JP2008195757A - マンノース6−リン酸−ポリエチレングリコール結合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の結合体は、マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる。本発明の複合体は、マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、目的物質が修飾されてなる。本発明の集合体は、目的物質が会合又は結合してなる集合体であって、該集合体の少なくとも一部に本発明の複合体を含んでなる。
【選択図】なし
Description
(1) マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体。
本発明の結合体としては、例えば、下記式(1)で示される結合体が挙げられる。
本発明の複合体としては、例えば、前記ポリエチレングリコール鎖の他方の片末端が目的物質に結合してなる複合体が挙げられ、具体的には、例えば、下記式(2)で示される複合体が挙げられる。
本発明の集合体としては、例えば、脂質二分子膜小胞体が挙げられ、具体的には、マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、前記小胞体の表面が修飾されたものが挙げられる。
本発明の集合体としては、例えば、前記(2)の複合体の含有割合が0.3〜50モル%(好ましくは0.3〜30モル%)であるものが挙げられる。
1.結合体
本発明の結合体は、マンノース6-リン酸(M6P)がポリエチレングリコール(PEG)鎖の片末端に結合してなるもの(以下、M6P−PEG結合体)である。
ここで、「結合」とは、M6PとPEG鎖とが互いに結合したこと(直接的な結合)を意味するものであってもよいし、リンカー部分となる任意の化学構造又は物質を介して互いに結合したこと(間接的な結合)を意味するものであってもよく、限定はされないが、後者の間接的な結合の方が反応効率や生成物の収率が高くなる点で好ましい。間接的な結合は、例えば、結合させる両物質(M6PとPEG鎖)のうち一方又は両方を誘導体化して互いに反応させることにより形成することができる。誘導体化は、例えば、結合させる物質に所望の官能基を導入すること、具体的には、結合させる物質と所望の官能基を含有する化合物とを反応させることにより成し得る。本発明において、前記リンカー部分は、通常は、誘導体化により導入された官能基との結合反応により形成された部分と言うことができるが、限定はされない。なお、本明細書においては、単に、M6P又はPEG鎖と表記された場合であっても、これらは各々、誘導体化されたものも含む意味であるとする。
M6P−PEG結合体中、PEG鎖部分の重合度は、限定はされないが、例えば、3〜700であることが好ましく、より好ましくは12〜300、さらに好ましくは40〜120である。
また、PEG鎖の末端に官能基を導入する方法としては、限定はされないが、例えば、カルボン酸末端のPEGを有機溶媒中でN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、片末端に無水コハク酸を導入する方法が好ましく挙げられる。
LAがリンカー部分を表す場合、リンカー部分の構造は特に限定はされるものではない。LAとしては、例えば、下記式(3)、下記式(4)、若しくは-C(O)NH-で示される化学構造又はこれら化学構造を含む構造であることが好ましい。
式(5)中、R3は、-NH2、-COOH、-C(O)CH2CH2COOH、-C(O)CH2CH2CH2COOH、-SH、-CHO、-C(O)OC6H4NO2、-CH=CH2、−C(O)OC4H4NO2、下記式(6)で示される基、又は下記式(7)で示される基を表す。
2.複合体
本発明の複合体は、前記本発明の結合体(M6P−PEG結合体)により、目的物質が修飾されてなるものである。具体的には、本発明の複合体は、M6P−PEG結合体中のポリエチレングリコール鎖の他の片末端(すなわちM6Pが結合していない方の末端)が、目的物質に結合してなるものである。また本発明の複合体は、PEG鎖を中心として、一方の片末端にM6Pが結合し、他方の片末端に目的物質が結合したものと言うこともできる。
本発明の複合体は、M6PとPEG鎖とが結合し、かつPEG鎖と目的物質とが結合したものであるが、ここでいう「結合」とは、前記1.項において説明した「結合」の定義と同様の意味である。なお、本明細書においては、M6P及びPEG鎖と同様に、単に、目的物質と表記された場合であっても、この標記は、誘導体化されたものも含む意味であるとする。
本発明の複合体中、PEG鎖部分の重合度は特に限定されるものではない。該分子量は、具体的には、前記1.項において説明した範囲と同様である。
両親媒性化合物としては、限定はされないが、例えば、脂質(分子)が好ましく、より好ましくは脂質二分子膜で形成される小胞体(リポソーム)の膜構成成分となり得る脂質、具体的にはリン脂質、又は後述する3.項で記載の負電荷脂質(アニオン性脂質)及び安定化剤としての脂質が挙げられる。安定化剤としての脂質としては、後述するように、リン酸基を含有しないカルボン酸型脂質も含まれ、例えば、DHSG(1,5-O-ジヘキサデシル-N-スクシニル-L-グルタメート)等が好ましく挙げられる。
飽和リン脂質としては、例えば、水添卵黄レシチン、水添大豆レシチン、肝形質膜、赤血球膜、大腸菌膜等の細胞外膜の抽出物及び細胞内膜の抽出物等の天然リン脂質並びにその誘導体のほか、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジン酸、ジアシルホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質類等が好ましく挙げられ、中でも、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロールがより好ましく、ジアシルホスファチジルエタノールアミンが特に好ましい。
無機高分子類としては、限定はされないが、ポリシロキサン誘導体などが好ましく挙げられる。
M6PとPEG鎖との結合形成反応に関する説明、並びに、M6Pの還元末端に官能基を導入する方法、及びPEG鎖の末端に官能基を導入する方法については、前記1.項での説明と同様である。
上記式(2)中、nは、PEG鎖部分におけるエチレングリコール単位の繰り返し数(重合度)を表し、具体的な数値範囲及び効果は、前記1.項での説明と同様である。
LA及びLBがリンカー部分を表す場合、リンカー部分の構造としては特に限定はされない。LAとしては、前記1.項で説明した式(3)、式(4)、若しくは-C(O)NH-で示される化学構造又はこれら化学構造を含む構造であることが好ましい。
式(8)中、LCは、-NH-、-C(O)-、-C(O)CH2CH2C(O)-、-C(O)CH2CH2CH2C(O)-、-S-、-C(OH)-、-CH(R4)-CH2-(但し、R4はH、Cl、Br、I、F若しくはOH等の置換基を表す(以下同様))、又は下記式(9)で示される構造を表す。
3.集合体
本発明の集合体は、目的物質が会合又は結合してなる集合体であって、該集合体の少なくとも一部に前記本発明の複合体を含むことを特徴とするものである。
本発明の集合体が、本発明の複合体以外の目的物質(他の物質)を含む場合、当該他の物質としては、本発明の複合体に使用された目的物質と同質のもの含むことが好ましい。具体的には、例えば、本発明の複合体に使用された目的物質が脂質(分子)である場合は、他の物質としても同様に脂質を使用することが好ましい。
上記目的物質及び他の物質が脂質(特にリン脂質)である場合、本発明の集合体の具体的態様としては、脂質二分子膜小胞体(以下、リポソーム)が好ましく挙げられる。また、上記他の物質としての脂質は、前記2.項において目的物質の例示として列挙したものが好ましく挙げられる。本発明の集合体がリポソームである場合、該リポソームは、表面の少なくとも一部がM6P−PEG結合体により修飾された形態を有する。
さらに、膜構成脂質は、安定化剤としての脂質成分を含んでいてもよい。このような安定化剤としては、例えばステロール類が挙げられる。具体的には、エルゴステロール及びコレステロール等が挙げられ、なかでもコレステロールが好ましい。
上記安定化剤の含有割合は、膜構成脂質全体に対して、5〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜40モル%である。上記含有割合であることにより、小胞体膜を効果的に安定化することができる。
また安定化剤としての脂質には、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)及びパルミチン酸(PA)等のアニオン性脂質を使用することもできる。
リポソームに内包されるタンパク質及び薬剤等は、それ自体、糖鎖修飾されたものであってもよいが、本発明においては、糖鎖修飾がされていないものが好ましい実施態様として挙げられる。本発明においては、リポソームの表面に標的細胞指向性等を高めるためのM6P−PEG結合体による修飾がされているため、内包するタンパク質等自体に標的細胞指向性を高める改良がされていなくても、十分効率的に標的細胞に取り込まれる。そのため、タンパク質等に糖鎖を導入する必要が無く、タンパク質等の合成又は生成の生産性が格段に向上するほか、本来有するタンパク質及び薬剤等の機能(酵素活性など)が発揮され易くなる。
本発明の集合体がリポソームの場合、その製法としては、脂質小胞体を調製する場合に用いられる公知の一般的な方法を用いることができる。該方法としては、例えば、ボルテックス法、超音波照射法、高圧吐出法、高圧押出法、強制撹拌(ホモジナイザー)法、凍結融解法、有機溶媒注入法、界面活性剤除去法、逆相蒸発法、及びマイクロフルイダイザー法等を、適宜選択し又は組み合せて採用できる。
上記製法は、リポソームに内包する物質の変性(特に酵素等の変性(活性低下))を防止するため、内包物質を取り扱う過程では20℃以下の温度条件下で行うことが好ましい。
1.ジアルキルグルタミン酸誘導体(I)の調製
グルタミン酸(2.96 g、20 mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(4.56 g、24 mmol)をベンゼン150 mLに溶解させ、Dean-Stark装置を用いて105℃で生成水を除去しながら、1時間還流した。その後、ヘキサデシルアルコール(10.65 g、44 mmol)を加えて、105℃で生成水を除去しながら、さらに14時間還流した。還流後、溶媒を減圧除去し、その後、残分をクロロホルム150 mLに溶解させ、炭酸ナトリウム飽和水溶液150 mLで2回洗浄し、さらに水150 mLで2回洗浄した。洗浄後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。残分を60℃でメタノール400 mLに溶解させ、不溶成分があれば濾過し、4℃で再結晶させた。再結晶後のものを濾過した後、乾燥させて、ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (白色粉末、9.5 g、収率80%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(I)の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.83(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.89 (t, 6H, -CH3);1.25 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.62 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);1.84 (m, 1H, gluβ-CH2);2.08 (m, 1H, gluβ-CH2);2.45 (t, 2H, gluγ-CH2);3.45 (t, 1H, gluα-CH);4.06,4.10 (t, 4H, -CO-O-CH2)
MS(ESI) Calcd:595.9 ;Found:597.3 (M+H)+.
2.カルボキシメトキシルアミン誘導体の調製
カルボキシメトキシルアミン1/2塩酸塩(0.58 mg、5.3 mmol)と無水t-ブトキシカルボニル(2.3 g、10.6 mmol)とを、1,4-ジオキサン(20 mL)、純水(10 mL)及び1N-NaOH(10 mL)の混合溶媒に溶解し、室温で12時間攪拌した。攪拌後、減圧下で10 mLまで濃縮し、ヘキサン20 mLで3回洗浄した後、水層を回収し、凍結乾燥をして、アミノ基をt-ブトキシカルボニル基(Boc)で保護した、カルボキシメトキシルアミン誘導体 (白色固体、0.95 g、収率94%)を得た。得られたカルボキシメトキシルアミン誘導体の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.15(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (D2O、500 MHz、δppm):1.35 (s, 9H, Boc);4.20 (d, 2H, -CH2)
MS(ESI) Calcd:191.2 ;Found:191.7.
3.ジアルキルグルタミン酸誘導体(II)の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (0.52 g、0.80 mmol)、前記カルボキシメトキシルアミン誘導体(0.31 g、1.6 mmol) 、BOP試薬(0.71 g、1.6 mmol)及びTEA(222μL、1.6 mmol)を、20 mL蒸留クロロホルム中で2日間反応させ、アミド結合を形成させた。純水30 mLで3回洗浄した後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。メタノールから4℃で再結晶して、濾過した後、乾燥させることにより、カルボキシメトキシルアミン誘導体がアミド結合を介して導入された、ジアルキルグルタミン酸誘導体(II) (白色固体、0.60 g、収率85%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(II)の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 8/1):Rf:0.85(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t,6H,-CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.48 (s, 9H, Boc);1.64 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.07 (m, 1H, gluβ-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.46 (t, 2H, gluγ-CH2);4.07,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.36 (d, 2H, -CH2-);4.69 (t, 1H, gluα-CH);8.30 (br, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:824.7 ;Found:847.7 (M+Na)+.
4.ジアルキルグルタミン酸誘導体(III)の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(II) (0.46 g、0.56 mmol)をクロロホルム10 mLに溶解後、トリフルオロ酢酸20 mL添加し、4℃にて1時間攪拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)にてジアルキルグルタミン酸誘導体(II)のスポットが消失したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)にて2回洗浄し、さらに純水(50 mL)で2回洗浄した。クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。残分をメタノールから4℃で再結晶し、濾過した後、乾燥させることにより、ジアルキルグルタミン酸誘導体(III) (白色粉末、0.32 g、収率79%)を得た。得られたジアルキルグルタミン酸誘導体(III)の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 8/1):Rf:0.76(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1735 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t,6H,-CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.57 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.03 (m, 1H, gluβ-CH2);2.24 (m, 1H, gluβ-CH2);2.42 (t, 2H, gluγ-CH2);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.18 (d, 2H, -CH2-);4.69 (t, 1H, gluα-CH);5.79 (br, 2H, -NH2);7.01 (m,1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:725.1 ;Found:725.8 (M+H)+.
5.糖脂質(A)の調製
陽イオン交換樹脂に通したD-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩 (0.049 g、0.189 mmol)を、1 mLの酢酸バッファー1 mL (0.1 M、pH 4) に溶解し、前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(III) (0.03 g、0.0413 mmol)を溶解したN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1.5 mL)中に徐々に滴下し、室温にて5日間攪拌した。反応溶液を純水50 mLにて洗浄後、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4))による精製を行い、糖脂質(A) (白色固体、0.018 g、46%)を得た。得られた糖脂質(A)の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.10(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1736 (νC=O,ester), 1639 (νC=O,amide).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 60H, -CH2-CH2-);1.64 (m,4H, -CO-O-C-CH2);2.03 (m, 1H, gluβ-CH2);2.24 (m, 1H, gluβ-CH2);2.42 (t, 2H, gluγ-CH2);3.48-4.07 (m, 6H, mannose 6-phosphate);4.09,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2);4.69 (t, 1H, gluα-CH);7.70 (m,1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:966.2 ;Found:966.5 .
6.カルボン酸型脂質誘導体の調製
前記ジアルキルグルタミン酸誘導体(I) (3.5 g、5.87 mmol)を、クロロホルムとテトラヒドロフランとの混合溶液20 mL(容量比 1:1)に溶解させ、無水コハク酸(0.88 g、8.81 mmol)を加えて5時間撹拌し、ジアルキルグルタミン酸誘導体(I)と無水コハク酸とを反応させた。反応溶液をアセトン300 mL中に滴下して4℃で再結晶し、濾過した後、乾燥させることにより、カルボン酸型脂質誘導体 (白色粉末、3.7 g、収率91%)を得た。得られたカルボン酸型脂質誘導体の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.65(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):3314 (νN-H,amide ),1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.62 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.04 (m, 1H, gluβ-CH2);2.21 (m, 1H, gluβ-CH2);2.40 (m, 2H, -CH2-CO-NH-) ; 2.58 (t, 2H, gluγ-CH2) 2.72 (m, 2H, -CH2-C-CO-NH-);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.60 (t, 1H, gluα-CH);6.55 (m, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:696.0 ;Found:696.5 (M+H)+.
7.PEG誘導体修飾脂質の調製
PEG誘導体としての4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン (1.58 g、7.18 mmol)、前記カルボン酸型脂質誘導体(0.5 g、0.718 mmol) 、BOP試薬(0.635 g、1.436 mmol)及びTEA(200μL、1.436 mmol)を、15 mL蒸留クロロホルム中で12時間反応させ、アミド結合を形成させた。純水30 mLで3回洗浄した後、クロロホルム層を回収し、硫酸ナトリウム5 gで脱水後、溶媒を減圧除去した。減圧除去後の残分をクロロホルム溶液5 mLに溶解し、アセトン150 mL中に滴下した後、沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール(容量比 4/1))による精製を行うことにより、PEG誘導体修飾脂質 (茶褐色固体、0.43 g、66%)を得た。得られたPEG誘導体修飾脂質の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール(容量比 4/1):Rf:0.42(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):3314 (νN-H,amide ),1737 (νC=O,ester).
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.78 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.04 (m, 1H, gluβ-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 2H, PEG);2.46-2.55 (m, 6H, -CH2-CO-NH-, PEG) ; 2.58 (t, 2H, gluγ-CH2) 2.72 (m, 2H, -CH2-C-CO-NH-);3.53-3.72 (m, 14H, PEG);4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.48 (t, 1H, gluα-CH);7.76 (m, 1H, -CO-NH-);8.09 (br, 2H, -NH2-)
MS(ESI) Calcd:898.3 ;Found:899.1 (M+H)+.
8.糖脂質(B)の調製
陽イオン交換樹脂に通したD-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩 (0.0657 g、0.2527 mmol)を、100μLの純水に溶解し、これを、前記PEG誘導体修飾脂質(0.0756 g、0.0842 mmol)を溶解させたDMF 1 mL溶液中に、加熱しながらゆっくり滴下した。滴下後の混合溶液に、TEA(11.7μL、0.0842 mmol)を添加し、70℃のオイルバスで24 hr反応させた。反応溶液を酢酸エチル50 mL中に滴下した後、沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4))による精製を行い、本発明のM6P−PEG修飾物質としての糖脂質(B) (淡黄色固体、0.031 g、32%)を得た。得られた糖脂質(B)の構造を下記式に示す。
薄層クロマトグラフィー(シリカゲルプレート、クロロホルム/メタノール/水(容量比 65/25/4):Rf:0.20(モノスポット))。
赤外吸収スペクトル (cm-1):1732 (νC=O,ester), 1639 (νC=O,amide)
1H-NMR (CDCl3、500 MHz、δppm):0.88 (t, 6H, -CH3);1.26 (s, 52H, -CH2-CH2-);1.78 (m, 4H, -CO-O-C-CH2);2.25 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 1H, gluβ-CH2);2.29 (m, 2H, PEG);2.46-2.55 (m, 6H, -CH2-CO-NH-,PEG) ; 3.25-3.76 (m, 18H, gluγ-CH2, -CH2-C-CO-NH-, PEG, mannose 6-phosphate ) ;4.06,4.14 (t, 4H, -CO-O-CH2-), 4.48 (t, 1H, gluα-CH);7.08 (m, 1H, -CO-NH-);7.08 (m, 1H, -CO-NH-)
MS(ESI) Calcd:1140.5 ;Found:1140.7 .
ナス型フラスコにDPPC、cholesterol、DHSGをモル比で5:5:1になるようにクロロホルム中に混合した溶液に、実施例1で得られた糖脂質(A)あるいは糖脂質(B)を脂質全体に対して2モル%あるいは20モル%添加し、ロータリーエバポレーターを用いてフラスコ壁面に乾燥脂質薄膜を形成させた。PBSを添加し、さらにガラスビーズを少量添加し、ボルテックスミキサーにて脂質重量濃度が2wt%となるように分散させた。さらに強制攪拌機にて攪拌の後、エクストルーダーを用いたエクストルージョン法にて最終孔径0.22μmのセルロースアセテート製メンブランフィルターまで透過させて、リポソームを調製した。得られたリポソームの粒径を動的光散乱装置にて測定した結果を以下の表に示す。リポソームはどの試料も分散安定性に優れており、粒径や濁度には変化が無かった。
出発物質である、D-マンノース6-リン酸一ナトリウム塩を陽イオン交換樹脂Amberlyteに通して(イオン交換条件: pH 7.0, 純水)凍結乾燥後、得られたD-マンノース6-リン酸(0.190 g, 0.731 mmol)に対し、10当量のエチレンジアミン(ED, 0.440 g, 7.33 mmol)をDMF(20 mL)中にて混合、撹拌後、メーラード反応にてM6PとEDを結合させ、1H-NMRにより、EDに未結合のD-マンノース6-リン酸の消失を確認し、反応を停止させた(75℃, 3 days)。反応液をジエチルエーテルにて再沈、ろ過後、真空乾燥により、茶褐色粉末であるM6P-ED及びM6P-ED-M6Pの粗生成物(0.197 g)を得た(収率 73%: fluorescamineによるアミン定量にて算出)。この粗生成物(37.9 mg)に対してN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、100 mM, 2 mL, 0.200 mmol, in DMSO)を添加、撹拌(室温,1hr)後、TLC(薄層クロマトグラフィー)のニンヒドリン染色の消失を確認し(展開溶媒: クロロホルム/メタノール/水= 65/25/4,v/v/v)、反応を停止させ、プロピルジチオ基修飾M6P-EDを含む粗生成物を得た。
Claims (23)
- マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体。
- マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、目的物質が修飾されてなる複合体。
- 前記ポリエチレングリコール鎖の他方の片末端が目的物質に結合してなる、請求項5記載の複合体。
- 目的物質が両親媒性化合物である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の複合体。
- 両親媒性化合物が脂質である、請求項10記載の複合体。
- 脂質がリン脂質である、請求項11記載の複合体。
- 目的物質が疎水性化合物である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の複合体。
- 目的物質がタンパク質である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の複合体。
- タンパク質が酵素である、請求項14記載の複合体。
- 目的物質が会合又は結合してなる集合体であって、該集合体の少なくとも一部に請求項5〜15のいずれか1項に記載の複合体を含む、前記集合体。
- 脂質二分子膜小胞体である、請求項16記載の集合体。
- マンノース6-リン酸がポリエチレングリコール鎖の片末端に結合してなる結合体により、前記小胞体の表面が修飾された、請求項17記載の集合体。
- 前記小胞体内に薬物が内包された、請求項17又は18記載の集合体。
- 前記小胞体内にタンパク質が内包された、請求項17又は18記載の集合体。
- タンパク質が酵素である、請求項20記載の集合体。
- 前記複合体の含有割合が0.3〜50モル%である、請求項5〜21のいずれか1項に記載の集合体。
- 前記含有割合が0.3〜30モル%である、請求項22記載の集合体。
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