本発明は、照明装置、画像表示装置等に用いることができる光拡散板に関するものであり、特に、大型で高輝度と輝度均一性が要求される照明看板装置、液晶ディスプレイ装置等に好適に用いられる直下方式の照明装置及びこれを用いた画像表示装置に関するものである。
画像表示装置用の照明装置を例にすると、導光板の側端に配した光源の光を導光板で正面方向に誘導し、拡散シートで均一化するエッジライト方式と、照明面の裏側に光源を配し、光を光拡散板で均一化して出射する直下方式が挙げられる。
直下方式は、光源を装置の背面に備えることから厚さが厚くなる傾向があり、このため携帯電話やモバイルパソコンなどの薄さを要求される分野では、光源を側端に備えるエッジライト方式が主流であった。
一方で、近年、テレビやパソコンモニターなどの市場を中心にディスプレイの大型化と高輝度化の要求が高まってきた。特にディスプレイの大型化に伴い、上記エッジライト方式では、光源を配置できる周辺部の長さの表示面積に対する割合が減少して、光量が不足するため、充分な輝度を得ることができない。
そこで、面光源上に複数の輝度向上のためのフィルムを配置して、光の利用効率を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、輝度向上フィルムは、コストアップに繋がること、また使用するフィルムの数が多くなることから、生産性や薄型化の観点から必ずしも有利とはいえない。また、エッジライト方式ではディスプレイの大型化に伴い導光板の重量が増加するといった問題もある。このように、エッジライト方式では、近年のディスプレイの大型化、高輝度化のといった市場の要求に応えることは困難となってきた。
そこで、大型テレビなどの携帯電話やモバイルパソコンなどに比べて薄型化についての要求は厳しくない分野を中心に、複数光源による直下方式が注目されている。この方式は、光源から放射される光の利用効率、即ち光源から放射される光束のうち発光面から放射される光束の割合が高く、かつ、光源の数を自由に増加させることができる。
すなわち、光量を自由に増加させることができるため、要求される高輝度が容易に得られ、また、大型化による輝度低下や輝度均一性の低下がない。さらに、光を正面に向ける導光板が不要となるため、軽量化を図ることができる。
また、他の照明装置として、例えば照明看板などでは、構成が単純であり、輝度向上のためのフィルムなどを用いることなく、容易に高輝度が得られることから、複数光源による直下方式が主流である。
しかしながら、直下方式では、ランプイメージの解消、薄型化、省エネルギーといった独特の課題を解決しなければならない。特に、前記ランプイメージは、エッジライト方式よりもはるかに顕著な輝度ムラとして現れる。またエッジライト方式よりも不利である薄型化の課題を改善するため、厚さ方向の部材を薄くする、部材の配置間隔を狭くする、などの構成の要求も高まっており、ランプイメージの解消はさらに困難な課題となっている。このため、従来、エッジライト方式で用いられてきた手段、即ち、フィルム表面に光拡散材を塗布した拡散フィルムなどの手段では、ランプイメージの解消が困難である。
そこで、光拡散材を含有した光拡散板が広く用いられている。この方式では、たとえば、背面側に反射板を配置した光源の前面側に光拡散板を設置している。そして、良好な拡散性と光利用効率を得るために、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の基材樹脂に、無機微粒子や架橋有機微粒子を光拡散材として配合した、光拡散板を用いる方法(例えば、特許文献2参照)が検討されている。
しかし、これら光拡散材を用いる方法では光拡散材への光の吸収や、不要な方向への光の拡散のため光の利用効率が低下し省エネルギーの観点から好ましくない。また、光源を近接して多数配置することでランプイメージは軽減できるが、消費電力が増加する問題がある。
一方、反射板に独特の形状をもたせて、ランプイメージを消去する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、反射板形状と光源との位置合わせが必要であること、反射板の形状のため、薄型化が阻害される場合があること、などから好ましくない。
また、光源に対向して反射性部材を設置する方法(例えば、特許文献4参照)、光源ごとに、例えばフレネルレンズのような光線方向変換素子を配す方法など(例えば、特許文献5参照)も提案されているが、特許文献3に記載の方法と同様に、前記部材と光源との正確な位置合わせが必要であることから、生産性が劣るといった課題が生じる。
さらに、プリズムシートを用いて光を分散する方法(例えば、特許文献6参照)も提案されている。しかしこれらは通常光源光を2つの同様な像に分散するに留まり、充分な輝度均一性が得られない。
また、省エネルギーを実現するには、光利用効率を高めることが必要である。直下方式は、前述のように光源本数を増やすことができ、高輝度を得ることが容易であるが、省エネルギーの視点からは、ランプイメージ解消のために大量の光拡散材を用いるなどの、光利用効率を大きく下げる手段によることは避けなければならない。
特開平2−17号公報
特開昭54−155244号公報
特許2852424号公報
特開2000−338895号公報
特開2002−352611号公報
米国特許5161041号公報
そこで、本発明は、主面の直下に光源を配置する直下方式の照明装置及びこれを用いた画像表示装置の部材として好適に用いることができる、出射面における輝度が高く、かつ、光利用効率が高く、大型化に伴う部材の光学設計変更や輝度低下や輝度均一性低下がないことから大型化への対応が容易で、光源と他の部材の厳密な位置合わせをすることなくランプイメージが解消され、光源と他の部材を近づけたりフィルム構成を単純化したりするという薄型化にも対応できる、輝度均一性の高い光拡散板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑みて、以下の検討を行い本発明に至った。
直下方式の照明装置では、出射する光のエネルギーは、各光源に対向する位置では大きく、離れるにしたがって小さくなる。複数の光源を用いる場合、隣接する光源同士の間に対向する位置で小さい。そこで、光源に対向する位置から出光する光を、光拡散板での適度な反射によって弱め、これにより、光源に対向する位置とそれ以外の位置から出射する光のエネルギーとが等しくなり、ランプイメージが解消されること、ならびに、この目的を達成するために、光拡散板の入射面に垂直に入射する光と、所定の角度から入射する光の全光線透過率の比を適当な範囲に制御する、という手段を見出すに至った。
光源側に反射した光は別途配置した反射板などで再利用することができる。これにより、光の利用効率を大きく低下させることなく、またこの再利用される光は通常光源からの光よりも指向性が低下するため、課題の一つであるランプイメージの解消をより効率的に達成できるという効果もある。
本発明者らはさらに詳細に検討し、最適な全光線透過率の比の範囲を見出した。また、この方法によって、光利用効率を下げる光拡散材の使用を回避もしくは大幅に減少することができ、高い光利用効率が達成されることを見出した。
また、全光線透過率の比を制御する手段として、光拡散板の主面の少なくとも一面に複数の凸部を形成することを見出した。さらに凸部の好ましい形状についても見出した。
また、光源と光拡散板の位置あわせを不要とするためには、光拡散板における入射面上の任意の点で、全光線透過率について同じ性質をもつ必要がある。すなわち、入射面上の任意の点で均一な光学的性質を持つことが必要であると結論した。ここで「点」とは本発明の特徴である凸部の光学特性を活用するため、たとえば凸部の一斜面のみを含むような微小領域ではなく、少なくとも凸部の1単位の幅に相当する領域であると同時に、視覚に影響を及ぼさない微小な領域を示す。視覚に影響を及ぼさない微小な領域とは、領域内に実用上ムラの発生が視認されない程度の領域を意味し、用途によって異なるが、家庭用大型テレビなどにおいては通常直径500μm以内の領域である。
上記検討結果に基づいて成された請求項1記載の発明は、略平行な2つの主面を備える光拡散板であって、前記主面の少なくとも一面に複数の凸部が周期的に形成されており、前記主面の一面が主として受光する入射面であり、他の一面が主として出光する出射面であり、光が該入射面の法線方向に対して所定の角度αで入射したときの全光線透過率が50%以上であり、かつ垂直に入射したときの1.05倍〜5倍である光拡散板において、
前記入射面が平坦であり、前記出射面に前記凸部が形成されており、該出射面に直交し、該凸部の頂部を含む、少なくとも所定の一方向の断面の光出射部分における輪郭線が、該光拡散板の屈折率がnであるとき、該輪郭線の傾きθが0≦|Sin -1 (n・sin(θ−Sin -1 ((1/n)・sinα)))−θ|≦(π/12)を満たし、前記出射面に対する傾きの絶対値θ2がSin -1 (1/n)未満である領域Xを含み、該領域Xは前記凸部の頂部を含み、該領域Xの出射面と平行な方向成分の長さxと輪郭線全体の該出射面と平行な方向成分の長さPの割合が0.15〜0.80であることを特徴とする光拡散板を提供する。
この構成によれば、上記光拡散板は平行な主面を持つことで、押出成形などの連続成形にも適している。また入射面の法線方向に対して所定の角度αで入射した光の全光線透過率が50%以上であり、かつ、該全光線透過率が、前記法線方向から光が入射した場合の全光線透過率の1.05倍〜5倍、即ち、上記光源に対向する真上位置に入射する光の全光線透過率よりも適度に高くなる。したがって、前記光拡散板から出射する光エネルギーの出射面内分布が均一化される。また、前記凸部を周期的に形成することで、入射面上の任意の点で好ましい光学的性質が得られる。すなわち前記光拡散板の全光線透過率は入射角度のみに依存し、入射位置には依存しないため、光拡散板と光源など他の部材との位置の微調整が不要である。つまり、照明装置組立時に光拡散板の面内方向位置を厳密に設定する必要はない。したがって、本発明の光拡散板は大面積の板状物を作製した後、必要寸法に応じて任意の位置から切出したものを使用することができるため、押出成形などの連
続生産にも適しており、照明装置のサイズ変更による切替を必要としないことから、生産性を向上させることができることは当然であるが、特に、出射面に凸部が形成されており、該凸部の頂部を含み出射面に直交する面で切った少なくとも所定の一方向の断面の輪郭線の傾きが前記θ未満であることで、角度αで入射した光の正面から大きく外れた不要な方向への出光を抑制し、該出射面に対する傾きθ2の絶対値がSin −1 (1/n)未満の領域Xを前記輪郭線上の出射面と平行な方向成分として出射面の0.15〜0.80の割合で含み、かつ、領域Xが頂部を含むことで、異なる光拡散性を示す領域となり、領域Xの割合を調整することで集光と拡散のバランスを調整でき、入射した光を好適な角度分布に出光することができる。
請求項2記載の発明は、前記光拡散板の入射面の法線方向に対し前記角度αで入射した光の10〜50%が、出射面の法線方向に対して(−π/12)〜(π/12)の範囲の角度で出射することを特徴とする請求項1に記載の光拡散板を提供する。
この構成によれば、所定の角度αで入射した光が正面付近に制御されて出射される。
請求項3記載の発明は、角度αが30度〜80度の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散板を提供する。
この構成によれば、法線方向から30〜80度外れた角度から入射した光と法線方向から入射した光との全光線透過率を調整することで、広い範囲で均一な出射分布が得られる。
請求項4記載の発明は、前記入射面が平坦であり、前記出射面に前記凸部が形成されており、該出射面に直交し、該凸部の頂部を含む、少なくとも所定の一方向の断面の光出射部分における輪郭線が、2つの直線部を持ち、該2直線が頂部の出射側で鋭角θ1で交差していることを特徴とする請求項1記載の光拡散板を提供する。
この構成によれば前記所定の断面が光拡散板の頂部の出射側で鋭角θ1で交差する2つの直線部を持つことで、角度αで入射した光を望ましい角度に偏向して出光することができる。
請求項1記載の発明は、少なくとも片方の主面に周期的に形成された凸部によって、所定の角度αから入射する光の全光線透過率を、法線方向から入射する光の全光線透過率よりも適度に高くすることで、光拡散板から出射する光エネルギーの出射面内分布を均一化することができることから、直下方式照明装置のランプイメージが解消され、輝度が高く、かつ、出射面内の輝度が均一な光拡散板を得ることができる。
また、入射面上の任意の点で好ましい光学的性質が得られることから、光源と光拡散板との位置合わせが不要で、ディスプレイサイズや光源の本数や配置の変更にも柔軟に対応でき、生産性よく照明装置を製造することができる。さらに、光利用効率を下げる光拡散材の使用を回避もしくは大幅に減少することができ、高い光利用効率が達成される。
特に、補正後の本発明の特別な技術的特徴により、出射面側の前記領域Xとそれ以外の領域では、光出射面に於ける集光及び拡散の程度が互いに異なるので、出射面における集光性能及び拡散性能が一層向上し、もって、出射面内輝度の均一化をより効果的に高めることができる。
請求項2記載の発明は、前記出射面において光拡散板の正面方向から出射する光線の割合が増加するので、請求項1の発明の効果に加えて、その分だけ前記正面方向の輝度が向上するという格別の効果を奏する。
請求項3記載の発明は、前記所定の角度αが30〜80度であるので、請求項1または2の効果に加えて、たとえば薄型の直下型照明装置において、光源から光拡散板に向かう光が所望の範囲に向かう際の入射角度が広い場合においても出射面内分布を均一化できることから、1本もしくは少ない光源で均一な出射イメージを得ることができ、薄型化や部材点数低減、省エネルギーなどの観点から格別の効果を奏する。
請求項4記載の発明は、直線部によって同じ角度で入射した光を同じ角度に出光することができ、請求項1記載の発明の効果に加えて、出光角度分布の制御や輝度ムラの解消が容易で、かつ、所望によって正面付近の輝度を一層高めることができる。
本発明は、略平行な2つの主面を備える光拡散板であって、前記主面の少なくとも一面に複数の凸部が周期的に形成されており、前記主面の一面が主として受光する入射面であり、他の一面が主として出光する出射面であり、光が該入射面の法線方向に対して所定の角度αで入射したときの全光線透過率が50%以上であり、かつ、垂直に入射したときの1.05倍〜5倍であることにより、直下型照明装置の部材として用いるとき、構成の単純化、薄型化が可能で、生産性が向上し、光源と光拡散板の位置の微調整が不要で、ランプイメージを解消すると共に、出射面内における優れた輝度均一性を実現できる光拡散板を提供する。
また、法線に対して角度αで入射面に入射した光は、通常の略平行な2つの主面を備える光拡散板においては、角度αを中心とした輝度角度分布を示すが、本発明の光拡散板では、凸部によって出射面の法線に対して(−π/12)〜(π/12)の角度範囲に入射光の10〜50%が出射するように偏向することができ、これによって通常望ましい正面付近を中心とする輝度角度分布を得ることができる。
角度αは0度<α<90度の範囲で任意に設定できるが、角度αが広いほど広範囲の出射エネルギーを均一化することができる。通常角度αは30〜80度の範囲であり、さらに好ましくは40〜70度の範囲である。角度αが30度より狭いとき、光源との距離が同じならば光源光の均一な照射範囲が狭いため、大型の照明装置に用いるには多数の光源が必要となり、望ましくない。ここで光源との距離を離すことは薄型化などの要求からは望ましくない。また角度αが狭いとき、出射光エネルギーの差異は小さいため、例えば従来知られている拡散シートによっても、ある程度解決することができ、一部の格別の高品位を求められない用途には利用可能である。一方、角度αが80度よりも広い時、光源から角度αで入射する光が弱いため、高輝度用途には不充分となる。
通常、透明な平板の主面に光を照射すると、透明板といえども平板内部でエネルギーのロスが生じるため、入射エネルギーに比べて出射エネルギーは低くなる。このとき出射エネルギーと入射エネルギーの比は全光線透過率として表され、100%未満の値をとる。法線方向と斜め方向では斜め方向の方が平板内部、すなわち入射面に入光してから出射面から出光するまでの光路長が長くなる。このため、斜め方向のエネルギーロスが多くなり、全光線透過率は斜め方向の方が低くなる。板厚を光源直上付近で厚くし、光源から離れるにしたがって薄くすることで、斜め方向の入射光の全光線透過率を法線方向の入射光の全光線透過率よりも高くすることが可能であるが、光源と板の正確な位置合せが必要となり、生産上不利である。
光源と光拡散板の位置あわせを不要とするためには、光拡散板における入射面上の任意の点で、全光線透過率について同じ性質をもつ必要がある。そこで本発明ではこの点を特徴の1つとしている。すなわち本発明では光拡散板の少なくとも一面に複数の凸部を周期的に設けることで、入射面上の任意の点から入射した光が全光線透過率について同じ光学的性質を示すとともに、好適な角度αを選ぶことで、該入射面上の任意の点において法線方向と角度αをなす斜め方向から入射した光と、入射面に法線方向から入射した光とで、斜め方向から入射した光の方が高い値を示すという格別の光学性質を持ち、互いの全光線透過率が本発明で規定する全光線透過率の比となる角度αが少なくとも1点で存在することを特徴とする。
逆に、本発明が開示する方法によって光拡散板の表面形状を設計し全光線透過率の比を調整することで、角度αを自由に調整し、目的に合わせた照明装置と得ることができる。通常角度αは照明装置の観察面のうち最も暗くなる領域付近の入射面上の点と光源がなす角度であることが好ましい。例えば光源を中心に配置した直下型照明装置では光源と光拡散板の距離および光拡散板の大きさから決定される光源と光拡散板の周辺部付近がなす角度であることが好ましい。また複数の光源を配置した直下型照明装置においては光源と隣接する光源の中点に対向する入射面と光源がなす角度であることが好ましい。
本発明の光拡散板は通常光拡散板の基材として用いられる材料であれば望ましく用いることができ、通常透光性樹脂を用いる。たとえばメタアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、メタアクリル−スチレン共重合樹脂、シクロオレフィン−アルケン共重合樹脂などが挙げられる。
本拡散板は少なくとも片面に周期的な凸部を有することを特徴としている。両面に周期的な凸部を形成してもよいが、片面のみに周期的な凸部を形成する方が生産上有利である。本発明の光拡散板を平坦な入射面と該凸部を設けた出射面を持つ形状とする場合、凸部の形状を以下のようにすることで本発明を実現できる。該出射面に直交し、該凸部の頂部を含む、少なくとも所定の一方向の断面の光出射部分における輪郭線が、該光拡散板の屈折率がnであるとき、前記出射面に対する傾きの絶対値がSin−1(1/n)未満である領域Xを含み、該領域Xの出射面と平行な方向成分の長さxと輪郭線全体の該出射面と平行な方向成分の長さPの割合が0.15〜0.80である。また前記凸部の頂部は領域Xに含まれる。
平坦な入射面に法線方向から入射した光は、屈折することなく光拡散板内部を進んで出射面に向かう。出射面の入射面に対する傾きがθであるとき、出射面の法線方向と、前記法線方向から入射して光拡散板内部を進んで出射面に向かう光線とのなす角度もθであることから、光拡散板の屈折率をn、空気の屈折率を1とすると、出射面の傾きの絶対値がSin−1(1/n)未満であるとき、前記法線から入射して光拡散板内部を進んで出射面に向かう光は、出射面を透過して観測面側に出光する。一方、傾きの絶対値がSin−1(1/n)以上であるとき、前記法線方向から入射して光拡散板内部を進んで出射面に向かう光は、出射面で全反射する。
このことから、入射面に法線方向から入射して屈折することなく前記領域Xに入射した光は、図8に示すように、出射面を領域Xの傾きに応じた角度で屈折しつつ透過して出射光13となる。領域Xの角度を曲線状にすることによって、出射面で屈折する角度が連続的に変化するため、法線方向からの強い透過光を均一に分散することができる。領域Xは1つの凸部中の複数箇所に形成されていてもよい。
前記凸部の断面が光拡散板の法線方向を軸とする線対称形状であることは、形状設計を容易にする上で有効である。
領域X以外の領域に法線方向から入射した光は、図8に示すように出射面で全反射する。全反射した光は再び光拡散板内部を進んで別の出射面に向かい、通常、さらに全反射して反射光16として入射側に戻るものと、透過するものがある。透過した光は通常多くが別の出射面に再入光して、反射光16として入射側に戻る。また、該透過光は凸部形状によって一部が観測面側に出光するが、割合が少ないため、全光線透過率の比率を調整困難にするほどの影響はない。
領域X以外の領域に入射した光を入射側に戻すことが全光線透過率の比率を調整するための重要な機能であり、言い換えると、領域Xの割合を調整することで全光線透過率の割合を角度αから入射する光の全光線透過率に対して望ましい比率に調整できる。該領域Xの出射面と平行な方向成分の長さxと輪郭線全体の該出射面と平行な方向成分の長さPの割合は0.15〜0.80であることが望ましく、0.25〜0.60であることがさらに望ましい。x/Pが0.15よりも小さくなるとランプ直上の輝度が低くなりすぎて、暗くなる。0.25以上にすることで分散性も高まるのでさらに望ましい。0.80よりも大きいと、角度αで入射する光のうち、正面方向に向かう光が減少するので、面内の均一性が低下する。
領域X以外の領域に入射した光を入射面方向に戻すことは出射面に対する傾きが重要であり、望ましい傾きは基材の屈折率によって異なるが、通常、透明樹脂を基材として用いる場合は45度〜80度であることが望ましい。50度〜70度であることがさらに望ましく、55度〜65度であることが最も望ましい。
一方、角度αで領域X以外の領域に入射した光は図7に示すように、正面付近に偏向されて透過する。出光角度は角度αと凸部の傾きθと基材の屈折率によって決まるが、正面付近に集光するためには、例えば屈折率が1.54で、αが50度である場合、54度〜70度であることが望ましく、61〜69度であることがさらに望ましく、64度〜68度であることがさらに望ましい。
角度αで領域Xに入射した光は、正面付近を少し離れた領域に拡散する。出光角度は角度αと凸部の傾きθと基材の屈折率によって決まるが、正面付近に集光するためには、例えば屈折率が1.54で、αが50度である場合、法線方向から24度〜50度の範囲に出光する。これによって面内輝度の均一性を高めると共に、好適な出光角度分布を得ることができる。
凸部の傾きの絶対値は0≦|Sin−1(n・sin(θ−Sin−1((1/n)・sinα)))−θ|≦(π/12)を満たすθ以下である。傾きの絶対値がこれより高いと、角度αから入光した光の斜め方向への出光が強まり、望ましい出光角度分布に調整することが困難となる。
このように凸部の領域X以外の領域の傾きと、領域Xの割合を調節することで、望ましい全光線透過率と出光角度分布を得ることができる。
領域X以外の領域の少なくとも一部を前記所定の角度と垂直な平面状にすることで、一定の角度から入光した光を平面上から同じ方向に出光することができる。入光角度に応じて出光角度を調整できるので、出光角度分布の調整や輝度ムラの解消が容易となる。このような平面を頂部をはさんで鋭角をなすように2面設けることは、輝度角度分布制御の観点から、より好ましい。このとき2平面は凸部頂部の出射面側で交わる。法線に対して線対称に設けることは、より好ましい。2面のなす角度は前記の領域X以外の領域のなす角度であるから、同様に必要とする全光線透過率や輝度角度分布に応じて調整できる。
さらに、出射面に形成された凸部は線状光源真上の部分と線状光源間で同じ構成をとっている。この構成により、プリズム形状の作成が容易となり低コスト化を図ることができる。
出射面の凸部は、押出成形、射出成形、紫外線硬化型樹脂を用いた2P成形等何れも用いることができる。成形方法は、凸部の大きさ、必要形状、量産性を考慮して適宜用いればよい。この場合、凸部の形状を反転した雌型が必要である。
一方、本発明では、光拡散板の入射面に凸部を周期的に設けることによって、光が該入射面の法線方向に対して所定の角度αで入射したときの全光線透過率が50%以上であり、かつ、法線方向から入射したときの1.05倍〜3倍となる光拡散板を得ることができる。
この場合、前記入射面上に周期的に凸部が形成されており、該凸部の頂部を含み入射面に直交する面で切った少なくとも所定の一方向の断面の輪郭線が凸部の2つの直線部を持ち、該2直線が頂部もしくは該頂部の入射側で角度(π/9)以上の鋭角θ1’で交差していることを特徴とする。この角度は以下の理由により実質、凸部の頂角を意味している。
入射面に角度αで入射する光は前記入射面の凸部に入射すると図15に示すように、凸部の反対の面で全反射され、正面方向へ偏向され、出射する。これにより光拡散板の出射光エネルギーの面内一様化が得られる。たとえば複数の線状光源を配列した照明装置の線状光源間に対向する入射面に入射してくる光も光拡散板に対してほぼ垂直に出射されることから高い輝度を得ることができる。
凸部が持つ2直線が頂部で交わる先端が鋭い形状であるとき、該2直線が頂部よりも外で交わる先端が鈍い形状であるときよりも凸部に入射して前記偏向を生じる光は多くなるので、正面輝度を高める上で有効である。しかしながら成形の容易性ならびに凸部先端の機械的強度などの観点から先端が鈍い形状であることが望ましい。したがって通常凸部の入射面からの高さは2直線が頂部で交わる先端が鋭い形状であるときの高さの85%以上であることが望ましく、さらに望ましくは90%以上、さらに望ましくは95%以上である。
またこの場合、出射面に前記凸部を設ける場合に比べて、観察面から品位低下の原因となる凹凸パターンを視認しづらい点で望ましい。
入射面に凸部を設けた本発明の光拡散板の前記入射面の凸部に法線方向から入射した光は、一部反射して入射面方向に向かう。これによって法線方向からの全光線透過率を低下させ、前記全光線透過率の割合を調整することができる。同時に出射面に凹凸を設けることで、法線方向からの光の入射面方向へ反射する光の角度を調整できる。
入射面側の凸部の間に入射面に対する傾きの絶対値が該光拡散板の屈折率がnであるとき、0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦(π/12)を満たす角度θ2’である領域Yを設けることで、法線方向から光を透過する割合を調整できる。すなわち領域Yに法線方向から入射する光は前記凸部に入射した光と異なる挙動を取り、領域Yで屈折して、法線に対して(π/12)以内の角度に制御されて出光する。このように全光線透過率制御のための自由度が高いことによって、入射面の凸部形状を幅広く選択でき、結果として、広い範囲の角度αからの光を正面方向に制御できる。
この場合出射面の凹凸は入射面の凸部と同じ方向の傾きで形成され、その断面形状は凸部、レンチキュラーレンズ、正弦波状のいずれか、もしくはこれらの組合せからなることがさらに望ましい。またランダムに2次元的に配列したエンボス状も用いることができる。
この入射面凸部と出射面凹凸により、入射面に法線方向から入射する光の一部は透過するが、一部は全反射により透過せずに光源側へ戻ってくる。
さらに入射面凸部間に入射面に対する傾きの絶対値が該光拡散板の屈折率がnであるとき、0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦(π/12)を満たす角度θ2’である領域Yを設けることで入射面への法線方向からの入射光の透過、反射率の比率を調整することが可能となる。領域Yは入射面と平行、すなわち入射面上の平坦部であってもよい。
図16に示すように、法線方向から入射面と角度前記条件を満たすθ2’をなす面に入射した光は、法線と(π/12)以内の正面近傍方向に出光する。つまり、該入射面凸部間に領域Yを設けることで、領域Yが無い状態で全反射していた光も透過させるため、光透過率を高めることができる。図17に示すように、角度αで入光する斜め入射光12は凸部の谷部17には入射しないので、該谷部17は角度αの斜め入射光12の方向制御とは無関係である。このことから該谷部に領域Yを設けて法線方向からの入射光の全光線透過率を調整することは、角度αの斜め入射光の方向制御に悪影響を与えないので有利である。
一方、図示していないが、凸部頂部に領域Yを設けることは、角度αから入射する光が領域Yに入射して異なる方向へ出光するため、正面方向への出光が低下する。また本来法線方向からの全光線透過率を制御する目的で設けた領域Yが輝度角度分布にも影響を与えることとなり、設計を困難にする。つまり、領域Yは入射面凸部頂部よりも、入射面凸部間に設けたほうが透過、反射率を容易に制御可能となる。このことは先に述べた角度αからの光を正面方向に制御するために凸部が鋭い形状であることが望ましいこととも一致するので、設計の自由度を下げることはない。
さらに、入射面に形成された凸部は線状光源真上の部分と線状光源間で同じ構成をとっている。この構成により、プリズム形状の作成が容易となり低コスト化を図ることができる。
入射面の凸部および出射面の凹凸は、押出成形、射出成形、紫外線硬化型樹脂を用いた2P成形等何れも用いることができる。成形方法は、凸部の大きさ、必要形状、量産性を考慮して適宜用いればよい。この場合、凸部の形状を反転した雌型が必要である。本発明で用いる入射面凸部の頂角は(π/9)以上の鋭角であり、さらに好ましくは(π/6)〜(π/3)の鋭角である。雌型の凸部頂部に領域Yを形成するための領域がない場合には雌型頂部の倒れて成形不良等の不具合が発生しやすくなる。したがって、入射面凸部の間に領域Yを設けることで、金型の前記倒れを軽減できるため生産性を向上させることができる。
入射面に周期的に凸部を形成した構成の光拡散板は、光が該入射面の法線方向に対して所定の角度αで入射したときの全光線透過率が法線方向から入射したときの1.05倍〜3倍となることから、複数の光源を等間隔に配列した複数光源直下型の照明装置に特に望ましく用いることができる。
本発明における凸部の頂部とはそれぞれの凸部の中で最も出射面側にある点で、通常1つの凸部に1点もしくは連続した一部からなる。本発明では任意の点に入射した光が同じ光学的挙動を示すことを特徴とするため、凸部は通常ほぼ同じ形状からなり、この場合、各々の頂部の高さはほぼ同じである。但し図12に示すように異なる複数の種類の形状からなる凸部を規則的に配列する場合もあり、この場合は頂部の高さも異なる場合がある。
また本発明における所定の一方向とは光を偏向したい方向で決定する。例えば線上光源では光源の長手方向と垂直な方向に輝度ムラが発生することから、光源の長手方向と垂直な方向の光線方向を制御する必要があるので、凸部の形状は光源の長手方向と垂直な方向の断面で最も光を制御するに適した形状である必要がある。この場合、凸部が単純な楔形であれば頂角が最も狭い形状となる断面方向に相当する。光源を複数配列した場合は所定の一方向とは、光源から隣接する別の光源への方向と平行する方向を意味する。
また線上光源では凸部を線上光源の長手方向と垂直な方向の断面が同じ形状となるストライプ状で平行に配列するように形成することが望ましい。
また点状光源では通常全方向に輝度ムラが生じるため、凸部は出射面と垂直な全ての断面で光を制御できる形状であるのが望ましいが、複数光源を配列する場合、光源間隔など配列方法によっても凸部の形状は異なる。
本発明の光拡散板は入射した光が入射面上の任意の点で好ましい光学的性質が得られる同様の光学的指向性を示すため、全ての凸部の形状、大きさはほぼ同じで、向きや、周期も同じであることが望ましい。同じ理由で複数光源を用いる直下型照明装置に用いる場合は、光源の配置もほぼ同じ性能の光源を等間隔に配置することが望ましい。
本発明の光拡散板は必要に応じて異なる複数の材料を用いて作ることもできる。例えば凸部をフィルム上に形成した後、凸部を形成していないフィルム面に支持板を合せて、光拡散板とすることもできる。これは例えば凸部形成に紫外線硬化樹脂を用いる場合は凸部付近以外に汎用の透光性樹脂を用いることで高価な紫外線硬化樹脂の使用量を削減することができる。また少量の光拡散材を内部に分散したり、表面に塗布したりすることもできる。光拡散材の使用によって出射光の拡散性を高め、輝度均一性も高めることができる。光拡散材を塗布する場合、出射面側に塗布することがより好ましい。光拡散材としては従来光拡散板や拡散シートに用いられる無機微粒子や架橋有機微粒子を用いることができる。
凸部の形状を決める際の重要な因子である光拡散板の屈折率は、複数の材料を用いるとそれぞれ値が異なるが、凸部を形成する材料の値で代用することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図17にしたがって説明する。
図1a〜1cは本発明に係る光拡散板を備える照明装置の例を示す。図1aは冷陰極放電ランプ等から成る筒長の線状光源や、白熱電球などの点光源などから選ばれる光源4の観察面側に凸部2を出射面側に設けた光拡散板1を配し、該光源と光拡散板を覆うハウジングの内側に反射板5を配している。図1bは等間隔をあけて複数本(図示例では3本)相互に平行に設けられている線上の光源4の観察面側に入射面側に凸部2と略平坦部18を設け、出射面凹凸3を設けた光拡散板1を配し、該光拡散板1と光源4を挟んで反対側、すなわち観察面から見た裏側に反射板5を配している。この構成は薄型の大型テレビやPCモニターなどで好適に用いられる。図1cは等間隔をあけて複数(図示例では3つ)の仮想面内に光源4を配置し、前記仮想面を挟んで両側に仮想面とそれぞれ平行に凸部2を出射面側に設けた光拡散板1を配している。この構成は両面に観察面を持つ照明看板などで好適に用いられる。
図2は、前記光源4の直上領域における光線の入射エネルギーを示す説明図である。同図に示すように、該各光源4の真上領域は、各真上領域の間または両側の領域、即ち各光源4の斜上領域よりも、前記光拡散板1に入射する光線の入射エネルギーが高い。
図3は、前記光源4の真上領域において、前記光拡散板1に入射する光線の入射角度βと輝度との関係を示す説明図である。ここに、該光線の入射角度βとは、前記光拡散板1の法線方向に対する光線の進行方向の角度を言う。図3に示すように、前記光拡散板1に対し垂直方向から入射する入射角度β=0°の光線の輝度が最も高い。また、光線の進行方向が該垂直方向からずれて、入射角度βが大きくなるに伴い、光線の輝度が次第に低くなる。
図4は、光源4の斜上領域において、前記光拡散板1に入射する光線の入射角度βと輝度との関係を示す説明図である。同図に示すように、該光拡散板1に対して法線方向から入射する光線の輝度が最も低く、斜め方向で輝度が高くなっている。
以上のことから明らかなように、前記各光源4の真上領域と斜上領域とでは、入射角度βに対する入射エネルギー分布と輝度分布との関係は相異なっている。
図5に示す様に、複数の光源を用いた照明装置においては、角度αは光源4から発した光の光源4と隣接する別の光源4との中間点直上の光拡散板1への入射角度であることが望ましい。法線方向から入射した光の全光線透過率よりも斜め入射角αでの全光線透過率が高いため、光源4の真上の部分と光源間の部分で光拡散板1の出射光エネルギーを均一化することが出来る。
図6に入射角βにおける全光線透過率測定方法を示す。積分球6の開口部8に測定対象7を設置し、レーザー光もしくはレンズでコリメートした平行光9を測定対象7の法線方向に対しβの角度で入射させる。測定対象7を透過した光は積分球内で乱反射され、図示していないフォトマルチプライヤーに代表される検出器でそのエネルギーを測定する。測定対象7を設置し、角度βで平行光を入射した場合の検出器の出力をV(β)、測定対象7がない場合の検出器の出力をV0とすると、角度βにおける全光線透過率はV(β)/V0で得られる。
図7、図8に出射面に断面が略楕円形状の凸部2を形成した場合の光線の挙動を示した。凸部2を略楕円形状で構成することで、凸部裾部の傾きの絶対値を0≦|Sin−1(n・sin(θ−Sin−1((1/n)・sinα)))−θ|≦(π/12)を満たすθ以下であるようにとっている。図7では、法線に対して角度αで入射する斜め入射光12は凸部裾部11において屈折作用により光拡散板1から略正面方向に出射させることができる。これは次の理由による。
凸部裾部の傾きをγ、光拡散板1への入射角度をφ1、光拡散板1の屈折率をnとすると図9に示す様に、光拡散板凸部2の一方の裾部から透過する光の光拡散板法線方向に対する角度φ5は下記の通り求めることが出来る。
φ2=Sin−1{(sinφ1)/n}
φ3=γ−φ2
φ4=Sin−1(n×sinφ3)
φ5=φ4−γ
すなわち
φ5=Sin−1(n・sin(γ−Sin−1((1/n)・sinφ1)))―γ
本発明の主旨から光線の出射方向は正面方向であることが好ましい。したがって、φ1=αの場合、−15°≦φ5≦15°であることが望ましい。また−10°≦φ5≦10°であることがより望ましい。さらには−5°≦φ5≦5°となるようにγを選択することが好適である。
凸部頂部10は出射面に対する傾きの絶対値θ2がSin−1(1/n)未満である領域Xを持っている。このように領域Xの傾きθ2は複数の値を取る事ができる。曲線部であることで連続的にθ2が変化することで、分散方向を連続的に変化させることができ、より高い輝度均一性が得られる。また望ましくは凸部頂部の任意の点の傾きは凸部裾部11の出射面に対する傾きの絶対値以下である。これは成形の容易性、光の方向制御の容易性から望ましい。
また図8に示す様に光拡散板1に垂直に入射した光14は一部が方向を分散しつつ出射すると同時に、凸部表面に入射した光の一部は反射光16として入射側に戻ることで、全光線透過率を抑えることが可能となる。これによって輝度均一性が高く、高輝度な照明装置を得ることができる。
図10に凸部2がストライプ状の場合の好適な凸部2の断面形状の例を示す。該ストライプ状の凸部2は光拡散板1の出射面に直交し、凸部頂部10を含む、少なくとも所定の一方向の断面の輪郭線が、延長線が交差する角度θ1が鋭角である2つの略直線状の凸部裾部11と、該2つの凸部裾部11の各一端を結ぶ曲線からなる凸部頂部10で構成される。
直線部によって同じ角度で入射した光を同じ角度に出光することができるので、出光角度分布の制御や輝度ムラの解消が容易で、かつ、所望によって正面付近の輝度を一層高めることができる。
図11は本発明で実施可能な凸部2の別の形状を示す。この場合、凸部2の谷部17に凹状の曲線部を設けている。同様に曲線部は領域Xを含んでおり、この領域Xにより光の出射方向が分散され、輝度均一性が高い照明装置を得ることが出来る。
図12は本発明で実施可能な凸部2の別の形状を示す。この場合、形状の異なる2種類の凸部2を交互に設けている。すなわち図中のθ1aとθ1b、A1aとA2b、P1aとP1bの少なくとも1つを異なるとしてとっている。これによって1種類の凸部形状での出射光制御に対して形状設定の自由度が増すため、出射光の特性をより制御しやすくなる。形状は2種類に限定するものではなく、3種類以上でもよい。
図13は本発明で実施可能な凸部2の別の形状を示す。この場合、凸部2の凸部裾部11にある直線部の出射面に対する傾きの絶対値が2種類となる直線部からなる。これによって図12同様出射光制御に対して形状設定の自由度が増すため、出射光の特性をより制御しやすくなる。傾きは2種類に限定するものではなく、3種類以上でも問題ない。また図12の形状と比較して凸部のパターンが目立ちにくいという特徴があり、図12の形状よりも大きい凸部であっても充分な高品位が得られることから、生産性の観点からも有利である。
図14、図15は入射面側に(π/9)以上の鋭角で交わる直線部を持つ凸部2と略平坦部を設け、出射面側に出射面凹凸3を設けた本発明の光拡散板の断面と、光線の挙動を示した。略平坦部を設けない場合であっても凸部2に入射した光については同様である。すなわち図14に示すように法線方向からの入射光14は一部が全反射して反射光16として入射面側に戻る。また図15に示すように斜め方向から入射した光12は正面方向に偏光されて出射光13として出光する。
凸部2の頂角θ1’は(π/9)以上の鋭角であり、(π/6)から(π/3)の範囲内に設定することが望ましい。該頂角θ1’を前記範囲内にすることにより、前記凸部2を容易に成形できる。また、図15に示したように前記光拡散板1に斜めに入射して前記凸部2で全反射した光線が前記出射面凹凸3から出射する際に、該凹凸3を略垂直方向に出射する光線の割合が増加して輝度が高くなる。尚、前記頂角θ1’は、前記直線部を延長させて、頂部の入射面側で交差してなす角度を指す場合もある。
略平坦部18は入射面に対する傾きの絶対値が、0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦(π/12)を満たす角度θ2’である領域Y20からなる。この場合、領域Y20の長さyと凸部2と略平坦部の長さの和である周期Pの割合y/Pは、0.1〜0.5の範囲に限定することが好ましい。
前記割合y/Pが0.1未満であると、前記入射面プリズム部5の成形時に、該金型のプリズム成形面おいて倒れが生じて成形不良を招き易くなる反面、前記割合y/Pが0.5を越えると、入射面プリズム部5による入射光に対する制御性能が著しく低下するからである。
また領域Yの入射面に対する傾きの絶対値が、0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦(π/12)を満たす角度θ2’である。このことは次の理由による。
図16に示すように、屈折率1の空気中から屈折率nの光拡散板の領域Yに法線方向から光線が入射する場合、領域Yの入射面に対する傾きがθ2’であるとき、入射角は法線に対してθ2’の角度をなす。この光は光拡散板内部でθ2’’の角度に偏向され、次いで出射面にθ2’’’の角度で入光し、再び屈折して、θ2’’’’の角度で出光する。
このとき、
θ2’’=Sin−1((1/n)・sin(θ2’))
θ2’’’=θ2’−θ2”
θ2’’’’=Sin−1(n・sin(θ’’’))
であるから、
θ2’’’’=Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))
したがって、
0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦(π/12)
であるとき、出光角度は出射面の法線方向に対して(−π/12)〜(π/12)である望ましい範囲となる。出射面に凹凸を設けた場合は異なる方向に偏向されるが、凹凸を例えば次に述べるような形状とすることで、(−π/12)〜(π/12)を中心とする望ましい分布とすることができる。
図17に示すように、入射面に凸部2を設けた場合、角度αで入光する斜め入射光12は凸部の谷部17には入射しないので、該谷部17は角度αの斜め入射光12の方向制御とは無関係である。このことから該谷部に領域Yを設けて法線方向からの入射光の全光線透過率を調整することは、角度αの斜め入射光の方向制御に悪影響を与えないので有利である。一方図示していないが、凸部頂部に領域Yを設けることは、角度αから入射する光が領域Yに入射して異なる方向へ出光するため、正面方向への出光が低下する。また本来法線方向からの全光線透過率を制御する目的で設けた領域Yが輝度角度分布にも影響を与えることとなり、設計を困難にする。つまり、領域Yは入射面凸部頂部よりも、入射面凸部間に設けたほうが透過、反射率を容易に制御可能となる。
一方、上記光拡散板1の光出射面に設けた出射面凹凸6は、前記入射面プリズム部5の長手方向と平行に延びる複数の凸条または凹溝を有している。この場合、前記出射面凹凸6の断面形状としては各種形状を適宜採用でき、例えば、プリズム形状(三角形状)、レンチキュラレンズ形状(円弧形状)、略正弦波形状、シリンドリカルレンズ形状またはこれらを組み合わせた形状に形成できる。必要ならば、凹部または凸部を2次元的にランダムに配列したエンボス形状も採用可能である。
凸部2及び出射面凹凸3は、押出成形、射出成形、または紫外線硬化型樹脂を用いた2P(Photoreplication Process)法ハイブリッド成形等のいずれかを選択することができる。その際、前記入射面プリズム部5及び出射面凹凸6の大きさ、必要形状、量産性等を考慮して、上記成形のいずれかを適宜選択すれば良い。
以下に、本発明の第1の実施例について詳しく説明する。
先ず、図7におけるP1=300μmの楕円弧状断面の溝を有する雌金型を切削加工により作製する。該楕円は次式
y=0.139−8.33x2/(1+(1−38.9x2)1/2) (−0.15≦x≦0.15(mm))
で表される形状となっている。
次に、この雌金型を使用して紫外線硬化型樹脂により、ポリカーボネートフィルム表面上に凸形状のプリズムを成形する。さらに、このポリカーボネートフィルムのプリズムを形成していない側の面を、厚さ2mmの透明なアクリル板に貼り合わせることにより、片面に凸部を備える光拡散板を得る。光拡散板の主面のサイズは前記P1方向に55mm、P1と垂直な方向に500mmである。またθ1=(0.27π)である。光拡散板の屈折率はアクリル板部分とポリカーボネート部分と紫外線硬化樹脂部分で異なるが、凸部を形成する材料が特性を決定することから、紫外線硬化樹脂の屈折率1.54を用いると、A1間の領域Xを形成する部分のP1方向成分の長さxは凸部1つあたり174μmであり、領域Xの割合を示す指標である比x/P1=0.58である。
次に、該光拡散板の凸部を設けた面と反対側に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、前記角度α=60°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から26mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=60°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は72%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は52%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.38である。
以下に、本発明の第2の実施例について詳しく説明する。先ず、図10における2つの略直線状の裾部の延長線がなす角θ1=(0.27π)、P1=260μm、A1=182μmの断面を持つ溝を有する雌金型を切削加工により作製する。
次に、この雌金型を使用して紫外線硬化型樹脂により、ポリカーボネートフィルム表面上に凸形状のプリズムを成形する。さらに、このポリカーボネートフィルムのプリズムを形成していない側の面を、厚さ2mmの透明なアクリル板に貼り合わせることにより、片面に凸部を備える光拡散板を得る。光拡散板の主面のサイズは前記P1方向に55mm、P1と垂直な方向に500mmである。光拡散板の屈折率はアクリル板部分とポリカーボネート部分と紫外線硬化樹脂部分で異なるが、凸部を形成する材料が特性を決定することから、紫外線硬化樹脂の屈折率1.54を用いると、A1間の領域Xを形成する部分のP1方向成分の長さxは凸部1つあたり133μmであり、領域Xの割合を示す指標である比x/P1=0.51である。
次に、該光拡散板の凸部を設けた面と反対側に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、前記角度α=60°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から26mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=60°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は77%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は51%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.51である。
実施例3の光拡散板は凸部間の谷部に幅19μmの円弧状の凹状曲面を設けることで、図11に示す形状とすることを除いては、実施例2と同様の形状である。谷部に凹状曲面を設けることで谷部に領域Xが凸部1つあたりx=14μmであり、凸部頂部の領域Xと合せて、x=147μm、P1=279μmとなり、x/P1は0.53となる。
次に、該光拡散板の凸部を設けた面と反対側に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、前記角度α=60°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から26mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=60°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は73%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は52%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.40である。
実施例4は凸部の直線部の傾きの絶対値を2種類にすることで、図13に示す形状とした。頂部は傾き(0.005π)以下の略平坦部であり、A=52μm、P1a=130μm、P1b=260μm、またθa=(0.26π)、θb=(0.44π)で、領域Xが凸部1つあたりx=52μmであり、x/P1bは0.20となる。その他の製造方法は実施例1〜3と同様であり、主面のサイズも前記P1方向に55mm、P1と垂直な方向に500mmと同じである。
次に、該光拡散板の凸部を設けた面と反対側に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、線状光源として複数の冷陰極管を33mm間隔で配置し、冷陰極管から15mmの位置に前記アクリル板の凸部をもつ側の面が出射面になるよう設置した。この場合、前記角度α=60°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から26mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=60°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は70%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は22%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は3.26である。
実施例5は凸部の直線部の傾きの絶対値を2種類にすることで、図13に示す形状とした。頂部は傾き(0.005π)以下の略平坦部であり、A=42μm、P1a=94μm、P1b=260μm、またθa=(0.26π)、θb=(0.44π)で、領域Xが凸部1つあたりx=42μmであり、x/P1bは0.16となる。その他の製造方法は実施例1〜3と同様であり、主面のサイズも前記P1方向に55mm、P1と垂直な方向に500mmと同じである。
次に、該光拡散板の凸部を設けた面と反対側に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、線状光源として複数の冷陰極管を33mm間隔で配置し、冷陰極管から15mmの位置に前記アクリル板の凸部をもつ側の面が出射面になるよう設置した。この場合、前記角度α=60°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から26mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=60°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は74%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は16%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は4.63である。
次に、本発明の第6の実施例について詳しく説明する。まず、頂角(0.22π)を有するプリズム部からなるプリズム面を有する金型、及び頂角(0.78π)を有するプリズム形状に形成された凹凸面を有する金型をそれぞれ成形するために、各形状に応ずる複数の溝部を有する金型を切削加工により作製した。
次に、該金型内にポリカーボネートフィルムをセットして紫外線硬化型樹脂を注入することにより、該ポリカーボネートフィルムの片面上に前記溝形状に応ずる形状をそれぞれ成形した。さらに、このポリカーボネートフィルムの形状が形成されていない裏面を、厚さ2mmの透明なアクリル板の両面にそれぞれ貼り合わせて、高さ69μm、幅50μmのストライプ状プリズムからなる入射面と、高さ5.5μm、幅30μmの前記プリズムと平行なストライプ状凹凸からなる出射面を持つ光拡散板を得た。
光拡散板の主面のサイズは前記断面方向に30mm、断面と垂直な方向に500mmである。
次に、該光拡散板の頂角(0.22π)の凸部を設けた面に上記アクリル板からなる主面と15mmの間隔を開けて線上光源を光拡散板と平行で長手方向がP1方向と垂直になるように配置し、さらに線上光源の光拡散板と反対側に反射板を配置する。このとき線上光源は光拡散板のほぼ中央にくるように配置する。この場合、前記角度α=45°とすると、角度αで入射する点は光拡散板の中心から15mmの位置である。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=45°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は89%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は57%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.56である。
次に、本発明の第7の実施例について詳しく説明する。実施例1と同じ表面形状を持つ長さ500mm幅500mmの光拡散板を実施例1と同様の方法で作成した。
この光拡散板に光を照射する線状光源として、15本の冷陰極管を使用した。この場合、複数の冷陰極管は33mm間隔で平行に配置し、冷陰極管が並ぶ仮想面から16.5mmの位置に前記光制御部材4を設置した。このとき光拡散板の凸部を持つ主面が、光源に対向する面の裏側にあたる出射面側となるように配置する。この場合、前記角度α=45°となる。また、冷陰極管のアクリル板と対向する側に反射シートを設けた。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板1を光照射して観察した。その結果、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができた。ここで用いた光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=45°で光を照射した場合の該光の全光線透過率R1は67%、該法線方向に光を照射した場合の該光の全光線透過率R2は52%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.29であった。
次に、本発明の第8の実施例について詳しく説明する。まず、頂角(0.22π)を有するプリズム部および、プリズム部の間を凹状に結ぶ主面となす角度の絶対値が0〜(1/9π)である略平坦部からなる溝を有する金型、及び頂角(0.78π)を有するストライプ状凹凸形状に形成された凹凸面を有する金型をそれぞれ切削加工により作製した。それぞれの溝の形状は一定とした。
次に、これら金型内にポリカーボネートフィルムをセットして紫外線硬化型樹脂を注入することにより、該ポリカーボネートフィルムの片面上に前記溝形状に応ずる形状をそれぞれ成形した。さらに、このポリカーボネートフィルムの形状が形成されていない裏面を、厚さ2mmの透明なアクリル板の両面に貼り合わせて、高さ48μm、幅35μmのストライプ状プリズムを50μm間隔で配置し、このプリズム間に凹状の主面となす角度の絶対値が0〜(1/9π)である略平坦部のある入射面と、高さ5.5μm、幅30μmの前記プリズムと平行なストライプ状凹凸からなる出射面を持つ光拡散板を得た。光拡散板の主面のサイズは前記断面方向に500mm、断面と垂直な方向に500mmである。
光拡散板の屈折率はアクリル板部分とポリカーボネート部分と紫外線硬化樹脂部分で異なるが、凸部を形成する材料が特性を決定することから、紫外線硬化樹脂の屈折率1.54を用いると、前記略平坦部の傾きをθ2’とすると0≦Sin−1(n・sin(θ2’−Sin−1(1/n・sinθ2’)))≦((0.94)/12)πとなり、領域Yにあたる。
この光拡散板に光を照射する線状光源として、15本の冷陰極管を使用した。この場合、複数の冷陰極管は33mm間隔で平行に配置し、冷陰極管が並ぶ仮想面から16.5mmの位置に前記光制御部材4を設置した。このとき該光拡散板の頂角(0.22π)の凸部を設けた面に上記アクリル板からなる主面が向くように配置した。この場合、前記角度α=45°となる。また、冷陰極管のアクリル板と対向する側に反射シートを設けた。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板に光照射して、該光拡散板を観察すると、ランプイメージが解消された照明装置を得ることができる。ここで用いる光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=45°で光を照射する場合の該光の全光線透過率R1は79%、該法線方向に光を照射する場合の該光の全光線透過率R2は66%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は1.20である。
第1の比較例として、頂角が(π/2)のプリズムが出射面に形成されたシートをプリズムが線光源と平行になるように配置した。図18に示すように本シートは斜め方向からの入射光を正面方向に出射させる。しかし図19で表すようにシートに対して垂直に入射した光は全反射により正面方向に出射する光は大幅に低下する。正面方向から観察した結果、光源の真上部分では輝度の低下が大きくなり、面内の輝度ムラが大きくなった。またシートの入射面に入射面の法線方向と角度α=45°をなす角度に光を入射した場合の透過率は90%であり、法線方向に光を照射した場合の透過率は5%であった。つまり透過率の比は18である。このように透過率比が大きくなると光源真上の輝度低下により面内輝度ムラを整えることはできない。
第2の比較例として、光拡散材微粒子を配合した表面に凸部を持たない光拡散板を作成した。この光拡散板に光を照射する線状光源として、複数の冷陰極管を使用した。この場合、複数の冷陰極管は33mm間隔で配置し、冷陰極管から16.5mmの位置に前記光制御部材4を設置した。この場合、前記角度α=45°となるように配置した。また、冷陰極管のアクリル板と対向する側に反射シートを設けた。
この状態で冷陰極管の点灯により光拡散板を光照射して、観察した。その結果、出射面内の輝度が不均一で、ランプの位置が観察面側にはっきりと認識できることを確認した。
ここで用いた光拡散板の入射面に、入射面の法線方向に対して入射角度α=45°で光を照射した場合の該光の全光線透過率R1は46%、該法線方向に光を照射した。この場合の該光の全光線透過率R2は65%であり、これら全光線透過率の比R1/R2は0.71であった。
本発明の一実施の形態に係る光拡散板を備えた照明装置を示す図である。
本発明に係る線状光源の直上領域での入射エネルギ−を示す説明図である。
本発明に係る各線状光源の真上領域での光拡散板への入射光の輝度を説明する輝度分布図である。
本発明に係る各線状光源の斜上領域での光拡散板への入射光の輝度を説明する輝度分布図である。
本発明に係る複数の光源間に位置する光拡散板に入射する光線の入射角度を説明する概略構成図である。
本発明に係る光拡散板の全光線透過率の角度依存性を測定する装置の一例を説明する概略構成図である。
本発明に係る光拡散板に対し斜め方向に光が入射した場合の光線の進行状態を説明する概略構成図である。
本発明に係る光拡散板に対し垂直方向に光が入射した場合の光線の進行状態を説明する概略構成図である。
本発明に用いることのできる光拡散板の出射面における凸部の断面形状を説明する概略構成図である。
本発明に係る光拡散板に対し出射面凸部で屈折し出射する光の光路と角度との関係を説明する概略構成図である。
本発明に用いることのできる光拡散板の断面形状の一例を示す説明図である。
本発明に用いることのできる光拡散板の断面形状の一例を示す説明図である。
本発明に用いることのできる光拡散板の断面形状の一例を示す説明図である。
本発明に係る複数の光源間に位置する光拡散板に入射する光線の入射角度を説明する概略構成図である。
本発明に係る光拡散板の全光線透過率の角度依存性を測定する装置の一例を説明する概略構成図である。
本発明に係る入射面に設けたプリズムに入射した光の光路と角度との関係を説明する概略構成図である。
本発明に係る入射面に設けたプリズムに斜めに入射した光の光路とプリズム谷部との関係を説明する概略構成図である。
本発明に対する比較例に係るプリズムに斜め方向から入射した光の光路を示す図である。
本発明に対する比較例に係るプリズムに垂直方向から入射した光の光路を示す図である。
符号の説明
1:光拡散板
2:凸部
3:出射面凹凸、
4:光源
5:反射板
6:積分球
7:測定対象
8:開口部
9:平行光
10:凸部頂部
11:凸部裾部
12:光拡散板の斜め方向からの入射光
13:出射光
14:光拡散板法線方向からの入射光
15:入射面
16:反射光
17:谷部
18:略平坦部
19:領域X
20:領域Y