JP5058325B2 - 空気調和システムのコントローラおよび空気調和システム - Google Patents
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(建物の構成)
図1は、この発明の実施の形態1に係る空気調和システムが配置された建物のフロア平面図である。建物には事務室A、会議室B、会議室C、事務室Dがあり、事務室Aの天井には室内機1〜8が設置され、会議室Bの天井に室内機9が設置され、会議室Cの天井に室内機10が設置され、事務室Dの天井に室内機11が設置されている。
図2は、この発明の実施の形態1に係る空気調和システムの接続構成を示す図である。この空気調和システムでは、室外機51に室内機1〜4が接続された第1系統100aと、室外機52に室内機5〜8が接続された第2系統100bと、室外機53に室内機9〜11が接続された第3系統100cの3つの空調系統を備えた空調機系統を有している。ここでは3つの系統としているが、系統数は増減可能である。室外機51と室内機1〜4の間は液側主管104及びガス側主管109と伝送線30とで接続されている。室外機52と室内機5〜8の間、室外機53と室内機9〜11の間も同様である。また、室外機51〜53と空気調和システムのコントローラ201と給電器203との間も伝送線30で接続されている。また、各室内機1〜4、5〜8、9〜11にはそれぞれリモコン204が伝送線30で接続されており、設定温度や風向や風速などを入力できるようになっている。
図3は、この発明の実施の形態1に係る空気調和システムの冷媒回路図である。室外機51には図1に示したように4台の室内機1〜4が接続されているが、室内機1〜4の構成は全て同じであるため、図3では室内機1と室内機2のみ図示する。室外機51は、インバータ駆動の容量可変形の圧縮機101と、冷暖房切換用の四方弁102と、室外熱交換器103と、アキュムレータ110とを有し、これらが順に接続されて冷媒回路の一部を構成する。室内機1〜室内機4は、ステッピングモータを用いて弁開度をパルス制御可能とした膨張弁106と、室内熱交換器107とを有している。室外機51と室内機1〜4とが、液側主管104、液側分岐管105、ガス側主管109及びガス側分岐管108で接続され、空気調和システムの冷媒回路が構成されている。
次に一般的な冷房動作について図3を参照して説明する。冷房時は、四方弁102を図3の実線で示される状態に切換える。圧縮機101から吐出された冷媒は、四方弁102を通過した後、室外熱交換器103に流入し、空気と熱交換して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は、液側主管104を通過した後、各液側分岐管105へと分岐して膨張弁106にて減圧された後、室内熱交換器107に流入する。室内熱交換器107に流入した冷媒は、空気から熱を受けて蒸発した後、ガス側分岐管108よりガス側主管109、四方弁102及びアキュムレータ110を通過して再び圧縮機101に吸入され、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。ここで、吸込み空気温度センサ116の検出値が設定温度より所定値低下したときは膨張弁106を閉じて冷媒の流入を減少あるいは停止させる(冷房サーモオフ)。一方、吸込み空気温度センサ116の検出値が設定温度より所定値上昇したときは膨張弁106を開いて室内熱交換器107へ冷媒を流し、冷媒循環を再開する(冷房サーモオン)。
次に一般的な暖房動作について図3を参照して説明する。暖房時は、四方弁102を図3の点線で示される状態に切換える。圧縮機101から吐出された冷媒は、四方弁102及びガス側主管109を通過した後、各ガス側分岐管108へと分岐して室内熱交換器107に流入する。室内熱交換器107に流入した冷媒は、空気へ放熱して凝縮液化した後、液側分岐管105上の膨張弁106にて減圧される。膨張弁106を通って低圧となった冷媒は、室外熱交換器103を流れて空気から熱を得て蒸発した後、四方弁102とアキュムレータ110を通過して再び圧縮機101に吸入され、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。ここで、吸込み空気温度センサ116の検出値が設定温度より所定値上昇したときは膨張弁106を閉じて冷媒の流入を減少あるいは停止させる(暖房サーモオフ)。一方、吸込み空気温度センサ116の検出値が設定温度より所定値低下したときは膨張弁106を開いて室内熱交換器107へ冷媒を流し、冷媒循環を再開する(暖房サーモオン)。
圧縮機101の周波数を低下させた場合、冷媒循環量は減少し、吸入圧力センサ112の圧力値(低圧)は上昇し、低圧での冷媒の飽和温度(蒸発温度)も上昇する。圧縮機101の周波数を低下させた場合、吐出圧力センサ111の圧力値(高圧)は低下し、高圧での冷媒の飽和温度(凝縮温度)は低下する。このように圧縮機101の周波数を低下させると、室内熱交換器107と空気との熱交換量(以下、能力)は減少する。冷房能力を制御するには蒸発温度が制御目標値に一致するように圧縮機101の周波数を制御し、暖房能力を制御する場合は凝縮温度が制御目標値に一致するように圧縮機101の周波数を制御する。あるいは、圧縮機101の周波数最大値を制限することで能力を調整してもよい。圧縮機101の周波数を低下させた場合、圧縮機101入力に対する能力の比率(COP)は増加して効率の良い運転となり、消費電力量を削減できる。
図4は、この発明の実施の形態1に係る空気調和システムのコントローラの構成を示すブロック図である。
コントローラ201は、制御部211と、キーボードなどの入力部212と、ディスプレイなどの表示部213と、伝送線30を介して各室外機51の室外制御装置117と通信するための通信部214とを備えている。
室外機51〜53と室内機1〜11は施工時に機器のディップスイッチ等であらかじめユニットアドレスが設定されており、この実施の形態1では室外機51〜53のユニットアドレスは51〜53、室内機1〜11のユニットアドレスは1〜11とする。部屋を特定する部屋記号(A〜Dなど)は重複しないよう部屋ごとに任意で決定すればよい。施工業者はコントローラ201において設定プログラムを起動し、表示部213上に設定画面を表示させ、空気調和システムの接続設定を行う。この例では、室内機のユニットアドレス1〜11と、その室内機が設置されている部屋記号A〜D(部屋情報)を入力し、更に、部屋の用途(部屋情報)を事務室・会議室・ロッカー・その他などの項目から選択して入力する。また、冷房時の設定下限温度を入力し、暖房時の設定上限温度を入力する。設定下限温度は冷房時に在室者がリモコン204から設定できる設定温度の下限値、設定上限温度は暖房時に在室者がリモコン204から設定できる設定温度の上限値である。以上の入力が完了すると、コントローラ201は入力されたシステム設定情報を内部に記憶する。また、コントローラ201は、以上の入力が完了すると、室外機51〜53や室内機1〜11と通信して、ユニットアドレス1〜11の室内機の有無を確認すると共に、室外機と室内機の接続関係を把握する。
第3系統100cのように、複数の室内機9〜11が小部屋に分かれて設置されている場合は、室外機53に必要となる能力の判定が難しい。すなわち、各部屋B、C、Dは壁などの構造によって熱容量に差があり、また、室温や躯体温度にも差があり、第3系統100cで必要な能力、すなわち室外機53の圧縮機101で必要な能力を演算することは難しい。よって、この第3系統100cで省エネ制御を行った場合、部屋によっては能力不足による快適性の低下が生じる可能性がある。したがって、1台の室外機に接続された複数台の室内機が、複数の部屋に分かれて設置されている系統は、省エネ制御には適しない。
図6は、この発明の実施の形態1に係る空気調和システムのコントローラにおける省エネ制御機能の流れを示すフローチャートである。
コントローラ201は、入力部212の操作により省エネ運転が指令されたことを検知すると(S1)、システム設定情報を参照する。そして、コントローラ201は、室外機に接続されている複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置されているという配置条件を満たす系統をシステム設定情報の部屋記号を参照して特定し、その系統に省エネ制御を許可する指令を通信部214を介して送信する(S2)。ここでは、第1系統100aと第2系統100bとが前記配置条件を満たす系統として特定される。省エネ制御を許可する指令を受信した第1系統100aの室外機51及び第2系統100bの室外機52では、後述の省エネ制御が実施されることになる。一方、条件を満たさない第3系統100cに対しては、コントローラ201は省エネ制御を許可する指令が送信されないため、室外機53は、現状の通常制御を継続して行うことになる。
次に、省エネ制御が許可された許可系統で実施される省エネ制御の具体的な制御内容について説明する。
(冷房時)
通常制御時よりも蒸発温度の目標値を上昇させ、蒸発温度がその蒸発温度目標値となるように圧縮機101の運転を制御する。これにより、上述したように、効率の良い運転となり消費電力量を削減できる。省エネ制御時の蒸発温度の目標値は固定値でもよいし、変動値でも良い。変動値とする場合には、例えば室内機の吸込み空気温度センサ116の温度とリモコン設定温度との差が小さくなるにつれて、蒸発温度を省エネ制御時用の目標値から更に高くする(結果的に、圧縮機101の周波数が低下し、省エネとなる)。なお、蒸発温度の代わりに吸入圧力センサ112の圧力値を用いるようにしてもよい。
通常制御よりも凝縮温度の目標値を低下させ、凝縮温度がその凝縮温度目標値となるように圧縮機の運転を制御する。省エネ制御時の凝縮温度の目標値は固定値でもよいし、変動値でも良い。変動値とする場合には、例えば、室内機の吸込み空気温度センサ116の温度とリモコン設定温度との差が小さくなるにつれて、凝縮温度を省エネ制御時用の目標値から更に低下させる(結果的に、圧縮機101の周波数が低下し、省エネとなる)。なお、凝縮温度の代わりに吐出圧力センサ111の圧力値を用いてもよい。
圧縮機101の周波数に制限を設けて省エネ制御時用の最大周波数を決定し、圧縮機最大周波数を超えないように圧縮機101の運転を制御する。
(冷房時)
圧縮機最大周波数の決定方法としては、例えば、室内機に対する設定下限温度に基づいて決定する。設定下限温度が上がるにつれて圧縮機最大周波数が低くなるように決定する。
(暖房時)
圧縮機最大周波数の決定方法としては、例えば、室内機に対する設定上限温度に基づいて決定する。設定上限温度が下がるにつれて圧縮機最大周波数が低くなるように決定する。
通常運転時の能力を100%として能力制限比率[%]を決定し、この能力制限比率の運転能力となるように圧縮機の周波数を低下させる。
(冷房時)
能力制限比率の決定方法としては、例えば、室内機に対する設定下限温度に基づいて決定する。設定下限温度が上がるにつれて能力制限比率が低くなるように決定する。
(暖房時)
能力制限比率の決定方法としては、例えば、室内機に対する設定上限温度に基づいて決定する。設定上限温度が下がるにつれて能力制限比率が低くなるように決定する。
以上のように、実施の形態1では、室内機の配置構成に基づき、系統毎に省エネ制御の可否を判断し、系統毎に省エネ制御の実施の切り分けを行うようにした。すなわち、空気調和システムに対して省エネ運転が指令されても、省エネ制御を実施することにより快適性を損なう可能性がある系統に対しては省エネ制御を実施させず、快適性を損なう不都合が無い系統に対してのみ省エネ制御を実施させるようにした。その結果、快適性を維持しながら消費電力量を削減することが可能となる。
実施の形態1では、室内機の配置構成に応じて省エネ制御の可否を判断していたが、実施の形態2では更に、室内機が配置された部屋の用途も加味して省エネ制御の可否を判断するようにしたものである。
第3系統100cのように、複数の室内機9〜11が小部屋に分かれて設置されている場合は、室外機53に必要となる能力の判定が難しい。すなわち、各部屋B、C、Dは壁などの構造によって熱容量に差がある上、室内機9〜11が配置される小部屋のうち会議室B、Cは、その用途上、使用・未使用がランダムで空調をつけたり消したりされる。このため、各小部屋B、C、Dにおける室温や躯体温度に互いに差が生じる。よって、この第3系統100cで必要な能力、すなわち室外機53の圧縮機101で必要な能力を演算することは難しい。このため、第3系統100cにて省エネ制御を行った場合、部屋によっては能力不足による快適性の低下が生じる可能性がある。したがって、1台の室外機に接続された複数台の室内機が、複数の部屋に分かれて設置されている系統は、省エネ制御には適しない。
図7は、この発明の実施の形態2に係る空気調和システムのコントローラ201における省エネ制御機能の流れを示すフローチャートである。
コントローラ201は、入力部212の操作により省エネ運転が指令されたことを検知すると(S11)、システム設定情報を参照する。そして、コントローラ201は、室外機に接続されている複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置され、更にその部屋の用途が事務室であるという配置条件を満たす系統をシステム設定情報の部屋記号および用途を参照して特定する。そして、その特定した系統に省エネ制御を許可する指令を通信部214を介して送信する(S12)。ここでは、第1系統100aと第2系統100bとが前記条件を満たす許可系統として特定される。省エネ制御を許可する指令を受信した室外機51及び室外機52では、上記の実施の形態1と同様の省エネ制御が実施されることになる。一方、条件を満たさない第3系統100cに対しては、コントローラ201は省エネ制御を許可する指令が送信されないため、室外機53は、現状の通常制御を継続して行うことになる。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1の省エネ制御許可条件に更に部屋の用途も加えたため、実際の空気調和システムの利用実態を踏まえた的確な省エネ制御の可否判断を行うことができ、快適性を維持して消費電力量を削減することが可能となる。なお、ここでは、省エネ制御を可とする部屋の用途を事務室として説明したが、事務室に限られたものではなく、要は常に在室者が居て常時空調が駆動されており、温度環境が安定している部屋が該当する。
実施の形態3は、実施の形態2における省エネ制御許可条件に、更に部屋の環境状態に関する条件も加えるようにしたものである。実施の形態3では、その環境状態として、室内機の吸い込み空気温度および部屋内部の表面温度を用いる。
図8は、この発明の実施の形態3に係る空気調和システムが適用された事務室Aの概略側面図である。事務室Aには机22とパソコン23が複数置いてあり、在室者24が事務作業をしている。室内機1〜8(図8には室内機1、2のみ図示)は天井カセット形で建物の天井21に設置されており、室内機1〜8の化粧パネルにはそれぞれ赤外線センサ120が設置されている。赤外線センサ120は、複数の赤外線素子を面状に配列した構成を有し、点線で示した領域の表面温度を検出する。赤外線センサ120にて検出された温度は、伝送線30(図2参照)を介してコントローラ201に送信されるようになっている。
図9は、この発明の実施の形態3に係る空気調和システムのコントローラにおける省エネ制御機能の流れを示すフローチャートである。
コントローラ201は、入力部212の操作により省エネ運転が指令されたことを検知すると(S21)、システム設定情報を参照する。そして、コントローラ201は、室外機に接続されている複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置され、更にその部屋の用途が事務室であるという配置条件を満たす系統が有るかを、システム設定情報の部屋記号および用途を参照して判断する(S22)。配置条件を満たす系統が有る場合、続いてその配置条件を満たす系統における複数の室内機のうち、運転中の全ての室内機の吸込み空気温度センサ116の値が、リモコン設定温度に対して所定の温度範囲内にあり、且つ、部屋内の全ての赤外線センサ120の値が、リモコン設定温度に対して所定の温度範囲内にあるという環境条件を満たすか否かを判断する(S23)。環境条件を満たす場合、配置条件及び環境条件を満たす系統(許可系統)に省エネ制御を許可する指令を通信部214を介して送信する(S24)。なお、配置条件及び環境条件を満たさない系統に対しては、コントローラ201から省エネ制御を許可する指令が送信されないため、その系統は現状の通常制御を継続して行うことになる。
次に、省エネ制御について説明する。実施の形態3で実施する省エネ制御1には、実施の形態1と同様の省エネ制御を採用できる。
実施の形態3の空気調和システムは赤外線センサ120を備えていることから、この赤外線センサ120の検知結果を用いて、以下に説明する省エネ制御2を行うことも可能である。省エネ制御2では、赤外線センサ120の検知結果に応じて、省エネ制御時の圧縮機101の周波数の低減具合を効果的に変化させる点を要点としている。
(冷房時)
赤外線センサ120の検知結果に基づいて蒸発温度を決定し、蒸発温度が蒸発温度目標値となるように圧縮機の運転を制御する。冷房時に日射量や在室人数が減少した場合、熱負荷が減少して必要な冷房能力が少なくて済む。よって、日射量や在室人数が減少した場合、その影響を受けて赤外線センサ120の検出値も減少するため、赤外線センサ120の検出値が減少した場合、蒸発温度目標値を省エネ制御時用の目標値から更に上昇させる(結果的に、圧縮機101の周波数が低下する)。
赤外線センサ120の検知結果に基づいて凝縮温度を決定し、凝縮温度が凝縮温度目標値となるように圧縮機の運転を制御する。暖房時に日射量や在室人数が増加した場合、熱負荷が減少して必要な冷房能力が少なくて済む。よって、日射量や在室人数が増加した場合、その影響を受けて赤外線センサ120の検出値も増加するため、赤外線センサ120の検出値が増加した場合、凝縮温度目標値を省エネ制御時用の凝縮温度目標値から更に低下させる(結果的に、圧縮機101の周波数が低下する)。
赤外線センサ120の検知結果に基づいて圧縮機101の周波数に制限を設けて省エネ制御時用の最大周波数を決定し、圧縮機最大周波数を超えないように圧縮機101の運転を制御する。
(冷房時)
赤外線センサ120の検出値が減少するにつれ、圧縮機最大周波数が低くなるように決定する。また、赤外線センサ120の検知結果により空調エリア内の表面温度の分布がわかるため、その分布に基づき日照の有無や在室者の人数を判定可能である。よって、上記の蒸発温度の場合と同様、その判定結果に基づいて圧縮機最大周波数を決定するようにしてもよい。
赤外線センサ120の検出値が上昇するにつれ、圧縮機最大周波数が低くなるように決定する。また、赤外線センサ120の検知結果により空調エリア内の表面温度の分布がわかるため、その分布に基づき日照の有無や在室者の人数を判定可能である。よって、その判定結果に基づいて圧縮機最大周波数を決定するようにしてもよい。
通常運転時の能力を100%として能力制限比率[%]を決定し、この能力制限比率の運転能力となるように圧縮機の周波数を低下させる。
(冷房時)
赤外線センサ120の検出値が減少するにつれ、能力制限比率が低くなるように決定する。また、赤外線センサ120の検知結果により空調エリア内の表面温度の分布がわかるため、その分布に基づき日照の有無や在室者の人数を判定可能である。よって、その判定結果に基づいて能力制限比率を決定するようにしてもよい。
赤外線センサ120の検出値が高くなるにつれ、能力制限比率が低くなるように決定する。また、赤外線センサ120の検知結果により空調エリア内の表面温度の分布がわかるため、その分布に基づき日照の有無や在室者の人数を判定可能である。よって、その判定結果に基づいて能力制限比率を決定するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2と同様の効果が得られると共に、実施の形態2の省エネ制御許可条件に更に部屋の環境条件も加えて省エネ制御の可否を判断するようにした。このため、部屋の環境状態を考慮した的確な省エネ制御の可否判断が可能となる。その結果、更に快適性を維持して消費電力量を削減でき、制御の信頼性を向上することができる。
実施の形態4は、実施の形態2における省エネ制御許可条件に、更に部屋の環境状態に関する条件も加えるようにしたものである。実施の形態4では、その環境状態として、部屋の温度および湿度を検出する。
図10は、この発明の実施の形態4に係る空気調和システムが配置された建物のフロア平面図である。建物には事務室A、会議室B、会議室C、事務室Dがある。事務室Aの天井裏には室内機1〜8が設置され、会議室Bの天井裏に室内機9が設置され、会議室Cの天井裏に室内機10が設置され、事務室Dの天井裏に室内機11が設置されている。各部屋の中には室内機1〜11のそれぞれに対応して無線温湿度計61〜71が設置されている。無線温湿度計61〜71は、対応する室内機の空調エリア内の温度および相対湿度を計測し、計測した温湿度を発信し、後述の親機202が無線信号を受けるように構成されている。この無線温湿度計61〜71により、在室者の周囲環境を把握することができるようになっている。
図11は、この発明の実施の形態4に係る空気調和システムが適用された事務室Aの概略側面図である。事務室Aには机22とパソコン23が複数置いてあり、在室者24が事務作業をしている。室内機1〜8(図11には室内機1、2のみ図示)は天井埋込形(天井ビルトイン形)で建物の天井裏に設置されており、天井裏から室内機へ空気を吸い込み、ダクト21aを通じて事務室Aへ風を送っている。無線温湿度計61〜71(図11には無線温湿度計61、62のみ図示)は机22の上など、在室者24の周囲に設置する。
図12は、この発明の実施の形態4に係る空気調和システムの接続構成を示す図である。この空気調和システムでは、図2に示した実施の形態1の接続構成に加え、更に、無線温湿度計61〜71の親機202が伝送線30に接続された構成を有し、その他の構成は図2と同様である。コントローラ201は無線温湿度計61〜71にて検出された温度や相対湿度を親機202と伝送線30とを介して受信することができる。
図13は、図10のコントローラが設定完了時に保持する各種情報の一覧の一例を示す図である。実施の形態4の空気調和システムにおけるシステム設定情報は、図5に示した実施の形態1のシステム設定情報に、更に、室内機のユニットアドレス1〜11と対応させる無線温湿度計の番号61〜71が追加されている点が実施の形態1と異なり、それ以外については実施の形態1と同様である。コントローラ201において図13に示したシステム設定情報の入力が完了すると、コントローラ201は入力されたシステム設定情報を内部に記憶する。また、コントローラ201は、以上の入力が完了すると、室外機51〜53や室内機1〜11、更に親機202と通信して、ユニットアドレス1〜11の室内機や無線温湿度計61〜71の有無を確認するとともに、室外機と室内機の接続関係を把握する。
図14は、この実施の形態4に係る空気調和システムのコントローラにおける省エネ制御機能の流れを示すフローチャートである。
コントローラ201は、入力部212の操作により省エネ運転が指令されたことを検知すると(S31)、システム設定情報を参照する。そして、コントローラ201は、室外機に接続されている複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置され、更にその部屋の用途が事務室であるという配置条件を満たす系統が有るかを、システム設定情報の部屋記号および用途を参照して判断する(S32)。配置条件を満たす系統が有る場合、続いてその配置条件を満たす系統の複数の室内機に対応する複数の無線温湿度計の温度と相対湿度をコントローラ201が受信する。そして、コントローラ201は、受信した全ての温度が設定温度に対して所定の温度範囲内にあり、且つ全ての相対湿度が所定の湿度範囲内にあるという環境条件を満たすか否かを判断する(S33)。環境条件を満たす場合、配置条件及び環境条件を満たす系統に省エネ制御を許可する指令を通信部214を介して送信する(S34)。配置条件及び環境条件を満たさない系統に対しては、コントローラ201から省エネ制御を許可する指令が送信されないため、その系統は現状の通常制御を継続して行うことになる。
次に、省エネ制御について説明する。実施の形態4で実施する省エネ制御には、実施の形態1と同様の省エネ制御を採用できる。
以上のように、実施の形態4では、実施の形態2の省エネ制御許可条件に更に在室者周辺の温湿度に関する環境条件も加えて省エネ制御の可否を判断するようにした。このため、人周囲の温度と相対湿度も考慮した的確な省エネ制御の可否判断が可能となる。その結果、更に快適性を維持して消費電力量を削減でき、制御の信頼性を向上することができる。また、部屋の温湿度環境の変化に応じて省エネ制御と通常制御の切り替えを実施するため、きめ細な制御が可能であり、快適性の維持と消費電力量の削減を更に効果的に行うことができる。
Claims (39)
- 室外機に複数台の室内機を接続した空調機を1系統または複数系統備えた空調機系統と通信可能な通信部と、
前記空調機系統の各室内機が配置された部屋をそれぞれ特定する部屋情報と省エネ制御許可条件とを記憶し、前記空調機系統に対して省エネ運転が指令された場合に、前記空調機系統の各系統のうち、前記省エネ制御許可条件を満たす系統である許可系統を前記部屋情報に基づいて特定し、その許可系統に省エネ制御を許可する指令を前記通信部を介して送信する制御部とを備え、
前記制御部は、前記省エネ制御許可条件として、室外機に接続された複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置されているという配置条件を記憶していることを特徴とする空気調和システムのコントローラ。 - 前記制御部は、
前記部屋情報として更に、各室内機が配置された部屋それぞれの用途を記憶し、
また、前記配置条件として、室外機に接続された複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置されていることに加え、その部屋の用途が指定されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和システムのコントローラ。 - 前記制御部は、
前記空調機系統が配置された各部屋それぞれの環境状態を前記通信部を介して取得する取得部を有し、
前記省エネ制御許可条件として更に、部屋の環境状態に関する環境条件を記憶し、
前記空調機系統に対して省エネ運転が指令された場合、前記配置条件を満たす系統を特定し、その系統の室内機が配置された部屋の環境状態が前記環境条件を満たすか否かを前記取得部にて取得した環境状態に基づいて判断し、満たす場合に、前記環境条件を満たす系統に省エネ制御を許可する指令を前記通信部を介して送信する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和システムのコントローラ。 - 前記環境状態は、室内機による吸い込み空気の空気温度および部屋内部の表面温度であり、前記空気温度および前記表面温度がそれぞれ、設定温度に対して所定の温度範囲内であることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項3記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記環境状態は、部屋内の温度と湿度であり、温度が設定温度に対して所定の温度範囲内にあり、且つ湿度が所定の湿度範囲内にあることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項3記載の空気調和システムのコントローラ。
- 部屋の環境状態は部屋内の複数箇所で取得されており、各環境状態の検出値がそれぞれ対応の前記範囲内であることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記環境条件を満たすか否かの判断を繰り返し行い、前記環境条件を満たさない場合は通常制御に戻すことを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、冷房の省エネ制御時には前記許可系統の冷媒回路における冷媒の蒸発温度目標値を通常制御時よりも上昇させ、暖房の省エネ制御時には前記許可系統の冷媒回路における冷媒の凝縮温度目標値を通常制御時よりも低下させるように前記許可系統を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、冷房時の室内機に対する設定下限温度と暖房時の室内機に対する設定上限温度とを記憶し、前記設定下限温度に基づいて前記蒸発温度目標値を決定し、前記設定上限温度に基づいて前記凝縮温度目標値を決定することを特徴とする請求項8記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記許可系統の前記室内機が設置された部屋内部の表面温度を前記通信部を介して取得し、前記表面温度に基づいて前記蒸発温度目標値および前記凝縮温度目標値を決定することを特徴とする請求項8記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記取得した表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記蒸発温度目標値および前記凝縮温度目標値を決定することを特徴とする請求項10記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記省エネ制御では、前記室外機の圧縮機の周波数に制限を設けて所定の最大周波数を超えないように前記圧縮機を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、冷房時の室内機に対する設定下限温度と暖房時の室内機に対する設定上限温度とを記憶し、冷房時の省エネ制御における前記所定の最大周波数を前記設定下限温度に基づいて決定し、暖房時の省エネ制御における前記所定の最大周波数を前記設定上限温度に基づいて決定することを特徴とする請求項12記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記許可系統の前記室内機が設置された部屋内部の表面温度を前記通信部を介して取得し、前記表面温度に基づいて前記所定の最大周波数を決定することを特徴とする請求項12記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記取得した表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記所定の最大周波数を決定することを特徴とする請求項14記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記省エネ制御では、所定の能力制限比率で制限した運転能力となるように前記圧縮機の周波数を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、冷房時の室内機に対する設定下限温度と暖房時の室内機に対する設定上限温度とを記憶し、冷房時の省エネ制御における前記能力制限比率を前記設定下限温度に基づいて決定し、暖房時の省エネ制御における前記能力制限比率を前記設定上限温度に基づいて決定することを特徴とする請求項16記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記許可系統の前記室内機が設置された部屋内部の表面温度を前記通信部を介して取得し、前記表面温度に基づいて前記能力制限比率を決定することを特徴とする請求項16記載の空気調和システムのコントローラ。
- 前記制御部は、前記取得した表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記能力制限比率を決定することを特徴とする請求項18記載の空気調和システムのコントローラ。
- 室外機に複数台の室内機が接続された空調機を1系統または複数系統備えた空調機系統と、
前記空調機系統を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記空調機系統と通信可能な通信部と、
前記空調機系統の各室内機が配置された部屋をそれぞれ特定する部屋情報と省エネ制御許可条件とを記憶し、前記空調機系統に対して省エネ運転が指令された場合に、前記空調機系統の各系統のうち、前記省エネ制御許可条件を満たす系統である許可系統を前記部屋情報に基づいて特定し、その許可系統に省エネ制御を許可する指令を前記通信部を介して送信する制御部とを備え、
前記制御部は、前記省エネ制御許可条件として、室外機に接続された複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置されているという配置条件を記憶していることを特徴とする空気調和システム。 - 前記コントローラの前記制御部は、
前記部屋情報として更に、各室内機が配置された部屋それぞれの用途を記憶し、
また、前記配置条件として、室外機に接続された複数台の室内機の全てが同じ部屋に配置されていることに加え、その部屋の用途が指定されていることを特徴とする請求項20記載の空気調和システム。 - 前記各室内機が配置された部屋にはそれぞれ、部屋内の環境状態を検出する検出装置が備えられており、
前記コントローラの前記制御部は、
前記検出装置にて検出された環境状態を前記通信部を介して取得する取得部を有し、
前記省エネ制御許可条件として更に、部屋の環境状態に関する環境条件を記憶し、
前記空調機系統に対して省エネ運転が指令された場合、前記配置条件を満たす系統を特定し、その系統の室内機が配置された部屋の環境状態が前記環境条件を満たすか否かを前記取得部にて取得した環境状態に基づいて判断し、満たす場合に、前記環境条件を満たす系統に省エネ制御を許可する指令を前記通信部を介して送信する
ことを特徴とする請求項20又は請求項21記載の空気調和システム。 - 前記検出装置は、室内機の吸い込み空気の温度を検出する温度センサおよび部屋内部の表面温度を検出する赤外線センサであり、前記温度センサおよび前記赤外線センサの検出温度がそれぞれ、設定温度に対して所定の温度範囲内にあることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項22記載の空気調和システム。
- 前記検出装置は温度と湿度を検出する温湿度計であり、前記温湿度計により検出された温度が設定温度に対して所定の温度範囲内にあり、且つ前記温湿度計により検出された湿度が所定の湿度範囲内にあることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項22記載の空気調和システム。
- 前記温湿度計は無線温湿度計であり、前記無線温湿度計が計測した温度および湿度を発信し、その無線信号を、前記コントローラの通信部に接続された親機が受信するように構成され、前記コントローラの制御部は、前記親機および前記通信部を介して前記無線温湿度計にて検出された温度および湿度を取得することを特徴とする請求項24記載の空気調和システム。
- 前記検出装置を各室内機に対応してそれぞれ設け、対応の室内機の空調エリア内の環境状態を取得しており、各環境状態の検出値がそれぞれ対応の前記範囲内であることが前記環境条件として指定されていることを特徴とする請求項20乃至請求項25の何れか1項に記載の空気調和システム。
- 前記制御部は、前記環境条件を満たすか否かの判断を繰り返し行い、前記環境条件を満たさない場合は通常制御に戻すことを特徴とする請求項20乃至請求項26の何れか1項に記載の空気調和システム。
- 前記省エネ制御では、冷房の場合は前記許可系統の冷媒回路における冷媒の蒸発温度目標値を通常制御時よりも上昇させ、暖房の場合は前記許可系統の冷媒回路における冷媒の凝縮温度目標値を通常制御時よりも低下させることを特徴とする請求項20乃至請求項27の何れか1項に記載の空気調和システム。
- 前記蒸発温度目標値を室内機に対する設定下限温度に基づいて決定し、前記凝縮温度目標値を室内機に対する設定上限温度に基づいて決定する決定部を有することを特徴とする請求項28記載の空気調和システム。
- 部屋内部の表面温度を検出する赤外線センサを備え、前記決定部は、前記赤外線センサの検出値に基づいて前記蒸発温度目標値および前記凝縮温度目標値を決定することを特徴とする請求項28記載の空気調和システム。
- 前記決定部は、前記赤外線センサにより検出された表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記蒸発温度目標値および前記凝縮温度目標値を決定することを特徴とする請求項30記載の空気調和システム。
- 前記省エネ制御では、前記室外機の圧縮機の周波数に制限を設けて所定の最大周波数を超えないように前記圧縮機を運転することを特徴とする請求項20乃至請求項27の何れか1項に記載の空気調和システム。
- 冷房時の省エネ制御における前記所定の最大周波数を、室内機に対する設定下限温度に基づいて決定し、暖房時の省エネ制御における前記所定の最大周波数を、室内機に対する設定上限温度に基づいて決定する決定部を有することを特徴とする請求項32記載の空気調和システム。
- 部屋内部の表面温度を検出する赤外線センサを備え、前記決定部は、前記赤外線センサの検出値に基づいて前記所定の最大周波数を決定することを特徴とする請求項32記載の空気調和システム。
- 前記決定部は、前記赤外線センサにより検出された表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記所定の最大周波数を決定することを特徴とする請求項34記載の空気調和システム。
- 前記省エネ制御では、現在の運転能力に対し所定の能力制限比率で制限した運転能力となるように前記圧縮機の周波数を制御することを特徴とする請求項20乃至請求項27の何れか1項に記載の空気調和システム。
- 冷房時の省エネ制御における前記能力制限比率を、室内機に対する設定下限温度に基づいて決定し、暖房時の省エネ制御における前記能力制限比率を、室内機に対する設定上限温度に基づいて決定する決定部を有することを特徴とする請求項36記載の空気調和システム。
- 部屋内部の表面温度を検出する赤外線センサを備え、前記決定部は、前記赤外線センサの検出値に基づいて前記能力制限比率を決定することを特徴とする請求項36記載の空気調和システム。
- 前記決定部は、前記赤外線センサにより検出された表面温度に基づいて日射の有無を判定するか、または在室者の人数を判定し、判定結果に基づいて前記能力制限比率を決定することを特徴とする請求項38記載の空気調和システム。
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