JP5060109B2 - スレート板用孔開け具 - Google Patents

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Description

本発明は、有害な材質を含む建材等で特に表面形状が波形状(又は平坦状)等に形成された(屋根板材等の)ワークに対して、ドリル孔開け加工を行う際に発生する切粉,粉塵が周囲に飛散することを防止できるスレート板用孔開け具に関する。
老朽化又は経年変化によって劣化した既設の波形スレート屋根を改修する工事が行われている。この場合には、既設スレート屋根を利用して、その上に新設屋根を施工する工事が行われることが多い。このような工法では、既設スレート屋根をそのまま利用するので、既設スレート屋根が設けられている現場での使用が可能であり、施工も比較的簡単である。
このような既設スレート屋根を利用した改修屋根の一例として、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたものでは、既設スレート屋根の既設波形スレート屋根板上に改修用の新設屋根板を葺くためにボルト等の固着具用の貫通孔を穿孔する簡単な加工を施せばよい。この貫通孔の穿孔は電動ドリル等によって行われる。
特開2003−27671号
ところが、特許文献1に類する施工では、前述したように電動ドリルによって、既設波形スレート屋根板にボルト等の貫通孔を穿孔することが必要であるため、その穿孔加工の際にスレートの切粉,切屑等の粉塵が加工箇所の周囲に飛散する。そして、この切粉,切屑等の粉塵には、アスベスト等の有害な物質が含まれており、周囲に飛散したこれらの物質が作業員の健康に悪影響を及ぼすことになり、極めて危険である。
このような危険性から作業員の身を護るために、防護作業衣を着用し、極めて高性能なマスクを着用するものである。しかし、スレート屋根板の切粉,切屑等の粉塵は、周囲に飛散し、周囲にいる作業員や一般人にも悪影響を及ぼすことがあり、このような危険な状態も回避されなければならない。そのために、大掛かりな粉塵除去装置等の使用も考えられるが、工期,費用等の面で大きな障害となる。
本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的)は、アスベスト等の有害物質を含む建材で、特にその表面が波形状等のものに孔開け作業を行う際に、ドリル孔開け加工による切粉,切屑等の粉塵が周囲に飛散することを確実に防止し、作業員の身体の安全を確保し、作業環境を極めて良好にすることができることを実現することにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ドリルを着脱自在に保持するドリルホルダと、該ドリルホルダを回転自在に支持する軸受部と、該軸受部と連結されると共に前記ドリルホルダの周囲を包囲し,且つ粉塵を外部に送出するノズルが形成された筒部と,軟質接触部とを有する筒状体とからなり、該筒状体は、前記筒部の開口部箇所に前記軟質接触部が設けられ、該軟質接触部は円筒形状に形成された円筒軟質接触部材とし、且つ該円筒軟質接触部材の軸方向一端側は、弧状二股開口部が形成され、軸方向他端側は平坦開口部が形成され、前記弧状二股開口部は直径方向両側に弧状凸部が対向するように形成され、両弧状凸部間には弧状凹部が形成され、前記両開口部はいずれも前記筒部に着脱自在に設けられてなるスレート板用孔開け具としたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1において、前記円筒軟質接触部材はスレート板の表面形状に沿って変形自在としてなるスレート板用孔開け具としたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明は、ドリルを着脱自在に保持するドリルホルダと、該ドリルホルダを回転自在に支持する軸受部と、該軸受部と連結されると共に前記ドリルホルダの周囲を包囲し,且つ粉塵を外部に送出するノズルが形成された筒部と,軟質接触部とを有する筒状体とからなり、該筒状体は、前記筒部の開口部箇所に前記軟質接触部が設けられていることにより、本発明のスレート板等用孔開け具にドリルを取り付け、電動工具に装着して、アスベスト等の有害物質を含むスレート板の表面に軟質接触部を押し付けることで、該軟質接触部は、前記スレート板の表面形状との接触箇所と、同一形状となりながら接触することができる。
これによって、前記筒状体の開口部における軟質接触部と、前記スレート板の表面との間には、孔開け加工の最終段階で隙間が生じることなく、孔開け加工を行う箇所の周囲を略密閉状に包囲しながらドリルによる孔開け加工作業ができるものである。特に、波形のスレート板においては、前記軟質接触部がスレート板の波形面に対して良好に形状が追従でき、筒状体とスレート板の波形面密接状態で接触することができ、前記軟質接触部が波形面と同一形状にできる。よって、前記ドリルによるスレート板への孔開け作業時において、孔開け箇所の周辺が前記筒状体によって略密閉状に包囲され、作業によって発生する切粉,切屑等の有害物質を含んだ粉塵は、前記筒状体から外部に排出されることがなく、作業員の健康的環境を良好に維持することができるものである。さらに、前記筒部には、粉塵を外部に送出するノズルが形成されているので、掃除機のホースに連結しやすくなり、前記筒状体内より粉塵を吸引することにより、該筒状体内の粉塵を効率的に除去することができる。
また、請求項1の発明は、前記円筒軟質接触部材は、前記筒状体に対して着脱自在に連結されてなるスレート板用孔開け具としたことにより、前記円筒軟質接触部材が前記スレート板の表面形状に容易に対応した形状にすることができるものであるが、その反面,劣化し易く且つ消耗性のある材質とした場合であっても、前記円筒軟質接触部材が容易に交換できることで、常に、状態の最良な円筒軟質接触部材を使用することができ、孔開け加工における、粉塵の筒状体からの漏れを、確実に防止することができるものである。
さらに請求項1の発明は、前記円筒軟質接触部材の軸方向一端側は、弧状二股開口部が形成され、軸方向他端側は平坦開口部が形成され、該弧状二股開口部は直径方向両側に弧状凸部が対向するように形成され、両弧状凸部間には弧状凹部が形成され、前記両開口部はいずれも前記筒部の挿入固定が可能としたことにより、前記弧状二股開口部又は平坦開口部のいずれもスレート板への穿孔作業における吸引開口として使用することができるものであり、前記スレート板が波板状又は平坦状のいずれのタイプであっても、その形状に応じて軟質接触部を使用することができる。
請求項2の発明は、前記円筒軟質接触部材はスレート板の表面形状に沿って変形自在としてなるスレート板用孔開け具としたことにより、前記円筒軟質接触部材は、その開口部が平坦な円形状としたものであり、単純な形状で製造し易いものである。また、その円筒軟質接触部材は、前記スレート板の山形部に押し付けるのみで、山形部と同一形状にすることができるものであり、山形部の高さ及び幅方向寸法が種々のサイズのものにも対応することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明には3つの実施形態が有り、まず、第1実施形態について図1乃至図5に基づいて説明する。本発明の構成は、主にドリルホルダ1,軸受部2,筒状体3から構成される。前記ドリルホルダ1は、図1,図4(A)に示すように、ドリルを装着固定するドリルチャック部11と、回転軸部12及び連結部13とから構成されている。前記ドリルチャック部11は、ドリル4を装着する部位であり、六角穴付の止螺子用の螺子孔11aが軸方向に直交する方向に形成され、止螺子11bによって前記ドリル4が固着されるようになっている。
前記回転軸部12は、後述する軸受部2にベアリング121を介して回転自在に軸支される〔図1(B)参照〕。その連結部13は、電動工具5のアタッチメントチャック51に連結される部位である。そして、本発明のスレート板用孔開け具が電動工具5に装着されることによって、スレート板6の孔開け加工に使用されるようになっている。前記ドリルチャック部11と回転軸部12とは一体成形されたものであり、前記連結部13は、回転軸部12に対して、着脱自在とする構造となっている。
次に、軸受部2は、図4(B)に示すように、ベアリング収納室21と、軸孔22と、ジョイント部23とから構成される。前記ベアリング収納室21と前記軸孔22とは、連通しており、前記ベアリング収納室21の内径は、前記軸孔22の内径よりも大きく形成されている。前記ベアリング収納室21には、ベアリング121が装着され、止め輪等の固定具にて固定される。そして、前記ベアリング121及び軸孔22に前記ドリルホルダ1の回転軸部12が挿入されて、回転自在な構成となる。
次に、筒状体3は、図4(C)に示すように、主に、筒部31と、軟質接触部34とから構成されている。前記筒部31には、送出口32が形成されている。該送出口32は、筒部31の内部と外部とを連通する口孔である。さらに、前記送出口32箇所で且つ前記筒部31の外周側には、ノズル33が前記筒部31の軸方向に直交する方向に沿って突出形成されている。前記ノズル33は、後述する掃除機7の吸引ホース71と連結される部位である〔図2及び図3(A)参照〕。
前記筒部31は、前記軸受部2のジョイント部23に連結するものであり、前記筒部31の内径が前記ジョイント部23の外形よりも僅かに小さく形成され、前記筒部31が前記ジョイント部23に圧入状態で装着されている。或いは、前記ジョイント部23には、外螺子部が形成され、前記筒部31には内螺子が形成され、その内螺子部と外螺子部とが螺合されて、前記軸受部2と筒部31とが接続されるものである。前記ジョイント部23と前記筒部31との間にはパッキン35が配置され、気密性を増している〔図1(B)参照〕。前記軸受部2にドリルホルダ1が装着された状態で、前記軸受部2に前記筒部31が連結されると、該筒部31内の直径方向中心に前記ドリルチャック部11が位置するものである。
前記筒部31の開口部には、軟質接触部34が連続されている。該軟質接触部34は、極めて軟質性を有する材料から形成され、後述する波形状としたスレート板6の山形部61の形状に沿って、変形することが自在(自由)にできるものである。第1実施形態における軟質接触部34は、通常の形状は筒形状を維持するようにして形成されたもので円筒軟質接触部材340と称する。
該円筒軟質接触部材340は、前記スレート板6の山形部61にその開口先端340aを押し付けることによって、前記円筒軟質接触部材340の直径方向に沿って前記山形部61が食い込むことになる。この山形部61の前記開口先端340aへの食込み状態によって、図2,図3(B)に示すように、前記開口先端340a付近の形状が前記山形部61の形状に沿って、該山形部61の形状に変形することができるものである。すなわち、標準的な前記スレート板6の山形部61の頂部周囲の曲率半径をRoとすると、前記軟質接触部34の円筒軟質接触部材340における開口先端340aは、曲率半径Roに従って凹み、前記軟質接触部34は、前記山形部61に密接することができる形状となる〔図2,図3(B)参照〕。
前記円筒軟質接触部材340は、前述したように、軟質性又は柔軟性があり、接触するワーク(被工作物)の表面形状に沿って、容易に形状が変化することができるもので、このような性質に適した材質として、形状を維持しつつ、ゼリー状の材質を備えたものが好ましい。そして、このような性質を考慮して、前記円筒軟質接触部材340の材料としては、特に軟質性を有する材質(ゴム、スポンジ或いはシリコン等の合成樹脂等)が使用される。該円筒軟質接触部材340は、前記筒部31に対してホースバンド等の固定具36で着脱自在に固定される(図1参照)。また、前記円筒軟質接触部材340がゴム材にて成形された実施形態では、好ましくはクロロプレンゴム(CRゴム)が使用され、ゴムの材質の硬度は約50度及びその周辺の数値のものが採用される。
前記円筒軟質接触部材340の材質は、前述したように前記スレート板6の山形部61等の表面形状に沿った形状に容易に変形することができるものとしているために、劣化し易く且つ消耗性のある材質となりやすい場合もある。そのために、前記円筒軟質接触部材340を容易に交換することができるようにしたことにより、該円筒軟質接触部材340が劣化したら、すぐに新品に交換することで、常に、最良な状態の円筒軟質接触部材340を使用することが可能となり、孔開け加工における、粉塵の筒状体からの漏れを、確実に防止することができるものである。
次に、前記本発明の第2実施形態について図6,図7に基づいて説明する。前記筒状体3の筒部31は、直径方向に沿って対向するように円弧状凹部31b、31bが形成されている。具体的には、各円弧状凹部31bは、前記筒部31における開口部31aの直径方向両側部分に対向するようにして、形成されたものである。前記円弧状凹部31bの形状は、特に波形状のスレート板6の山形部61の断面形状に沿って近似するようにして形成されたものである。
この第2実施形態の前記筒状体3における筒部31の開口部31aを前記スレート板6の山形部61に接触させたときに、略密接状に接触させることができるようになっており、このように密接状の接触ができるようにするために、種々のサイズ(高さ及び幅)の山形部61を有する波形状のスレート板6に合わせて、種々のサイズの円弧状凹部31bを有する筒状体3(筒部31)を用意しておくことが好ましい。
この第2実施形態の前記筒部31の開口部31aには周方向に沿って前記軟質接触部34が、前記筒部31の開口部31aから軸方向に沿って突出するように装着される(図6参照)。第2実施形態における軟質接触部34は、前記筒部31の対向する両円弧状凹部31b、31bを含めた開口部31aで、その周方向に沿って紐又はゴムバンド状等の輪状に装着されたものであり、この第2実施形態における軟質接触部34は、輪状軟質接触部材341と称する。該輪状軟質接触部材341は、前記円筒軟質接触部材340と同様に軟質性を有する材質(ゴム、スポンジ或いはシリコン等の合成樹脂等)が使用される。
前記輪状軟質接触部材341が、図6に示すように、前記筒部31の開口部31aに装着されることで、該開口部31aと前記山形部61との間に前記輪状軟質接触部材341が介在することとなり、該輪状軟質接触部材341が両者の密着を確実なものとすることができる。また前記円弧状凹部31b、31bの形状と前記山形部61との形状との間に多少の形状誤差が存在しても、両者の間の隙間を前記輪状軟質接触部材341が充填される状態となり、密着性を確保することができるものである。
前記筒部31の開口部31aと、前記輪状軟質接触部材341との接続については、該輪状軟質接触部材341には、周方向に沿って接続溝条341bが形成されている。該接続溝条341bの溝幅は、前記筒部31の肉厚よりも小さく形成されている。前記接続溝条341bに前記筒部31の開口部31aが圧入されて固着される。前記輪状軟質接触部材341は、前記筒部31の開口部31aの周方向の形状に従って凹凸状になる。
すなわち、前記両円弧状凹部31b,31bの箇所では輪状軟質接触部材341もその円弧状凹部31b,31bの形状になる〔図6(A)乃至(C)参照〕。さらに、前記輪状軟質接触部材341は、前記筒部31の軸方向に沿って外方に突出している。その輪状軟質接触部材341の突出量tは、具体的には、前記接続溝条341bの深さと同等か又はその深さ以上の量である(図6参照)。
前記スレート板6は、スレート屋根,壁を構成する建材であり、その断面形状が波形状板又は平坦状板のものがある。波形状のスレート板6では、山形部61と谷形部62とが交互に配置形成されている。前記山形部61と谷形部62とは、略円弧状に形成されており、その山形部61(又は谷形部62)には、幅方向及び高さ方向において、種々のサイズが存在する。またスレート板6が平坦状のものでは、スレート瓦等がある。
次に、本発明の第1実施形態のスレート板用孔開け具によって、前記スレート板6の所定位置に孔開け加工を行うことについて説明する。まず、本発明の第1実施形態におけるスレート板用孔開け具を使用した場合では、スレート板用孔開け具の連結部13が前記電動工具5のアタッチメントチャック51に連結される〔図2,図3(A)参照〕。また、ドリル4が前記ドリルホルダ1のドリルチャック部11に装着される。
このとき、前記ドリル4の先端は、前記円筒軟質接触部材340の開口先端340a近くの位置に設定される〔図5(A)参照〕。すなわち、前記軟質接触部34がスレート板6の山形部61に接触直前で、前記軟質接触部34の開口先端340aが周方向に囲むようにして略密着が完了直前に、前記ドリル4の先端が前記山形部61の頂部に当接し、且つ孔開け加工が行われるようになっている〔図5(B)及び(C)参照〕。
そして、前記電動工具5と共に、前記円筒軟質接触部材340を前記山形部61に押し付けて、前記円筒軟質接触部材340の形状が前記山形部61の形状に合わせるようにして、筒状体3の開口部31aを前記山形部61に略密接直前状態にさせる。次に、前記電動工具5のスイッチを入れて、ドリルホルダ1と共にドリル4を回転させ、該ドリル4によってスレート板6の山形部61等の所定位置に孔開けを行うものである。この孔開け作業と共に、前記ノズル33に吸引ホース71を連結した掃除機7によって、前記筒状体3の切粉,切屑等の粉塵dを取り出す〔図5(D)参照〕。また、図5(D)に記載された矢印は、前記掃除機7による吸引方向を示すもので、前記切粉,切屑等の粉塵dが矢印の方向に移送され、吸引ホース71を通過して、前記掃除機7によって吸い込まれる。
次に、本発明の第2実施形態におけるスレート板用孔開け具を使用した場合では、第1実施形態のスレート板用孔開け具と同様に、連結部13が前記電動工具5のアタッチメントチャック51に連結され、前記ドリル4が前記ドリルホルダ1のドリルチャック部11に装着される。前記筒部31の両円弧状凹部31b,31bが前記スレート板6の山形部61の頂部位置に重なるように載置される〔図7(A)参照〕。このとき、前記輪状軟質接触部材341は、前記筒部31の開口部31aから突出量tだけ突出している。また、ドリル4の先端は、前記山形部61の頂部に接触している場合もある。
そして、電動工具5をスレート板6に向かって押し付けると、輪状軟質接触部材341の突出した部分が突出方向に縮まりつつ、該輪状軟質接触部材341が前記山形部61の頂部周囲の曲率半径Roに従う形状となり、山形部61に略密着直前状態とする〔図7(B)参照〕。さらに、ドリル4が前記山形部61の頂部に接触し、電動工具5のスイッチを入れることで、孔開け加工が行われる〔図7(C),(D)参照〕。この孔開け加工が行われているときには、ドリル4の周囲が筒部31と輪状軟質接触部材341により略密閉され、且つノズル33と掃除機7の吸引ホース71によって、掃除機7内へ切粉,切屑等の粉塵が排出される。
前述したように、前記スレート板6の山形部61のサイズは、種々存在しており、その山形部61の頂部周囲の標準的な曲率半径Roに対して種々の大きさのものが存在する。本発明の第2実施形態における筒部31に形成された円弧状凹部31bと、前記山形部61の形状,サイズが全く一致しなくても、両者が近似していれば、形状誤差による前記輪状軟質接触部材341が前記円弧状凹部31bと前記山形部61との間の隙間を十分に埋めることができ、筒部31と山形部61とを前記輪状軟質接触部材341によって略密着状態にすることができる。
実際には、前記スレート板6の山形部61の高さ及び幅方向の寸法に対して、その突出量tが縮むことにより円弧状凹部31b、31bと山形部61との間の隙間を十分に埋めることになる。図8は、その状態を示すものであり、図8(A)は第2実施形態における輪状軟質接触部材341が、標準的な曲率半径Roよりも小さい曲率半径Raの山形部61に対応して略密接状態となっていることを示したものである。
また、図8(B)は、第2実施形態における前記輪状軟質接触部材341が、標準的な曲率半径Roよりも大きい曲率半径Rbの山形部61に対応して略密接状態となっていることを示す要部断面図である。さらに、本発明の第1実施形態では、平坦状板としたスレート板6への孔開けを行うことができる。この孔開け加工では、前記筒状体3の軟質接触部34をスレート板6の平坦状面に押し付けるのみで、前記軟質接触部34が孔開け箇所の周囲に均一な押圧力で密接することができるものである。
次に、第3実施形態としては、図9に示すように、前記円筒軟質接触部材340において軸方向の両側の開口部を穿孔作業時に発生する粉塵dの吸引の開口部として使用することができるものである。前記円筒軟質接触部材340の軸方向一端側は、弧状二股開口部3401が形成され、軸方向他端側は平坦開口部3402が形成されたものである〔図9(B),(C)参照〕。前記弧状二股開口部3401は、直径方向に対向するようにして円筒軟質接触部材340の周壁の弧状凸部3401aが形成され、両弧状凸部3401aの間に弧状凹部3401bが形成されている〔図9(A),(C)参照〕。
前記弧状凸部3401aは略半円形状の突出部であり、前記弧状凹部3401bは略半円形状の凹み部である。前記弧状凸部3401aと前記弧状凹部3401bとは緩やかな曲線状にて連続形成されている。前記弧状二股開口部3401は、略鞍形状であり、前記スレート板6の山形部61に載置されたときに、周縁が前記山形部61に略密着状に接触(当接)することができるようになっている。このようなことから、前記弧状凹部3401bは、前記スレート板6の山形部61の断面形状に合わせて形成されたものである。次に、平坦開口部3402は、平坦な円周状の開口部であり、スレート板6が平坦に形成された面等に対応することができる。
この第3実施形態では、穿孔するスレート板6の形状に応じて、前記弧状二股開口部3401を吸引側に使用するか、又は前記平坦開口部3402を吸引側に使用するかが決定され、スレート板6の断面が波形状で円弧状の山形部61が連続したタイプでは、前記弧状二股開口部3401が吸引の開口部とし、前記平坦開口部3402に筒部31が挿入される〔図10(A)参照〕。また前記スレート板6が平坦面である場合には前記平坦開口部3402が吸引側として使用され、前記弧状二股開口部3401に筒部31が挿入されるものである〔図10(B)参照〕。
すなわち、円筒軟質接触部材340は、穿孔するスレート板6の形状に応じて、前記弧状二股開口部3401と平坦開口部3402とを適宜使い分けることができる。しかも前記円筒軟質接触部材340の弧状二股開口部3401と平坦開口部3402とのいずれかを吸引側に選択して、その他端側に前記筒部31を挿入するのみでセットを完了することができる。前記円筒軟質接触部材340の弧状二股開口部3401或いは平坦開口部3402には前記筒部31が圧入状態で挿入される。さらに、前記筒部31と接続された円筒軟質接触部材340の外周面には、ホースバンド等の固定具36が装着され、その接続をより一層強固にする。
本発明のスレート板用孔開け具は、屋根の他に壁,内壁,天井等のあらゆる建築関係材に使用することができる。既設フックボルト,前述したスレート板6以外に、金属,コン
クリート,木材,石,石膏ボード等の材料に使用される。さらに、本発明のスレート板等用
孔開け具は、ドリル4として通常の軸状のものが使用される他に、ドリルホールソーが使用されることもある。前述したスレート板6への穿孔作業に使用される以外に、ワイヤブラシ,砥石等を使用して研磨加工にも使用することもができる。このときに、スレート板
6は特に平板状とした建築構造材への研磨加工に発生する粉塵dの吸引や、ドリルビスによる固定作業に発生する金属粉等の粉塵dを前記軟質接触部34によって吸引することができる。さらに窯業系の建築材料に穿孔する際の粉塵dの吸引をしようすることが必要な際にも使用することができる。

本発明における軟質接触部34は、第1乃至第3のいずれの実施形態においても、ゴム等の軟質材で形成されており、スレート板6に対する穿孔作業を行う場合では、該スレート板6の表面に軟質接触部34の開口部を略当接させ、ドリル4にてスレート板6に穿孔を行うために前記軟質接触部34の開口部を強く押し付けることとなり、これによって、前記軟質接触部34は単にスレート板6の表面に当接しているのみではなく、略密着状態となり、ドリル4にて穿孔した粉塵dは、略密着状態にある軟質接触部34の開口部周囲とスレート板6との間から外部に漏れることがなく、極めて安全に穿孔作業ができる。本発明によって、スレート板6に穿孔作業を行った場合の粉塵dの漏れの測定結果を表1に開示しておく。
Figure 0005060109
(A)は本発明の第1実施形態の斜視図、(B)は本発明の第1実施形態の縦断側面図である。 本発明の第1実施形態でスレート板に孔開け加工を行う状態を示す一部断面にした側面図である。 (A)は本発明の第1実施形態を電動工具に装着し掃除機の吸引ホースをノズルに接続した斜視図、(B)は円筒軟質接触部材がスレート板の山形部の形状に沿って変形した状態を示す斜視図である。 (A)はドリルホルダの断面図、(B)は軸受部の断面図、(C)は筒部の断面図、(D)は円筒軟質接触部材の断面図である。 (A)乃至(D)は本発明の第1実施形態にてスレート板に孔開け加工を行う工程図である。 (A)は本発明の第2実施形態の斜視図、(B)は本発明の第2実施形態の縦断側面図、(C)は(B)のX−X矢視断面図である。 (A)乃至(D)は本発明の第2実施形態にてスレート板に孔開け加工を行う工程図である。 (A)は第2実施形態における輪状軟質接触部材が小さい山形部に対応している状態を示す要部断面図、(B)は第2実施形態における輪状軟質接触部材が大きい山形部に対応している状態を示す要部断面図である。 (A)は本発明において第3実施形態における軟質接触部の平坦開口部を筒部に接続し弧状二股開口部側を吸引側とした状態の側面図、(B)は筒部から軟質接触部を外して弧状二股開口部側を筒部に装着しようとする状態の要部の側面図、(C)は軟質接触部の弧状二股開口部側より見た斜視図である。 (A)は本発明において第3実施形態における軟質接触部の平坦開口部側を筒部に接続し弧状二股開口部側を吸引側として使用する状態の側面図、(B)は本発明において第3実施形態における軟質接触部の弧状二股開口部側を筒部に接続し平坦開口部側を吸引側として使用する状態の側面図である。
符号の説明
1…ドリルホルダ、2…軸受部、3…筒状体、4…ドリル、31…筒部、
31b…円弧状凹部、34…軟質接触部、340…円筒軟質接触部材、
3401…弧状二股開口部、3402…平坦開口部、341…輪状軟質接触部材。

Claims (2)

  1. ドリルを着脱自在に保持するドリルホルダと、該ドリルホルダを回転自在に支持する軸受部と、該軸受部と連結されると共に前記ドリルホルダの周囲を包囲し,且つ粉塵を外部に送出するノズルが形成された筒部と,軟質接触部とを有する筒状体とからなり、該筒状体は、前記筒部の開口部箇所に前記軟質接触部が設けられ、該軟質接触部は円筒形状に形成された円筒軟質接触部材とし、且つ該円筒軟質接触部材の軸方向一端側は、弧状二股開口部が形成され、軸方向他端側は平坦開口部が形成され、前記弧状二股開口部は直径方向両側に弧状凸部が対向するように形成され、両弧状凸部間には弧状凹部が形成され、前記両開口部はいずれも前記筒部に着脱自在に設けられてなることを特徴とするスレート板用孔開け具
  2. 請求項1において、前記円筒軟質接触部材はスレート板の表面形状に沿って変形自在としてなることを特徴とするスレート板用孔開け具
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