JP5068517B2 - アスファルトルーフィング - Google Patents
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Description
また、原紙にアスファルトを浸透、被覆させたシート材の両面に珪砂等の鉱物粉末(以下、「砂」と称する)を付着させたもの(JIS A 6005のアスファルトルーフィング940)や、敷設施工時に上面側となる面に、不織布(PET(ポリエチレンテレフタレート)製、あるいは、ポリプロピレン製が一般的)を貼着した構造のもの(以下、不織布付きアスファルトルーフィング、とも言う)が広く用いられている。
砂は、ルーフィング表面の粘着性を下げて施工性を向上させるとともに、アスファルトルーフィング同士のブロッキングを防止している。
なお、片面あるいは両面に鉱物粉末(砂)を付着させてあるアスファルトルーフィングとしては、例えば特許文献1、2のものがある。
また、アスファルトルーフィングは水に濡れると(以下、水に濡れた状態を、湿潤状態とも言う)滑りやすくなる。このため、屋根仕上げ材の未施工部分に露出するアスファルトルーフィングが降雨や夜露等で濡れたとき(湿潤時)には、作業の中止を余儀なくされることがあった。
そこで、傾斜屋根等での作業性の確保に鑑みて、アスファルトルーフィングの、施工時に上側となる面(作業者が足で踏む面)に、滑り止め機能を持たせることが検討される。しかしながら、これまで、湿潤時でも高い滑り止め効果が確実に得られる、適切な技術が無く、その開発が求められていた。
既述の不織布付きアスファルトルーフィングであれば、浮き砂の問題は無いものの、滑り止め効果は、アスファルトルーフィング940よりも劣ることが一般的である。また、不織布付きアスファルトルーフィングは、不織布が撥水性であるため、湿潤時には、滑り止め効果が大幅に低下する。
また、砂の付着、不織布の貼着のいずれも採用せず、敷設施工時の上面側に露出するアスファルトに、滑り止め用の凹凸加工を施したアスファルトルーフィングも提案されている。しかしながら、このアスファルトルーフィングは、乾燥時には、アスファルトの粘着力が滑り止めに寄与するものの、湿潤時は非常に滑りやすくなる。
請求項1に係る発明では、建物の野地板と屋根仕上げ材との間の防水層を形成するシート状のアスファルトルーフィングであって、アスファルトシートであるルーフィング本体の片面には繊維網のみが取り付けられ、前記繊維網は、糸同士が結合されて玉状の小塊になっている交差結合部が分散配置されていることを特徴とするアスファルトルーフィングを提供する。
請求項2に係る発明では、前記繊維網は、糸を互いに交差するように配置した格子状に形成され、縦横の糸がそれぞれ4mm〜50mmのピッチで配列され、目付量が10g/m2〜80g/m2であることを特徴とする請求項1記載のアスファルトルーフィングを提供する。
請求項3に係る発明では、前記繊維網が、天然繊維からなる糸で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトルーフィングを提供する。
請求項4に係る発明では、前記糸が、綿及び/又は麻で構成されていることを特徴とする請求項3記載のアスファルトルーフィングを提供する。
請求項5に係る発明では、前記繊維網を構成する糸が、ナイロン繊維、ビニロン繊維、PET繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維から選ばれる1又は複数によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトルーフィングを提供する。
請求項6に係る発明では、ルーフィング本体の前記繊維網とは反対側の面に、滑り止め用の砂を付着させてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアスファルトルーフィングを提供する。
アスファルトルーフィングが降雨や夜露等によって濡れたとき(湿潤時)でも、繊維網によって、高い滑り止め効果を確保できる。このため、良好な作業性を確保できる。また、工事の中断も少なく(あるいは解消)できる。その結果、屋根の施工や改修といった作業の効率を向上でき、工期短縮等の効果が得られる。
図1、図2は、本発明に係る一実施形態のアスファルトルーフィング1を示す図であって、図1は斜視図、図2は断面図、図3は施工状態を示す図である。
図1、図2において、アスファルトルーフィング1は、アスファルトシートであるルーフィング本体3の片面に、繊維網4を取り付けた概略構成であり、全体としてシート状になっている。
野地板12上に敷設されたアスファルトルーフィング1は、タッカ等の釘状固定具によって野地板12に固定される。
但し、接着剤等を用いてルーフィング本体3に取り付けることも排除しない。
ルーフィング本体3の、繊維網4を取り付けた面は、野地板12上に敷設したときに、上面となる側の面(以下、上面31とも言う)である。
ルーフィング本体3の上面31とは反対側の面(下面32)には、砂5(例えば硅砂)を付着させてある。砂5は、ルーフィング本体3を形成するアスファルト自体の粘着性によって付着させてある。
図示例のアスファルトルーフィング1の繊維網4は、隣り合う網の「目」の間が、1本の糸41によって仕切られて、多数の目が画成された構成(隣り合う網の「目」の間を仕切る繊維束が1本の糸からなる構成)ものである。
但し、本発明に係るアスファルトルーフィングの繊維網としては、例えば、図5に示すように、隣り合う網の「目」の間が、複数本の糸41を撚り合わさずに集合させた繊維束42によって仕切られて、多数の目が画成された構成(繊維網4D)であっても良い。
また、単糸(スパンヤーン、フィラメントヤーンのいずれも可)、複数本の糸(単糸)が撚り合わされた撚糸のいずれも採用可能である。
スパンヤーンの単糸は、複数種類の天然繊維を混紡してなる混紡糸や、天然繊維と合成繊維との混紡糸も採用可能である。フィラメントヤーンの単糸は、複数種類の合成繊維を撚り合わせたものも採用可能である。
また、撚糸としては、構成繊維が互いに異なる複数種類の単糸が撚り合わされた混撚糸であっても良い。
また、合成樹脂製の繊維網4(合成繊維網、樹脂製ネット)における交差結合部としては、例えば、複数本の合成樹脂製の糸(複数本の合成繊維によって形成されたもの、あるいは単糸)を融着して一体化した融着結合部等、合成樹脂製の複数本の糸のそれぞれの樹脂が連続して一体に繋がっている構造のもの(以下、一体化結合部とも言う)であっても良い。
例えば、図4(b)に示すように「目」の形が菱形のもの(繊維網4B)や、図4(c)に示すような六角形状のもの(繊維網4C)等も含むものとする。
糸41の配列ピッチは、4mm〜20mmであることが好ましく、4mm〜10mmであることがより好ましい。また、目付量は10g/m2〜40g/m2であることが好ましい。
目付量が10g/m2未満であると、かなり細い糸41の使用となるため、糸41の、ルーフィング本体3の表面(上面31)からの突出寸法が小さすぎて、滑り止め効果(特に湿潤時の滑り止め効果)を殆ど期待できなくなる。糸41の配列ピッチが大きく、目の粗い繊維網4では、糸41が細いと、作業者に踏まれたときに糸41がルーフィング本体3にめり込みやすくなり、滑り止め効果が低下する。
糸41によって画成される網目(糸41によって取り囲まれた内側の空間43)が小さすぎて空間43が殆ど無くなり、糸41同士が、交差部以外でも接触するようになると、ルーフィング本体3の上面31上において、糸41が存在する部分と、糸41が存在しない部分(糸41で取り囲まれる空間43)との間の段差による滑り抵抗が充分に得られなくなり、滑り止め効果(特に湿潤時の滑り止め効果)の向上が期待できなくなる。
一方、目が粗すぎると、ルーフィング本体3の上面31上に配置される糸41の密度が低すぎて、滑り止め効果(特に湿潤時の滑り止め効果)を充分に発揮できなくなる。
これらのことから、本発明者等の鋭意検討の結果、繊維網4は、縦・横の糸41の配列ピッチがそれぞれ、4mm〜20mmであることが好ましく、4mm〜10mmであることがより好ましい。
但し、鋭意検討の結果、前記一体化結合部が多数分散配置されている合成樹脂製ネットである繊維網4を採用した場合が、特に、滑り止め効果の向上の点で有利である。
この点は、現在、さらなる検証を要する所であるが、合成樹脂製の糸41同士の一体化結合部は、糸41同士を有結節で結合した交差結合部に比べて、靴で踏まれたときの潰れが小さく(潰れは殆ど生じない)、ルーフィング本体3上の滑り止め用の突起としての機能が有効に維持されるためと考えられる。
糸同士の交差結合部である玉状の小塊である一体化結合部が、多数分散配置されている構造の繊維網4としては、図5のものに限定されず、例えば、糸によって形成される目の形が、図4(a)の碁盤の目状、図4(b)の菱形、六角形状のもの等にも適用可能であることは言うまでも無い。
このため、屋根の傾斜部分であっても、良好な作業性を確保できる。
また、屋根の施工や改修といった工事において、屋根仕上げ材の未施工部分に露出したアスファルトルーフィング1が降雨や夜露等で濡れても(湿潤状態)、高い滑り止め効果を確保できることから、工事の中断を少なく(あるいは解消)でき、工期の短縮等を実現できる。
従来から、アスファルトルーフィングの寸法安定性は、ルーフィングのアスファルト中に埋設した不織布や、ルーフィングの表面(野地板上に施工したときの上面又は下面)に取り付けた不織布によって確保していることが一般的である。紙製の芯材を採用したアスファルトルーフィングにおいては、芯材に、寸法安定性を確保するための強度が得られないため、芯材の他に、ルーフィング表面に不織布を取り付けるなどして、寸法安定性が確保される。
これに対して、本発明に係るアスファルトルーフィング1では、繊維網4が、ルーフィング本体3の寸法維持に寄与するため、安価な紙製芯材(アスファルト含浸紙)を採用することができ、高価な不織布の使用を無くすことが可能である。
アスファルトルーフィング1にタッカ等の釘状固定具を打ち込んだときには、繊維網4が、釘状固定具付近でのルーフィング本体3の切り裂きを防止する機能も果たす。
格子状になっている縦・横の糸41の配列ピッチがそれぞれ4mm〜50mm、目付量が10g/m2〜80g/m2、の合成樹脂製繊維網4を用いたものであれば、アスファルトルーフィング1に10N(試験方法:JIS A6013)以上の引裂強度を容易に確保できる。縦・横の糸41の配列ピッチが4mm〜20mm(より好ましくは4mm〜10mm)、目付量が10g/m2〜40g/m2であれば、10N(試験方法:JIS A6013)以上の引裂強度をより確実に得られる。
試験の結果、例えば、目付量33g/m2、ピッチ(縦×横)が6mm×6mmのポリプロピレン製繊維網4をルーフィング本体3の片面に付着させて一体化したアスファルトルーフィング1では、直交する2方向(糸同士が互いに直交するように交差されて格子状になっている繊維網4における一方向の糸41に沿った方向と、多方向の糸41に沿った方向)のいずれについても20〜21N(試験方法:JIS A6013)の引裂強度が得られた。
なお、ルーフィング本体3自体の引裂強度は、ルーフィング本体3の芯材2の引裂強度に大きく依存し、ルーフィング本体3を形成するアスファルト層の厚さ(本発明に係るルーフィング本体の好適な厚さは0.5mm〜2.0mm)には殆ど依存しない。繊維網4として、芯材2よりも高い引裂強度を有するものを採用することで、アスファルトルーフィング1全体の引裂強度を向上できる。
砂5の付着を省略すれば、ルーフィングから脱落した砂が現場を汚すことが無く、清掃を省略できる等の利点もある。
Claims (6)
- 建物の野地板と屋根仕上げ材との間の防水層を形成するシート状のアスファルトルーフィングであって、
アスファルトシートであるルーフィング本体の片面には繊維網のみが取り付けられ、
前記繊維網は、糸同士が結合されて玉状の小塊になっている交差結合部が分散配置されていることを特徴とするアスファルトルーフィング。 - 前記繊維網は、糸を互いに交差するように配置した格子状に形成され、縦横の糸がそれぞれ4mm〜50mmのピッチで配列され、目付量が10g/m2〜80g/m2であることを特徴とする請求項1記載のアスファルトルーフィング。
- 前記繊維網が、天然繊維からなる糸で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトルーフィング。
- 前記糸が、綿及び/又は麻で構成されていることを特徴とする請求項3記載のアスファルトルーフィング。
- 前記繊維網を構成する糸が、ナイロン繊維、ビニロン繊維、PET繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維から選ばれる1又は複数によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトルーフィング。
- ルーフィング本体の前記繊維網とは反対側の面に、滑り止め用の砂を付着させてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアスファルトルーフィング。
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