以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
図1〜5は、本発明に係るカットアウトの支持具(以下、単に「支持具」という)1の第1実施形態を示している。図1に示すように、カットアウト2は、碍子(絶縁体)3の内部にヒューズ(図示せず)が組み込まれており、電柱4に設けられた変圧器5と電柱4に架設される電線とを接続する。このカットアウト2は、碍子3を支持する支持バンド部6aを有する連結具6を介して支持具1に連結される。
支持具1は、電柱4に取り付けられる変圧器5にカットアウト2を取り付けて接続させるためのものである。本実施形態では、この支持具1の説明にあたり、変圧器5の構成を先に説明する。
変圧器5は、固定バンド等の取付金具(図示せず)を介して電柱4に取り付けられる変圧器本体(筐体)11と、この変圧器本体11の口部を塞ぐ円板状の蓋体12と、蓋体12を変圧器本体11の口部に固定する固定手段13とを有する。
固定手段13は、図5に示すように、蓋体12が変圧器本体11の上部の口部を塞いだ状態で、この蓋体12を押さえつける押さえ部材15と、この押さえ部材15を蓋体12に押さえつけるためのボルト(例えばアイボルト)16と、ボルト16を変圧器本体11側に取り付けるための取付ピン17と、変圧器本体11の上部に設けられるとともに、押さえ部材15を支持するブラケット(支持部)18とを有する。
押さえ部材15は、側面視ほぼL字状に構成され、その上部にボルト16を挿通するための貫通孔が形成されている。押さえ部材15は、この貫通孔にボルト16が挿通されることで、ボルト16に連結されている。また、押さえ部材15は、ボルト16、取付ピン17を介してブラケット18に連結されている。
取付ピン17は、円筒状に形成されており、ほぼ水平方向を向いた状態でブラケット18に連結されている。取付ピン17の中途部には、その半径方向に沿ってボルト16が嵌合する孔が形成されている。この孔には、ボルト16が螺合する雌ねじが形成されている。
ブラケット18は、鋳造により変圧器本体11と一体に形成されるか、または溶接により変圧器本体11と一体とされることが望ましい。
このブラケット18は、所定間隔離れて変圧器本体11に固定された一対の板部26,26と、板部26,26同士を連結する連結部27とを有する。各板部26,26には、その中途部に、取付ピン17を挿通するための円形の挿通孔が板厚方向に貫通して形成されている。各板部26,26の挿通孔には、前記取付ピン17の各端部が挿通されるとともに、この各端部に抜け止め部21が設けられている。
これにより、取付ピン17は、2つの板部26,26間に架け渡されるようにして、各板部26,26に支持されている。各板部26,26の挿通孔が円形とされ、取付ピン17が円筒状等であることから、この取付ピン17は、その軸心まわりに回動自在となるように各板部26,26に支持されている。
また、取付ピン17の端部に設けられた抜け止め部21は、円板状または円筒状とされており、その直径が、取付ピン17の軸部の直径よりも大きくなっている。抜け止め部21は、ブラケット18の板部26,26の外面(板部26,26同士が対向する面とは反対の面をいう)から突出した突起部となっている。
なお、本実施形態では、変圧器本体11の口部を蓋体12が塞いだ状態で、この蓋体12の円周方向の複数箇所を変圧器本体11に固定すべく、複数の固定手段13,13,…が変圧器5に設けられている。各固定手段13,13,…は、蓋体12または変圧器本体11の外周方向に所定の間隔をおいて設けられている。
この固定手段13は、蓋体12が変圧器本体11の口部を塞いだ状態で、押さえ部材15をこの蓋体12に掛け、ボルト16を締め付けることによって、蓋体12を変圧器本体11に固定することができる。また、固定手段13は、このボルト16を緩めた(締め付けを解除した)状態で、取付ピン17をその軸心まわりに回動させることで、押さえ部材15を蓋体12に対して接近・離反させることができるようになっている。
これにより、支持具1は、固定手段13が蓋体12を変圧器本体11に固定した状態から、ボルト16を緩め、押さえ部材15を蓋体12から離すことにより、蓋体12を変圧器本体11から取り外すことができるようになっている。
以下、支持具1の構成について説明する。図1〜図4に示すように、支持具1は、変圧器本体11に設けられた前記ブラケット18に着脱自在に取り付けられる支持具本体31を備える。この支持具本体31は、カットアウト2を支持するための第1支持部材32および第2支持部材33と、第1支持部材32と第2支持部材33とを連結して、これらを締め付け可能な締付手段34と、第1支持部材32の移動を規制する規制部材35とを有する。
第1支持部材32には、金属製の板状部材が用いられる。この第1支持部材32は、その一端部に、カットアウト2を支持するための支持部37を有し、その他端部に、変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18の板部26に係止される係止部(以下「第1係止部」という)38を有する。
第1支持部材32の支持部37には、カットアウト2を取り付けるための取付孔37aが形成されている。この支持部37には、その長手方向に間隔をおいて複数(図例では2つ)の取付孔37a,37aが形成されている。また、この支持部37には、カットアウト2が所定の姿勢を維持できるように位置決めをする位置決め部材39が設けられている。 この位置決め部材39は、2つの取付孔37a,37aの一方に対応した位置に設けられている。支持部37は、この取付孔37aおよび位置決め部材39を介して連結部材6と連結されることで、この連結部材6に取り付けられたカットアウト2を所定の姿勢で支持するようになっている。
第1支持部材32の第1係止部38は、その板厚方向に貫通した貫通孔(以下「第1貫通孔」という)41を有する。この第1貫通孔41は、変圧器本体11のブラケット18の板部26の外面から突出する抜け止め部21(突起部)が嵌るように、円形に形成されている。
第1支持部材32は、その第1係止部38が、変圧器本体11に形成されたブラケット18の板部26の外面に当接し、かつ支持部37が上下方向に面するように、その中途部で捩られている。本実施形態では、この第1係止部38と支持部37の捩れ角度は約90°とされている。
また、第1支持部材32は、図2に示すように、平面視において、支持部37が第1係止部38に対して所定の角度で傾斜している。本実施形態では、第1係止部38に対する支持部37の傾斜角度は約120°である。これにより、例えば、前記固定手段13を介して変圧器本体11に蓋体12が固定されている状態から、この固定を解除するとともに、取付ピン17を回動させて押さえ部材15を蓋体12から離すときに、この押さえ部材15がカットアウト2やカットアウト2に接続されるケーブルと接触しないようにできる。
また、第1支持部材32の第1係止部38は、締付手段34と係合する係合孔(以下「第1係合孔」という)43を有する。この第1係合孔43は、第1支持部材32の板厚方向に貫通して形成されている。
第2支持部材33には、金属製の板部材が用いられる。この第2支持部材33は、図2に示すように、その中途部の複数箇所(図例では3箇所)が曲げられている。これにより、第2支持部材33には、変圧器本体11に形成されたブラケット18の板部26に係止される係止部(以下「第2係止部」という)45と、ブラケット18の連結部27に当接する当接部(以下「第1当接部」という)46と、第1支持部材32に当接する当接部(以下「第2当接部」という)47とが形成される。また、第2支持部材33の中途部には、締付手段34に係合する係合孔(以下「第2係合孔」という)48が板厚方向に貫通して形成されている。
第2係止部45は、その板厚方向に貫通する貫通孔(以下「第2貫通孔」という)51を有する。この第2貫通孔51は、変圧器本体11に設けられたブラケット18の板部26の外面から突出する抜け止め部21が嵌るように、円形に形成されている。
第2支持部材33の第1当接部46は、変圧器本体11に設けられたブラケット18の連結部27の外面に当接する当接面52を有する。また、第1当接部46は、平面視において、第2係止部45に対してほぼ90°の角度を為す。
第2当接部47には、その中途部に、締付手段34に係合する係合孔(以下「第3係合孔」という)53が形成されている。
また、支持具本体31が変圧器本体11に取り付けられたときに、第1係止部38の板厚方向における一方の面が、この第2当接部47に当接した状態で固定されることとなるが、この第1係止部38の板厚方向の他方の面を第2当接部47に当接させて固定することもできるようになっている。
したがって、前述したように、第1支持部材32の支持部37が、第1係止部38に対して所定の角度で傾斜して形成されていることから、このように、第1係止部38の一方の面を第2当接部47に当接させた場合と、これを裏返して他方の面を第2当接部47に当接させた場合とでは、第1係止部38から突出する支持具の向きが異なる。
これによって、支持具本体31は、第2支持部材33の第2当接部47に当接させる第1係止部38の厚さ方向の面を変えることにより、支持部37が支持するカットアウト2の位置を変更できるようになる。
締付手段34には、例えば、ねじ部材(またはボルト)55およびこのねじ部材55の軸部に嵌るナット56が用いられる。締付手段34は、第1支持部材32の第1係合孔43と、第2支持部材33の第2係合孔48と、第2当接部47の第3係合孔53とを側面視で一致させ、第1係合孔43、第2係合孔48の一方の係合孔にねじ部材55の軸部を挿通し、この軸部を他方の係合孔から突出させて、ナット56を嵌めることで第1支持部材32と第2支持部材33とを連結する。
規制部材35は、本体部61と、第1支持部材32と第2支持部材33とを掛止する掛止部62とを有する。本体部61には、締付手段34のねじ部材55を挿通する挿通孔63が形成されている。
この挿通孔63は、図3に示すように、上下方向に長く形成された長孔とされており、この長孔の幅(長手方向に直交する方向の長さをいう)は、ねじ部材55の軸部よりも大きく、かつ、ねじ部材55の頭部よりも小さくされている。規制部材35は、ねじ部材55が挿通孔63に挿通された状態で、この挿通孔63の長手方向(上下方向)にスライド自在とされている。
図4に示すように、掛止部62は、本体部61から約90°曲がった状態で、その先端が下方に向くように突出する鉤部となっている。この掛止部62と本体部61の間には、第1支持部材32と第2支持部材33が入る凹部65が形成されている。掛止部62は、凹部65に第1支持部材32と第2支持部材33が入り、これらを本体部61とによって挟んだ状態で掛止し、これらがその厚さ方向に離れないように、その位置を規制するようになっている。
この規制部材35は、掛止部62が第1支持部材32と第2支持部材33を規制(掛止)している状態から、挿通孔63の長手方向に沿って、上方に押し上げられることで、掛止部62による第1支持部材32と第2支持部材33の規制(掛止)を解除できるようになっている。
以下、支持具1を用いてカットアウト2を変圧器5に取り付ける方法を説明する。
カットアウト2を変圧器5に取り付けるには、電柱4に固定されている変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18に、支持具本体31を取り付ける。支持具本体31をこのブラケット18に取り付けるには、まず、締付手段34のねじ部材55に螺合されているナット56を緩めた状態で、第1支持部材32の第1係止部38と第2支持部材33の第2係止部45とを所定間隔離した状態にする。
そして、第1支持部材32の第1係止部38と、第2支持部材33の第2係止部45とで、ブラケット18を挟むようにする。このとき、規制部材35を、その挿通孔63に沿って上方に押し上げて、規制部材35による第1支持部材32と第2支持部材33の規制を解除しておく。
次に、第1係止部38の第1貫通孔41にブラケット18の一方の板部26から突出する抜け止め部21(突出部)を嵌め込んで係止させ、第2係止部45の第2貫通孔51にブラケット18の他方の板部26から突出する抜け止め部21を嵌め込んで係止させる。
そして、規制部材35を下ろして、掛止部62によって、第1支持部材32と第2支持部材33とを掛止させる。これにより、第1支持部材32と第2支持部材33は、規制部材35によって、互いに離れないように、その位置が規制される。
この規制部材35による規制により、第1支持部材32は、その第1貫通孔41に、一方の板部26から突出する抜け止め部21が嵌って係止され、第2支持部材32は、その第2貫通孔51に他方の板部26から突出する抜け止め部21が嵌って係止され、第1当接部46が連結部27に当接した状態が維持される。すなわち、支持具本体31は、ブラケット18に対して仮止めされた状態となる。
このように、支持具本体31をブラケット18に仮止めした状態で、締付手段34のねじ部材55とナット56を締め付ける。これにより、支持具本体31は、第1支持部材32の第1係止部38がブラケット18の一方の板部26に当接し、第2支持部材33の第2係止部45がブラケット18の他方の板部26に当接し、第2支持部材33の第1当接部46がブラケット18の連結部27に当接し、第2支持部材33の第2当接部47が第1支持部材32に当接した状態で、このブラケット18に固定され、これによって支持具本体31の変圧器本体11への取り付けが完了する。
このように、支持具本体31は、第1支持部材32の第1係止部38、第2支持部材33の第2係止部45、第1当接部46によって、および締付手段34を介して変圧器本体11に取り付けられる。すなわち、この第1係止部38、第2係止部45、第1当接部46、および締付手段34は、支持具本体31を変圧器本体11に取り付けるための取付手段を構成する。支持具本体31は、その一端部の支持部37がカットアウト2を支持するとともに、その他端部がこの取付手段を介して変圧器本体11のブラケット18に着脱自在に取り付けられる。
支持具本体31が変圧器本体11に取り付けられた状態において、規制部材35は、本体部61と掛止部62とで第1支持部材32と第2支持部材33の第2当接部47を挟んだ状態を維持している。これにより、規制部材35は、締付手段34のナット56を緩めて支持具1をブラケット18から取り外そうとするときに、第1支持部材32と第2支持部材33が若干離れ、第1係止部38、第2係止部45の係止が不意に解除されて、支持具本体1がブラケット18から脱落すること防ぐべく、第1支持部材32と第2支持部材33の位置を規制している。
このようにして、支持具1を変圧器5に取り付けた後、カットアウト2に連結された連結具6を第1支持部材32の支持部37に取り付けるとともに、電柱4に架設されている電線と変圧器5とをケーブルで接続する。以上により、変圧器5へのカットアウト2の取り付け・接続が完了する。
なお、支持具本体31を変圧器本体11から取り外す場合は、まず、第1支持部材32と第2支持部材33を締め付けている締付手段34のねじ部材55、ナット56の締め付けを緩める。
このとき、規制部材35によって、第1支持部材32と第2支持部材33とを挟んで位置規制がなされているので、支持具本体31をブラケット18に仮止めした状態で、締付手段34による締め付けを解除することができる。
締付手段34による締め付けを解除した後、規制部材35を上に押し上げて、第1支持部材32と第2支持部材33の位置規制を解除する。そして、第1係止部38の第1貫通孔41に嵌っている抜け止め部21を抜き、第2支持部材33の第2係止部45の第2貫通孔51に嵌っている抜け止め部21を抜き取る。以上によって、支持具本体31をブラケット18から取り外すことができる。
以上説明した支持具1によれば、支持具本体31の一端部(支持部37)でカットアウト2を支持するとともに、他端部が取付手段を介して変圧器本体11のブラケット18に取り付けられることによって、電柱4にカットアウト2を支持する支持金具を取り付ける必要がなくなり、従来のように長さの長い電柱4を使用する必要もなくなる。
また、支持具本体31は取付手段を介して変圧器本体11に着脱自在に取り付けられることから、カットアウト2のメンテナンス時や、変圧器5のまわりでの作業の際に、支持具本体31を変圧器本体11から取り外すことで、その作業を効率良く行うことができる。
さらに、この支持具1によれば、支持具本体31を変圧器本体11に直接取り付けることができるので、従来のように、変圧器本体11の下方位置から突出する大型の支持金具に比べ、その大きさを小さくすることができ、製造コストを低減できるようになる。
また、取付手段によって、第1支持部材32の第1係止部38に形成された第1貫通孔41に、変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18の板部26,26の一方から突出する取付ピン17の抜け止め部21が嵌め込まれ、第2支持部材33の第2係止部45に形成された第2貫通孔51に、他方の板部26から突出する抜け止め部26が嵌め込まれ、さらに、第2支持部材33の第1当接部46(当接面52)がブラケットの連結部27に当接した状態で、締付手段34であるねじ部材55とナット56を締め付けることで、支持具本体31は、ブラケット18に確実に固定され、カットアウト2を強固に保持できるようになる。
また、取付手段により、第1支持部材32の第1係止部38と、第2支持部材33の第2係止部45を変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18の板部26,26の外面に当接させ、第2支持部材33の第1当接部46をブラケット18の連結部27の外面に当接させていることから、支持具本体31は、ブラケット18の外面に取り付けられることとなる。
したがって、支持具本体31は、ブラケット18の板部26,26間に架け渡された取付ピン17の中途部から所定間隔離れており、この取付ピン17に取り付けられているボルト16からも離れている。
これにより、固定手段13が、変圧器本体11に対する蓋体12の固定を解除したとき、すなわち、押さえ部材15を固定しているボルト16を緩め、この押さえ部材15が蓋体12から離れるようにすべく、押さえ部材15を取付ピン17の軸心まわりに回動させたときに、支持具本体31がこの押さえ部材15の動作を阻害することがなく、蓋体12を変圧器本体11から取り外すことができなくなるといったこともない。
すなわち、支持具1は、支持具本体31が変圧器本体11に取り付けられた状態であっても、変圧器本体11に対する蓋体12の開閉作業を支障なく行うことを可能にするものとなっている。
さらに、第1支持部材32は、支持部37が第1係止部38に対して所定の角度(例えば120°)で傾斜していることから、この支持部37に支持されたカットアウト2は、変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18からずれて位置することとなる。
すなわち、固定手段13による変圧器本体11への蓋体12の固定を解除して、押さえ部材15を蓋体12から離反させたときに、カットアウト2は、この押さえ部材15の離反方向(押さえ部材15の回動の方向)からずれた位置で支持具本体31に支持されている。
したがって、支持具本体31は、押さえ部材15を蓋体12から離反させた場合に、この押さえ部材15がカットアウト2に接触しないように支持する第1支持部材32(具体的には支持部37)を有しているといえる。
また、変圧器本体11のブラケット18への支持具本体31の取り付け、取り外しに際し、規制部材35による第1支持部材32と第2支持部材33の規制によって、支持具本体31をブラケット18に仮止めした状態で、締付手段34の締め付け・締め付け解除を行うことができることから、この作業を容易に行うことができ、支持具本体31の迅速かつ確実な取り付け・取りはずしを行うことができる。
また、支持具本体31は、第1支持部材32の支持部37が第1係止部38に対して所定の角度で傾斜して形成され、第1係止部38の板厚方向の一方の面、他方の面のいずれかが第2当接部47に当接可能とされ、第2当接部47に当接させる第1係止部38の面を変更することで、支持部37が支持するカットアウト2の位置を変更できるように構成されていることから、電柱4のまわりに障害物がある場合に、カットアウト2の位置を変更して、この障害物を避けて変圧器本体11に取り付けることができるようになる。
さらに、変圧器5に複数の固定手段13が設けられていることから、変圧器本体11に設けられている複数のブラケット18のうちで、隣り合うブラケット18,18のそれぞれに支持具本体31を取り付ける場合、一方の支持具本体31と、他方の支持具本体31とで、第2当接部47に当接させる第2係止部38の面を異ならせることで、例えば、一方の支持具本体31が支持するカットアウト2と、他方の支持具本体31が支持するカットアウト2との離間距離を大きくすることができ、隣り合うカットアウト2を接近させたくない場合や、接近させたい場合等に、特に有用である。
また、規制部材35は、締付手段34のねじ部材55とナット56が緩んでいる場合であっても、この第1支持部材32と第2支持部材33とが大きく離れることがないように、その位置を規制することができる。
これにより、例えば、ブラケット18に取り付けられている支持具本体31を取り外す場合に、締付手段34のナット65を緩めた場合であっても、第1支持部材32と第2支持部材33が不意にブラケット18から脱落することを防止できるようになっている。
したがって、カットアウト2や変圧器5のメンテナンス等の作業のために、支持具本体31を変圧器本体11から取り外す場合に、カットアウト2が変圧器本体11から落下することを防止でき、適切かつ確実に作業を行うことができる。
図6は、支持具1の第2実施形態を示している。上述した第1実施形態では、支持具本体31の第2支持部材33に第2係止部45と第1当接部46、第2当接部47が設けられていたが、本実施形態では、第2支持部材33に、第2係止部45が設けられているが、第1当接部46、第2当接部47は設けられていない。また、本実施形態では、支持具本体31に規制部材35が設けられていない。また、本実施形態では、支持具本体31は、第1当接部46と第2当接部47を有する第3支持部材71を備えており、これらの点が第1実施形態と異なる。
第2支持部材33は、平面視J字状(逆J字状)に構成され、変圧器本体11に固定される第2係止部45と、第3支持部材71に当接する当接部72を有する。第2係止部45と当接部72とは、ほぼ平行とされ、第2係止部45は、この当接部72よりも長く形成されている。
また、この第2係止部45には、第1実施形態と同様に、締付手段34と係合する第2係合孔48が形成されている。また、第2支持部材33の当接部72には、締付手段34と係合する第3係合孔53が形成されている。
第3支持部材71には、金属製の板部材が用いられる。この第3支持部材71は、L字状に構成されており、その一片が前記ブラケット18に当接する第1当接部46とされ、その他片が第1支持部材32に当接する第2当接部47となっている。
第1当接部46は、その外面が、変圧器本体11に設けられたブラケット18の連結部27に当接する当接面52とされている。また、第2当接部47には、締付手段34と係合する係合孔(以下「第4係合孔」という)76が板厚方向に貫通して形成されている。
また、第3支持部材71は、ブラケット18に取り付けられていない状態において、第1当接部46と第2当接部47とが所定の角度を為すように、その中途部が曲がった状態で形成されている。本実施形態では、第1当接部46と第2当接部47とが為す角度は、90°よりも大きく、105°以下とされるのが好ましく、より好ましくは、92°以上100°とされ、最も好ましいのは、95°以上100°以下とされるのが良い。本実施形態では、第1当接部46と第2当接部47とが為す角度(内角)は、95°とされている。第3支持部材71は、変圧器本体11のブラケット18に取り付けられたときに、この第1当接部46が、第2当接部47に対する角度が小さくなるように弾性変形して、ほぼ90°となる。第2当接部47が弾性変形したときの第2当接部47に対する角度は、必ずしも90°になる必要はなく、90°以上(例えば92°〜95°)であってもよい。なお、図6は、支持具本体31が変圧器本体11のブラケット18に取り付けられ、第1当接部46が弾性変形して第2当接部47に対する角度が100°よりも小さくなった状態を示している。
本実施形態では、第1支持部材32の第1係合孔43、第2支持部材33の第2係合孔48、第3係合孔53、および第3支持部材71の第4係合孔76を一致させ、第1係合孔43と第2係合孔48のうちの一方の係合孔からねじ部材55の軸部を挿通し、他方の係合孔からこの軸部を突出させてナット56を嵌めることにより、第1支持部材32と、第2支持部材33と、第3支持部材71とが一体に連結される。
本実施形態において、支持具本体31を変圧器本体11に取り付けるには、締付手段34のねじ部材55とナット56の螺合を緩めた状態で、変圧器本体11に設けられたブラケット18の一方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を第1支持部材32の第1係止部38に形成された第1貫通孔41に嵌め込むとともに、他方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を、第2支持部材33の第2係止部45に形成された第2貫通孔51に嵌め込む。そして、第3支持部材71の第1当接部46をブラケット18の連結部27の外面に当接させ、締付手段34のねじ部材55に嵌められたナット56を締め付ける。
そうすると、ブラケット18の連結部27に当接する第3支持部材71の第1当接部46は、締付手段34による締め付けによって、第2当接部47に対する角度が小さくなるように、弾性変形する。具体的には、第1当接部46は、第2当接部47に対する角度が約90°、または90°より若干大きくなる(好ましくは、92°〜95°)ように、弾性変形する。したがって、第1当接部46は、締付手段34による締め付けと、弾性変形によって生じる弾性復元力とによって、ブラケット18の連結部27に対して、より強く当接することになる。
これにより、支持具本体31は、第1支持部材32の第1係止部38が、ブラケット18の一方の板部26に当接し、第2支持部材33の第2係止部45がブラケット18の他方の板部26に当接し、第3支持部材71の第1当接部46がブラケット18の連結部27に当接した状態で、変圧器本体11に取り付けられる。
このとき、第2支持部材33の当接部72が第3支持部材71の一片に当接し、第3支持部材71の第2当接部47が第1支持部材32に当接した状態となり、第3支持部材71は、第1支持部材32と第2支持部材33とで挟まれた状態となる。
本実施形態における第2支持部材33の他の構成は、第1実施形態と同様であり、本実施形態と第1実施形態とで共通する構成については、共通符号を付して、その説明を割愛する。本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
さらに、本実施形態においては、第3支持部材71の第1当接部46が弾性変形しながらブラケット18の連結部27に当接することから、支持具本体31が変圧器本体11のブラケット18に取り付けられたときに、この支持具本体31が、がたつくことのないように、より確実かつ強固にブラケット18に固定できるようになる。これは、変圧器本体11のブラケット18や支持具本体31等に生じる寸法公差による支持具本体31のがたつきを抑制するという点において、特に効果的である。
図7、図8は、支持具1の第3実施形態を示している。本実施形態では、第2支持部材33、および第3支持部材71の構成が第2実施形態と異なる。また、本実施形態では、支持具本体31は、規制部材35を備えているが、その構成が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、第2支持部材33は、平面視J字状の板部材により構成されていたが、本実施形態では、平面視直線状の長方形板部材とされており、この点が異なる。第2支持部材33の長手方向の一端部は、第2実施形態と同様に、変圧器本体11に設けられたブラケット18に固定される第2係止部45とされている。この第2支持部材33の中途部には、第2実施形態と同様に、締付手段34と係合する第2係合孔48が板厚方向に貫通して形成されている。
また、第2実施形態では、第3支持部材71がL字状の板部材とされていたが、本実施形態では、第3支持部材71は、U字状の板部材で構成されている。この第3支持部材71は、変圧器本体11に設けられたブラケット18の連結部27に当接する第1当接部46と、第1支持部材32に当接する第2当接部47と、第2支持部材33に当接する当接部(以下「第3当接部」という)80とを有する。
第3支持部材71の第1当接部46には、前記ブラケット18の連結部27に当接する当接面52が形成されており、この当接面52の上部には、連結部27に掛けられる掛止フック81が設けられている。この掛止フック81は、溶接により当接面52に固定され、その先端が下方に向くように鉤状に形成されている。
第3支持部材71の第2当接部47には、締付手段34と係合する第3係合孔53が板厚方向に貫通して形成されている。また、第3支持部材71の第3当接部80には、締付手段34と係合する第4係合孔76が形成されている。
規制部材35は、本体部61に、複数(図例では2つ)の掛止部62が設けられており、この点が第1実施形態と異なる。複数の掛止部62は、所定間隔離れて本体部61に設けられている。規制部材35は、各掛止部62によって、第1支持部材32と第3支持部材71を挟むようにして掛止することで、第1支持部材32と第3支持部材71とが離れないように規制している。
本実施形態では、第1支持部材32の第1係合孔43、第2支持部材33の第2係合孔48、第3支持部材71の第3係合孔53、および第4係合孔76を一致させ、第1係合孔43、第2係合孔48のうちの一方の係合孔から締付手段34のねじ部材55の軸部を挿通するともに、軸部の端部を他方の係合孔から突出させ、この端部にナット56を嵌め込むことにより、第1支持部材32、第2支持部材33、および第3支持部材71が連結されている。
本実施形態において、支持具本体31を変圧器本体11に取り付けるには、締付手段34のねじ部材55に螺合しているナット56をやや緩めた状態で、第1支持部材32の第1係止部38と第2支持部材33の第2係止部45とで、変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18を挟むとともに、第3支持部材71の掛止フック81をブラケット18の連結部27に上から掛ける。
次に、第1係止部38の第1貫通孔41にブラケット18の一方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を嵌め込み、第2係止部45の第2貫通孔51に、他方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を嵌め込む。
そして、締付手段34のナット56を締め付けることにより、第1支持部材32の第1係止部38がブラケット18の一方の板部26に当接し、第2支持部材33の第2係止部45がブラケット18の他方の板部26に当接し、そして、第3支持部材71の第1当接部46の当接面がブラケット18の連結部27に当接するとともに、掛止フック81がこの連結部27に掛止された状態で、支持具本体31は、ブラケット18に固定される。
本実施形態によれば、掛止フック81を連結部27に掛止させることによって、より確実かつ強固に支持具本体31を変圧器本体11のブラケット18に固定することができるようになる。本実施形態の他の構成は、第2実施形態と同様であり、本実施形態においても、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
図9、図10は、支持具1の第4実施形態を示している。本実施形態では、第3支持部材71の構成が第3実施形態と異なる。本実施形態では、第3支持部材71は、第1当接部46の当接面52に形成された掛止フック81が、この当接面52の下部から突出するように形成されており、この点が第3実施形態と異なる。本実施形態では、掛止フック81は、その先端部が上方を向くように形成されている。
本実施形態では、支持具本体31は、第3支持部材71の第1当接部46の当接面52を、変圧器本体11に設けられたブラケット18の連結部27に当接させる際、この連結部27の下部に掛止フック81を掛けるようになっている。
本実施形態の他の構成は、第3実施形態と同様であり、本実施形態においても、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
図11、図12は、支持具1の第5実施形態を示している。本実施形態では、第2支持部材33の構成が第1実施形態と異なる。より具体的には、第2支持部材33に設けられた第1当接部46の構成が、第1実施形態とは異なる。
第1実施形態では、第2支持部材33の第1当接部46は、その外面が、前記ブラケット18の連結部27の外面に当接する当接面52とされていたが、本実施形態では、第1当接部46の外面は連結部27の外面に当接していない。
本実施形態では、第1当接部46は、その下部に突起部46aを有しており、この突起部46aが、連結部27の下部に、下側から当接するようになっている。より具体的には、この突起部46aは、支持具本体31がブラケット18に取り付けられた状態で、ブラケット18側に向けて突出するように形成されており、その上部に、ブラケット18の連結部27が上から当接するようになっている。
本実施形態では、第1支持部材32の第1係止部38と第2支持部材33の第2係止部45とでブラケット18を挟むようにし、第1係止部38の第1貫通孔41にブラケット18の一方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を嵌め込み、第2係止部38の第2貫通孔51に他方の板部26から突出する取付ピン17の抜け止め部21を嵌め込み、さらに、第1当接部46をブラケット18の連結部27の下部に当接させることで、支持具本体31を変圧器本体11に確実かつ強固に固定できるようになっている。
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1支持部材32、第2支持部材33、第3支持部材71として金属製の板部材を用いた例を示したが、これに限らず、これらは、カットアウト2を支持するための十分な強度を有するものであれば、合成樹脂、炭素繊維その他の材質で構成されてもよい。
また、上記の実施形態では、変圧器本体11に蓋体12を固定手段13が、ボルト16、取付ピン17を介してブラケット18に連結され、ボルト16による押さえ部材15の締め付け・解除によって、蓋体12を変圧器本体11に対して固定・固定解除する構成を例示したが、これに限らず、例えば、押圧部材15を長尺状に形成するとともに、その一端部を取付ピン17に固定し、押さえ部材15の中途部にスライド機構等の伸縮手段を用いて押さえ部材15を長さ調節自在とすることで、固定手段13を構成するようにしてもよい。
上記の実施形態では、固定手段13の取付ピン17が、変圧器11に設けられたブラケット18の板部26,26間に架け渡されて回動自在に支持され、ボルト16を介して押さえ部材15を取付ピン17に連結し、この押さえ部材15を取付ピン17の軸心まわりに回動自在とした例を示したが、これに限らず、ブラケット18の板部26,26間に架け渡される円柱状の軸部を一体に形成し、押さえ部材15を上記のように伸縮手段により長さ調節自在とするとともに、この押さえ部材15の端部に、この軸部を挿通可能な環状部(リング部)を形成して、この軸部に環状部を挿通させることで、押さえ部材15を軸部まわりに回動自在とした固定手段13を構成するようにしてもよい。
上記の実施形態では、取付ピン17の各端部に設けられるとともに、変圧器本体11に設けられた固定手段13のブラケット18の板部26,26から突出する1対の抜け止め部21,21の一方を、第1支持部材32の第1係止部38に形成された第1貫通孔41に嵌め込み、他方の抜け止め部21を、第2支持部材33の第2係止部45に形成された第2貫通孔45に嵌め込んで係止させる例を示したが、これに限らず、ブラケット18の板部26,26の外面から突出する突起部を抜け止め部21とは別に形成し、この突起部を第1貫通孔41、第2貫通孔51に嵌め込んで係止させるようにしてもよい。
上記の実施形態では、第1支持部材32は、その支持部37が第1係止部38に対して所定の角度(120°)で傾斜した例を示したが、これに限らず、固定手段13の押さえ部材15を蓋体12から離れるように取付ピン17の軸心まわりに回動させたときに、押さえ部材15がカットアウト2に接触しないように、支持具本体31が十分な長さを有している場合には、支持具本体31は、支持部37を傾斜させずに、第1係止部38と同一直線状に構成されていてもよい。
また、第1係止部38に対する支持部37の傾斜角度は、120°以外の角度に設定されていてもよい。
上記の実施形態では、規制部材35が第1支持部材32と第2支持部材33を挟んでその位置を規制する例、および、第1支持部材32と第3支持部材71を挟んでその位置を規制する例を示したが、これに限らず、規制部材35は、第2支持部材33と第3支持部材71を挟んでこれらの位置を規制するようにしてもよい。また、支持具本体31には、第1支持部材32と第2支持部材33とを規制する規制部材、および第2支持部材32と第3支持部材71とを規制する規制部材の2つを設けるようにしてもよい。
1…支持具、2…カットアウト、3…碍子、4…電柱、5…変圧器、6…連結具、11…変圧器本体、12…蓋体、13…固定手段、15…押さえ部材、16…ボルト、17…取付ピン、18…ブラケット、21…抜け止め部、26…板部、27…連結部、31…支持具本体、32…第1支持部材、33…第2支持部材、34…締付手段、35…規制部材、37…支持部、37a…0取付孔、38…第1係止部、39…位置決め部材、41…第1貫通孔、43…第1係合孔、45…第2係止部、46…第1当接部、46a…突起部、47…第2当接部、48…第2係合孔、51…第2貫通孔、52…当接面、53…第3係合孔、55…ねじ部材、56…ナット、61…本体部、62…掛止部、63…挿通孔、65…凹部、71…第3支持部材、72…当接部、76…第4係合孔、80…第3当接部、81…掛止フック