの技術であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
本形態のPDP製造方法において、PDPの前面基板構造体における表示面(前面)とは反対側の第1の面(放電空間に向く側の膜面)に、凹凸形状(光透過性及び光散乱性を持つ層(膜))を形成する工程を有する。第1の面の凹凸形状は、放電空間(放電セル)の蛍光体側からの光を、当該凹凸面を通ってパネル前方(視線方向)へ出射(透過)させる際に、光散乱機能を持つ。上記凹凸面に対し入射する蛍光体側からの光は、前述のように、外光反射光(白色光)と、蛍光体発光(R,G,Bの可視光)との2種類を有する。
そして、本形態で、上記凹凸形状は、ヘイズ(曇り度、濁度)により規定される。上記凹凸形成工程では、ヘイズ条件として、第1の面に対し、ヘイズが10%以上70%以下になるように凹凸を形成する。上記凹凸形状は、例えば、保護層や誘電体層に形成される。上記凹凸の形成の方法としては、サンドブラスト方法、エッチング方法、フィラー混入方法、膜面への粉体付着方法などを用いることができる。
なお、ヘイズは、ヘイズメーター(ヘイズ測定装置)により定量化される。ヘイズの測定は、例えば、前面基板構造体の完成状態で、表示面側、視線方向で、標準光源D65を用いて行う。なお、ヘイズ測定の工程によるヘイズの値と凹凸形成工程による凹凸形状とが対応付けられるので、本PDP製造時には、凹凸形成工程のプロセスを制御することで、ヘイズ条件を満たす所定の凹凸形状を形成することができる。
本PDP製造方法において、例えば、PDPの前面基板構造体は、表示面側から順に、光透過性の基板、放電セルに電圧を印加するための電極(例えば表示電極対)、光透過性の誘電体層及び保護層を有し、背面基板構造体は、背面側から順に、基板、隔壁、蛍光体を有し、放電空間は例えば隔壁により区画され蛍光体が形成されることで放電セル(放電が行われる領域)が形成されるものであり、前面基板構造体における第1の面(例えば画面対応の領域)において、前面基板構造体の表示面側から観測したヘイズが10%以上70%以下となるように凹凸形状を形成する工程(凹凸形成工程)を有する。凹凸形状とは、凹凸(厚さ変動)が対象面にある程度以上一様に分布する形状である。
本構成により、第1の面に入射する外光反射光は、凹凸で散乱されて前面基板構造体から出射され、視線方向では光量が大幅に減少される。また、第1の面に入射する蛍光体発光は、凹凸を含む前面基板構造体を透過して出射され、視線方向では確保される。凹凸の散乱作用で全光線透過光量は殆ど減少しない(即ち蛍光体発光の取り出し効率が確保される)。このように、凹凸を含む前面基板構造体における全光線透過光率を極力減少させないようにしつつ、前面基板構造体の管面反射率(パネルの反射率)を大幅に減少させることが実現される。その結果、パネルの基本発光効率が向上され、表示輝度とコントラストが確保または向上される。
本構成では、凹凸形状の物理的形状詳細が規定されるのではなく、ヘイズの規定によって結果的に凹凸形状が決まる。本構成において、対象とする光の波長としては、400〜800nm程度であり、ヘイズを10%〜70%に規定することで、実際の凹凸の大きさ(振幅や周期など)としては、μm単位と比較的大きく、前述の従来技術例よりも大きくなる。
また、ヘイズの規定による実際の物理的形状は凹凸形状に限られず、平坦な層(膜)であってもその中に含まれるフィラー等の物質によって前記凹凸形状と同様の光散乱性を持たせることができればよい。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明の代表的な実施の形態によれば、パネル(セル)の蛍光体発光の取り出し効率を考慮して表示輝度を確保しつつ、パネルの基本発光効率やコントラスト等の特性の向上または確保を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明のため、DX方向(画面内の横方向)、DY方向(画面内の縦方向)、DZ方向(パネル厚さ方向、画面垂直方向)を有する。
<概要>
図1〜図13を用いて、本発明の一実施の形態のPDP及び製造方法について説明する。本実施の形態では、特に図2、図3、図11等に示すように、前面基板構造体11の膜面(第1の面41)に凹凸形状を設ける工程(S15)の際におけるヘイズが10%〜70%に規定されるものである。
<PDP(基本)>
図1において、本実施の形態のPDP10の基本構造の一例を示している。本PDP10は、交流駆動・面放電型、三電極構造(前面側に表示電極対、背面側にアドレス電極)、ボックス状の隔壁などの場合である。画素に対応付けられる一部分のみを分解して概略的に示している。Cr,Cg,Cbは、各色の発光領域(セル)に対応付けられる。
本PDP10は、主に前面側と背面側の2つの基板(1,5)による2つの構造体(11,12)を組み合わせて構成される。それらの構造体(11,12)を重ね合わせて外周部が封着され、当該構造体の間(内部)の領域が排気され放電ガスが封入されることで、放電空間13(基板間領域)が構成される。
第1構造体(前面基板構造体)11において、光透過性の平坦な前面基板(ガラス基板)1の内面側(表示面の反対側)の面上には、横方向(DX方向)に並行に、表示電極(X,Y)対が形成されている。表示電極(X,Y)は、維持駆動用の維持電極Xと、維持駆動及び走査駆動の兼用の走査電極Yとを有する。表示電極(X,Y)は、例えば、透明電極2aとバス電極2bとにより構成される。バス電極2bは、例えばCr,Cu等による金属製であり、配線抵抗が低く、その端部は駆動回路側と接続される。透明電極2aは、例えばセル内側へ張り出す形状により、表示電極(X,Y)対での放電ギャップを形成する。表示電極(X,Y)は、低融点ガラス材料などによる誘電体層3に覆われている。更に誘電体層3は、MgO(酸化マグネシウム)等による保護層(保護膜)4により覆われている。保護層4は、誘電体層3を放電から保護する機能や、放電空間13への2次電子供給機能などを持つ。
第2構造体(背面基板構造体)12において、光透過性の平坦な背面基板(ガラス基板)5の面上には、表示電極対と交差する縦方向(DY方向)に並行に、アドレス駆動用のアドレス電極6が形成されている。アドレス電極6群は、例えば誘電体層7に覆われている。誘電体層7の面上には、隔壁8として、例えばDY方向に伸びる隔壁部(縦リブ)及びDX方向に伸びる隔壁部(横リブ)による、ボックス状の隔壁8が形成されている。隔壁8は、放電空間13をセル(放電領域)に対応して区画する。誘電体層7面上、隔壁8間の領域には、放電空間13に露出するように、各色(R,G,B)の発光用の蛍光体9(9r,9g,9b)が表示列毎に区別して形成されている。蛍光体9は、例えば誘電体層7表面、及び隔壁8側面に渡って形成されている。
なお本PDP10構造に限らず、駆動方式などに応じて詳細な構造が各種可能である。例えば、前面基板構造体11側にアドレス電極6を設けた三電極構造や、縦リブのみのストライプ状の隔壁8構造や、非表示スリットに対応して横方向に排気パスを設けた梯子状の隔壁8構造などもある。
<PDP(特徴)>
図2において、本実施の形態のPDP10の構造一例における第1構造体11の膜面(第1の面41)側の凹凸形状を含む構造を、セル対応一部断面(DY−DZ方向)で示している。なお凹凸形状に関しては、面内でほぼ一様なので、DX−DZ方向の断面でも同様である。30は、放電空間13のうち、第1構造体11(保護層4)や第2構造体12(隔壁8、蛍光体9)により物理的に囲まれた放電セルの領域である。なお表示電極(X,Y)については、不透明なバス電極2bのみが隔壁8上部に配置されている場合を示している。
第1構造体11の表示面40とは反対側の膜面(第1の面41)側である保護層4(または誘電体層3)において、光散乱性を持つ凹凸形状が設けられている。図2では、保護層4の表面に凹凸形状を設けた場合である。凹凸形状については、図2等では、DY方向で曲線(波線)の繰り返しによるパターンとして示している。なお、わかりやすく示すために、各部位の実際のスケールとは異なるように大きく図示している。
DZ方向において、Sはセルを真正面から見る視線方向である。Aは外光(セルへの外光入射光)の例である。外光入射角度をθとしている。θは、例えば35°である。Bは、Sと同方向(DZ方向)で真っ直ぐに出射する内光(蛍光体9での外光反射光、あるいは蛍光体9からの発光など)である。
<PDP製造方法(基本)>
図3において、本実施の形態のPDP10の基本的な製造方法のフローについて示している(Sは工程を示す)。なお保護層4表面に凹凸を形成する場合である。
第1構造体11の作製工程S10において、工程順に、ガラス基板(前面基板)1の形成S11、表示電極(X,Y)の形成S12、誘電体層3の形成S13、保護層4の形成S14、凹凸の形成S15、ヘイズ測定S16を有する。
第2構造体12の作製工程S20は例えば公知技術と同様である。即ち、順に、ガラス基板(背面基板)5、アドレス電極6、誘電体層7、隔壁8、蛍光体9などが形成される。隔壁8は、例えば、低融点ガラスペースト等の材料による層を形成し、これをサンドブラスト方法などにより、パターニングし、焼成することで形成する。蛍光体9は、R,G,B毎に、例えば、隔壁8間の領域に、蛍光体ペーストを、スクリーン印刷法、ディスペンサ等の方法により塗布し、焼成することで形成する。
パネル組み立て等の工程S30においては、パネル組み立て・封着の工程S31、排気及び放電ガス封入の工程S32、エージングや試験の工程S33などを有する。
S11ではガラス基板1を切断等により形成する。S12では、ガラス基板1上に、表示電極(X,Y)群を、スクリーン印刷方法や、フォトリソ+エッチング方法等で形成する。例えば、透明電極2aとバス電極2bをそれぞれ所定のパターンで形成する。
S13では、ガラス基板1上、表示電極(X,Y)群を被覆するように光透過性の誘電体層3を平坦に形成する。この形成は、例えば、低融点ガラスフリット等から成る誘電体層用のペーストをスクリーン印刷方法により塗布し焼成する方法や、酸化シリコン(SiO)を堆積するCVD法などの気相蒸着法などにより行う。
S14では、誘電体層3の上に、全面(画面対応の領域)を被覆するように、光透過性の保護層4を形成する。この形成は、例えばMgOを用いた蒸着方法や、その他、スパッタ方法や塗布方法などを用いることができる。この状態ではまだ保護層4の表面は平坦である。
S15(凹凸形成工程)では、保護層4の平坦な表面(第1の面41)に、例えばサンドブラスト方法などによって、凹凸を形成する。これにより、図2のようにDZ方向の断面で第1の面41に凹凸を持つ保護層4の状態を得る。S15で凹凸を形成する際は、所定のヘイズの条件(例えばH=70%)を満たすように所定の凹凸形成方法(例えばサンドブラスト方法)のプロセスや条件を制御する(詳しくは後述する)。
また、誘電体層3の表面に凹凸を形成する構成の場合(後述、図6)では、例えば、S13の後にサンドブラスト方法などによって凹凸を形成し、その後にS14の保護層4を形成する。
また、平坦な保護層4を一旦形成してそれを加工して凹凸を形成する以外にも、製造方法に応じて、凹凸を持つ保護層4を一度に形成するようにしても構わない。
そして、S16(ヘイズ測定工程)では、作製された第1構造体11について、それが所定のヘイズの条件を満たしているかどうか、前述のようにヘイズ測定装置、標準光源D65を用いてヘイズを測定して、測定結果が所定のヘイズ条件を満たしていることを確認する。
S31では、上記作製された第1構造体11と第2構造体12を位置合わせしつつ重ね合わせて、パネルの外周部を封着材(低融点ガラスフリット等)を用いて貼り合わせ熱処理により封着する。S32では、封着による内部空間に対し、パネルの一部の通排気孔(チップ管)とそれに接続する外部装置を用いて、内部空間を真空排気し、Xe等による放電ガスを封入し、チップ管を封じ切ること等により、閉じられた放電空間13を形成する。なお、製造方法に応じて、S31の封着やS32の封入などを加熱炉内で同時並行させる方法などもある。
S33では、作製されたパネルに駆動回路を接続して電極に電圧を印加するエージング(安定化)や、パネルの点灯試験・表示品位確認などを行うことで、製品を完成する。試験では、例えば表示輝度やコントラスト等の特性を確認する。
なお、更に、保護層4の表面上に、放電特性改善のための粉体(MgO結晶粒子)等を付着させる工程を加えた形態とすることも可能である。この付着は、例えば、粉体含有材料であるスラリーを散布(塗布)し乾燥させる方法などによる。なお、この場合、粉体付着後でも凹凸形状が維持されるようにする必要がある。
<凹凸形状>
前記凹凸形状は、ヘイズの条件を満たすように形成されればよいので、実際の微視的な形状としては、図2に示したパターンに限られない。例えば、製造方法などに応じて、多角形的なパターンや、凹凸単位の繰り返しの周期(面内の凹凸単位の密度など)が異なるパターンとしてもよい。また、凹凸形成位置は膜面の付近であればよく、保護層4表面に限られない。以下にそのような構成例を示す。いずれも、第1構造体11の膜面(第1の面41)において、所定のヘイズの条件を満たす凹凸形状を持つものである。
<凹凸形状(1)>
まず、図4において、凹凸形状の第1の構成例として、保護層4表面で凹凸を形成する場合で、微視的に見て曲線(波線)的な凹凸のパターンの場合(図2と同様)における断面(DY−DZ方向)の拡大構造を示している。
ガラス基板1やバス電極2bは前述同様である。その上に、誘電体層3が平坦に形成される。そして誘電体層3の平坦な表面の上に、保護層4による凹凸形状が形成される(S14,S15)。凹凸形状は、凹部51及び凸部52を含み、第1の面41内(DX−DY方向)において、繰り返し分布する。凹凸形状において、凹部51は保護層4の厚みが小さく、凸部52は厚みが大きい箇所である。
a〜eは、説明のため、前述の外光(A)や内光(B)等に関する光線の例を簡略的に示している。aは外光として、第1構造体11(ガラス基板1)への入射光である。bは、保護層4の凹凸面(第1の面41)へDZ方向で平行(直進的)に入射する反射光であり、外光aが放電セル30の蛍光体9で反射された反射光、あるいは蛍光体9面からの発光である。cは、入射光bが凹凸形状(第1の面41)の部位によって散乱される散乱光である。dは、散乱光cのうち、前方(DZ方向)へ平行(直進的)に透過する成分である。eは、DZ方向の透過光dが第1構造体11の表示面40から出射して視線方向Sへ向かう出射光である。
図4で、波線状の凹凸形状の大きさ詳細としては、ヘイズに応じて、例えば、DZ方向での振幅が1μm(凹部51と凸部52の高低差が2μm)、周期(DX,DY方向)が40μm、といった値になる。
図5において、上記凹凸形状の変形例を示している。(a)は、四角形の繰り返しによるパターンである。凹部51及び凸部52を四角形で示している。(b)は、三角形の繰り返しによるパターンである。凹部51及び凸部52を三角形で示している。
<凹凸形状(2)>
図6において、凹凸形状の第2の構成例として、誘電体層3で凹凸が形成されることによって結果的に保護層4で凹凸が形成される場合である。本PDP製造方法では、誘電体層3の形成の際(S13)、誘電体層3の表面42で凹凸形状(凹部及び凸部を含む)を形成する。そして、その誘電体層3の凹凸形状の上に、凹部及び凸部で厚さ一様になるように保護層4を形成する(S14)。これにより、誘電体層3の表面42の凹凸形状が保護層4の表面(41)にも反映されるので、結果的に保護層4表面(41)に凹凸が形成される。
<凹凸形状(3)>
図7において、凹凸形状の第3の構成例として、平坦な保護層4の表面上に、更にMgO結晶粒子等による粉体(粒子群)を付着させることで凹凸形状を形成する場合である。1つの凸部52は、単一の大きな粒子、複数の粒子の集まり(凝集体)などにより成る。例えばMgO結晶粒子単体では概略的に立方体形状である。付着粒子の形状に応じた凸部52が形成される。凹部51では粒子ではなく平坦な保護層4表面が露出しても構わない。
なお、これらの凹凸形状は、ヘイズ条件に基づきμm単位での形成になり、各図示するような完全な形状になるわけではなく、微視的に見れば不規則・ランダムな形状が混在するが、概略平均的には、光散乱性を持つ凹凸形状となっている。
<凹凸形成方法>
本PDP製造方法における凹凸形成方法としては例えば以下のように、(1)サンドブラスト方法、(2)エッチング方法、(3)フィラー混入方法(誘電体層3等にフィラーを混入することにより形成する方法)、(4)粉体付着方法(保護層4上に粉体を付着させることにより形成する方法)、(5)屈折率の異なる材料を含有する平坦な膜を介在させる方法、などがある。
<製造方法(1)>
図8において、サンドブラスト方法による凹凸形成方法及び実施例を説明する。図8(a)では、サンドブラスト方法及びサンドブラスト装置の概略構成を示している。研磨材81をタンク(圧力タンク)82から空気(圧縮空気)Aで圧送Bし、ノズルガン83より噴出させる。噴射された研磨材84が、対象とする基板85(第1構造体11)に吹き付けられる。ノズルガン83は、図8中の水平方向(Cの矢印方向)に往復するように振られ、基板85は、図8中、奥方向に搬送される。例えば図4の第1構造体11を作製する場合では、保護層4に対し研磨材84が吹き付けられることで、凹凸が形成される。
サンドブラスト(研磨)条件としては、使用する研磨材81(大きさや量)、基板85の搬送速度、研磨材81の圧送Bの圧力、ノズルガン83での噴射圧力など(吹き付けの時間または速度など)がある。そのうち、前述の凹凸の状態に大きく影響するのは、特に、使用研磨剤と噴出圧力である。
図8(b)では、本実施の形態におけるサンドブラスト(研磨)条件を示している。まず、共通条件として、使用研磨材81の材質はアルミナであり、基板85の搬送速度は100[mm/分]である。個別条件として、実施例として条件1、条件2、条件3の三つの条件を有する。
各個別条件において、噴射圧力は0.15[MPa]である。研磨材81の粒径[μm]は、条件1では3〜5、条件2では2〜4、条件3では2である。なお粒径にはばらつきがあるので概略平均値である。
上記条件による結果として、凹凸[μm]とヘイズ[%]を示している。凹凸[μm]は、加工面(第1の面41)での平均的な山(凸部52)と谷(凹部51)の高低差である。条件1では2以上、条件2では1.5、条件3では0.5である。また、ヘイズ[%]は、条件1では70、条件2では40、条件3では10である。
ヘイズに関しては、加工密度に関係するので、本実施例の基板搬送速度では上記結果が得られたが、同じ研磨材81や噴射圧力を使用しても、基板搬送速度を変えると、凹凸密度が変化するので、凹凸の大きさが同じであってもヘイズ値が異なってくる。
<製造方法(2)>
エッチング方法による凹凸形成方法では、本方法では、上記サンドブラスト方法などと同様に、エッチング工程のプロセスを制御することで、保護膜4や誘電体層3に対し所望のヘイズになるように凹凸形状を形成する。基本的には、酢酸や硝酸などの酸を用いて例えば保護膜4表面をエッチングすることで凹凸を形成することが可能である。
<製造方法(3)>
フィラー混入方法(誘電体層3等にフィラーを混入することにより凹凸を形成する方法)では例えば以下である。誘電体層3中にフィラーを混入する方法の場合、フィラーの材料、大きさ、形状、量(混入の割合)などを調整することで、所望の凹凸(光散乱性の誘電体層3)を形成することができる。フィラー材料は、誘電体材料よりも融点が高いものを使用する。これによって、誘電体層3を焼成した場合に、フィラー材料の大きさや量をある程度反映した誘電体層3表面がつくられる。フィラーの形状は、球体以外も存在し、棒状や雪だるま形状などのフィラーによって、ランダムに表面に凹凸をつけることができる。フィラーは、単に凹凸(光散乱性)をつける目的で使用するものなので、材料としては母体(誘電体)と反応しないものであれば、各種が使用可能である。
また、誘電体層3ではなく保護層4へフィラーを混入して同様に凹凸を形成する方法を用いてもよい。また、保護層4の途中(内部)に、保護層4と同じ材料(例えばMgO)の粒子を挟み込むことで凹凸を形成する方法などを用いてもよい。
<製造方法(4)>
粉体付着方法(保護層4上に粉体を付着させることにより凹凸を形成する方法)では例えば以下である。保護膜4と同じ材料(例えばMgO)の結晶粒子を用いる。このMgO結晶粒子は、放電空間13(放電セル30)に対する2次電子の放出(供給)により、表示放電等の放電を安定化させ、放電遅れを改善するといった機能を持つ(公知技術)。この粉体を例えばスプレー等により対象面(保護膜4の表面)にほぼ一様に吹き付けて乾燥させる方法や、粉体含有材料を対象面に塗布して乾燥する方法などによって付着させる。この場合、基本的には、対象面に対し付着された粉体の形状をそのまま反映して凹凸が形成されることになる。よって、付着させる粉体の大きさや、その凝集の程度や、面内分布密度や、付着プロセス等を制御することで、所望の凹凸形状を得ることができる。
また、保護膜4表面へ粉体を付着させる方法の変形例において、まず、下地である誘電体層3表面に、MgO結晶粒子等の粉体を凹凸形状になるように塗布等により付着させる。その上に、保護膜4を一定厚さで形成する。結果、凹凸形状を持つ保護膜4が形成される。
<製造方法(5)>
その他の方法として、屈折率の異なる材料を含有する平坦な膜を介在させる方法では例えば以下である。この方法では、ガラス(ガラス基板1)と誘電体(誘電体層3)との間などの位置に、光散乱性を持つ平坦な膜を挟んだ構造により、前述の各方法と同様の効果を出すものである。当該平坦な膜として、バインダ材料に対し、屈折率の異なる例えば2種類の材料を混ぜることで、均一で平坦な膜をつくる。その2種類の材料ごとに融点が異なることを利用する。これにより、当該平坦な膜中において屈折率の異なる部分が形成される。この膜中の屈折率の異なる部分によって、前述の凹凸形状と同様の作用で、光を散乱させる。
当該平坦な膜のベースになるバインダの材料としてはSiOやTiO粒子等を用い、その屈折率としては1.4〜3.0を用いる。当該粒子濃度を変えることで、当該平坦な膜を含む第1構造体11の構造における所望のヘイズが前述同様に規定される。
本方法の場合、誘電体層3の形成(S13)の前に、当該平坦な膜を形成する工程を有する。複数の種類の材料の各屈折率及び混合配分により、ヘイズ条件を満たすように形成する。
また、当該膜の位置は、誘電体層3と保護層4の間の位置などとしてもよい。
<ヘイズ>
次に、本PDP製造方法の実施例として、ヘイズ条件、その他の条件に関する値を示す。また併せて用語の意味も説明する。図9は、反射率(管面反射率)とヘイズ(H)の関係、図10は、透過率(全光線透過率)とヘイズの関係、図11は、基本発光効率とヘイズの関係、図12は、再堆積量とヘイズの関係、図13は、輝度維持率と再堆積量の関係を示す。
「ヘイズ」: 「ヘイズ」(ヘイズ率)は、一般に、光拡散性(光散乱性)に関する指標として用いられており、物体(試料)の曇り(濁り、荒れ)度合いを表す。本明細書では、ヘイズは、対象となる膜面の凹凸の度合いを表す。ヘイズは、〔ヘイズ:H〕[%]={〔散乱光量〕/〔全光線透過光量〕}×100で表される。即ち、全光線(全光線透過光量)に対する散乱(散乱光量)の割合である。表現を変えると、H[%]={〔全光線透過光量〕−〔平行光線透過光量〕}/〔全光線透過光量〕である。
本実施の形態において、前面基板構造体11のヘイズは、前面基板構造体11の凹凸形状の膜面(第1の面41)に対し垂直方向(DZ)から入射した光線(蛍光体9での反射光など)が、前面基板構造体11を透過して表示面40から出射する際に、平行(直進)方向の全光線(全光線透過光量)に対し、それ以外の方向へ散乱する成分(散乱光量)の比率を表している。
本実施の形態において、ヘイズ測定に使用したヘイズ測定装置は、日本電色工業株式会社 濁度計 NDH2000とした。上記ヘイズ測定装置における測定及び補正は、JIS規格を基に行われている。ヘイズ測定では、図2のDZ方向(表示面40に対する垂直方向)、真正面の視線方向SにおけるBの光線について、ヘイズ測定装置で測定した。
ヘイズ測定において、簡単に言えば、光源(蛍光体9側)からの入射光(全光線透過光量に対応)を、光散乱性を持つ凹凸を含む光透過性の第1構造体11で透過させ、その出射光の光束のうち、視線方向Sに配置されるヘイズ測定装置の受光部に到達した光量を測定する。そして、上記式に従って、ヘイズ値(全光線透過光量(入射光量)に対する散乱光量の比率)が計算される。受光部に到達した光量(直進成分光量:平行光線透過光量)は、全光線透過光量(元の入射光量)から散乱光量(直進成分以外)を除いたものである。散乱光量が大きい場合、ヘイズの値が大きくなる。即ち、ヘイズ測定対象部位における凹凸の度合いが大きいことを示す。
<(1)反射率>
まず、図9において、反射率(管面反射率)[%]とヘイズH[%]の関係を示している。実施例として、5種類のヘイズHによる凹凸形状を有する。それぞれの実施例に対応して、5個の点(a〜e)を示している。
具体的に、ヘイズHは、a:0%〜5%程度、b:10%弱程度、c:40%程度、d:70%弱程度、e:75%程度である。なお、ここでのヘイズHは、前面基板構造体11のみの状態ではなくパネル状態でのヘイズである。反射率は、パネル反射率である。
図9で、ヘイズHが大きくなる実施例ほど、反射率が小さくなることがわかる。反射率は、aでは35.5%程度、bでは32%程度、cでは27%程度、dでは22%程度、eでは20%程度である。
反射率が小さいことは利点である(コントラストが高くなる作用)。よって、この観点からは、例えばeで示すヘイズHが75%程度のパネルが、効果が高い。
「反射率(パネル反射率、管面反射率)」: 「反射率」は、〔反射率〕[%]=〔反射光量〕/〔入射光量〕×100で表される。例えば「前面基板構造体の反射率」のように限定した場合は、パネルにおける背面基板構造体12を除いた単一の前面基板構造体11での反射率を表す。
「管面」は、パネルの表示面(画面)の意味である。それに対して、「膜面」は、その反対側の面(放電空間13に向く(露出する)第1の面41)の意味である。
<(2)全光線透過率>
次に、図10において、第1構造体11の透過率(全光線透過率)[%]とヘイズH[%]の関係を示している。実施例として、前述同様の5種類のヘイズH(a〜e)を有する。
図10で、ヘイズHが大きくなる実施例ほど、透過率が少し小さくなることがわかる。具体的に、透過率は、aでは70%程度、bでは71%程度、cでは71%程度、dでは69%程度、eでは67%程度である。
透過率が小さいことは不利点である(表示輝度が小さくなる作用)。よって、この観点からは、例えばbで示すヘイズHが10%程度のパネルが、効果が高い。
上述の2つの図9,図10(反射率及び透過率とヘイズとの関係)を比べると、ヘイズHの増加に対する反射率、透過率の低下に関して、図9(反射率)よりも図10(透過率)の方が低下の程度(傾き)が小さい。よって、ヘイズHの増加に対し、反射率低下の利点と透過率低下の不利点とを合わせた総合的な効果を考えたとき、相対的には反射率低下の効果が高い。
このように、ヘイズHを例えば最低10%以上に高めた実施例とすることで、反射率低下の効果が得られる。即ち、パネルの表示面40を視線方向Sで見たときに蛍光体9からの白色光(外光反射光)が抑制されて見え、コントラスト向上効果が得られる。
「透過率」、「全光線透過光」(全光線透過光量、全光線透過率): 「全光線透過光」は、対象光そのものを表し、その量(透過する光線の全量)を全光線透過光量とする。「全光線透過率」は、対象物を透過して出射するすべての光線の光量の割合である。全光線透過率は、〔出射光量〕/〔入射光量〕で表される。本実施の形態では、全光線透過光は、蛍光体9での反射光で、前面基板構造体11を透過して前方へ出射するすべての光線の光量に対応している。
「平行光線透過光」(直進成分): 反射光の透過の際に、凹凸での散乱により、各方向に光が出射する。そのうち、当初の入射方向に対しそのまま平行(直進)する成分を、平行光線透過光(直進成分)と称する。
「散乱光」、「散乱光量」: 「散乱光」は、分子や粒子などに衝突して反射した光である。「散乱光量」は、入射光線に対する平行直線成分を除いた成分であり、〔散乱光量〕=〔全光線透過光量〕−〔平行光線透過光量〕で表される。ヘイズは、全光線透過光量のうちの散乱光量の割合である。
<(3)基本発光効率>
次に、図11において、基本発光効率[lm/W]とヘイズH[%]の関係を示している。実施例として、前述同様の5種類のヘイズH(a〜e)を有する。
図11で、ヘイズHが大きくなる実施例ほど、基本発光効率が大きくなることがわかる。具体的に、基本発光効率[lm/W]は、aでは4.2程度、bでは4.5程度、cでは5程度、dでは5.3程度、eでは5.4程度である。
基本発光効率が大きいことは利点である(コントラストが高く、表示輝度が大きくなる作用)。前述の各図9〜図10と合わせて考えて(反射率、透過率、基本発光効率とヘイズとの関係)、ヘイズHを大きくした実施例では、基本発光効率の向上による効果が高い。ヘイズHを最低10%以上とすることで、良好な効果が得られる。
「発光効率」: 「発光効率」は、パネル自体の発光効率であり、投入電力に対する発光(放電→紫外光→蛍光体発光)の明るさ(lm/W)であり、〔発光効率〕[lm/W]=〔パネル全面に渡る明るさ〕[lm]/〔投入電力〕[W]で表される。なお、「発光効率」に対し、「放電効率」は、投入電力に対する放電の強さという意味である。放電効率は、例えば電極の形状や、保護膜表面状態などによって変化する。
「基本発光効率(基本効率)」: 「基本発光効率」は、上記パネル自体の発光効率に、前面の反射や透過等の特性(管面反射率)を加味した指標である。「基本発光効率」は、〔基本発光効率〕[%]=〔発光効率〕/√〔管面反射率〕で表される。
本パネルの基本発光効率は例えば従来に比べて28%向上することができる。
<(4)再堆積量(輝度維持率)>
次に、図12において、保護層4(MgO膜)に関する再堆積量[μm]とヘイズH[%]の関係を示している。また、図13において、再堆積量[μm]と輝度維持率との関係を示している。実施例として、前述同様の5種類のヘイズH(a〜e)を有する。再堆積量は、パネルの寿命(輝度維持率)と対応付けられる。再堆積量[μm]は、パネルを規定時間ランニング(点灯)した場合に保護層4が再堆積した厚さである。輝度維持率は、パネルの初期(製造時)の輝度に対してランニング後にどれだけ輝度が低下しているかを表す比率である。
図12で、ヘイズHが大きくなる実施例ほど、再堆積量が大きくなることがわかる。例えば、再堆積量[μm]は、aでは0.3程度、bでは0.4程度、cでは0.6程度、dでは0.8程度、eでは1.3程度である。また対応して、図13で、ヘイズHが大きくなる実施例ほど、輝度維持率が小さくなることがわかる。輝度維持率は、a,bでは0.9程度、cでは0.8程度、dでは0.7程度、eでは0.5以下である。
再堆積量が大きいこと及び輝度維持率が低いことは不利点である。前述の各図9〜図11と合わせて考えたとき、前述のようにヘイズHを大きくすれば基本発光効率等の効果が高いが、再堆積量(輝度維持率)の観点からは、あまり望ましくない。例えばeで示すヘイズHが75%程度の実施例をみると、再堆積量が大きく、輝度維持率が小さい。
従って、ヘイズHを大きくし過ぎることでパネル寿命(輝度維持率)を劣化させないように、例えばヘイズHを70%以下に抑えたdまでの実施例のパネルとすることによって、総合的な効果のバランスをとる。
「再堆積量」(堆積量): 「再堆積量」は、本明細書では、保護膜4に対して使用する用語として定義する。保護膜4(一般に例えばMgO膜)は、その下層膜である誘電体層3を放電(スパッタ)から保護する役割などを持つ。しかしながら、パネルの点灯時間が長くなるにつれて、保護膜4自身が、放電空間13の放電ガス(Xeガス等)の放電によって、少しずつ削られてゆく。削り取られたMgOは、前面基板構造体11における放電が弱い部分に堆積する。その堆積の量を、「再堆積量」と称する。この量は、堆積部分の膜厚や体積(面積)などによって表すことができる。本例では、再堆積量を、堆積の膜厚([μm])によって表している。一度削り取られたMgOは、質が低下したものになっている。再堆積量が多くなると、放電電圧(放電を発生させるために必要な電圧)が高くなる。一般的に、MgOの再堆積量が多いということは、輝度維持率が小さく(表示輝度が低下)、パネル寿命が短くなっている状態であることを示している。
「輝度維持率」: 点灯試験における規定時間のランニング(点灯)の終了時点(点灯試験の方法に応じて変わる)での輝度維持率から、将来的なパネル寿命を予測することができる。目安として、規定時間ランニング終了時の輝度維持率は0.7〜0.75程度である。基本的には、ランニング時間に応じて輝度維持率は低下する傾向を持つので、規定時間ランニング終了時に0.7以下のものは製品として適さない。保護層4の表面の凹凸が大きいと、再堆積量が大きく、再堆積量が大きいと、輝度維持率が低下する。よって、ヘイズHの上限としては、70%以下が使用限界となる。また、ヘイズの下限の10%は、効果(効率向上)が確認できた下限の値である。
以上説明したように、実施例では、ヘイズHの条件として、特に、10%以上〜70%以下の範囲に規定して、当該ヘイズで凹凸を形成することで、総合的に良好な効果(基本発光効率向上、パネル寿命劣化抑制など)が得られる。
<従来技術との比較>
従来技術と本実施の形態とを比較してその差異などについて説明する。基本的に、目的、原理、ヘイズの規定及び凹凸形状の大きさ(スケール)等の差異が存在する。
本構成で対象としている、蛍光体9からのR,G,Bの可視光発光(中心波長:550nm)の場合、パネル製品の表示面において、従来ではフィルタ等を設けて工夫することが一般的である。
従来のフィルタには様々な機能が盛り込まれており、その一つに蛍光体の白色(反射光)を目立たなくする役割もある。この目的でフィルタに工夫する場合、従来一般的には、単に当該フィルタでの光透過率を落とすように黒色のフィルタを設ける構造とする。これは、外光が蛍光体で反射してきたことによる白色光を、前面基板構造体11で単に透過させるのではなく、フィルタの透過によって黒くなるように見せる(即ち反射光の総量が低下)、ということである。
それに対し、本実施の形態の原理では、蛍光体9からの反射光を、前面基板構造体11の凹凸を含む構造によって、拡散(散乱)させることで、視線方向Sへの反射光を弱くする(反射光の総量は不変)、というものである。反射光の総量は不変であるから、蛍光体9からの発光による表示輝度は確保される。このように、本パネルでは、蛍光体9の反射光を目立たなくする機能をパネル自体の内部に凹凸形状として具備したものである。
従来技術例で、保護層などに凹凸を設ける構造を考えた場合、放電効率向上などの目的では、短い波長(nm単位)を対象とするので、凹凸の大きさの度合いをある程度以上に微細(nm単位)にしないと効果が無い。一方、本実施の形態では、蛍光体9での反射光の散乱などのために、ヘイズを規定し、これによる凹凸の大きさは従来技術例よりも大きくμm単位になっている。
また従来技術例で、凹凸を設ける位置を表示面ないしフィルタ等とした場合、本実施の形態のような効果は得られない。
ヘイズによる規定と、凹凸の大きさによる規定とは異なり、ヘイズの方が凹凸の大きさよりも定義的に広い。常識範囲内で考えられる凹凸の大きさが大きくなると、ヘイズが大きくなる傾向がある。しかしながら、ヘイズが大きいものでは凹凸が大きいかというと必ずしもそうではない。これは、凹凸の周期(凹部と凸部の間の距離)などが関係するためであり、凹凸(分布密度)が密か疎かによっても作用が変わってくる。このような概念を含めて議論できる物理量がヘイズである。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、プラズマディスプレイ装置に利用可能である。
本発明の一実施の形態のPDPの基本構造の一例を示す図である。 本実施の形態のPDPの構造一例における前面基板構造体の膜面側の凹凸形状を含む断面構造を示す図である。 本実施の形態のPDPの基本的な製造方法のフローについて示す図である。 本実施の形態のPDPの凹凸形状の第1の構成例として、保護層表面で凹凸を形成する場合の断面拡大構造を示す図である。 凹凸形状の第1の構成例の変形例を示す図であり、(a)は、四角形の繰り返しによるパターン、(b)は、三角形の繰り返しによるパターンを示す。 本実施の形態のPDPの凹凸形状の第2の構成例として、誘電体層で凹凸が形成される場合の断面拡大構造を示す図である。 本実施の形態のPDPの凹凸形状の第3の構成例として、保護層表面に粉体を付着させることで凹凸形状を形成する場合の断面拡大構造を示す図である。 本実施の形態のPDP製造方法におけるサンドブラスト方法による凹凸形成方法を説明するための図であり、(a)は、サンドブラスト方法及びサンドブラスト装置の概略構成、(b)は、本実施の形態におけるサンドブラスト(研磨)の具体的な条件及び結果を示す。 本実施の形態のPDP製造方法における、反射率(管面反射率)とヘイズ(H)の関係を示す図である。 本実施の形態のPDP製造方法における、透過率(全光線透過率)とヘイズの関係を示す図である。 本実施の形態のPDP製造方法における、基本発光効率とヘイズの関係を示す図である。 本実施の形態のPDP製造方法における、再堆積量とヘイズの関係を示す図である。 本実施の形態のPDP製造方法における、輝度維持率と再堆積量の関係を示す図である。
符号の説明
1…ガラス基板(前面基板)、2a…透明電極、2b…バス電極、3…誘電体層、4…保護層(保護膜)、4b…MgO結晶粒子、5…ガラス基板(背面基板)、6…アドレス電極、7…誘電体層、8…隔壁、9(9r,9g,9b)…蛍光体、10…PDP、11…前面基板構造体(第1構造体)、12…背面基板構造体(第2構造体)、13…放電空間、30…放電セル、40…表示面、41…膜面(第1の面)、42…面、51…凹部、52…凸部、81,84…研磨材、82…タンク、83…ノズルガン、85…基板(第1構造体)。

Claims (13)

  1. 前面パネルと背面パネルの間に放電空間を備えるプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記前面パネルの放電空間側の面に、前記前面パネルのヘイズが10%以上となる凹凸形状が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記前面パネルのヘイズが10%以上70%以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  3. 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記前面パネルは、前面基板と、前記前面基板上に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された保護層とを備え、
    前記保護層に前記凹凸形状が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  4. 前面基板構造体と背面基板構造体を組み合わせて内部に放電空間が形成され前記放電空間で隔壁により区画され蛍光体が形成される放電セルと前記放電セルに電圧を印加するための電極とを有するプラズマディスプレイパネルを製造する方法であって、
    前記前面基板構造体における前記放電空間側の第1の面に、前記前面基板構造体のヘイズが10%以上となるように凹凸形状を形成する第1の工程を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  5. 請求項4記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記第1の工程では、前記ヘイズが10%以上で70%以下の範囲内となるように前記凹凸を形成すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  6. 請求項4または5に記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記前面基板構造体は、表示面側から順に、光透過性の基板、前記電極、光透過性の誘電体層及び保護層を有し、
    前記第1の工程では、前記保護層に前記凹凸形状を形成すること、
    を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  7. 請求項4または5に記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記前面基板構造体は、表示面側から順に、光透過性の基板、前記電極、光透過性の誘電体層及び保護層を有し、
    前記第1の工程では、前記誘電体層に前記凹凸形状を形成すること、
    を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  8. 請求項4〜7のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記第1の工程では、前記凹凸形状をサンドブラスト方法により形成する工程を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  9. 請求項8記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記第1の工程では、前記サンドブラスト方法における研磨材の粒径を調整することにより、前記ヘイズが10%以上となるように形成すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  10. 請求項4〜7のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記第1の工程では、前記凹凸形状をエッチング方法により形成する工程を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  11. 前面基板構造体と背面基板構造体を組み合わせて内部に放電空間が形成され前記放電空間で隔壁により区画され蛍光体が形成される放電セルと前記放電セルに電圧を印加するための電極とを有するプラズマディスプレイパネルを製造する方法であって、
    前記前面基板構造体は、表示面側から順に、光透過性の基板、前記電極、光透過性の誘電体層及び保護層を有し、
    前記前面基板構造体における前記放電空間側の第1の面に、前記前面基板構造体のヘイズが10%以上となるように、光散乱性を持つ前記誘電体層を形成する第1の工程を有し、
    前記第1の工程では、前記誘電体層中にフィラーを混入し、前記フィラーの材料及び混入の割合により前記ヘイズが10%以上となるように形成すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  12. 請求項4〜6のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル製造方法において、
    前記第1の工程では、前記凹凸形状を、前記前面基板構造体の保護層の表面上に、結晶粒子群を付着させることにより形成する工程を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
  13. 前面基板構造体と背面基板構造体を組み合わせて内部に放電空間が形成され前記放電空間で隔壁により区画され蛍光体が形成される放電セルと前記放電セルに電圧を印加するための電極とを有するプラズマディスプレイパネルを製造する方法であって、
    前記前面基板構造体における前記放電空間側の第1の面に、前記前面基板構造体のヘイズが10%以上となるように、光散乱性を持つ平坦な膜を形成する第1の工程を有し、
    前記平坦な膜は、バインダ材料と屈折率の異なる複数の種類の材料とを混合して成り、
    前記第1の工程では、前記前面基板構造体における光透過性の基板と誘電体層との間に、前記平坦な膜を、前記複数の種類の材料の各屈折率及び混合の配分により前記ヘイズが10%以上となるように形成すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
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