JP5065995B2 - 変圧器 - Google Patents

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Description

本発明は、アモルファス材などから成る巻鉄心を備えた変圧器の絶縁構造に係り、特に、コイルと該巻鉄心との間の絶縁構造に関する。
例えば従来の油入変圧器においては、励磁用のコイルと、アモルファス材や珪素鋼板などから成る巻鉄心の内周面との間にコイル絶縁部材を設け、該コイルと該巻鉄心との間の絶縁性を確保するようにしている。図4は従来の変圧器100'の構成例を示し、図5は、図4の変圧器100'の巻鉄心がアモルファス材から成る場合におけるA−A断面構成の拡大図、図6は、図4の変圧器100'の巻鉄心が珪素鋼板から成る場合におけるA−A断面構成の拡大図である。ただし、図4の変圧器100'では、油槽は図示されていない。
図4において、内鉄心11a'と外鉄心11b'には励磁用のコイル12a'が巻回され(はめ込まれ)、内鉄心11a'、11a'には励磁用のコイル12b'が巻回され(はめ込まれ)、内鉄心11a'と外鉄心11b'には励磁用のコイル12c'が巻回され(はめ込まれ)、コイル12a'、12b'の+Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間には、コ字状のコイル絶縁部材21a'と、内鉄心11a'の幅方向(Y軸方向)に貫通した貫通孔を形成するための貫通孔形成部材22a'とが配され、また、該コイル12a'、12b'の−Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間には、コ字状のコイル絶縁部材21b'と、内鉄心11a'の幅方向(Y軸方向)に貫通した貫通孔を形成するための貫通孔形成部材22b'とが配されている。
巻鉄心がアモルファス材から成る場合は、コイル絶縁部材21b'は、図5に示すように、内鉄心11a'の内周面に沿った平面部の幅(Y軸方向の幅)が、内鉄心11a'と外鉄心11b'のそれぞれの幅Wよりも2Gだけ広くされ、かつ、内鉄心11a'の両側において内鉄心11a'と外鉄心11b'の厚さ方向(−Z軸方向)に、h'だけ伸びた構成とされている。該h'は、内鉄心11a'の厚さt'よりも大幅に小さい。かかる構成により、コイル絶縁部材21b'と貫通孔形成部材22b'とは、コイル12a'、12b'の+Z軸方向の端面から内鉄心11a'に至るコイル絶縁部材21b'の表面に沿った距離(沿面距離)L'を所定値以上にし、コイル12a'、12b'と内鉄心11a'との間の絶縁性を確保するようにしている。コイル絶縁部材21a'についてもコイル絶縁部材21b'の場合と同様である。また、コイル12b'、12c'の+Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)や、コイル12b'、12c'の−Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)についても同様である。
また、巻鉄心が珪素鋼板から成る場合には、コイル絶縁部材21b'は、図6に示すように、内鉄心11a'の内周面に沿った平面部の幅(Y軸方向の幅)が、内鉄心11a'と外鉄心11b'のそれぞれの幅Wと略等しくされ、かつ、内鉄心11a'の両側において内鉄心11a'と外鉄心11b'の厚さ方向(−Z軸方向)に、h'だけ伸びた構成とされている。該h'は、内鉄心11a'の厚さt'よりも大幅に小さい。内鉄心11a'のうち、コ字状のコイル絶縁部材21b'の内部に収納される部分のY軸方向の幅は、該コイル絶縁部材21b'の幅よりも小さくされ、該コイル絶縁部材21b'と貫通孔形成部材22b'とは、コイル12a'、12b'の+Z軸方向の端面から内鉄心11a'に至るコイル絶縁部材21b'の表面に沿った距離(沿面距離)L''を所定値以上にし、コイル12a'、12b'と内鉄心11a'との間の絶縁性を確保するようにしている。コイル絶縁部材21a'についてもかかるコイル絶縁部材21b'の場合と同様である。また、コイル12b'、12c'の+Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)や、コイル12b'、12c'の−Z軸方向の端面と内鉄心11a'の内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)についても同様である。
従来、1次側コイルの電圧が例えば22,000V以上の特高変圧器においては、上記沿面距離L'、L''は約40×10−3m以上が必要とされている。図5、図6に示す構成のコイル絶縁部材においては、該必要値を満たす沿面距離L'、L''は、該コイル絶縁部材のY軸方向の幅と内鉄心のY軸方向の幅との差を増大させることで実現されている。
なお、図4において、13'はコイル押え金具、14'は、コイル12c'の外周面とコイル押え金具13'との間に配された絶縁部材、15a'、15b'はそれぞれコイル支え部材、16'は連結材、17'は上締金具、18'は下締金具、t'は、外鉄心11b'の厚さである。
一般に、コイルに印加される電圧が高くなるほど、コイル絶縁部材の沿面距離を長くして、コイルと鉄心との間の所定の絶縁性を確保する必要がある。上記従来技術においてコイル絶縁部材の沿面距離を長くしようとするとき、例えば図5の構成の場合には、コイル絶縁部材21b'のY軸方向の幅寸法を増大させて、内鉄心11a'の幅寸法 との差寸法2Gを増大させる必要があるが、該コイル絶縁部材21b'のY軸方向の幅寸法の増大は、変圧器100'の寸法を増大させるとともに、該コイル絶縁部材21b'の外側を覆う下締金具18'の大型化や構造の複雑化を招く。コイル絶縁部材21a'のY軸方向の幅寸法を増大させる場合も同様である。また、例えば図6の構成の場合には、内鉄心11a'の、コイル絶縁部材21b'の内部に収納される部分のY軸方向の幅を縮減させ、該コイル絶縁部材21b'の幅との差寸法を増大させる必要があるが、該内鉄心11a'のY軸方向の幅の縮減は、該内鉄心11a'の断面積を縮減し、磁気回路における磁気抵抗の増大、漏洩磁束の増大、鉄損の増大などを招き、変圧器100'の能率を低下させる。内鉄心11a'の、コイル絶縁部材21a'の内部に収納される部分のY軸方向の幅を縮減させ、該コイル絶縁部材21a'の幅との差寸法を増大させる場合も同様である。
さらに、上記従来技術においては、図5、図6いずれの構成においても、コイル絶縁部材のY軸方向の幅寸法が常に、巻鉄心の幅寸法よりも大きくされるため、該鉄心が例えば、変形し易い構成である場合にも、該コイル絶縁部材によってはほとんど補強されない。該補強のためには、別途補強用部材が必要となり、製造コストの増大にもつながる。
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、変圧器において、寸法の増大や製造コストの増大を抑えた状態で、コイルと巻鉄心との間の絶縁性を向上させることができるようにすることである。
本発明の目的は、上記課題点を解決し、安全性が確保された信頼性の高い変圧器を提供することにある。
上記課題点を解決するために、本発明では、巻鉄心を用いた変圧器本体が絶縁油中に設置される構成の変圧器において、コイルと巻鉄心との間の絶縁性を確保するためのコイル絶縁部材を、(1)コイルのコイル軸方向の端面と巻鉄心の内周面との間に配される第1の部分と、該巻鉄心の厚さ方向の側面に配される第2の部分とを有し、第1の部分は、上記巻鉄心の幅方向の寸法が該巻鉄心の幅寸法と略等しくかつ上記コイルの上記端面に対向する面内に、該巻鉄心の幅方向に貫通し上記絶縁油の流動路を形成する凹状の貫通孔が設けられた構成であり、また、上記第2の部分は、上記巻鉄心の厚さ方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくかつ平面が該巻鉄心の厚さ方向の側面に当接された構成とする。また、上記コイル絶縁部材を、(2)コイルのコイル軸方向の端面と上記巻鉄心の内周面との間に配される第1の部分と、該第1の部分に連続し該巻鉄心の厚さ方向の両側面に配される第2の部分とを有して成り、第1の部分は、上記巻鉄心の幅方向の寸法が該巻鉄心の幅寸法と略等しくかつ上記コイルの上記端面に対向する面内に、該巻鉄心の幅方向に直線状に貫通し絶縁油の流動路を構成する凹状の貫通孔を形成する複数行・複数列の貫通孔形成部が、当該第1の部分における他の部分と一体化して設けられた構成、また、第2の部分は、上記巻鉄心の厚さ方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくかつ平面が該巻鉄心の厚さ方向の側面に当接された構成とする。
本発明によれば、巻鉄心を用いた構成の変圧器において、変圧器寸法の増大を抑えた状態で、コイルと巻鉄心との間の絶縁性を向上させることができる。
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明の実施例の説明図である。図1は、本発明の実施例としての変圧器の構成を示す図、図2は、図1の変圧器におけるコイル絶縁部材の構成を示す図、図3は、コイル絶縁部材の他の構成例を示す図である。
図1において、100は、本発明の実施例としての3相3脚式巻鉄心構造の変圧器、11a、11a、11bは、変圧器100の磁気回路を形成する環状の巻鉄心であって、このうち、11a、11aは内鉄心、11bは外鉄心である。12a、12b、12cは、巻鉄心に巻回され(はめ込まれ)該巻鉄心を励磁するコイルであって、12aは、内鉄心11aと外鉄心11bに巻回され該両鉄心を励磁するコイル、12bは、内鉄心11a、11aに巻回され該両鉄心を励磁するコイル、12cは、内鉄心11aと外鉄心11bに巻回され該両鉄心を励磁するコイルである。13は、コイル12cの外周側を支持するコイル押え金具、14は、絶縁紙などのシート状の絶縁材から成る絶縁部材、15a、15aは、コイル12b、12cの+Z軸方向の端面に配され、該両端面を支えるコイル支え部材、15b、15bは、コイル12b、12cの−Z軸方向の端面に配され、該両端面を支えるコイル支え部材、16は、コイル支え部材15a、15bを連結する連結材、17は、外鉄心11bの上方(+Z軸方向)に配された上締金具、18は、外鉄心11bの下方(−Z軸方向)に配された下締金具、21aは、コイル12a、12bの+Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に配され、該コイル12a、12bと巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)との間の所定の絶縁性を確保するためのコ字状のコイル絶縁部材、21bは、コイル12a、12bの−Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に配され、該コイル12a、12bと巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)との間の所定の絶縁性を確保するためのコ字状のコイル絶縁部材、22aは、コイル絶縁部材21aと内鉄心11aの内周面との間に配され、内鉄心11aの幅方向(Y軸方向)に貫通した貫通孔を形成するための貫通孔形成部材、22bは、コイル絶縁部材21bと内鉄心11aの内周面との間に配され、該内鉄心11aの幅方向(Y軸方向)に貫通した貫通孔を形成するための貫通孔形成部材である。コイル絶縁部材21a、21bも、例えば絶縁紙などの絶縁材で構成される。また、コイル12a、12b、12cはそれぞれ、内側に低圧側コイルである2次側コイル、外側に高圧コイルである1次側コイルが設けられた構成であるとする。
上記コイル絶縁部材21aは、その巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の幅方向の寸法すなわちそのY軸方向の寸法が、該巻鉄心の幅寸法と略等しくされた第1の部分と、該巻鉄心の厚さ方向すなわち+Z軸方向に伸び該+Z軸方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくされた第2の部分とを有して構成される。同様に、上記コイル絶縁部材21bは、その巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の幅方向の寸法すなわちそのY軸方向の寸法が、該巻鉄心の幅寸法と略等しくされた第1の部分と、該巻鉄心の厚さ方向すなわち−Z軸方向に伸び該−Z軸方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくされた第2の部分とを有して構成される。コイル絶縁部材21a、21bにおいて、上記第2の部分は、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の厚さ方向(±Z軸方向)の側面に当接されている。
上記コイル絶縁部材21aの上記第2の部分は、コイル12a、12bの+Z軸方向の端面側において該コイル12a、12bの端面から巻鉄心に至る該コイル絶縁部材21aの沿面距離(コイル絶縁部材21aの表面に沿った距離)を増大させ、上記コイル絶縁部材21bの上記第2の部分は、コイル12a、12bの−Z軸方向の端面側において該コイル12a、12bの端面から巻鉄心に至る該コイル絶縁部材21bの沿面距離(コイル絶縁部材21bの表面に沿った距離)を増大させる。すなわち、コイル絶縁部材21a、21bのY軸方向の寸法が巻鉄心の幅寸法と略等しくなるように抑えられた場合にも、上記所定の沿面距離を確保し、コイル12a、12bと巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)との間の絶縁性を確保するようにしている。
変圧器100において、コイル12b、12cの+Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)や、コイル12b、12cの−Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)についても、上記コイル絶縁部材21a、21bの場合と同様である。
なお、上記変圧器100は、図1に示す3相3脚式構成の変圧器本体が、絶縁油を満たした油槽中に設置される油入変圧器の一例であるが、図1においては該油槽は図示されていない。
以下、説明中で用いる図1の構成中の各要素には、図1の場合と同じ符号を付して用いる。
図2は、図1の変圧器100におけるコイル絶縁部材の構成を示す図であり、(a)は、図1の変圧器100のA−A断面構成の拡大図、(b)は、(a)中の貫通孔形成部材の平面図である。
図2(a)において、tは、内鉄心11aの厚さ寸法、tは、外鉄心11bの厚さ寸法、tは、内鉄心11aの厚さ寸法tと外鉄心11bの厚さ寸法tの和、Wは、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の幅寸法、21bは、コイル絶縁部材21b内において、コイル12a、12bのコイル軸方向(−Z軸方向)の端面と巻鉄心(内鉄心11a)の内周面との間に配されその該巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の幅方向(Y軸方向)の寸法が、該巻鉄心の幅寸法Wと略等しくされた第1の部分、21b21、21b22は、同じくコイル絶縁部材21b内において、巻鉄心の厚さ方向(−Z軸方向)に伸び該方向の寸法(h)が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくされた第2の部分、hは、コイル絶縁部材21bの該第2の部分21b21、21b22の−Z軸方向の長さ寸法、Lは、コイル12a、12bの−Z軸方向の端面側において該コイル12a、12bの端面から巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)に至るコイル絶縁部材21bの沿面距離である。
また、図2(b)において、22bs〜22bsは、Y軸方向に複数行・複数列に配列された貫通孔形成部材22bが形成するY軸方向の凹状の貫通孔である。
図2の構成において、コイル絶縁部材21bは、その第1の部分21bのY軸方向の寸法が、巻鉄心の幅寸法Wと略等しくされた構成においても、上記沿面距離Lとして、従来の変圧器100'における図5の沿面距離L'や図6の沿面距離L''の値以上の所定の長さを容易に確保することができる。例えば、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の厚さ寸法(−Z軸方向の厚さ寸法)が100×10−3m、貫通孔形成部材22bの−Z軸方向の厚さが10×10−3mの場合には、沿面距離Lは、約110×10−3mとなる。コイル絶縁部材21aの場合も同様である。このため、変圧器寸法を増大させずに、大きな沿面距離が得られ、コイル12a、12bと巻鉄心との間の絶縁性を確保することができる。コイル12b、12cと巻鉄心との間の絶縁性ついても同様で、コイル12b、12cのコイル軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に、例えば、コイル絶縁部材21a、21bと同様のコイル絶縁部材や、貫通孔形成部材22a、22bと同様の貫通孔形成部材を設けることで、上記絶縁性を確保することができる。コイル絶縁部材21a、21bはまた、それぞれの第2の部分が、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の厚さ方向(±Z軸方向)の側面に当接されているため、該巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)を補強するように作用する。コイル絶縁部材21a、21bは、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)に対し、絶縁テープなどを用いて固定する。また、図2の構成において、貫通孔形成部材22bが形成する貫通孔22bs〜22bsは、コイル12a、12bそれぞれのコイル軸方向の端面とコイル絶縁部材21bとの間に絶縁油の流動路を形成する。絶縁油が該流動路内を流れることによって、コイル絶縁部材21bの絶縁性能が一層向上するとともに、該コイル絶縁部材21bや、コイル12a、12bや、内鉄心11aの冷却もなされる。該貫通孔の数は、図2に示した3個に限らず、4個以上であってもよいし、または2個以下であってもよい。また、貫通孔形成部材22bをコイル絶縁部材21bと一体化し、貫通孔をコイル絶縁部材21b内に設ける構成としてもよい。コイル絶縁部材21aの場合も、かかるコイル絶縁部材21bの場合と同様である。
上記図1、図2で説明した変圧器100によれば、コイル絶縁部材は、その第1の部分のY軸方向の寸法を巻鉄心の幅寸法Wと略等しくした状態で、第2の部分によって、所定の長さの沿面距離を容易に確保することができる。このため、変圧器寸法を増大させずに、コイル12a、12bと巻鉄心との間の絶縁性を確保することができる。該第2の部分によっては、巻鉄心の補強もなされる。また、コイル12a、12bそれぞれのコイル軸方向の端面とコイル絶縁部材との間には、貫通孔によって絶縁油の流動路が形成されるため、コイル絶縁部材の絶縁性能の一層の向上、該コイル絶縁部材やコイル12a、12bや内鉄心11aの冷却も可能となる。貫通孔形成部材をコイル絶縁部材と一体化し、上記貫通孔をコイル絶縁部材内に設けた構成の場合には、変圧器の製造作業性も改善することができる。
以下、説明中で用いる図1、図2の構成中の各要素にも、図1、図2の場合と同じ符号を付して用いるものとする。
図3は、図1の変圧器100におけるコイル絶縁部材の他の構成例を示す図である。
図3は、コイル絶縁部材21bとして、第1の部分21bと対向する側に、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)の外周面を覆う第3の部分21bを、第2の部分21bに連続して設けた構成とした場合を示す。貫通孔形成部材22bは、図2のコイル絶縁部材21bの場合と同様、Y軸方向の貫通孔を形成しているものとする。貫通孔形成部材22bをコイル絶縁部材21bと一体化し、貫通孔がコイル絶縁部材21b内に形成される構成としてもよい。コイル絶縁部材21aも、図3のコイル絶縁部材21bと同様の構成を有するものとする。コイル絶縁部材21a、21bは、巻鉄心(外鉄心11b、内鉄心11a)に対し、絶縁テープなどを用いて固定する。さらに、変圧器100において、コイル12b、12cの+Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)や、コイル12b、12cの−Z軸方向の端面と内鉄心11aの内周面との間に設けられるコイル絶縁部材(図示なし)についても、上記コイル絶縁部材21a、21bの場合と同様である。
コイル絶縁部材として上記図3に示す構成のものを用いた変圧器100の場合も、コイル絶縁部材は、第1の部分のY軸方向の寸法を巻鉄心の幅寸法Wと略等しくした状態で、第2の部分及び第3の部分によって、所定の長さの沿面距離を容易に確保することができる。このため、変圧器寸法を増大させずに、コイル12a、12bと巻鉄心との間の絶縁性を確保することができる。該第2の部分及び第3の部分によっては、巻鉄心の補強もなされる。また、コイル12a、12bそれぞれのコイル軸方向の端面とコイル絶縁部材との間には、貫通孔によって絶縁油の流動路が形成されるため、コイル絶縁部材の絶縁性能の一層の向上、該コイル絶縁部材やコイル12a、12bや内鉄心11aの冷却も可能となる。貫通孔形成部材をコイル絶縁部材と一体化し、上記貫通孔をコイル絶縁部材内に設けた構成の場合には、変圧器の製造作業性も改善することができる。
本発明の実施例として変圧器の構成図である。 図1の変圧器におけるコイル絶縁部材の構成図である。 図1の変圧器におけるコイル絶縁部材の他の構成例図である。 従来の変圧器の構成図である。 図4の変圧器におけるコイル絶縁部材の構成図である。 図4の変圧器におけるコイル絶縁部材の他の構成図である。
符号の説明
100、100'…変圧器、
11a、11a、11b、11a'、11a'、11b'…巻鉄心、
12a、12b、12c、12a'、12b'、12c'…コイル、
13、13'…コイル押え金具、
14、14'…絶縁部材、
15a、15a、15b、15b、15a'、15b'…コイル支え部材、
16、16'…連結材、
17、17'…上締金具、
18、18'…下締金具、
21a、21b…コイル絶縁部材、
22a、22b…貫通孔形成部材、
22bs〜22bs…貫通孔、
、L'、L''…沿面距離。

Claims (4)

  1. 絶縁油を満たした油槽中に変圧器本体が設置される変圧器であって、
    変圧器の磁気回路を形成する環状の巻鉄心と、
    上記巻鉄心に巻回され該巻鉄心を励磁するコイルと、
    絶縁材で構成され上記巻鉄心と上記コイルとの間を絶縁するコイル絶縁部材と、
    を備えて成り、
    上記コイル絶縁部材が、上記コイルのコイル軸方向の端面と上記巻鉄心の内周面との間に配される第1の部分と、該第1の部分に連続し該巻鉄心の厚さ方向の両側面に配される第2の部分とを有して構成され、上記第1の部分は、上記巻鉄心の幅方向の寸法が該巻鉄心の幅寸法と略等しくかつ上記コイルの上記端面に対向する面内に、該巻鉄心の幅方向に貫通し上記絶縁油の流動路を形成する凹状の貫通孔が設けられた構成であり、また、上記第2の部分は、上記巻鉄心の厚さ方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくかつ平面が該巻鉄心の厚さ方向の側面に当接された構成である、
    ことを特徴とする変圧器。
  2. 上記巻鉄心は、内鉄心と外鉄心とから成り、
    上記コイル絶縁部材は、上記第1の部分が上記内鉄心の内周面に対向し、上記第2の部分の上記巻鉄心の厚さ方向の寸法が、上記内鉄心の厚さと上記外鉄心の厚さとの和に略等しい構成である請求項1に記載の変圧器。
  3. 絶縁油を満たした油槽中に変圧器本体が設置される変圧器であって、
    変圧器の磁気回路を形成する環状の巻鉄心と、
    上記巻鉄心に巻回され該巻鉄心を励磁するコイルと、
    絶縁材で構成され、上記コイルのコイル軸方向の端面と上記巻鉄心の内周面との間に配される第1の部分と、該第1の部分に連続し該巻鉄心の厚さ方向の両側面に配される第2の部分とを有して成り、上記第1の部分は、上記巻鉄心の幅方向の寸法が該巻鉄心の幅寸法と略等しくかつ上記コイルの上記端面に対向する面内に、該巻鉄心の幅方向に直線状に貫通し上記絶縁油の流動路を構成する凹状の貫通孔を形成する複数行・複数列の貫通孔形成部が、当該第1の部分における他の部分と一体化して設けられた構成であり、また、上記第2の部分は、上記巻鉄心の厚さ方向の寸法が該巻鉄心の厚さ寸法と略等しくかつ平面が該巻鉄心の厚さ方向の側面に当接された構成であるコイル絶縁部材と、
    を備えたことを特徴とする変圧器。
  4. 上記コイル絶縁部材は、上記第1の部分と対向する側にあって上記巻鉄心の外周面を覆う第3の部分が上記第2の部分に連続して設けられ構成である請求項1または請求項3に記載の変圧器。
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