JP5068518B6 - 圧延装置、圧延板の形状制御方法 - Google Patents

圧延装置、圧延板の形状制御方法 Download PDF

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本発明は、圧延装置、圧延板の形状制御方法に関する。
圧延装置において圧延板の形状を修正する方法として、上下のワークロールに対して例えば2種類の温度のワークロール冷却油(クーラント)を選択・噴射する方法が知られている。
この方法は、ワークロールに対して平行に配置した複数のスプレーから、高温のワークロール冷却油を噴射し、その熱影響によってロール径を膨張させることで、圧延板の板厚を減少させ、一方、ワークロールに対して低温のワークロール冷却油を噴射して、ロール径を収縮させることで、圧延板の板厚を増大させるものである。これにより、良好な形状制御を可能としている。
特開平4−197507号公報
しかしながら、上述した技術を用いた場合であっても、圧延板の板厚がワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ以下の極薄板圧延においては、形状制御を必ずしも十分に行うことができないことを発明者は見出した。
すなわち、圧延板の板厚がワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ以下の場合には、ワークロールに対して高温のワークロール冷却油を噴射すると、却って圧延板の板厚が増大し、一方、ワークロールに対して低温のワークロール冷却油を噴射すると、却って圧延板の板厚が減少するという現象が見られた。
したがって、極薄板圧延において良好な形状制御を行うことができないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、極薄板圧延においても良好な形状制御を行うことが可能な圧延装置、圧延板の形状制御方法を提案することを目的とする。
本発明に係る圧延装置、圧延板の形状制御方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第一の発明に係る圧延装置は、上下のワークロールの間で圧延板を圧延する圧延機と、前記圧延機で圧延された圧延板の幅方向の形状を測定する形状測定部と、前記上下のワークロールの長さ方向に沿って配置された複数の噴射ノズルを有し、前記上下のワークロールに対してワークロール冷却油を噴射するスプレー部と、前記形状測定部の測定情報に基づいて前記スプレー部から噴出するワークロール冷却油の噴出量及び/又は温度を調整して前記圧延板の形状を制御する形状制御部と、を備え、前記形状制御部は、前記形状測定部の測定情報に対する前記スプレー部から噴出するワークロール冷却油の噴出量及び/又は温度の関係が相反する2つの制御モードを有し、前記圧延板の板厚に基づいて前記2つの制御モードを切り換えることを特徴とする。
この発明によれば、上下のワークロールに対してスプレー部から噴射するワークロール冷却油の熱影響により上下のワークロールのロール径を膨張・収縮させて圧延板の形状を制御可能とする上に、更に上下のワークロールと圧延板との間に形成されるワークロール冷却油の油膜厚みの影響をも考慮して圧延板の形状を制御可能となる。
また、前記形状制御部は、前記圧延板を前記ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ以下の板厚に圧延する際に、前記2つの制御モードを切り換えることを特徴とする。
これにより、ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの影響が大きい極薄圧延領域においても、良好な形状制御を行うことが可能となる。
また、前記スプレー部は、温度の異なるワークロール冷却油を噴出する高温噴射ノズルと低温噴射ノズルとを備え、前記形状制御部は、前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大させ、形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大させる第一制御モードと、前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大させ、形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大させる第二制御モードと、を有することを特徴とする。
これにより、ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの影響が殆どない又は小さい圧延領域では、第一制御モードとすることで、上下のワークロールに高温のワークロール冷却油を噴きかけてロール径を膨張させて圧延板の凸部を解消し、上下のワークロールに低温のワークロール冷却油を噴きかけてロール径を収縮させて圧延板の凹部を解消することができる。一方、ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの影響が大きい圧延領域では、第二制御モードとすることで、上下のワークロールに低温のワークロール冷却油を噴きかけて油膜厚みを増大させて圧延板の凸部を解消し、上下のワークロールに高温のワークロール冷却油を噴きかけて油膜厚みを減少させて圧延板の凹部を解消することができる。圧延板の凸部、凹部が解消されれば、その部分の板の局部伸率異常が解消して、板形状が良好となる。
また、前記形状制御部は、前記圧延板の板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び前記圧延潤滑油の粘度の少なくとも一つにも基づいて、前記2つの制御モードを切り換えることを特徴とする。
これにより、上下のワークロールと圧延板との間に形成されるワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜の厚みに影響のある、圧延板の板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び前記圧延潤滑油の粘度をも考慮することで、更に極薄圧延領域において、良好な形状制御を行うことが可能となる。
第二の発明は、上下のワークロールの間で圧延された圧延板の幅方向の形状を測定し、この測定情報に基づいて、前記上下のワークロールの長さ方向に沿って配置された複数の噴射ノズルから前記上下のワークロールに対してワークロール冷却油を噴射して、前記圧延板の形状を制御する方法であって、前記圧延板の板厚に基づいて、前記圧延板の形状に対する前記複数の噴射ノズルから噴出するワークロール冷却油の噴出量及び/又は温度の関係を相反させるように切り換えて、前記圧延板の形状制御を行うことを特徴とする。
この発明によれば、上下のワークロールに対してスプレー部から噴射するワークロール冷却油の熱影響により上下のワークロールのロール径を膨張・収縮させて圧延板の形状を制御可能とする上に、更に上下のワークロールと圧延板との間に形成されるワークロール冷却油の油膜厚みの影響をも考慮して圧延板の形状を制御可能となる。
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
上下のワークロールに対してスプレー部から噴射するワークロール冷却油の熱影響により上下のワークロールのロール径を膨張・収縮させて圧延板の形状を制御する上に、更に上下のワークロールと圧延板との間に形成されるワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの影響をも考慮して圧延板の形状を制御することができるので、ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの影響が大きい極薄圧延領域においても、良好な形状制御を行うことができる。
以下、本発明に係る圧延装置、圧延板の形状制御方法の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る圧延装置Rの概略構成を示す模式図である。
圧延装置Rは、ワークロール12により圧延板Pを圧延する圧延機10と、圧延板Pの圧延後の形状を測定する形状測定部20と、圧延機10のワークロール12に対してワークロール冷却油Cを噴射するスプレー部30と、これらを統括的に制御する制御部40とを備えている。
ワークロール12と圧延板Pとの接触部分には、圧延潤滑油Lが供給される。圧延潤滑油Lは不図示の供給部から供給してもよいし、スプレー部30から供給してもよい。圧延潤滑油Lをスプレー部30から供給する場合は、ワークロール冷却油Cが圧延潤滑油Lを兼ねることとなる。また、圧延潤滑油Lの供給源(不図示)とワークロール冷却油Cの供給源は、別体としてもよいし、一体として共用してもよい。
このように、上下のワークロールと圧延板Pとの間に供給される圧延潤滑油Lは、ワークロール冷却油Cを含むものである。
圧延機10は、上下のワークロール12と、これをバックアップする上下のバックアップロール14を備えた4段圧延機である。そして、上下のワークロール12の間で圧延板Pを圧延するようになっている。
なお、本実施形態においては、圧延機10として4段圧延機を用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、6段圧延やその他の周知の圧延機を用いる場合であってもよい。
形状測定部20は、複数の回転ロータ22及び圧力検出器24を備える。
複数の回転ロータ22は、それぞれ一定の幅を有し、圧延機10の下流側に設けられた水平な支持軸21に空気軸受により回転可能に浮動支持されて隣接して配置されている。回転ロータ22の全体幅は、少なくとも対象とする圧延板Pの幅より大きく設定されている。
圧力検出器24は、回転ロータ22の内面の空気圧を検出するものである。
このような構成により、圧延機10で圧延された圧延板Pの幅方向の形状精度(平坦度)を全幅に亘って精密に測定することができる。
そして、形状測定部20の圧力検出器24により検出された測定情報は、制御部40に送られる。
なお、形状測定部20としては、例えば、特開平10−137831号公報に開示される形状測定ローラを用いることができる。
スプレー部30は、複数の噴射ノズル32を有している。複数の噴射ノズル32は、上下のワークロール12の幅方向に、回転ロータ22の幅と同じピッチで配置されている。そして、各噴射ノズル32から各ワークロール12に対して、それぞれワークロール冷却油Cを噴射することで、各ワークロール12等の焼き付きを防止したりするようになっている。
各噴射ノズル32は、不図示の加熱器により加熱されたワークロール冷却油Cを噴出する高温噴射ノズル32Aと、不図示の冷却器により冷却されたワークロール冷却油Cを噴出する低温噴射ノズル32Bとを備えている。つまり、高温噴射ノズル32Aと低温噴射ノズル32Bとが、それぞれ上下のワークロール12の幅方向に同一ピッチで配置されている。
そして、スプレー部30の各噴射ノズル32から噴出されるワークロール冷却油Cの噴出量や温度は、制御部40によって制御される。
制御部40は、圧延機10の上下のワークロール12とバックアップロール14の圧下量等の制御を行う。
また、制御部40は、形状測定部20の測定結果に基づいて圧延板Pの形状を修正するためにスプレー部30の各噴射ノズル32から噴出すべきワークロール冷却油Cの噴出量や温度を求める形状制御部42と、形状制御部42からの指令に基づいて不図示の制御弁や加熱器、冷却器を制御して、スプレー部30からの所望の噴出量・温度のワークロール冷却油Cを上下のワークロール12に対して噴出させるスプレー制御部44とを備える。
形状制御部42は、圧延板Pの形状を修正するためにスプレー部30から噴出すべきワークロール冷却油Cの噴出量や温度を決定する複数の演算方法(制御モード)を記憶しており、この制御モードの切り換えも行うようになっている。
制御モードとしては、圧延板Pの板厚がワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さよりも厚い場合に適用される第一制御モードと、圧延板Pの板厚がワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ以下の場合に適用される第二制御モードとを有している。
なお、圧延板Pの板厚が、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの影響が無視できない厚さは、圧延板Pの板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び圧延潤滑油Lの粘度の少なくとも一つにより定まる。例えば、ワークロール径が大きいほど、圧延潤滑油Lの粘度が高いほど、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの影響が無視できない厚さは大きくなる。具体的には、概ね9μmから15μmの範囲の板厚である。
次に、圧延装置Rによる圧延板Pの形状制御について説明する。
圧延装置Rは、圧延板Pに対して繰り返し圧延処理を施すことで、圧延板Pを所望の板厚に形成する。例えば、粗圧延、中間圧延、上がり前圧延、仕上圧延を行う。
具体的には、板厚が2.0mmの圧延板Pを上下のワークロール12の間に引き入れて圧延することで、1.2mmの板厚に形成する。更に、圧延処理を繰り返して、板厚を0.7mm、0.4mm、0.2mm、0.1mm、0.05mm、0.02mm、0.01mm、0.005mmへと、段階的に薄板化させる。
このように、圧延板Pを薄板化する際、圧延板Pの表面を平坦化する必要がある。つまり、圧延板Pの表面に、局部的な盛り上がり(板厚が形状変化に相当する程度に厚い領域:以下、凸部)や局部的なへこみ(板厚が形状変化に相当する程度に薄い領域:以下、凹部)が形成されてしまうので、これを補正して平坦化する必要がある。
このため、スプレー部30の複数の噴射ノズル32から、上下のワークロール12に対して高温や低温のワークロール冷却油Cを噴射して、この熱影響により上下のワークロール12のロール径を膨張或いは収縮させて、圧延板Pの表面に形成された凸部や凹部を修正する。こうして、圧延板Pの形状を全幅に亘って精密に平坦化する。
ところで、上述したように、形状制御部42(形状制御部42)は、2つの制御モードを有している。以下、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さとして、10μmの場合の例について説明する。
第一制御モードは、圧延板Pの板厚が10μmよりも厚い場合に適用される。すなわち、圧延板Pの板厚を2.0mmから0.02mmまで圧延する工程(薄板領域)においては、第一制御モードが適用される。
第二制御モードは、圧延板Pの板厚が10μm以下の場合に適用される。すなわち、圧延板Pの板厚を0.02mmから0.01mmに圧延し、更に0.01mmから0.005mmに圧延する工程(極薄板領域)においては、第二制御モードが適用される。
つまり、形状制御部42は、圧延板Pの板厚を0.02mmから0.01mmに圧延する処理に際して、制御モードを第一制御モードから第二制御モードに切り換えるようにしている。
図2及び図3は、スプレー部30から噴出するワークロール冷却油Cと圧延板Pの形状修正の関係を説明するための模式図であって、図2は第一制御モードの場合を、図3は第二制御モードの場合を示す。
第一制御モードが適用された場合には、以下のようにして圧延板Pの形状修正が行われる。
図2(A)に示すように、圧延板Pの表面に局所的に盛り上がった領域(凸部)が形状測定部20により検出されると、形状制御部42の制御の下で、スプレー部30から上下のワークロール12に対して高温のワークロール冷却油Cが噴きつけられる。圧延板Pの表面の凸部に対応する上下のワークロール12の領域に噴きつけられるワークロール冷却油Cの量が増大する。
これにより、上下のワークロール12のロール径が部分的に熱膨張(増大)し、圧延板Pの表面の凸部に対する圧下量が増えて、その表面形状が平坦化される。
逆に、図2(B)に示すように、圧延板Pの表面に局所的に窪んだ部分(板厚が減少した領域(凹部))が形状測定部20により検出されると、形状制御部42の制御の下で、スプレー部30から上下のワークロール12に対して低温のワークロール冷却油Cが噴きつけられる。圧延板Pの表面の凹部に対応する上下のワークロール12の領域に噴きつけられるワークロール冷却油Cの量が増大する。
これにより、上下のワークロール12のロール径が部分的に熱収縮(減少)し、圧延板Pの表面の凹部に対する圧下量が減って、その表面形状が平坦化される。
このようにして、圧延板Pの表面の凸部及び凹部が均されて、板の伸率分布が均一化されて、表面形状が平坦化される。
なお、ワークロール冷却油Cの噴出量や温度は、形状制御部42において、圧延板Pの表面に形成された凸部又は凹部の程度等に応じて求められる。
以上のような制御方法、すなわち、第一制御モードを適用した圧延方法は、従来から行われていた制御方法と同一である。
しかし、第一制御モードを適用した圧延方法を、圧延板Pの板厚が10μm以下の場合にも適用すると、圧延板Pの表面形状を平坦化させることが困難となる。上下のワークロール12と圧延板Pとの間に形成されるワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みが、圧延板Pの表面形状に大きく影響するようになるからである。
通常、上下のワークロール12と圧延板Pとの間に形成されるワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みは、約1μm程度である。このため、油膜の厚みが多少変化した場合であっても、圧延板Pの板厚が大きいので、油膜の厚みの変化が圧延板Pの表面形状(平坦化)に影響することは殆どない。
しかし、圧延板Pの板厚が10μm以下の場合には、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みが変化すると、圧延板Pの表面形状の平坦化に大きく影響するようになる。
ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚み変化と圧延板Pの表面形状との関係は、以下のような関係にある。
圧延潤滑油Lは、その温度に応じて粘度が変化することが知られている。具体的には、圧延潤滑油Lが高温の場合には、粘度が下がるので、油膜の厚みが部分的に減少しやすくなる。また、摩擦係数も大きくなる。これにより、圧延板Pに対する圧下量が減って、圧延板Pの板厚が局部的に増加するようになる。
一方、圧延潤滑油Lが低温の場合には、粘度が上がるので、油膜の厚みが部分的に増大しやすくなる。また、摩擦係数も小さくなる。これにより、圧延板Pに対する圧下量が増加して、圧延板Pの板厚が局部的に減少するようになる。
ところで、ワークロール冷却油Cは、ワークロール12の温度のみならず圧延潤滑油Lの温度にも影響を与える。つまり、圧延潤滑油Lの温度は、ワークロール冷却油Cの温度に影響されて、ワークロール冷却油Cの温度が高くなれば圧延潤滑油Lの温度も高くなり、ワークロール冷却油Cの温度が低くなれば圧延潤滑油Lの温度も低くなる。
また、ワークロール12に噴きつけるワークロール冷却油Cはそのまま圧延潤滑油Lとなるため、噴きつけるワークロール冷却油Cの噴出量が増加すれば圧延潤滑油Lの量も増加し、ワークロール冷却油Cの噴出量が減少すれば圧延潤滑油Lの量も減少する。
つまり、圧延板Pの板厚が10μm以下の場合には、圧延板Pの表面形状(平坦化)に対するスプレー部30から上下のワークロール12へのワークロール冷却油Cの噴出量・温度の関係が、板厚が約10μm以上の場合とは、相反するようになる。
そこで、圧延板Pの板厚が10μm以下の場合には、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚み変化を考慮した制御モード、すなわち、第二制御モードが適用される。
第二制御モードが適用された場合には、以下のようにして圧延板Pの形状修正が行われる。
図3(A)に示すように、圧延板Pの表面に局所的に盛り上がった部分(凸部)が形状測定部20により検出されると、形状制御部42の制御の下で、スプレー部30から上下のワークロール12に対して低温のワークロール冷却油Cが噴きつけられる。圧延板Pの表面の凸部に対応する上下のワークロール12の領域に噴きつけられるワークロール冷却油Cの量が増大する。これにより、上下のワークロール12のロール径が部分的に熱収縮(減少)する。
その一方で、上下のワークロール12と圧延板Pとの間に形成されるワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みが部分的に増大する。
したがって、上下のワークロール12のロール径の減少に対して、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みの増大の方が大きい場合には、圧延板Pの表面の凸部に対する圧下量が増えて、その表面形状が平坦化されるようになる。
逆に、図3(B)に示すように、圧延板Pの表面に局所的に窪んだ部分(凹部)が形状測定部20により検出されると、形状制御部42の制御の下で、スプレー部30から上下のワークロール12に対して高温のワークロール冷却油Cが噴きつけられる。圧延板Pの表面の凹部に対応する上下のワークロール12の領域に噴きつけられるワークロール冷却油Cの量が増大する。これにより、上下のワークロール12のロール径が部分的に熱膨張(増大)する。
その一方で、上下のワークロール12と圧延板Pとの間に形成されるワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みが部分的に減少する。
したがって、上下のワークロール12のロール径の増大に対して、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜の厚みの減少の方が大きい場合には、圧延板Pの表面の凹部に対する圧下量が減って、その表面形状が平坦化される。
このように、板厚が10μm以下の圧延板Pにおいては、上下のワークロール12に対して噴きつけるワークロール冷却油Cの噴出量・温度を、従来の板形状制御方法から逆転させることで、圧延板Pの表面の凸部及び凹部を均して、板の伸率分布が均一化されて、表面形状を良好に平坦化させることができる。
なお、ワークロール冷却油Cの噴出量や温度は、形状制御部42において、圧延板Pの表面に形成された凸部又は凹部の程度(突出量、陥没量等)、圧延板Pの板厚等に応じて求められる。
以上、説明したように、本実施形態に係る圧延装置Rによれば、上下のワークロール12に対してスプレー部30から噴射するワークロール冷却油Cの熱影響により上下のワークロールのロール径を膨張・収縮させて圧延板の形状を制御する上に、更に上下のワークロール12と圧延板Pとの間に形成されるワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの影響をも考慮することで、圧延板Pの形状を良好に制御することができる。
特に、ワークロール冷却油Cを含む圧延潤滑油Lの油膜厚みの影響が大きい極薄圧延領域(ワークロール冷却油の油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ:板厚が概ね9μm以上15μm以下)においても、良好な形状制御を行うことができる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
上述した実施形態においては、圧延機10として4段圧延機を用いる場合について説明するが、これに限らない。また、圧延機10を複数配置して、連続圧延する多段式圧延装置であってもよい。
上述した実施形態においては、圧延板Pの圧延工程においては、第一制御モードから第二制御モードに切り換える場合について説明したが、これに限らない。圧延板Pの板厚に応じて制御モードを切り換えればよく、したがって、第二制御モードから第一制御モードに切り換える場合であってもよい。
また、上述した実施形態においては、ワークロール12の上流側にスプレー部30を配置し、そこから噴出されるワークロール冷却油Cの噴出量や温度を調整する場合について説明したが、これに限らない。
例えば、ワークロール12の下流側にスプレー部30を配置してもよい。また、上流側と下流側の両方に設けてもよい。
また、スプレー部30の各噴射ノズル32が高温噴射ノズル32Aと低温噴射ノズル32Bを備える場合に限らない。各噴射ノズル32から噴射するワークロール冷却油Cの温度を、任意に調整可能とする場合であってもよい。
また、高温噴射ノズル32Aと低温噴射ノズル32Bの他に、中温のワークロール冷却油Cを噴出する中温噴射ノズルを備えるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、圧延板Pの板厚が所定厚さ(約10μm)の場合に制御モードを切り換える場合について説明したが、これに限らない。概ね9μm以上15μm以下の範囲の板厚であればよい。
圧延板Pの板厚に加えて、圧延板Pの板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び圧延潤滑油Lの粘度等の少なくとも一つ或いは複数、全てをも考慮して、第一制御モードと第二制御モードとを切り換えるようにしてもよい。
圧延板Pの板厚、板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び圧延潤滑油Lの粘度等の関係は、圧延処理を繰り返し行うことで最適な数値を求めることが望ましい。
本発明の実施形態に係る圧延装置Rの概略構成を示す模式図である。 第一制御モードにおいて、スプレー部30から噴出するワークロール冷却油Cと圧延板Pの形状修正の関係を説明するための図である。 第二制御モードにおいて、スプレー部30から噴出するワークロール冷却油Cと圧延板Pの形状修正の関係を説明するための図である。
符号の説明
R…圧延装置
10…圧延機
12…ワークロール
14…バックアップロール
20…形状測定部
30…スプレー部
32…噴射ノズル
32A…高温噴射ノズル
32B…低温噴射ノズル
40…制御部
42…形状制御部
44…スプレー制御部
P…圧延板
C…ワークロール冷却油
L…圧延潤滑油

Claims (4)

  1. 上下のワークロールの間で圧延板を圧延する圧延機と、
    前記圧延機で圧延された圧延板の幅方向の形状を測定する形状測定部と、
    前記上下のワークロールの長さ方向に沿って配置された複数の噴射ノズルを有し、前記上下のワークロールに対してワークロール冷却油を噴射するスプレー部と、
    前記形状測定部の測定情報に基づいて前記スプレー部から噴出するワークロール冷却油の噴出量及び/又は温度を調整して前記圧延板の形状を制御する形状制御部と、
    を備え、
    前記スプレー部は、温度の異なるワークロール冷却油を噴出する高温噴射ノズルと低温噴射ノズルとを備え、
    前記形状制御部は、前記形状測定部が前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を上昇させ、前記形状測定部が形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を下降させる第一制御モードと、
    前記形状測定部が前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を下降させ、前記形状測定部が形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を上昇させる第二制御モードと、
    を有し、
    前記圧延板の板厚に基づいて前記第一制御モードと前記第二制御モードとを切り換えることを特徴とする圧延装置。
  2. 前記形状制御部は、前記圧延板を前記ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の油膜厚みの変化の影響が無視できない厚さ以下の板厚に圧延する際に、前記第一制御モードと前記第二制御モードとを切り換えることを特徴とする請求項1に記載の圧延装置。
  3. 前記形状制御部は、前記圧延板の板堅さ、入り側板温度、板速度、ワークロール径及び前記ワークロール冷却油を含む圧延潤滑油の粘度の少なくとも一つにも基づいて、前記第一制御モードと前記第二制御モードとを切り換えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧延装置。
  4. 上下のワークロールの間で圧延された圧延板の幅方向の形状を測定し、この測定情報に基づいて、前記上下のワークロールの長さ方向に沿って配置された複数の高温噴射ノズルあるいは低温噴射ノズルから前記上下のワークロールに対して温度の異なるワークロール冷却油を噴射して、前記圧延板の形状を制御する方法であって、
    前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を上昇させ、形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を下降させる第一制御モードと、前記圧延板に形状変化に相当する凸部を検出した場合には、前記低温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を下降させ、形状変化に相当する凹部を検出した場合には、前記高温噴射ノズルからの噴出量を増大及び/又は噴出温度を上昇させる第二制御モードとを前記圧延板の板厚に基づいて切り換えて、前記圧延板の形状制御を行うことを特徴とする圧延板の形状制御方法。
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