JP5067706B2 - ガラス繊維製造装置、ガラス繊維の製造方法及びガラス繊維 - Google Patents

ガラス繊維製造装置、ガラス繊維の製造方法及びガラス繊維 Download PDF

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Description

本発明はプリント配線基板等を構成する材料として使用されるガラス繊維の製造装置とこの製造装置を使用するガラス繊維の製造方法、さらにこの製造方法により製造されたガラス繊維に関する。
構造材料として高い性能を有するガラス繊維は、電子産業で生み出される小さなデバイスから巨大な建造物を構成するために使用される建材用部材にいたるまで、その優れた強度性能を生かす目的で様々な要途で使用されているが、その代表的な要途の一つとしてプリント配線基板の構成材料がある。プリント配線板として利用されるガラス繊維は、一般に次のような製造方法により製造されている。まず所定のガラス組成となるように各種ガラス原料を秤量し、混合して得られる混合原料バッチをガラス熔融炉内へと投入し、1500℃以上の温度に加熱してガラス化反応により熔融ガラスとする。次いでこの熔融ガラスに各種の混合操作等を施して均質な状態とし、均質な状態となった熔融ガラスはガラス熔融炉に連結された成形装置、すなわちブッシングへと流入する。そしてガラス繊維を紡糸するに適した温度状態になるように管理されたブッシングの底面に配設された耐熱性ノズルより連続的に引き出して急冷し、ガラス繊維を得る。このガラス繊維は、アプリケータ等を使用することによって、その表面に所定量の集束剤等の薬剤を塗布した後に巻き取られて所定のガラス繊維回巻体とされ、さらに多様な処理が施されてプリント配線板に適用されている。
プリント配線基板の構成材料としてガラス繊維を使用して特定の複合成形体を製作するには、例えば以下のような工程が必要となる。まずガラスヤーン回巻体やガラスヤーン合撚糸回巻体のパッケージから解舒されたガラスヤーンやガラスヤーン合撚糸をワーパーで整経し、糊付け機で二次サイズしてビームからルームビームに巻き取りこれを経糸とする。ガラスヤーン回巻体のパッケージを解舒して、これを緯糸に使用し、エアージェットルームなどを用いてガラスクロスを製織する。製織されたガラスクロスに付着している有機成分を加熱焼却することにより取り除き(加熱脱油)、シランカップリング剤を含む処理液に浸漬して乾燥した(表面処理)後、エポキシ樹脂などのマトリックス樹脂を含侵させたプリプレグを作製する。作製したプリプレグを単数もしくは複数枚積層して、銅箔等の導電体を貼り、加熱加圧により樹脂を硬化させることによってプリント配線基板用の積層板が製造される。該積層板は、両面の導電体に回路パターンを形成し、ドリルまたはレーザ等により貫通穴を形成し、無電解銅メッキ等を施すことにより、プリプレグ部を絶縁層とし、両面導電体部と銅メッキされた貫通穴部を導体層とする両面プリント配線板が製造される。さらに両面プリント配線板から逐次成型法、ビルドアップ成型法などにより、多層プリント配線基板が製造される。
近年、電子部品工業の飛躍的な発展に伴い、プリント配線基板はより軽量かつ薄型であって、高密度実装が可能となるような種々の改善が行われてきた。このような取り組みの中で、プリント配線基板を構成する基本的な構造材であるガラス繊維についても、様々な要求が行われ、その要求に見合う種々の改善が行われてきた。例えば、特許文献1には、プリント配線基板を成形する際に問題となるボイドの発生を防ぐための方法としてシランカップリング剤と塩化アンモニウムで処理することが開示されている。また特許文献2ではプリント配線基板が薄型化すると発生するソリ、ネジレ等を改善するためには一次サイジング剤としてエポキシ樹脂を使用し、水流加工で脱脂、開繊処理することで対応できるとする発明が行われている。さらに特許文献3では、絶縁抵抗の経時的変化の改善を目指すものとして水溶性ウレタン樹脂及び/または水溶性エポキシ樹脂を所定量ガラス表面に付着させるという発明も行われている。
特開平6−112608号公報 特開平9−67757号公報 特開平9−209233号公報
しかしながら、これまで行われてきた発明だけでは高密度実装を行うプリント配線基板等に用いられる高品位のガラス繊維を実現するという観点では十分ではない。ガラス繊維は各種用途で利用されているが、近年ガラス繊維の繊維径を従前よりも高い精度で管理することによって、ガラス繊維を複合材料として使用する場合に成形された複合材料の強度が高く、しかも安定した性能を実現できることが判明し、多くの用途で従来よりも高い寸法精度を有するガラス繊維が求められるようになっている。このように繊維径の細いガラス繊維は、高密度実装を行うプリント配線基板を製造する場合に、プリント配線基板を高精度に加工して高い性能を実現する上で非常に重要なものとなっている。また、さらなる電子機器の小型化、多機能化への要求が高まり、電子機器に組み込まれるプリント配線板の配線密度も高くなってきている。このような高密度配線化の要求により、高多層化技術、及び微小配線化技術が導入され、結果として、絶縁層を通してその両側の導体層間での電気的接続を行う貫通穴または非貫通穴(以下、貫通穴と非貫通穴とを総称する場合は「導通穴」という。)の個数の増加、および狭間隔化を招き、該導通穴間での絶縁信頼性がこれまで以上に懸念されるようになってきている。一方プリント配線基板用として用いられるガラス繊維については、その製造時にガラス中に混入する気泡によるホローファイバーと呼ばれる中空繊維が極稀に発生することがある。このホローファイバーは、ガラス繊維の強度等の物理的性能にも大きな影響を及ぼすばかりか、プリント配線板生産時の導通穴のめっき工程においてメッキ液が浸入した場合は絶縁不良などの致命的な欠陥となり、絶縁信頼性の低下原因と考えられており、プリント配線板の穴個数の増加、狭間隔化により、絶縁信頼性の低下を導くことが懸念されている。よってプリント配線基板を製造する際に、繊維径の細いすなわち細番手のガラス繊維を採用する場合には、ガラス繊維中に泡の混入がないことが要求される。またガラス繊維径が小さくなるほど、熔融ガラス中の気泡はガラス繊維の製造時に繊維の切断の原因にもなりやすく、ガラス繊維の製品としての性能を劣化させるという観点に加えてガラス繊維の製造効率を向上するという観点からも、気泡の存在は好ましいものではない。
本発明は、ガラス熔融時に、ガラス繊維中に混入する気泡を完全に除去し、高い良品率を実現することによってガラス繊維の製造効率を飛躍的に向上することのできるガラス繊維製造装置と、このガラス繊維製造装置を使用して均質なガラス繊維を得ることのできるガラス繊維の製造方法、そしてこの製造方法により製造される高品位のガラス繊維の提供を課題とする。
すなわち本発明のガラス繊維製造装置は、外気を遮断可能な耐熱性容器の底面に、耐熱性ノズルを有し、該耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維製造装置であって、前記耐熱性容器内にヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入するための耐圧ガス導入管が配管されてなり、耐熱容器内のヘリウム及び/又はネオンが導入された熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整するための容器内圧調整手段を有することを特徴とする。
ここで、耐熱性容器の底面に、耐熱性ノズルを有し、該耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維製造装置であって、前記耐熱性容器内にヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入するための耐圧ガス導入管が配管されてなるとは、次のようなものである。すなわち、白金合金等の貴金属よりなる高い耐熱性を有する複数のノズルを鉛直方向に配し、そのノズル先端孔からガラス繊維用材質の熔融ガラスを連続的に引き出すことでガラス繊維とする機能を有するガラス繊維製造装置について、ノズルを配した耐熱性容器内に熔融ガラスを滞留させ、体積%表記で50%以上の濃度を有するヘリウム及び/又はネオンを耐熱性容器内に導入するために使用される耐圧ガス導入管のガス導入口が耐熱性容器に配されていることを表している。
本発明者らは、ガラス繊維を効率よく製造するという観点から各種の研究を重ね、耐熱性容器内にヘリウム及び/又はネオンを導入するための耐圧ガス導入管を耐熱容器に設け、これらのガスを耐熱性容器内に導入し熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整することによって、ヘリウムやネオンは、高精度の繊維径を有するガラス繊維の安定した紡糸のために熔融ガラスに加圧するための媒体としての役割と、熔融ガラス中に存在する微細な気泡を速やかに熔融ガラスから放出させて気泡の含まれない熔融ガラスとするための助剤として役割との2つの役割を果たすことを見出した。
1つめの役割については、耐熱容器の内圧が大気圧よりも高い圧力に維持調整されているため、耐熱性容器内の溶融ガラスは耐熱容器底面にあるノズルから安定して引き出されるため目標とするガラス繊維径からの寸法ぶれがない繊維径、すなわち製品化できないような寸法とはならず、安定した精度の寸法を有するガラス繊維を得られるというものである。また2つめの役割については、耐熱性容器内に滞留する熔融ガラスと接するヘリウム及び/又はネオンが熔融ガラス中に拡散してゆき、熔融ガラス中の気泡に到達した後に、気泡の寸法を大きくする働きをし、その結果熔融ガラス中における気泡の上昇速度が大きくなり、結果として熔融ガラスから速やかに気泡が除去されることになるというものである。このような2つの役割を充分に果たすためには、ヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入することが必要であり、50%未満の濃度であれば、この両方の役割を充分に発揮することができない。以上のような観点から、より高いレベルの役割をヘリウムやネオンに求める場合には、ヘリウム及び/又はネオンの濃度は高い方がよく、好ましくは体積%表記で60%以上とすることであり、さらに好ましくは体積%表記で70%以上とすることである。
ヘリウムやネオン以外のガスについては、溶融ガラスの均質度に悪影響を及ぼすものでなければ、様々なガスが混入するものであってよい。例えば窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、ノックス(NOx)、ソックス(SOx)、アルゴン等が該当する。また混入する各種のガスの濃度分析については、公知の測定方法、装置を適宜使用することが可能である。例えば酸素であればジルコニア酸素計、炭酸ガスであれば赤外線式炭酸ガス濃度計、ヘリウムやネオン等の希ガスについては質量分析計や熱伝導ガス分析計等の各種機器を使用できる。
本発明のガラス繊維製造装置を構成する耐熱性容器については、1000℃以上の耐熱性能に加えて、高温状態の熔融ガラスとの難反応性を呈し、しかもヘリウム及びネオンにより耐熱性容器の容器内壁が加圧された状態に保持され続けても、高温状態の容器内壁が容易に変形し難いものであることが必要であり、1つの構造部材で充分にこのような性能を実現できるならばよいが、このような高い性能を1材質の構造部材のみで実現することができない場合には、複数の構造材を積層構造としてもよく、さらに機械的に弱い部位に選択的に補強を施す構造とすることによって所望の機械的な性能とするものであってもよい。
例えば積層構造とするには、耐熱性を有するセラミックス製の耐火物を容器状に構築し、その内面に白金ロジウム合金板を溶接して内張することによって熔融ガラスと接する面は白金ロジウム合金とし、白金ロジウム合金の高温での変形を抑止するために、その外周を剛性の高いセラミックスが覆う構造とすることで両材質の長所を活用できる構造とすることが可能である。また2種以上の構造部材を使用する場合であっても、白金ロジウム合金板の溶接箇所や加熱状態下で延展され易い部位の外周部のみを強度的に補強するように配することで補強構造とするものでもよい。
また耐熱性容器の寸法については、ガラス繊維の紡糸量によって適正な大きさの容器を採用することができ、耐熱性容器の外形については充分な強度を有する形状であって、必要以上の経費を要しない外形であれば特に限定されることはない。
耐圧ガス導入管については、所定の耐熱性に加えてヘリウムやネオンを耐熱性容器内に導入することのできる材質よりなるものであれば、その内径や外径等の形状や長さ等の寸法については限定されない。また耐圧ガス導入管には、必要に応じてマノメータ、フローメーター、ガスの温度を調整するための加熱装置や冷却装置といった温度調整装置、温度計、除湿装置、湿度計、質量分析器、圧力調整装置あるいは除塵フィルター等の各種フィルター設備を適数、適所に配してよく、耐圧ガス導入管の本数は1本でも2本以上であってもよい。
耐圧ガス導入管の耐熱性容器への配設箇所については、熔融ガラスが連続的に引き出される耐熱ノズル近傍など紡糸されるガラス繊維に影響を与える部位を除けば、特に限定されるものではない。また耐圧ガス導入管の耐熱性容器への配設箇所は一カ所である必要はなく、複数箇所であってもよい。ガラス繊維に影響を与える部位とは、例えばガラス繊維の繊維径を変動させる、すなわち熔融ガラスの流量、温度等に影響を及ぼす部位のことである。
また耐熱性ノズルの形状や寸法、そして耐熱性容器への配設方法については、所定寸法形状のガラス繊維を連続的に紡糸して成形することができ、しかも長期に亘るガラス繊維の製造を可能とするように配設箇所に過負荷な応力が加わるようなものでなければどのようなものでもよい。
さらに耐熱性ノズルの耐熱性容器への配設箇所については、紡糸が効率良く行えるような配列であって、複数の耐熱性ノズルを耐熱性容器の底面に互いに適正な間隔で配することによって、熔融ガラスの耐熱性ノズルからの引き出しが円滑に行えるものであればよい。
また本発明のガラス繊維製造装置は、上述に加え耐熱容器内のヘリウム及び/又はネオンが導入された溶融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力維持調整するための容器内圧調整手段を有するものであれば、ガラス繊維製造装置の内圧が所定の安定した範囲内に維持されつつ熔融ガラスがノズルから連続的に引き出されるため、目標とするガラス繊維径からの寸法ぶれがない繊維径を有するガラス繊維を製造することができる。
ここで耐熱容器内のヘリウム及び/又はネオンが導入された溶融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整するための容器内圧調整手段を有するものとは、耐熱性容器内に充満するヘリウムやネオンによる耐熱容器内の圧力値の上限値と下限値を予め設定し、その圧力の上限値や下限値を超える圧力値とならないようにヘリウムやネオンを装置外へと放出するか蓄積するか、またはヘリウムやネオンの流入速度を低下するか増加するか、あるいはその両方の制御を効率的に行うことにより大気圧よりも高い圧力内圧を維持する機能を有する装置内圧調整装置がガラス繊維製造装置に接続されていることを表している。
装置内圧については、耐熱性容器に配設したマノメータ等の計測装置により計測された値であり、この計測値は制御系内で圧力を調整するために蓄積することもできる。装置内圧調整装置の制御方式は、開閉弁等を使用するオンオフ制御方式であっても、ヘリウムやネオンを導入する耐圧ガス導入管から耐熱性容器への導入口の開口断面積を連続的に制御することによって調整する方式、あるいはヘリウムやネオンを排気するための排出口の開口断面積を連続的に制御することによって調整する方式、さらにこれらを組み合わせたもののいずれの方式によるものであってもよい。
圧力値の上限値と下限値の設定については、ノズルの内直径や熔融ガラスの粘性によって設定すればよく、紡糸条件の温度やガラス繊維径などの他の設定に応じて適正値に変更することができる。
また本発明のガラス繊維製造装置は、上述に加え被熔融ガラス体を耐熱性容器内に供給する投入手段を有するとは次のようなものである。すなわち本発明のガラス繊維製造装置は、上述に加えノズルから引き出される熔融ガラス量に見合ったガラスを連続的あるいは断続的に耐熱性容器内に供給する投入装置を耐熱性容器に配設した構造となっているということであり、このような構成の構造であれば、ガラス繊維の引き出し条件に応じて耐熱性容器内に適量の熔融ガラスを滞留させ続けることができることになり、所定の安定したガラス繊維の製造条件を維持することができるので好ましい。
また供給されるガラスのガラス組成については、ガラス繊維用途のガラス材質として使用されている様々なガラス組成が適用できる。例えば、Eガラス、Dガラス、ARガラス、Tガラス、Sガラス、Hガラス、Cガラス等の各種のガラス繊維用ガラスが使用でき、また新たに開発されたガラス材質であっても、ノズルから熔融ガラスを引き出して成形する製造方法に見合った材質設計が行われたガラス材質であれば、どのようなものであっても採用することができる。
耐熱容器内に供給されるガラスについては、固形状のガラスであっても溶融状態のガラスであっても、どのような寸法あるいは外形を有するものであっても、本発明のガラス繊維製造装置に投入するに適したものであればよい。すなわち、例えば粗砕されたガラスカレットであっても、ガラスマーブルやガラスロッドなど一定形状となるように成形されたものであってもよいし、高温の溶融ガラスであってもよい。また供給されるガラスは、結晶が混入していてもよく、また気泡が多数含有されるものであってもよい。また、供給されるガラスは既知の熔融方法や製造方法を採用することで、得ることができる。
また本発明のガラス繊維製造装置は、上述に加え耐熱容器内に供給される被熔融ガラス体がマーブル状ガラスであるならば、所定速度で供給する投入手段による投入操作が容易になるので好ましい。
マーブル状ガラスとは、略球形状の外形を有し、その表面に熔融ガラスを所定量切断する際に生じるシャーマークが存在していることがあるほぼ球形と見なせる外形を呈する固形状ガラスである。
マーブル状ガラスの製造方法については、どのような製造方法を採用してもよく、前記したように泡が含まれているものであってもよいが、結晶についてはなるべく含有されない状態となっていることが好ましい。またマーブル状ガラスの大きさについては、耐熱性容器内へと投入する手段に見合った寸法を有するものであれば採用してよい。
また本発明のガラス繊維製造装置は、上述に加え耐熱容器内の熔融ガラスの量を計測するためのゲージや熔融ガラスの温度計測装置、排ガスの処理装置、間接加熱のための通電装置等の補助装置を必要数だけ適所に配設することができる。
本発明のガラス繊維の製造方法は、上述に加え外気を遮断可能な耐熱性容器の底面に設けた耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出して紡糸するガラス繊維の製造方法であって、前記耐熱性容器内に滞留する熔融ガラスの上方空間に、ヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入して容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整することを特徴とする。
ここで、耐熱性容器の底面に設けた耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出して紡糸するガラス繊維の製造方法であって、前記耐熱性容器内に、ヘリウム及び/又はネオンを導入して容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整するするとは、次のようなものである。すなわち、耐熱性容器の底面に、耐熱性ノズルを有し、該耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維製造装置を使用し、前記耐熱性容器内にヘリウム及び/又はネオンを導入するための耐圧ガス導入管が配管されているので、この耐圧ガス導入管から導入されたヘリウム及び/又はネオンは容器内の熔融ガラスの上方空間に停滞する。この上方空間の内圧を所定の高い圧力となるように維持調整することによって耐熱性容器内に滞留する熔融ガラスを耐熱性ノズルより所定量安定して引き出すことによって急冷してガラス繊維とすることを表している。安定した繊維径のガラス繊維をノズルから引き出すためには、熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも500mmH2O以上、すなわち4903.5Pa(パスカル)以上の圧力で維持調整することが好ましく、さらに繊維径の細いものや高速な製造条件にも余裕をもって対応するには大気圧よりも700mmH2O以上、すなわち6864.9Pa以上の圧力で維持調整する方がよく、より一層好ましくは大気圧よりも900mmH2O以上、すなわち8826.3Pa以上の圧力で維持調整することである。
耐熱性容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い所望の圧力に維持調整するためには、耐圧ガス導入管ばかりでなく耐熱性容器内の内圧を計測する計器や排気口を配設することによってヘリウムやネオンのガス圧を管理することが必要であり、計測結果に連動するように圧力を調整するように運用することで安定した内圧を実現することができるようになる。
また耐熱性容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧は、所望の繊維径を有するガラス繊維を得るため、あるいは所望の引き出し量を得るために、糸切れなどの生産阻害の問題や耐熱容器の耐圧性能などの問題が発生しない範囲であれば、変更することができ、特に限定されるものではない。
また本発明のガラス繊維の製造方法は、上述に加え耐熱性容器内の熔融ガラスを1200℃以上に加熱保持するものであれば、失透等の熔融ガラス中の欠陥の発生を確実に抑止しつつ、適正な熔融ガラスの粘性を維持することによって、所望の繊維径を有するガラス繊維を円滑に製造することが可能となる。
ここで耐熱性容器内の熔融ガラスを1200℃以上に加熱保持するとは、熱電対温度計やオプティカルパイロメータ等の各種温度計測機器を使用することによって、±5℃程度の測定精度で計測された熔融ガラスの温度に基づいて加熱源の調整を行い、熔融ガラス温度が1200℃以上となるように維持することを意味している。加熱源の種類については、電気による加熱が好ましいが、それ以外にも輻射加熱やガス、固体、液体燃料の燃焼による加熱を採用してもよい。
耐熱性容器内の熔融ガラスが1200℃に満たないと、ガラスが耐熱性容器内で結晶を析出し易くなる場合があり、その結果紡糸時に晶出した異物によってガラス繊維が切断される、あるいはガラス失透することによってガラス繊維の強度等の性状が劣化することになるため好ましくない。
また本発明のガラス繊維の製造方法は、上述に加え熔融ガラスが無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス及びジルコニアシリケートガラスの内の何れかであるならば、化学的耐久性に富む材質であるので各種の薬剤に曝される用途や耐環境性能に注意を要する用途で使用されるガラス繊維に、特に好適なものである。
ここで熔融ガラスが無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス及びジルコニアシリケートガラスの内の何れかであるとは、熔融ガラスの材質がアルカリ金属元素成分、すなわちナトリウム、カリウム、リチウムを実質的に含有しないガラス組成であるか、あるいはアルミニウムと珪素を主要成分、すなわちガラス組成を酸化物換算の質量百分率表示で表す場合にAl23とSiO2との合量が60%を超える材質であるか、あるいは硼素と珪素を主要成分、すなわちガラス組成を酸化物換算の質量百分率表示で表す場合にB23とSiO2との合量が70%を超える材質であるか、あるいはジルコニアと珪素を主要成分、すなわちガラス組成を酸化物換算の質量百分率表示で表す場合にZrO2とSiO2との合量が60%を超える材質の何れかであることを意味している。また実質的に含有しないとは、ガラス原料や耐火物等から意図せずに混入する不純物成分としてのアルカリ金属成分の含有は認めるということであって、具体的にはアルカリ金属元素成分は、酸化物換算の質量百分率表示で1%未満のものであればよい。
また本発明のガラス繊維の製造方法は、いわゆる間接成型法であるMM法(マーブルメルト法)を採用するのが最も好ましいものであるが、必要に応じて大量のガラス繊維を製造するためにブッシング装置を使用してDM法(ダイレクトメルト法)を適用してもよい。本発明のガラス繊維の製造方法をDM法に適用するには、例えばガラス溶融炉のフィーダー部以降の成形域を密閉した構造とすることによってMM法の場合と同様の手法により、高精度の繊維径を有し気泡のないガラス繊維を製造することができる。
本発明のガラス繊維は、上記のガラス繊維の製造方法によって製造され、繊維径が3μmを超え、且つ9μm未満であることを特徴とする。
ここで、上記のガラス繊維の製造方法によって製造され、繊維径が3μmを超え、且つ9μm未満であるとは、次のようなものである。すなわち耐熱性容器の底面に設けた耐熱性ノズルより熔融ガラスを引き出して紡糸するガラス繊維の製造方法であって、耐熱性容器内にヘリウム及び/又はネオンを導入して容器内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整することによって耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維の製造方法によって得られるガラス繊維の平均の繊維径が3μmよりも太く、9μmよりも細いものであることを表している。
ガラス繊維径が3μmに満たない場合であっても製造に要する高精度なノズルの製造、管理や維持のための労力を厭わないならば、製造することは可能であるが、最も効率的な製造が可能となるのは3μmを超える平均繊維径とする場合である。また9μmを超える繊維径では、例えば高密度実装などを必要とするプリント配線基板には不向きの繊維径となるので好ましくない。以上のような観点から、高密度のプリント配線基板に適用するということに限定するならばガラス繊維径は3μmより大きく、7μm未満であることが好ましく、さらに好ましくは3μmより大きく、6μm未満であることである。
また本発明のガラス繊維は、上述に加えガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有量が0.01〜2.0μL/g(0℃、1atm)の範囲となるものであれば、ガラス繊維中の微細な気泡が除去された状態となるので、高い均質度が実現できる。
ガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有合量が0.01〜2.0μL/g(0℃、1atm)の範囲となるとは、四重極型質量分析計によりガス分析をおこなうことによってガラス繊維中のヘリウムの含有量とネオンの含有量の合計量が0.01μL/g(0℃、1atm)から2.0μL/g(0℃、1atm)の範囲内となることを意味している。
ガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有合量が0.01μL/g(0℃、1atm)未満であるとガラス繊維中から気泡を除去する働きが十分に行えなくなる。一方ガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有合量が2.0μL/g(0℃、1atm)を超えるまで大量のガスを導入しても、気泡を除去するという効果がより一層促進されるということはなく、大量のガスを導入するための労力が無駄になる。以上の観点からガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有合量は0.01〜2.0μL/g(0℃、1atm)、より好ましくは0.01〜1.0μL/g(0℃、1atm)の範囲とすることである。
また、本発明のガラス繊維は、成形された後の製品形態がチョップドストランド、ヤーン、及びロービングの何れかであるならば、種々の用途に使用することができる。
ここで、チョップドストランドは所定長の長さにされた短繊維、ヤーンは連続したフィラメントであって撚糸されたもの、ロービングはストランドを複数本ひき揃えたものである。
チョップドストランドについては、その長さ寸法や繊維径については限定されない。繊維の長さ寸法や繊維径については、用途に適応したものを選択することができる。また、チョップドストランドの製造方法についても任意のものを採用することができる。ノズルから引き出し成型したガラス繊維を直接切断装置により切断加工することもできるし、引き出し成型したガラス繊維を一度巻き取った後に用途に応じて切断装置により切断加工してもよい。この場合、切断方法についても任意の方法を採用することができる。例えば、外周刃切断装置や内周刃切断装置、ハンマーミル等を使用することが可能である。
ヤーンについては、所定の撚りを付与してあるものであれば、無撚りヤーンも含め、その撚りの大きさや方向などについては特に限定しない。
また、ロービングについては、ストランドを複数本ひき揃えて束にし、円筒状に巻き取ったものであれば、どのような外観のものであっても支障なく、巻き取られた繊維径やひき揃えた本数についても限定されるものではない。
また、本発明のガラス繊維は、上記以外にもコンティニュアスストランドマット、ボンデッドマット、クロス、テープ、組布、あるいはミルドファイバ等の形態として利用することもできる。また、樹脂を含浸させたプレプレグ、LFTPペレットとすることもできる。そして、ガラス繊維を適用する使用法、成形法などについても、スプレーアップ、ハンドレーアップ、フィラメントワインディング、射出成型、遠心成形、プレス成型、ローラー成形、あるいはマッチダイを使用するBMC、SMC法などにも対応することができる。
また、本発明のガラス繊維には、各種の表面処理剤を塗布して所望の性能を付与することができる。例えば、集束剤、結束剤、カップリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、乳化剤、乳化安定剤、pH調整剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、妨黴剤あるいは安定剤等を単独種あるいは複数種を任意に組み合わせてガラス繊維の表面に適量塗布し、被覆させることができる。また、このような表面処理剤あるいは塗布剤は、殿粉系のものであってもプラスチック系のものであってもよい。
例えば、FRP用の集束剤であれば、アクリル、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル、酢酸ビニル・エチレン共重合体などを適宜使用することができる。
本発明のガラス繊維は、上述に加えてプリント配線基板に使用されるガラスヤーンであるならば、プリント配線基板に使用してドリル加工やレーザー加工する必要のある場合でも、均質で高い品位を有するガラス繊維により構成されたものであるために、高精度の加工を基板に施すことが容易である。
プリント配線基板に使用されるガラスヤーンとは、平均繊維径が3μmより太く、9μmまでの繊維径を有するガラスフィラメントよりなり、このガラスフィラメント10〜500本に集束剤を付着させて集束してなるストランドに撚りをかけてなるものである。
本発明のガラス繊維は、ヤーンを構成するガラスフィラメントの集束に用いる集束剤として、前記したように各種の薬剤を単独あるいは併用することができる。この内、最もよく使用されるのは澱粉であり、澱粉はガラスフィラメントを集束するとともに、ガラス繊維表面の被膜形成剤として、工程中での屈曲や摩擦等からガラスヤーンの表面を保護する目的で用いられるものである。
また、本発明のガラス繊維は、最も好ましい用途はプリント配線基板用であるが、必要に応じて各種の用途に使用してもよい。すなわち具体的に次の様な用途での使用が可能である。例えば、電子機器関連用途であれば、絶縁板、端子板、IC用基板、ディスプレイ基材、電子機器ハウジング材、ギアテープリール、各種収納ケース、光部品用パッケージ、電子部品用パッケージ、スイッチボックス、絶縁支持体などがあり、車載関連用途であれば、車体屋根材(ルーフ材)、窓枠材、グレージング、車体フロント、カーボディ、ランプハウス、エアスポイラー、フェンダーグリル、タンクトロリー、ベンチレーター、水タンク、汚物タンク、座席、ノーズコーン、フェンダーグリル、カーテン、フィルター、エアコンダクト、マフラーフィルター、ダッシュパネル、ファンブレード、ラジエータータイヤ、タイミングベルトなどがあり、航空機関連用途ならば、エンジンカバー、エアダクト、シートフレーム、コンテナ、カーテン、内装材、サービストレイ、タイヤ、防振材、タイミングベルトなどがあり、造船、陸運海運関連用途ならば、モーターボート、ヨット、漁船、ドーム、ブイ、海上コンテナ、フローター、タンク、信号機、道路標識、カーブミラー、コンテナ、パレット、ガードレール、照明灯カバー、火花保護シートなどがあり、農業関連用途では、ビニールハウス、サイロタンク、スプレーノズル、支柱、ライニング、土壌改良剤などがあり、建設・土木・建材関連ならば、バスタブ、バストイレユニット、便槽、浄化槽、水タンク、内装パネル、カプセル、バルブ、ノブ、壁補強材、プレキャストコンクリートボード、平板、並板、テント、シャッター、外装パネル、サッシ、配管パイプ、貯水池、プール、道路、構造物側壁、コンクリート型枠、ターポリン、防水ライニング、養生シート、防虫網などがあり、工業施設関連用途であれば、バグフィルター、下水道パイプ、浄水関連装置、妨振コンクリート補強材(GRC)、貯水槽、ベルト、薬品槽、反応槽、容器、ファン、ダクト、耐蝕ライニング、バルブ、冷蔵庫、トレー、冷凍庫、トラフ、機器部品、電動機カバー、絶縁ワイヤ、変圧器絶縁、ケーブルコード、作業服、カーテン、蒸発パネル、機器ハウジングなどがあり、レジャースポーツ関連用途であれば、釣竿、スキー、アーチェリー、ゴルフクラブ、プール、カヌー、サーフボード、カメラ筐体、鏡筒、ヘルメット、衝撃保護防具、植木鉢、表示ボードなどがあり、日用品関連用途では、テーブル、椅子、ベッド、ベンチ、マネキン、ゴミ箱、携帯端末保護材などがある。また、本発明のガラス繊維は、ガラス繊維単独でも使用することができる。例えば、液晶テレビやパソコンの表示装置として利用される液晶表示装置において、2枚の基板ガラス間の間隔を保持するために用いられる液晶スペーサー用途としてもガラス繊維の繊維径が安定した寸法精度を有しているため好適である。
(1)以上のように、本発明のガラス繊維の製造装置は、耐熱性容器の底面に、耐熱性ノズルを有し、該耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維製造装置であって、前記耐熱性容器に、該容器内に滞留する熔融ガラスの上方空間にヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入するための耐圧ガス導入管が配管されてなるものであるため、熔融ガラスにヘリウム及び/又はネオンが拡散し、熔融ガラス中に存在する微細な泡を速やか、かつ完全に除去し、高い良品率で気泡の存在しないガラス繊維を製造することを可能にする。
(2)また本発明のガラス繊維の製造装置は、耐熱容器内のヘリウム及び/又はネオンが導入された溶融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整するための容器内圧調整手段を有するものであれば、連続的なガラス繊維の製造において、安定した製造条件を維持することが容易であり、このためガラス繊維径の変動などのガラス繊維の製造品位の変動を抑制した状態で、品位の揃ったガラス繊維製品を製造することができる。
(3)さらに本発明のガラス繊維の製造装置は、被熔融ガラス体を耐熱性容器内に供給する投入手段を有するものであれば、予め性状や泡品位等の判明したガラス物を使用するため、泡品位等に応じた製造条件を適正に設定することによって、安定した品位のガラス繊維を紡糸することが可能となる。
(4)また本発明のガラス繊維の製造装置は、被熔融ガラス体がマーブル状ガラスであるならば、マーブルガラス中に気泡が存在するような場合であっても、気泡を確実に除去することが可能であり、気泡を含まないガラス繊維を製造することが可能である。
(5)本発明のガラス繊維の製造方法は、耐熱性容器の底面に設けた耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出して紡糸するガラス繊維の製造方法であって、前記耐熱性容器内に、ヘリウム及び/又はネオンを導入して容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整ものであるため、ガラス繊維径に応じてヘリウム及び/又はネオンによる圧力を調整することができ、繊維径の変動を僅かな範囲に留めることが容易で、高い寸法精度のガラス繊維を高い効率で製造することができる。
(6)また本発明のガラス繊維の製造方法は、耐熱性容器内の熔融ガラスを1200℃以上に加熱保持するものであれば、ガラス繊維を繊維状に紡糸するために充分な温度条件を実現することができ、さらに熔融ガラス中の結晶の晶出の抑止や泡の脱泡の促進という点でも好ましい条件により製造することができる。
(7)さらに本発明のガラス繊維の製造方法は、熔融ガラスが無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス及びジルコニアシリケートガラスの内の何れかであるならば、高い化学的耐久性を求められる用途や高い電気絶縁抵抗性を求められる用途や高い寸法安定性を求められる用途などの用途に応じて優れた性能を発揮することができるガラス繊維を製造するのに好適なものである。
(8)本発明のガラス繊維は、上記本発明のガラス繊維の製造方法によって製造され、繊維径が3μmを超え、且つ9μm未満であるため、用途に応じて最適な繊維径の気泡の含まれない安定した繊維径のガラス繊維を潤沢に顧客へ供給することができる。
(9)本発明のガラス繊維は、ガラス繊維中のヘリウム及び/又はネオンの含有量が0.01〜2.0μL/g(0℃、1atm)の範囲であるならば、高い性能に加えて外観品位にも優れた欠陥フリーのガラス繊維となる。
(10)また本発明のガラス繊維は、プリント配線基板に使用されるガラスヤーンであれば、薄型化や軽量化、さらには高密度実装用途で使用されるプリント配線基板についても、適用するのが容易な品位を有する秀逸な性状を有するものである。
以下に本発明のガラス繊維の製造装置、及び本発明のガラス繊維の製造装置を使用して行われるガラス繊維の製造方法、そしてこの製造方法により得られるガラス繊維について、実施例に基づいて説明する。
図1に本発明のガラス繊維製造装置の断面説明図を示す。この図中で10はガラス繊維製造装置、11は耐熱性容器、12は耐熱性容器の底面、13は底面に配設した耐熱性ノズル、20はヘリウムやネオンを導入するための耐圧ガス導入管、30は原料ガラス投入装置、31は原料ガラス投入装置の調整扉、32は原料ガラス投入装置の投入扉、40は排ガス排出管、50は発熱体、Gは熔融ガラス、Fはガラス繊維、Mはマーブルガラス、Rはヘリウムガスをそれぞれ表している。
このガラス繊維製造装置10は、プリント配線基板に使用されるEガラス製ヤーンの細番手製品を製造するための設備であるが、プリント配線基板に使用されるガラス繊維製品は、高い均質性が要求されるもので、1×106mで1個以下の泡品位が必要となるが、従来の製造設備では泡品位を高い水準に維持し続けることが難しく、そのため製造効率が低くなるという問題点があった。このため従来使用していた製造装置を改良したものが図1に示したガラス繊維製造装置10である。
このガラス繊維製造装置10は、白金ロジウム合金製の耐熱性容器11の底面12に細番手用の白金ロジウム合金製ノズル13を等間隔で400本を溶接により配設したものであり、温度条件を耐熱性容器11の周囲に配設した電気発熱体50によって調整し、耐熱性容器11の底面12の近傍での熔融ガラスGの温度を1350℃以上に設定することによって、耐熱性ノズル13から繊維径が4.1μmのガラス繊維Fを連続的に引き出すことができるものである。また温度条件を種々変更することによって、繊維径6.4μmのガラス繊維Fについても製造することができる。
次いでこのガラス繊維製造装置10によるガラス繊維Fの製造方法について、具体的に説明する。
予め無アルカリガラスで、アルミノシリケートガラスでもあるEガラス組成となるように各種のガラス原料を調合して得られた混合原料バッチを白金合金製の熔融炉で熔融した後に、熔融ガラスをマーブル成形機に導き、マーブル成形機を使用して平均直径20mmのマーブルガラスMを成形して準備する。このマーブルガラスMには10個/100g以上の気泡が含まれており、ゴブから切断された熔融ガラスをマーブル状に加工したガラスであるため、その表面には薄いシャーマークが残存している。
次いでこのマーブルガラスMを、ガラス繊維製造装置10の耐熱性容器11の上部に配設された原料ガラス投入装置30の調整扉31を開口状態とし、そこから装置30内に導入する。この後、調整扉31を閉じて密閉し、次いで投入扉32を解放状態としてマーブルガラスMをガラス繊維製造装置10の耐熱性容器11内へと投入する。原料ガラス投入装置30のこの一連の動作は、予めプログラム設定しておくことによって自動制御で動作するが、必要ならば手動での操作も可能である。
耐熱性容器11内に投入されたガラスマーブルMは、熔融ガラスGの液面温度が1440℃以上となるように加熱されているため、直ぐに軟化し熔融状態になっていく。このように熔融状態になったEガラスの液面上方に相当する耐熱性容器11の上部には、ヘリウムガスRを導入するための耐圧ガス導入管20のガス導入口が配設されている。この耐圧ガス導入管20にはマノメータ(図示省略)が設けられており、耐熱容器へと導入されるヘリウムガスRの圧力の計測を随時行っている。計測結果に応じてヘリウムガスボンベからのヘリウムRの導入圧を容器内圧調整手段としてヘリウムボンベのバルブを自動的に微調整する機器を配設することによって、耐熱性容器11内のヘリウムRの圧力条件は、常に大気圧よりも900mmH2O高い圧力となるように調整されている。
また耐熱性容器11の上部には、熔融ガラスから発生するガス等の排ガスをこの系外へと排出するための排ガス排出管40も設けられている。この排ガス排出管の働きによって、耐熱性容器11内のヘリウム圧とヘリウム濃度が一定の状態で維持されることとなる。ここでのヘリウム濃度は、その濃度を計測すると、体積濃度表示で85%となっている。
耐圧ガス導入管20より導入されるヘリウムガスRはこのガラス繊維の製造方法において2つの主要な働きを担っている。その一つめの重要な働きは、耐熱性容器11内の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整し続けるというもので、適正な圧力を選択し、しかも所定範囲内に調整して維持し続けることによって熔融ガラスGのノズル13からの流出速度が適正なものとなり、その結果として繊維径の安定したガラス繊維が得られることになる。そしてヘリウムガスRの2つめの重要な働きは、熔融ガラス中の微細な気泡を脱泡するための助剤としての働きを行うというものである。
1つめの働き、すなわち耐熱性容器11内の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整する働きによって熔融ガラスGは耐熱性ノズル13から連続的に引き出され、急冷されてガラス繊維となり、さらにその表面に予め調合された集束剤(サイジング剤ともいう)がアプリケータ(図示省略)によって塗布され、400本のガラスフィラメントを束ねてガラスストランドとし、ワインダーを有する巻き取り装置に装着されたチューブに巻き取り、ケーキと称されるガラス繊維巻取り体とされる。
2つめの働き、すなわち気泡を脱泡しやすくする働きを実現するためにはヘリウムガスRは熔融ガラス中を拡散し、熔融ガラス中の微細な気泡まで到達する必要があり、このためヘリウムガスRを使用することで製造されたガラス繊維中には、その製造の痕跡としてヘリウムの含有量が増加するという挙動が認められることになる。上述した各種の設定条件によって製造されたEガラスよりなるガラス繊維については、製造されたガラス繊維中のヘリウムの含有量の測定を行った。この測定には、二次電子増倍管(SEM)を搭載して測定感度を向上させたBALZERS製の四重極型質量分析計(QME125)を使用した。四重極型質量分析計によるガス分析は、被測定ガラス試料を白金皿に入れ、その白金皿を試料室に保持して10-5Pa(即ち、10-8Torr)の真空状態とした後、加熱して放出されたガスを0.001μL/gの測定感度を有する四重極型質量分析計に導いて分析を行った。また本発明のガラス繊維中の気泡の数を調査するには、ガラス繊維と同じ屈折率を持つ浸液中にガラス繊維を保持しながら20倍から100倍の倍率の実体顕微鏡により泡数の計測行った。
その結果、本発明のガラス繊維は平均繊維径が4.1μmであって、ガラス中にはヘリウム含有量は0.51μL/g(0℃、1atm)であり、ガラス繊維中の泡については、1×107mで1個以下の品位となっていることが判明した。
また上述したような製造方法によって製造されたガラス繊維のケーキは、さらにこのケーキからストランドを解舒して、Z方向に0.3回/インチの撚りを付与しつつ撚糸を行い、ガラスヤーンを作製し、ガラスヤーンボビンに巻き取ってガラスヤーン回巻体を形成した。次いでこのガラスヤーン回巻体から解除したガラスヤーンを用いてワーパーで整経して、経糸とし、同ガラスヤーンを緯糸として高速エアージェット織機で平織りしてガラスクロスを製織した。このガラスクロスによってプリプレグを成形し、プリント配線基板を製造してその性能に問題がないかどうかを評価したところ、全く問題がなくプリント配線基板として高い性能を実現できることが判明した。
以上により、本発明のガラス繊維の製造装置を使用することによって、本発明のガラス繊維の製造方法により製造された本発明のガラス繊維は、細番手のガラス繊維であっても、高い均質性を有し、気泡の混入が抑えられ優れた品位を有するものであることが明瞭となった。また本発明のガラス繊維の製造方法は、高い良品率を実現し、ガラス繊維の切断不良の発生を抑制することが可能となることも明瞭となった。さらに本発明のガラス繊維の製造装置は、プリント配線基板のように均質度の高いガラス繊維を効率よく製造するには欠かせない性能を有するものであることも明らかになった。
本発明のガラス繊維製造装置の断面説明図。
符号の説明
10 ガラス繊維製造装置
11 耐熱性容器
12 底面
13 耐熱性ノズル
20 耐圧ガス導入管
30 原料ガラス投入装置
31 原料ガラス投入装置の調整扉
32 原料ガラス投入装置の投入扉
40 排ガス排出管
50 発熱体
G 熔融ガラス
F ガラス繊維
M マーブルガラス
R ヘリウムガス

Claims (6)

  1. 外気を遮断可能な耐熱性容器の底面に、耐熱性ノズルを有し、該耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するガラス繊維製造装置であって、
    前記耐熱性容器に、該容器内に滞留する熔融ガラスの上方空間にヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入するための耐圧ガス導入管が配管されてなり、耐熱容器内のヘリウム及び/又はネオンが導入された熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整するための容器内圧調整手段を有することを特徴とするガラス繊維製造装置。
  2. 被熔融ガラス体を耐熱性容器内に供給する投入手段を有することを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維製造装置。
  3. 被熔融ガラス体がマーブル状ガラスであることを特徴とする請求項に記載のガラス繊維製造装置。
  4. 外気を遮断可能な耐熱性容器の底面に設けた耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出して紡糸するガラス繊維の製造方法であって、
    前記耐熱性容器内に滞留する熔融ガラスの上方空間に、ヘリウム及び/又はネオンを50%以上含有するガスを導入して容器内の熔融ガラスの上方空間の内圧を大気圧よりも高い圧力に維持調整することを特徴とするガラス繊維の製造方法。
  5. 耐熱性容器内の熔融ガラスを1200℃以上に加熱保持することを特徴とする請求項に記載のガラス繊維の製造方法。
  6. 熔融ガラスが無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス及びジルコニアシリケートガラスの内の何れかであることを特徴とする請求項又は請求項に記載のガラス繊維の製造方法。
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