JP5064087B2 - 長尺状静電紡糸不織布及び長尺状静電紡糸不織布の製造方法 - Google Patents

長尺状静電紡糸不織布及び長尺状静電紡糸不織布の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は長尺状静電紡糸不織布及び長尺状静電紡糸不織布の製造方法に関する。より具体的には、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布及び長尺状静電紡糸不織布の製造方法に関する。
不織布を構成する繊維の繊維径が小さいと、分離性能、液体保持性能、払拭性能、隠蔽性能、絶縁性能、或いは柔軟性など、様々な性能に優れているため、不織布を構成する繊維の繊維径を小さくするのが好ましい。このような繊維径の小さい繊維からなる不織布の製造方法として、ポリマー溶液を紡糸空間へ供給するとともに、供給したポリマー溶液に電界を作用させてポリマー溶液を繊維化し、延伸して繊維径の小さい繊維とした後に直接捕集して不織布とする、いわゆる静電紡糸法が知られている。
このような静電紡糸法により長尺状不織布を製造する場合、ポリマー溶液を紡糸空間へ供給する手段であるノズルの数が1本ではポリマー溶液の供給量が少ないため、生産性が悪かった。そのため、本願出願人は多数のノズルを長円状に循環移動させることにより、長尺状静電紡糸不織布の生産性を高める方法を提案した(特許文献1)。
特開2006−112023号公報(特許請求の範囲など)
通常、静電紡糸法により紡糸した繊維はポリマー溶液の溶媒が残存しているため、どこかの段階で乾燥する必要がある。そのため、紡糸した繊維が集積した繊維ウエブを巻き取る前に乾燥することを考えたが、乾燥条件下に捕集体を晒すことによって捕集体の寿命が短くなり、捕集体の交換作業を頻繁に行う必要があるなど、長尺状静電紡糸不織布の生産性を高めるのが困難であった。また、静電紡糸法によって形成される繊維ウエブは、ノズルから紡糸空間へ供給されるポリマー溶液量が少なく生産性が悪いため、生産性を高めるために静電紡糸装置を複数台設置すると、その台数に応じた数だけ乾燥機を設置する必要があるため、コストアップに繋がるという問題があった。
このような問題を解決するために、本発明者らは一旦繊維ウエブを巻き取った後に1台の乾燥機によって乾燥すれば、捕集体を損傷することなく、また、乾燥機を複数台設置することなく、長尺状静電紡糸不織布を製造できると考えた。ところが、紡糸直後の繊維ウエブを一旦巻き取ると、繊維ウエブが収縮してしまい、また、繊維ウエブを巻き出す時に皺が発生しないように、ある程度のテンションをかけて引き出そうとすると、伸びムラが発生してしまい、結果として目付にバラツキが生じるという問題が発生した。また、一旦巻き取った繊維ウエブを巻き出した後に乾燥して長尺状静電紡糸不織布を製造した場合、乾燥条件によっては、長尺状静電紡糸不織布が手に纏わり付くなど、非常に取り扱い性の悪いものであった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、目付バラツキが小さく、しかも手に纏わり付くなどの問題の生じない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布、及び前記長尺状静電紡糸不織布を生産性良く、低コストで製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「21cm以上の幅があり、少なくとも1mの長さを有する長尺状静電紡糸不織布の一端から1mまでの領域から、A4サイズ(29.7cm×21cm)の試験片を2枚、任意に選んだ箇所から採取し、この操作を長尺状静電紡糸不織布の長さ方向1mごとに長尺状静電紡糸不織布の他端まで繰り返し、採取した各試験片から換算した目付のCV値が1%以下、かつ静電気量が0.3kV以下であることを特徴とする長尺状静電紡糸不織布。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「ポリマー溶液を静電紡糸法により紡糸して繊維を形成する繊維形成工程、前記繊維を捕集体で捕集して繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、前記繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施する前熱処理工程、前記前熱処理した繊維ウエブを一旦巻き取ってロール状とする前巻き取り工程、前記ロール状の繊維ウエブを巻き出し、繊維ウエブの両面を加熱する本熱処理を、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施してポリマー溶液の溶媒を除去し、静電紡糸不織布とする本熱処理工程、前記静電紡糸不織布を巻き取る本巻取り工程、を含む、長尺状静電紡糸不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「前熱処理工程を、繊維ウエブをロールに沿わせた状態で実施することを特徴とする、請求項2に記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「前熱処理を赤外線照射により実施することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「本熱処理工程を、繊維ウエブを片面ずつ加熱ロールに接触させて実施することを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、目付のCV値が1%以下の目付バラツキの小さい長尺状静電紡糸不織布であり、また、静電気量が0.3kV以下であることによって、手に纏わり付くなどの問題の生じない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布である。
本発明の請求項2にかかる発明は、繊維ウエブを巻き取る前に、繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施して、ある程度繊維を固定することによって、繊維ウエブの繊維収縮と本熱処理工程における巻き出しの際の伸びムラを抑制していることによって、目付バラツキの小さい静電紡糸不織布を製造できる。また、本熱処理を繊維ウエブの両面に対して実施し、十分にポリマー溶液の溶媒を除去することによって、静電気量を少なくし、手に纏わり付くなどの問題の生じない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布を製造できる。更に、支持体で支持した状態で前熱処理を実施し、別工程で本熱処理を実施しており、捕集体を損傷することや、乾燥機を複数台設置する必要がないため、生産性良く、低コストで長尺状静電紡糸不織布を製造することができる。
本発明の請求項3にかかる発明は、前熱処理工程を、繊維ウエブをロールに沿わせた状態で実施しているため、繊維ウエブを損傷することなく、連続して前熱処理を実施することができる。
本発明の請求項4にかかる発明は、赤外線照射により前熱処理を実施しているため、均一かつ瞬時に前熱処理を実施することができる。
本発明の請求項5にかかる発明は、本熱処理工程において、繊維ウエブを片面ずつ加熱ロールに接触させて繊維ウエブ全体に均一に熱を処理させているため、目付バラツキが小さく、また、帯電量が少なく、纏わり付くなどの問題の発生しない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布を製造しやすい。
本発明の長尺状静電紡糸不織布は、長さ方向におけるA4サイズから換算した目付のCV値(以下、「A4−CV値」と表記することがある)が1%以下の目付バラツキの小さいものである。従来の捕集体上に捕集して形成した繊維ウエブを熱処理することなく一旦巻き取った後に、1台の乾燥機によって乾燥する方法によって製造できる長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は1.5%を超えるものであったため、本発明の長尺状静電紡糸不織布は目付バラツキが小さく、均一性に優れている。このA4−CV値が小さい程、目付バラツキが小さいことを意味するため、A4−CV値は0.9%以下であるのが好ましく、0.8%以下であるのがより好ましく、0.7%以下であるのが更に好ましい。理想的には目付バラツキが全くない0%である。
本発明におけるA4−CV値(CVA4値)は次の方法によって得られる値をいう。
(1)長尺状静電紡糸不織布の一端から1mまでの領域から、A4サイズの試験片を2枚、任意に選んだ箇所から採取する。この操作を長尺状静電紡糸不織布の長さ方向1mごとに長尺状静電紡糸不織布の他端まで繰り返し、試験片を採取する。
(2)各試験片の質量(WmA4)を測定し、各試験片の質量を1mあたりにおける質量、つまり目付(WuA4)に換算する。つまり、次の式により各試験片の目付(WuA4)を算出する。
WuA4=16×WmA4
(3)各試験片の目付の算術平均値(XavA4)を算出する。
(4)各試験片の目付の算術平均値をもとに、標準偏差値(SDA4)を算出する。
(5)各試験片の目付の算術平均値(XavA4)と標準偏差値(SDA4)をもとに、次の式からCVA4値(変動係数)を算出する。
CVA4(%)=(SDA4/XavA4)×100
本発明の長尺状静電紡糸不織布は保有する静電気量が0.3kV以下であるため、手に纏わり付くなどの現象が生じないため、取り扱い性に優れている。静電気量が少なければ少ない程、手に纏わり付くなどの現象が生じず、取り扱い性に優れているため、静電気量は0.2kV以下であるのが好ましく、0.1kV以下であるのがより好ましく、0kVであるのが最も好ましい。
この「静電気量」は、次の方法によって得られる値をいう。
(1)長尺状静電紡糸不織布からB5サイズの試験片を採取し、標準状態(温度:20℃、相対湿度:65%)に1時間放置する。
(2)前記試験片を長手方向の長さが半分の長さとなるように二つ折りとした後、二つ折りの状態のまま、除電バー(キーエンス製、SJ−R036)で除電する。この除電は、デジタル静電電位測定器(春日電気製、KSD−0103)により静電気量を測定し、二つ折りの試験片の片面から100mm離れた位置における静電気量が0KVとなるように行なう。
(3)前記二つ折りした試験片を元の大きさに広げた後に、静電気量をデジタル静電電位測定器(春日電気製、KSD−0103)により、試験片の開放面(広げることにより露出する面)から100mm離れた位置における静電気量を測定する。
本発明の長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の平均繊維径は、分離性能、液体保持性能、払拭性能、隠蔽性能、絶縁性能、或いは柔軟性など、様々な性能に優れているように、0.4μm以下であるのが好ましく、0.3μm以下であるのがより好ましい。なお、平均繊維径の下限値は特に限定するものではないが、0.01μm以上であるのが好ましい。この「平均繊維径」は50本の繊維の繊維径の算術平均値をいい、繊維の横断面形状が非円形である場合には、横断面積と同じ面積をもつ円の直径を繊維径とみなす。
本発明の長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の繊維長は特に限定するものではないが、繊維の脱落が発生しにくいように、0.1mm以上であるのが好ましく、特には連続繊維であるのが好ましい。
また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維材料は長尺状静電紡糸不織布の使用用途等によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、部分けん化ポリビニルアルコール、完全けん化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの有機材料、或いは石英ガラスなどの無機材料を挙げることができる。なお、繊維は単一材料から構成されている必要はなく、二種類以上の材料から構成されていても良い。
なお、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあるのが好ましい。このような平滑な表面をもつことによって、繊維同士の摩擦が生じにくいためか静電気量が少なく、取り扱い時に手などにまとわり付かず、取り扱い性に優れている。
本発明の長尺状静電紡糸不織布の目付は特に限定するものではないが、2〜5g/mという、非常に繊維量の少ない場合であっても、静電気による影響が極めて少ないため、手に纏わり付くなどの問題の生じないものである。この「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量を意味し、1mあたりの質量をいう。その単位はg/mである。
また、長尺状静電紡糸不織布の厚さは5〜50μmであるのが好ましく、8〜30μmであるのがより好ましく、15〜25μmであるのが更に好ましい。「厚さ」はJIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
本発明の長尺状静電紡糸不織布は更に取り扱い性に優れるように、長手方向における引張強さが0.7N/15mm幅以上であるのが好ましく、1N/15mm幅以上であるのがより好ましく、2N/15mm幅以上であるのが更に好ましい。この「引張強さ」は、長尺状静電紡糸不織布を短手方向に長さ15mmで、長手方向に長さ20cmに裁断して試験片を採取し、この試験片を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度50mm/min.で引張り、試験片を破断するために要する力をいう。
本発明の長尺状静電紡糸不織布は前述のようなA4−CV値を測定することができるように、21cm以上の幅があり、少なくとも1mの長さがある。好ましくは、40cm以上の幅があり、2m以上の長さがあり、より好ましくは50cm以上の幅があり、5m以上の長さがあり、更に好ましくは100cm以上の幅があり、100m以上の長さがある。
このような本発明の長尺状静電紡糸不織布は目付バラツキが小さく、手に纏わり付かない、取り扱い性に優れるものであるため、各種用途に使用することができる。例えば、液体、気体、又はマスク用濾過材、電気化学素子用セパレータ(例えば、アルカリ電池用セパレータ、リチウム電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレータ、電解コンデンサ用セパレータなど)、ワイパー、電解質膜用材料、人工皮膚用材料、ナノカプセル用材料などに使用できる。これらの中でも、電気二重層キャパシタ用セパレータとして使用すると、漏れ電流と抵抗を低減することができ、しかもコンパクトなキャパシタを製作できるという効果も奏するため、特に好適な用途である。
本発明の長尺状静電紡糸不織布は、例えば、ポリマー溶液を静電紡糸法により紡糸して繊維を形成する繊維形成工程、前記繊維を捕集体で捕集して繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、前記繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施する前熱処理工程、前記前熱処理した繊維ウエブを一旦巻き取ってロール状とする前巻き取り工程、前記ロール状の繊維ウエブを巻き出し、繊維ウエブの両面を加熱する本熱処理を、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施してポリマー溶液の溶媒を除去し、静電紡糸不織布とする本熱処理工程、前記静電紡糸不織布を巻き取る本巻取り工程、によって製造することができる。このような製造方法においては、繊維ウエブを巻き取る前に、繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施して、ある程度繊維を固定することによって、繊維ウエブの繊維収縮と本熱処理工程における巻き出しの際の伸びムラを抑制していることによって、目付バラツキの小さい静電紡糸不織布を製造できる。また、本熱処理を繊維ウエブの両面に対して実施し、十分にポリマー溶液の溶媒を除去することによって、静電気量を少なくし、手に纏わり付くなどの問題の生じない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布を製造できる。更に、支持体で支持した状態で前熱処理を実施し、別工程で本熱処理を実施しており、捕集体を損傷することや、乾燥機を複数台設置する必要がないため、生産性良く、低コストで長尺状静電紡糸不織布を製造することができる。
より具体的には、まず、ポリマー溶液を静電紡糸法により紡糸して繊維を形成する繊維形成工程を実施する。この静電紡糸法は従来公知の方法であり、ノズル等のポリマー溶液供給材料から紡糸空間へ供給したポリマー溶液に対して電界を作用させることにより、ポリマー溶液を繊維化する方法である。このポリマー溶液供給材料から紡糸空間へのポリマー溶液の供給は、目付バラツキの小さい長尺状静電紡糸不織布を製造できるように、また、ある程度の幅と長さをもった長尺状静電紡糸不織布を製造できるように、特開2006−112023号公報に開示の方法により行うのが好ましい。つまり、ノズル等のポリマー溶液供給部を捕集体の幅方向に直線的に移動(特には長円状に移動)させながら、ポリマー溶液を供給するのが好ましい。このように直線的に移動させると、ポリマー溶液供給部の移動速度を一定にできるため、目付バラツキの小さい繊維ウエブを製造しやすい。
ポリマー溶液は繊維のもとになるため、前述のような繊維材料を溶媒に溶解させたものである。石英ガラスの場合、金属アルコキシドを加水分解した曳糸性のゾル溶液をポリマー溶液として使用することができる。なお、ポリマー溶液の溶媒は繊維材料によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、ピリジン、トリクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリルなどを挙げることができる。これらの例示以外の溶媒も使用可能であり、例示以外の溶媒も含めて、2種以上の溶媒を用いた混合溶媒も使用することができる。
次いで、前述の静電紡糸法により紡糸した繊維を捕集体で捕集して繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程を実施する。本発明においては、後述のように支持体で支持した状態で繊維ウエブを前熱処理するため、捕集体に耐熱性は必要ではなく、従来から公知のものを使用することができる。例えば、金属製や炭素などの導電性材料、又は有機高分子などの非導電性材料からなる、不織布、織物、編物、ネット、平板、ドラム、或いはベルトを使用できる。場合によっては水や有機溶媒などの液体を捕集体として使用できる。特には、繊維集積面にシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂を有しており、繊維の剥離性に優れた捕集体を使用するのが好ましい。
次いで、捕集体で捕集して形成した繊維ウエブを支持体へ搬送し、支持体で支持した状態で前熱処理を実施する前熱処理工程を実施する。このように、繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施しており、捕集体に耐熱性は必要ではないため、捕集体を損傷することなく生産できて生産性に優れ、また、繊維ウエブを一旦巻き取る前に、繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施して、繊維ウエブの繊維収縮を抑制するとともに、ある程度繊維を固定することによって、後述の本熱処理工程で繊維ウエブを巻き出す際の伸びムラを抑制しているため、目付バラツキの小さい長尺状静電紡糸不織布を製造することができる。
この支持体としては、耐熱性があり、かつ繊維ウエブを支持できるものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、金属ロール、耐熱性不織布ロール、紙管などを使用することができる。このようなロール(紙管を含む)に繊維ウエブを沿わせて支持した状態で前熱処理を実施すると、繊維ウエブをロールの回転によって搬送し、繊維ウエブを損傷することなく、連続的に前熱処理を実施することができるため好適である。また、ロールが回転することによって、搬送する際の張力によって繊維ウエブが伸長しにくく、目付バラツキが生じにくいという効果もある。
なお、前熱処理は、例えば、赤外線照射、赤外線照射と熱風吹き付けの併用、熱風吹き付け、サクションドラム式乾燥機、加熱ロール(支持体自体の加熱)などによって実施することができる。特に、熱風吹き付けを併用するかしないかに関わらず、赤外線は繊維ウエブに対して均一かつ瞬時に高温にでき、生産性に優れているため好ましい。また、この前熱処理条件は、後述のように一旦繊維ウエブを巻き取り、更に巻き出しても繊維ウエブが変形しない程度の形態安定性を付与できれば良く、前熱処理方法、繊維ウエブの種類等によって異なるため、特に限定するものではないが、例えば、赤外線照射によりポリアクリロニトリルからなる繊維ウエブを前熱処理する場合には、200℃以上の温度で20秒〜6分で実施するのが好ましい。
次いで、前記の前熱処理した繊維ウエブを一旦巻き取ってロール状とする前巻き取り工程を実施する。このように一旦巻き取り、別の工程で本熱処理工程を実施しているため、本熱処理機は1台で済み、低コストで長尺状静電紡糸不織布を提供することができる。なお、熱処理した繊維ウエブを一旦巻き取る前巻取体は特に限定するものではないが、例えば、金属ロール、紙管を使用することができる。
次いで、前記ロール状の繊維ウエブを巻き出し、繊維ウエブの両面を加熱する本熱処理を、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施してポリマー溶液の溶媒を除去し、静電紡糸不織布とする本熱処理工程を実施する。このように、繊維ウエブの両面を加熱することによって、十分にポリマー溶液の溶媒を除去し、静電気量を少なくできるため、手に纏わり付くなどの問題の生じない、取り扱い性に優れる長尺状静電紡糸不織布を製造できる。また、本熱処理を1台の熱処理装置によって実施することができるため、低コストで長尺状静電紡糸不織布を提供することができる。更に、前熱処理を実施して繊維ウエブに形態安定性を付与しているため、本熱処理を実施するために巻き出し、また皺が発生しないようにテンションをかけて引っ張っても、伸びムラが生じないため、目付バラツキの小さい長尺状静電紡糸不織布を製造することができる。また、この本熱処理によって、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維表面が窪みのない、平滑な状態となり、繊維同士の摩擦が生じにくいためか静電気量が少なく、取り扱い時に手などにまとわり付かず、取り扱い性に優れるものとすることができる。
なお、本熱処理は繊維ウエブの両面をポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施し、ポリマー溶液の溶媒を十分に除去できれば良く、特に限定するものではないが、例えば、(1)赤外線を繊維ウエブの両面から同時又は別々に照射する方法、(2)片面に赤外線を照射するとともに、他面に熱風を吹き付けることを同時に又は別々に実施する方法、(3)熱風を繊維ウエブの両面から同時又は別々に吹き付ける方法、(4)サクションドラム式乾燥機に片面ずつ接触させる方法、(5)加熱ロールに片面ずつ接触させる方法、などによって実施することができる。これらの中でも、(5)加熱ロールに片面ずつ接触させる方法は、ある程度延伸しながら加熱することができ、静電紡糸不織布が熱収縮して皺が入らないため、目付バラツキの小さい長尺状静電紡糸不織布を製造することができ、また、ポリマー溶液の溶媒を除去するための熱量を与えるのに十分な時間を確保して、確実に静電気量を少なくできるため、好適な方法である。
この本熱処理工程における加熱温度は静電気量が0.3kV以下となるように、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施する。好ましくは、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも45℃以上高い温度で実施し、より好ましくは、65℃以上高い温度で実施する。片面ずつ本熱処理する場合には、いずれの面に対しても前記温度で熱処理する。例えば、ポリマー溶液の溶媒がジメチルホルムアミドの場合、沸点は153℃程度であるため、178℃以上の温度でいずれの面に対しても熱処理するのが好ましく、198℃以上の温度でいずれの面に対しても熱処理するのがより好ましく、218℃以上の温度でいずれの面に対しても熱処理するのが更に好ましい。なお、熱処理時間はポリマー溶液の溶媒を除去し、静電気量を0.3kV以下にできれば良く、本熱処理方法、繊維ウエブの種類等によって異なるため、特に限定するものではない。なお、「沸点」はJIS K5601−2−3により得られる値をいう。
また、この本熱処理工程においてある程度延伸し、本熱処理工程における溶媒除去時に発生する繊維ウエブの歪みを解消するのが好ましいが、延伸倍率が大きすぎると、目付がバラツキやすく、また、強度の縦横比が大きくなるため、1.2倍以下であるのが好ましく、1.15倍以下であるのがより好ましく、1.13倍以下であるのが更に好ましく、1.1倍以下であるのが最も好ましい。なお、繊維ウエブ又は長尺状静電紡糸不織布を搬送する必要があり、また、皺が入らないように、延伸倍率は0.5倍以上であるのが好ましい。この「延伸倍率」は次の式から得られる値をいう。
延伸倍率=(本巻取体での巻き取り速度)/(前巻取体からの巻き出し速度)
そして、前記の長尺状静電紡糸不織布を巻き取る本巻取り工程を実施する。なお、長尺状静電紡糸不織布を巻き取る本巻取体は特に限定するものではなく、前巻取体と同様のものを使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
(1)ポリマー溶液の調製;
重量平均分子量50万のポリアクリロニトリルを、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)に濃度10.5mass%となるように溶解させたポリマー溶液(粘度:1200mP・s)を用意した。
(2)前熱処理繊維ウエブの製造装置の準備;
図1〜図3に示すような製造装置を用意した。つまり、10本のノズル群2〜210(それぞれ内径が0.4mmのステンレススチール製針状ノズル)をピッチ50mmで、チェーン状支持体6cにそれぞれ固定し、この支持体6cを第1スプロケット6aと第2スプロケット6bとの間に橋渡し、ノズル群2〜210を長円状(長径:300mm、短径:100mm)に配置した。更に、第1スプロケット6aに駆動モーター6を取り付けた。
次いで、ポリエチレン製フレキシブルバッグ1にマイクロポンプ3(マイクロポンプ社製;マイクロポンプFC−513 ポンプヘッド:188 1rpm=0.017mLタイプ;コントローラ部=株式会社中央理化製)を接続するとともに、パーフルオロアルコキシ樹脂製チューブ1aを接続し、このチューブ1aをノズル2にロータリージョイントを介して接続した。次いで、このノズル2と隣接するノズル2とを前記と同様のチューブ1aで接続し、ポリマー溶液がノズル2を介してノズル2へ供給できるようにした。同様に、ノズル2とノズル2、ノズル2とノズル2と順番にチューブ1aで接続して、ノズル210までポリマー溶液を供給することができるようにした。
次いで、導電性シリコーンゴムをコーティングしたスチールベルトからなるベルト状捕集体5(幅:500mm)をアースして、前記ノズル群2〜210の直下に設置した。次いで、マイクロポンプ3のギアポンプヘッドに高電圧電源4を接続するとともに、前記ノズル群2〜210の先端が、上方から下方に向かってベルト状捕集体5の方向に向いており、しかもノズル群2〜210のエンドレス軌道の長径方向がベルト状捕集体5の幅方向(移動方向に対する直交方向)と一致するように、ノズル群2〜210を配置した。なお、ノズル群2〜210の先端とベルト状捕集体5の捕集表面との距離は100mmとした。
次に、前記ノズル群2〜210及びベルト状捕集体5を塩化ビニル製直方体紡糸容器9(幅:800mm、高さ:1300mm、奥行き:1800mm)の中央部に配置した。なお、直方体紡糸容器9の内側には、上壁面から500mm下方側の位置に塩化ビニル製パンチングプレート10aを上壁面と平行に配置し、下壁面から100mm上方側の位置に塩化ビニル製パンチングプレート11aを下壁面と平行に配置した。また、ベルト状捕集体5の移動方向端部に、ベルト状捕集体5に従動し、ベルト状捕集体5上の繊維ウエブを剥ぎ取る第1金属ロール8a(直径:100mm、長さ:500mm)と、第1金属ロール8aの上方に隣接して従動し、第1金属ロール8aから繊維ウエブを受け取る第2金属ロール8b(=支持体、直径:200mm、長さ:500mm)、及びベルト状捕集体5の端部と接触してベルト状捕集体5に従動し、第2金属ロール8bからの繊維ウエブを巻き取る金属製前巻取ロール8c(直径:100mm、長さ:500mm)を設置した。更に、第2金属ロール8bの上方に、遠赤外線セラミックヒーター7(Ryoka製)を、セラミックヒーター7の棒状熱源(長さ:500mm)と第2金属ロール8bとの間隔が50mmとなるように設置した。
そして、直方体紡糸容器9の上壁面に温湿度調整機能を備えた送風機10(PAU−1400HDR、(株)アピステ)を接続するとともに、直方体紡糸容器9の下壁面に排気ファン11を接続した。
(3)長尺状静電紡糸不織布製造装置の準備;
図4に概念断面図を示すような長尺状静電紡糸不織布製造装置を用意した。つまり、前述の金属製前巻取ロール8c上の繊維ウエブを巻き出すために配置した駆動ロールD1(直径:80mm、長さ:450mm)、この駆動ロールD1の下流側に、駆動ロールD1によって巻き出された繊維ウエブに、片面ずつ本熱処理を実施することのできる加熱ロールC1、C2(いずれの直径も300mm、いずれの長さも500mm)、加熱ロールC1、C2の下流側に、加熱ロールC2からの長尺状静電紡糸不織布を搬送する金属製搬送ロール20a(直径:60mm、長さ:650mm)、NBR製ゴム駆動ロールD2(直径:80mm、長さ:540mm)、長尺状静電紡糸不織布の不要端部を切断する耳カットロール21(直径:80mm、長さ:540mm、図示しないロールカッター付属)、耳カットロール21の下流側に、長尺状静電紡糸不織布を搬送する搬送ロール20b、20c、20d(いずれの直径も60mmで、長さが540mm)、搬送ロール20dの下流側に、本巻取ロール23と当接し、本巻取ロールに押圧することにより、皺を生じることなく長尺状静電紡糸不織布を巻き取らせる押圧ロール22(直径:80mm、長さ:450mm)、押圧ロール22と当接し、長尺状静電紡糸不織布を巻き取る本巻取ロール23(直径:87mm、長さ:350mm)、及び本巻取ロール23と接触し、本巻取ロール23を回転させて長尺状静電紡糸不織布を巻き取らせるNBR製ゴム駆動ロールD3(直径:80mm、長さ:450mm)を備えた長尺状静電紡糸不織布製造装置を用意した。
(4)長尺状静電紡糸不織布の製造;
前記ポリマー溶液を前記フレキシブルバッグ1に入れ、前記マイクロポンプを用いてポリマー溶液を、ノズル2を介してノズル群2〜210へ供給し、ノズル群2〜210を100mm/sec.の一定速度で移動させながら、各ノズルからポリマー溶液を吐出(1本あたりの吐出量:3g/時間)し、また、前記ベルト状捕集体5を一定速度(表面速度:27cm/分)で移動させながら、前記高電圧電源4からポリマー溶液に+22kVの電圧を印加して、吐出したポリマー溶液に電界を作用させて繊維化し、前記ベルト状捕集体5上に集積させて、平均繊維径0.3μmの連続繊維からなる繊維ウエブを製造した。なお、繊維ウエブを製造する際には、送風機10から温度25℃、相対湿度25%の調湿エアを5m/分で供給するとともに、排気口から出てくる気体を排気ファン11で排気した。
次いで、このベルト状捕集体5上の繊維ウエブを第1金属ロール8aで剥ぎ取り、この剥ぎ取った繊維ウエブを第2金属ロール8b(=支持体)へ搬送し、第2金属ロールに沿わせた状態で、温度450℃に設定した遠赤外線セラミックヒーター7により前熱処理を実施(繊維ウエブは200℃以上、1分間実施)した後、前巻取ロール8cで巻き取った。この繊維ウエブを構成する繊維の表面には窪みが多数存在していた(図5)。
次いで、前巻取ロール8cを長尺状静電紡糸不織布製造装置の所定位置に配置し、前巻取ロール8cに巻回された繊維ウエブを駆動ロールD1によって巻き出し、温度230℃に設定した加熱ロールC1へ供給し、繊維ウエブの片面を18秒間接触させた後、温度230℃に設定した加熱ロールC2へ供給し、繊維ウエブの他面を18秒間接触させて本熱処理を実施し、長尺状静電紡糸不織布を形成した。
その後、長尺状静電紡糸不織布を搬送ロール20a及びNBR製ゴム駆動ロールD2の作用によって耳カットロール21へ供給し、幅方向両端部を切断し、幅260mmとした。
そして、搬送ロール20b、20c、20dによって押圧ロール22へ長尺状静電紡糸不織布を供給し、押圧ロール22によって本巻取ロール23に長尺状静電紡糸不織布を押圧するとともに、NBR製ゴム駆動ロールD3によって回転する本巻取ロール23へ長尺状静電紡糸不織布を供給し、本巻取ロール23で長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:0.024mm、幅:260mm、長さ:50m)を巻き取った。なお、延伸倍率は1.1倍であった。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.67%の目付バラツキの小さいものであり、また、静電気量は0.0kVの手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れたものであった。また、長手方向と短手方向における引張強さは、それぞれ1.9N/15mm幅、1.2N/15mm幅であり、また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあった(図6)。
(実施例2)
加熱ロールC1、C2の温度を200℃にしたこと以外は実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:0.023mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.68%の目付バラツキの小さいものであり、また、静電気量は0.1kVの手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れたものであった。また、長手方向と短手方向における引張強さは、それぞれ2.2N/15mm幅、1.5N/15mm幅であり、また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあった。
(実施例3)
加熱ロールC1、C2の温度を180℃にしたこと以外は実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:0.023mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.67%の目付バラツキの小さいものであり、また、静電気量は0.3kVの手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れたものであった。また、長手方向と短手方向における引張強さは、それぞれ2.2N/15mm幅、1.5N/15mm幅であり、また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあった。
(実施例4)
前記ベルト状捕集体の速度を(表面速度:62cm/分)としたこと以外は、実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:2g/m、厚さ:0.008mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.7%の目付バラツキの小さいものであり、また、静電気量は0.0kVの手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れたものであった。また、長手方向と短手方向における引張強さは、それぞれ0.8N/15mm幅、0.65N/15mm幅であり、また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあった。
(実施例5)
前記ベルト状捕集体の速度を(表面速度:27.6cm/分)としたこと以外は、実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.5g/m、厚さ:0.024mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.68%の目付バラツキの小さいものであり、また、静電気量は0.0kVの手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れたものであった。また、長手方向と短手方向における引張強さは、それぞれ2.5N/15mm幅、1.7N/15mm幅であり、また、長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維の表面は窪みのない、平滑な状態にあった。
(比較例1)
加熱ロールC1、C2の温度を160℃にしたこと以外は実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:0.023mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.69%の目付バラツキの小さいものであったが、静電気量は0.5kVで、手に纏わり付く、取り扱い性の悪いものであった。
(比較例2)
加熱ロールC1、C2の温度を120℃にしたこと以外は実施例1と全く同様にして、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:0.023mm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布のA4−CV値は0.75%の目付バラツキの小さいものであったが、静電気量は1.8kVで、手に纏わり付く、非常に取り扱い性の悪いものであった。
(比較例3)
実施例1と同様にして形成したベルト状捕集体5上の繊維ウエブを、前熱処理を実施することなく、前巻取ロール8cで巻き取った。
次いで、延伸倍率を1.13倍としたこと以外は実施例1と同様にして、加熱ロールC1、C2によって繊維ウエブに熱処理を実施して、長尺状静電紡糸不織布(平均繊維径:0.3μm、連続繊維、目付:4.6g/m、厚さ:24μm、幅:260mm、長さ:50m)を製造した。この長尺状静電紡糸不織布の静電気量は0KVで、手に纏わり付くことのない、取り扱い性に優れるものであったが、A4−CV値は1.27%の目付バラツキの大きいものであった。
実施例における繊維ウエブ製造装置の模式的平面図 図1の製造装置を矢印Aの方向から見た模式的断面図 図1の製造装置を矢印Bの方向から見た模式的断面図 長尺状静電紡糸不織布製造装置の概念断面図 実施例1の前熱処理を実施した繊維ウエブを構成する繊維表面の電子顕微鏡写真 実施例1の長尺状静電紡糸不織布を構成する繊維表面の電子顕微鏡写真
符号の説明
1:フレキシブルバッグ
1a:チューブ
〜210:ノズル群
3:マイクロポンプ
4:高電圧電源
5:ベルト状捕集体
6:駆動モーター
6a:第1スプロケット
6b:第2スプロケット
6c:チェーン状支持体
7:遠赤外線セラミックヒーター
8a:第1金属ロール
8b:第2金属ロール
8c:前巻取ロール
9:直方体紡糸容器
10:送風機
10a:パンチングプレート
11:排気ファン
11a:パンチングプレート
D1、D2、D3:駆動ロール
C1、C2:加熱ロール
20a、20b、20c、20d:搬送ロール
21:耳カットロール
22:押圧ロール
23:本巻取ロール

Claims (5)

  1. 21cm以上の幅があり、少なくとも1mの長さを有する長尺状静電紡糸不織布の一端から1mまでの領域から、A4サイズ(29.7cm×21cm)の試験片を2枚、任意に選んだ箇所から採取し、この操作を長尺状静電紡糸不織布の長さ方向1mごとに長尺状静電紡糸不織布の他端まで繰り返し、採取した各試験片から換算した目付のCV値が1%以下、かつ静電気量が0.3kV以下であることを特徴とする長尺状静電紡糸不織布。
  2. ポリマー溶液を静電紡糸法により紡糸して繊維を形成する繊維形成工程、
    前記繊維を捕集体で捕集して繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、
    前記繊維ウエブを支持体で支持した状態で前熱処理を実施する前熱処理工程、
    前記前熱処理した繊維ウエブを一旦巻き取ってロール状とする前巻き取り工程、
    前記ロール状の繊維ウエブを巻き出し、繊維ウエブの両面を加熱する本熱処理を、ポリマー溶液の溶媒の沸点よりも25℃以上高い温度で実施してポリマー溶液の溶媒を除去し、静電紡糸不織布とする本熱処理工程、
    前記静電紡糸不織布を巻き取る本巻取り工程、
    を含む、長尺状静電紡糸不織布の製造方法。
  3. 前熱処理工程を、繊維ウエブをロールに沿わせた状態で実施することを特徴とする、請求項2に記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。
  4. 前熱処理を赤外線照射により実施することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。
  5. 本熱処理工程を、繊維ウエブを片面ずつ加熱ロールに接触させて実施することを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の長尺状静電紡糸不織布の製造方法。
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