JP5067219B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法による画像形成方法に用いるトナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置としては、通常の複写機やプリンターとしてオフィス内文書の印刷や単なるコピーとして使用するものから、オフィス外用の印字物の作製の分野、具体的には、電子データから可変情報を簡単に印字できることから、軽印刷の領域であるオンデマンドプリンティング(POD)市場にまで用途が拡大してきており、これに伴ってオフィス内においては複数の複写機やプリンターが設置された状態となるなど全体として電力消費量が増大してきている。
POD市場においては、複写行為にではなく印字物自体に価値が求められるために、当該印字物として、高い画質のものを形成することが要求されている。
高い画質の印字物を得るためにはトナーの小粒径化が有効であることが知られており、これを実現するためのいわゆるケミカルトナーが種々提案されている。このケミカルトナーは、水系媒体中などで造粒を行う手法であるため、粉砕法とは異なり、小粒径のトナー粒子を高い均一性で得られるという利点を有している。
一方、定着時にオフセット現象などを発生させずに高い光沢性を与えて高い画像品質の印字物を得るためには、トナー粒子を構成する結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用することが有効であることが知られている。
そして、ポリエステル樹脂による小粒径化トナーを調製する方法としては、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解または分散させ、これを水系媒体中に分散させて油滴を形成し、その後、脱溶剤することにより、トナー粒子を得る方法が提案されている。
ポリエステル樹脂を重縮合によって合成する際の触媒としては、一般的に、例えばジブチルスズなどのスズ化合物による触媒が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この方法によっては、着色剤をポリエステル樹脂と同時に溶剤中に溶解または分散させた後に造粒するため、得られるトナー粒子中における着色剤の分散性が低いという問題がある。
また、上記のように触媒として用いられるスズ化合物は、金属(スズ)に脂肪族置換基が結合された構造を有する有機スズであり、このような有機スズは環境適正上、安全面に問題があることが近年指摘されており、この触媒の使用の見直しがなされている。
このように環境への配慮の点などから、近年、触媒として、ハロゲン化チタン、チタンジケトネノレート、カルボン酸チタン、カルボン酸チタニル、カルボン酸チタニル塩などのチタン触媒;ゲルマニウム触媒;アルミニウム触媒などの金属触媒が提案されている(特許文献2〜4参照。)。
しかしながら、これらの特定の金属触媒を用いて得たポリエステル樹脂によるトナーを長期間にわたって使用した場合に、次第に得られる可視画像が画像濃度の低下したものとなってしまう、という問題がある。
特開2005−173570号公報 特開2004−126544号公報 特開2005−91696号公報 特開2005−91525号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、長期間にわたって使用した場合にも、得られる可視画像に高い画像濃度および高い細線再現性が得られ、その結果、高い解像度を有する高画質な画像を形成することのできるトナーを提供することにある。
本発明者らが検討した結果、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから選択される金属(以下、「特定の触媒金属」ともいう。)が特定量トナー粒子中に存在することにより、着色剤のポリエステル樹脂への高い分散性を得ることができるものの、これらの微量に存在する特定の触媒金属がポリエステル樹脂とイオン架橋した構造を形成し、これによりいわゆる帯電付与性が発現してしまい、その結果、当該トナーを長期間にわたって使用した場合に現像装置内のトナーにおいて電荷の蓄積が発生して現像性が低下してしまうものと推定された。
この電荷の蓄積の問題を解決するために、外添剤微粒子として特定のもの、すなわち、電荷の蓄積を抑制することができるものを使用することにより、安定した可視画像を長期間にわたって形成することができるものと考え、本発明を完成するに至ったものである。
本発明のトナーは、少なくとも、ポリエステル樹脂よりなる結着樹脂および着色剤を有する着色粒子と外添剤微粒子とを含有してなるトナーにおいて、
当該トナーは、平均円形度が0.950〜0.990、体積基準のメジアン径が4.5〜8.0μm、体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)が15〜25であり、
かつ、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから選択される金属が10〜1500ppmの割合で含有されたものであり、
前記外添剤微粒子が、鉄の含有量が100〜1,000ppmであるチタン酸化合物よりなることを特徴とする。
本発明のトナーにおいては、前記外添剤微粒子は、BET比表面積が5〜20m2 /gであることが好ましい。
また、本発明のトナーにおいては、前記外添剤微粒子は、数平均一次粒子径が50〜2,000nmであり、かつ、当該数平均一次粒子径について、下記式(1)で表されるsd値が、250nm以下であることが好ましい。
式(1):sd値(nm)=(d1 84−d1 16)/2
〔上記式(1)中、d1 84およびd1 16は、数平均一次粒子径を測定したときの全体を100%として求めた累積曲線において、それぞれ84%および16%となる粒径である。〕
さらに、本発明のトナーにおいては、チタン酸化合物が、チタン酸カルシウムまたはチタン酸マグネシウムであることが好ましい。
本発明のトナーによれば、これを構成するトナー粒子がポリエステル樹脂よりなり、特定の小さい粒径を有することによって基本的に高い画質の画像が得られ、特定のシャープな粒径分散度を有することによって過度に粒径が小さいトナー粒子や大きいトナー粒子の存在を抑制することができて定着時にトナー粒子間に高い密着性が得られ、さらに、特定の不定形形状を有するためにトナー粒子間の間隙を最小化することができて定着時にトナー粒子間により一層高い密着性が得られてトナーが拡散せず、従って得られる画像において細線再現性が得られると共に高い画像濃度が得られ、そして、特定の触媒金属を特定の割合で含有すると共に特定の外添剤微粒子を含有するものであるために、高い画像濃度を長期間にわたって形成することができる。
特定の触媒金属を特定の割合で含有すると共に特定の外添剤微粒子を含有するものであるために高い画像濃度を長期間にわたって形成することができる理由としては、明確ではないが、特定の触媒金属とポリエステル樹脂との相互作用によるイオン架橋構造が形成されており、このイオン架橋構造が形成された部位が電荷の発生点として機能して安定した帯電付与性が得られ、さらに特定の外添剤微粒子が過剰な電荷の蓄積を抑制することができるものであることにより、帯電付与性と電荷の蓄積の抑制性との間のバランスが良好なものとなり、その結果、高い画像濃度を長期間にわたって形成することができるものと推定される。
トナーに含有される特定の外添剤微粒子が過剰な電荷の蓄積を抑制することができる理由としては、当該特定の外添剤微粒子が微量の鉄を含有させたものであることにより、過剰な電荷についてこれを適度にリークさせることができるからであると推察される。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔トナー〕
本発明のトナーは、少なくとも、ポリエステル樹脂よりなる結着樹脂および着色剤を有する着色粒子と外添剤微粒子とを含有してなるものであり、当該トナーは、平均円形度が0.950〜0.990、体積基準のメジアン径が4.5〜8.0μm、体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)が15〜25であり、かつ、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから選択される金属が10〜1500ppmの割合で含有されたものであり、当該外添剤微粒子が、後述する特定の外添剤微粒子であるものである。
ここに、前記金属は、トナー粒子を構成する結着樹脂に分散された状態で含有されていることが好ましい。
〔トナーの平均粒径〕
本発明のトナーの平均粒径は、体積基準のメジアン径で4.5〜8.0μm、好ましくは4.0〜7.5μmである。トナーの平均粒径が体積基準のメジアン径で上記の範囲であることにより、定着時において飛翔して加熱部材に付着し定着オフセットを発生させる付着力の大きいトナー粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
このトナーの平均粒径は、トナーの製造時の凝集工程における凝集剤の濃度や有機溶剤の添加量、または融着時間、さらにはポリエステル樹脂の組成によって制御することができる。
トナーの体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザーIII」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、まず、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメジアン径とする。
〔体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)〕
本発明のトナーにおける体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)は15〜25であり、好ましくは15〜22である。
この体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)は、下記式(x)によって求められるものである。ただし、下記式(x)において、体積基準粒径の算術平均値は、トナー粒子25,000個によって算出される値であり、この値は「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
式(x):CVVOL 値={(標準偏差)/(体積基準粒径の算術平均値)}×100
上記のように体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)がシャープなものであることにより、過度に粒径が小さいものや大きいトナー粒子の存在が抑制されて定着時にトナー粒子間に高い密着性が得られ、形成される印字物について高い細線再現性が得られると共に高い画像濃度が得られる。
〔トナー粒子の平均円形度〕
本発明のトナーにおいては、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、平均円形度が0.950〜0.990、好ましくは0.955〜0.980である。
この平均円形度が0.950〜0.990の範囲にあることにより、得られる印字物について高い細線再現性が得られると共に高い画像濃度が得られる。
この高い細線再現性が得られると共に高い画像濃度が得られる理由としては、従来、小粒径化されたトナーにおいては、トナー粒子の厚みが薄いために、大粒径トナーと異なりトナー粒子1個に係る隠蔽率は低くなり、また隠蔽率が低減された小粒径化されたトナーにおいては、トナー粒子間の空隙の存在が、単層状にトナー粒子が存在して構成される細線部の再現性に影響を及ぼすため、高い細線再現性が得られず、さらに高い画像濃度も得られないところ、トナー粒子の形状が上記のような不定形形状を有するために、トナー粒子間の空隙が極小化されたからと考えられる。
トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される値である。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(z)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(z):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから選択される特定の触媒金属を、10〜1500ppmの割合で含有するものである。
金属の含有割合は、一般的に、原子吸光分析法やプラズマ発光分析法などの公知の金属分析方法を用いることにより測定することができ、本発明に係るトナー粒子における特定の触媒金属の含有割合は、高周波プラズマ発光分析装置「SPS1200A」(セイコー電子工業社製)によって金属定量分析されるものである。
ここに、特定の触媒金属とは、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから1種または2種以上選択されるものである。
この特定の触媒金属は、有機金属化合物、金属酸化物など、特に有機金属化合物の形状で含有されることが好ましい。また、この金属化合物は、金属アルコレートなどの骨格を有していることが好ましい。
この特定の触媒金属の含有割合が上記の範囲にあることにより、当該特定の触媒金属とポリエステル樹脂との相互作用による帯電付与性を得ることができる。すなわち、この特定の触媒金属の含有割合が上記の範囲にある場合は、ポリエステル樹脂中に存在する水酸基やカルボキシル基とこれら特定の触媒金属とによるイオン架橋構造が形成され、これにより、このイオン架橋構造が形成された部位が電荷の発生点として機能される。
この特定の触媒金属の含有割合が10ppm未満である場合は、イオン架橋構造の形成の程度が低いものとなって電荷の発生点が低減し、従って帯電付与性が低いものとなり、その結果、カブリが発生してしまう。一方、この特定の触媒金属の含有割合が1500ppmを超える場合は、過剰の触媒金属の存在により、イオン架橋構造の形成の程度が過度なものとなって電荷の発生点が過剰となり、従って帯電付与性が過度に高いものとなり、その結果、画像濃度の低下が発生してしまう。
また、本発明のトナーの着色粒子を構成するポリエステル樹脂の酸価は、5〜45mg・KOH/gが好ましく、さらに好ましくは5〜30mg・KOH/gである。ポリエステル樹脂の酸価が過大である場合は、高温高湿度、低温低湿度の環境下において画像形成動作を行ったときに環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招くおそれがある。
また、ポリエステル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、30〜60℃、特に35〜54℃であることが好ましく、また、軟化点温度は70〜130℃、特に80〜120℃であることが好ましい。
ここに、ポリエステル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)、および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて測定されるものである。具体的には、トナー4.50mgをアルミニウム製パン「KITNO.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点温度(Tg)として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持する。
また、軟化点温度は、以下のように測定されるものである。すなわち、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを軟化点温度とする。
さらに、ポリエステル樹脂は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が好ましくは3,500〜400,000、より好ましくは7,000〜80,000、重量平均分子量(Mw)が好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000である。ポリエステル樹脂の分子量が上記範囲であることによって、ウレア変性による十分な低温定着性および画像支持体への優れた接着性が得られると共にトナー粒子の現像装置内における破砕が抑制され、また、得られる定着画像を強度の高いものとすることができる。
ポリエステル樹脂の分子量が過小である場合には、溶融粘度が低いものとなって十分な低温定着性が得られるものの、トナー粒子自体の強度が若干低いものとなるため、現像装置内においてストレスによって破砕されたり、得られる定着画像が強度の低いものなってしまうおそれがある。また、ポリエステル樹脂の分子量が過大である場合には、溶融粘度が高いものとなって画像支持体への接着性が十分に得られないおそれがある。
GPCによる分子量測定は、以下のように行われるものである。すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて分子量を算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
結着樹脂がウレア変性されたポリエステル樹脂よりなるものであると、ウレア結合の存在によってポリエステル樹脂自体が保有する負帯電性が緩和され、従って得られるトナーが過剰帯電せず、高い帯電安定性が得られると共に、画像支持体に対する高い接着性が得られる。また、分子内にエステル結合およびウレア結合の両方が形成されていることによってトナー粒子が高い内部凝集力を有して耐破砕性が得られる。
〔特定の外添剤微粒子〕
本発明のトナーを構成する特定の外添剤微粒子は、誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定される鉄の含有量(以下、「鉄含有量」ともいう。)が100〜1,000ppm、好ましくは100〜500ppmであるチタン酸化合物よりなるものとされている。
チタン酸化合物としては、具体的には、チタン酸金属塩化合物が好ましく、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ジルコニウムおよびチタン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらのうち、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムが好ましく、チタン酸ストロンチウムおよびチタン酸バリウムは、安全性の観点から好ましくない。
特定の外添剤微粒子における鉄含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)によって測定されるものである。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
すなわち、まず、乾燥した200mLのコニカルビーカーに測定する試料(特定の外添剤微粒子)1gを分取し、分解試薬として硫酸20mLを加え、密封型マイクロウェーブ湿式分解装置「MLS−1200MEGA」(MILESTONE社製)によりマイクロ波分解するマイクロ波分解処理を行った後、水冷する。このときマイクロ波による分解は、未溶解物がなくなるまで行うものとする。次いで、分解溶液を100mLメスフラスコに移し、標線まで蒸留水を加えて100mLにしてサンプル溶液を調製する。このサンプル溶液25mLを別の100mLメスフラスコに分取し、標線まで蒸留水を加えて100mLにして分析用溶液を調製する。そして、分析用溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いてFe波長=238.204nmとして測定し、試料の組成に対応する検量線と照合することにより、鉄イオンとして定量される。
(検量線の作成)
検量線は、上記の分析用溶液を調製する方法において、試料としてチタン酸化合物中の鉄含有量がそれぞれ0ppm、250ppm、500ppm、750ppm、1000ppmになるように調整した標準液を調製し、この標準液を希釈して誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いてFe波長=238.204nmとして測定し、上記5点による検量線を引くことによって得られる。
チタン酸化合物がチタン酸カルシウムである場合は試料としてチタン酸カルシウムを用いることによりチタン酸カルシウムに係る検量線を作成することができる。また、チタン酸成分と結合された金属成分がカルシウムではない他のチタン酸化合物についても、金属成分を例えばストロンチウムやマグネシウムなどに変更することの他は同様にして検量線が得られる。そして、鉄含有量を測定すべき試料の組成(チタン酸成分と結合された金属成分の種類)に応じてこれらを使用すればよい。
特定の外添剤微粒子において、誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定される鉄含有量が100〜1,000ppmの範囲であることにより、当該特定の外添剤微粒子が過剰帯電の抑制されたものとなると共に得られるトナーが高い帯電環境安定性が得られるものとなる。
特定の外添剤微粒子において、鉄含有量が100ppm未満である場合は、得られるトナーが帯電立ち上がり性の低いものとなり、さらに、得られるトナーが飽和帯電量の高いものとなって一成分現像剤として使用する場合には特に低温低湿環境下においてトナーの搬送量の制御が困難となり、二成分現像剤として使用する場合には現像性が低くなる。
一方、誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定される鉄含有量が1,000ppmを超える場合は、得られるトナーが荷電保持能の低いものとなって特に高温高湿環境下における帯電量が低いものとなって現像性および転写性が低くなる。
〔外添剤微粒子の平均粒径〕
特定の外添剤微粒子は、数平均一次粒子径が50〜2,000nmであることが好ましく、より好ましくは50〜400nmであり、当該数平均一次粒子径のsd値が250nm以下の粒径分布がシャープなものであることが好ましく、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。
sd値が上記の範囲にあることにより、使用に際して各特定の外添剤微粒子のトナーに対する帯電寄与性能のバラツキの程度が小さくなり、得られるトナーが高い均一性を有するものとなると考えられる。
なお、従来知られているチタン酸カルシウム粒子、チタン酸マグネシウム粒子としては、このような数平均一次粒子径およびシャープな粒径分布を有するものはない。
特定の外添剤微粒子の数平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定されるものである。
具体的には、30,000倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のトナー表面に存在する外添剤微粒子について2値化処理し、外添剤微粒子1種につき100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値が数平均一次粒子径とされる。
なお、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が小径であって凝集体としてトナー表面に存在する場合は、当該凝集体を形成する一次粒子の粒子径を測定するものとする。
また、sd値は、数平均一次粒子径を測定したとき、その全体を100%として累積曲線を求め、累積曲線が84%,16%となる粒径をd1 84,d1 16とし、下記式(1)より、算出されるものである。
式(1):sd値(nm)=(d1 84−d1 16)/2
特定の外添剤微粒子の数平均一次粒子径および粒度分布(sd値)は、下記に詳述する製造方法において、酸化チタン源と特定金属元素の元素源の混合割合、反応過程における反応初期の酸化チタン源の濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度およびその添加速度などを制御することにより、調整することができる。特に、アルカリ水溶液の添加速度は、得られるチタン酸化合物粒子の粒子径に大きな影響を与えるために、これを制御することにより、簡単に調整することができる。なお、アルカリ水溶液の添加速度を遅くするほど大きな粒子径の外添剤微粒子が得られ、添加速度を速くするほど小さな粒子径の外添剤微粒子が得られる。
〔外添剤微粒子の比表面積〕
特定の外添剤微粒子は、そのBET比表面積が5〜20m2 /gのものであることが好ましく、より好ましくは10〜18m2 /g、さらに好ましくは10〜16m2 /gである。
なお、BET比表面積とは、例えば窒素ガスのような吸着占有面積が既知であるガス分子の吸着量から、BET吸着等温式を利用して算出した比表面積である。
特定の外添剤微粒子のBET比表面積が上記の範囲であることにより、当該特定の外添剤微粒子の着色粒子への埋没や着色粒子の表面からの離脱が生じることなく外添剤として安定して作用する環境が形成される。
特定の外添剤微粒子のBET比表面積は、自動比表面積測定装置「GEMINI 2360」(島津・マイクロメリテイックス社製)を用いて多点法(7点法)によって測定される値である。
具体的には、まず、特定の外添剤微粒子2gをストレートサンプルセルに充填し、前処理としてセル内を窒素ガス(純度99.999%)で2時間置換し、その後、測定装置本体によって特定の外添剤微粒子に窒素ガス(純度99.999%)を吸脱着させることにより、算出される。
〔外添剤微粒子の添加割合〕
外添剤微粒子の添加割合は、着色粒子に対して特定の外添剤微粒子の添加割合が0.1〜10.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜5.0質量%、さらに好ましくは0.4〜2.0質量%である。
特定の外添剤微粒子の添加割合が0.1質量%未満である場合は、高い帯電環境安定性などが得られないおそれがあり、一方、特定の外添剤微粒子の添加割合が10.0質量%を超える場合は、得られるトナー粒子において、外添剤微粒子の離脱現象などが発生し、この離脱した外添剤微粒子によって感光体などの静電潜像担持体にキズが発生してしまうなどのおそれがある。
〔外添剤微粒子の製造方法〕
本発明のトナーを構成する特定の外添剤微粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば常圧加熱反応法により、ペロブスカイト型チタン酸化合物を製造する方法を挙げることができる。
具体的には、酸化チタン源と、この酸化チタン源におけるチタン成分と反応させる化合物として、ストロンチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウムおよびナトリウムなどの特定金属元素とを含有する混合溶液に、50℃以上においてアルカリ水溶液を添加しながら反応させることにより、製造することができる。
酸化チタン源としては、チタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品、具体的には、硫酸法で得られた、SO3 含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8〜1.5に調整して解膠した鉱酸解膠品を用いることが好ましい。このような鉱酸解膠品を用いることにより、得られるチタン酸化合物粒子が好ましい粒径分布(sd値)を有するものとなる。
また、特定金属元素の元素源としては、特定金属元素の硝酸化合物、塩化化合物、炭酸化合物などの水溶性酸性化合物を使用することができる。
また、アルカリ水溶液としては、苛性アルカリの水溶液が挙げられ、特に水酸化ナトリウム水溶液を使用することが好ましい。
酸化チタン源と特定金属元素の元素源の混合割合は、特定金属元素をXとしたときにXO/TiO2 のモル比で0.9〜1.4とされることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.15、さらに好ましくは1.0〜1.15である。
反応過程においては、炭酸化合物の生成を防止するために、窒素ガス雰囲気下において反応させるなど炭酸ガスの混入を防止することが好ましい。
また、反応過程において、アルカリ水溶液を添加するときの温度が高いほど良好な結晶性のものが得られるが、この温度は実用的には50〜101℃の範囲が適当である。
また、アルカリ水溶液の添加速度は、目的とするチタン酸化合物粒子の一次粒子径によっても異なるが、例えば仕込み原料に対して好ましくは0.001〜1.0当量/h、より好ましくは0.005〜0.5当量/hとされる。アルカリ水溶液の添加速度は、目的に応じて添加途中で変更することもできる。
以上の製造方法において、鉄原子の導入方法は限定されず、どのような方法を用いて行ってもよいが、例えば、反応過程中においてアルカリ溶液を添加する前に、混合溶液中に鉄成分を含有する材料を添加することが好ましい。
鉄成分を含有する材料としては、水溶性の塩化第二鉄(FeCl2 )、塩化第三鉄(FeCl3 );硫酸第一鉄(FeSO4 )、硫酸第二鉄(Fe2 (SO4 3 )の無水物または水和物などを、水に溶解させて使用することが好ましく、また、酸化鉄粉のような粉体やスラリーも使用することができる。
さらに、このチタン酸化合物粒子は、例えば300〜1200℃の温度において焼成することが好ましく、この焼成によって結晶性の向上が得られ、これにより得られる外添剤微粒子について、より良好な帯電環境安定性が得られる。
得られたチタン酸化合物粒子をそのまま外添剤微粒子として用いてもよいが、得られるトナーの帯電性の調整や帯電環境安定性の向上のため、このチタン酸化合物粒子に疎水化処理を施すことが好ましい。
疎水化処理方法としては、例えば、疎水化剤を単独で、またはテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンまたはアセトンなどの有機溶剤に溶解させた希釈液として用い、粉末状のチタン酸化合物粒子をブレンダーなどによって強制的に撹拌しながら、疎水化剤またはその希釈液を滴下または噴霧して添加し、十分に混合する乾式法や、チタン酸化合物粒子を、疎水化剤を有機溶剤に溶解させた溶液に浸漬し、十分に混合する方法や、水系媒体中に所望の疎水化剤を分散させ、この疎水化剤が分散された水系媒体にチタン酸化合物粒子を浸漬し、十分に混合した後、乾燥させて解砕する湿式法などが挙げられる。また、これらの乾式法および湿式法を併用してもよい。
これらの中で、処理方法としては、チタン酸化合物による各粒子について疎水化処理の均一性の向上や、安全性、コストの観点から、水系媒体中に疎水化剤を分散させてチタン酸化合物粒子を浸漬する湿式法が好ましく、さらに好ましくは疎水化剤として水系エマルションの状態のものを用い、水系媒体中において疎水化処理する湿式法である。
疎水化処理に使用される疎水化剤としては、SiO2 、Al2 3 などの無機酸化物;クロロシラン、アルキルシラン、アルコキシシラン、シラザンなどのシラン系カップリング剤や、チタネート系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種のカップリング剤;シリコーンオイル、ステアリン酸などが挙げられる。疎水化剤としては特にシリコーンオイルが好ましい。
また、シリコーンオイルの水系エマルションとして好適に使用できるものとしては、具体的には、「SM7036EX」,「SM7060EX」,「SM8706EX」(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのジメチルポリシロキサン系エマルション;「SM8704」,「SM8709」,「BY22−819」(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのアミノ変性シリコーンエマルション;「BY22−840」(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのカルボキシ変性シリコーンエマルション;「SM8627EX」(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)などのフェニルメチルシリコーンエマルションなどが挙げられる。
疎水化剤の添加割合は、外添剤微粒子を構成するチタン酸化合物の種類によって異なるが、外添剤微粒子に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0質量%である。
疎水化剤の添加割合が0.1質量%未満である場合は、十分な疎水化の効果が得られないおそれがあり、一方、疎水化剤の添加割合が5.0質量%を超える場合は、処理すべき外添剤微粒子に対して過剰に存在する状態となり、外添剤微粒子表面の疎水化処理に寄与しない疎水化剤が、分散媒体と共に排出されたり、当該疎水化剤同士が凝集したりすることにより、製造装置内や画像形成装置を汚染してしまうおそれがある。
〔その他の外添剤微粒子〕
本発明のトナーに含有される外添剤微粒子としては、以上説明したような特定の外添剤微粒子のみに限定されず、その他の外添剤微粒子を併用してもよい。
その他の外添剤微粒子を併用する場合は、全外添剤微粒子として着色粒子に対して0.1〜10質量%添加されることが好ましい。そのうち、前述のように、特定の外添剤微粒子が0.3〜5質量%添加されることがより好ましい。
その他の外添剤微粒子としては、種々の無機微粒子および有機微粒子、並びにチタン酸化合物、ステアリン酸金属塩などの滑剤を使用することができる。例えば、無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物の微粒子を使用することが好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤や各種シリコーンオイルなどによって疎水化処理されていることが好ましい。また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2,000nm程度の球形のものを使用することができる。この有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらのその他の外添剤微粒子としては、種々のものを組み合わせて使用してもよい。
〔外添剤微粒子の添加処理〕
以上のような外添剤微粒子を、トナーを形成すべき着色粒子に添加することにより、トナーが得られる。
外添剤微粒子の添加において、外添剤微粒子を添加するために使用される混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
このようなチタン酸化合物は、基本的に、以下に詳述するようにトナーを構成する外添剤微粒子として着色粒子に添加されて使用されるが、現像剤をトナーとキャリアとを共に使用する二成分現像剤として構成する場合は、チタン酸化合物を外添剤微粒子として使用することに並行して、前記キャリアの表面に添加して使用することもでき、また、トナーとキャリアに独立した第3成分として添加して使用することもできる。
〔着色粒子〕
本発明のトナーを構成する着色粒子は、少なくともポリエステル樹脂よりなる結着樹脂および着色剤を有するものである。
〔着色粒子の製造方法〕
以上のようなトナーを構成する着色粒子は、いわゆる水系媒体中における粒子の分子成長を利用することによって製造することができる。具体的には、少なくともポリエステル樹脂を形成すべきポリエステルセグメントと着色剤とを溶剤に溶解あるいは分散させた着色粒子形成用材料液による油滴から水系媒体中において造粒することにより、ポリエステル樹脂よりなる結着樹脂および着色剤を含有する着色粒子を製造することができる。
そして、ポリエステル樹脂を形成すべきポリエステルセグメントは、特定の触媒金属のイオンの存在下で多価オールと多価カルボン酸とを重縮合させることにより得られる。
特定の触媒金属のイオンは、後記に挙げるような、特定の触媒化合物の形状でポリエステルセグメントの合成反応系に供給されることが好ましい。
このような着色粒子の製造方法としては、具体的には例えば以下のような工程が挙げられる。
(1−1)特定の触媒金属の存在下にてポリエステルセグメントを合成するポリエステルセグメント合成工程
(1−2)上記工程(1−1)において得られたポリエステルセグメントをイソシアネート変性させてイソシアネート変性ポリエステルセグメントを合成するイソシアネート変性工程。
(2)上記工程(1−2)で得られたイソシアネート変性ポリエステルセグメント、架橋剤(分子伸張剤)、着色剤、および必要に応じてワックスを加え、さらに溶剤を添加して着色粒子形成用材料液を調製する着色粒子形成用材料液の調製工程
(3)着色粒子形成用材料液を水系媒体中に分散させて油滴を形成する分散工程
(4)分散された油滴中で分子伸張させてポリエステル樹脂を得る分子伸長工程
(5)水系媒体中において油滴を凝集させる凝集工程
(6)凝集された油滴より溶剤を除去し、着色粒子を得る脱溶剤工程
(7)得られる着色粒子を水系媒体中より濾別し、当該着色粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子の乾燥工程、
から構成される。
以下、このような製造方法について詳細に説明する。
(1−1)ポリエステルセグメント合成工程
この工程は、多価オール成分と多価カルボン酸成分とを、特定の触媒金属のイオンの存在下において好ましくは150〜280℃、より好ましくは170〜260℃の反応温度にて、必要により減圧し、生成する水を溜去しながら、ヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を有するポリエステルセグメントを生成させる工程である。具体的には、多価オール成分、多価カルボン酸成分および特定の触媒化合物の混合物を反応条件下に存在させることによって、ポリエステルセグメントが合成される。
反応温度が150℃未満である場合は、反応に要する時間が長いものとなり、また、テレフタル酸など多価カルボン酸成分の多価オール成分に対する溶解性が十分に得られないおそれがある。一方、反応温度が280℃より大きい場合は、原料の分解が生じるおそれがある。
〔多価オール成分〕
ポリエステルセグメントを合成するための多価オール成分としては、芳香族ジオールを用いることが好ましく、この芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、この芳香族ジオールの他に、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,7−ヘプタングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ジプロピレングリコールなどの脂肪族ジオールを添加してもよい。この場合、芳香族ジオールの使用量が全体のジオール成分の50質量%以上とすることが好ましい。芳香族ジオールの使用量が全体のジオール成分の50質量%未満であると、適度な粘弾性が得られずに高温オフセット現象が発生し、高速定着性を十分に得ることができないおそれがある。
さらに、ポリエステル樹脂の融点を調整するために、微量の3価以上の脂肪族多価オール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、また、3価以上の多価オールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどを加えても良い。
〔多価カルボン酸成分〕
ポリエステルセグメントを合成するための多価カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコ酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの脂肪族ジカルボン酸およびこれらの酸無水物または酸塩化物などを挙げることができる。さらに、上述の脂肪族ジカルボン酸に加え、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、ポリエステル樹脂の溶融粘度を適当なものにする目的で、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を用いてもよい。
これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の多価オール成分と多価カルボン酸成分との使用比率は、多価オール成分のヒドロキシル基[OH]と多価カルボン酸成分のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5とされることが好ましく、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
多価オール成分と多価カルボン酸成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有するポリエステルセグメントを確実に得ることができる。
特定の触媒化合物としては、有機金属化合物、金属酸化物など、特に金属アルコレートの骨格を有する有機金属化合物を挙げられ、具体的には、特定の触媒金属としてチタンを供給するチタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどなどのチタンキレートなどを挙げることができる。
また、ゲルマニウムを供給するゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。
さらにアルミニウムを供給するアルミニウイム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられ、トリブチルアルミネート、トリオクチルアルミネート、トリステアリルアルミネートなども例示することができる。
これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特定の触媒化合物の使用量としては、ポリエステルセグメントを形成すべき多価オール成分および多価カルボン酸成分との合計に対して0.01〜1.00質量%が好ましい。
なお、特定の触媒化合物は、重縮合反応の開始時に添加してもよく、また、重縮合反応の途中で添加してもよい。
重縮合反応の途中に特定の触媒化合物を追加することにより、得られるトナーにおける特定の触媒金属の含有割合を調整することができる。
得られるポリエステルセグメントのガラス転移点温度(Tg)は、20〜90℃であることが好ましく、特に35〜65℃であることが好ましい。
また、この芳香族ジオール由来ポリエステルセグメントの軟化点温度は、80〜220℃であることが好ましく、特に80〜150℃であることが好ましい。
ここに、ポリエステルセグメントのガラス転移点温度(Tg)および軟化点温度は、測定試料をポリエステルセグメントとして上記と同様の方法によって測定されるものである。
また、得られるポリエステルセグメントは、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)が好ましくは2,000〜10000、より好ましくは2,500〜8,000、重量平均分子量(Mw)が好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは4,000〜70,000である。
ここに、ポリエステルセグメントの分子量は、測定試料をポリエステルセグメントとして上記と同様の方法によって測定されるものである。
(1−2)イソシアネート変性工程
この工程は、40〜140℃にて、上記工程(1−1)において合成したポリエステルセグメントに多価イソシアネート化合物を反応させ、ポリエステルセグメントの分子末端のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基をイソシアネート基に置換してイソシアネート変性ポリエステルセグメントを得る工程である。多価イソシアネート化合物を反応させる際には、必要に応じて、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;テトロヒドロフランなどのエーテル類;トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤などの多価イソシアネート化合物に対して不活性な溶剤を用いることもできる。
〔多価イソシアネート化合物〕
このようなポリエステルセグメントをイソシアネート変性させるために作用させる多価イソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族多価イソシアネート化合物類;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式多価イソシアネート化合物類;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;α,α,α´,α´−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類;イソシアヌレート類;これらの多価イソシアネート化合物のフェノール誘導体;これらの多価イソシアネート化合物をオキシム、カプロラクタムなどでブロックしたものなどが挙げられる。
これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(2)着色粒子形成用材料液の調製工程
この工程は、イソシアネート変性ポリエステルセグメント、アミン架橋剤からなる結着樹脂構成成分、着色剤、および必要に応じてワックス、荷電制御剤などのトナー構成材料を有機溶剤中に溶解または分散させた着色粒子形成用材料液を調製する工程である。
ここに、着色粒子形成用材料液に含有されるポリエステルセグメントとしては、イソシアネート変性ポリエステルセグメントのみに限定されず、未変性のポリエステルセグメントなども併用することができる。
着色粒子形成用材料液の調製に使用される有機溶剤としては、着色粒子形成後の除去処理が容易である観点から沸点が低く、かつ、水への溶解性が低いものが好ましく、具体的には、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
有機溶剤の使用量は、イソシアネート変性ポリエステルセグメント100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
〔アミン架橋剤〕
アミン架橋剤としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、および、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンなどのジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの3価以上の多価アミン;エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどのアミノアルコール;アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどのアミノメルカプタン;アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などのアミノ酸、およびこれらのアミノ基をブロックした、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンと反応させて得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などのアミノブロック化合物などが挙げられる。これらは1種単独で2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る製造方法においては、アミン架橋剤としてジアミンを用いることが好ましいが、ポリエステル樹脂の溶融粘度を適当なものにする目的で、ジアミンと少量の3価以上の多価アミンとを混合して用いてもよい。これは、得られるポリエステル樹脂において未反応のアミノ末端が残留すると、トナーを高い均一性で帯電させることができなくなるおそれがあるからである。
さらに、必要により伸長停止剤を用いることにより得られるポリエステル樹脂の分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなどのモノアミン、およびケチミン化合物などのそれらをブロックしたものなどが挙げられる。
着色粒子形成用材料液において、アミン架橋剤の含有量は、イソシアネート変性ポリエステルセグメント100質量部に対して0.1〜5質量部とされる。
〔着色剤〕
本発明のトナーを構成する着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロムなどを用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
必要に応じて使用されるワックスとしては、特に限定されず、種々の公知のものを使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
必要に応じて使用される荷電制御剤としては、特に限定されず、種々の公知のものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
この着色粒子形成用材料液において、着色剤の含有量は、例えば着色粒子形成用材料液における固形分全体において1〜15質量%、好ましくは4〜10質量%とされる。
また、着色粒子形成用材料液を、ワックスが含有されたものとする場合には、ワックスの含有量は、例えば着色粒子形成用材料液における固形分全体において2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%とされる。さらに、また、着色粒子形成用材料液を、荷電制御剤が含有されたものとする場合には、荷電制御剤の含有量は、例えば着色粒子形成用材料液における固形分全体において0.1〜2.5質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%とされる。
(3)分散工程
この工程は、上記工程(2)で得られた着色粒子形成用材料液を水系媒体中に添加、分散させて、得られる着色粒子の粒径が所望のものとなるようその粒径が制御された状態の油滴を形成させる工程である。
着色粒子形成用材料液の乳化分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、乳化分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられ、具体的には例えば「TK式ホモミキサー」(特殊機化工業社製)などを挙げることができる。
油滴は、数平均一次粒子径が60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の数平均一次粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
ここに、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。
水系媒体の使用量は、着色粒子形成用材料液100質量部に対して、50〜2,000質量部であることが好ましく、100〜1,000質量部であることがより好ましい。
水系媒体の使用量を上記の範囲とすることで、水系媒体中において着色粒子形成用材料液を所望の粒径に乳化分散させることができる。
水系媒体中には、分散安定剤が溶解されている。また、この水系媒体中には、油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機化合物を挙げることができるが、得られる着色粒子中より分散安定剤を除去する必要があることから、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価オール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
(4)分子伸長工程
この工程は、油滴において、イソシアネート変性ポリエステルセグメントのイソシアネート基をアミン架橋剤により架橋反応させてウレア結合を形成させることにより分子伸長を行い、ウレア変性されたポリエステル樹脂を生成させ、このポリエステル樹脂よりなる結着樹脂中に着色剤や必要に応じてワックスなどを含有してなるポリエステル微粒子を生成する工程である。
アミン架橋剤による架橋反応時間(分子伸長時間)は、使用される原材料の種類やアミン架橋剤の種類によっても異なるが、例えば1〜24時間とすることが好ましく、2〜15時間とすることがより好ましい。また、反応温度は、20〜100℃とすることが好ましく、50〜98℃とすることがより好ましい。
以上の工程(2)〜(4)においては、水系媒体中の油滴(着色粒子形成用材料液)中に予めアミン架橋剤を含有させているが、このような方法の代わりに、着色粒子形成用材料液中にアミン架橋剤を含有させず、水系媒体中に当該着色粒子形成用材料液を分散させて油滴を形成させ、その後、水系媒体中にアミン架橋剤を添加する方法を採用することもできる。この場合、水系媒体中から油滴にアミン架橋剤が供給されることにより、当該油滴において、イソシアネート変性ポリエステルのイソシアネート基をアミン架橋剤により架橋反応させてウレア結合を形成させることにより、ウレア変性されたポリエステル樹脂が生成される。
(5)凝集工程
この工程は、上記工程(4)において得られたポリエステル微粒子を凝集させて着色粒子を形成させる工程である。
具体的には、分散された状態のポリエステル微粒子の分散安定性を低下させることによって、当該ポリエステル微粒子の凝集を発生させる。さらに具体的な方法としては、ポリエステル微粒子の凝集を発生させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、分散安定能を低下させるために、ポリエステル微粒子の分散された水系媒体を昇温する方法や、当該水系媒体に凝集剤を添加するなどの方法が挙げられる。これらの方法のうち、前記水系媒体を昇温して分散安定能を低下させる方法が簡便であるために好ましい。水系媒体を昇温する方法においてポリエステル微粒子の凝集を発生させるための温度としては、当該ポリエステル微粒子の凝集が発生する温度であれば特に限定されるものではないが、例えば50〜98℃、好ましくは60〜90℃である。また、ポリエステル微粒子の凝集を継続させることにより粒子成長が行われるところ、その凝集の継続時間としては、所望の粒径まで成長する時間であれば特に限定されるものではないが、例えば1〜10時間、好ましくは2〜8時間である。また、得られる凝集粒子の粒径は特に限定されるものではなく、所望の粒径のトナーを形成するために必要な粒径とされればよい。
以上の工程(4),(5)においては、分子伸長反応とポリエステル微粒子の凝集が並行して行われてもよい。
この凝集工程終了後に、形状制御処理を行うことが好ましい。形状制御処理においては、上記工程(5)において得られた着色粒子の分散液を、ミクロンオーダーのフィルター通過処理やアニュラー型連続撹拌ミルなどの撹拌操作により、着色粒子の長短軸比が所定範囲の値になるように形状制御が行われる。
着色粒子の形状制御処理を行う具体的方法としては、例えば、ギャップやフィルター、細孔を通過させる方法や高速回転などにより着色粒子に遠心力を付与して形状を制御する方法などが挙げられる。また、着色粒子の具体的な形状制御処理装置としては、前述のアニュラー型連続湿式撹拌ミルの他に、ピストン型高圧式均質化機、インラインスクリューポンプなどが挙げられる。
所望の形状のトナー粒子は、例えば形状制御処理の処理時間、処理温度、および処理速度などの因子を制御することにより、実現される。
このようにして、着色粒子の形状制御処理が行われ、所定範囲の長短軸比を有する着色粒子が製造される。
(6)脱溶剤工程
この工程は、着色粒子より有機溶剤を除去する脱溶剤工程である。この工程においては、有機溶剤以上の沸点にまで加熱し、有機溶剤の除去を行う。この脱溶剤の速度を調整することにより、形成される粒子の表面性状を調整することができる。すなわち、脱溶剤の速度を早くすることで、表面に凹凸を形成させることができ、より不定形化させることができる。
具体的には、脱溶剤時に外部より溶剤の沸点以上、より好ましくは沸点+5〜20℃に加熱すること、さらには加熱と同時に減圧、例えば具体的には1〜300hpaとすることにより、凹凸を形成させることができる。この加熱も高すぎる場合には形状を本発明の範囲内にすることができず、同様に、減圧条件もこの範囲を外れてしまう場合には本発明の範囲内に制御することができない。
この有機溶剤の除去処理時においても、特定の触媒金属イオンあるいは特定の触媒金属化合物の存在により、着色剤の凝集が抑制され、着色剤が高い分散状態を維持しながらポリエステル樹脂中に存在し、当該着色剤の高い分散性が得られたトナーを調製することができる。
(7)濾過・洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、上記工程(6)において得られた着色粒子の分散液を冷却し、この冷却された着色粒子の分散液から着色粒子を固液分離して着色粒子を濾別する濾過処理と、濾別された着色粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的な固液分離および洗浄の方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用する減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用する濾過法などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この乾燥工程では、洗浄処理された着色粒子に乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理された着色粒子中の水分量は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。
ここに、着色粒子の水分量の測定はカール・フィッシャー電量滴定法にて実施される。具体的には、水分計「AO−6、AQI−601」(AQ−6用インターフェイス)、加熱気化装置「LE−24S」からなる自動熱気化水分測定システム「AQS−724」(平沼産業社製)を用い、20℃、50%RHの環境下にて24時間放置した着色粒子0.5gをガラス製20mlのサンプル管に精密に秤量して入れ、テフロン(登録商標)コートのシリコーンゴムパッキングを用いて密栓し、以下の測定条件および試薬にてこの密栓した環境中に存在する水分量の測定を行う。さらに、この密栓した環境中の水分量を補正するため、空のサンプルを同時に2本測定した。
・試料加熱温度:110℃
・試料加熱時間:1分
・窒素ガス流量:150ml/分
・試薬:対極液(陰極液);ハイドラナール クーロマット CG−K(HYDRANAL(R)−Coulomat CG−K)、発生液(陽極液);ハイドラナール クーロマット AK(HYDRANAL(R)−Coulomat AK)
また、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集して凝集体を形成している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサーなどの機械式の解砕装置を使用することができる。
以上のような着色粒子の製造方法によれば、ポリエステルセグメントの合成時における触媒として特定の触媒化合物を用い、これを残留させる構成であるために、この特定の触媒化合物が分散性付与機能を発揮する時点においてポリエステル樹脂中に均一に存在する状態とされており、この特定の触媒金属化合物が着色剤に配向されることにより効果的に当該着色剤の高い分散性を得ることができ、従って、着色剤がポリエステル樹脂に対して極めて高い分散性で含有された着色粒子を確実に製造することができる。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
本発明のトナーにおいては、キャリアと混合する二成分現像剤として使用する場合は、キャリアに対するトナーフィルミング(キャリア汚染)の発生を抑制することができ、一成分現像剤として使用する場合は、現像装置の摩擦帯電部材に対するトナーフィルミングの発生を抑制することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂など使用することができる。
〔画像形成方法〕
以上のトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー像を得、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を接触加熱方式の定着処理によって画像支持体に定着させることにより、可視画像が得られる。
〔定着方法〕
本発明のトナーを使用する好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式のものを挙げることができる。接触加熱方式としては、特に熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
熱ロール定着方式の定着方法においては、通常、表面にフッ素樹脂などが被覆された鉄やアルミニウムなどよりなる金属シリンダー内部に熱源が備えられた上ローラと、シリコーンゴムなどで形成された下ローラとから構成された定着装置が用いられる。
熱源としては、線状のヒータが用いられ、このヒータによって上ローラの表面温度が120〜200℃程度に加熱される。上ローラおよび下ローラ間には圧力が加えられており、この圧力によって下ローラが変形されることにより、この変形部にいわゆるニップが形成される。ニップの幅は1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmとされる。定着線速は40mm/sec〜600mm/secとされることが好ましい。ニップの幅が過小である場合には、熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着ムラが発生するおそれがあり、一方、ニップ幅が過大である場合には、トナー粒子に含有されるポリエステル樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが発生するおそれがある。
〔画像支持体〕
本発明のトナーを用いる画像形成方法において用いられる画像支持体は、トナー像を保持する支持体であって、具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以上のようなトナーによれば、これを構成するトナー粒子がポリエステル樹脂よりなり、特定の小さい粒径を有することによって基本的に高い画質の画像が得られ、特定のシャープな粒径分散度を有することによって過度に粒径が小さいトナー粒子や大きいトナー粒子の存在を抑制することができて定着時にトナー粒子間に高い密着性が得られ、さらに、特定の不定形形状を有するためにトナー粒子間の間隙を最小化することができて定着時にトナー粒子間により一層高い密着性が得られてトナーが拡散せず、従って得られる画像において細線再現性が得られると共に高い画像濃度が得られ、そして、特定の触媒金属を特定の割合で含有すると共に特定の外添剤微粒子を含有するものであるために、高い画像濃度を長期間にわたって形成することができる。
特定の触媒金属を特定の割合で含有すると共に特定の外添剤微粒子を含有するものであるために高い画像濃度を長期間にわたって形成することができる理由としては、明確ではないが、特定の触媒金属とポリエステル樹脂との相互作用によるイオン架橋構造が形成されており、このイオン架橋構造が形成された部位が電荷の発生点として機能して安定した帯電付与性が得られ、さらに特定の外添剤微粒子が過剰な電荷の蓄積を抑制することができるものであることにより、帯電付与性と電荷の蓄積の抑制性との間のバランスが良好なものとなり、その結果、高い画像濃度を長期間にわたって形成することができるものと推定される。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔外添剤微粒子の製造例1〕
メタチタン酸分散液に4.0モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH9.0に調整することにより脱硫処理を行った後、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpH5.5に調整することにより中和処理を行った。その後、メタチタン酸分散液を濾過、水洗処理してメタチタン酸のケーキ物を得、これに水を加えて酸化チタン(TiO2 )換算で1.25モル/リットルの濃度のメタチタン酸分散液を調製し、当該メタチタン酸分散液に6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpH1.2に調整した。そして、このメタチタン酸分散液の温度を35℃に調整し、この温度下で60分間撹拌することによりメタチタン酸分散液の解膠処理〔I〕を行った。
この解膠処理〔I〕を行ったメタチタン酸分散液より、酸化チタン(TiO2 )換算で0.156モルに相当する量のメタチタン酸を採取して反応容器に投入し、続いて、炭酸カルシウム水溶液を、炭酸カルシウム(CaCO3 )が酸化チタン(TiO2 )に対してモル比で1.15となるよう(CaCO3 /TiO2 =1.15/1)添加すると共に、塩化第二鉄水溶液を、塩化第二鉄(FeCl3 )が酸化チタン(TiO2 )に対してモル比で0.009になるよう(FeCl3 /TiO2 =0.009/1)添加した。その後、酸化チタン(TiO2 )濃度が0.156モル/リットルとなるよう反応系を調整し、窒素ガスを流しながら20分間放置し、反応容器内を窒素ガスによって置換した。次に、反応系を90℃に加温した後、水酸化ナトリウム水溶液を約24時間かけてpH8.0となるまで添加し、その後、90℃で1時間撹拌を続けて反応を終了させた。
反応終了後、反応系を40℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を除去し、純水2500質量部を加えてデカンテーションを行う操作を2回繰り返して洗浄した後、反応系をヌッチェで濾過してケーキ物を得、これを大気雰囲気中で110℃で8時間加熱して乾燥させてチタン酸カルシウム化合物を得た。
得られたチタン酸カルシウム化合物をアルミナ製の坩堝に投入し、930℃で脱水・焼成処理した後、脱水・焼成されたチタン酸カルシウム化合物を水中に投入し、サンドグラインダーで湿式粉砕処理を行ってチタン酸カルシウム粒子分散液を得、6.0モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpH2.0に調整し、過剰分の炭酸カルシウムを除去してチタン酸カルシウム粒子〔1〕を得た。
このチタン酸カルシウム粒子〔1〕の固形分100質量部に対して、シリコーンオイルエマルジョン(ジメチルポリシロキサン系エマルジョン)「SM7036EX」(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を0.7質量部添加し、30分間撹拌することにより、チタン酸カルシウム粒子に対して湿式の疎水化処理を行った。引き続き、4.0モル/リットル水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.5に調整し、濾過、洗浄した後、150℃で乾燥し、さらに機械式粉砕装置を用いて60分間解砕処理〔II〕を行い、鉄原子を含有する疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔1〕を得た。
この外添剤微粒子〔1〕は、鉄含有量が102ppm、数平均一次粒子径が207nm、数平均一次粒子径の偏差値であるsd値が111nm、BET比表面積が、16.0m2 /gであった。
なお、数平均一次粒子径およびBET比表面積は、上記した方法によって測定し、sd値は上記の算出方法に従って算出した。また、鉄含有量は、ICP−OESとして、「Jarrell Ash IRIS AP型」(日本ジャレルアッシュ社製)を用い、上記した方法によって測定した。以下においても同様である。
〔外添剤微粒子の製造例2〜7〕
外添剤微粒子の製造例1において、塩化第二鉄(FeCl3 )を酸化チタン(TiO2 )に対して表1に示したモル比となるように塩化第二鉄(FeCl3 )水溶液を添加したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔2〕〜〔7〕を得た。
なお、外添剤微粒子〔4〕〜〔7〕は比較用のものである。
〔外添剤微粒子の製造例8〕
外添剤微粒子の製造例1において、解膠処理〔I〕を60分間から90分間に変更すると共に、解砕処理〔II〕を60分間から90分間に変更したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔8〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例9〕
外添剤微粒子の製造例1において、解膠処理〔I〕を60分間から90分間に変更したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔9〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例10〕
外添剤微粒子の製造例1において、解膠処理〔I〕を60分間から50分間に変更すると共に、解砕処理〔II〕を60分間から45分間に変更したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔10〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例11〕
外添剤微粒子の製造例1において、解膠処理〔I〕を60分間から20分間に変更すると共に、解砕処理〔II〕を60分間から30分間に変更したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔11〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例12〕
外添剤微粒子の製造例1において、解膠処理〔I〕を60分間から15分間に変更すると共に、解砕処理〔II〕を60分間から20分間に変更したことの他は同様にして、疎水性チタン酸カルシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔12〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例13〕
外添剤微粒子の製造例2において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸ストロンチウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸ストロンチウム粒子よりなる外添剤微粒子〔13〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例14〕
外添剤微粒子の製造例4において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸ストロンチウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸ストロンチウム粒子よりなる外添剤微粒子〔14〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例15〕
外添剤微粒子の製造例2において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸マグネシウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸マグネシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔15〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例16〕
外添剤微粒子の製造例4において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸マグネシウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸マグネシウム粒子よりなる外添剤微粒子〔16〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例17〕
外添剤微粒子の製造例2において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸バリウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸バリウム粒子よりなる外添剤微粒子〔17〕を得た。
〔外添剤微粒子の製造例18〕
外添剤微粒子の製造例4において、炭酸カルシウムの代わりに炭酸バリウムを用いたことの他は同様にして、疎水性チタン酸バリウム粒子よりなる外添剤微粒子〔18〕を得た。
以上の外添剤微粒子〔1〕〜〔18〕の鉄含有量、数平均一次粒子径、sd値およびBET比表面積を表1に示す。
〔着色粒子の製造例1〕
(ポリエステルセグメント〔a1〕の合成)
撹拌機および窒素導入管が取り付けられた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸200質量部、フマル酸70質量部、およびテトラノルマルブチルチタネート0.3質量部(0.03質量%)を入れ、常圧下、220℃において7時間反応させ、さらに10mmHgの減圧下において4時間反応させた後、160℃まで冷却し、次いで無水フタル酸32質量部を加え、2時間反応させてポリエステルセグメント〔a1〕を得た。このポリエステルセグメント〔a1〕のガラス転移点温度Tgは52℃、軟化点温度は108℃であり、数平均分子量(Mn)が4,300、重量平均分子量(Mw)が22,000であった。
(イソシアネート変性ポリエステルセグメント〔A1〕の合成)
このポリエステルセグメント〔a1〕1,000質量部に対して酢酸エチル2,000質量部を加え、次いで、イソホロンジイソシアネート120質量部を添加し、80℃にて2時間反応させ、イソシアネート変性ポリエステルセグメント〔A1〕を得た。
(着色粒子の形成)
液封シール(環流器)、撹拌機が取り付けられた混合槽中において、酢酸エチル900質量部、イソシアネート変性ポリエステルセグメント〔A1〕300質量部、銅フタロシアニンブルー4質量部、カーボンブラック4質量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート15質量部、およびイソホロンジアミン5質量部を混合温度20℃において2時間混合処理し、着色粒子形成用材料液を得た。
一方、別の反応槽に、イオン交換水600質量部、メチルエチルケトン60質量部、リン酸三カルシウム60質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部を入れ、「TK式ホモミキサー」(特殊機化工業社製)によって、温度30℃において15,000rpmで3分間撹拌しながら、上記の着色粒子形成用材料液を投入して水系媒体中に数平均一次粒子径0.5μmの油滴として分散させ、その後、撹拌を通常の撹拌機に変更し、300rpmにて撹拌しつつ80℃に昇温し、3時間撹拌することにより分子伸長反応およびこれによって得られるポリエステル微粒子の凝集を行った。ここで得られた凝集粒子は体積基準のメディアン径で6.9μmであった。その後、90℃に昇温して酢酸エチルを除去した。酢酸エチルが完全に無くなるまで除去した後、室温まで冷却し、35%濃塩酸150質量部を加えてトナー表面のリン酸三カルシウムを溶出させた。次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、着色粒子〔1〕を得た。
〔着色粒子の製造例2〜9〕
着色粒子の製造例1において、ポリエステルセグメント〔a1〕の合成の工程における金属触媒およびその添加量を、「テトラノルマルブチルチタネート0.3質量部」から、表2に従ったものに変更したことの他は同様にして、着色粒子〔2〕〜〔9〕を得た。
なお、着色粒子〔8〕,〔9〕は比較用の着色粒子である。
〔着色粒子の製造例10〕
着色粒子の製造例2において、酢酸エチルの除去温度を90℃から80℃に変更したことの他は同様にして、比較用の着色粒子〔10〕を得た。
〔着色粒子の製造例11〕
着色粒子の製造例2において、酢酸エチルの除去温度を90℃から98℃に変更したことの他は同様にして、比較用の着色粒子〔11〕を得た。
〔トナーの製造例1〕
着色粒子〔1〕100質量部に、外添剤微粒子〔1〕2質量部、疎水性シリカ(数平均粒子径7nm)1質量部および疎水性シリカ(数平均粒子径21nm)1.0質量部をヘンシェルミキサーで混合し、トナー〔1〕を得た。なお、ヘンシェルミキサーの回転翼周速は35m/sec、32℃で20分間混合したのち、目開き45μmのふるいを通した。
このトナー〔1〕の体積基準のメジアン径(D50)は5.6μm、平均円形度は0.968、体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)は19、特定の触媒金属(チタン)の含有割合は10ppmであった。また、ガラス転移点温度(Tg)は54℃、軟化点温度は113℃であり、数平均分子量(Mn)は8,000、重量平均分子量(Mw)は34,000であった。
〔トナーの製造例2〜32〕
トナーの製造例1において、着色粒子および外添剤微粒子として、着色粒子〔1〕および外添剤微粒子〔1〕の代わりに、表3または表4に従ったものを用いたことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔32〕を得た。これらのトナー〔2〕〜〔32〕の体積基準のメジアン径(D50)、平均円形度、体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)、特定の触媒金属の含有割合、ガラス転移点温度(Tg)、軟化点温度(Tsp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を表3および表4に示す。
なお、トナー〔1〕〜〔3〕、〔8〕〜〔13〕、〔15〕、〔17〕、〔19〕〜〔24〕は本発明の実施例用のものであり、トナー〔4〕〜〔7〕、〔14〕、〔16〕、〔18〕、〔25〕〜〔32〕が比較例用のものである。
〔キャリアの製造例〕
重量平均粒径50μmのマンガン・マグネシウムフェライトに、シリコーン樹脂(オキシム硬化タイプ、トルエン溶液)を固形分として85質量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤)を10質量部、アルミナ粒子(粒子径100nm)を3質量部、カーボンブラック2質量部よりなるコート剤をスプレーコートし、190℃において6時間焼成し、その後、常温に戻し、樹脂コーティング型のキャリアを得た。樹脂コートの平均膜厚は0.2μmであった。
〔現像剤の製造例〕
上記のように製造したトナー〔1〕〜〔32〕6質量部と、以上のように製造したキャリア94質量部とをV型混合機で混合処理することにより、それぞれ現像剤〔1〕〜〔32〕を製造した。なお、混合処理は、トナー帯電量が20〜23μC/gとなった時点で混合を停止し、一旦、ポリエチレンポットに排出した。
〔実施例1〜17、比較例1〜15〕
以上の現像剤〔1〕〜〔32〕を用い、デジタル複写機「bizhub 750」(モノクロA4で75枚機:コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)を用いて、高温高湿環境(温度35℃、湿度85%RH)下において、以下の評価を行った。
すなわち、画素率5%の画像を、1枚形成して5秒休止する1枚間欠モードで20万枚形成するところ、その前後に、5cm×5cmの黒ベタ画像、1本/mm〜8本/mmのそれぞれ1本/mmずつ解像度が異なる細線が1/8領域にそれぞれ印字された細線画像およびベタ白画像をそれぞれ1枚ずつ形成し、初期の黒ベタ画像および20万枚印字後黒ベタ画像を用いて画像濃度を評価し、初期の細線画像および20万枚印字後の細線画像を用いて細線再現性を評価し、さらに初期のベタ白画像および20万枚印字後のベタ白画像を用いてカブリ濃度を評価した。結果を表5に示す。
画像濃度は、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用い、印字紙の絶対反射濃度を「0」に設定し、任意の10箇所の絶対反射濃度を測定してその算術平均値を画像濃度として評価した。
細線再現性は、倍率10倍のルーペで細線が判別できる最高の解像度を細線再現性の指標として評価した。
カブリ濃度は、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用い、印字紙の絶対反射濃度を「0」に設定し、任意の10箇所の絶対反射濃度を測定してその算術平均値をカブリ濃度として評価した。
なお、画像濃度が1.30以上であれば、十分な画像濃度が得られているといえる。また、細線再現性は解像度の高いものほど好ましく、さらに、カブリ濃度が0.005以下であれば、カブリは実用的に問題ないといえる。
表5の結果から明らかなように、本発明のトナーに係る実施例1〜17においては、長期間にわたって使用しても十分に高い細線再現性および高い画像濃度が得られることが確認された。

Claims (4)

  1. 少なくとも、ポリエステル樹脂よりなる結着樹脂および着色剤を有する着色粒子と外添剤微粒子とを含有してなるトナーにおいて、
    当該トナーは、平均円形度が0.950〜0.990、体積基準のメジアン径が4.5〜8.0μm、体積基準の粒径分散度(CVVOL 値)が15〜25であり、
    かつ、チタン、ゲルマニウム、およびアルミニウムから選択される金属が10〜1500ppmの割合で含有されたものであり、
    前記外添剤微粒子が、鉄の含有量が100〜1,000ppmであるチタン酸化合物よりなることを特徴とするトナー。
  2. 前記外添剤微粒子は、BET比表面積が5〜20m2 /gであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記外添剤微粒子は、数平均一次粒子径が50〜2,000nmであり、かつ、当該数平均一次粒子径について、下記式(1)で表されるsd値が、250nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー。
    式(1):sd値(nm)=(d1 84−d1 16)/2
    〔上記式(1)中、d1 84およびd1 16は、数平均一次粒子径を測定したときの全体を100%として求めた累積曲線において、それぞれ84%および16%となる粒径である。〕
  4. チタン酸化合物が、チタン酸カルシウムまたはチタン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナー。
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