JP5066745B2 - 揺動車両 - Google Patents

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Description

本発明は、サスペンションアームに対して車体フレームが左右に揺動する揺動車両に関する。
従来、揺動車両の一つとして、特許文献1に記載された三輪車が知られている。図14(a)は、特許文献1に記載された三輪車の模式的な立体図である。この三輪車1は、後輪に回転を伝えるデファレンシャルギアボックス2が車体に対して左右に揺動可能に設けられかつデファレンシャルギアボックス2から左右に延びるサスペンションアーム3,4で左右の後輪5,6を支持する構成である。
さらに、上記三輪車1は、ハンドル7の向き(=前輪8の向き)を変えるコーナリング走行時に、揺動側車体である車体フレーム側、又は非揺動側車体であるサスペンションアーム側に加わる力の角度を検出し、この検出角度に応じて車体フレーム側とサスペンションアーム側との相対揺動角度を制御し、路面の傾斜に影響されずに車体の揺動角度を制御する車体揺動角度制御装置を備えて構成されている。
図14(a)に示す特許文献1に記載された三輪車1は、後輪の片方が路肩脱輪した時に脱輪側のサスペンションアームが路肩に干渉し走行不能になると共に横滑りが起きる虞がある。図14(b)は、平地走行時の前輪と左右の後輪とを平面視した位置関係を示し、図14(c)は、図14(c)に示す路面切欠き部の走行時の前輪と左右の後輪とを平面視した位置関係を示す。図14(d)は、この三輪車1が路面幅方向に傾斜した路面切欠き部を走行したときの前輪の軌跡F1と右後輪の軌跡R1と左後輪の軌跡L1とを示す。図14(b),(c)に示すように、A=B、C<Dの関係がある。
また、他の揺動車両として、特許文献2に記載された三輪車が知られている。図15(a)は、特許文献2に記載された三輪車の模式的な立体図である。この三輪車10は、デファレンシャル装置11に左右一対の後フォーク12,13を上下スイング自在に取り付け、これらの後フォーク12,13の後端部に後輪14,15を回転自在に取り付けた構成である。図15(b),(c)は、図15(a)に示す特許文献2に記載された三輪車10の路面切欠き部の走行時の前輪16と左右の後輪14,15について、平面視した位置関係を示す図及び車両後方視した位置関係を示す図である。図15(d)は、この三輪車10が路面幅方向に傾斜した路面切欠き部を走行したときの前輪の軌跡F10と右後輪の軌跡R10と左後輪の軌跡L10とを示す。図15(b),(c)に示すように、A<B、C=Dの関係がある。
また、他の揺動車両として、特許文献3に記載された三輪車が知られている。この三輪車は、車体フレームに支持されるサスペンションアームを左右に且つ上下に設けることでダブルウイッシュボーン式サスペンションにするとともにこのダブルウイッシュボーン式サスペンションで左右の駆動輪を支持し、サスペンションアームに対して車体フレームを左右に揺動可能とし、これらの駆動輪を前後に延ばしたドライブシャフトを介して駆動源側に連結した構成である。
特開2005−088742号公報 特開昭61−125973号公報 特開2005−10445号公報
特許文献1に記載された三輪車1は、後輪の片方が路肩脱輪した時に脱輪側のサスペンションアームが路肩に干渉し走行不能になると共に横滑りが起きる虞がある。また、この三輪車1は、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時での左右の後輪のトレッドに変化が無いが、後輪が谷川へ移動量eを伴って走行するので、相対的に前輪が山側に向いて走ろうとする走行変化が生じる。このため、図14(d)に示すように進路が乱れる、という問題がある。
特許文献2に記載された三輪車10は、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時での左右の後輪のトレッドに変化が有るため、後輪の滑りやタイヤを横方向へ開くためのエネルギーが発生することから姿勢制御のロスが大きく安定性も劣る。
特許文献3に記載された三輪車は、後輪の片方が路肩脱輪した時に脱輪側のロアアームが路肩に干渉し走行不能になると共に横滑りが起きる虞がある。また、この三輪車は、フレーム及びサスペンションの構造が複雑である。
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、後輪の片方が路肩脱輪した時にサスペンションアームが路肩に干渉し走行不能になることが回避され、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時で後輪のトレッドに変化が無く、前輪と後輪の進路の乱れが少なく、走行安定性が高く、ロスの少ない姿勢制御が可能である揺動車両を提供することを目的としている。
また、本発明は、後輪の片方が路肩脱輪した時にサスペンションアームが路肩に干渉し走行不能になることが回避され、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時で後輪のトレッドに変化が無く、前輪と後輪の進路の乱れが少なく、走行安定性が高く、ロスの少ない姿勢制御が可能であり、さらにコーナリング走行時に遠心力に打ち勝てる運転姿勢を取り易く、路幅方向に傾斜した路面走行時でも座席を平らに維持して運転が行える揺動車両を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る揺動車両は、前輪と、ハンドルと、下端に前輪を軸支する前輪支持部を有し、上端にハンドルを固定するハンドル固定部を有するシャフトフレームと、シャフトフレームに支持され前輪を駆動する走行用モータと、先端にシャフトフレームを回転可能に支持するシャフトフレーム枢支部を有し、中間位置にステップ支持部を有し、後部に車両後方へL字形に立ち上がるL字形部を有する車体フレームと、左右の後輪と、各下端部で同側の後輪を軸支する左右のハブと、両端部で左右のハブの上端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢着しかつ中央部が車体フレームのL字形部の後端部に垂直回動可能であるように枢支されたアッパーアーム部と、からなるコ字形リンクと、車両左右方向に延びていて中央部が車体フレームのステップ支持部の後端部に対して車両後方側に近接して位置されたトーションバー部と、トーションバー部の両端よりそれぞれ一体に後輪の内側に延びていて、かつ後端部で同側のハブの下端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢支する左右のロアアーム部と、からなるコ字形アームと、車体フレームのステップ支持部の後端部に該ステップ支持部の軸線の回りに回転可能に連結された車体連結部と、車体連結部の後端にトーションバー部の中央部を該トーションバー部が垂直面内に揺動可能であるように支持するトーションバー連結部と、を有してなる連結部材と、上記車体フレームのL字形部に固定された座席と、を備え、アッパーアーム部は板ばねからなることを特徴とする。
上記構成によれば、車体を後方視したときに、左右の後輪は、アッパーアーム部と左右のハブとトーションバー部とからなる仮想の平行四辺形リンクで実質的に支持された状態にある。この仮想の平行四辺形リンクは、トーションバー部の中央部を回転可能に支持する車体フレームのステップ支持部の後端部と、アッパーアーム部の中央部を回転可能に支持する車体フレームのL字形部の後端部とで2点支持され、車体を後方視したときに、平行四辺形に変形するから、左右のハブがほぼ垂直に維持されたままシーソーの如く変化する。従って、左右の後輪も、左右の縦長のハブの下部の揺動に従って変化する。
上記構成によれば、左右の後輪が、シーソーの如く変化する左右の縦長のハブの下部の揺動に従って変化することに加え、後輪の路肩脱輪時には、車体フレームのステップ支持部の後端部に回転可能に連結された連結部材のトーションバー連結部に中央を回転可能に支持されたトーションバー部が、脱輪側に傾斜下降することによって脱輪側のロアアーム部が下降し、さらにトーションバー部が回動して脱輪側のロアアーム部の後端が下降する。
このため、上記構成では、前輪と脱輪しない側の後輪が路面に設置すると共に脱輪した後輪も路肩下の路面に設置し、後輪の路肩脱輪時にハブ及びロアアーム部が路肩に当らず、特許文献1、3の揺動車両のようなサスペンションアームも無いので安全性が頗る向上する。
また、路面幅方向に傾斜した路面の走行時は、左右のハブがシーソーの如く変化し、左右の後輪の間隔が狭まり、かつ車体を後方視したとき、前輪と左右の後輪とが路面幅方向に一直線の傾斜線に設置した状態に並び、トレッドに変化が生じないから、前輪と後輪の進路の乱れが少なく走行安定性が高くロスの少ない姿勢制御が可能である。
さらに、コーナリングするときには、ハンドルを曲がる方向に曲げれば、かつ車速に応じて重心をコーナー内側に移動し車体と座席を傾ければ、遠心力を小さくすることができ、このとき、左右の後輪は、シーソーの如く位置を変化し路面に安定して接地走行しうるから、走行安定性が高い姿勢制御が可能である。
上記目的を達成するため、第2の発明に係る揺動車両は、前輪と、ハンドルと、下端に前輪を軸支する前輪支持部を有し、上端にハンドルを固定するハンドル固定部を有するシャフトフレームと、シャフトフレームに支持され前輪を駆動する走行用モータと、先端にシャフトフレームを回転可能に支持するシャフトフレーム枢支部を有し、中間位置にステップ支持部を有し、後部に車両後方へL字形に立ち上がるL字形部を有する車体フレームと、左右の後輪と、各下端部で同側の後輪を軸支する左右のハブと、両端部で左右のハブの上端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢着しかつ中央部が車体フレームのL字形部の後端部に垂直回動可能であるように枢支されたアッパーアーム部と、からなるコ字形リンクと、車両左右方向に延びていて中央部が車体フレームのステップ支持部の後端部に対して車両後方側に近接して位置されたトーションバー部と、トーションバー部の両端よりそれぞれ一体に後輪の内側に延びていて、かつ後端部で同側のハブの下端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢支する左右のロアアーム部と、からなるコ字形アームと、車体フレームのステップ支持部の後端部に該ステップ支持部の軸線の回りに回転可能に連結された車体連結部と、該車体連結部の後端にトーションバー部の中央部を該トーションバー部が垂直面内に揺動可能であるように支持するトーションバー連結部と、を有してなる連結部材と、車体フレームに固定された座席角度修正用モータと、モータの回転で車体連結部を車両左右方向に傾斜揺動させることでコ字形アームのトーションバー部を車体左右方向へ傾斜揺動させる運動伝達機構と、座席角度修正用モータを制御するモータ制御装置と、ハンドルの角度を検出するハンドル角度検出センサと、走行用モータの回転速度を検出するロータリーエンコーダと、からなることを特徴とする。
上記構成によれば、第1の発明に係る揺動車両の構成に、座席角度修正装置を付加した点が相違するので、座席角度修正装置による作用・効果が相違する。
また、路面幅方向に傾斜した路面の走行時は、座席の傾きを即座に検知し、ハンドルの向きを直進方向に保持していれば、座席角度修正装置が遅滞無く作動して座席を水平に保つことができる。
さらに、コーナリングするときには、道路の曲がり方向にハンドルを曲げ、かつ車速に応じて重心をコーナー内側に移動し車体と座席を傾けようとすれば、座席角度修正装置が即座に作動して、車体と座席を傾ける助長作用を生起して車体と座席を傾け、遠心力を小さくすることができる。このとき、左右の後輪は、シーソーの如く位置を変化し路面に安定して接地走行しうるから、走行安定性が高い姿勢制御が可能である。
上記構成によれば、後輪の路肩脱輪時に座席角度修正装置による作用で座席が可及的速やかに水平に復帰するので、運転者の重心が極端に傾斜することがなくなり、安全性がさらに向上する。
以上のように、座席角度修正装置を付加した第2の発明に係る揺動車両では、高齢者の動作を補完して安全運転を行える揺動車両を提供することができる。
上記第1の発明によれば、後輪の片方が路肩脱輪した時にサスペンションアームが路肩に干渉し走行不能になることが回避され、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時で後輪のトレッドに変化が無く、前輪と後輪の進路の乱れが少なく、走行安定性が高く、ロスの少ない姿勢制御が可能である揺動車両を提供することができる。
上記第2の発明によれば、後輪の片方が路肩脱輪した時にサスペンションアームが路肩に干渉して走行不能になることが回避され、路面幅方向に傾斜した路面切欠き部の走行時で後輪のトレッドに変化が無く、前輪と後輪の進路の乱れが少なく、走行安定性が高く、ロスの少ない姿勢制御が可能であり、さらにコーナリング走行時に遠心力に打ち勝てる運転姿勢を取り易く、路幅方向に傾斜した路面走行時でも座席を平らに維持して運転が行える揺動車両を提供することができる。
本発明の実施形態に係る揺動車両の斜視図である。 図1に示す揺動車両に備えたセンサの取付位置を示す斜視図である。 図1に示す揺動車両のモータ制御装置のブロック回路図である。 図1に示す揺動車両の座席角度修正装置を示す要部斜視図である。 図1に示す揺動車両の座席角度修正装置を他の方向から示す要部斜視図である。 図1に示す揺動車両の連結部材の分解斜視図である。 図1に示す揺動車両の連結部材の断面図である。 図1に示す揺動車両のコ字形リンクの要部斜視図である。 図1に示す揺動車両の路面幅方向に傾斜した路面の走行動作を説明するための車両後方図である。 図1に示す揺動車両のコーナリング時の走行動作を説明するための車両後方図である。 図1に示す揺動車両の路肩脱輪時を示す側面図である。 図1に示す揺動車両の走行動作の説明図である。 他実施形態におけるコ字形リンクの要部斜視図である。 特許文献1と同等の揺動車両の説明図である。 特許文献2と同等の揺動車両の説明図である。
以下、本発明を実施形態に係る揺動車両について図面を参照し説明する。
以下の実施形態では、構成については座席角度修正装置を備えている場合を説明し、作用効果については座席角度修正装置を備えている場合と、備えていない場合の両方について説明する。
図1〜図3に示すように、揺動車両20は、前輪21と、ハンドル22と、シャフトフレーム23と、走行用モータ24と、車体フレーム25と、左右の後輪26a,26bと、左右のハブ27a,27b及びアッパーアーム部28からなるコ字形リンク29と、トーションバー部30及び左右のロアアーム部31a,31bからなるコ字形アーム32と、車体フレーム連結部33aと、トーションバー連結部33bとを有してなる連結部材33と、座席34と、座席角度修正用モータ35と運動伝達機構36とモータ制御装置38とからなる座席角度修正装置37と、バッテリ39とを備えてなる。以下、各部について詳細に説明する。
前輪21とハンドル22は、シャフトフレーム23によって支持されている。前輪21はベアリングで支持された図示しない回転軸を有している。シャフトフレーム23は、フォーク形状の前輪支持部23aで前輪21に備えた回転軸を支持し、上端のハンドル固定部23bでハンドル22を固定している。走行用モータ24は、シャフトフレーム23の前輪支持部23aに固定され前輪21の図示しない回転軸を直結され前輪21を回転駆動するようになっている。走行用モータ24は、図示しない起動スイッチで起動され、かつアクセルレバー40の操作によって回転数を増減される。
車体フレーム25は、先端に設けられたシャフトフレーム23を回転可能に支持するとともに風防41を支持するシャフトフレーム枢支部25aと、該シャフトフレーム枢支部25aより車軸の高さまで斜めに下がっていて泥除け42を支持する泥除け支持部25bと、泥除け支持部25bより車両後方へ水平に延びていてステップ43を支持するステップ支持部25cと、該ステップ支持部25cより後方へL字形に立ち上がっていて座席34を支持するL字形部25dとを有する。車体フレーム25は、十分な強度を有する鋼製或いはステンレス製の丸パイプ材よりなる。
左右の後輪26a,26bは、該左右の後輪26a,26bの軸線を通る垂直面内に設けられた左右のハブ27a,27bとアッパーアーム部28とからなる三連接のコ字形リンク29に支持されていると共に、車軸の高さに設けられたトーションバー部30と左右のロアアーム部31a,31bとからなるコ字形アーム32によって車輪間隔を一定に保持され、さらに、車体フレーム25のL字形部25dにコ字形リンク29を介して吊られている。この構成は、車体フレームとサスペンションを含む全体のフレーム構造を、特許文献3の揺動車両に比べて極めて簡素なものとしている。
図8に示すように、コ字形リンク29の、アッパーアーム部28の両端部と左右のハブ27a,27bの上端とは、ハブが左右の後輪26a,26bの車軸を通る垂直面内に揺動可能であるように枢着されている。左右のハブ27a,27bは、各下端部で同側外方の後輪26a,26bを回転可能に支持している。アッパーアーム部28は、中央部上面に付設されたボス部281で車体フレーム25のL字形部25dの後端部に回転可能に嵌入・連結され、後輪26a,26bの車軸を通る垂直面内に揺動可能であるようにL字形部25dに吊られている。
コ字形アーム32は、トーションバー部30と左右のロアアーム部31a,31bとからなるコ字形の一体形状に形成されていて前輪21と後輪26a,26bの車軸を通る平面内に設けられている。トーションバー部30は、車両左右方向に延びていて中央部が車体フレーム25のステップ支持部25cの後端部に対して車両後方側に近接して位置されている。左右のロアアーム部31a,31bは、トーションバー部30の両端よりそれぞれ一体に後輪26a,26bの内側に延びていて、かつ後端部で同側のハブ27a,27bの下端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢支している。左右のハブ27a,27bの各下端部と左右のロアアーム部31a,31bの後端部とは、ハブが左右の後輪26a,26bの車軸を通る垂直面内に揺動可能であるように枢着されている。
図4に示すように車体フレーム25のステップ支持部25cの後端部に形成された、ベアリングを嵌合しうる軸受孔が加工されかつ開口端に雌ねじが螺設されてなる軸受筐25eを備えていて、この軸受筐25eにトーションバー部30を連結する連結部材33が軸受筐25eの軸心の回りに回動するように設けられている。
図5〜図7に示すように、連結部材33は、車体フレーム連結部33aとトーションバー連結部33bとからなる。車体フレーム連結部33aは、ボルト形状の回転軸331と、ベアリング332a,332bと、カラー333と、孔付きボルト334と、ナット335とからなる。トーションバー連結部33bは、トーションバー部30の中央部に所要間隔離れて設けられた一対の鍔30a,30a間において、トーションバー部30を挟んで密着される一対の軸受メタル半体336と、一対の軸受メタル半体336を挟んで密着される一対のブラケット半体337,338と、一対のブラケット半体337,338を締め付けるボルト339とからなる。
連結部材33は、回転軸331がベアリング332a、カラー333、ベアリング332bに順に通された状態で、これらが軸受筐25e内に嵌入され、軸受筐25eの雌ねじに孔付きボルト334が螺合され、軸受筐25eより突出する回転軸331のねじ部がブラケット半体337のボス部337bに通され、回転軸331のねじ部にナット335が締結されてなる。
連結部材33は、車体フレーム連結部33aによって、車体フレーム25のステップ支持部25cの後端部に該ステップ支持部25cの軸線の回りに回転可能に連結されていて、トーションバー連結部33bによって、トーションバー部30の中央を回転可能に支持している。
上記構成により、トーションバー部30と左右のロアアーム部31a,31bとからなるコ字形アーム32は、左右のロアアーム部31a,31bの一方が高く他方が低くなるように揺動自在であり、かつ左右のロアアーム部31a,31bの後端部を上下動自在である。
座席34は、座席フレーム341が車体フレーム25のL字形部25dの水平部に水平に固定されている。
座席34は、車体フレーム25のL字形部25dに固定されているから車体フレーム25の車体側方への傾動と一体に傾動するが、以下に説明するように、座席角度修正装置37によって、コ字形リンク29の変形とコ字形アーム32の揺動に連動して座席角度を修正されるように構成されている。
〔座席角度修正装置37の構成〕
図5〜図7に示すように、座席角度修正装置37は、座席角度修正用モータ35と運動伝達機構36とを含み、図3に示すモータ制御装置38により制御される。
座席角度修正用モータ35は、サーボモータが用いられ、モータ本体がブラケットにより車体フレーム25のL字形部25dの垂直部に固定され、出力軸を下向きとされている。
図5〜図7に示すように、運動伝達機構36は、座席角度修正用モータ35の出力軸に固設された小傘歯車36aと、連結部材33のブラケット半体337に一体に設けられていて小傘歯車36aに噛み合う扇形の大傘歯車36bとからなる。運動伝達機構36は、小傘歯車36aが原車、大傘歯車36bが従車であり、小傘歯車36aが回転することで、大傘歯車36bが回転され、大傘歯車36bの回転と一体に、連結部材33が回転され、さらにトーションバー部30と左右のロアアーム部31a,31bとからなるコ字形アーム32が回転される。
図5に示すように、モータ制御装置38は、制御装置本体38aと、ハンドル角度検出センサ38bと、アクセル角度検出センサ38cと、車体傾斜角度検出センサ(傾斜計)38dと、トーションバー角度検出センサ38eと、走行用モータ24の回転速度を検出するロータリーエンコーダ38fと、を備えてなる。
図1,図2に示すように、ハンドル角度検出センサ38bは、シャフトフレーム23に設けられた原歯車381と、車体フレーム25のシャフトフレーム枢支部25aに設けられた従歯車382とを噛み合わせ、ハンドル22の向きを変えたときの従歯車382の回転角度を検出し、検出した回転角度に応じた信号を制御装置本体38aに出力するように構成されている。
図1,図2に示すように、アクセル角度検出センサ38cは、ハンドル22の近傍に設けられたアクセルレバー40の軸部に付設されていて、軸部の回転角度を検出し、検出した回転角度に応じた信号を制御装置本体38aに出力するように構成されている。
図1,図2に示すように、車体傾斜角度検出センサ38dは、アッパーアーム部28の中央部上面に付設されたボス部281の上に設けられていて、アッパーアーム部28の長尺方向に沿った面に関して、車体の傾斜角度を検出し、検出した傾斜角度に応じた信号を制御装置本体38aに出力するように構成されている。
車体傾斜角度検出センサ38dは、アッパーアーム部28に取り付けられているので、実際に車体が傾斜する前にトーションバーが路面の傾斜で作動したときに傾斜角を計測することができる。
図4に示すように、座席傾斜角度検出センサ38eは、車体フレーム25のL字形部25dの垂直部に設けられた小歯車36dの軸部に連結され、該小歯車36dが、大傘歯車36bに重ねて設けられた扇形の平歯車36cに噛み合っていてトーションバーが路面の傾斜で作動したときに回転する小歯車36dの回転量を検出し、検出した回転量に応じた信号を制御装置本体38aに出力するように構成されている。
制御装置本体38aは、CPU,ROM,RAM等を有し、ROMに格納されたプログラムに基づいてCPUが実行し、各センサ38b〜38e、及びロータリーエンコーダ38fからの信号を入力して演算処理し、走行用モータ24及び座席角度修正用モータ35を駆動制御する。
〔座席角度修正装置37を含まない構成についての作用効果〕
図3に示すように、制御装置本体38aは、アクセル角度検出センサ38cから出力された信号をフィードバック演算器383に入力し、演算結果の信号を速度制御器384に送って速度制御信号とし、速度制御信号を電流制御増幅器385で必要な大きさのモータ駆動電流となるように増幅して走行用モータ24を駆動し、回転速度の実行値であるロータリーエンコーダ38fからの信号をフィードバック演算器383にフィードバックしてセンサ信号との偏差を解消する補正された信号を速度制御器384に送って走行用モータ24をフィードバック制御方式で駆動制御する。
座席角度修正装置37を含まない構成では、図3において、ハンドル角度検出センサ38bと、車体傾斜角度検出センサ38dと、演算器386と、姿勢制御器387、電流制御増幅器389、座席角度修正用モータ35とを含む制御系は有していない。
図9、図10に示すように、車体を後方視したときに、左右の後輪26a,26bは、アッパーアーム部28と左右のハブ27a,27bとトーションバー部30とからなる仮想の平行四辺形リンクで実質的に支持された状態である。この仮想の平行四辺形リンクは、トーションバー部30の中央部を回転可能に支持する車体フレーム25のステップ支持部25cの後端部と、アッパーアーム部28の中央部を回転可能に支持する車体フレーム25のL字形部25dの後端部とで二点支持され、車体を後方視したときに、平行四辺形に変形するから、左右のハブ27a,27bがほぼ垂直に維持されたままシーソーの如く変化する。従って、左右の後輪26a,26bも、左右の縦長のハブ27a,27bの揺動に従って変化する。
図11に示すように、左右の後輪26a,26bが、シーソーの如く変化する左右の縦長のハブ27a,27bの揺動に従って変化することに加え、後輪26a,26bの路肩脱輪時には、車体フレーム25のステップ支持部25cの後端部に回転可能に連結された連結部材33のトーションバー連結部33bに中央を回転可能に支持されたトーションバー部30が、脱輪側に傾斜下降することによって脱輪側のロアアーム部31a又は31bが下降し、さらにトーションバー部30が回動して脱輪側のロアアーム部31a又は31bの後端が下降する。
このため、前輪21と脱輪しない側の後輪26a,26bが路面に設置すると共に脱輪した後輪26a,26bも路肩下の路面に設置し、後輪26a,26bの路肩脱輪時にハブ27a,27b及びロアアーム部31a又は31bが路肩に当らず、特許文献1、3の揺動車両のようなサスペンションアームも無いので転倒する確率が極めて少なく、安全性が頗る向上する。
図12(a)は、実施形態の揺動車両20の模式的な斜視図である。図12(b)は、平地走行時の前輪と左右の後輪とを平面視した位置関係を示し、図12(c)は、図12(c)に示す路面切欠き部の走行時の前輪と左右の後輪とを平面視した位置関係を示す。図12(d)は、この三輪車1が路面幅方向に傾斜した路面切欠き部を走行したときの前輪の軌跡Fと右後輪の軌跡Rと左後輪の軌跡Lとを示す。
図12(b),(c)に示すように、A=B、C=Dの関係がある。図12(d)に示すように、路面幅方向に傾斜した路面の走行時は、左右のハブ27a,27bがシーソーの如く変化し、左右の後輪26a,26bの間隔が狭まり、かつ車体を後方視したとき、前輪21と左右の後輪26a,26bとが路面幅方向に一直線の傾斜線に設置した状態に並び、図12(b)と(d)において、A=Bであり、トレッドに変化が生じないから、そしてC=Dであり、前輪21と後輪26a,26bの進路の乱れが少ないから、走行安定性が高くロスの少ない姿勢制御が可能である。
図9に示すように、コーナリングするときには、ハンドル22を曲がる方向に曲げ、かつ車速に応じて重心をコーナー内側に移動し車体フレーム25と座席34を傾ければ、遠心力を小さくすることができ、このとき、左右の後輪26a,26bは、シーソーの如く位置を変化し路面に安定して接地走行しうるから、走行安定性が高い姿勢制御が可能である。
〔座席角度修正装置37を含む構成についての作用効果〕
図3に示すように、制御装置本体38aは、走行用モータ24の走行速度を制御することについては、座席角度修正装置37を含まない構成で述べたことと同一である。
図3に示すように、制御装置本体38aは、ハンドル角度検出センサ38bの信号と車体傾斜角度検出センサ38bの信号とを演算器386に入力して演算し、演算結果の信号を姿勢制御器387に送って座席角度修正信号とし、この信号をフィードバック演算器388に入力し、演算結果の信号を電流制御増幅器389で必要な大きさのモータ駆動電流となるように増幅して座席角度修正用モータ35を駆動し、座席角度の実行値である座席傾斜検出センサ38eからの信号をフィードバック演算器388にフィードバックして座席角度修正信号との偏差を解消する補正された信号を電流制御増幅器389に送って座席角度修正用モータ35をフィードバック制御方式で駆動制御する。
特にこの実施形態では、制御装置本体38aのROMに格納されたプログラムは、コ字形アーム32のトーションバー部30を車体フレーム25のL字形部25dに対して通常走行時に垂直状態に保持するように座席角度修正用モータ35を制御し、コーナリング走行時にはハンドル22の曲げ角度と車速に応じて内側に傾けるように座席角度修正用モータ35を制御し、路幅方向に傾斜した路面走行時には路幅方向の傾斜角に応じて水平に保つように座席角度修正用モータ35を制御するようにプログラムされている。
図9に示すように、路面幅方向に傾斜した路面の走行時は、車体傾斜角度検出センサ(傾斜計)38dが車体の傾きを即座に検知し、ハンドル22の向きを直進方向に保持していれば、座席角度修正装置37がリアルタイムで作動して座席34を水平に保つことができる。この場合には、図3に示すように、制御装置本体38aの演算器386は、座席傾斜検出センサ38dの信号を演算器386に入力して、座席傾斜角がゼロになるように信号を出力する。
図10に示すように、コーナリングするときには、道路の曲がり方向にハンドル22を曲げ、かつ車速に応じて重心をコーナー内側に移動し車体フレーム25と座席34を傾けようとすれば、座席角度修正装置37が即座に作動して、車体フレーム25と座席34を傾ける助長作用を生起し車体フレーム25と座席34を傾け、遠心力を小さくすることができる。このとき、左右の後輪26a,26bは、シーソーの如く位置を変化し路面に安定して接地走行しうるから、走行安定性が高い姿勢制御が可能である。この場合には、図3に示すように、制御装置本体38aの演算器383は、アクセル角度検出センサ38cの信号とロータリーエンコーダ38fからの信号を入力して、作用する遠心力を演算するようになっている。なお、作用する遠心力を演算に、テーブルデータを用いても良い。
図11に示すように、後輪26bの路肩脱輪時にも車体傾斜角度検出センサ(傾斜計)38dが車体の傾きを即座に検知し、座席角度修正装置37による作用で座席が可及的速やかに水平に復帰するので、運転者の重心作用に基づく傾倒がさらに少なくなり、安全性がさらに向上する。
以上のように、座席角度修正装置を付加した揺動車両では、高齢者の動作を補完して安全運転を行える揺動車両を提供することができる。
〔その他の実施形態〕
本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
(1)上記の実施形態では、座席角度修正装置を構成する運動伝達機構36として、小傘歯車36aを原車、大傘歯車36bを従車とする構成を採用したが、小歯車と大歯車とが一体に形成された中間歯車の大歯車を、座席角度修正用モータ35の出力軸に設けた小平歯車と噛み合わせると共に、中間歯車の小歯車を、連結部材33の車体フレーム連結部33aに一体に設けた扇形の大歯車と噛み合わせた構成を採用しても良い。また、座席角度修正用モータ35の出力軸にウォームを連結固定し、このウォームを連結部材33の車体フレーム連結部33aに一体に設けた扇形のウォームホイールと噛み合わせた構成を採用しても良い。
(2)上記の実施形態では、アッパーアーム部28を板ばねで構成して座席の上下動を緩和するようにしているが、図13に示すように、左右の後輪の車軸を通る垂直面内に屈伸可能に連結された二つの屈伸リンク282,283と、各屈伸リンクの上面中途に立ち上げた一対のアーム284,285と、該一対のアームの上端同士を長さ可変に連結する長さ可変リンク285と、長さ可変リンク285をコイル空間に通していて両端で長さ可変リンクを突っ張り、屈伸リンク282,283を開いた状態に保持するコイル286とを備えてなるショックアブソーバの構成でも良い。
20 揺動車両
21 前輪
22 ハンドル
23 シャフトフレーム
24 走行用モータ
25 車体フレーム
26a,26b 後輪
27a,27b ハブ
28 アッパーアーム部
29 コ字形リンク
30 トーションバー部
31a,31b ロアアーム部
33 コ字形アーム
33a 車体フレーム連結部
33b トーションバー連結部
33 連結部材
34 座席
35 座席角度修正用モータ
36 運動伝達機構
37 座席角度修正装置
38 モータ制御装置

Claims (4)

  1. 前輪と、
    ハンドルと、
    下端に上記前輪を軸支する前輪支持部を有し、上端に上記ハンドルを固定するハンドル固定部を有するシャフトフレームと、
    上記シャフトフレームに支持され上記前輪を駆動する走行用モータと、
    先端に上記シャフトフレームを回転可能に支持するシャフトフレーム枢支部を有し、中間位置にステップ支持部を有し、後部に車両後方へL字形に立ち上がるL字形部を有する車体フレームと、
    左右の後輪と、
    各下端部で同側の上記後輪を軸支する左右のハブと、両端部で上記左右のハブの上端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢着しかつ中央部が上記車体フレームのL字形部の後端部に垂直回動可能であるように枢支されたアッパーアーム部と、からなるコ字形リンクと、
    車両左右方向に延びていて中央部が上記車体フレームのステップ支持部の後端部に対して車両後方側に近接して位置されたトーションバー部と、該トーションバー部の両端よりそれぞれ一体に上記後輪の内側に延びていて、かつ後端部で同側の上記ハブの下端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢支する左右のロアアーム部と、からなるコ字形アームと、
    上記車体フレームのステップ支持部の後端部に該ステップ支持部の軸線の回りに回転可能に連結された車体連結部と、該車体連結部の後端に上記トーションバー部の中央部を該トーションバー部が垂直面内に揺動可能であるように支持するトーションバー連結部と、を有してなる連結部材と、
    上記車体フレームのL字形部に固定された座席と、を備え
    上記アッパーアーム部は板ばねからなる、揺動車両。
  2. 前輪と、
    ハンドルと、
    下端に上記前輪を軸支する前輪支持部を有し、上端に上記ハンドルを固定するハンドル固定部を有するシャフトフレームと、
    上記シャフトフレームに支持され上記前輪を駆動する走行用モータと、
    先端に上記シャフトフレームを回転可能に支持するシャフトフレーム枢支部を有し、中間位置にステップ支持部を有し、後部に車両後方へL字形に立ち上がるL字形部を有する車体フレームと、
    左右の後輪と、
    各下端部で同側の上記後輪を軸支する左右のハブと、両端部で上記左右のハブの上端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢着しかつ中央部が上記車体フレームのL字形部の後端部に垂直回動可能であるように枢支されたアッパーアーム部と、からなるコ字形リンクと、
    車両左右方向に延びていて中央部が上記車体フレームのステップ支持部の後端部に対して車両後方側に近接して位置されたトーションバー部と、該トーションバー部の両端よりそれぞれ一体に上記後輪の内側に延びていて、かつ後端部で同側の上記ハブの下端部を該ハブが垂直面内に揺動可能であるように枢支する左右のロアアーム部と、からなるコ字形アームと、
    上記車体フレームのステップ支持部の後端部に該ステップ支持部の軸線の回りに回転可能に連結された車体連結部と、該車体連結部の後端に上記トーションバー部の中央部を該トーションバー部が垂直面内に揺動可能であるように支持するトーションバー連結部と、を有してなる連結部材と、
    上記車体フレームに固定された座席角度修正用モータと、該モータの回転で上記車体連結部を車両左右方向に傾斜揺動させることで上記コ字形アームのトーションバー部を車体左右方向へ傾斜揺動させる運動伝達機構と、上記座席角度修正用モータを制御するモータ制御装置と、からなる座席角度修正装置と、
    上記車体フレームのL字形部に固定された座席と
    上記ハンドルの角度を検出するハンドル角度検出センサと、
    上記走行用モータの回転速度を検出するロータリーエンコーダと、を備え、
    上記モータ制御装置は、上記コ字形アームのトーションバー部を上記車体フレームのL字形部に対して通常走行時に垂直状態に保持するように上記モータを制御し、コーナリング走行時には上記ハンドルの曲げ角度と車速に応じて上記車体フレームと上記座席とを傾けるように上記モータを制御し、路幅方向に傾斜した路面走行時には路幅方向の傾斜角に応じて水平に保つように上記モータを制御する、揺動車両。
  3. 前記アッパーアーム部は、板ばねからなる、請求項2に記載の揺動車両。
  4. 前記アッパーアーム部は、2つの連接リンクと、該2つの連接リンクを開いた状態に保持するコイルばねを有してなる、請求項2に記載の揺動車両。
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