JP5052797B2 - 光学機能シート - Google Patents

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本発明は、片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シート(いわゆるプリズムシート)に関し、さらに詳述すると、液晶表示装置のバックライト光の輝度向上部材として好適に使用することができる光学機能シートに関する。
ディスプレイの一つとして液晶表示装置がある。液晶表示装置では、液晶自体は発光しないため、バックライトユニットを用いて輝度を得ており、バックライトユニットを改良して、その明るさを向上させる試みがなされてきている。
図8は液晶表示装置の一例を示す断面図である。図中1はバックライトユニット、2はバックライトユニットの上方に配置された液晶セルを示す。バックライトユニット1は、光源(冷陰極管:CFL)3、反射シート4、導光板5、拡散シート6、2枚のプリズムシート7、8によって構成されている。液晶セル2は、偏光フィルタ9、ガラス10、透明電極11、TFT12、配向膜13、液晶14、配向膜15、透明電極16、カラーフィルタ17、ガラス18、偏光フィルタ19によって構成されている。
上述したバックライトユニットのプリズムシートは、液晶セル側に多数の平行な断面三角形のプリズム部を有する透明シートであり、導光板と拡散シートを通ってきた拡散光を、正面側(液晶セル側)に向かう光に方向を変える役割を果たしている(例えば、特許文献1、2参照)。
特表平11−501149号公報 特表2002−504698号公報
前述したバックライトユニットのプリズムシートにおいては、2枚のプリズムシートのうちの液晶セル側のシートから出射される光についてのプリズム部側輝度(正面側輝度)の視野角依存性は、図9に示す分布となっている。
しかし、図9からわかるように、上記プリズムシートでは正面から深い角度にも多くの光が出射されており、この光はディスプレイの鑑賞角度としては正面からの角度が深すぎるため、表示機能に貢献できない光となっている。
これに対し、特許文献1、2において、プリズムシートにおけるプリズム部の高さを変化させた構造が示されているが、この構造ではプリズム部側輝度を大きく向上させることは難しかった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、プリズムシートにおいて、正面方向から深い角度で出射する光を低減し、正面方向の輝度を向上させた光学機能シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、前述した課題を解決するために種々検討を行った結果、特定形状のプリズム部を有するプリズムシートを使用することによって、前述した目的を達成して、プリズムシートの正面方向の輝度を向上させることができることを見出した。
本発明は、上述した知見に基づいてなされたもので、下記(1)〜(7)に示す光学機能シートを提供する。
(1)片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが高いものほど、頂角が大きいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい小さくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
(2)前記頂部の高さが高いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が小さい上側部分とからなることを特徴とする(1)の光学機能シート。
(3)片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが低いものほど、頂角が小さいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい大きくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
(4)前記頂部の高さが低いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が大きい上側部分とからなることを特徴とする(3)の光学機能シート。
(5)片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが高いものほど、頂角が大きいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい小さくなり、頂部の高さが低いものほど、頂角が小さいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい大きくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
(6)前記頂部の高さが高いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が小さい上側部分とからなり、前記頂部の高さが低いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が大きい上側部分とからなることを特徴とする(5)の光学機能シート。
(7)前記プリズム部の屈折率が1.3〜1.8であることを特徴とする(1)〜(6)の光学機能シート。

本発明の光学機能シートは、正面方向から深い角度で出射する光を低減し、正面方向の輝度を向上させることができる。
次に、図面を参照して本発明に係る光学機能シートの実施形態を示すが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は本発明に係る光学機能シートの一例を示す正面図、図2は同光学機能シートのプリズム部の拡大図である。
本例の光学機能シート20は、片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、上記プリズム部として、互いに頂部の高さが異なる第1プリズム部22および第2プリズム部24を有するものである。上記第1プリズム部22および第2プリズム部24は交互に配列されている。
また、第2プリズム部24より頂部の高さが高い第1プリズム部22は、所定の傾斜角Pを有する下側部分22aと、この下側部分22aよりも傾斜角Qが小さい上側部分22bとからなる。より具体的には、第1プリズム部22の下側部分22aの傾斜角Pは45°、上側部分22bの傾斜角Qは37°、上側部分22bの頂角Rは106°である。また、頂部の高さが低い第2プリズム部24の傾斜角Sは45°、頂角Tは90°である。
プリズムシートから出射される光の方向に影響する主な因子としては、プリズムシートの材料の屈折率と、プリズム部の形状(角度)とがある。本例の光学機能シート20は、プリズムの頂部の角度を適正化することで、正面方向から深い角度で出射する光を低減したものである。すなわち、頂部の高さが高い第1プリズム部22の頂角を上側部分22bによって大きくし、下側部分22aは斜面の傾斜角を大きくするとともに、頂部の高さが低い第2プリズム部24は、上記下側部分22aと同じ傾斜角で斜面が形成され、この斜面によって頂角を構成している。
本例の光学機能シート20は、上述した構成としたことにより、第1プリズム部22から深い角度で出射される光はほとんど無く、第2プリズム部24の上を通って逃げていく光がほとんど無い。したがって、本例の光学機能シート20によれば、深い角度の領域で光学機能シート20から出て行く光を大きく低減することができる。正面方向に近い角度の光も広がってしまうが、その影響度は小さく、正面から45度以内に多くの光を入れることができる。
図3は本発明に係る光学機能シートの他の例のプリズム部を示す拡大図である。本例の光学機能シート60は、片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、上記プリズム部として、互いに頂部の高さが異なる第1プリズム部62および第2プリズム部64を有するものである。上記第1プリズム部62および第2プリズム部64は交互に配列されている。
本例の光学機能シート60は、頂部の高さが高い第1プリズム部62は頂角が大きく、頂部の高さが低い第2プリズム部64は頂角が小さい。また、頂部の高さが高い第1プリズム部62は、傾斜角が頂部に向かうにしたがい段階的(2段階)に小さくなり、頂部の高さが低い第2プリズム部64は、傾斜角が頂部に向かうにしたがい段階的(2段階)に大きくなっている。
(実施例)
図1に示した光学機能シートを作製した。この場合、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム26の片面に、屈折率1.58の透明材料(アクリル系樹脂)を用いて第1プリズム部22および第2プリズム部24を形成した。第1プリズム部22および第2プリズム部24の傾斜角、頂角は前述したとおりである。また、第1プリズム部22の幅(底辺の長さ)Uは40μm、下側部分22aの高さVは18μm、上側部分22bの高さWは6.2μm、第2プリズム部24の幅(底辺の長さ)Xは25μmとした。
(比較例1)
図4に示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム30の片面に、屈折率1.58の透明材料(アクリル系樹脂)を用いてプリズム部32を形成した。プリズム部32の頂角は90°、傾斜角は45°、幅(底辺の長さ)は25μmとした。
(比較例2)
図5に示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム40の片面に、屈折率1.58の透明材料(アクリル系樹脂)を用いてプリズム部42を形成した。プリズム部42の頂角は90°、傾斜角は45°、幅(底辺の長さ)は50μmとした。
(比較例3)
図6に示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム50の片面に、屈折率1.58の透明材料(アクリル系樹脂)を用いて互いに頂部の高さが異なるプリズム部52、54を交互に形成した。プリズム部52の頂角は90°、傾斜角は45°、幅(底辺の長さ)は50μmとし、プリズム部54の頂角は90°、傾斜角は45°、幅(底辺の長さ)は42μmとした。プリズム部52の高さとプリズム部54の高さとの差は4μmであった。
バックライトユニットを用いて、実施例、比較例1〜3のプリズムシートのプリズム部側輝度の視野角依存性を調査し、比較した。結果を図7に示す。視野角0°(正面)近傍の輝度は4種とも同等であるが、実施例の視野角45°以内の光の量(輝度向上率の積分量に相当)は最も大きく、また視野角60°以上の深い角度の領域の光の量(輝度向上率の積分量に相当)は実施例が最も小さかった。したがって、図7の結果より、本例の光学機能シートを用いることで、視野角60°以上の領域の光を有効に視野角45°以内の角度領域に使用し、視野角45°以内の全光量を増加させることができることがわかる。
本発明に係る光学機能シートの一例を示す正面図である。 同光学機能シートのプリズム部の拡大図である。 本発明に係る光学機能シートの他の例のプリズム部を示す拡大図である。 比較例1のプリズムシートを示す正面図である。 比較例2のプリズムシートを示す正面図である。 比較例3のプリズムシートを示す正面図である。 実施例、比較例1〜3のプリズムシートのプリズム部側輝度の視野角依存性を示すグラフである。 液晶表示装置の一例を示す断面図である 一般に用いられている頂角90°のプリズムシートのプリズム部側輝度の視野角依存性を示すグラフである。
符号の説明
20 光学機能シート
22 第1プリズム部
24 第2プリズム部
22a 下側部分
22b 上側部分
60 光学機能シート
62 第1プリズム部
64 第2プリズム部

Claims (7)

  1. 片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが高いものほど、頂角が大きいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい小さくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
  2. 前記頂部の高さが高いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が小さい上側部分とからなることを特徴とする請求項に記載の光学機能シート。
  3. 片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが低いものほど、頂角が小さいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい大きくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
  4. 前記頂部の高さが低いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が大きい上側部分とからなることを特徴とする請求項に記載の光学機能シート。
  5. 片面に複数の平行な断面略三角形のプリズム部を有する光学機能シートであって、前記プリズム部として互いに頂部の高さが異なるものを有するとともに、前記プリズム部は、頂部の高さが高いものほど、頂角が大きいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい小さくなり、頂部の高さが低いものほど、頂角が小さいとともに、傾斜角が頂部に向かうにしたがい大きくなり、前記プリズム部を有する面の反対面から光を入射させ、前記プリズム部を有する面から前記光を出射させることを特徴とする光学機能シート。
  6. 前記頂部の高さが高いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が小さい上側部分とからなり、前記頂部の高さが低いプリズム部は、所定の傾斜角を有する下側部分と、前記下側部分よりも傾斜角が大きい上側部分とからなることを特徴とする請求項に記載の光学機能シート。
  7. 前記プリズム部の屈折率が1.3〜1.8であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学機能シート。
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