JP2010042979A - ガラス繊維製造方法及びガラス繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス熔融時に、ガラス繊維中に混入する気泡を除去し、高い良品率を実現することによってガラス繊維の製造効率を飛躍的に向上することのできるガラス繊維の製造方法、そしてこの製造方法により製造される高品位のガラス繊維を提供する。
【解決手段】本発明のガラス繊維製造方法は、耐熱性容器にガラス原料混合物を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下のガラス原料混合物を加熱して1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラスとし、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度を経て熔融ガラスをノズルより引き出すものである。また本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維の製造方法によって製造され、繊維径が3μmを超え、且つ23μm未満である。
【選択図】なし

Description

本発明はプリント配線基板等を構成する材料や可視光に対して透明な複合材料の構成部材に使用されるガラス繊維の製造方法、さらにこの製造方法により製造されたガラス繊維に関する。
構造材料として高い性能を有するガラス繊維は、電子産業で生み出される小さなデバイスから巨大な建造物を構成するために使用される建材用部材にいたるまで、その優れた強度性能を生かす目的で様々な用途で使用されている。そして、その代表的な用途の一つは、プリント配線基板の構成材料である。プリント配線板として利用されるガラス繊維の製造では、略矩形状の外観を呈する貴金属製の耐熱性を有するブッシング(白金加熱容器ともいう)と呼称される成形装置を使用して連続的に成形、紡糸するということが一般に行われている。このブッシングの構造は、熔融ガラスを滞留させる機能を有するような器状の形態を有しており、この耐熱性の容器の底部には鉛直方向に多数のノズルが配設されている。ガラス熔融炉で均質な状態にされた熔融ガラスは、高温粘性が103dpa・sに相当する成形温度(紡糸温度ともいう)近傍の温度に管理された後、このブッシングの耐熱性ノズルから引き出されてガラス繊維とされている。このようにして成形されたガラス繊維は、アプリケータ等の塗布装置を使用し、その表面に所定量の集束剤等の薬剤を塗布した後に巻き取られて所定のガラス繊維回巻体とされ、さらに多様な処理が施されてプリント配線板に適用されている。
プリント配線基板の構成材料としてガラス繊維を使用して特定の複合成形体を製作するには、例えば以下のような工程が必要となる。まずガラスヤーン回巻体やガラスヤーン合撚糸回巻体のパッケージから解舒されたガラスヤーンやガラスヤーン合撚糸をワーパーで整経し、糊付け機で二次サイズしてセクションビームからルームビームに巻き取りこれを経糸とする。ガラスヤーン回巻体やガラスヤーン合撚糸回巻体のパッケージを解舒して、これを緯糸に使用し、エアージェットルームなどを用いてガラスクロスを製織する。製織されたガラスクロスに付着している有機成分を加熱焼却することにより取り除き(加熱脱油)、シランカップリング剤を含む処理液に浸漬して乾燥した(表面処理)後、エポキシ樹脂などのマトリックス樹脂を含侵させたプリプレグを作製する。作製したプリプレグを単数もしくは複数枚積層して、銅箔等の導電体を貼り、加熱加圧により樹脂を硬化させることによってプリント配線基板用の積層板が製造される。該積層板は、両面の導電体に回路パターンを形成し、ドリルまたはレーザー等により貫通穴を形成し、無電解銅メッキ等を施すことにより、プリプレグ部を絶縁層とし、両面導電体部と銅メッキされた貫通穴部を導体層とする両面プリント配線板が製造される。さらに両面プリント配線板から逐次成型法、ビルドアップ成型法などにより、多層プリント配線基板が製造される。
近年、電子部品工業の飛躍的な発展に伴い、プリント配線基板はより軽量かつ薄型であって、高密度実装が可能となるような種々の改善が行われてきた。このような取り組みの中で、プリント配線基板を構成する基本的な構造材であるガラス繊維についても、様々な要求が行われ、その要求に見合う種々の改善が行われてきた。例えば、特許文献1には、プリント配線基板を成形する際に問題となるボイドの発生を防ぐための方法としてシランカップリング剤と塩化アンモニウムで処理することが開示されている。また特許文献2ではプリント配線基板が薄型化すると発生するソリ、ネジレ等を改善するためには一次サイジング剤として水溶性エポキシ樹脂を使用し、水流加工で脱脂、開繊処理することで対応できるとする発明が行われている。さらに特許文献3では、絶縁抵抗の経時的変化の改善を目指すものとして水溶性ウレタン樹脂及び/または水溶性エポキシ樹脂を所定量ガラス表面に付着させるという発明も行われている。
また、ガラス繊維と有機樹脂材とを複合化する際に各種の透明な有機樹脂材とガラス繊維の屈折率およびアッベ数を合わせることによって可視光を透過する複合材とすることができる。例えば、透明複合材の用途として代表的なものに画像表示用基板用途の複合材料がある。本用途についてはこれまでにも複数の発明が行われている。
例えば特許文献4には、屈折率が1.45〜1.55のガラス繊維とこれに対応するアッベ数が45以上の樹脂とを組み合わせて透明複合体組成物とする発明が開示されている。また特許文献5には、ガラスフィラーとの屈折率差が0.01以内のオキシシラン酸素濃度から求めた純度が85%以上のエポキシ樹脂を使用して膨張係数の小さい透明複合体組成物とする発明が開示されている。さらに特許文献6や特許文献7には、ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.001以下とするガラス繊維の組成が開示されている。また特許文献8には、透明性、着色性、表面外観が向上したガラス繊維熱可塑性樹脂複合材としてガラス繊維と芳香族ポリカーボネート等の樹脂を所定配合比で含有させたものが開示されている。特許文献9には表示装置用基板として使用できるものとして、ガラス繊維製布状体と樹脂との屈折率差が0.01以下でヘイズ値が10%以下となるように構成された樹脂シートが開示されている。また特許文献10には、ガラス基板に代替する透明複合シートとして少なくとも1枚のガラス繊維布はガラス繊維の軸方向が10度〜80度ずれるように積層されているものが開示されている。
特開平6−112608号公報 特開平9−67757号公報 特開平9−209233号公報 特開2004−231934号公報 特開2006−176586号公報 特開2006−22235号公報 特開2006−22236号公報 特開2006−348299号公報 特開2005−156840号公報 特開2005−297312号公報
しかしながら、これまで行われてきた発明だけでは高密度実装を行うプリント配線基板等に用いられる高品位のガラス繊維や、画像表示装置等に使用される透明な複合材料に使用されるガラス繊維を実現するという観点では十分ではない。プリント配線基板用として用いられるガラス繊維や画像表示装置等に使用される透明な複合材料に使用されるガラス繊維については、その製造時にガラス中に混入する気泡によるホローファイバーと呼ばれる中空繊維が極稀に発生することがある。このホローファイバーは、ガラス繊維の強度等の物理的性能にも大きな影響を及ぼすばかりか、プリント配線板生産時の導通穴のめっき工程においてメッキ液が浸入した場合は絶縁不良などの致命的な欠陥となり、絶縁信頼性を低下させる原因になると考えられており、プリント配線板の穴個数の増加、狭間隔化により、絶縁信頼性の低下を招くことが懸念されている。よってプリント配線基板を製造する際に、繊維径の細いすなわち細番手のガラス繊維を採用する場合には、ガラス繊維中に泡の混入がないことが要求される。また、画像表示装置等に使用される透明な複合材料に使用されるガラス繊維ではホローファイバーが存在するとその部分が筋状に見え、透明性が損なわれるという問題がある。さらに、ガラス繊維径が小さくなるほど、熔融ガラス中の気泡はガラス繊維の製造時に繊維の切断の原因にもなりやすく、ガラス繊維の製品としての性能を劣化させるという観点に加えてガラス繊維の製造効率を低下させるため、気泡の存在は好ましいものではない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ガラス熔融時に、ガラス繊維中に混入する気泡を完全に除去し、高い良品率を実現することによってガラス繊維の製造効率を飛躍的に向上させることができるガラス繊維の製造方法、及びこの製造方法により製造される高品位のガラス繊維を提供することを課題とする。
本発明のガラス繊維の製造方法は、耐熱性容器にガラス原料を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下であり、該ガラス原料混合物を加熱して、最高温度が1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラスとし、その後、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度の熔融状態を経て該熔融ガラスを前記ノズルより引き出すことを特徴とする。
耐熱性容器にガラス原料を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下であり、該ガラス原料混合物を加熱して、最高温度が1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラスとし、その後、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度の熔融状態を経て該熔融ガラスを前記ノズルより引き出すという点について、以下で説明する。本発明のガラス繊維の製造方法は、まず、予め所定組成となるように各種天然原料あるいは化成原料を秤量して、混合して得られるガラス原料混合物を耐熱性容器に投入して加熱することによって熔融ガラスを得る。次いで、得られた熔融ガラスを白金合金等の貴金属よりなる高い耐熱性を有する複数のノズルを鉛直方向に配し、そのノズル先端孔からガラス繊維用材質の熔融ガラスを連続的に引き出すことでガラス繊維とする際に、耐熱性容器内へと投入するガラス原料混合物中のSO含有量が0.05〜0.30質量%であって、そのガラス原料混合物を最高温度が1250〜1350℃の一次熔融温度で熔融して熔融ガラスとする。その後、この一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度で熔融した後に耐熱性ノズルより熔融ガラスを連続的に引き出してガラス繊維を紡糸するというものである。
本発明者らは、欠陥のない高品位のガラス繊維を効率よく製造するという観点から各種の研究を重ね、ガラス原料混合物中のSO量を所定範囲に限定し、さらに熔融温度を限定することで高い品位のガラスの得られることを見出した。すなわちガラス原料混合物中のSO量を0.05〜0.30質量%の範囲となるようにし、最高温度が1250〜1350℃となるように一次熔融して熔融ガラスとした後、一次熔融温度より高い二次熔融温度で熔融することによって、二次熔融時に熔融ガラス中に包含されていたSOガスを効率よく発生させ、熔融ガラス中に存在する微細な気泡や、二次熔融温度で熔融する時の素材ガラスにより熔融ガラス中に持ち込まれる巻き込み泡を速やかに熔融ガラスから放出させて気泡の含まれない熔融ガラスが得られることを見出した。
本発明で「一次熔融」、あるいは「二次熔融」という表現は、以下の2つの熔融方法に適用される。まず、第一に連続炉でガラスを熔融する際、極大値を示す温度域が2回ある温度条件でガラスを熔融する場合がある。この場合には、1回目から2回目の極大値へ向う狭間にある極小の温度を示すまでが一次熔融、それ以後の温度域での熔融を二次熔融と呼ぶ。また、第二としてバッチ炉で2回の熔融を行う場合について、1回目のバッチ熔融を一次熔融、1回目のバッチ熔融で得られたガラスを再熔融する2回目のバッチ熔融を二次熔融と呼称している。前者は極大値から極大値までの間に、室温までの冷却されることのない場合で、後者は室温までの冷却を含めた場合であり、本発明ではその両方を含む熔融条件を表示するために用いる。よって本発明のガラス繊維の製造方法では、一次熔融と二次熔融の間には、室温までの冷却工程が介在しても、しなくてもよい。すなわち、本発明では一次熔融後に、熔融ガラスをマーブル等の所定形状に冷却固化した後に再度加熱して二次熔融を行うものであっても、あるいは一次熔融後に冷却固化することなく、さらに一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度域を経た熔融ガラスをガラス繊維として成形してもよい。
また本発明では、ガラス原料混合物中のSO成分は、二次熔融時にSOガスを発生させ、ガラス中に存在する微細な気泡や、一度室温まで冷却した後に二次熔融する際の素材ガラス中の巻き込み泡を速やかに熔融ガラスから放出させて気泡のない熔融ガラスを得るために必要な成分である。ガラス原料混合物中のSO量が0.05%より少ないと、一次熔融した後の素材ガラス中のSO残存量が少なくなりすぎ、前記効果が得られなくなる。一方、ガラス原料混合物中のSO量が0.30%より多いと一次熔融時に発生するSOガスが多くなりすぎ、いわゆるバッチ吹きと言われる原料バッチの加熱による体積膨張現象が生じ、ガラスを熔融する容器等から原料等が吹きこぼれる虞もあり、またSOを大気中に放出しないための環境処理費用が高くなるため好ましくない。ガラス原料混合物中のSO成分は、例えばガラス原料中にアルカリ土類金属元素の硫酸塩、硫化物などを含有させ、その含有量を調整することによって本発明の所要量を確保できればよい。またSO成分の含有量の計測方法は、公知のICP分析等の化学機器分析方法を採用して行えばよい。
一次熔融温度が1250℃より低いとガラス原料混合物が十分に熔融せず、未溶解ブツが残存し、そのためガラス繊維紡糸時の切断の原因となるため好ましくない。また、一次熔融温度が1350℃より高いとガラス原料混合物の一次熔融により得られるガラス組成物は、酸化物換算の質量百分率表示で、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、及びKOの合量をSiO、Al、及びBの合量で除した値が0.1より大きく、0.25未満の関係を有するものであるが、ガラス原料混合物中のSOが分解し、SOガスとして放出されることにより、一次熔融後のガラス中のSO含有量が少なくなりすぎ、二次熔融時に発生するSOガス発生量が少なくなり、熔融ガラス中に存在する微細な気泡や二次熔融時の素材ガラスの巻き込み泡を速やかに熔融ガラスから放出させる効果が十分得られず、気泡の含まれない熔融ガラスが得らないため好ましくない。
耐熱性ノズルの形状や寸法、そして耐熱性容器への配設方法については、所定寸法形状のガラス繊維を連続的に紡糸して成形することができ、しかも長期に亘るガラス繊維の製造を可能とするように配設箇所に過負荷な応力が加わるようなものでなければどのようなものでもよい。
さらに耐熱性ノズルの耐熱性容器への配設箇所については、紡糸が効率良く行えるような配列であって、複数の耐熱性ノズルを耐熱性容器の底面に互いに適正な間隔で配することによって、熔融ガラスの耐熱性ノズルからの引き出しが円滑に行えるものであればよい。
また本発明のガラス繊維の製造方法は、ガラス原料混合物が、酸化物換算の質量百分率表示で、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、及びKOの合量をSiO、Al、及びBの合量で除した値が0.1より大きく、0.25未満の関係となる組成を含有するガラス組成物が得られるものであるであるならば、ガラスの一次熔融時に十分な量のSOガスをガラス中に含有させることができ、その結果二次熔融時に清澄がスムーズに進むため、均質なガラス繊維を得ることができる。
ここで、ガラス原料混合物は、酸化物換算の質量百分率表示で、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの合量をSiO、Al、及びBの合量で除した値が0.1より大きく、0.25未満の関係となる組成を含有するガラス組成物が得られるものであるとは、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、及びKOの合量を「M」と表し、SiO、Al及びBの合量を「J」と表すと、得られるガラス組成物が、0.1<M/J<0.25の関係を有しているということである。すなわち、化学分析や機器分析等の各種測定手段を使用することによってガラスを構成する元素成分を酸化物換算で表示し、ガラス骨格成分とされる網目形成酸化物であるSiO、Al及びBの合量をJ=SiO+Al+Bとし、ガラス骨格を切断しガラス骨格の隙間に配される網目修飾酸化物MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、及びKOの合量をM=MgO+CaO+SrO+BaO+LiO+NaO+KOとした場合、Mの値をJの値で除した値、すなわちM/J=(MgO+CaO+SrO+BaO+LiO+NaO+KO)/(SiO+Al+B)が0.1より大きく、0.25より小さいことを表している。
以上のような本発明のガラス繊維製造の用ガラス組成物を構成する各成分の含有率、および含有比率の限定理由について、以下に説明する。
SiO2、Al及びB成分はガラス構造において、その骨格をなす成分であって本発明のガラス組成物の主要構成成分であり、ガラス組成物中のSiO、Al、及びB成分の含有量が増加するほどガラスが強固となり、ガラス構造がタイトとなる。ガラス中に溶け込めるSOなどのガス成分はガラス構造がルーズであるほうが溶け込め易くなるためガラス組成物中のSiO、Al及びB成分の含有量が多いほどガラスに溶存できるガス量が少なくなると考えられる。
MgO、CaO、SrO及びBaO成分などのアルカリ土類酸化物やLiO、NaO及びKO成分などのアルカリ金属酸化物はガラス中でSiOなどの骨格を切断し、これらの成分がガラス組成中で増加するとガラス構造が緩和され、ガラス構造がルーズとなる。特にLiO、NaO及びKO成分などのアルカリ金属酸化物はこの効果が大きい。このためこれらの成分の含有量が多いほどガラスに溶存できるガス量が多くなると考えられる。
網目形成酸化物と網目修飾酸化物の比であるM/Jの値はガラス構造のタイト、ルーズを示す指標として考えると、M/Jの値が大きいほどガラス構造がルーズ、すなわち疎な構造となり、ガラス中に溶け込めるガス成分量が大きくなり、M/Jの値が小さいほどガラスがタイト、すなわち密な構造となりガラス中に溶け込めるガス成分量が小さくなる。
ガラス原料混合物を一次熔融して熔融ガラスとした後、二次熔融してガラス繊維を製造する製造方法では一次熔融したガラスにガス成分を残存させ、二次熔融時にガスを放出することにより二次熔融時前に残存する巻き込み泡等を膨張させて大きくし、ガラス融液外へ放出させて気泡を除くことが必要となる。このため熔融されるガラスは組成においてガスを適度に含むことができることが必要となる。よって、一次熔融後のガラスのM/Jの値をガラス中にガス成分が溶け込める指標として表すと、0.1<M/J<0.25であるとガラス原料混合物を一次熔融しガラス化した後、二次熔融してガラス繊維を製造する製造方法では気泡の少ないガラス繊維を製造することができる。M/Jの値が0.1より小さくガラス中に含むことのできるガス成分量が少ないと再熔融時に発生した気泡を十分大きくできないためホローファイバーの少ないガラス繊維を得ることができない。また、M/Jの値が0.25より大きくガラス中に含むことのできるガス成分量が多いと二次熔融時にガスが放出されすぎ、巻き込みなどで生じた気泡を大きくする他、放出されたガス自体が気泡となるため、ホローファイバーの少ないガラス繊維を得ることができない。
さらに一次熔融後のガラス中のSO含有量が酸化物換算の質量百分率表示で0.01%以上0.2%以下の範囲内であれば、二次熔融時に最適量のSO2ガスが発生し、熔融ガラス中に存在する微細な気泡や二次熔融時の素材ガラスの巻き込み泡を速やかに熔融ガラスから放出させることができるため好ましい。ここで、一次熔融後のガラス中のSO含有量が酸化物換算の質量百分率表示で0.01%以上0.2%以下の範囲内であるとは、化学分析や機器分析等の各種測定手段を使用することによってガラスを構成する元素成分を酸化物換算で表示した時、一次熔融後のガラス組成中のSO3量が0.1%以上0.2%以下の範囲内であることを表している。
また、一次熔融後のガラスを室温まで冷却固化し、粉砕して得られる300〜1000μmの粒度を有する1gのガラス粉末を50ml(ミリリットル)/分のキャリヤガス中で8℃/分の昇温速度で加熱したとき、800℃から1600℃までの昇温間に放出されるSOガス量(すなわち一次熔融後の溶存SO2量)が50μg/l(リットル)以上1500μg/l以下の範囲内であるならば、二次熔融時に最適量のSO2ガスが発生し、熔融ガラス中に存在する微細な気泡や二次熔融時の素材ガラスからの巻き込み泡を速やかに熔融ガラスから放出させることができるため好ましい。また、二次熔融時のSO2ガスを、より最適な量とするという観点からは、一次熔融後のガラスを上記条件で加熱した場合の100μg/l以上1200μg/l以下の範囲内とすることが好ましく、さらに好ましくは200μg/l以上1000μg/l以下の範囲内とすることである。
本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維の製造方法によって製造され、平均繊維径が3μmを超え、且つ23μm未満であることを特徴とする。
ここで、本発明のガラス繊維の製造方法によって製造され、平均繊維径が3μmを超え、且つ23μm未満であるとは、耐熱性容器にガラス原料混合物を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下のガラス原料混合物を加熱して、最高温度が1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラス化し、その後、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度の熔融状態を経て該熔融ガラスを前記ノズルより引き出すガラス繊維製造方法によって、得られるガラス繊維の平均の繊維径が3μmよりも太く、23μmよりも細いものであることを表している。
ガラス繊維の平均繊維径が3μmに満たない場合であっても製造に要する高精度なノズルの製造、管理や維持のための労力を厭わないならば、製造することは可能であるが、最も効率的な製造が可能となるのは3μmを超える平均繊維径とする場合である。また23μmを超える平均繊維径では、ガラス繊維としては繊維径が太すぎるため、十分な補強効果が得られなくなるため好ましくない。以上のような観点から、高密度のプリント配線基板や可視光に対して透明な複合材料の構成部材に適用するということに限定するならばガラス繊維の平均繊維径は3μmより大きく、13μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは4μmより大きく、9μm以下であることである。
また発明のガラス繊維は、上述に加えて成形された後の製品形態がチョップドストランド、ヤーン、及びロービングの何れかであるならば、種々の用途に使用することができる。
ここで、チョップドストランドは所定長の長さにされた短繊維、ヤーンは連続したストランドであって撚糸されたもの、ロービングはストランドをひき揃えたものである。
チョップドストランドの長さ寸法は、特に限定されない。つまり繊維の長さ寸法については、用途に適応したものを選択することができる。また、チョップドストランドの製造方法についても任意のものを採用することができる。ノズルから引き出し成型したガラス繊維を直接切断装置により切断加工することもできる。また引き出し成形したガラス繊維を一度巻き取った後に用途に応じて切断装置により切断加工してもよい。この場合、切断方法についても任意の方法を採用することができる。例えば、外周刃切断装置や内周刃切断装置、ハンマーミル等を使用することが可能である。
ヤーンについては、無撚りヤーンであっても、所定の撚りを付与してあるものであってもよく、撚りを付与してあるものならばその撚りの大きさや方向などについては特に限定しない。
また、ロービングについては、ストランドをひき揃えて束にし、円筒状に巻き取られものであれば、ダイレクトロービング(DWRともいう)でも合糸ロービングのどちらであっても、またどのような外観のものであっても支障なく、巻き取られた繊維径やひき揃えた本数についても限定されるものではない。
また、本発明のガラス繊維は、上記以外にもコンティニュアスストランドマット、チョップドストランドマット、ボンデッドマット、ペーパー、クロス、テープ、組布、あるいはミルドファイバ等の形態として利用することもできる。また、樹脂を含浸させたプレプレグ、LFTPペレットとすることもできる。そして、ガラス繊維を適用する使用法、成形法などについても、プリプレグ、スプレーアップ、ハンドレーアップ、フィラメントワインディング、射出成型、遠心成形、プレス成型、ローラー成形、あるいはマッチダイを使用するBMC、SMC法などにも対応することができる。
また、本発明のガラス繊維には、各種の表面処理剤を塗布して所望の性能を付与することができる。例えば、集束剤、結束剤、カップリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、乳化剤、乳化安定剤、pH調整剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、防黴剤あるいは安定剤等を単独種あるいは複数種を任意に組み合わせてガラス繊維の表面に適量塗布し、被覆させることができる。また、このような表面処理剤あるいは塗布剤は、殿粉系のものであってもプラスチック系のものであってもよい。
例えば、プラスチック系の集束剤であれば、アクリル、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル、酢酸ビニル・エチレン共重合体などを適宜使用することができる。
本発明のガラス繊維は、上述に加えてプリント配線基板に使用されるガラスヤーンであるならば、プリント配線基板に使用してドリル加工やレーザー加工する必要のある場合でも、均質で高い品位を有するガラス繊維により構成されたものであるために、高精度の加工を基板に施すことが容易である。
ガラスヤーンとは、平均繊維径が3μmより太く、13μmまでの繊維径を有するガラスフィラメントよりなり、このガラスフィラメント10本以上1600本以下に集束剤を付着させて集束してなるストランドに撚りをかけてなるものである。
また本発明のガラス繊維は、ガラスフィラメントの集束に用いる集束剤として、前記したように各種の薬剤を単独あるいは併用することができる。この内、ガラスヤーンの場合に最もよく使用されるのは澱粉であり、澱粉はガラスフィラメントを集束するとともに、ガラス繊維表面の被膜形成剤として、工程中での屈曲や摩擦等からガラスヤーンの表面を保護する目的で用いられるものである。
また、本発明のガラス繊維の好ましい用途はプリント配線基板や画像表示用基板用途の複合材料であるが、必要に応じて各種の用途に使用してもよい。すなわち具体的に次の様な用途での使用が可能である。例えば、電子機器関連用途であれば、絶縁板、端子板、IC用基板、ディスプレイ基材、電子機器ハウジング材、ギアテープリール、各種収納ケース、光部品用パッケージ、電子部品用パッケージ、スイッチボックス、絶縁支持体などがあり、車載関連用途であれば、車体屋根材(ルーフ材)、窓枠材、グレージング、車体フロント、カーボディ、ランプハウス、エアスポイラー、フェンダーグリル、タンクトロリー、ベンチレーター、水タンク、汚物タンク、座席、ノーズコーン、フェンダーグリル、カーテン、フィルター、エアコンダクト、マフラーフィルター、ダッシュパネル、ファンブレード、ラジエータータイヤ、タイミングベルトなどがあり、航空機関連用途ならば、エンジンカバー、エアダクト、シートフレーム、コンテナ、カーテン、内装材、サービストレイ、タイヤ、防振材、タイミングベルトなどがあり、造船、陸運海運関連用途ならば、モーターボート、ヨット、漁船、ドーム、ブイ、海上コンテナ、フローター、タンク、信号機、道路標識、カーブミラー、コンテナ、パレット、ガードレール、照明灯カバー、火花保護シートなどがあり、農業関連用途では、ビニールハウス、サイロタンク、スプレーノズル、支柱、ライニング、土壌改良剤などがあり、建設・土木・建材関連ならば、バスタブ、バストイレユニット、便槽、浄化槽、水タンク、内装パネル、カプセル、バルブ、ノブ、壁補強材、プレキャストコンクリートボード、平板、並板、テント、シャッター、外装パネル、サッシ、配管パイプ、貯水池、プール、道路、構造物側壁、コンクリート型枠、ターポリン、防水ライニング、養生シート、防虫網などがあり、工業施設関連用途であれば、バグフィルター、下水道パイプ、浄水関連装置、妨振コンクリート補強材(GRC)、貯水槽、ベルト、薬品槽、反応槽、容器、ファン、ダクト、耐蝕ライニング、バルブ、冷蔵庫、トレー、冷凍庫、トラフ、機器部品、電動機カバー、絶縁ワイヤ、変圧器絶縁、ケーブルコード、作業服、カーテン、蒸発パネル、機器ハウジングなどがあり、レジャースポーツ関連用途であれば、釣竿、スキー、アーチェリー、ゴルフクラブ、プール、カヌー、サーフボード、カメラ筐体、鏡筒、ヘルメット、衝撃保護防具、植木鉢、表示ボードなどがあり、日用品関連用途では、テーブル、椅子、ベッド、ベンチ、マネキン、ゴミ箱、携帯端末保護材などがある。また、本発明のガラス繊維は、ガラス繊維単独でも使用することができる。
また本発明のガラス繊維は、有機樹脂と複合され、可視光透過合材の構成材料として用いられるものであれば、ガラス繊維による補強よって、高強度で寸法安定性が高く、透光性の高い複合材を得ることができるので好ましい。
また本発明のガラス繊維は、上述に加えて可視光透過複合材が、板厚が30mm以下の板状材として成形されてなるものであるならば、高い補強性を薄板状の有機樹脂材に適用でき、透過性を有する窓材や電子部品用途や光部品用途の透明基板材として使用することが可能である。
(1)本発明のガラス繊維の製造方法は、耐熱性容器にガラス原料混合物を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、前記ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下のガラス原料混合物を加熱して最高温度が1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラスとし、その後、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度の熔融状態を経て該熔融ガラスを前記ノズルより引き出すものであるため、熔融ガラス中に存在する微細な泡や再熔融時の素材ガラスの巻きこみ泡を速やかに、かつ完全に除去し、良い良品率で気泡の殆ど存在しないガラス繊維を製造することを可能とする。
(2)本発明のガラス繊維の製造方法は、ガラス原料混合物が、酸化物換算の質量百分率表示で、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの合量をSiO、Al及びBの合量で除した値が0.1より大きく、0.25未満の関係となる組成を含有するガラス組成物が得られるものであるならば、ガラス中に溶存するSO量を最適な範囲にすることができ、ガラスの製造工程における熔解性や紡糸性が良好なガラス繊維を製造することができる
(3)本発明のガラス繊維は、本発明のガラス繊維の製造方法によって製造され、平均繊維径が3μmを超え、且つ23μm未満であるならば、用途に応じて最適な繊維径の気泡の殆ど含まれないガラス繊維を潤沢に顧客に提供する事ができる。
(4)本発明のガラス繊維は、有機樹脂と複合され、可視光透過複合材の構成材料として用いられるものであるであれば、可視光線を透過する材料の強度、寸法安定性を飛躍的に向上させることが可能となる。
(5)本発明のガラス繊維は、可視光透過複合材が、板厚が30mm以下の板状材として成形されてなるものであるであるならば、板ガラスに代わる用途で特に柔軟性や機械的強度の向上を必要とされる場合に有効である。
以下に本発明のガラス繊維の製造装置、及び本発明のガラス繊維の製造装置を使用して行われるガラス繊維の製造方法、そしてこの製造方法により得られるガラス繊維について、実施例に基づいて説明する。
本発明の実施例に係るガラス組成と評価結果を表1に示す。表中に示した酸化物換算表記のガラス組成は質量%で表している。
本発明の実施例として、試料No.1から試料No.10の各ガラス試料については、以下に示す手順で試料を調製し、得られたガラスの評価を実施した。
まず、各々のガラス組成となるように天然原料や化成原料等の複数のガラス原料を所定量秤量し、均質な状態になるように予め混合したガラス原料混合バッチを、白金ロジウム製の坩堝内に投入する。次いでこの原料混合バッチが投入された白金ロジウム製の坩堝を間接加熱電気炉内にて大気雰囲気中にて一次熔融温度で5時間加熱してガラス原料混合バッチを高温化学反応させて熔融ガラスとした。尚、熔融ガラスを均質な状態とするために加熱熔融の途中で耐熱性撹拌棒を使用して熔融ガラスの撹拌を行った。
こうして均質な状態とした熔融ガラスをロール成形し、厚さ1mmのフィルム状のガラスを得た。このフィルム状のガラスをボールミルで目開き5mmの篩を通過する粒度に粉砕し、ガラス素材を得た。
このようにして得られた一次熔融によるガラス冷却固化物を加熱した場合に発生するSO2ガスの発生量を評価するため、上記粒度のガラス素材をさらに粉砕し、300〜1000μmの粒度を有する1gのガラス粉末を作製した。そしてこのガラス粉末を50ml/分のキャリヤガス中で8℃/分の昇温速度で加熱したとき、800℃から1600℃までの昇温間に放出されるSOガス量をガス分析装置によって計測した。以上の評価結果も表1にまとめて示した。
このガラス素材の組成は蛍光X線分析装置を用いて組成値既知の試料を標準として分析して得た。またSO成分の分析値は、ICP分析等の機器分析装置によって得られた値である。
このガラス素材を二次熔融温度に保持した耐熱性容器に連続的に供給して二次熔融を行い、耐熱性容器の底面に設けた200個の耐熱性ノズルから熔融ガラスを連続的に引き出して単繊維直径7μmのガラス繊維を紡糸した。
ガラス中の気泡は、ガラス繊維の紡糸を中断し、ノズルから落下したビーズ状のガラスを採取し、このビーズ状のガラス約20gを適温に保持したベンジルアルコール中に浸漬し、10倍の顕微鏡で観察することにより、ビーズ中に含まれる気泡の数を測定し、ガラス100g当りに含まれる気泡の数に換算した。
熔融ガラスの粘性値として、10dPa・sに相当する紡糸温度の測定については、ロール成形で得たフィルム状のガラス片を適正な寸法に破砕し、なるべく気泡が巻き込まれないようにアルミナ製坩堝に投入して、再度加熱して、融液状態とし、その状態で白金球引き上げ法に基づいて計測した各粘性値の複数の計測によって得られた粘性曲線の内挿によって算出したものである。
以上の試験によって、本発明の実施例である試験No.1から試験No.10までの試料については、一次熔融して得られたガラス組成物が重量%において組成成分割合(MgO+CaO+SrO+BaO+LiO+NaO+KO)/(SiO+Al+B)=M/Jの値が、0.14〜0.24の範囲内であり、SO含有量が0.04〜0.19%の範囲内であり、一次熔融して得られたガラスを加熱して発生するSOガス量は、320〜950μg/lの範囲内で、表1中にそれぞれ示したように二次熔融後の100gのガラス中の気泡の数は5個以下であった。
本発明の実施例の中でも特に特徴的な試料について以下で説明する。
実施例の試料No.1のガラス組成物は、紡糸温度が1209℃であり、SO含有量0.10%のガラス原料混合バッチを最高温度1300℃で一次熔融してM/Jの値が0.14、SO含有量が0.05%のガラス素材を得た後、1350℃で二次熔融し、ガラス繊維を紡糸した。一次熔融して得られたガラスを加熱して発生するSOガス量は、320μg/lであった。そしてこのガラス中の気泡の数はガラス100g当り、0個であった。
また実施例の試料No.5のガラス組成物は、紡糸温度が1198℃であり、SO含有量0.07%のガラス原料混合バッチを最高温度1300℃で一次熔融してM/Jの値が0.16、SO含有量が0.03%のガラス素材を得た後、1350℃で二次熔融し、ガラス繊維を紡糸した。一次熔融して得られたガラスを加熱して発生するSOガス量は、410μg/lであった。そしてこのガラス中の気泡の数はガラス100g当り、5個で十分に少ない数であった。
また実施例の試料No.7のガラス組成物は、紡糸温度が1121℃であり、SO含有量0.28%のガラス原料混合バッチを最高温度1250℃で一次熔融してM/Jの値が0.24、SO含有量が0.19%のガラス素材を得た後、1370℃で二次熔融し、ガラス繊維を紡糸した。一次熔融して得られたガラスを加熱して発生するSOガス量は、750μg/lであった。そしてこのガラス中の気泡の数はガラス100g当り、0個であった。
また実施例の試料No.10のガラス組成物は、紡糸温度が1185℃であり、SO含有量0.25%のガラス原料混合バッチを最高温度1250℃で一次熔融してM/Jの値が0.22、SO含有量が0.13%のガラス素材を得た後、1370℃で二次熔融し、ガラス繊維を紡糸した。一次熔融して得られたガラスを加熱して発生するSOガス量は、700μg/lであった。そしてこのガラス中の気泡の数はガラス100g当り、5個で十分に少ない数であった。
次いで比較例として試料No.101から試料No.104に係るガラスについても、表1に示したように、本発明の実施例と同様の手順で評価し、一連の評価を実施した。その結果を以下に示す。
比較例の試料No.101のガラス組成は、紡糸温度が1170℃であり、SO含有量が0.15%のガラス原料混合バッチを最高温度1300℃で一次熔融してM/Jの値が0.19、SO含有量が0.08%のガラス素材を得た後、1250℃と一次熔融よりも低い温度で二次熔融したため、このガラス中の気泡の数はガラス100g当り、420個と非常に気泡が多いものであった。
比較例の試料No.102のガラス組成は、紡糸温度が1278℃であり、SO含有量が0.20%のガラス原料混合バッチを最高温度1400℃で一次熔融したため、バッチ吹きが発生した他、M/Jの値が0.13のガラス組成であるが、SO含有量が0.01%よりも少なくなったため、一次熔融よりも高い1450℃で二次熔融したが、このガラス中の気泡の数はガラス100g当り、200個と非常に気泡が多いものであった。
比較例の試料No.103のガラス組成は、紡糸温度が1177℃であり、SO含有量が0.04%のガラス原料混合バッチを最高温度1310℃で一次熔融したためM/Jの値が0.21のガラス組成であるが、SO含有量が0.01%のよりも少なくなったため、一次熔融よりも高い1370℃で二次熔融したが、このガラス中の気泡の数はガラス100g当り、325個と非常に気泡が多いものであった。
比較例の試料No.104のガラス組成は、紡糸温度が1470℃であり、粘性の高いガラスであるため一次熔解温度を高くしないとガラスに未熔解物が残った。一次熔解温度の最高温度が1580℃となったためSO含有量が0.10%のガラス原料混合バッチを一次熔融したが、M/Jの値が0.11であったが、SO含有量が0.01%よりも少なくなったため一次熔融よりも高い1650℃で二次熔融したが、このガラス中の気泡の数はガラス100g当り、550個と非常に気泡が多いものであった。
以上の実施例及び比較例から明らかなように、本発明のガラス繊維の製造方法は、ガラス熔融時に、ガラス繊維中に混入する気泡を完全に除去し、高い良品率を実現することによってガラス繊維の製造効率を飛躍的に向上することが可能となるものであり、本発明のガラス繊維は、透明な樹脂材と組み合わせることによって可視光透過複合材用途として有用なものである。

Claims (5)

  1. 耐熱性容器にガラス原料混合物を投入して熔融ガラスとし、得られた熔融ガラスを耐熱性容器のノズルから連続的に引き出してガラス繊維とするガラス繊維の製造方法であって、 前記ガラス原料混合物中のSO含有量が、0.05質量%以上0.30質量%以下であり、該ガラス原料混合物を加熱して最高温度が1250℃以上1350℃以下の一次熔融温度で熔融ガラスとし、その後、さらに加熱して一次熔融温度よりも高温の二次熔融温度の熔融状態を経て該熔融ガラスを前記ノズルより引き出すことを特徴とするガラス繊維製造方法。
  2. ガラス原料混合物が、酸化物換算の質量百分率表示で、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの合量をSiO、Al及びBの合量で除した値が0.1より大きく、0.25未満の関係となる組成を含有するガラス組成物が得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のガラス繊維の製造方法によって製造され、平均繊維径が3μmを超え、且つ23μm未満であることを特徴とするガラス繊維。
  4. 有機樹脂と複合され、可視光透過複合材の構成材料として用いられることを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維。
  5. 可視光透過複合材が、板厚が30mm以下の板状材として成形されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載のガラス繊維。
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