JP5064095B2 - フェノール化リグニンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、草木質材料からリグニンを単離して活用するためのフェノール化リグニンの製造方法に関し、詳しくは草木質材料をフェノール誘導体とともに酸溶液に浸して抽出したフェノール化リグニンを主体成分とする固相分を中和した後に濾過し、迅速な乾燥が可能なフェノール化リグニンの製造方法に関する。
現在、石油由来の原料や製品はあらゆる分野において多用されており、合成樹脂もその1つである。しかし、石油は化石資源であることから再生産が不可能な枯渇資源であること、廃棄後の環境への悪影響が問題となることなどから、脱石油依存社会の必要性が高まってきている。これを背景として、バイオマス資源であることにより再生産が可能で、且つ地球環境にも優しい植物由来の原料が着目されている。例えば主に炭水化物(糖質)であるセルロースと樹脂成分であるリグニンとで構成されている草木質材料リグニンを単離できれば、当該リグニンを環境に優しい樹脂として利用できる。リグニンは、木材中であれば20〜30%を占めており、高等植物では生育に伴い道管・仮道管・繊維などの組織で生産される。このリグニンは、いわゆる生分解性樹脂として使用でき、これを廃棄したとしても白色腐朽菌などにより低分子化され、さらにSphingomonas paucimobilis SYK-6などのバクテリアにより分解されることで無機化することが知られている。しかし、リグノセルロース物質(植物)を主に構成するセルロースとリグニンは構造および性質が全く異なり、かつ両者は分子レベルで複雑に絡み合った状態で存在している。したがって、植物由来のリグニンを単独で利用するには、まずセルロースとリグニンとを分離することが必要となる。
そこで、草木質材料からリグニンを単離する方法として、木材を濃硫酸で処理する方法がある。このような技術を採用した特許文献として特許文献1があり、本出願人の一人も特許文献2を提案している。特許文献1では、フェノール存在下において草木質材料を濃硫酸処理することで、リグニンの自己縮合(不活性化)を防ぎながらセルロースを硫酸溶液に溶出させている。その後固液分離したうえで水酸化ナトリウムなどで中和した後、乾燥させてフェノール化リグニンを得ている。特許文献2では、濃硫酸処理する際にアセトンも介在させることでフェノール誘導体としてのクレゾールと硫酸との溶融性を高めてセルロースを酸加水分解した後、炭酸ナトリウムなどの弱塩基物質によって中和した固相分を濾別し、その後アセトンやエーテルで精製処理を行なっている。
特開2004−210899号公報 特開2006−225325号公報
しかし、特許文献1や特許文献2では水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムで中和しているので、酸に対して過剰な塩基物質を添加すれば未反応のナトリウム分が不純物として残存してしまう。これを除去するために水洗浄することが考えられるが、その分の手間と時間を要する。また、特許文献1では強塩基である水酸化ナトリウムを中和剤として使用しているので、中和後の固相分の濾過が著しく困難であった。特許文献2では弱塩基である炭酸ナトリウム等によって中和しているので濾過が不可能ではないが、やはりナトリウム分の存在により濾過性が高くはない。この理由は必ずしも明確ではないが、リグニンとナトリウムとが結合することでフェノール化リグニンの水溶性が高まり、各フェノール化リグニンの粒子が細かくなって濾紙に目詰まりするからと考えられる。
そこで本発明は、酸処理により抽出した固相分を濾過することができ、不純物が少なく迅速な乾燥が可能なフェノール化リグニンの製造方法を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明のフェノール化リグニンの製造方法は、草木質材料をフェノール誘導体とともに酸溶液に浸して処理する酸反応工程と、該酸反応工程により抽出した固相分を揮発性塩基物質で中和する中和工程と、該中和工程後の固相分を濾過する濾過工程とを有する。ここで、草木質材料とは、主に糖質としてのセルロースと樹脂成分としてのリグニンとによって構成されているリグノセルロース物質であって、代表的には木本類や草本類の植物が相当する。また、フェノール化リグニンとは、草木質材料を酸処理してリグニンとセルロースとが分離するとき、フェノール誘導体がリグニン中の分子鎖と化学結合して安定化(グラフト化)した状態のリグニンをいう。なお、以下においては、濾紙というときは、濾布をも含めた概念として説明する。
草木質材料を酸溶液で処理すると、糖質であるセルロースが加水分解されて溶出し、リグニンが固相分として抽出できる。このとき、フェノール誘導体を存在させていることで、リグニンの自己重合が防止される。この酸反応工程における具体的処理方法は特に限定されることはなく、公知の方法で行なえばよい。これにより得られたフェノール化リグニンを主体成分とする固相分の純度を高めるため、揮発性塩基物質によって酸を中和し、これを濾過することで余分な水分と不純物を除去している。濾別されたフェノール化リグニン(固相分)はケーキ状を呈しており、そのまま製品として使用してもよいし、乾燥してフレーク状のフェノール化リグニンを得てもよい。
このとき、中和工程で使用する揮発性塩基物質の沸点は150℃以下であることが好ましい。揮発性塩基物質としては、置換アルキルアミン類、アルカノールアミン類、及び環式アミン類、及びアンモニアなどのアミン類を含むものを挙げることができ、これらのうち1種のみを使用してもよいし2種以上を混合して使用することもできる。
本発明によれば、酸処理工程によって抽出した固相分を揮発性塩基物質によって中和しているので、良好に濾過することができる。この理由も必ずしも明確ではないが、揮発性塩基物質で中和する場合はフェノール化リグニンが溶解するとしてもその表面のみであり、フェノール化リグニン粒子はある程度の塊を維持した比較的大きな粒子となるので、濾紙に目詰まりすることがないからと考えられる。これにより、フェノール化リグニン中の不純物を効果的に除去して純度を高め、その収率も高めることができる。
不揮発性の塩基物質で中和すれば、中和後に残存する塩基物質によって灰分の増加や電気伝導度の増大など、フェノール化リグニンの特性を悪化させる原因となる。これに対し、揮発性塩基物質を使用していれば、酸に対して過剰な塩基物質を添加した場合でも、濾過後の脱水ケーキ中に不純物として残存する塩基成分は経時的に揮発により減少していく。これにより、残存塩基物質を洗浄する工程を要することなく、得られるフェノール化リグニンの純度をより向上させることができ、かつ乾燥時間を短縮することもできる。
揮発性塩基物質は、その沸点が150℃以上のものでも使用できないことはないが、揮発性塩基物質の沸点が150℃以下であれば良好な揮発性を有し、有意な乾燥時間の短縮が可能となる。置換アルキルアミン類、アルカノールアミン類、および環式アミン類などのアミン類、特にアンモニアは、コストや取扱い性の面で有利である。
本発明は、図1に示すのフローのように、先ず酸反応工程において草木質材料を酸で処理して糖質(セルロース)を溶出し、フェノール化リグニンを固相分として抽出する。次いで、中和工程において得られた固相分を中和して酸を除去し、最後に濾過工程において固相分を濾過することでさらに余分な不純物を除去している。
原料となる草木質材料としては、主にセルロースとリグニンによって構成されている木本類や草本類の植物を使用することができる。例えば、木本類としてスギやヒノキなどの針葉樹や、シイ、柿、サクラなどの広葉樹の他、熱帯樹を使用することができる。また、草本類としてケナフ、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ワラ、バガスなどを使用することができる。原料として処理する際、草木質材料は、粉状、チップ状、廃材、端材など種々の形態で使用可能である。
[酸反応工程]
酸反応工程は、フェノール誘導体によってリグニンの自己重合を阻止しながら、酸によってセルロースを加水分解する工程であり、その具体的方法は特に限定されることはなく、例えば上記特許文献1や特許文献2などに開示された公知の方法に準じて行なえばよい。具体的には、草木質材料をあらかじめフェノール誘導体と混合させておいてから酸溶液に浸したり、草木質材料とフェノール誘導体とを同時に酸溶液に浸したり、あらかじめフェノール誘導体を酸溶液と混合させておいてからこれに草木質材料を浸したりする場合などが挙げられる。ここで使用する酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸、及びヨウ化水素酸などの強酸水溶液を用いることができ、その酸濃度を60%〜80%程度と高濃度に調整している。酸濃度が60%より低いと、草木質材料の分子構造を確実に破壊できず、セルロースを加水分解して溶出させることが不十分となるおそれが生じるからである。一方、酸濃度が80%より高いと確実に分子構造を破壊できるが、加水分解されて酸溶液中に溶出したセルロースが糖分として析出するとともに、その糖分の炭化が進行して、無駄に不純物を増加させてしまうおそれがあるからである。
フェノール誘導体としては、1価のフェノール誘導体、2価のフェノール誘導体、3価のフェノール誘導体などを用いることができるが、使用する酸溶液に溶解しやすいものが望ましい。例えば、硫酸溶液を用いる場合においては、フェノール、クレゾール、キシレノール、カテコール、レゾルシノール等のフェノール誘導体を用いることができる。さらに、濃硫酸溶液中で高温で加熱すると酸溶液中に溶出した糖分が析出して炭化が進行するため、及びエネルギーコストの点から、フェノール、キシレノール、クレゾールなどの比較的低融点のフェノール誘導体を用いることが望ましい。特に、安価に入手できるフェノールが望ましい。
酸反応工程で使用する処理溶液は、草木質材料の重量に対して5%〜25%程度のフェノール誘導体を濃酸溶液中に添加して得られる。そして、常温もしくはフェノール誘導体の融点前後の温度に加熱した処理溶液に草木質材料を混入し所定時間攪拌する。これにより、草木質材料中に存在するセルロースが加水分解されて処理溶液中に溶出する。その際、草木質材料中に存在するリグニンは部分的に解縮合し得るが、処理溶液中のフェノール誘導体が常にリグニンの付近に存在するため、分離したリグニンの側鎖に即座にフェノール誘導体が化学結合(グラフト化)し、リグニンの自己縮合を抑制して安定化を図ることができる。これにより、最終的に得られるフェノール化リグニンの熱流動性を低くすることができるため、例えば接着剤として活用する場合などに有効となる。なお、処理溶液を所定温度に加熱してフェノール誘導体を濃酸溶液中に均一に溶解させていれば、草木質材料の内部にまでフェノール誘導体がよく浸透し、草木質材料内外部でのリグニンの自己縮合の抑止度のばらつきを小さくすることができる。このように、酸反応工程では、草木質材料中のセルロースが加水分解されて処理溶液中に溶出すると共に、その他の金属元素なども処理溶液中に溶出し、フェノール誘導体によりフェノール化したリグニンは固相分として抽出される。
[固液分離]
酸反応工程を経た後は、過剰な酸、及び溶出した糖質や金属元素を除去するため固液分離することが好ましい。このタイミングでの固液分離は必ずしも必要ではないが、固液分離によってある程度の酸や溶液を排除していれば、後の中和工程での中和剤の添加量を低減できる点で有用である。その固液分離方法としては、デカンテーションや遠心分離により行うことができる他、フィルタープレスも好適であるし、通常の濾過でもよい。なお、このタイミングでは、濾過性に問題はない。
[洗浄]
固液分離により酸等の不純物をある程度排除した後、若しくは固液分離に先立って、必要に応じて水洗浄することも好ましい。例えば固液分離により液相分と固相分とを分離しても、得られた固相分には未だ多くの処理溶液が含まれている。この処理溶液には溶出した糖質や金属元素のほか、未反応フェノールや酸が溶解している。そこで、水洗浄することで、さらにこれらの不純物を除去してリグニンの純度を高めておくことができる。水洗浄は、得られた固相分をこれよりも十分に多くの量の水に混合分散させた後に、濾過等を行って脱水したり、通水洗浄したりできる。
[中和工程]
次いで、酸を確実に除去するために固相分を揮発性塩基物質を用いて中和する。代表的には、揮発性塩基物質を溶解した溶液中に固相分を混合分散して行なう。中和工程前の固相分は、水洗浄していなければpH2以下の強酸性領域にあり、水洗浄していれば、その回数や処理時間等にもよるが、弱酸性領域に近いpHとなっている。そして、中和工程においては、固相分のpHを4〜8、好ましくは5〜6の範囲に調整することが好ましい。pHが4未満では酸が残留しているおそれがある。一方、pHが8を越えると、フェノール化リグニンが溶解して濾過性が悪化したり、収率が低下するおそれがある。リグニンは、pH8を越えた程度で桃色から茶色に変化する性質があるので、少なくとも茶色に変色しないことを目安とすることができる。
中和液の揮発性塩基物質濃度は、上記pH条件を踏まえて固相分に残存する酸の量に応じて適宜調整すればよいが、例えば固液分離と水洗浄を経た固相分に対しては、フェノール化リグニンの乾燥重量に対して0.2〜2.0重量%程度の添加でよい。フェノール化リグニンの乾燥重量に対して0.2重量%未満であると、確実に酸を中和することができず、逆に2.0重量%を超えると酸に対して過剰となりコストの無駄を生じたり、pHが上昇し過ぎて濾過性が悪化するおそれがある。揮発性塩基物質としては、置換アルキルアミン類、アルカノールアミン類、環式アミン類などのアミン類を含むものや、アンモニアを挙げることができる。置換アルキルアミンとしては、例えば炭素数1〜6のアルキル基を有する第1級アルキルアミン類、炭素数1〜4のアルキル基を有する第2級又は第3級アルキルアミン類を挙げることができる。第2級又は第3級のアルキルアミン類中のアルキル基は、それぞれ炭素数が異なっていてもよい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルジエチルアミンなどがある。また、アルカノールアミンとしては、例えばモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノールなどが挙げられる。環式アミン類としては、モルホリンやピペリジンなどがある。これらの揮発性塩基物質は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、コストや取扱い性などの点で、アンモニアが好ましい。また、アンモニア等の弱塩基物質を使用していれば、固相分中の酸に対して過剰な量を添加してもpHが急激に上昇することはない。したがって、濾過性に対する悪影響を低減でき、厳密な添加量の調整までは必要としない点でも有利である。
[濾過工程]
中和工程を塩基物質溶液中に固相分を分散して行なえば、そのまま乾燥するのでは水分過多状態となり乾燥に多くの時間とエネルギーコストとを要したり、例えば硫酸アンモニウムなどの中和反応により生成した不純物が残存することになる。そこで、中和工程後の固相分を濾過して、硫酸塩などの不純物と余分な水分を除去する。このとき、揮発性塩基物質にて中和しているので、フェノール化リグニンが濾紙に目詰まりすることなく濾過できる。これにより得られたフェノール化リグニンはケーキ状を呈しており、そのまま各種用途に使用してもよいし、乾燥してフレーク状のフェノール化リグニンとしてもよい。このとき、固相分中に過剰な塩基物質が残存していても、当該塩基物質は揮発性を有することから自然消滅するので、純度が向上すると共に乾燥時間を短縮することもできる。
[乾燥工程]
上述のように、濾過工程により不純物を除去できたら、必要に応じて余分な水分を除去するため乾燥する。乾燥方法としては、自然乾燥でもよくファンなどによる送風乾燥でもよい。送風乾燥の場合は、冷風乾燥や温風乾燥でもよいが、リグニンの変性のおそれから熱風乾燥は避けた方がよい。
(実施例1)
草木質材料として、成長が早い植物として知られるケナフを使用した。酸反応工程に際しては、ケナフの靭皮を除去した芯材(ケナフコア)を、長径2mm以下の大きさに粉砕したものを15kg用意した。また、酸として硫酸を、フェノール誘導体としてフェノールを使用した。
まず、70%硫酸溶液75kgに、ケナフコアに対して12重量%相当のフェノール1.8kgを添加し45℃に加熱しながら30分攪拌して、フェノールを硫酸溶液に完全に溶解させた処理溶液を調整した。そして、耐酸材(Ni-Mo合金)製タンク内で処理溶液に原料としてのケナフコア15kgを混入し、45℃に保温しながら30分間攪拌して酸反応工程を行った。次いで、酸反応工程後の固相分(フェノール化リグニン)をフィルタープレスにより固液分離し、固相分を得た。得られた固相分を、重量比で4倍程度の水混合分散して洗浄し、再度フィルタープレスにより固液分離した。この固相分は、乾燥重量換算で3.6kgであった。次いで、フェノール化リグニンの乾燥重量換算に対して1重量%のアンモニアを含む十分な量の水溶液に混合分散させて中和工程を行った。続いて濾過して固液分離し、得られた固相分を自然乾燥し、フレーク状のフェノール化リグニンを得た。
(比較例1)
水酸化ナトリウムにて中和した以外は、先の実施例1と同様にしてフェノール化リグニンを得た。
(比較例2)
比較例1と同様に中和し、濾過工程を行わなかった。
得られた実施例1及び各比較例の濾過性、フェノール化リグニンケーキ中の含水率、灰分含有率、及び電気伝導度を測定し、対比検討した。その結果を表1に示す。なお、各種データの計測方法は以下の通りである。
<濾過性>
次の計算方法にて算出した。
濾過性(%)=(10分後の濾液重量/投入スラリー量)×100
なお、上記計算方法により算出された数値が高い方が、濾紙通過流量すなわち濾過速度が速いことになり、この数値が高い方が濾過性が良いことを意味する。
<含水率>
次の計算方法にて算出した。
含水率(%)=(濾過直後の重量−乾燥後の重量/濾過直後の重量)×100
なお、この数値が低い方が、フェノール化リグニンケーキ中の水分が少なく、乾燥に適していることになる。
<灰分>
粉末試料を坩堝にて135℃で1時間加熱乾燥処理し、次いで800℃で6時間灰化処理した。そして、次の計算方法にて算出した。
灰分(%)=(灰化処理後の重量/乾燥処理後の重量)×100
上記処理により、フェノール化リグニンが灰化し、金属や硫酸塩等の不純物はそのままの形態で残存することになる。したがって、灰分の数値が低い方が、不純物が少ないことになる。
<電気伝導度>
テフロン(登録商標)製容器にて超純水40gに粉末試料6gを混合し、容器を密封して125℃で20時間加熱し、得られた溶液の電気伝導度を測定した。
なお、電気伝導度が低い方が不純物がとして残存している水溶性イオン分が少ないことになる。
Figure 0005064095
表1の結果より、濾過を行なっていない比較例2は、濾過を行なった実施例1や比較例1と比べて含水率及び灰分が極めて高く、乾燥処理に好ましくなく、かつ不純物を多く含んでいることが分かる。また、実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1は濾過性、含水率、灰分、及び電気伝導度の全ての面において比較例1より良好な結果であった。これにより、アンモニアで中和すると、飛躍的に濾過性が向上し、不純物が少なく、かつ迅速な乾燥が可能となることがわかる。
本発明の概念フロー図である。

Claims (5)

  1. 草木質材料をフェノール誘導体とともに酸溶液に浸して処理する酸反応工程と、
    該酸反応工程により抽出した固相分を揮発性塩基物質で中和する中和工程と、
    該中和工程後の固相分を濾過する濾過工程とを有するフェノール化リグニンの製造方法。
  2. 前記揮発性塩基物質の沸点が150℃以下である請求項1に記載のフェノール化リグニンの製造方法。
  3. 前記揮発性塩基物質がアミン類である請求項1または請求項2に記載のフェノール化リグニンの製造方法。
  4. 前記アミン類が置換アルキルアミン類、アルカノールアミン類、および環式アミン類のうちの1種または2種以上である請求項3に記載のフェノール化リグニンの製造方法。
  5. 前記アミン類がアンモニアである請求項3に記載のフェノール化リグニンの製造方法。

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