JP2005298486A - リポソームを含む癌治療用医薬組成物 - Google Patents

リポソームを含む癌治療用医薬組成物 Download PDF

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Toshiya Kai
俊哉 甲斐
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淳一 横江
Shiho Sakuragi
志保 櫻木
Makoto Sato
佐藤  誠
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Abstract

【課題】 本発明は、抗腫瘍活性物質の血中滞留性、腫瘍細胞への移行性がより向上し、心臓での残留性等の副作用が減少した抗腫瘍活性物質含有リポソーム製剤を提供する。
【解決手段】 抗腫瘍活性物質を含有し、ポリアルキレングリコール類とアルブミンとが結合されたリポソームを含み、ガン細胞へ多量に取り込まれることを特徴とする癌治療用医薬組成物。
【選択図】 図2

Description

本発明は、抗腫瘍活性物質が優れた腫瘍細胞滞留性および血中滞留性を示す、抗腫瘍活性物質含有リポソーム製剤に関する。
リポソームは脂質二重膜からなる脂質カプセルであり、種々の薬物のキャリアーとして主に注射剤を中心に研究されている。
しかし、リポソームは、生体適合性の脂質で構成されてはいるものの、免疫系による異物認識を受けるために、肝臓や脾臓等に代表される細網内皮系に取り込まれ、速やかに血中から消失することが知られている。従って、投与後の薬物の作用が長続きしないことが最大の欠点である。
これらの欠点を解決するために、糖蛋白や糖脂質をリポソーム表面に化学修飾する方法、グルクロン酸誘導体を結合させる方法等が報告されているが、製剤化に至ったものはない。これに対して、1990年代になってリポソーム表面を親水性のポリエチレングリコールで化学修飾することで、免疫系による異物認識を軽減させ、リポソームの血中滞留性を向上させることによって、薬物の作用を持続させる研究が広く行われてきた。
既に、この技術を応用したリポソーム製剤が開発され、抗真菌薬であるアンホテリシンB、抗ガン剤であるドキソルビシン、ダウノルビシン、造影剤であるインジウム等がリポソーム製剤として市販されている(非特許文献1)。最近では、シスプラチン、ビンクリスチン、カンプトテシン等の抗ガン剤にも広く応用検討がされ(非特許文献2)、遺伝子治療の際の遺伝子の運搬体としての応用も検討されている。
塩酸ドキソルビシンは抗腫瘍活性物質として現在広く用いられている。この物質は静脈内投与後、胆汁排泄により速やかに血中から消失するが、心臓への蓄積に代表される重篤な副作用を示すことが知られている。従って、該薬物の投与においては、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査)を行うなど患者の状態を十分に観察することが必要であった。
現在までに、塩酸ドキソルビシンの血中滞留性の向上及び心臓への蓄積の回避を目的として、ポリエチレングリコール鎖を結合したリポソームに該物質を封入した製剤は既に市販化されている(非特許文献3参照)。
また、リポソームの表面修飾はガン細胞や肝臓実質細胞への薬物のターゲッティングを目的とした研究でも盛んに行われており、抗体やトランスフェリンを結合させてガン細胞を認識させる方法、種々の糖鎖を結合させて肝臓実質細胞へ取り込ませる方法等が報告されている。これらの化学修飾において、アルブミンをスペーサーとして利用することが報告されている(非特許文献4)。
本発明者らは、種々の生理活性物質を封入し、アルブミンを結合させたリポソームが、その血中滞留性が著しく向上することを見出した(WO2004−45583A)。
しかしながら、抗腫瘍活性物質を含有し、アルブミンを結合させたリポソーム製剤に関する研究報告は未だなく、また、抗腫瘍活性物質のガン細胞への取り込みを検討した報告もされていない。
Troy O. Harasym, Marcel B. Bally, Paul Tardi, "Clearance properties of liposomes involving conjugated proteins for targeting ", Advanced Drug Delivery Reviews, 1998, vol.32, p.99-118. Naoto Oku, Yoshihiro Tokudome, Tomohiro Asai and Hideo Tsukada, "Evaluation of Drug Targeting Strategies and Liposomal Trafficking", Current Pharmaceutical Design, 2000, vol.6, p.1669-1691. Alberto Gabizon, Hilary Shmeeda and Yechezkel Barenholz, "Pharmacokinetics of Pegylated Liposomal Doxorubicin", Clinical. Pharmacokinetics, 2003, 42 (5), p.419-436. 小島周二、曽川祐介、田尻芳香、山嵜登、「シアル酸修飾による糖蛋白質結合リポソームの細網内皮系(RES)への取り込み抑制と促進に関する検討」、Drug Delivery System, 2002, vol.17-1, p.63-68
薬物キャリアーとしてリポソームを用いたこれまでの抗腫瘍製剤は、血中滞留性や腫瘍細胞滞留性がまだ十分ではなく、重篤な副作用も発現する。
このため抗腫瘍活性物質の腫瘍細胞滞留性が向上し、しかも副作用がほとんどないリポソーム製剤の開発が求められている。
本発明者らは、リポソーム製剤につき鋭意検討していたところ、ドキソルビシン塩酸塩を封入したリポソームの表面にポリエチレングリコール(以下、PEGと略称することもある)鎖とアルブミンを同時に結合させると、リポソーム及び内封されたドキソルビシン塩酸塩の血中滞留性が相乗効果的に向上しただけでなく、併せてガン細胞に多量に取り込まれること、さらにこのリポソーム製剤はドキソルビシンの心臓への蓄積を抑制するとともに、ガン細胞へ高濃度に移行し、心毒性の低減と優れた治療効果を発揮することを見いだした。本発明者等はこのような知見に基づき、種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 抗腫瘍活性物質を含有し、ポリアルキレングリコール類とアルブミンとが結合されたリポソームを含み、ガン細胞へ多量に取り込まれることを特徴とする癌治療用医薬組成物、
(2) 抗腫瘍活性物質が抗腫瘍性抗生物質である、上記(1)記載の医薬組成物、
(3) 抗腫瘍抗生物質がアントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤である、上記(2)記載の医薬組成物、
(4) アントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤がドキソルビシンまたはその塩酸塩である、上記(3)記載の医薬組成物、
(5) アルブミンが遺伝子組換え型ヒト血清アルブミンである、上記(1)記載の医薬組成物、
(6) アルブミンの含有量が、リポソームを構成する総脂質量に対して約0.0001〜10モル%である、上記(1)記載の医薬組成物、
(7) リポソームの体積平均粒子径が約10〜5,000nmである、上記(1)記載の医薬組成物、
(8) ポリアルキレングリコール類の分子量が約200〜4,000,000である、上記(1)記載の医薬組成物、
(9) ポリアルキレングリコール類がポリエチレングリコールである、上記(1)記載の医薬組成物、
(10) 注射剤である、上記(1)記載の医薬組成物、
(11) 上記(1)記載の医薬組成物を投与することを特徴とする癌の治療方法、及び
(12) 非経口投与する上記(11)記載の癌の治療方法に関する。
抗腫瘍活性物質を含有し、ポリアルキレングリコール類とアルブミンとが結合されたリポソームを含み、ガン細胞へ多量に取り込まれることを特徴とする癌治療用医薬組成物(以下、本発明のリポソーム製剤と称することがある)は、公知の、ポリエチレングリコール鎖のみを結合した抗腫瘍活性物質封入リポソームと比べて、抗腫瘍活性物質の血中滞留性が一段と向上しただけでなく、ガン細胞に多量に移行する。これによりセラピューティクウインドウが広がり、副作用、例えば、心臓へのドキソルビシンの蓄積による心毒性の軽減だけでなく、抗腫瘍活性物質の投与量を減少させることができ、また長期的持続的な薬理作用が得られる。
通常、「リポソーム」とは、膜状に集合した脂質及び内部の水相から構成される閉鎖小胞を意味するが(D.D.Lasic、「liposomes: from basic to applications」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171(1993)参照。)、本発明においては、特に内水相を有しているか否かに関わらず、脂質が集合化した微粒子全体を意味する。また、本発明のリポソームの構造も特に限定されず、多重層リポソームであってもよいし、一枚膜リポソームであってもよい。
本発明のリポソーム製剤におけるリポソームの大きさは特に限定されないが、体積平均粒子径が約10〜5000nm、好ましくは約50〜500nmである。リポソームの体積平均粒子径は、動的光散乱法等の原理に基づき求めることができる( D.D.Lasic、「Liposomes: from basic to applications」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171(1993)参照)。
本発明のリポソーム製剤におけるリポソームを構成する脂質も特に限定されず、公知の脂質であってよい。前記脂質としては、例えばリン脂質、糖脂質、脂肪酸、両親媒性ジアルキルジメチルアンモニウム(dialkyl dimethylammnonium amphiphiles)、ポリグリセロールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等(Liposome Technology,2nd edition,vol.1,141,1993)、アルキルグリコシド、アルキルメチルグルカミド、アルキルシュークロースエステル、ジアルキルポリオキシエチレンエーテル、ジアルキルポリグリセロールエーテル等(Liposome Technology,2nd edition,vol.1,141,1993)、ポリオキシエチレン−ポリ乳酸等の両親媒性ブロック共重合体等(特表平6−508831号公報)、長鎖アルキルアミン類(テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン等)、または長鎖脂肪酸ヒドラジド類(ミリスチン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジドもしくはステアリン酸ヒドラジド等)などを挙げることができる。
前記リン脂質としては、天然または合成のリン脂質、例えばホスファチジルコリン(大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンもしくはジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルエタノールアミン(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンもしくはジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等)、ホスファチジルセリン(ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリンもしくはジステアロイルホスファチジルセリン等)、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール(ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールもしくはジステアロイルホスファチジルグリセロール等)、ホスファチジルイノシトール(ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトールもしくはジステアロイルホスファチジルイノシトール等)、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチンまたは水素添加リン脂質等が挙げられる。
前記糖脂質としては、例えばグリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質、ステロール類等が挙げられる。前記グリセロ糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド類(ジガラクトシルジラウロイルグリセリド、ジガラクトシルジミリストイルグリセリド、ジガラクトシルジパルミトイルグリセリドもしくはジガラクトシルジステアロイルグリセリドなど)、またはガラクトシルジグリセリド類(ガラクトシルジラウロイルグリセリド、ガラクトシルジミリストイルグリセリド、ガラクトシルジパルミトイルグリセリドもしくはガラクトシルジステアロイルグリセリド等)等が挙げられる。前記スフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシドまたはガングリオシド等が挙げられる。前記ステロール類としては、例えば、コレステロール、コレステロールヘミサクシネート、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、エルゴステロールまたはラノステロール等が挙げられる。
本発明においては、これらの脂質は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるポリアルキレングリコール類としては、特に限定されないが、アルキレン鎖が炭素数1〜6程度のものが好ましい。また、アルキレン鎖は、本発明に支障のない置換基、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールなどを用いることができるが、ポリエチレングリコールを用いることが特に好ましい。ポリアルキレングリコール類の分子量は特に限定されないが、分子量が約200〜4,000,000、好ましくは約1,000〜50,000である。ポリエチレングリコールを用いる場合には、特に上記分子量のものが好ましい。
本発明において、ポリアルキレングリコール類の含有量は特に限定されないが、リポソームを構成する総脂質量に対して約0.5〜30モル%が好ましい。
本発明で用いるアルブミンは、特に限定されないが、例えば、卵アルブミン、血清アルブミン、乳アルブミンもしくは筋アルブミン(ミオゲン)などの動物性アルブミン、または例えば、ロイコシン、レグメリンもしくはリシンなどの植物性アルブミンなどが挙げられる。中でも、本発明においては投与対象と同一動物の血清アルブミンを用いることが好ましく、特に、ヒト血清アルブミンを用いることが好ましい。また、本発明で用いるアルブミンは、遺伝子組換え技術により得られるアルブミンであってもよい。前記アルブミンは、野生型アルブミンと同一のアミノ酸配列を有していてもよいし、本発明の目的に反しない限り、1ないし複数個、好ましくは1〜数個のアミノ酸が欠失、置換または付加している変異型アルブミンであってもよい。このようなアルブミンは、公知の技術に従って容易に作製することができる。本発明においては、感染の危険性がないことから、遺伝子組換えアルブミンを用いることが好ましい。
本発明において、アルブミンの含有量は特に限定されないが、リポソームを構成する総脂質量に対して約0.0001〜10モル%が好ましい。
本発明のリポソーム製剤で用いられるリポソームは、上述したポリアルキレングリコール類とアルブミンとを含有していれば、どのような構造をとっていてもよい。ポリアルキレングリコール類とアルブミンとの結合の位置結合の様式はどのようなものでもよい。しかし、リポソームは、ポリアルキレングリコール類とアルブミンとを表面に有していることが好ましい。また、ポリアルキレングリコール類およびアルブミンは、リポソームに対して、例えば吸着、電気的結合、物理的結合(ファンデルワールス力など)、化学結合など、どのような形式で結合していてもよいが、化学結合により結合していることが好ましい。
本発明のリポソーム製剤で用いられるリポソームの好ましい態様としては、(a)ポリアルキレングリコール類とアルブミンとがそれぞれリポソームに結合している場合が挙げられる。また、(b)ポリアルキレングリコール類を介して、リポソームとアルブミンとが結合している場合が挙げられる。すなわち、ポリアルキレングリコール類にリポソームが結合し、その結合部位とは異なる部位でアルブミンがポリアルキレングリコール類に結合している場合である。さらに、(c)アルブミンを介して、リポソームとポリアルキレングリコール類とが結合している場合が挙げられる。すなわち、アルブミンにリポソームが結合し、その結合部位とは異なる部位でポリアルキレングリコール類がアルブミンに結合している場合である。本発明においては、前記(a)〜(c)の態様のリポソームが混在していてもよい。
本発明で用いられるリポソームは、自体公知の技術を用いて製造することができる。このリポソームの好ましい製造方法(a)〜(c)を、下記に説明する。
(a)ポリアルキレングリコール類とアルブミンとがそれぞれリポソームに結合している場合、本発明で用いられるリポソームの製造方法は、
(i)ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームに、アルブミンを結合させる方法、
(ii)アルブミンが結合しているリポソームに、ポリアルキレングリコール類を結合させる方法、
(iii)ポリアルキレングリコール類が結合している脂質と、アルブミンが結合している脂質とを用いて、リポソームを製造する方法
等が挙げられる。
上記(i)の方法において、ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームは、公知の方法を用いて容易に製造することができる。例えば、ポリアルキレングリコール類が結合している脂質を用いてリポソームを製造するという方法が挙げられる。前記「ポリアルキレングリコール類が結合している脂質」としては、ポリアルキレングリコール類修飾リン脂質、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールヒマシ油誘導体またはポリアルキレングリコールソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。これら脂質の「ポリアルキレングリコール」部分はポリエチレングリコールが好ましい。「ポリアルキレングリコール類が結合している脂質」としては、ポリエチレングリコール修飾リン脂質が好ましく、リン脂質がホスファチジルエタノールアミン類がより好ましい。
具体的には、例えば、PEG−DSPE[1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン-N-(ポリエチレングリコール)]、
次式(11):
CHO−(CHCHO)n−CO−CHCH−CO−NH−PE (11)
(式中、nは5〜100,000の整数、好ましくは10〜1,200の整数を示し、−NH−PEはホスファチジルエタノールアミン残基を示す。)で表されるN−(モノメトキシポリエチレングリコールサクシニル)ホスファチジルエタノールアミン類、
次式(12):
Figure 2005298486
(式中、nおよび−NH−PEは上記と同意義)で表されるN−〔モノメトキシポリエチレングリコール(2−クロロ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジイル)〕ホスファチジルエタノールアミン類、
次式(13):
CHO−(CHCHO)n−1−CO−NH−PE (13)
(式中、nおよび−NH−PEは上記と同意義。)
で表されるN−(モノメトキシポリエチレングリコールカルボニル)ホスファチジルエタノールアミン類
または次式(14):
CHO−(CHCHO)n−CHCH−NH−PE (14)
(式中、nおよび−NH−PEは上記と同意義。)で表されるN−(モノメトキシポリエチレングリコールエチレン)ホスファチジルエタノールアミン類が挙げられる。
以上のような「ポリアルキレングリコール類が結合している脂質」は、公知の技術を用いて容易に製造することができ、また市販品を用いてもよい。かかる脂質を構成脂質として用いてリポソームを製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いてもよい。例えば、上記脂質および水相を使用し、薄膜法、逆相蒸発法、エタノール注入法、エーテル注入法、脱水−再水和法等により、リポソームを製造することができ、超音波照射法、凍結融解後の超音波照射法、エクストルージョン法、フレンチプレス法、ホモジナイゼーション法等の方法により、体積平均粒子径を調節することができる(D.D.Lasic、「Liposomes: from basic to applications」、Elsevier Science Publishers、pp.1-171(1993)参照。)。ここで、「水相」とは、リポソーム内部を構成する水溶液を意味し、本技術分野において通常使用されるものであれば特に制限はないが、塩化ナトリウム水溶液、リン酸緩衝液もしくは酢酸緩衝液等の緩衝液、グルコース水溶液、トレハロース等の糖水溶液またはこれらの混合水溶液が好適である。一般に、生体内に投与されたリポソームの構造を安定に保つため、リポソームの製造に使用される水相は、リポソーム外、すなわち、体液に対して等張に近く、リポソーム内外にかかる浸透圧が小さいことが好ましい。
得られたポリアルキレングリコール類結合リポソームにアルブミンを結合するには、例えば、メルカプト基−マレイミド基カップリング手法(sulfhydryl-maleimide coupling technique)(Derksen, J.T.P. and Scherphof, G.L.(1985) Biochem. Biophys. Acta 814, p.151-155)などの公知手法を用いて容易に行うことができる。なかでも、反応性介在基を介して前記リポソームとアルブミンを結合させるという方法が好適に採用され得る。反応性介在基としては、特に限定されず、当技術分野で公知の基であってよい。
好ましい態様としては、下記方法が挙げられる。上記のようにポリアルキレングリコール類結合リポソームを作製する際に、構成脂質としてポリアルキレングリコール類が結合している脂質に加えて反応性介在基を有する脂質を用いる。反応性介在基を有する脂質としては、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(グルタリル)(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine-N-(glutaryl)、以下「NGPE」と略称する。)が好ましい。かかる構成脂質を用いて上述のようにポリアルキレングリコール類結合リポソームを製造した後、前記リポソームが有する反応性介在基を介してアルブミンを結合させる。NGPEを用いた場合は、NGPEの末端カルボキシル基にアルブミンのアミノ基を結合させるのが好ましい。このとき、前記リポソームが有する反応性介在基の反応性を高めるための官能基を予め結合し、かかる官能基と置換させる形でアルブミンを結合してもよい。例えば、NGPEを用いた場合は、水溶性カルボジイミドを用いてNGPEに予めカルボジイミド基を結合し、前記カルボジイミド基と置換させる形でNGPEにアルブミンを結合させる。
他の好ましい態様としては、反応性介在基を有する脂質として、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine、以下「DOPE」と略称する。)のアミノ基に3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニル(3-(2-pyridyldithio) propionyl、以下「DTP」と略称する。)が結合している脂質(以下「DTP−DOPE」と略称する。)を用いる方法が挙げられる。具体的には、ポリアルキレングリコール類が結合している脂質に加えてDTP−DOPEを構成脂質として用いて、上述のようにポリアルキレングリコール類結合リポソームを作製する。一方で、アルブミンにメルカプト基を導入する。メルカプト基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いてよい。好ましくは、アルブミンにDTPを導入し、ついでジチオスレイトール(dithiothreitol)と反応させることによって、メルカプト基が導入されたアルブミンを得ることができる。上記リポソームとアルブミンを反応させることにより、ポリアルキレングリコール類結合リポソームにアルブミンを結合させることができる。
上記(ii)および(iii)に記載の方法は、以上述べてきた記載に従って容易に行うことができる。
本発明のリポソーム製剤は、例えば、上記(i)において、ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームに抗腫瘍活性物質を担持させたのちアルブミンを結合させる方法、上記(ii)において、アルブミンが結合しているリポソームに、抗腫瘍活性物質を担持させた後、ポリアルキレングリコール類を結合させる方法、または(iii)ポリアルキレングリコール類が結合している脂質と、アルブミンが結合している脂質と抗腫瘍活性物質と塩とを用いてリポソームを製造する方法等により製造できる。
上記のリポソームによる抗腫瘍活性物質の担持形態は特に限定されず、例えば、抗腫瘍活性物質は該リポソーム内に封入されていてもよいし、該リポソームの表面に吸着もしくは結合していてもよい。また、抗腫瘍活性物質は、アルブミンやポリアルキレングリコール類に吸着もしくは結合していてもよい。
抗腫瘍活性物質を担持し、ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームは自体公知の方法により製造される。さらに例えば、ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームと抗腫瘍活性物質の溶液もしくは懸濁液を接触させて、抗腫瘍活性物質をリポソームに取り込ませることより製造することができる。
例えば、ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームに抗腫瘍活性物質の水溶液もしくは水懸濁液を加えて、得られる混合液を激しく振とう、撹拌、超音波処理を行い、均一に分散させ、静置する。この際、水の代わりに硫酸アンモニウム等の塩含有水を用いても良い。分散液から取り込まれなかった抗腫瘍活性物質は、公知の分離精製手段(例、ゲルろ過等)により除去し、抗腫瘍活性物質を担持し、ポリアルキレングリコール類が結合するリポソームを得る。
抗腫瘍活性物質を担持し、アルブミンが結合しているリポソームは、アルブミンが結合しているリポソームと抗腫瘍活性物質を用いて、上記製造方法と同様にして製造される。
また、本発明のリポソーム製剤は、脂質混合物(例えば、PEG結合DSPE、DTP-DOPE、卵黄レシチン及びコレステロールの混合物等)に抗腫瘍活性物質と塩(例、塩化アンモニウム等)を含有する水溶液を添加し、加温して水和させ、リポソーム形成と同時に抗腫瘍活性物質をリポソーム内部に取り込ませることにより製造できる。
ポリアルキレングリコール類とアルブミンが結合したリポソームを製造した後、このリポソームの内部に、抗腫瘍活性物質を自体公知の方法により取り込ませることもできる。(下記(b)、(c)においても上記と同様な方法が採用される)
(b)ポリアルキレングリコール類を介してリポソームとアルブミンとが結合している場合、
本発明で用いられるリポソームの製造方法としては、
(i)ポリアルキレングリコール類が結合しているリポソームを製造し、このリポソームのポリアルキレングリコール類にアルブミンを結合させる方法、
(ii)アルブミンが結合しているポリアルキレングリコール類に、アルブミンとの結合部位とは異なる部位でリポソームと結合させる方法
等が挙げられる。
上記(i)の方法において、ポリアルキレングリコール類結合リポソームの製造方法は上述と同様である。前記リポソームのポリアルキレングリコール類にアルブミンを結合させるには、公知手法を用いてよい。なかでも、反応性介在基を介してポリアルキレングリコール類とアルブミンを結合させるという手法が採用され得る。反応性介在基としては、特に限定されず、当技術分野で公知の基であってよいが、マレイミド基が好適な例として挙げられる。
具体的には、下記方法が挙げられる。ポリアルキレングリコール類が結合している脂質において、ポリアルキレングリコール類に反応性官能基を結合させておく。例えば、ポリアルキレングリコール類の水酸基にマレイミド基が結合されていることが好ましい。得られた脂質を用いて、上記と同様にしてリポソームを製造する。得られたリポソームとアルブミンとを反応させることにより、リポソームに結合しているポリアルキレングリコール類の反応性官能基を介してアルブミンが結合し、目的のリポソームが得られる。この際に、前記反応性官能基とアルブミンが結合しやすいように、アルブミンに前記反応性官能基に応じた置換基を導入するなど公知の処理を施しておいてもよい。前記反応性官能基がマレイミド基である場合は、アルブミンに予めメルカプト基を導入しておくことが好ましい。メルカプト基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いてよい。より具体的には、アルブミンとアセチルチオアセテートを反応させてアルブミンのアミノ基にアセチルチオアセチル基を結合させ、ついでアセチル基を脱離することにより、メルカプトアセチル基が導入されたアルブミンが得られる。
上記(ii)の方法において、ポリアルキレングリコール類とアルブミンを結合させる方法は、特に限定されず公知の手法を用いてよいが、反応性介在基を介して結合させることが好ましい。反応性介在基としては、特に限定されず、当技術分野で公知の基であってよいが、マレイミド基が好適な例として挙げられる。ついで、得られたアルブミン結合ポリアルキレングリコール類にアルブミンとの結合部位とは異なる部位でリポソームと結合させる。その方法も特に限定されず公知の手法を用いてよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール類として、予め脂質が結合されているポリアルキレングリコール類を用い、前工程で得られたアルブミン−ポリアルキレングリコール類−脂質複合体をリポソームに挿入するという方法が挙げられる。
より具体的には、先に述べたようにしてポリアルキレングリコール類を脂質に結合させる。ついで、得られた脂質のポリアルキレングリコール類に反応性官能基を結合する。例えば、ポリアルキレングリコール類の水酸基にマレイミド基を結合されることが好ましい。ついで、得られた脂質のポリアルキレングリコール類に反応性官能基を介してアルブミンを反応させる。この際に、前記反応性官能基とアルブミンが結合しやすいように、アルブミンに前記反応性官能基に応じた置換基を導入するなど公知の処理を施しておいてもよい。前記反応性官能基がマレイミド基である場合は、アルブミンに予めメルカプト基を導入しておくことが好ましい。メルカプト基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いてよい。より具体的には、アルブミンとアセチルチオアセテートを反応させてアルブミンのアミノ基にアセチルチオアセチル基を結合させ、ついでアセチル基を脱離することにより、メルカプトアセチル基が導入されたアルブミンが得られる。一方で、リポソームを公知方法により作製しておき、得られたアルブミン−ポリアルキレングリコール類−脂質複合体をリポソームに挿入することにより、目的のリポソームを得ることができる。
(c)アルブミンを介して、リポソームとポリアルキレングリコール類とが結合している場合
本発明で用いられるリポソームの製造方法としては、
(i)ポリアルキレングリコール類が結合しているアルブミンに、ポリアルキレングリコール類との結合部位とは異なる部位でリポソームと結合させる方法、
(ii)アルブミンが結合しているリポソームを製造し、前記リポソームのアルブミンにポリアルキレングリコール類を結合させる方法
等が挙げられる。
上記(i)の方法において、ポリアルキレングリコール類とアルブミンを結合させる方法は、特に限定されず公知の手法を用いてよいが、反応性介在基を介して結合させることが好ましい。反応性介在基としては、特に限定されず、当技術分野で公知の基であってよいが、マレイミド基が好適な例として挙げられる。より具体的には、ポリアルキレングリコール類に反応性官能基を結合する。例えば、ポリアルキレングリコール類の水酸基にマレイミド基を結合されることが好ましい。ついで、ポリアルキレングリコール類に反応性官能基を介してアルブミンを反応させる。この際に、前記反応性官能基とアルブミンが結合しやすいように、アルブミンに前記反応性官能基に応じた置換基を導入するなど公知の処理を施しておいてもよい。前記反応性官能基がマレイミド基である場合は、アルブミンに予めメルカプト基を導入しておくことが好ましい。メルカプト基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いてよい。より具体的には、アルブミンとアセチルチオアセテートを反応させてアルブミンのアミノ基にアセチルチオアセチルを結合させ、ついでアセチル基を脱離することにより、メルカプトアセチル基が導入されたアルブミンが得られる。
ついで、得られたポリアルキレングリコール類が結合しているアルブミンと、リポソームを結合する。その方法は上述したとおりである。
上記(ii)の方法において、アルブミンをリポソームに結合させる方法は上述のとおりである。ついで、前記アルブミンにポリアルキレングリコール類を結合する。その方法も、前記と同一であってよい。
上記製造方法としては、例えば、
下記式(1):
Figure 2005298486
(式中、Rは、炭素数2〜35の脂肪酸から誘導されるアシル基を示す。)
で示される化合物を構成脂質として有するリポソームとアルブミンとを結合させるか、
下記式(2):
Figure 2005298486
(式中、Rは上記定義に同じ。)
で示される化合物を構成脂質として有するリポソームと、
式(3):(Alb−NH)−CO−CH−CH−SH (3)
(式中、Alb−NHは、アルブミンおよびアルブミン中のアミノ基を示す。)
で示される化合物とを結合させるか、
下記式(4):
Figure 2005298486
(式中、nは5〜100,000の整数を示す。Rは上記定義に同じ。)
で示される化合物を構成脂質として有するリポソームと、
式(5):(Alb−NH)−CO−CH−SH (5)
(式中、Alb−NHは、上記定義に同じ。)
で示される化合物とを結合させるか、
下記式(6):
Figure 2005298486
(式中、n、RおよびAlb−NHは、上記定義に同じ。)
で示される化合物をリポソームに挿入するか、
上記式(1)で示される化合物を構成脂質として有するリポソームと、下記式(7):
Figure 2005298486
(式中、−NH−Alb−NHは、アルブミンおよびアルブミンの異なった2つのアミノ基を示す。nは上記定義に同じ。)
で示される化合物とを結合させるか、
上記式(2)で示される化合物を構成脂質として有するリポソームと、下記式(8):
Figure 2005298486
(式中、−NH−Alb−NH−は、アルブミンおよびアルブミンの異なった2つのアミノ基を示す。nは上記定義に同じ。)
で示される化合物とを結合させる等の方法が挙げられる。
なお上記式で示した製造方法において、原料のリポソームには、抗腫瘍活性物質を担持させて用いるのが好ましい。例えば、抗腫瘍活性物質はリポソーム内に封入されていてもよいし、リポソームの表面に吸着もしくは結合していてもよい。また、抗腫瘍活性物質は、アルブミンやポリアルキレングリコール類に吸着もしくは結合していてもよい。前記抗腫瘍活性物質としては、動物、好ましくはヒトに投与できる任意の化合物あるいは物質組成物であれば、特に限定されない。
本発明のリポソーム製剤の抗腫瘍活性物質としては、例えば抗腫瘍性抗生物質、その他抗腫瘍剤、アルキル化剤、各種代謝拮抗剤、抗腫瘍性植物成分、BRM(生物学的応答性制御物質)、血管新生阻害剤、細胞接着阻害剤、マトリックス・メタロプロテアーゼ阻害剤またはホルモンなどが挙げられる。中でも抗腫瘍性抗生物質を用いることが好ましい。
抗腫瘍性抗生物質の具体例としては、例えば、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイシン、ダウノルビシン、アクラルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、THP−アドリアマイシン、4’−エピドキソルビシン、エピルビシンなどのアントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤、クロモマイシンA3 、アクチノマイシンDなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。このうち、好ましくはアントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤、その塩(塩基塩もしくは酸付加塩)又は複合体である。特に好ましくは、ドキソルビシンまたはその酸付加塩(例、塩酸塩等)である。
その他抗腫瘍剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、タモキシフェン、カンプトテシン、イホスファミド、シクロホスファミド、メルファラン、L−アスパラギナーゼ、アセクラトン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクス、クレスチンなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。また、プロカルバジン、ピポブロマン、ネオカルチノスタチン、ヒドロキシウレアなども挙げることができる。
アルキル化剤として、例えば、ナイトロジェンマスタード、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、クロラムブチルなどのアルキル化剤;例えば、カルボコン、チオテパなどアジリジン系アルキル化剤;例えば、ディブロモマンニトール、ディブロモダルシトールなのエポキシド系アルキル化剤;例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ニムスチンハイドロクロライド、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ラニムスチンなどニトロソウレア系アルキル化剤;ブスルファン;トシル酸インプロスルファン;ダカルバジンなどが挙げられる。各種代謝拮抗剤としては、例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、チオイノシンなどのプリン代謝拮抗剤、フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、ブロクスウリジン、シタラビン、エノシタビンなどのピリミジン代謝拮抗剤、メトトレキサート、トリメトレキサートなどの葉酸代謝拮抗剤など、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。
抗腫瘍性植物成分としては、例えば、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド類、エトポシド、テニポシドなどのエピポドフィロトキシン類、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。BRMとしては、例えば、腫瘍壊死因子、インドメタシンなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。血管新生阻害剤としては、例えばフマジロール誘導体、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。細胞接着阻害剤としては、例えば、RGD配列を有する物質、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。マトリックス・メタロプロテアーゼ阻害剤としては、例えば、マリマスタット、バチマスタットなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。ホルモンとしては、例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プラステロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、オキシメトロン、ナンドロロン、メテノロン、ホスフェストロール、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、メドロキシプロゲステロンなど、および、その塩もしくは複合体が挙げられる。
本発明のリポソーム製剤は、抗腫瘍活性物質を担持しているリポソームのみからなるものであってもよいが、通常、該リポソームと薬理学的に許容される担体とを自体公知の方法[製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方(例えば第13改正)に記載の方法等]にしたがって混合することによって製造される。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。また必要に応じて、界面活性剤、発泡剤、色素、酸味剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、矯味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
固形製剤における薬学的に許容される担体として、より具体的には、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウムなどの無機塩の賦形剤;例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化珪素などの滑沢剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、α化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチンまたはプルランなどの結合剤;低置換度ヒドロキシプロピルセルロースや結晶セルロース等のセルロース類、トウモロコシデンプン、部分アルファ化デンプンやヒドロキシプロピルスターチ等の各種デンプンもしくはデンプン誘導体、クロスポビドンまたはベントナイト等の崩壊剤等が挙げられる。
また、液状製剤における薬学的に許容される担体として塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物などの溶剤;例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、サリチル酸アミド、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体など溶解補助剤;例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤など緩衝剤;例えばアルブミン、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール、リドカイン塩酸塩、ベンジルアルコールなど無痛化剤等が挙げられる。
さらに製剤添加物としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤;例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどの発泡剤;例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸など酸味剤;例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、タール系色素などの色素;例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、パイン、ミント、メントールなどの香料;例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどの甘味剤;例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルタミン酸などの矯味剤などが挙げられる。
さらに、安定化剤としては、例えば糖類や亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。糖類としては、グルコース、フルクトース、キシリトール、フコース、ガラクトースなどの単糖類;マルトース、シュクロース、ラクトース、ラクツロース、メリビオースなどの二糖類;フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類;デキストランなどの多糖類などが挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール、クロロクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明のリポソーム製剤の剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセル、腸溶性カプセルを含む)、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤等)、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤等)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤等)、ペレット、点滴剤、徐放性製剤(例、徐放性マイクロカプセル等)等の非経口投与剤が挙げられる。本発明のリポソーム製剤は、注射剤の剤形が特に好ましい。
本発明のリポソーム製剤の投与量は、リポソームが有する抗腫瘍活性物質の種類、医薬の剤型、治療すべき病態の種類、症状および疾患の重篤度、患者の年齢、性別もしくは体重、投与方法などにより異なるので、一概には言えないが、医師が上記の状況を総合的に判断して決定することができる。
本発明のリポソーム製剤の投与経路は、特に限定されず、上述のような本発明のリポソーム製剤の形態により、経口投与してもよいし、非経口投与してもよいが、好ましくは非経口投与、特に注射による投与である。本発明のリポソーム製剤が注射剤の場合、例えば、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射あるいは腹腔内注射のような医療上適当な投与形態が例示できる。
本発明のリポソーム製剤は、リポソームに担持されている抗腫瘍活性物質の種類に応じて種々の疾患の予防および治療をすることができる。例えば、本発明のリポソーム製剤は、例えば大腸癌、脳腫瘍、頭頚部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、膵島細胞癌、絨毛癌、結腸癌、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、精巣癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、網膜芽細胞腫、メラノーマ、扁平上皮癌など腫瘍の予防または治療に有用である。
以下、実施例、試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。
下記実施例で用いるrHSAは、株式会社バイファより入手した。なお、本実施例に記載の略語を下記のように定義する。
DOPE:1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(1,2-ジオレオイル-sn-
グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)
DSPE:1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(1,2-ジステアロイル-sn-
グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)
DTP:3-(2-pyridyldithio)propionyl(3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニル)
DTT:dithiothreitol (ジチオスレイトール)
DXR:doxorubicin hydrochloride(ドキソルビシン塩酸塩)
EDTA:ethylenediamine tetraacetic acid sodium salt
(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)
HEPES:N-2-hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonic acid
(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸)
NGPE:1,2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine-N-(glutaryl)(1,2-ジオレオ イル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(グルタリル)
NHS:N-hydroxysuccinimide(N-ヒドロキシコハク酸イミド)
PBS:pH7.4のリン酸緩衝溶液(塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カ リウム、リン酸水素二ナトリウムからなる)
PEG:polyethylene glycol(ポリエチレングリコール)
rHSA:recombinant human serum albumin(遺伝子組換え型ヒト血清アルブミン)
SATA:N-succinimidyl-S-acetylthioacetate
(N-スクシンイミデイル-S-アセチルチオアセテート)
SPDP:N-succinimidyl 3-(2-pyridyldithio)propionate
(N-スクシンイミデイル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)
WSC:water soluble carbodiimideの略で1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-
carbodiimide(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)を意味 する。
実施例1
(1)リン脂質(DTP−DOPE)の製造
10μmolのDOPEを含有するクロロホルム溶液0.34mLに12μmolのSPDP(Pierce社製、米国)を加えて2時間攪拌した。反応液にPBS 2mLを添加し、5分間激しく振とうした後、10分間3000 rpmで遠心分離した。PBS層を除去した後、さらにクロロホルム層に精製水を添加して、3分間激しく振とう後、遠心分離をして水層を除去した。この精製水での洗浄を同様にもう一度行った。下層に残った白い半固形物を、エバポレーターで減圧下90分間溶媒留去・乾燥した。残留物にクロロホルム1.0 mLを添加し、再溶解してDTP結合DOPEのクロロホルム溶液を得た。
(2)DTP−DOPE含有PEG修飾リポソームの製造
脂質を溶解したクロロホルム液(全脂質:115μmol、卵黄レシチン(旭化成製):コレステロール(和光純薬社製): PEG結合DSPE(Avanti社製、米国)=62:33:5のモル比率で溶解)をナスフラスコに加えた。これに上記で得られたDTP-DOPE4.8μmol含有クロロホルム溶液を添加し、全量が7 mL程度になるようにクロロホルムをさらに添加した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去し、一夜乾燥した。生成した脂質薄膜に250 mMの硫酸アンモニウム含有水溶液6.0 mLを添加し、60℃に加温しながらボルテックスをかけて水和した。更にエクストルーダーを用いて粒径が100 nmになるようサイジングを行い、DTP−DOPE含有PEG修飾リポソームの硫酸アンモニウム水懸濁液を得た。
(a)リポソーム粒度分布測定(粒度分布測定器、NICOMP 370ZLS、Particle Sizing System社製、米国): 粒子径は約100 nmであることを確認
(b)リポソーム表面に存在するPEG修飾量の測定(ピクレート法による定量):3.5 %のPEGがリポソーム表面に存在
ピクレート法によるPEGの定量はInternational Journal of Pharmaceutics, 203(2000),255-263に記載の定量方法にしたがって行った。
10mLのリポソームに20mLの硝酸ナトリウム−ピクリン酸溶液を添加し混合した。さらに10mLの1,2-ジクロロエタンを添加してよく混合し(抽出)、1500gで10分間遠心分離した。有機層を分取し、378nmの吸光度を測定した。吸光度の値から用いたPEG脂質5.75μmolに対し、表面のPEGは4.01μmolmであったことから、全体の70%が表面に存在していることが明らかとなった。
(3)DXRのリポソームへの封入
製造したDTP−DOPE含有PEG修飾リポソームの硫酸アンモニウム水懸濁液をゲルろ過(Sepharose CL-6B、Bio-Rad社製、米国、カラム:内径1.5×30cm; 溶出液:PBS)してDTP−DOPE含有PEG修飾リポソームのPBS懸濁液を得た。これに3.5 mgのDXRを添加して65℃下1時間静置し、インキュベートした。再び上記と同様にゲルろ過して未封入のDXRを除去し、DTP-DOPE含有PEG修飾DXR封入リポソームを得た。
ゲルろ過(Sepharose CL-6B、Bio-Rad社製)では、分子量の大小による分離・精製を行い、まず、リポソーム封入ドキソルビシン、ついで未封入ドキソルビシンが分離された。ドキソルビシンは赤色蛍光色を示しているので、未封入ドキソルビシンの有無は目視で確認。さらにHPLC法(島津社製、蛍光検出器 RF-10A、ポンプ LC-10AS)により未封入ドキソルビシンが存在しないことを確認した。
(4)3−メルカプトプロニオニル−rHSAの製造
0.67μmol rHSA(バイファ社製)水溶液に13μmol SPDPを添加した後、攪拌してDTP-rHSAを製造した。その後にゲルろ過(充填剤:Sepharose CL-6B、Bio-Rad社製;溶出液:酢酸緩衝液(pH 4.5))を行い、DTP-rHSA分画を分取した。DTP-rHSAに終濃度50 mMになるようにDTT(関東化学社製)を添加し、20分間攪拌して反応させ、DTP-rHSAのDTP上の置換基である2−ピリジルジチオ基をメルカプト基に変換させた。未反応のDTTを除くためにゲルろ過(充填剤:Sepharose CL-6B、Bio-Rad社製;溶出液:PBS(pH 8.0))を行い、3−メルカプトプロピオニル−rHSA分画を分取した。
DTP-rHSA とDTTとの反応の副生成物である2-thiopyridone(2-TP)は、反応液の343 nmでの吸光度(2-TPによる特異的な吸収ピーク)を分光光度計(日立社製 U-3300)で測定し、DTT添加前と比べて吸光度は約0.5大きくなり、2-TPが生成していること、即ち、DTP-rHSA とDTTとが反応していることを確認した。
(5)rHSA・PEG修飾DXR封入リポソームの製造
DTP-DOPE含有PEG修飾DXR封入リポソームに3−メルカプトプロピオニル−rHSA溶液を添加し、室温で約24時間攪拌してrHSAをリポソームに修飾させた。ついで反応液をゲルろ過(充填剤:Sepharose CL-6B、Bio-Rad社製;溶出液:PBS(pH 8.0))し、リポソームと未反応rHSAを分離し、リポソーム分画を分取して目的のrHSA・PEG修飾DXR封入リポソームを得た。
生成物のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動
rHSAの単量体の位置にバンドが見られ、生成物がrHSA・PEG修飾DXR封入リポソームであることが確認された。
粒子径の測定: 粒子径は上記2と同様に測定し、約100 nm(測定装置、NICOMP 370ZLS)
試験例1 血漿中でのDXRの滞留性
3匹のラットにガン細胞(ラット腹水肝ガン)を移植した。それぞれのラットに実施例1で得られたリポソームサンプル6 mg/kg(DXR量)を尾静脈から投与した。一定時間後、頚動脈より約200μLを採血して直ちに遠心分離(4℃下で1500×g、5分)をした。上清100μLを回収し、硫酸アンモニウム飽和水溶液900μLを添加して混合し、クロロホルム:2-プロパノール=1:1混液を2 mL添加して10分間振とうした。このサンプルを1500×gで10分間遠心分離し、油層を回収した。油層をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、移動相で再溶解し、液体クロマトグラフィ(島津製作所社製 SCL-10A)で定量測定を行った。
比較として、PEGが修飾されたDXR封入リポソーム及びDXR水溶液(800μg/ml)を用いて同一の実験を行った。
その結果を図1に示す。
図1から、実施例1のrHSA・PEG修飾DXR封入リポソームは、PEG修飾のみのDXR封入リポソームやDXR水溶液と比べて、血漿中での滞留性が顕著に向上していることが明らかである。
試験例2 ガン細胞中でのDXRの滞留性
上記試験例1で血液を回収し終えたラットを直ちに脱血死させた。脱血後、腫瘍を回収し、重量測定した後、2.0 mLのPBSでホモジナイズした。この液1 mLを回収し、硫酸アンモニウム飽和水溶液3.0 mLを添加して混合し、クロロホルム:2-プロパノール=1:1混液を6 mL添加して10分間振とうした。このサンプルを1500×gで10分間遠心分離し、油層を回収した。油層をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、移動相で再溶解し、液体クロマトグラフ測定(島津製作所社製 SCL-10A)を行った。
比較として、PEGが修飾されたDXR封入リポソーム及びDXR水溶液(800μg/ml)を用いて同一の実験を行った。
その結果を図2に示す。
図2から、実施例1のrHSA・PEG修飾DXR封入リポソームは、PEG修飾のみのDXR封入リポソームやDXR水溶液と比べて、癌細胞中でのDXRの滞留性が顕著に向上していることが明らかである。
本発明のリポソーム製剤は、従来の抗腫瘍活性物質封入リポソームと比べて血中滞留性が著しく向上し、かつガン細胞に多量の抗腫瘍活性物質を移行させる優れた効果を有する。本発明のリポソーム製剤は癌治療に好適に使用され、副作用、例えば、心毒性(心臓へのドキソルビシンの蓄積等)の改善だけでなく、抗腫瘍活性物質の投与量を減らすことができ、しかも長期間持続的な薬理効果が得られる。
実施例1のリポソーム投与後の血中のドキソルビシン塩酸塩量を比較したグラフを示す図である。 実施例1のリポソーム投与後のガン細胞中のドキソルビシン塩酸塩量を比較したグラフを示す図である。 実施例1のリポソーム医薬製剤の製造工程を示す模式図である。DOPEとSPDPを結合させて、DTP−DOPEを製造し、このDTP−DOPEとPEG結合DSPEとを構成脂質として用いて模式図(A)〔図中、R’はオレオイル基を示す〕で表されるリポソームを製造する。模式図(A)においては、DTP−DOPEのみ、化学式を示している。リポソーム(A)にドキソルビシン塩酸塩(以下、DXRと略す)をインキュベートし、DTP−DOPE含有PEG修飾DXR封入リポソームを製造する。ついでこのリポソーム(A)と模式図(B)で表される3−メルカプトプロピオニル−rHSAと反応させて、模式図(C)〔図中、Rはステアロイル基を示す〕で表されるrHSA・PEG修飾DXR封入リポソームを製造する。模式図(C)において、DTP−DOPEとrHSAとの結合のうち、1の結合のみを化学式を用いて詳しく示したが、他の結合も同一である。また、DSPEとPEGとの結合についても1の結合のみを化学式を用いて詳しく示しているが、他の結合も同一である。

Claims (12)

  1. 抗腫瘍活性物質を含有し、ポリアルキレングリコール類とアルブミンとが結合されたリポソームを含み、ガン細胞へ多量に取り込まれることを特徴とする癌治療用医薬組成物。
  2. 抗腫瘍活性物質が抗腫瘍性抗生物質である、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 抗腫瘍抗生物質がアントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤である、請求項2記載の医薬組成物。
  4. アントラサイクリン系抗生物質抗腫瘍剤がドキソルビシンまたはその塩酸塩である、請求項3記載の医薬組成物。
  5. アルブミンが遺伝子組換え型ヒト血清アルブミンである、請求項1記載の医薬組成物。
  6. アルブミンの含有量が、リポソームを構成する総脂質量に対して約0.0001〜10モル%である、請求項1記載の医薬組成物。
  7. リポソームの体積平均粒子径が約10〜5,000nmである、請求項1記載の医薬組成物。
  8. ポリアルキレングリコール類の分子量が約200〜4,000,000である、請求項1記載の医薬組成物。
  9. ポリアルキレングリコール類がポリエチレングリコールである、請求項1記載の医薬組成物。
  10. 注射剤である、請求項1記載の医薬組成物。
  11. 請求項1記載の医薬組成物を投与することを特徴とする癌の治療方法。
  12. 非経口投与する請求項11記載の癌の治療方法。
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