JP3956047B2 - リグノフェノール誘導体の製造方法 - Google Patents

リグノフェノール誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は木粉等からリグニンを分離精製するリグノフェノール誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保全のため再生可能なバイオマスの利用が脚光を浴びている。木材についても紙,パルプ産業等で利用されてきたセルロースだけでなく、木材に25%〜30%の高い成分比率で含まれているリグニンに関心が寄せられている。しかし、木材においてはその主成分が構造及び性質の異なるリグニンとセルロース等の炭水化物とからなっており、リグニンを分離する必要がある。
従来、木材等からのリグニンの単離法には、▲1▼木粉の95%エタノールによる直接抽出、▲2▼木粉を振動式ボールミルを用いて径約10ミクロンまで微粉砕し、ついで含水ジオキサンによりリグニンを抽出する方法、▲3▼塩酸や硫酸によって加水分解する方法などがある。▲1▼,▲2▼の方法はリグニンの分離される割合が低く、▲3▼の方法はリグニン成分の分離がほぼ完璧に行われるが、リグニン成分の不活性化を伴うため有効利用が難しい問題があった。
【0003】
こうしたなかで、特許第2895087号でリグニンの良溶媒であるクレゾールを利用することによりリグニンの不活性化を抑える発明が開示された。さらに特開2001−261839で第3の方法(本願では以下「ProcessII stepII」という。)と称し、「…濃酸処理後の全反応液を過剰の水中に投入し、不溶区分を遠心分離にて集め、脱酸後、乾燥する。この乾燥物にアセトンあるいはアルコールを加えてリグノフェノール誘導体を抽出する。さらに、この可溶区分を第1の方法と同様に、過剰のエチルエーテル等に滴下して、リグノフェノール誘導体を不溶区分として得る」内容の粗リグノフェノール誘導体から高純度のリグノフェノール誘導体の製法発明が開示された。詳しくは、まずリグノセルロース系材料にp-クレゾールなどのフェノール誘導体を収着させる(「フェノール誘導体収着工程」)。そのフェノール−リグノセルロース材料にセルロースを膨潤することができる酸を添加して激しく撹拌し、所定時間反応後、水の中に投入し、反応を停止させる(「酸反応工程」)。遠心分離により酸・炭水化物画分とリグノフェノール誘導体画分を分画し、後者から残留する酸・炭水化物画分を除去するために、中性付近まで大量の水でデカンテーションを繰り返す。中性付近になると、不溶区分すなわち水洗中和リグノフェノール誘導体を濾別し、よく乾燥させる(「水洗中和工程」)。その後、水洗中和リグノフェノール誘導体に含まれる炭水化物とリグノフェノール誘導体との分離を目的とし、後者のみ溶解可能なアセトンなどの有機溶媒に溶解させる。しかる後、分子量の低いリグノフェノール誘導体を除去するためにジエチルエーテルなどの有機溶媒に前記リグノフェノール誘導体−有機溶液を滴下して、分子量がある程度均一化される精製リグノフェノール誘導体を製造している(「精製工程」)。
この発明は常温で反応させるためエネルギーの節約になることの他に、前記▲3▼の欠点のように縮合によるリグニンの不活性化を伴わないこと、前記▲1▼,▲2▼の欠点のように部分的なリグニンの抽出ではなく木粉中のほぼすべてのリグニンが取り出せるなど優れた技術となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ProcessII stepIIには次のような問題があった。まず、フェノール誘導体を添加した木等のリグノセルロース系材料に濃酸を添加,撹拌後、大過剰の水にてデカンテーションを行い脱酸しており、この水洗中和工程において大量の水を要した。そして、そのデカンテーションに期間を要し生産性が低かった。と同時に、強酸性の廃液を大量に出し、廃液処理が大変であった。
さらに、水洗中和工程のデカンテーションに工業用水や上水を用いた場合、水にNa、K、Caなどの陽イオンが含まれていて、これらの陽イオンが粗リグノフェノール誘導体(水洗中和リグノフェノール誘導体)に吸着されることによって、アセトンなどの有機溶媒に対する溶解率を低下させた。これは、原材料に対する精製リグノフェノール誘導体の回収率が低下することを意味した。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、廃液処理の負担を少なくして、製造にかかる水使用量の節減および工程期間を短縮し生産性を向上させ、さらにアセトン,アルコール等の有機溶媒への溶解率を高くし、精製リグノフェノール誘導体の回収率を向上させることのできるリグノフェノール誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1の発明の要旨は、(イ)フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合する酸反応工程と、(ロ)上記酸反応工程で得られた材料にアルカリ溶液を加えて中和し、その後、溶液と不溶区分を分離するアルカリ中和工程と、(ハ)上記アルカリ中和工程で得られた不溶区分を . 1N〜1Nの範囲の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する酸処理工程と、を具備することを特徴とするリグノフェノール誘導体の製造方法にある。ここで、「アルカリ溶液を加えて中和し」は、アルカリ溶液を加えてpH4〜pH10(より好ましくはpH5〜pH9)の範囲内にすることをいう。
請求項2の発明の要旨は、(イ)フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合する酸反応工程と、(ロ)上記酸反応工程で得られた材料を可溶物側の酸,炭水化物画分と不溶物側のリグノフェノール誘導体画分とに分画し、次いで、該リグノフェノール誘導体画分から残留する酸,炭水化物画分を大量の水で除去し、不溶区分の水洗中和リグノフェノール誘導体を得る水洗中和工程と、(ハ)上記水洗中和リグノフェノール誘導体を . 1N〜1Nの範囲の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する酸処理工程と、を具備することを特徴とするリグノフェノール誘導体の製造方法にある。
【0007】
請求項3に係る発明のリグノフェノール誘導体の製造方法は、請求項1又は2において、アセトン或いはアルコールを前記酸処理工程で分離精製された不溶区分のリグノフェノール誘導体に加えて、リグノフェノール誘導体を抽出し、さらに、その可溶区分を水又はエーテル結合をもつ有機溶媒に注入し、不溶物を除去してリグノフェノール誘導体を得ることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明のごとく、フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加して混合する酸反応工程の後、アルカリ溶液を加えて中和し、溶液と不溶区分を分離するアルカリ中和工程と、アルカリ中和工程で得られた不溶区分を酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する酸処理工程と、を設けると、アセトン等の有機溶媒に可溶な精製されたリグノフェノール誘導体が得られる。アルカリ中和工程によってアルカリ中の陽イオンが一旦はリグノフェノール誘導体に吸着され、有機溶媒に不溶となってしまうが、酸処理工程を経れば、上記陽イオンが遊離し、アセトンなどの不活性有機溶媒への溶解率が高まり、従来法(ProcessII stepII)の水洗中和工程のデカンテーションにイオン交換水もしくは精製水を使用した場合に近くなる。
請求項2の発明のごとく、酸反応工程,水洗中和工程を経ると、水洗中和工程で工業用水等を用いた場合、水に含まれるNa、K、Caなどの陽イオンが水洗中和リグノフェノール誘導体に吸着することによってアセトン等の有機溶媒に対する溶解率を低下させる。しかし、その後の酸処理工程で、水洗中和リグノフェノール誘導体を . 1N〜1Nの範囲の酸溶液に分散させて撹拌し、さらに水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する過程で上記陽イオンが遊離するので、有機溶媒に対するリグノフェノール誘導体の溶解率を高め、その結果、精製リグノフェノール誘導体の回収率を上げることができる。また、請求項1,2の発明では、酸処理工程で酸に分散させた際に低分子のリグノフェノール誘導体が一部水溶化するので、より均一なリグノフェノール誘導体(酸処理リグノフェノール誘導体)を得ることができる。
【0009】
請求項3の発明のごとく、アセトン或いはアルコールを前記酸処理工程で分離精製された不溶区分のリグノフェノール誘導体に加えて、リグノフェノール誘導体を抽出し、さらに、その可溶区分を水又はエーテル結合をもつ有機溶媒に注入し不溶物を除去したリグノフェノール誘導体とすると、アセトンなどの有機溶媒に可溶のより一層精製されたリグノフェノール誘導体になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリグノフェノール誘導体の製造方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1は本発明のリグノフェノール誘導体の製造方法を従来法のProcessII stepIIの反応と対比表示した製造工程図で、酸反応工程(ア)まで同じくする。図2は実施形態1(実施形態3も付加)の製造工程具体例を示す。
【0011】
リグノフェノール誘導体は、酸反応工程(ア),アルカリ中和工程(a),酸処理工程(b)の3つの工程を経て造られる(図1)。
リグノフェノール誘導体の製造方法は、まずリグノセルロース系材料にp-クレゾールなどのフェノール誘導体を収着させる。詳しくは、特開2001-261839にあるProcessII stepIIの方法の記載と同様、「木粉等のリグノセルロース系材料にフェノール誘導体が溶解した溶媒を浸透させた後、溶媒を留去する(フェノール誘導体の収着工程)。次に、このリグノセルロース系材料に酸を混合しセルロース分を酸に溶解」させる。リグニンとフェノール誘導体が反応したリグノフェノール誘導体相はセルロース成分が溶解した酸の相から相分離される(酸反応工程)。本実施形態は、リグノセルロース系材料にp-クレゾールなどのフェノール誘導体を収着させるフェノール誘導体の収着工程を経て、酸反応工程で、フェノール−リグノセルロース材料に72%硫酸などセルロースを膨潤することができる酸を添加して激しく撹拌し、所定時間反応後、所定量の水の中に投入し、反応を停止させる。
【0012】
ここで、前記リグノセルロース系材料とはリグニンとセルロースを含有する針葉樹,広葉樹などの植物で、例えば木材,木片,木粉、木質材料としての合板,集成材,パーティクルボード等、さらにそれらの廃材がある。また各種草本植物、農産廃棄物等も該当する。
また、前記フェノール誘導体は、特開2001-261839,特開2001-131201,特開平9-278904号等に記載のフェノール誘導体と同様に、1価のフェノール誘導体,2価のフェノール誘導体,3価のフェノール誘導体などを用いることができる。具体的には、フロログルシノール・ヒドロキシヒドロキノン・ピロガロール等の三価体、カテコール・レゾルシノール・ハイドロキノン等の二価体、フェノールなどを挙げることができる。リグノセルロース系材料がフェノール誘導体により合成されるリグノフェノール誘導体が疎水性の反応なので一価のフェノールをフェノール誘導体として使用するのが好ましく、コスト,安定性,取り扱い易さ等を鑑みればクレゾールがより好ましい。なお、フェノール誘導体が有していてもよい置換基の種類は限定されない。
前記酸とはセルロースに対して膨潤性を有する酸で、65重量%以上の硫酸(例えば、72重量%の硫酸)、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸などを挙げることができる。
【0013】
次いで、前記酸反応工程で得られた材料にアルカリ溶液を加えて中和し、その後、溶液と不溶区分(アルカリ中和リグノフェノール誘導体)を分離する(アルカリ中和工程)。ここでは、酸を添加して混合した材料を所定量の水に投入し、反応を停止後(酸反応工程)、アルカリ溶液を加えて中和し、中性塩および糖を含む溶液と陽イオンを吸着したアルカリ中和リグノフェノール誘導体の不溶区分を濾別した。なお、上述のごとく酸反応工程で得られた材料にアルカリ溶液を加えて中和するが、そのpHは4〜10、より好ましくは5〜9の範囲である。pH5未満になると、硫酸が残留する虞れがあるからである。一方、pH9を越えると、アルカリ中和リグノフェノール誘導体が溶解する虞れがあるからである。ちなみに、pH8〜9になるとリグニンに変色(ピンク→茶色)が認められる。
【0014】
前記アルカリ中和工程で使用するアルカリ溶液には塩基性有機を含むすべての塩基性物質を用いることができる。しかし、高濃度の強アルカリ溶液を使用した場合、取り扱いが危険であるうえ、リグノフェノール誘導体が一部水溶化するおそれがある。酸処理工程で用いた酸との中和熱が発生し、熱によるリグノフェノール誘導体が変成するおそれもある。また、低濃度の強アルカリ溶液では使用する水量が多くなる。斯るリグノフェノール誘導体への影響、水量の節減、酸で容易に遊離する陽イオンで構成させることを考慮すると、1〜2Nの炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの弱アルカリ溶液が好適である。炭酸ナトリウムは、弱アルカリである点、水への溶解が炭酸ナトリウム28.0g/100gH2O、生成する硫酸ナトリウムで29.4g/100gH2Oと中和前後であまり変わらず、水の使用量を節減するためのポイントになりより好ましい。
【0015】
前記アルカリ中和工程で得られた不溶区分を所定濃度の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分を分離精製し(酸処理工程b)、所望のリグノフェノール誘導体(酸処理リグノフェノール誘導体)を得る。本実施形態は、アルカリ中和工程で得た不溶区分を所定濃度の酸溶液に分散させ、しばらく撹拌した後、図2のごとくイオン交換水もしくは精製水で中性付近までデカンテーションし、濾別して酸処理リグノフェノール誘導体を得た。
【0016】
前記酸処理工程で使用する酸としては、すべての酸性物質を用いることができるが、硝酸、塩酸、臭化水素酸(HBr)、ヨウ化水素酸(HI)および硫酸などの強酸が望ましい。酸のpHはpH1以下であるのが好ましい。酸濃度は強酸ならば0.1N以上必要となる。リグノフェノール誘導体から陽イオンを有効に遊離させるためである。例えば、表1は酸処理工程で硝酸を使用した場合の収率と陽イオン含有率の実験データを示すが、これを裏付ける。一方、酸に処理後、デカンテーションにより中性にするため、水量節減および安全性の観点から濃度はできる限り低い方がよい。こうしたことから、濃度は硝酸、塩酸などの0.1〜1Nにある強酸が好適となる。デカンテーションに用いる水は陽イオンを含まないイオン交換水もしくは精製水とする。表1(後述の表2も同様)でいう収率は、リグノフェノール誘導体をアセトン中で1時間以上撹拌した際、アセトンの可溶区分をリグノフェノール誘導体であるとし、リグノフェノール誘導体がどれだけアセトンに溶解したかを木粉に対する重量パーセントで換算表示したものである。表1で、リグノフェノール誘導体の収率が示す31%の数値は、木粉中のリグニン成分の大半が回収されたことを意味する。
【0017】
【表1】
Figure 0003956047
【0018】
(2)実施形態2
本実施形態のリグノフェノール誘導体は、図1で示す酸反応工程(ア),水洗中和工程(イ),酸処理工程(b')を経て造られる。
リグノフェノール誘導体の製造方法は、まず前述の酸反応工程で得られた材料を可溶物側の酸,炭水化物画分と不溶物側のリグノフェノール誘導体画分とに分画し、次いで、該リグノフェノール誘導体画分から残留する酸,炭水化物画分を大量の水で除去し、不溶区分の水洗中和リグノフェノール誘導体を得る(水洗中和工程)。水洗中和工程では、例えば遠心分離により酸,炭水化物画分とリグノフェノール誘導体画分を分画し、後者から残留する酸,炭水化物画分を除去するために、中性付近まで大量の水でデカンテーションを繰り返す。中性付近になったら、不溶区分たる水洗中和リグノフェノール誘導体を濾別し、よく乾燥させる。
【0019】
次いで、前述の酸処理工程に入る。図1で説明すれば、従来法の水洗中和工程で得た水洗中和リグノフェノール誘導体から右肩上がりの点線矢印で示すごとく、本発明における製造方法の酸処理工程(b')の導入部に入る。水洗中和リグノフェノール誘導体を所定濃度の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製するのである。かくして、所望の酸処理リグノフェノール誘導体を得る。
【0020】
表2は、高Ca含量の水を用いた水洗中和リグノフェノール誘導体と、これを酸処理工程に通した酸処理リグノフェノール誘導体との比較データを示す。
【0021】
【表2】
Figure 0003956047
【0022】
酸処理工程を経ることによりCaイオンの脱離が円滑に行われ、リグノフェノール誘導体の収率が上がる。Caイオンが水洗中和リグノフェノール誘導体に吸着することによってアセトンに対する溶解率を低下させていた水洗中和リグノフェノール誘導体は、酸処理工程を通ることによってCaイオンが遊離し、アセトンに対するリグノフェノール誘導体の溶解率を高め、その結果、精製リグノフェノール誘導体の収率を上げることとなる。水洗中和工程で硬水を使用せざるを得ないときに本法は有益となる。
【0023】
(3)実施形態3
ここでのリグノフェノール誘導体の製造方法は、実施形態1又は2で得た酸処理リグノフェノール誘導体から、図1に示す精製工程(c)を経てより精製されたものを造る方法である。すなわち、実施形態1又は2の酸処理工程で分離精製された不溶区分のリグノフェノール誘導体(酸処理リグノフェノール誘導体)に、アセトン或いはアルコールを加えてリグノフェノール誘導体を抽出し、さらに、その可溶区分を水又は過剰のエチルエーテル等に注入(滴下)してリグノフェノール誘導体(精製リグノフェノール誘導体)とする。酸処理リグノフェノール誘導体に残留する炭水化物とリグノフェノール誘導体との分離を目的とし、後者のみ溶解可能なアセトンなどの有機溶媒に溶解させる。次いで、分子量の低いリグノフェノール誘導体を除去するために水又はジエチルエーテルなどの有機溶媒にリグノフェノール誘導体−有機溶液を滴下して、精製リグノフェノール誘導体を製造する。かくして、有機溶媒に可溶で一段と精製されたリグノフェノール誘導体が得られる。ジエチルエーテルなどの有機溶媒の代りに、水を用いた場合は作業性向上,低コスト化を実現できより好ましくなる。
【0024】
精製工程(c)において、低分子量のリグノフェノール誘導体が取り除かれること、また水でもエーテルとそれほど変わらないことを裏付けるデータを表3に示す。表3中、平均分子量の増加は低分子量画分が取り除かれていることを意味する。水でもエーテルとほぼ同様の結果が得られた。従来使用されてきたエーテルに代えて水が使用できることで、環境面,安全面,コスト面等から一層有益なものになる。
【0025】
【表3】
Figure 0003956047
【0026】
(4)実施例
<1>実施例1
脱脂したリグノセルロース系材料にフェノール誘導体(p-クレゾール)をリグニンC9単位あたり1.5モル倍を吸着させた。その後72%硫酸を添加し激しく1時間撹拌後、投入した濃酸重の約2倍量の水の中に入れ、反応を停止させた。そして、硫酸の重量に対して0.78倍の炭酸ナトリウムを水に溶解させ水溶液とし、硫酸反応後の懸濁液に少しずつ加えていった。ピンク色に変化した段階(pH7付近)でアルカリ溶液の添加を終了させた。不溶区分を濾別し乾燥させてアルカリ中和リグノフェノール誘導体を得た。
次に、このアルカリ中和リグノフェノール誘導体の乾燥重の20倍の1N強酸(硝酸)にいれ、1時間撹拌した。1晩静置後上澄みを捨て、イオン交換水を前述の酸と同量入れ、1晩静置した。その後、上澄みを捨て、酸の半量(不溶区分に対して10倍量)のイオン交換水を入れ、1晩静置した。水の交換を上澄みがpH5を越えるまで繰り返した。沈殿物を乾燥機でよく乾燥させて酸処理リグノフェノール誘導体を得た。
その後、この酸処理リグノフェノール誘導体をアセトンもしくはアルコールに溶解させ、可溶区分のリグノフェノール誘導体を抽出し、さらにその可溶区分を水又は過剰のジエチルエーテル(エーテル結合をもつ有機溶媒)に滴下し不溶物を除去してリグノフェノール誘導体(精製リグノフェノール誘導体)を得た。こうして、実施形態1,3に相当するリグノフェノール誘導体が得られた。
上記酸処理リグノフェノール誘導体は、アセトン等の有機溶媒に可溶のリグノフェノール誘導体になり、また表4に示すごとくクレゾール収着量(従来法3モル倍、本実施例1.5モル倍)の違いを検討したところ、1.5モル倍の方が、3モル倍の方よりも硫酸反応後の水洗中和リグノフェノール誘導体の回収率が向上するのが認められた。種々の実験によって、1.5モル倍で木粉当たりのリグノフェノール誘導体の回収率が高まるかほぼ同等であるのが確認できた。従来よりクレゾールを節減できることとなる。
【0027】
【表4】
Figure 0003956047
【0028】
また、前記アルカリ中和リグノフェノール誘導体は、酸処理リグノフェノール誘導体や精製リグノフェノール誘導体と異なり、有機溶剤に溶けないことによる物性に違いがあるが、プラスチックの可塑剤等として使用可能な結果が出ている。可塑剤等に対してアルカリ中和リグノフェノール誘導体を用いれば酸処理リグノフェノール誘導体や精製リグノフェノール誘導体より生成コストが安くなる。
【0029】
▲2▼実施例2
脱脂したリグノセルロース系材料にフェノール誘導体(p-クレゾール)をリグニンC9単位あたり1.5モル倍を添加した。その後72%硫酸を添加し激しく1時間撹拌後、適当量の水に入れ、反応を停止させた。静置し不溶区分であるリグノフェノール誘導体を沈殿後、上澄みを取り除き同量の水を添加する。pHが5以上になるまで水の交換を繰り返した。その後、不溶区分をろ別し、よく乾燥させ水洗中和リグノフェノール誘導体を得た。水洗中和リグノフェノール誘導体の乾燥重の20倍の1N強酸(硝酸)にいれ、1時間撹拌する。1晩静置後上澄みを捨て、イオン交換水を先述の酸と同量入れ、1晩静置する。次に上澄みを捨て、酸の半量(不溶区分に対して10倍量)のイオン交換水を入れ、1晩静置する。水の交換を上澄みがpH5を越えるまで繰り返した。沈殿物は乾燥機でよく乾燥させ酸処理リグノフェノール誘導体を得た。この酸処理リグノフェノール誘導体をアセトンもしくはアルコールに溶解させ、可溶区分のリグノフェノール誘導体を抽出し、さらにその可溶区分を水又は過剰のエーテル結合をもつ有機溶媒に滴下して不溶物を除去してリグノフェノール誘導体(精製リグノフェノール誘導体)を得た。こうして、実施形態2,3のリグノフェノール誘導体が得られた。
【0030】
(5)効果
実施形態1のリグノフェノール誘導体(酸処理リグノフェノール誘導体)の製造方法によれば、フェノール誘導体を吸着添加した木粉に濃酸を添加し反応させた後、アルカリにより迅速に中和し、その後、低濃度の酸を添加し水で脱酸することで、アセトンもしくはアルコール等の不活性有機溶媒への溶解率の高いリグノフェノール誘導体をより多く製造できる。
従来法では水洗中和工程に長期間を要し、この工程が律速支配して生産性が低かったが、本製法は迅速な中和反応のアルカリ中和工程を組み込むことによって工程期間を大幅に短縮できる。実用化された場合の水洗中和工程(イ)に対応するアルカリ中和工程(a),酸処理工程(b)に要する日数は従来法の10日から5日程度に半減できる。アルカリ中和工程で用いる塩基性物質の種類は問わない。しかし、アルカリにより迅速な中和を行うと、高い活性を持つフェノール活性基がアルカリを構成する陽イオンと反応し、アセトンもしくはアルコールに不溶となり収率低下を招くおそれがある。また強アルカリを用いるとリグノフェノール誘導体が水に溶解し流失する(溶けて無くなってしまう)おそれがある。こうしたことから、酸反応工程の濃酸処理後、弱アルカリにより少量の水で迅速な中和を行うのが好ましい。その後、不溶区分に低濃度の酸を添加する酸処理工程を経ることによって、一旦はアルカリ陽イオンが吸着したリグノフェノール誘導体からアルカリ陽イオンが離れ、アセトンもしくはアルコールへの溶解率の高いリグノフェノール誘導体を得、且つリグノフェノール誘導体の収率を向上させることになる。アルカリ中和工程では副産物として中和塩を含む炭水化物溶液が回収される。pH中性領域で炭水化物の回収ができ、炭水化物の回収処理も容易となる。
従来法は水洗中和工程において大量の水を使用し、デカンテーションに期間を要し、加えて、強酸性の廃液を大量に出していたが、斯る問題を解消する。従来法に比べ、使用する水量が節減できる。強酸性廃液はアルカリ中和工程で中和されるので出ない。
【0031】
実施形態2のリグノフェノール誘導体(酸処理リグノフェノール誘導体)の製造方法によれば、水洗中和工程で得られた不溶区分(水洗中和リグノフェノール誘導体)に低濃度の酸を添加する酸処理工程を経ることによって、リグノフェノール誘導体に吸着していたアルカリ陽イオンが遊離するので、アセトンもしくはアルコールへの溶解率の高いリグノフェノール誘導体を得、且つリグノフェノール誘導体の収率を向上させる。従来の水洗中和工程で工業用水および上水でデカンテーションされて陽イオンを吸着した水洗中和リグノフェノール誘導体は、酸処理工程で酸に処理された後、イオン交換水もしくは精製水で脱酸されることによってアセトン等の有機溶媒に対する溶解率が向上する(表2参照)。精製リグノフェノール誘導体の回収率を一層向上させることになる。
【0032】
実施形態3のリグノフェノール誘導体の製造方法によれば、酸処理工程,精製工程を経ることによって有機溶媒への溶解率が一段と高くより精製されたリグノフェノール誘導体を造りだす。
本発明による酸処理リグノフェノール誘導体や精製リグノフェノール誘導体は、特開2002−105746のようにアセテートと共にアセトンに溶かして紡糸処理を行うことにより繊維積層体ボード等にすることができる。従来より低コストで対応可能になる。
一方、酸反応工程,アルカリ中和工程を経ただけのアルカリ中和リグノフェノール誘導体は、酸処理リグノフェノール誘導体や精製リグノフェノール誘導体と若干異なり、有機溶媒に対して殆ど溶解しない。しかし、プラスチックの可塑剤等に有効使用できる。本製法を用いれば製造コストが安くなり有益となる。
【0033】
尚、本発明においては、前記具体的実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更した実施形態とすることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上ごとく本発明のリグノフェノール誘導体の製造方法は、製造に要する水使用量を少なくでき、さらに工程期間を短縮し生産性を向上させるだけでなく、廃液処理の負担を少なくし、アセトン等の有機溶媒に可溶の精製リグノフェノール誘導体の回収率をも向上させるなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法と本発明のリグノフェノール誘導体の製造方法との工程比較図である。
【図2】本発明の酸反応工程,アルカリ中和工程,酸処理工程,精製工程の詳細フロー説明図である。
【符号の説明】
a アルカリ中和工程
b,b' 酸処理工程
c 精製工程
ア 酸反応工程
イ 水洗中和工程
ウ 精製工程

Claims (3)

  1. (イ)フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合する酸反応工程と、
    (ロ)上記酸反応工程で得られた材料にアルカリ溶液を加えて中和し、その後、溶液と不溶区分を分離するアルカリ中和工程と、
    (ハ)上記アルカリ中和工程で得られた不溶区分を0.1N〜1Nの範囲の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する酸処理工程と、を具備することを特徴とするリグノフェノール誘導体の製造方法。
  2. (イ)フェノール誘導体が収着されたリグノセルロース系材料に酸を添加し混合する酸反応工程と、
    (ロ)上記酸反応工程で得られた材料を可溶物側の酸,炭水化物画分と不溶物側のリグノフェノール誘導体画分とに分画し、次いで、該リグノフェノール誘導体画分から残留する酸,炭水化物画分を大量の水で除去し、不溶区分の水洗中和リグノフェノール誘導体を得る水洗中和工程と、
    (ハ)上記水洗中和リグノフェノール誘導体を0.1N〜1Nの範囲の酸溶液に分散させて撹拌し、その後、水洗して不溶区分のリグノフェノール誘導体を分離精製する酸処理工程と、を具備することを特徴とするリグノフェノール誘導体の製造方法。
  3. アセトン或いはアルコールを前記酸処理工程で分離精製された不溶区分のリグノフェノール誘導体に加えて、リグノフェノール誘導体を抽出し、さらに、その可溶区分を水又はエーテル結合をもつ有機溶媒に注入し、不溶物を除去してリグノフェノール誘導体を得る請求項1又は2に記載のリグノフェノール誘導体の製造方法。
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