以下、本発明の実施形態に係る空調制御システムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、「空気調和機」とは、空調室内機、空調室外機等の空気の調和を図るための装置を総称する用語として使用する。
(実施形態)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る空調制御システム1は、空気調和機の運転状態の制御を行う空調制御装置10と、空調空気を吹き出す空調室内機20と、外気と熱交換を行う空調室外機30と、外気の温度を計測する外気温度計測装置40と、室内の温度を計測する室内温度計測装置50と、人の在室状況を検出する在室検出装置60と、発電設備の発電電力を計測する発電電力計測装置70と、を備える。
空調制御システム1において、空調制御装置10と、空調室内機20と、空調室外機30と、外気温度計測装置40と、室内温度計測装置50と、在室検出装置60と、発電電力計測装置70と、は有線又は無線の空調通信ネットワーク(バスライン80)で接続される。
以下、図1及び図2を参照しながら、各装置の機能及び配置の一例について説明する。
空調制御装置10は、空調通信ネットワークを介した通信によって、室内温度計測装置50、在室検出装置60、発電電力計測装置70及び空気調和機(空調室内機20、空調室外機30)から運転状態や計測データ等を取得する。空調制御装置10は、取得したデータに基づいて、空気調和機である空調室内機20及び空調室外機30の運転制御を行う。空調制御装置10は、空調室内機20の下方の壁面付近に設置される。
空調室内機20と空調室外機30は、協働して建物100の室内空間Aを空調対象とする蒸気圧縮冷凍サイクルを構成する。空調室内機20及び空調室外機30は、配管Lで接続され、配管L内で循環させる冷媒を介して外気と室内空間Aの空気との熱交換を行う。
空調室内機20は、暖房運転・冷房運転・除湿運転の3つの切り替え可能な運転機能を有し、空調制御装置10からの指示に従って室内空間Aの空気と熱交換を行い、温度や湿度が調整された空調空気を室内空間Aへ送風する。空調室内機20は、建物100の壁面又は天井に設置される。
空調室外機30は、空調制御装置10からの指示に従って外気と熱交換を行う。空調室外機30は、建物100のベランダ又は屋外等に配置される。
空調室内機20と空調室外機30は、それぞれ図2において矢印で示す方向に送風する。ただし、空調室内機20の送風方向は、空調制御装置10からの指示に従って吹き出し口に設けられたフラップ等により風向制御される。
外気温度計測装置40は、サーミスタや白金測温抵抗体等から構成される温度センサを備え、外気の温度を計測する。外気温度計測装置40は、屋外に配置され、例えば空調室外機30の送風の影響を受けないように、空調室外機30の側面に設置される。
室内温度計測装置50は、サーミスタや白金測温抵抗体等から構成される温度センサを備え、室内の温度を計測する。室内温度計測装置50は、室内空間Aにおいて空調室内機20の送風の影響を受けにくい位置に配置される。
在室検出装置60は、赤外線による人感センサ、室内ドアの開閉状態を検出するセンサ等を備え、人の在室状況を検出する。在室検出装置60は、室内の出入口付近又は建物100の玄関口付近に設置される。
発電電力計測装置70は、電力用のマルチメータ又はトランスデューサを備え、太陽光発電設備90の発電電力を計測する。発電電力計測装置70は、太陽光発電設備90と接続されるパワーコンディショナ又は分電盤等に設置される。なお、太陽光発電設備90は、建物100の屋根又は屋上等に設置され、太陽光の照射によって発電する。
ここで、以上説明した空調制御システム1の空調制御の理解のために、空調制御装置10の詳細な構成について説明する。図3に示すように、空調制御装置10は、装置全体の制御を行う制御部11と、他の装置と通信を行う通信部12と、各種データを記憶する記憶部13と、ユーザの操作やデータ入力を受け付ける入力受付部14と、操作画面等を表示する表示部15と、を備える。
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等から構成される。制御部11は、バス16によって通信部12、記憶部13、入力受付部14、表示部15と接続される。制御部11は、記憶部13に記憶されるプログラムに従って、各種処理(後述の空調制御処理を含む)を実行する。
通信部12は、空調通信ネットワークに接続され、空調制御装置10と、空調室内機20、空調室外機30、外気温度計測装置40、室内温度計測装置50、在室検出装置60又は発電電力計測装置70との間の通信を中継する。通信部12は、ケーブルを介して有線通信可能に構成されてもよいし、無線LAN(Local Area Network)等の規格に従って無線通信可能に構成されてもよい。
記憶部13は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)から構成される。記憶部13は、空調制御等に用いられる各種プログラム、送受信データ、入力データ等の各種データを記憶する。
入力受付部14は、タッチパネルや操作ボタン等から構成される。入力受付部14は、ユーザの操作やデータ入力(例えば空調室内機20の運転機能の切替操作や室内目標設定温度の入力)を受け付ける。
表示部15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)ディスプレイ等から構成される。表示部15は、入力データ、ユーザ操作等に応じて操作画面、運転状態等を表示する。
次に、制御部11の機能的構成について説明する。制御部11は、外気の温度の計測値を取得する外気温度取得部111、室内の温度の計測値を取得する室内温度取得部112、発電電力の計測値を取得する発電電力取得部113、在室状況を示す在室情報を取得する在室情報取得部114、空気調和機の制御を実行する制御実行部115として機能する。
外気温度取得部111は、定期的に外気温度計測装置40から外気の温度の計測データを取得する。室内温度取得部112は、定期的に室内温度計測装置50から室内の温度の計測データを取得する。発電電力取得部113は、定期的に発電電力計測装置70から発電電力の計測データを取得する。在室情報取得部114は、在室検出装置60から定期的に又はイベント発生時に送信される在室情報を取得する。なお、取得した計測データ及び在室情報は、それぞれ識別子によって識別され、記憶部13に記憶される。
制御実行部115は、制御目標温度Tcと室内温度計測装置50によって取得された室内の温度の計測値との差分に基づいて空気調和機の制御を行う。なお、制御目標温度Tcとユーザによって入力される室内目標設定温度との違いについては後述する。
以上、空調制御装置10の構成について説明した。次に、空調制御システム1の空調方式の理解のために、空調室内機20及び空調室外機30が構成する蒸気圧縮冷凍サイクル200について説明する。
図4に示すように、空調室内機20は、冷媒を凝縮させる凝縮器又は冷媒を蒸発させる蒸発器となる熱交換器21と、熱交換器21に向けて送風する送風機22と、送風機22の動作を制御する制御基板23と、を備える。空調室外機30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、冷媒を凝縮させる凝縮器又は冷媒を蒸発させる蒸発器となる熱交換器33と、凝縮された冷媒を減圧する絞り装置34と、冷媒の流れを反転させる四方弁32と、熱交換器33に向けて送風する送風機35と、圧縮機31、絞り装置34、四方弁32及び送風機35の動作を制御する制御基板36と、を備える。なお、空調制御装置10は、空調室内機20の制御基板23及び空調室外機30の制御基板36に制御情報を送信して、空調室内機20及び空調室外機30の運転制御を行う。
熱交換器21、33は、伝熱管やフィン等から構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。送風機22、35は、風量が可変なファンであり、直流ファンモータ等のモータによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
圧縮機31は、運転容量が可変な圧縮機であり、インバータ制御モータによって駆動される容積式圧縮機である。圧縮機31は、室内の温度と制御目標温度Tcとの温度差が大きい場合には高速回転で運転するように制御され、温度差が小さい場合には低速回転で運転するように制御される。
絞り装置34は、ステッピングモータによって絞りの開度を調整することが可能な電子膨張弁又は受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁若しくはキャピラリチューブである。絞り装置34は、絞りの開度を調整することによって冷媒回路120内の冷媒の流量を調整する。
四方弁32は、電磁弁であり、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒が流れる方向を反転させる。冷媒には、例えばR410A、R407C,R404A等のHFC冷媒、R22、R134a等のHCFC冷媒、若しくは炭化水素、ヘリウム等の自然冷媒が使用される。
蒸気圧縮冷凍サイクル200は、冷房運転時には圧縮機31、四方弁32、熱交換器33、絞り装置34、熱交換器21の順に冷媒が流れる冷媒回路120によって構成され、暖房運転時には圧縮機31、四方弁32、熱交換器21、絞り装置34、熱交換器33の順に冷媒が流れる冷媒回路120によって構成される。なお、冷房運転時には、熱交換器33が凝縮器として機能し、熱交換器21が蒸発器として機能する。暖房運転時には、熱交換器33が蒸発器として機能し、熱交換器21が凝縮器として機能する。
冷媒回路120には、各位置において冷媒の温度を計測するための複数の温度センサが配置される。具体的に説明すると、圧縮機31の吐出側及び吸入側には温度センサ31a、31bが配置される。熱交換器21の流入側及び流出側には温度センサ21a、21bが配置される。熱交換器33の流入側及び流出側には温度センサ33a、33bが配置される。
また、空調室内機20の熱交換器21の空気吸込み側には、吸込み空気の温度及び湿度を計測するための温度センサ21c及び湿度センサ21dが配置される。空調室外機30の熱交換器33の空気吸込み側には、吸込み空気の温度を計測するための温度センサ33cが配置される。
温度センサ21a、21b、21c、31a、31b、33a、33b、33cは、サーミスタ、白金測温抵抗体等から構成される。湿度センサ21dは高分子容量式湿度検出素子、高分子抵抗式湿度検出素子等から構成される。
空調室内機20及び空調室外機30の制御基板23、36は、温度センサ21a、21b、21c、31a、31b、33a、33b、33c及び湿度センサ21dから冷媒温度、吸込み空気の温度及び湿度の計測値を取得し、空調制御装置10からの制御情報に基づいてそれぞれ空調室内機20及び空調室外機30の上述した各構成要素の動作を制御する。
以上、蒸気圧縮冷凍サイクル200について説明した。以下、空調制御装置10が実行する空調制御処理について説明する。
ここで、空調制御処理の具体的な流れを説明する前に、図5〜図8を参照しながら空調制御処理において使用される制御目標温度Tcの決定方法について説明する。
まず、暖房運転時の制御目標温度Tcの決定方法について説明する。図5(A)に示す冬の日射量の一例では、日射量は、6時から増加し、10〜13時にピークとなり、17時にはゼロとなっている。図5(B)に示す冬の外気の温度の一例では、外気の温度は、7時から上昇し、11時でピークとなり、20時には7時と同等の温度となっている。このように、外気の温度の変化は、日射量の変化に対して1時間程度のずれはあるが、相関関係にある。
ここで、本願で使用する各用語の定義について説明する。まず、制御目標温度Tcとは、空調制御装置10が実際に空気調和機を制御する際の目標とする室内の温度である。これに対し、室内目標設定温度Tsetとは、ユーザが空調制御装置10の入力受付部14に入力した温度である。すなわち、制御目標温度Tcと室内目標設定温度Tsetとは異なる。そのため、空調制御装置10は、必ずしもユーザが設定した室内目標設定温度Tsetを、目標とする室内の温度とするように空気調和機を制御するわけではない。暖房用の温度閾値T1とは、制御目標温度Tcを目標設定温度Tsetにするか目標設定温度Tsetより高い温度にするかの境界となる外気の温度であり、ユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
図5(B)及び図5(C)に示すように、空調制御処理における制御目標温度Tcは、空調制御装置10の外気温度取得部111によって取得された外気の温度の計測値が暖房用の温度閾値T1より高い場合、室内目標設定温度Tsetより差分α1だけ高い温度Tset+α1に決定される。一方、制御目標温度Tcは、空調制御装置10の外気温度取得部111によって取得された外気の温度の計測値が暖房用の温度閾値T1より低い場合、室内目標設定温度Tsetに決定される。なお、ここでは、暖房用の温度閾値T1は7℃に設定されている。
ここで、本実施形態において制御目標温度Tcは、外気の温度と、太陽光発電設備90の発電電力と、空調対象である室内に人が存在しているかどうかによって変化する。また、暖房運転の開始直後において制御目標温度Tcは室内目標設定温度Tsetに決定される。
高くされた制御目標温度Tc=Tset+α1と室内目標設定温度Tsetとの差分α1は、建物100の断熱性、省エネ目標、ユーザの快適性等を考慮してユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
次に冷房運転時の制御目標温度Tcの決定方法について説明する。図6(A)に示す夏の日射量の一例では、日射量は、5時から増加し、10〜13時にピークとなり、18時にはゼロとなっている。図6(B)に示す夏の外気の温度の一例では、外気の温度は、6時から上昇し、11時でピークとなり、22時には6時と同等の温度となっている。このように、外気の温度の変化は、日射量の変化に対して若干のずれはあるが、相関関係にある。
図6(B)及び図6(C)に示すように、空調制御処理における制御目標温度Tcは、空調制御装置10の外気温度取得部111によって取得された外気の温度の計測値が冷房用の温度閾値T2より低い場合、室内目標設定温度Tsetより差分α2だけ低い温度Tset−α2に決定される。一方、制御目標温度Tcは、空調制御装置10の外気温度取得部111によって取得された外気の温度の計測値が冷房用の温度閾値T2より高い場合、室内目標設定温度Tsetに決定される。なお、冷房運転の開始直後において制御目標温度Tcは室内目標設定温度Tsetに決定される。
ここで、冷房用の温度閾値T2とは、制御目標温度Tcを目標設定温度Tsetにするか目標設定温度Tsetより低い温度にするかの境界となる外気の温度である。冷房用の温度閾値T2は、ユーザ又は製造業者等によって設定される値であり、図6(B)に示す一例では30℃に設定されている。
低くされた制御目標温度Tc=Tset−α2と室内目標設定温度Tsetとの差分α2は、建物100の断熱性、省エネ目標、ユーザの快適性等を考慮してユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
以上が外気の温度に基づく制御目標温度Tcの決定方法であるが、上述したように、制御目標温度Tcは、外気の温度だけでなく、太陽光発電設備90の発電電力によっても異なる。そこで、太陽光発電設備90の発電電力に基づく制御目標温度Tcの決定方法について説明する。なお、実際の制御目標温度Tcの決定方法は、外気の温度と発電電力と人の在室状況のいずれによっても変化するため、これらの決定要素の重ね合わせになる。しかし、以下の説明では、理解の容易のために、発電電力のみの影響だけ取り出して説明する。
まず、暖房運転時の制御目標温度Tcの決定方法について説明する。図7(A)に示す冬の発電電力の一例では、発電電力は、6時から上昇し、10〜13時でピークとなり、17時にはゼロとなっている。図7(A)と図5(A)を比較すると、冬の発電電力と日射量は相関関係にあることがわかる。
ここで、図7(B)に示すように、空調制御処理における制御目標温度Tcは、暖房運転時に空調制御装置10の発電電力取得部113によって取得された発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1より高い場合、室内目標設定温度Tsetより差分β1だけ高い温度Tset+β1に決定される。一方、制御目標温度Tcは、空調制御装置10の発電電力取得部113によって取得された発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1より低い場合、室内目標設定温度Tsetに決定される。
ここで、暖房用の電力閾値P1とは、制御目標温度Tcを目標設定温度Tsetにするか目標設定温度Tsetより高い温度にするかの境界となる発電電力の値である。暖房用の電力閾値P1は、ユーザ又は製造業者等によって設定される値であり、図7(A)に示す一例では0.4kWに設定されている。
高くされた制御目標温度Tc=Tset+β1と室内目標設定温度Tsetとの差分β1は、建物100の断熱性、省エネ目標、ユーザの快適性等を考慮してユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
次に、冷房運転時の制御目標温度Tcの決定方法について説明する。図8(A)に示す夏の発電電力の一例では、発電電力は、5時から上昇し、11〜12時でピークとなり、18時にはゼロとなっている。図8(A)と図6(A)を比較すると、夏の発電電力と日射量は相関関係にあることがわかる。
ここで、図8(B)に示すように、空調制御処理における制御目標温度Tcは、空調制御装置10の発電電力取得部113によって取得された発電電力の計測値が上限電力閾値P2より高い場合、室内目標設定温度Tsetより差分β2だけ低い温度Tset−β2に決定される。一方、制御目標温度Tcは、空調制御装置10の発電電力取得部113によって取得された発電電力の計測値が上限電力閾値P2より低い場合、室内目標設定温度Tsetに決定される。
ここで、上限電力閾値P2とは、制御目標温度Tcをさらに低い温度にするかどうかの境界となる発電電力の値である。上限電力閾値P2は、ユーザ又は製造業者等によって設定される値であり、図8(A)に示す一例では0.5kWに設定されている。
低くされた制御目標温度Tc=Tset−β2と室内目標設定温度Tsetとの差分β2は、建物100の断熱性、省エネ目標、ユーザの快適性等を考慮してユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
以上が発電電力に基づく制御目標温度Tcの決定方法であるが、上述したように制御目標温度Tcの決定方法は、人の在室状況によっても変化する。まず、暖房運転時に室内に人が不在である場合には、制御目標温度Tcをさらにγ1だけ高くする。冷房運転時に室内に人が不在である場合には、制御目標温度Tcをさらにγ2だけ低くする。
このように、空調制御装置10は、室内に人が存在しない場合には、人が存在する場合よりも積極的に空調を行うように空気調和機を制御する。なお、差分γ1、γ2は、建物100の断熱性、省エネ目標、ユーザの快適性等を考慮してユーザ又は製造業者等によって設定される値である。
以上、空調制御処理において使用される制御目標温度Tcの決定方法について説明した。そこで、以下、空調制御処理の具体的な流れを説明する。
まず、図1及び図3のブロック図と図9のフローチャートとを参照しながら、空調制御装置10が暖房運転時に実行する空調制御処理について説明する。暖房運転時の空調制御処理は、ユーザが空調制御装置10の入力受付部14において起動操作及び暖房運転モードの選択操作を行った場合に開始し、定期的に繰り返される。
なお、ユーザは任意のタイミングで室内目標設定温度Tset、暖房用の温度閾値T1、暖房用の電力閾値P1、差分α1、β1、γ1等の設定又は変更が可能である。しかし、理解の容易のために、これらの設定作業は、起動操作の際にまとめて行われ、その後の変更はないものとする。
空調制御処理が開始すると、まず、空調制御装置10の外気温度取得部111は、バスライン80及び通信部12を介して外気温度計測装置40から外気の温度の計測値を取得する。また、空調制御装置10の室内温度取得部112は、バスライン80及び通信部12を介して室内温度計測装置50から室内の温度の計測値を取得する(ステップS100)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した外気の温度の計測値が暖房用の温度閾値T1より大きいかどうかについて判定する(ステップS101)。
外気の温度の計測値が暖房用の温度閾値T1以下である場合(ステップS101;No)、以降のステップS102〜S108をスキップして、制御実行部115は、制御目標温度Tcを室内目標設定温度Tsetにしたまま制御目標温度Tcと室内の温度との差分に基づいて空気調和機の制御を実行する(ステップS109)。一方、外気の温度の計測値が暖房用の温度閾値T1より大きい場合(ステップS101;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcを室内目標設定温度Tsetよりも高い温度Tset+α1に決定する(ステップS102)。
次に空調制御装置10の発電電力取得部113は、バスライン80及び通信部12を介して発電電力計測装置70から太陽光発電設備90の発電電力の計測値を取得する(ステップS103)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1より大きいかどうかについて判定する(ステップS104)。
発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1以下である場合(ステップS104;No)、空調制御装置10は、次のステップS105をスキップして後述のステップS106に進む。一方、発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1より大きい場合(ステップS104;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcをさらに高い温度Tset+α1+β1に決定する(ステップS105)。
次に空調制御装置10の在室情報取得部114は、バスライン80及び通信部12を介して在室検出装置60から在室情報を取得する(ステップS106)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した在室情報が、人が不在であることを示すものかどうか判定する(ステップS107)。
在室情報が、人が在室していることを示すものである場合(ステップS107;No)、次のステップS108をスキップして後述のステップS109に進む。一方、在室情報が、人が不在であることを示すものである場合(ステップS107;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcをさらに高い温度であるTset+α1+γ1又はTset+α1+β1+γ1に決定する(ステップS108)。
空調制御装置10の制御実行部115は、以上のステップで決定された制御目標温度Tcと室内の温度との差分に基づいて空気調和機の制御を実行する(ステップS109)。
以上、空調制御装置10が暖房運転時に実行する空調制御処理について説明した。次に図1及び図3のブロック図と図10のフローチャートとを参照しながら、空調制御装置10が冷房運転時に実行する空調制御処理について説明する。冷房運転時の空調制御処理は、ユーザが空調制御装置10の入力受付部14において起動操作及び冷房運転モードの選択操作を行った場合に開始し、定期的に繰り返される。
なお、ユーザは任意のタイミングで室内目標設定温度Tset、冷房用の温度閾値T2、冷房用の電力閾値P2、差分α2、β2、γ2等の設定又は変更が可能である。しかし、理解の容易のために、これらの設定作業は、起動操作の際にまとめて行われ、その後の変更はないものとする。
空調制御処理が開始すると、まず、空調制御装置10の外気温度取得部111は、バスライン80及び通信部12を介して外気温度計測装置40から外気の温度の計測値を取得する。また、空調制御装置10の室内温度取得部112は、バスライン80及び通信部12を介して室内温度計測装置50から室内の温度の計測値を取得する(ステップS200)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した外気の温度の計測値が冷房用の温度閾値T2より小さいかどうかについて判定する(ステップS201)。
外気の温度の計測値が冷房用の温度閾値T2以上である場合(ステップS201;No)、以降のステップS202〜S208をスキップして、制御実行部115は、制御目標温度Tcを室内目標設定温度Tsetにしたまま制御目標温度Tcと室内の温度との差分に基づいて空気調和機の制御を実行する(ステップS209)。一方、外気の温度の計測値が冷房用の温度閾値T2より小さい場合(ステップS201;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcを室内目標設定温度Tsetよりも低い温度Tset−α2に決定する(ステップS202)。
次に空調制御装置10の発電電力取得部113は、バスライン80及び通信部12を介して発電電力計測装置70から太陽光発電設備90の発電電力の計測値を取得する(ステップS203)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した発電電力の計測値が上限電力閾値P2より大きいかどうかについて判定する(ステップS204)。
発電電力の計測値が上限電力閾値P2以下である場合(ステップS204;No)、空調制御装置10は、次のステップS205をスキップして後述のステップS206に進む。一方、発電電力の計測値が上限電力閾値P2より大きい場合(ステップS204;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcをさらに低い温度Tset−α2−β2に決定する(ステップS205)。
次に空調制御装置10の在室情報取得部114は、バスライン80及び通信部12を介して在室検出装置60から在室情報を取得する(ステップS206)。
ここで、空調制御装置10の制御部11は、取得した在室情報が、人が不在であることを示すものかどうか判定する(ステップS207)。
在室情報が、人が在室していることを示すものである場合(ステップS207;No)、次のステップS208をスキップして後述のステップS209に進む。一方、在室情報が、人が不在であることを示すものである場合(ステップS207;Yes)、空調制御装置10は、制御目標温度Tcをさらに低い温度であるTset−α2−γ2又はTset−α2−β2−γ2に決定する(ステップS208)。
空調制御装置10の制御実行部115は、以上のステップで決定された制御目標温度Tcと室内の温度との差分に基づいて空気調和機の制御を実行する(ステップS209)。
以上説明したように、本実施形態に係る空調制御システム1において、制御目標温度Tcは、暖房運転時において外気の温度が高い場合に高い温度に決定され、冷房運転時において外気の温度が低い場合に低い温度に決定される。このような制御目標温度に基づいて空気調和機の制御を行うことは、空調負荷の少ない時間帯に積極的に空調を行うことを意味する。
ここで、このような積極的な空調による省エネ効果について説明する。図11は、冬の外気の温度に対する空気調和機の成績係数COP(Coefficient Of Performance)の変化の一例を示している。暖房運転時において、制御目標温度Tcが20℃に決定された場合の成績係数COPの変化が点線L1であり、制御目標温度Tcが22℃に決定された場合の成績係数COPの変化が実線L2である。
点線L1と実線L2を参照すると、空気調和機の成績係数COPは、外気の温度が高くなるほど高くなることがわかる。また、制御目標温度Tcが低い点線L1は制御目標温度Tcが高い実線L2よりも、成績係数COPが高いことがわかる。
ここで、例えば、外気の温度が10℃で制御目標温度Tc22℃の場合、空気調和機の成績係数COPは3.0である。一方、外気の温度5℃で制御目標温度Tc20℃の場合、空気調和機の成績係数COPは2.8である。すなわち、暖房運転時には、外気の温度が高くて制御目標温度Tcが高い前者の方が、外気の温度が低くて制御目標温度Tcが低い後者よりも空気調和機の成績係数COPが高くなる。
図12は、夏の外気の温度に対する空気調和機の成績係数COPの変化の一例を示している。冷房運転時において、制御目標温度Tcが26℃に決定された場合の成績係数COPの変化が点線L3であり、制御目標温度Tcが24℃に決定された場合の成績係数COPの変化が実線L4である。
点線L3と実線L4を参照すると、空気調和機の成績係数COPは、外気の温度が低くなるほど高くなることがわかる。また、制御目標温度Tcが高い点線L3は制御目標温度Tcが低い実線L4よりも、成績係数COPが高いことがわかる。
ここで、例えば、外気の温度35℃で制御目標温度Tc26℃の場合、空気調和機の成績係数COPは2.7である。一方、外気の温度25℃で制御目標温度Tc24℃の場合、空気調和機の成績係数COPは3.7である。すなわち、冷房運転時には、外気の温度が低くて制御目標温度Tcが低い後者の方が、外気の温度が高くて制御目標温度Tcが高い前者よりも空気調和機の成績係数COPが高くなる。
以上説明した成績係数COPと外気の温度と制御目標温度Tcとの関係から、空気調和機の負荷が小さい時間帯に積極空調を行えば、一日を通じて成績係数COPが高い状態で運転することになる。また、積極的な空調がされた後、室内の温度は、その後も建物100の断熱効果及び室内の蓄熱効果によってある程度維持され、その後の空調負荷の大きい時間帯であっても外気と室内の温度差を大きくすることができる。
したがって、このような負荷平準化によって、空調負荷の大きい時間帯の空調負荷を軽減することが可能となり、一日を通じて空調の運転効率が向上するため、省エネを図ることができる。また、一日を通じてユーザにとって快適な空調を提供することができる。
例えば、実証ハウスをベースとして積極的な空調後の蓄熱利用に伴う省エネ効果を算出したところ、建物又は室内空気の熱容量等に比例して高くなり、一日を通じて8%程度の省エネになることがわかった。実証ハウスのような高断熱性、高気密性の建物は近年増加しているため、上述の省エネ効果を発揮しやすい環境が増えている。
また、本実施形態に係る空調制御システム1によれば、太陽光発電設備90の発電電力の計測値が暖房用の電力閾値P1又はP2を超える場合、制御目標温度Tcは、冷房運転時にはさらに低い温度に決定され、暖房運転時にはさらに高い温度に決定される。これにより、太陽光発電設備90の発電電力が多い時間帯に積極的な空調を行い、太陽光発電電力を有効利用するとともに、空気調和機の負荷平準化、建物100の断熱効果及び室内の蓄熱効果によって省エネを図ることができる。
また、本実施形態に係る空調制御システム1は、人が在室していないことを検出すると、制御目標温度Tcは、冷房運転時にはさらに低い温度に決定され、暖房運転時にはさらに高い温度に決定される。
これは、人が在室していない時間帯には、過剰に冷暖房されたとしても人の快適性に影響を与えることはないことを考慮したものである。そればかりかむしろ、そのような時間帯に特に積極的に空調を行うことによって、建物100の断熱効果及び室内の蓄熱効果によってある程度維持されている室内の温度が、室内に戻って来た人に対して快適性を確保することにつながる。また、さらに負荷平準化になるため、空調の運転効率が向上し、省エネを図ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記空調制御処理は、常時実行するものとしてもよい。また、空調制御装置10の制御を、通常運転モードと省エネ運転モードの2つの切り替え可能な運転モードに分け、通常運転モードでは室内目標設定温度に基づいて運転し、省エネ運転モードでは上記空調制御処理を実行して制御目標温度Tcに基づいて運転するようにしてもよい。
上記実施形態において、一つの室内空間Aだけを示して空調制御処理を説明した。しかし、複数の部屋がある場合、全館空調ではなく個別空調として、各部屋について人の存在の有無を検出して人が存在する部屋と存在しない部屋とで制御目標温度Tcに差をつけてもよい。また、空調制御システム1は、複数の空調室内機20又は空調室外機30を備え、それらを並列運転するものであってもよい。また、個別空調の場合、空調室内機20の空調空気をダクトによって複数の部屋に分けて供給させ、各部屋の在室状況に応じて制御するようにさせてもよい。
上記実施形態において、空調制御システム1は、太陽光発電設備90の発電電力に基づいて制御目標温度Tcを決定している。しかし、太陽光発電以外の発電設備の発電電力又は蓄電設備の蓄電量等に基づくように制御目標温度Tcを決定してもよい。なお、太陽光発電の場合、上述したように、発電電力は日射量と相関関係がある。外気の温度も日射量と相関関係がある。太陽光発電の発電電力は、日射量と外気の温度と同様に昼間にピークとなりやすく、人が就寝中でない空気調和機の稼働時間帯に発電電力が多くなりやすい。そのため、太陽光発電設備90と空調制御システム1とを組み合わせることに特に利点がある。
上記実施形態において、空調制御システム1は、外気の温度と、在室情報と、発電電力との3つに基づいて制御目標温度Tcを決定している。しかし、これら3つの要素を組み合わせずにいずれか1つ以上に基づいて制御目標温度Tcを決定してもよい。
また、上記実施形態では、差分α1、α2、β1、β2、γ1、γ2は、ユーザ又は製造業者が設定するようにしている。しかし、より省エネ性と快適性のバランスを良くするために、制御部11が建物100の断熱性や室内空気の蓄熱性に基づいて上記差分を決定するようにしてもよい。
上記実施形態では、暖房用の温度閾値T1、冷房用の温度閾値T2、暖房用の電力閾値P1、冷房用の電力閾値P2は、それぞれ1つだけになっているため、それぞれに対応する差分α1、α2、β1、β2、γ1、γ2も1つだけである。しかし、これらの閾値をそれぞれ2つ以上にして、差分もそれぞれ2つ以上にして多段階に制御目標温度が変更されるようにしてもよい。また、上記実施形態において、上記閾値及び差分は、定数としているが、他の要件で変動する関数にしてもよい。例えば、ユーザが在室していない時間が長い場合には、γ1及びγ2を大きくするようにしてもよい。
このような機能は、例えば、制御部11に以下に述べる熱負荷取得部、躯体性能取得部又は容量情報取得部を追加して、取得された熱負荷、躯体性能又は容量情報に基づいて上記差分を決定することによって実現可能である。
熱負荷取得部は、空気調和機の制御目標温度Tcに対する熱負荷を取得するものである。ここで言う熱負荷とは、貫流負荷、換気負荷、日射負荷、躯体蓄熱負荷、人体発熱、室内の熱源等による負荷の総和である。熱負荷は、例えば、空調制御装置10が、室内と外気の温度差、日射量、躯体温度、換気量、在室人数、室内熱源機器の稼働状況を他の装置から取得したり、ユーザ又は設置業者から設定入力されたりすることによって算出させることができる。なお、熱負荷は、総量がわかればよいので、空調制御装置10の記憶部13に過去の運転履歴や取得データを記録させ、それらの関係から経験的に推定させてもよい。
躯体性能取得部は、躯体の断熱性能・日射遮蔽性能等を取得して室外又は屋外等の外部からの熱負荷を算出するものである。例えば、躯体の断熱性能・日射遮蔽性能は、室内壁面と室外壁面の温度差履歴や室内の温度、外気の温度、日射量から算出することができる。なお、室内の温度が壁面温度変動に対して遅れて変動する場合には、躯体の断熱性能が高いと判断させることができる。また、ユーザ又は設置業者等が建物の壁や床などの厚さや部材の情報を空調制御装置10の入力受付部14から入力して、その入力データに基づいて外部からの熱負荷を算出してもよい。
容量情報取得部は、空調室外機30の圧縮機31の容量情報を取得する。容量情報とは、圧縮機31の定格容量に対する使用容量の比率(利用率)である。容量情報は、圧縮機31の運転周波数、消費電力等から算出することも可能であるし、空調制御装置10の記憶部13に過去の運転履歴(特に制御目標温度Tc)や取得データ(特に室内の温度)を記録させ、それらの関係から経験的に算出することも可能である。
上記実施形態では、空調制御装置10の在室情報取得部114は、在室検出装置60から人の出入り等のイベント発生に応じて在室情報を取得している。しかし、これに限らず、空調制御装置10の在室情報取得部114は、建物100全体の機器状態を監視するHEMS(Home Energy Management System)から在室情報を取得してもよいし、入力受付部14によってユーザからスケジュールデータの設定入力を受け付けることによって取得してもよい。
上記実施形態において、外気温度計測装置40と室内温度計測装置50は、空調室内機20及び空調室外機30とは別個の機器としている。しかし、図4に示すように、空調室内機20及び空調室外機30には、その内部において、温度センサ21a、21b、21c、31a、31b、33a、33b、33cが配置されている。そのため、これらの温度センサのいずれかを外気温度計測装置40又は室内温度計測装置50の代わりとして代用してもよい。