JP5067651B2 - 自動変速機用の油圧制御装置 - Google Patents
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なお、上記従来の油圧ポンプはエンジン駆動であるため、エンジン回転数に応じて作動油の吐出圧が変動する。よって、油圧ポンプから吐出された作動油をライン圧制御弁により調圧している。
しかしながら、上記特許文献1および2記載の油圧ポンプはエンジン駆動であるため、上述の非走行レンジである場合であっても油圧ポンプは駆動して吐出した作動油を摩擦要素に吐出することなくドレンへ排出するため、油圧ポンプの動力を無駄に消費することとなる。
しかしながら、特許文献1に記載の電動油圧ポンプは、油圧配管経路のうち上述したライン圧制御弁の上流側に設置されている。そのため、電動油圧ポンプから始動用摩擦要素に至るまでの配管経路長が長くなり、ライン圧制御弁の配管接続部分等からの作動油のリーク量が多くなるので、ひいては電動油圧ポンプの動力を無駄に消費することとなる。
そのため、各々の電動油圧ポンプにより摩擦要素に作動油を供給することができるので、特許文献1および2記載のエンジン駆動の油圧ポンプを廃止でき、ひいては、複数の摩擦要素のいずれにも作動油の供給が不要となる場合には全ての電動油圧ポンプを停止させることが可能となる。よって、摩擦要素に作動油を供給するポンプの動力について、無駄な動力消費を低減できる。
さらに、制御手段により複数の電動油圧ポンプの吐出圧を制御できるので、エンジン駆動の油圧ポンプを廃止できることにともなって上述のライン圧制御弁も廃止することができる。
そのため、摩擦要素への作動油の供給を停止させる場合において、対応する電動油圧ポンプと作動油貯蔵槽との連通を切換手段で遮断することにより、対応する電動油圧ポンプの誤作動等が生じたか否かに拘わらず確実に作動油の供給を停止させることができる。また、対応する電動油圧ポンプと作動油貯蔵槽とを連通させたまま該電動油圧ポンプを停止させることにより摩擦要素への作動油の供給を停止させる場合に比べて、作動油供給停止期間中における配管内の油圧を高い圧力のまま保持できるので、再度作動油を供給させて摩擦要素を係合させるにあたり、その係合作動を速やかに開始できる。
このように電動油圧ポンプを逆転させて摩擦要素から作動油を排出する本発明によれば、電動油圧ポンプを停止させて摩擦要素から作動油を排出する場合に比べて排出速度を速くすることができる。よって、摩擦要素の係合を解放するにあたりその解放速度を速くすることができる。
そのため、排出制御が行われている電動油圧ポンプの吐出口から排出された作動油は、供給制御が行われている電動油圧ポンプの吸入口に供給されるので、供給制御が行われている摩擦要素への作動油の供給速度を速くすることができる。よって、摩擦要素を係合するにあたりその係合速度を速くすることができる。
そのため、アイドルストップ時には、電動油圧ポンプを駆動させて始動用摩擦要素に作動油を供給することができるので、エンジン再起動時に始動用摩擦要素を係合させるにあたり、その係合作動を速やかに開始できる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるAT及びAT用の油圧制御装置を図2に示す。図2に示すAT1およびAT用油圧制御装置2は、走行用エンジン3が備えられた車両に搭載されている。また、当該車両は、その一旦停止時にエンジン3のアイドルストップを実施するアイドルストップシステムを搭載したものである。尚、車両のエンジン3は、例えば内燃式エンジン、電動モータ、ハイブリッド式エンジン等のいずれであってもよい。
AT1は複数の摩擦要素11〜15を有する。摩擦要素11、14はブレーキ、摩擦要素12、13、15はクラッチであり、それぞれAT用油圧制御装置2により印加される作動油の油圧に従って係合状態又は解放状態となる。摩擦要素11〜15の各々は、複数の出力摩擦板11a、12a、13a、14a、15aと、複数の入力摩擦板11b、12b、13b、14b、15bと、クラッチピストン11c、12c、13c、14c、15cおよびピストン室11d、12d、13d、14d、15dからなる駆動部とを有する。
入力摩擦板11b〜15bに係止されているクラッチピストン11c〜15cへの印加油圧がさらに増大すると、クラッチピストン11c〜15cが入力摩擦板11b〜15bを押し動かしてストロークを再開する。その結果、入力摩擦板11b〜15bと出力摩擦板11a〜15aとが摩擦接触し、入力軸5、12g〜15gから出力軸11f〜14f、6へトルクが伝達される。
AT用油圧制御装置2は、電動油圧ポンプ21〜25、切換手段としてのマニュアル弁26、絞り27および高圧選択弁28等を備えており、これらの機械要素21〜28は1つのケーシング内に収容されることでユニット化されており、1つのユニットとしてAT1に取り付けられている。
各々の電動油圧ポンプ21〜25からの吐出流量及び出力油圧は、変速ECU7から受ける指令信号に従って調整される。
マニュアル弁26は、車両の運転者により操作されるレバー式、ボタン式等のレンジセレクタ(図示せず)に、電気的又は機械的に接続されたスプール弁から構成されており、流入側流路261、前進用流路262、後進用流路263に連通している。そして、図1に示すように、流入側流路261はオイルパン8と連通し、前進用流路262は分岐して電動油圧ポンプ21、23〜25の各々と連通し、後進用流路263は電動油圧ポンプ22と連通する。
そして、AT1の変速段を切り換えるには、複数の摩擦要素11〜15の係合および解放状態を切り換える必要があり、Dレンジ2速から3速に切り換える場合には、図3に示す如く摩擦要素14(2−4/B)の係合状態を解放状態に切り換えるとともに、摩擦要素15(H/C)の解放状態を係合状態に切り換えることにより実行される。
はじめに、経過時間がt1になるまでの作動について印加油圧の変化を説明する。
図6中の符号P1は係合時における摩擦要素14(2−4/B)への印加油圧を示しており、先ず、排出制御により印加油圧をP1からP2まで低下させることで、クラッチピストン14cによる入力摩擦板14bの出力摩擦板14aへの押し付け力を低下させる。t1の時点では両摩擦板14a、14bは未だ係合している。
因みに、AT1の負荷増等の外乱が生じても係合する両摩擦板14b、14aが滑らないようにするために、係合時の印加油圧はP2よりも高い圧力P1に設定されている。
次に、経過時間がt1からt2になるまでの作動について印加油圧の変化を説明する。
t1の時点から、解放状態である摩擦要素15(H/C)に対し供給制御により印加油圧をP3とすることで、クラッチピストン15cにより入力摩擦板15bを出力摩擦板15aに近づける。その後、入力摩擦板15bが出力摩擦板15aに当接する直前(t2の時点)に印加油圧をP4に低下させる。そのため、印加油圧をP3のまま両摩擦板15b、15aを当接させた場合に比べて当接の衝撃を緩和させることができる。また、t1の時点から印加油圧をP4にした場合に比べて、両摩擦板15b、15aが当接するまでの時間を短くできる。
次に、経過時間がt3からt4になるまでの作動について印加油圧の変化を説明する。
摩擦要素14(2−4/B)への印加圧力をP2から0となるまで徐々に低下させると同時に、摩擦要素15(H/C)への印加圧力をP4からP2となるまで徐々に上昇させる。そして、経過時間t4の時点で、摩擦要素14(2−4/B)は解放状態になり、摩擦要素15(H/C)は係合状態になる。従って、AT1内部におけるトルクの伝達経路が切り換わる。すなわち、経過時間t3からt4までは、AT1の出力軸6の回転の変化はなくトルク分担だけが変化する所謂トルク相の状態変化である。
次に、経過時間がt4からt5になるまでの作動について印加油圧の変化を説明する。
経過時間t3からt4までは、AT1の出力軸6の回転数が変化する所謂イナーシャ相の状態変化である。従って、回転数変化がなくなるまで、摩擦要素15(H/C)への印加油圧をP2のままにするとともに摩擦要素14(2−4/B)への印加油圧を0のまま維持させる。
そして、イナーシャ相が終了するt5の時点で摩擦要素15(H/C)への印加油圧をP2からP5に上昇させる。これにより、AT1の負荷増等の外乱が生じても係合する両摩擦板15b、15aが滑らないように確実に係合する。
本実施形態では、変速ECU7の制御指令により電動モータ21m〜25mに通電する電流値を制御することで、摩擦要素11〜15に供給される作動油の圧力が所望の圧力となるよう制御している。図7は、電動モータ21m〜25mへの通電電流と油圧ポンプ21p〜25pの吐出油圧との関係を示すグラフであり、通電電流の増大に比例して吐出油圧も増大する。
図8は、図6に示す如く摩擦要素15(H/C)を供給制御した場合における、電動モータ25mへの通電電流の変化と時間経過との関係を示す。なお、図8中の符号t1、t2、t3、t4、t5は図6中のt1〜t5と同じ時点であることを意味する。
そして、t1の時点で電動モータ25mへの通電を開始する。すなわち、I1に示す通電電流により、摩擦要素15への印加油圧を図6に示す油圧P3にする。その後、t2の時点で通電電流をI1からI2に低下させることにより、印加油圧をP3からP4に低下させる。
次に、t3の時点からt4の時点までの間に、通電電流をI2からI3まで徐々に増大させることにより、摩擦要素15への印加油圧をP4からP2まで徐々に増大させて、トルク相の状態にする。その後、t5の時点まで通電電流をI3のまま維持させてイナーシャ相の状態にし、t5の時点から通電電流をI4に増大させることにより、摩擦要素15への印加油圧をP5まで増大させる。
本発明の第2実施形態を図9に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付す。
上記第1実施形態では、電動油圧ポンプ21〜25に通電する電流値を制御することにより、摩擦要素11〜15に供給される作動油の圧力が所望の圧力となるよう電動油圧ポンプ21〜25の作動を電流値制御している。
従って、本実施形態によれば、第1実施形態に比べて油圧センサ292が必要となるものの、摩擦要素11〜15への印加油圧を所望の圧力にすることを電流値制御に比べて確実にできる。
上記各実施形態では、電動油圧ポンプ21〜25をAT用油圧制御装置2のケーシング内に収容させているが、当該ケーシングの外部に電動油圧ポンプ21〜25を設置してもよい。但し、電動油圧ポンプ21〜25をAT用油圧制御装置2に設置すれば、AT1に設置する場合に比べて油圧配管を簡素にできる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (5)
- 自動変速機に設けられている複数の摩擦要素への作動油の供給圧を制御することで、前記摩擦要素の係合または解放を制御して前記自動変速機の変速段を切り換える自動変速機用の油圧制御装置において、
前記複数の摩擦要素の各々に対して設置され、対応する前記摩擦要素に作動油を供給する複数の電動油圧ポンプと、
前記複数の電動油圧ポンプの作動を制御する制御手段と、
前記複数の電動油圧ポンプから作動油貯蔵槽までの油圧経路上に設けられ、前記複数の電動油圧ポンプと前記作動油貯蔵槽との連通および遮断を切り換える切換手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電動油圧ポンプを正転させて前記摩擦要素へ作動油を供給する供給制御と、前記電動油圧ポンプを逆転させて前記摩擦要素から作動油を強制排出する排出制御とを切り替える自動変速機用の油圧制御装置。 - 前記制御手段は、前記複数の電動油圧ポンプのうち少なくとも1つの電動油圧ポンプに対して前記供給制御を行うと同時に、前記供給制御が行われている電動油圧ポンプを除く少なくとも1つの電動油圧ポンプに対して前記排出制御を行い、
前記排出制御が行われている電動油圧ポンプの吐出口と前記供給制御が行われている電動油圧ポンプの吸入口とは、作動油貯蔵槽をバイパスして連通されている請求項1記載の自動変速機用の油圧制御装置。 - 車両の走行停止にともなってエンジンを停止させるアイドルストップ車両に搭載される請求項1または2記載の自動変速機用の油圧制御装置。
- 前記電動油圧ポンプの吐出圧を検出する油圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記油圧検出手段にて検出された吐出圧に基づき、前記摩擦要素に供給される作動油の圧力が所望の圧力となるよう前記電動油圧ポンプの作動をフィードバック制御する請求項1〜3のいずれか一項記載の自動変速機用の油圧制御装置。 - 前記制御手段は、前記電動油圧ポンプに通電する電流値を制御することにより、前記摩擦要素に供給される作動油の圧力が所望の圧力となるよう前記電動油圧ポンプの作動を電流値制御する請求項1〜4のいずれか一項記載の自動変速機用の油圧制御装置。
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