JP5069920B2 - マンノース6−リン酸−ポリエチレングリコール結合体 - Google Patents

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Description

本発明は、マンノース6-リン酸とポリエチレングリコール鎖との結合体、該結合体と目的物質との複合体、及び該複合体を含む集合体に関する。
従来、薬剤に対する血中滞留性を高める手段として、リポソームを用いた薬物送達システム(DDS)製剤が用いられてきた。そして、リポソーム膜表面にポリエチレングリコール(PEG)を修飾させることで、その血中滞留性がさらに向上することが既に明らかとなっている。その一例として、PEG脂質を構成成分とするSTEALTHリポソームに塩酸ドキソルビシンを内包させた市販の抗がん剤、Doxilが挙げられる.Doxilを用いた研究結果から、Doxil投与群のラット血清中薬剤濃度が、塩酸ドキソルビシン水溶液およびPEG未修飾の塩酸ドキソルビシン内包リポソーム群に比べ、有意に高くなることがわかっている(非特許文献1)。
一方、糖類を利用したアクティブターゲティングについては、標的物質となる単糖類および多糖類に対し、糖(鎖)認識分子(主に細胞膜に局在する受容体タンパク質)が高い親和性を示すことが知られているため、DDSのターゲティングプローブの一つとして、その利用が既に注目されている。特に、ガラクトースやN-アセチルガラクトサミンによる肝細胞に対するターゲティングに関しては諸種の研究が行われている。これは、ガラクトースやN-アセチルガラクトサミンが肝細胞の膜表面に発現が見られるアシアロ糖タンパク質受容体に対し、高い親和性を有することを利用している。これまでの研究から、N-アセチルガラクトサミン結合脂質を修飾したリポソームがアシアロ糖タンパク質受容体を介して肝臓に取り込まれること(非特許文献2)や、ガラクトース結合PEGとカチオン性ポリマーとのブロックコポリマーをDNAに被覆した遺伝子導入キャリアが肝細胞に対し高い遺伝子導入能を示すこと(非特許文献3)も明らかとなっている。
しかしながら、マンノース6-リン酸を標的物質としたDDSに関する報告は少ないため、血中滞留性及び血中安定性が高く、かつ、マンノース6-リン酸受容体をターゲットとしたDDS製剤の調製に有効に利用できる新規物質の開発が望まれている。
Sadzuka Y., et al., J. Drug Target., vol. 3, p. 31-37, 1995 Patrick C. N., et al., J. Biol. Chem., vol. 276, p. 37577-37584, 2001 Lim D. W., et al., Bioconjugate Chem., vol. 11, p. 688-695, 2000
本発明が解決しようとする課題は、所望の目的物質に高い血中滞留性及び血中安定性と優れた標的細胞指向性とを共に付与することができる化合物を提供すること、並びに、該化合物と目的物質との複合体、及び該複合体を含む集合体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、高い血中滞留性及び血中安定性を発揮させる効果をもつPEG鎖の末端に、マンノース6-リン酸(M6P)を結合させて得られるPEG化マンノース6-リン酸誘導体が、優れた標的細胞指向性を発揮させる効果をもつ化合物となることを見出し、本発明を完成した。また、該化合物により所望の目的物質(脂質やタンパク質等)を修飾した複合体、及び該複合体を含む集合体は、高い血中滞留性及び血中安定性と優れた標的細胞指向性とを共に発揮することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体。
本発明の結合体としては、例えば、下記式(1)で示される結合体が挙げられる。
Figure 0005069920
(式中、R1は、水素原子、任意の置換基、又は任意の置換基により置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、LAはリンカー部分又は単結合を表し、nは3〜700の整数を表す。)
上記式(1)中、LAとしては、例えば、-C(O)NH-、下記式(3)で示される基、又は下記式(4)で示される基を含むものが挙げられる。
Figure 0005069920
Figure 0005069920
(式中、pは1〜6の整数を表す。)
また上記式(1)中、R1としては、例えば、下記式(5)で示されるものが挙げられる
Figure 0005069920
(式中、R3は、-NH2、-COOH、-C(O)CH2CH2COOH、-C(O)CH2CH2CH2COOH、-SH、-CHO、-C(O)OC6H4NO2、-CH=CH2、下記式(6):
Figure 0005069920
で示される基、又は下記式(7):
Figure 0005069920
で示される基を表し、qは0〜8の整数を表す。)
(2) マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、目的物質が修飾されてなる複合体。
本発明の複合体としては、例えば、前記ポリエチレングリコール鎖の他方の片末端が目的物質に結合してなる複合体が挙げられ、具体的には、例えば、下記式(2)で示される複合体が挙げられる。
Figure 0005069920
(式中、R2は目的物質を表し、LA及びLBはそれぞれ独立してリンカー部分又は単結合を表し、nは3〜700の整数を表す。)
上記式(2)中、LAとしては、例えば、-C(O)NH-、下記式(3)で示される基、又は下記式(4)で示される基を含むものが挙げられる。
Figure 0005069920
Figure 0005069920
(式中、pは1〜6の整数を表す。)
また上記式(2)中、LBとしては、例えば、下記式(8)で示されるものが挙げられる。
Figure 0005069920
(式中、LCは、-NH-、-C(O)-、-C(O)CH2CH2C(O)-、-C(O)CH2CH2CH2C(O)-、-S-、-C(OH)-、-CH(R4)-CH2-(但し、R4はH、Cl、Br、I、F若しくはOHを表す)又は下記式(9):
Figure 0005069920
で示される基を表し、rは0〜8の整数を表す。)
本発明の複合体としては、例えば、目的物質が両親媒性化合物、疎水性化合物又はタンパク質であるものが挙げられる。ここで、両親媒性化合物としては、例えば脂質が挙げられ、脂質としては、例えばリン脂質が挙げられる。また、タンパク質としては、例えば酵素が挙げられる。
(3) 目的物質が会合又は結合してなる集合体であって、該集合体の少なくとも一部に、前記(2)の複合体を含む、前記集合体。
本発明の集合体としては、例えば、脂質二分子膜小胞体が挙げられ、具体的には、マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、前記小胞体の表面が修飾されたものが挙げられる。
また本発明の集合体としては、例えば、前記小胞体内に薬物又はタンパク質(例えば酵素)が内包されたものが挙げられる。
本発明の集合体としては、例えば、前記(2)の複合体の含有割合が0.3〜50モル%(好ましくは0.3〜30モル%)であるものが挙げられる。
本発明によれば、所望の目的物質に、高い血中滞留性及び血中安定性と優れた標的細胞指向性とを共に付与することができる、マンノース6-リン酸−ポリエチレングリコール結合体を提供することができる。該結合体は、目的物質に対する修飾物質として用いることができる。また、本発明によれば、上記結合体と目的物質との複合体、例えば上記結合体により脂質又はタンパク質分子を修飾した複合体を提供することができ、さらには、上記複合体を含む集合体、例えば上記結合体により表面修飾された脂質二分子膜小胞体を提供することができる。
本発明の複合体や集合体は、高い血中滞留性及び血中安定性と共に優れた標的細胞指向性を発揮し得る薬物担体(薬物運搬体)としての機能を有するためドラッグデリバリーシステム(DDS)療法等の分野において極めて有用であり、またDDS療法等を適用する患者に対して高いQOL(quality of life)を実現することができる点においても極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。

1.結合体
本発明の結合体は、マンノース6-リン酸(M6P)がポリエチレングリコール(PEG)鎖の片末端に結合してなるもの(以下、M6P−PEG結合体)である。
ここで、「結合」とは、M6PとPEG鎖とが互いに結合したこと(直接的な結合)を意味するものであってもよいし、リンカー部分となる任意の化学構造又は物質を介して互いに結合したこと(間接的な結合)を意味するものであってもよく、限定はされないが、後者の間接的な結合の方が反応効率や生成物の収率が高くなる点で好ましい。間接的な結合は、例えば、結合させる両物質(M6PとPEG鎖)のうち一方又は両方を誘導体化して互いに反応させることにより形成することができる。誘導体化は、例えば、結合させる物質に所望の官能基を導入すること、具体的には、結合させる物質と所望の官能基を含有する化合物とを反応させることにより成し得る。本発明において、前記リンカー部分は、通常は、誘導体化により導入された官能基との結合反応により形成された部分と言うことができるが、限定はされない。なお、本明細書においては、単に、M6P又はPEG鎖と表記された場合であっても、これらは各々、誘導体化されたものも含む意味であるとする。
M6P−PEG結合体中、PEG鎖部分の重合度は、限定はされないが、例えば、3〜700であることが好ましく、より好ましくは12〜300、さらに好ましくは40〜120である。
M6P−PEG結合体の製法において、M6PとPEG鎖との結合形成反応は、例えば、M6Pの還元末端の基を官能基とみなして該M6PとPEG誘導体とを反応させる方法や、M6Pの還元末端に任意の官能基を導入してM6P誘導体を得、当該M6P誘導体とPEG誘導体とを反応させる方法等により行うことができるが、中でも、後者の方法により行うことが反応効率や収率の点で好ましい。ここで、PEG誘導体は、PEG鎖の末端に任意の官能基を導入して得られたものが好ましく、両末端に官能基を導入する場合は、両官能基は互いに同じ基であってもよいし異なる基であってもよい。
M6Pの還元末端に官能基を導入する方法としては、限定はされないが、例えば、M6Pと、アミノ基若しくはアミノキシル基含有化合物とを、ジメチルホルミアミド(DMF)又はDMFと水との混合溶媒中にて、塩基又は酸の存在下で反応させ、第2アミンを形成させる方法等が好ましく挙げられる。なお、当該方法において、アミノ基、アミノキシル基は、いずれも、PEG鎖と反応し得る官能基を別途含有する化合物である。
また、PEG鎖の末端に官能基を導入する方法としては、限定はされないが、例えば、カルボン酸末端のPEGを有機溶媒中でN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、片末端に無水コハク酸を導入する方法が好ましく挙げられる。
以上のようにして得られたM6P誘導体は、そのままで、又は更に化学反応を経て官能基を導入した後、PEG誘導体と結合反応させることによりM6P−PEG結合体を得ることができる。M6P誘導体が、例えば還元末端にアミノ基が導入されたものである場合は、該M6P誘導体を片末端に無水コハク酸が導入されたPEG誘導体と反応させることによりM6P−PEG結合体を得ることができる。また、予め、還元末端にアミノ基が導入されたM6P誘導体と、特定のヘテロ架橋体とを反応させ、還元末端にピリジルジチオ基が導入されたM6P誘導体を得る。次いで、該ピリジルジチオ基を還元してメルカプト基としたM6P誘導体を得、このM6P誘導体を、片末端にマレイミド基が導入されたPEG誘導体と反応させることによりM6P−PEG結合体を得ることができる。なお、へテロ架橋体とは、片末端に無水コハク酸を有し、もう一方の片末端にピリジルジチオ基を有するものを言う。
M6P−PEG結合体としては、例えば下記式(1)で示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0005069920
上記式(1)中、LAは、リンカー部分又は単結合を表す。ここで、単結合とは、式(1)中、リンカー部分に対応する構造が存在せず、LAの両側の原子どうし(LAの両側はNとCである)が直接結合した状態の構造を意味する。
LAがリンカー部分を表す場合、リンカー部分の構造は特に限定はされるものではない。LAとしては、例えば、下記式(3)、下記式(4)、若しくは-C(O)NH-で示される化学構造又はこれら化学構造を含む構造であることが好ましい。
Figure 0005069920
Figure 0005069920
〔式中、pは1〜6の整数(好ましくは1〜3の整数)を表す。〕
上記式(1)中、nは、PEG鎖部分におけるエチレングリコール単位の繰り返し数(重合度)を表し、具体的には、3〜700の整数、好ましくは12〜300の整数、より好ましくは40〜120の整数である。nが上記範囲内であることにより、PEG鎖部分に起因する血中滞留時間の延長効果が十分に得られる。また、nが上記範囲内のときは、PEG鎖末端のM6Pが標的細胞表面のM6Pレセプターに結合する際、PEG鎖部分がスペーサーの役割を果たすことにより高い結合効率が得られ、結果として、優れた標的細胞指向性が得られる。
上記式(1)中、R1は、水素原子(-H)、任意の置換基、又は、任意の置換基により置換されていてもよい炭素数1〜8(好ましくは1〜3)のアルキル基を表す。ここで、「任意の置換基により置換されていてもよいアルキル基」とは、任意の置換基により置換されたアルキル基、及び置換されていないアルキル基の何れも含む意味である。また、上記アルキル基は、直鎖状であってもよし分枝状であってもよく、特に限定はされるものではないが、本発明においては直鎖状であることが好ましい。
上記任意の置換基、及び任意の置換基により置換されたアルキル基としては、例えば、下記式(5)で示される基が好ましく挙げられる。
Figure 0005069920
式(5)中、qは0〜8の整数(好ましくは0及び1〜3の整数)を表す。ここで、qが0の場合は、式(5)で示される基は、上記任意の置換基を表す。すなわち、qが0の場合は、R1が、式(5)中のR3のみであることを表す。また、qが1〜8の場合は、式(5)で示される基は、上記任意の置換基により置換されたアルキル基を表す。
式(5)中、R3は、-NH2、-COOH、-C(O)CH2CH2COOH、-C(O)CH2CH2CH2COOH、-SH、-CHO、-C(O)OC6H4NO2、-CH=CH2、−C(O)OC4H4NO2、下記式(6)で示される基、又は下記式(7)で示される基を表す。
Figure 0005069920
Figure 0005069920
本発明のM6P−PEG結合体は、任意の目的物質について血中滞留性(血中安定性)及び標的細胞指向性を付与し得る又は向上させ得る化合物であり、目的物質に対する修飾化合物として使用することができるため、極めて有用なものである。

2.複合体
本発明の複合体は、前記本発明の結合体(M6P−PEG結合体)により、目的物質が修飾されてなるものである。具体的には、本発明の複合体は、M6P−PEG結合体中のポリエチレングリコール鎖の他の片末端(すなわちM6Pが結合していない方の末端)が、目的物質に結合してなるものである。また本発明の複合体は、PEG鎖を中心として、一方の片末端にM6Pが結合し、他方の片末端に目的物質が結合したものと言うこともできる。
本発明の複合体は、M6PとPEG鎖とが結合し、かつPEG鎖と目的物質とが結合したものであるが、ここでいう「結合」とは、前記1.項において説明した「結合」の定義と同様の意味である。なお、本明細書においては、M6P及びPEG鎖と同様に、単に、目的物質と表記された場合であっても、この標記は、誘導体化されたものも含む意味であるとする。
本発明の複合体中、PEG鎖部分の重合度は特に限定されるものではない。該分子量は、具体的には、前記1.項において説明した範囲と同様である。
本発明の複合体に使用される目的物質は、限定はされないが、例えば、両親媒性化合物、疎水性化合物、タンパク質、多糖類、合成有機高分子類、及び無機高分子類等が好ましく挙げられ、中でも、両親媒性化合物及びタンパク質がより好ましい。
両親媒性化合物としては、限定はされないが、例えば、脂質(分子)が好ましく、より好ましくは脂質二分子膜で形成される小胞体(リポソーム)の膜構成成分となり得る脂質、具体的にはリン脂質、又は後述する3.項で記載の負電荷脂質(アニオン性脂質)及び安定化剤としての脂質が挙げられる。安定化剤としての脂質としては、後述するように、リン酸基を含有しないカルボン酸型脂質も含まれ、例えば、DHSG(1,5-O-ジヘキサデシル-N-スクシニル-L-グルタメート)等が好ましく挙げられる。
リン脂質としては、例えば、天然又は合成の飽和リン脂質及び不飽和リン脂質が好ましく挙げられ、中でも、合成の飽和リン脂質がより好ましい。
飽和リン脂質としては、例えば、水添卵黄レシチン、水添大豆レシチン、肝形質膜、赤血球膜、大腸菌膜等の細胞外膜の抽出物及び細胞内膜の抽出物等の天然リン脂質並びにその誘導体のほか、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質類等が好ましく挙げられ、中でも、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロールがより好ましく、ジアシルホスファチジルエタノールアミンが特に好ましい。
不飽和リン脂質としては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然不飽和リン脂質;不飽和脂肪酸が1つ以上結合されているホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルグリセロール類、ホスファチジン酸類、ホスファチジルイノシトール類等に代表される合成不飽和リン脂質;前述のリン脂質の疎水基にエン(二重結合)、イン(三重結合)、ジエン、ジイン、スチレンなどの重合性基を1つ以上有する重合性リン脂質などが好ましく挙げられる。重合性リン脂質は、非重合性の長鎖を有していてもよく、非重合性の長鎖としては、例えば、炭素数2〜24の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、アシル基、非重合性アルケニル基、非重合性アルケノイル基等が好ましく挙げられる。
疎水性化合物としては、限定はされないが、例えば、長鎖アルコール類、脂肪酸、ステロイド類、ジアシルグリセロール類、疎水性ペプチド、アルカロイド類及び脂質族化合物、並びにジアルキルグルタミン酸誘導体及びジアルキルアスパラギン酸誘導体等のアルキル化アミノ酸類等が好ましく挙げられる。
タンパク質としては、限定はされないが、生理活性タンパク質、特にサイトカイン(インターフェロン-α、インターロイキン2、腫瘍壊死因子等のグロースファクター類)、抗体(IgG、IgA、IgM等)、各種酵素(例えば、カタラーゼ、スーパーオキシドディスミューターゼ、ペルオキシダーゼ、リソザイム、アデノシンアミナーゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、ウリカーゼ、組織性プラスミノーゲン活性化因子、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、NOシンターゼ)、及びアルブミン(特に、ヒト血清アルブミン)などが好ましく挙げられ、中でも、酵素がより好ましい。
多糖類としては、限定はされないが、アミロース、アミロペクチン、キトサン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、ヒアルロン酸などが好ましく挙げられ、中でも、キトサンがより好ましい。
合成有機高分子類としては、限定はされないが、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリN-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどが好ましく挙げられ、中でも、ポリリジン、ポリエチレンイミンがより好ましい。
無機高分子類としては、限定はされないが、ポリシロキサン誘導体などが好ましく挙げられる。
本発明の複合体の製法において、M6PとPEG鎖との結合形成反応、及びPEG鎖と目的物質との結合形成反応は、同時に行ってもよいし、いずれか一方の反応を先に行った後で他方の反応を行うようにしてもよい。当該製法としては、先にPEG鎖と目的物質との結合形成反応を行い、次いでM6PとPEG鎖との結合形成反応を行うこと、あるいは、先にM6PとPEG鎖との結合形成反応を行ってM6P−PEG結合体を形成しておき、次いで該結合体中のPEG鎖と目的物質との結合形成反応を行うことが好ましいが、これらに限定はされない。
M6PとPEG鎖との結合形成反応に関する説明、並びに、M6Pの還元末端に官能基を導入する方法、及びPEG鎖の末端に官能基を導入する方法については、前記1.項での説明と同様である。
得られたM6P誘導体は、そのままで、又は更に化学反応を経て官能基を導入した後、PEG誘導体と結合反応させる工程に用い、該工程を経て本発明の複合体を得ることができる。例えば目的物質がタンパク質である場合は、上記結合反応により得られたM6P−PEG結合体を、タンパク質中のアミノ基、カルボキシル基及びメルカプト基等に対して、タンパク質修飾の常法を用いて導入し、複合体を得ることができる。また、M6P誘導体が、例えば還元末端にアミノ基が導入されたものである場合は、該M6P誘導体を片末端に無水コハク酸が導入されたPEG誘導体と反応させる工程を経て、上記と同様にして本発明の複合体を得ることができる。さらに、予め、還元末端にアミノ基が導入されたM6P誘導体と、特定のヘテロ架橋体とを反応させ、還元末端にピリジルジチオ基が導入されたM6P誘導体を得る。次いで、該ピリジルジチオ基を還元してメルカプト基としたM6P誘導体を得、このM6P誘導体を、片末端にマレイミド基が導入されたPEG誘導体と反応させる工程を経て、本発明の複合体を得ることができる。なお、ヘテロ架橋体は、前記1.項で説明した通りである。ここで、例えば目的物質がタンパク質である場合、本発明の複合体は、末端にM6Pが結合していないPEG誘導体、例えば末端がメトキシル基又はヒドロキシル基のPEG誘導体により予め修飾されたタンパク質を用いて得られたものであってもよいし、先にM6P−PEG結合体でタンパク質を修飾してから、該タンパク質をM6Pが結合していないPEG誘導体により修飾して得られたものであってもよい。このようにして得られた複合体においては、M6P−PEG結合体中のPEGの分子量と、M6Pが結合していないPEG誘導体中のPEGの分子量とは、同じであるか又は前者の方が大きいことが、分子認識の上で好ましく、標的細胞指向性が一層向上する。
本発明の複合体としては、例えば下記式(2)で示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0005069920
上記式(2)中、R2は本発明の複合体の一部を構成する目的物質を表す。目的物質の具体例は、前述した通りである。
上記式(2)中、nは、PEG鎖部分におけるエチレングリコール単位の繰り返し数(重合度)を表し、具体的な数値範囲及び効果は、前記1.項での説明と同様である。
上記式(2)中、LA及びLBは、それぞれ独立してリンカー部分又は単結合を表す。LA及びLBがいずれもリンカー部分である場合は、互いに同じであってもよいし異なるものであってもよく、限定はされない。ここで、単結合とは、式(2)中、リンカー部分に対応する構造が存在せず、LA及びLBの両側の原子どうし(LAの両側はNとCであり、LBの両側はOとRである)が直接結合した状態の構造を意味する。
LA及びLBがリンカー部分を表す場合、リンカー部分の構造としては特に限定はされない。LAとしては、前記1.項で説明した式(3)、式(4)、若しくは-C(O)NH-で示される化学構造又はこれら化学構造を含む構造であることが好ましい。
またLBとしては、例えば、下記式(8)で示される化学構造又はこれら化学構造を含む構造であることが好ましい。
Figure 0005069920
式(8)中、rは0〜8の整数(好ましくは0及び1〜3の整数)を表す。ここで、rが0の場合は、リンカー部分であるLBが、式(8)中のアルキル部分を含まないLCのみの構造を表し、rが1〜8の場合は、アルキル部分を含む構造を表す。
式(8)中、LCは、-NH-、-C(O)-、-C(O)CH2CH2C(O)-、-C(O)CH2CH2CH2C(O)-、-S-、-C(OH)-、-CH(R4)-CH2-(但し、R4はH、Cl、Br、I、F若しくはOH等の置換基を表す(以下同様))、又は下記式(9)で示される構造を表す。
Figure 0005069920
上記式(2)で示される本発明の複合体の具体例としては、下記式(10)及び下記式(11)で示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0005069920
Figure 0005069920
式(11)中、rHSAは、目的物質としての組換えヒト血清アルブミンを意味する。
上記式(11)で示される複合体は、例えば、下記に示す生成スキームを参照して生成することができる。
Figure 0005069920
なお、上記スキーム中、Amberlyteは陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、IR120BNA)、DMFはジメチルホルムアミド、TEAはテトラエチルアンモニウム、SPDPは下記式:
Figure 0005069920
で示されるN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、DTTはジチオスレイトール、PEG(690)は下記式:
Figure 0005069920
で示される化合物、rHSAは組換えヒト血清アルブミンを意味する。
前記式(2)で示される複合体、及びその具体例として列挙したものは、いずれも、先に説明した本発明の複合体の製法、及び当該分野の技術常識等に基づいて、容易に調製することができる。

3.集合体
本発明の集合体は、目的物質が会合又は結合してなる集合体であって、該集合体の少なくとも一部に前記本発明の複合体を含むことを特徴とするものである。
本発明の集合体が、本発明の複合体以外の目的物質(他の物質)を含む場合、当該他の物質としては、本発明の複合体に使用された目的物質と同質のもの含むことが好ましい。具体的には、例えば、本発明の複合体に使用された目的物質が脂質(分子)である場合は、他の物質としても同様に脂質を使用することが好ましい。
上記目的物質及び他の物質が脂質(特にリン脂質)である場合、本発明の集合体の具体的態様としては、脂質二分子膜小胞体(以下、リポソーム)が好ましく挙げられる。また、上記他の物質としての脂質は、前記2.項において目的物質の例示として列挙したものが好ましく挙げられる。本発明の集合体がリポソームである場合、該リポソームは、表面の少なくとも一部がM6P−PEG結合体により修飾された形態を有する。
本発明の集合体は、本発明の複合体の含有割合が、会合又は結合した全構成単位に対して0.3〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。上記含有割合であることにより、本発明の集合体は、血中滞留性(血中安定性)及び標的細胞指向性が一層優れたものとなる。特に、本発明の集合体がリポソームの場合は、該集合体を構成する物質のうち、本発明の複合体の含有割合が0.3〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは10〜20モル%である。
本発明の集合体がリポソームの場合、膜構成脂質(目的物質及び他の物質のいずれも含む)としては、中性脂質および負電荷脂質(アニオン性脂質)を含むことができる。中性脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエリン、負電荷脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール、ジアシルホスファチジルセリン及び脂肪酸等が挙げられる。ここで、脂肪酸としては、例えば、炭素数12〜20の飽和又は不飽和脂肪酸、具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はオクタデカ-2,4-ジエン酸等が挙げられる。
膜構成脂質が負電荷脂質を含有する場合、負電荷脂質の含有割合は、膜構成脂質全体に対して、1〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜20モル%である。上記含有割合であることにより、小胞体膜の安定性及び内包物質の封入効率を実用的に十分なレベルで保持することができる。
さらに、膜構成脂質は、安定化剤としての脂質成分を含んでいてもよい。このような安定化剤としては、例えばステロール類が挙げられる。具体的には、エルゴステロール及びコレステロール等が挙げられ、なかでもコレステロールが好ましい。
上記安定化剤の含有割合は、膜構成脂質全体に対して、5〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜40モル%である。上記含有割合であることにより、小胞体膜を効果的に安定化することができる。
また安定化剤としての脂質には、PEG結合脂質を使用することができる。含有割合は、膜構成脂質全体に対して、0.3〜20モル%であることが好ましく、より好ましくは、1〜10モル%である。この場合使用するPEG結合脂質のPEGの分子量は、M6P−PEG結合体のPEGの分子量と同じか、あるいはM6P−PEG結合体のPEGの方が長い方が分子認識の上で好ましく、標的細胞指向性を一層向上させることができる。
また安定化剤としての脂質には、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)及びパルミチン酸(PA)等のアニオン性脂質を使用することもできる。
さらに安定化剤としての脂質には、リン酸基を含有しないカルボン酸型脂質を使用することもできる。該カルボン酸型脂質としては、例えば、下記式で示されるDHSG(1,5-O-ジヘキサデシル-N-スクシニル-L-グルタメート)等が好ましく挙げられる。このようなカルボン酸型脂質を膜形成脂質として使用した場合、(i) リポソームが生体内で血小板活性化作用を有しないこと、(ii) リポソームの生体内への投与が循環血液中の血小板数を減少させないこと、(iii) リポソームが生体内で血小板の一過性接着反応を引き起こさないこと、及び(iv)リポソームが生体内で白血球接着活性化作用を有しないこと、のうち少なくとも1つの効果が得られる。
Figure 0005069920
本発明の集合体がリポソームの場合、該リポソームは、各種タンパク質、各種ペプチド類、遺伝子類、各種薬剤、各種試薬類、各種金属類及び各種イオン類等が内包されたものであってもよい。内包されるタンパク質は特に限定されるものではなく、公知、未知を問わないが、公知の各種酵素が好ましい。また、内包される薬剤も特に限定はされるものではなく、例えば抗がん剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、蛍光試薬及び造影剤等が挙げられる。
リポソームに内包されるタンパク質及び薬剤等は、それ自体、糖鎖修飾されたものであってもよいが、本発明においては、糖鎖修飾がされていないものが好ましい実施態様として挙げられる。本発明においては、リポソームの表面に標的細胞指向性等を高めるためのM6P−PEG結合体による修飾がされているため、内包するタンパク質等自体に標的細胞指向性を高める改良がされていなくても、十分効率的に標的細胞に取り込まれる。そのため、タンパク質等に糖鎖を導入する必要が無く、タンパク質等の合成又は生成の生産性が格段に向上するほか、本来有するタンパク質及び薬剤等の機能(酵素活性など)が発揮され易くなる。
通常、リポソームに内包するタンパク質や薬剤等の物質は、水溶液状態で内包される。該水溶液に用いる水性媒体は、限定はされないが、例えば酵素を内包する場合は、少なくとも該酵素の活性を安定な状態(すなわち本来有する酵素活性又は同程度の活性を発揮し得る状態)に保持し得るものが好ましい。水性媒体としては、例えば、水のほか、pH緩衝液、生理食塩水、各種蛋白質保存液、臓器保存液、各種細胞培養液等が挙げられる。pH緩衝液としては、例えば、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、フタル酸一カリウム緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸一カリウム緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液等が挙げられ、中でもクエン酸緩衝液が好ましい。また、酵素水溶液のpHは、限定はされず、内包する酵素の安定pH領域に応じて適宜調整及び設定される。このように安定pH領域下で酵素を内包することにより、本来の酵素活性を保持したまま標的細胞に導入することができる。さらに、酵素水溶液中の酵素濃度は、限定はされず、酵素の種類等を考慮した上で、適宜設定することができる。
本発明の集合体は、任意の他の成分を含むことができ、例えば、リポソームの場合は、その内水相にアミノ酸類、糖類、還元剤、ビタミン剤、塩基類等を含めることができる。
本発明の集合体がリポソームの場合、その製法としては、脂質小胞体を調製する場合に用いられる公知の一般的な方法を用いることができる。該方法としては、例えば、ボルテックス法、超音波照射法、高圧吐出法、高圧押出法、強制撹拌(ホモジナイザー)法、凍結融解法、有機溶媒注入法、界面活性剤除去法、逆相蒸発法、及びマイクロフルイダイザー法等を、適宜選択し又は組み合せて採用できる。
具体的には、本発明の複合体(脂質を目的物質として使用したもの)を含む所望の膜形成脂質を、内包しようとする酵素等の水溶液に添加して、膜形成脂質を水和及び膨潤させる。上記膜形成脂質は、一般には粉末状で使用される。その後、静置し、ボルテックスミキサー、強制攪拌機、超音波照射機(ホモジナイザー等)、マイクロフルイダイザー、高圧押出機(エクストルーダー)又は凍結融解等により膜形成脂質を分散させる。これにより、内水相としてタンパク質溶液等を含むリポソームの分散体を得ることができる。なかでも、凍結融解の場合、又は凍結融解と高圧押出機とを組み合わせて行った場合は、被覆層数を効果的に減少でき、フィルターの透過性が増し、処理時間が顕著に向上するため好ましい。一般に、最終的に得られるリポソームの粒子径は、この造粒工程で得られるリポソーム分散体の状態より縮小されることが多い。そのため、リポソームの粒径は、予めその縮小分を見越した大きさに調製しておくことが好ましく、これにより歩留まり等の生産性が向上する。なお、最終的に得られるリポソームの粒子径(数平均粒子径)は特に限定されるものではなく、内包効率、除菌処理、血中動態等の効果が得られる点で、30〜450nmが好ましく、より好ましくは80〜250nmである。次いで、必要に応じ、押出法等により所望の粒径(平均粒子径)及び粒子径分布に制御した後、ゲル濾過、遠心分離(超遠心分離)及び限外濾過膜処理等により未内包酵素を分離除去することもできる。
上記製法は、リポソームに内包する物質の変性(特に酵素等の変性(活性低下))を防止するため、内包物質を取り扱う過程では20℃以下の温度条件下で行うことが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

1.ジアルキルグルタミン酸誘導体(I)の調製
グルタミン酸(2.96 g、20 mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(4.56 g、24 mmol)をベンゼン150 mLに溶解させ、Dean-Stark装置を用いて105℃で生成水を除去しながら、1時間還流した。その後、ヘキサデシルアルコール(10.65 g、44 mmol)を加えて、105℃で生成水を除去しながら、さらに14時間還流した。還流後、溶媒を減圧除去し、その後、残分をクロロホルム150 mLに溶解させ、炭酸ナトリウム飽和水溶液150 mLで2回洗浄し、さらに水150 mLで2回洗浄した。洗浄後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。残分を60℃でメタノール400 mLに溶解させ、不溶成分があれば濾過し、4℃で再結晶させた。再結晶後のものを濾過した後、乾燥させて、ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (白色粉末、9.5 g、収率80%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(I)の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、ジアルキルグルタミン酸誘導体(I)に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.83(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.89 (t, 6H, -CH3);1.25 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.62 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);1.84 (m, 1H, gluβ-CH2);2.08 (m, 1H, gluβ-CH2);2.45 (t, 2H, gluγ-CH2);3.45 (t, 1H, gluα-CH);4.06,4.10 (t, 4H, -CO-O-CH2)
MS(ESI) Calcd:595.9 ;Found:597.3 (M+H)+.

2.カルボキシメトキシルアミン誘導体の調製
カルボキシメトキシルアミン1/2塩酸塩(0.58 mg、5.3 mmol)と無水t-ブトキシカルボニル(2.3 g、10.6 mmol)とを、1,4-ジオキサン(20 mL)、純水(10 mL)及び1N-NaOH(10 mL)の混合溶媒に溶解し、室温で12時間攪拌した。攪拌後、減圧下で10 mLまで濃縮し、ヘキサン20 mLで3回洗浄した後、水層を回収し、凍結乾燥をして、アミノ基をt-ブトキシカルボニル基(Boc)で保護した、カルボキシメトキシルアミン誘導体 (白色固体、0.95 g、収率94%)を得た。得られたカルボキシメトキシルアミン誘導体の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、カルボキシメトキシルアミン誘導体に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.15(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (D2O、500 MHz、δppm):1.35 (s, 9H, Boc);4.20 (d, 2H, -CH2)
MS(ESI) Calcd:191.2 ;Found:191.7.

3.ジアルキルグルタミン酸誘導体(II)の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (0.52 g、0.80 mmol)、前記カルボキシメトキシルアミン誘導体(0.31 g、1.6 mmol) 、BOP試薬(0.71 g、1.6 mmol)及びTEA(222μL、1.6 mmol)を、20 mL蒸留クロロホルム中で2日間反応させ、アミド結合を形成させた。純水30 mLで3回洗浄した後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。メタノールから4℃で再結晶して、濾過した後、乾燥させることにより、カルボキシメトキシルアミン誘導体がアミド結合を介して導入された、ジアルキルグルタミン酸誘導体(II) (白色固体、0.60 g、収率85%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(II)の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、ジアルキルグルタミン酸誘導体(II)に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 8/1):Rf:0.85(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t,6H,-CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.48 (s, 9H, Boc);1.64 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.07 (m, 1H, gluβ-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.46 (t, 2H, gluγ-CH2);4.07,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.36 (d, 2H, -CH2-);4.69 (t, 1H, gluα-CH);8.30 (br, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:824.7 ;Found:847.7 (M+Na)+.

4.ジアルキルグルタミン酸誘導体(III)の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(II) (0.46 g、0.56 mmol)をクロロホルム10 mLに溶解後、トリフルオロ酢酸20 mL添加し、4℃にて1時間攪拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)にてジアルキルグルタミン酸誘導体(II)のスポットが消失したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)にて2回洗浄し、さらに純水(50 mL)で2回洗浄した。クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。残分をメタノールから4℃で再結晶し、濾過した後、乾燥させることにより、ジアルキルグルタミン酸誘導体(III) (白色粉末、0.32 g、収率79%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(III)の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、ジアルキルグルタミン酸誘導体(III)に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 8/1):Rf:0.76(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1735 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t,6H,-CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.57 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.03 (m, 1H, gluβ-CH2);2.24 (m, 1H, gluβ-CH2);2.42 (t, 2H, gluγ-CH2);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.18 (d, 2H, -CH2-);4.69 (t, 1H, gluα-CH);5.79 (br, 2H, -NH2);7.01 (m,1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:725.1 ;Found:725.8 (M+H)+.

5.糖脂質(A)の調製
陽イオン交換樹脂に通したD-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩 (0.049 g、0.189 mmol)を、1 mLの酢酸バッファー1 mL (0.1 M、pH 4) に溶解し、前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(III) (0.03 g、0.0413 mmol)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1.5 mL)中に徐々に滴下し、室温にて5日間攪拌した。反応溶液を純水50 mLにて洗浄後、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4))による精製を行い、糖脂質(A) (白色固体、0.018 g、46%)を得た。得られた糖脂質(A)の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、糖脂質(A)に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.10(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1736 (νC=O,ester), 1639 (νC=O,amide).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.64 (m,4H, -CO-O-C-CH2);2.03 (m, 1H, gluβ-CH2);2.24 (m, 1H, gluβ-CH2);2.42 (t, 2H, gluγ-CH2);3.48-4.07 (m, 6H, mannose 6-phosphate);4.09,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.69 (t, 1H, gluα-CH);7.70 (m,1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:966.2 ;Found:966.5 .

6.カルボン酸型脂質誘導体の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (3.5 g、5.87 mmol)を、クロロホルムとテトラヒドロフランとの混合溶液20 mL(容量比 1:1)に溶解させ、無水コハク酸(0.88 g、8.81 mmol)を加えて5時間撹拌し、ジアルキルグルタミン酸誘導体(I)と無水コハク酸とを反応させた。反応溶液をアセトン300 mL中に滴下して4℃で再結晶し、濾過した後、乾燥させることにより、カルボン酸型脂質誘導体 (白色粉末、3.7 g、収率91%)を得た。得られたカルボン酸型脂質誘導体の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、カルボン酸型脂質誘導体に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.65(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):3314 (νN-H,amide ),1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.62 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.04 (m, 1H, gluβ-CH2);2.21 (m, 1H, gluβ-CH2);2.40 (m, 2H, -CH2-CO-NH-) ; 2.58 (t, 2H, gluγ-CH2) 2.72 (m, 2H, -CH2-C-CO-NH-);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.60 (t, 1H, gluα-CH);6.55 (m, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:696.0 ;Found:696.5 (M+H)+.

7.PEG誘導体修飾脂質の調製
PEG誘導体としての4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン (1.58 g、7.18 mmol)、前記カルボン酸型脂質誘導体(0.5 g、0.718 mmol) 、BOP試薬(0.635 g、1.436 mmol)及びTEA(200μL、1.436 mmol)を、15 mL蒸留クロロホルム中で12時間反応させ、アミド結合を形成させた。純水30 mLで3回洗浄した後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。減圧除去後の残分をクロロホルム溶液5 mLに溶解し、アセトン150 mL中に滴下した後、沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール(容量比 4/1))による精製を行うことにより、PEG誘導体修飾脂質 (茶褐色固体、0.43 g、66%)を得た。得られたPEG誘導体修飾脂質の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、PEG誘導体修飾脂質に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.42(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):3314 (νN-H,amide ),1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.78 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.04 (m, 1H, gluβ-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 2H, PEG);2.46-2.55 (m, 6H, -CH2-CO-NH-, PEG) ; 2.58 (t, 2H, gluγ-CH2) 2.72 (m, 2H, -CH2-C-CO-NH-);3.53-3.72 (m, 14H, PEG);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.48 (t, 1H, gluα-CH);7.76 (m, 1H, -CO-NH-);8.09 (br, 2H, -NH2-)
MS(ESI) Calcd:898.3 ;Found:899.1 (M+H)+.

8.糖脂質(B)の調製
陽イオン交換樹脂に通したD-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩 (0.0657 g、0.2527 mmol)を、100μLの純水に溶解し、これを、前記PEG誘導体修飾脂質(0.0756 g、0.0842 mmol)を溶解させたDMF 1 mL溶液中に、加熱しながらゆっくり滴下した。滴下後の混合溶液に、TEA(11.7μL、0.0842 mmol)を添加し、70℃のオイルバスで24 hr反応させた。反応溶液を酢酸エチル50 mL中に滴下した後、沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4))による精製を行い、本発明のM6P−PEG修飾物質としての糖脂質(B) (淡黄色固体、0.031 g、32%)を得た。得られた糖脂質(B)の構造を下記式に示す。
Figure 0005069920
また、糖脂質(B)に関する各種分析結果を以下に示す。

薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.20(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1732 (νC=O,ester), 1639 (νC=O,amide)
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.78 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 2H, PEG);2.46-2.55 (m, 6H, -CH2-CO-NH-,PEG) ; 3.25-3.76 (m, 18H, gluγ-CH2, -CH2-C-CO-NH-, PEG, mannose 6-phosphate ) ;4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.48 (t, 1H, gluα-CH);7.08 (m, 1H, -CO-NH-);7.08 (m, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:1140.5 ;Found:1140.7 .
<集合体(リポソーム)の調製>
ナス型フラスコにDPPC、cholesterol、DHSGをモル比で5:5:1になるようにクロロホルム中に混合した溶液に、実施例1で得られた糖脂質(A)あるいは糖脂質(B)を脂質全体に対して2モル%あるいは20モル%添加し、ロータリーエバポレーターを用いてフラスコ壁面に乾燥脂質薄膜を形成させた。PBSを添加し、さらにガラスビーズを少量添加し、ボルテックスミキサーにて脂質重量濃度が2wt%となるように分散させた。さらに強制攪拌機にて攪拌の後、エクストルーダーを用いたエクストルージョン法にて最終孔径0.22μmのセルロースアセテート製メンブランフィルターまで透過させて、リポソームを調製した。得られたリポソームの粒径を動的光散乱装置にて測定した結果を以下の表に示す。リポソームはどの試料も分散安定性に優れており、粒径や濁度には変化が無かった。
Figure 0005069920
<PEG誘導体修飾rHSAの調製>
出発物質である、D-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩を陽イオン交換樹脂Amberlyteに通して(イオン交換条件: pH 7.0, 純水)凍結乾燥後、得られたD-マンノース6-リン酸(0.190 g, 0.731 mmol)に対し、10当量のエチレンジアミン(ED, 0.440 g, 7.33 mmol)をDMF(20 mL)中にて混合、撹拌後、メーラード反応にてM6PとEDを結合させ、1H-NMRにより、EDに未結合のD-マンノース6-リン酸の消失を確認し、反応を停止させた(75℃, 3 days)。反応液をジエチルエーテルにて再沈、ろ過後、真空乾燥により、茶褐色粉末であるM6P-ED及びM6P-ED-M6Pの粗生成物(0.197 g)を得た(収率 73%: fluorescamineによるアミン定量にて算出)。この粗生成物(37.9 mg)に対してN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、100 mM, 2 mL, 0.200 mmol, in DMSO)を添加、撹拌(室温,1hr)後、TLC(薄層クロマトグラフィー)のニンヒドリン染色の消失を確認し(展開溶媒: クロロホルム/メタノール/水= 65/25/4,v/v/v)、反応を停止させ、プロピルジチオ基修飾M6P-EDを含む粗生成物を得た。
他方で、rHSA (51.9 mg/mL, 16mL, 12.5 mol)に対して約80当量のN-ヒドロキシスクシンイミジル-27-(3-マレイミドプロピオニル)-アミド-4,7,10,13,16,19,22,25-オクタオキサヘプタコサノエート(500 mM, 1.92 mL, 960μmol, in DMSO)を添加、撹拌した(室温,6hr)。この反応液のHPLC解析により、平均してrHSA 1分子あたりPEGの結合数が31分子であると算出した。次に、反応液をゲルろ過(Sephadex-PD10)により、未反応のPEG(690)を除去し、マレイミド化PEG結合rHSA([rHSA]=32.8 mg/mL, 25 mL, 12.3μmol)を得た。
次に、プロピルジチオ基修飾M6P-EDを含む粗生成物に対して小過剰のジチオスレイトール(f.c., 80 mM)を添加、撹拌(室温,1hr)により、プロピルジチオ基修飾M6P-EDのジスルフィド基を還元した。この反応液とマレイミド化PEG結合rHSA([rHSA]=32.8 mg/mL, 8.48 mL, 4.17μmol)とを混合後、撹拌し(室温,12 hr)、マレイイミド基へチオール付加させ、さらにSPDPと同量のシステイン(f.c. 8.5 mM)の添加により未反応のマレイイミド基をシステインに変換した。反応液をゲルろ過(Sephadex-PD10)により不純物を除去し、M6P-PEG-rHSA ([rHSA]=14.3 mg/mL, 18.0 mL, 3.87μmol)を得た。このM6P-PEG-rHSAをモリブデンブルー法によるM6Pの定量により、平均してrHSA 1分子あたりM6Pの結合数が13分子であると算出した。
Figure 0005069920
なお、上記スキーム中、Amberlyteは陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、IR120BNA)、EDはエチレンジアミン、DMFはジメチルホルムアミド、SPDPは下記式:
Figure 0005069920
で示されるN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、DMSOはジメチルスルホキシド、DTTはジチオスレイトール、PEG(690)は下記式:
Figure 0005069920
で示される化合物、rHSAは組換えヒト血清アルブミンを意味する。

Claims (3)

  1. 下記式(2)で示される、化合物
    Figure 0005069920
    式中、R2タンパク質を表し、LA は、-C(O)NH-、下記式(3):
    Figure 0005069920
    で示される基、又は下記式(4):
    Figure 0005069920
    (式(4)中、pは1〜6の整数を表す。)
    で示される基であり、LB下記式(8):
    Figure 0005069920
    (式(8)中、L C は、-NH-、-C(O)-、-C(O)CH 2 CH 2 C(O)-、-C(O)CH 2 CH 2 CH 2 C(O)-、-S-、-C(OH)-、-CH(R 4 )-CH 2 -(但し、R 4 はH、Cl、Br、I、F若しくはOHを表す)又は下記式(9):
    Figure 0005069920
    で示される基を表し、rは0〜8の整数を表す。)
    で示される基であり、nは3〜700の整数を表す。
  2. タンパク質が生理活性タンパク質である、請求項1記載の化合物。
  3. タンパク質が酵素である、請求項1又は2記載の化合物。
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