JP5050920B2 - 水素貯蔵材料およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、水素放出温度の高温化を抑制できる水素貯蔵材料およびその製造方法に関する。
従来、水素放出温度の高温化を抑制するためにナノ粒子からなる触媒を混合した水素貯蔵材料が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1記載の水素貯蔵材料は、金属水素化物と金属アミド化合物と水素吸放出能を高める触媒とを含む混合物または複合化物から構成され、この触媒としてナノ粒子からなるものを用いている。これにより、水素発生反応温度を低温側へシフトさせ、水素の放出温度を低温化させている。触媒には、チタンのナノ粒子、チタニアのナノ粒子等が挙げられている。
特開2006−7064号公報
しかしながら、水素貯蔵材料は水素の吸蔵および放出を繰り返す条件下で使用され、その際に水素貯蔵材料の結晶化が進行し一次粒子が粗大化する。そして、一次粒子の粗大化により水素貯蔵材料の機能が低下し、水素放出のピーク温度が高くなる。上記の触媒は、このような実際の使用条件下において水素の吸蔵および放出の特性劣化を阻止できているとはいえない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水素放出温度の高温化を抑制し、特性劣化を阻止できる水素貯蔵材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る水素貯蔵材料は、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体にリチウムイオン伝導体が混合され、ナノ複合体としてなることを特徴としている。リチウムイオン伝導体の作用により、水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなり、水素の放出温度の高温化を抑止し、特性劣化を防止できる。なお、上記の水素貯蔵材料の構成は、水素吸蔵状態におけるものを特定しており、水素の放出の程度により、本発明に係る水素貯蔵材料は、窒化マグネシウムおよびリチウムアミドを含みうる。
(2)また、本発明に係る水素貯蔵材料は、前記リチウムイオン伝導体として、リチウムランタンチタネートが混合されてなることを特徴としている。混合されたリチウムランタンチタネートが、水素貯蔵材料の一次粒子の粗大化を防止し、水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。
(3)また、本発明に係る水素貯蔵材料は、前記マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に対して、前記リチウムイオン伝導体が10重量%以上40重量%以下混合されてなることを特徴としている。リチウムイオン伝導体が10重量%以上混合されていることにより、その作用により水素貯蔵材料の一次粒子の粗大化が防止される。一方、混合されているリチウムイオン伝導体が40重量%以下であることにより、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体による水素の吸蔵および放出量が十分に維持される。
(4)また、本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、マグネシウムアミドと水素化リチウムとの複合体にリチウムイオン伝導体を添加する添加工程と、前記リチウムイオン伝導体添加後の複合体を高エネルギーのミリング処理により混合する混合工程と、を含み、ナノ複合体としてなる水素貯蔵材料を製造することを特徴としている。リチウムイオン伝導体を高エネルギーのミリング処理で混合することで十分な混合が達成され、混合されたリチウムイオン伝導体により水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなる。その結果、製造される水素貯蔵材料について水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。
(5)本発明に係る水素貯蔵材料の製造方法は、金属マグネシウムとリチウムアミドとの複合体にリチウムイオン伝導体を添加する添加工程と、前記リチウムイオン伝導体添加後の複合体を高エネルギーのミリング処理により混合する混合工程と、前記混合後の複合体を加圧水素雰囲気下で、加熱する水素化工程と、前記水素化後の複合体を再度高エネルギーのミリング処理により混合する再混合工程と、を含み、ナノ複合体としてなる水素貯蔵材料を製造することを特徴としている。リチウムイオン伝導体を高エネルギーのミリング処理で混合することで水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなる。その結果、製造される水素貯蔵材料について水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。また、金属マグネシウムおよびリチウムアミドは、入手しやすいため、簡易な設備により短い時間で水素貯蔵材料を製造することができる。
本発明によれば、リチウムイオン伝導体の作用により、水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなり、水素貯蔵材料の水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。
[水素貯蔵材料の構成]
本発明に係る水素貯蔵材料は、マグネシウムアミド(Mg(NH)と水素化リチウム(LiH)のナノ複合体にリチウムイオン伝導体が混合されており、ナノ複合体として形成されている。マグネシウムアミドと水素化リチウムのナノ複合体では、マグネシウムアミドと水素化リチウムとがナノメートルサイズで微細に相互分散しつつ、安定な組織が形成されている。水素貯蔵材料は、混合物中の3Mg(NH+8LiH⇔Mg+4LiNH+8Hという反応により水素を吸蔵および放出する。上記の式で、右向きが水素の放出反応、左向きが水素の吸蔵反応である。
また、混合量としては、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に対して、リチウムイオン伝導体が10重量%以上40重量%以下混合されていることが好ましい。リチウムイオン伝導体が10重量%以上混合されていることにより、その作用により水素貯蔵材料の一次粒子の粗大化が防止される。一方、混合されているリチウムイオン伝導体が40重量%以下であることにより、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体による水素の吸蔵および放出量が十分に維持される。
本発明に係る水素貯蔵材料を含め、一般的に水素貯蔵材料の水素放出がピークとなる温度は、製造直後のものよりも水素の放出および吸蔵を経験したものの方が高くなる。これは水素の放出および吸蔵により、水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化することが影響している。一次粒子が粗大化すると、水素の吸蔵および放出の機能が低下し、水素放出のピーク温度が高温側にシフトする。本発明に係る水素貯蔵材料は、混合されたリチウムイオン伝導体の作用により、水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなり、水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。
水素貯蔵材料には、水素を吸蔵した状態のものおよび水素を放出した状態のものの両方が含まれる。すなわち、マグネシウムアミド(Mg(NH)と水素化リチウム(LiH)の複合体にリチウムイオン伝導体が混合された混合物が水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料である。また、窒化マグネシウム(Mg)とリチウムイミド(LiNH)の複合体にリチウムイオン伝導体が混合された混合物が水素を放出した状態の水素貯蔵材料である。吸蔵状態または放出状態の構成を特定すれば、一つの水素貯蔵材料を特定することができる。反応途中においては、水素貯蔵材料にマグネシウムアミド(Mg(NH)、水素化リチウム(LiH)、窒化マグネシウム(Mg)、およびリチウムイミド(LiNH)が含まれる。
水素貯蔵材料には、リチウムイオン伝導体として、リチウムランタンチタネート(Li0.35La0.5TiO)が混合されていることが好ましい。混合されたリチウムランタンチタネートが、水素貯蔵材料の一次粒子の粗大化を防止し、水素放出温度の高温化を抑止することが可能となる。なお、リチウムイオン伝導体には、リチウムニオベート(LiNbO)も含まれる。リチウムランタンチタネート(Li0.35La0.5TiO)およびリチウムニオベート(LiNbO)の添加についての検証結果については後述する。
[水素貯蔵材料の製造方法]
上記のような水素貯蔵材料の製造方法を説明する。まず、リチウムイオン伝導体を準備する。リチウムイオン伝導体は、原料を溶媒中で混合攪拌し、混合されたものを仮焼および本焼することで得られる。次に、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体にリチウムイオン伝導体を所定量添加する。このとき、マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に対して、リチウムイオン伝導体が10重量%以上40重量%以下添加することが好ましい。
次に、リチウムイオン伝導体添加後の複合体を、不活性ガス雰囲気または水素雰囲気で高エネルギーのミリング処理により混合する。不活性ガス雰囲気または水素雰囲気とするのは、酸化等による水素貯蔵材料の特性劣化を防止するためである。高エネルギーのミリング処理は、たとえば回転数500rpm以上で遊星型ボールミルにより8時間以上混合することにより行うことができる。高エネルギーのミリング処理により、混合物のメカノケミカル反応が進行する。このようにしてナノ複合体として構成される本発明の水素貯蔵材料を製造することができる。なお、上記の例では、混合に遊星型ボールミルを用いるが、振動ミル、ローラーミル、内外筒回転型ミル、アトライター、インナーピース型ミル、気流粉砕型ミル等を用いてもよい。また、不活性ガスとしては、たとえばアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等を用いることができる。
このように、リチウムイオン伝導体を高エネルギーのミリング処理で混合することで十分な混合が達成され、混合されたリチウムイオン伝導体により水素の吸蔵および放出を繰り返しても水素貯蔵材料の一次粒子が粗大化し難くなる。その結果、製造される水素貯蔵材料について水素放出温度の高温化および特性劣化を防止できる。
なお、上記の水素貯蔵材料の製造方法では、水素吸蔵状態の水素貯蔵材料を製造しているが、水素放出状態の水素貯蔵材料を製造してもよい。すなわち、所定比で混合された金属マグネシウム(Mg)とリチウムアミド(LiNH)との複合体にリチウムイオン伝導体を添加して混合し、水素化、再混合して水素貯蔵材料を製造してもよい。
この場合の最初の混合工程および再混合工程では、上記と同様に高エネルギーのミリング処理を行う。水素化工程では、水素を放出できる状態に混合物を変化させる。たとえば、処理温度140℃〜250℃で、水素ガスの圧力(分圧)を数十kPa以上にして水素化を行う。水素ガスの圧力は、0.1MPa以上であることが好ましい。処理温度が低すぎたり、水素ガスの圧力が低すぎたりすると反応が十分に進まない。一方、処理温度を所定温度より高くするには、設備負担が大きくなる。なお、熱処理の時間に制限はないが、温度に応じて水素化するためには所定時間以上をかける必要がある。
このようにして、水素放出状態の水素貯蔵材料を経由して水素吸蔵後の水素貯蔵材料を製造することも可能である。マグネシウムやリチウムアミドは、市販されているため、この方法により水素貯蔵材料の製造にかかる時間を短縮し、設備を簡略化することができる。
次に、本発明に係る水素貯蔵材料の作製および使用を行った実験結果を説明する。
[試料の作製]
まず、リチウムランタンチタネートを準備する。リチウムランタンチタネートの準備は、LiCO、LaおよびTiOを1:1:2となるように秤量し、エタノール中で混合攪拌する。その後、5℃/minで室温から800℃まで加熱し、800℃で4時間維持して第1の仮焼を行う。そして、5℃/minで室温から1150℃まで加熱し、12時間維持して第2の仮焼を行い、5℃/minで室温から1250℃まで加熱し、6時間維持して本焼を行う。
次に、モル比3:8のマグネシウムアミドと水素化リチウムの混合物にリチウムランタンチタネートを添加した。マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に対して、それぞれ5wt%、10wt%、20wt%、30wt%、40wt%に相当するリチウムランタンチタネートを添加した混合物を作製した。
そして、各混合物を回転数500prmで8時間、ボールミリングで混合した。このようにして、リチウムイオン伝導体としてリチウムランタンチタネートを添加した水素貯蔵材料を作製した。また、同様に、リチウムイオン伝導体としてリチウムニオベートを添加した水素貯蔵材料を作製した。
[昇温脱離ガス分析]
リチウムイオン伝導体としてリチウムランタンチタネートおよびリチウムニオベートを添加した水素貯蔵材料のそれぞれについて、昇温脱離ガス分析(TPD)を行った。昇温脱離ガス分析は、対象物の昇温速度を制御しつつ、ガスの放出量を測定する分析方法である。試料には、リチウムランタンチタネートおよびリチウムニオベートの添加量がそれぞれ30wt%の試料を用いた。ボールミリングによる混合後の試料を5℃/分で昇温し、350℃を16時間維持して加熱し試料の温度に対する水素の放出量を測定した。なお、測定された放出量は、所定温度間隔ごとに測定される水素貯蔵材料の単位質量あたりの水素の放出量(μmol/g)である。
次に、上記の通り混合後に加熱排気した試料に、10MPaで水素を吸蔵させた。このとき、試料の温度を5℃/分で昇温し、200℃に12時間維持した。このようにして水素を吸蔵させた水素貯蔵材料を加熱し、試料の温度に対する水素の放出量を測定した。水素の放出がピークとなる温度は、混合後の試料よりも混合後に一度加熱排気し水素を吸蔵させたものの方が高くなるが、それぞれの試料についてこれらのピーク温度差を測定した。
図1(a)〜(c)は、水素貯蔵材料の昇温脱離ガス分析の結果を示すグラフである。図1(a)は、リチウムイオン伝導体が混合されていない水素貯蔵材料について、混合後の試料a1および水素の再吸蔵後の試料a2の昇温脱離ガス分析結果を示すグラフである。図1(b)は、リチウムランタンチタネートが30wt%混合された水素貯蔵材料について、混合後の試料b1および水素の再吸蔵後の試料b2の昇温脱離ガス分析結果を示すグラフである。図1(c)は、リチウムニオベートが30wt%混合された水素貯蔵材料について、混合後の試料c1および水素の再吸蔵後の試料c2の昇温脱離ガス分析結果を示すグラフである。図2は、水素貯蔵材料の昇温脱離ガス分析の結果を示す表である。図2は、混合後の各試料a1、b1、c1の水素放出のピーク温度、再吸蔵後の各試料a2、b2、c2の水素放出のピーク温度、およびそれぞれのピーク温度差を示している。
図1、図2に示すように、リチウムイオン伝導体を添加していない試料の水素放出のピーク温度より、リチウムランタンチタネートまたはリチウムニオベートを添加した試料のピーク温度の方が小さいことが分かる。したがって、リチウムイオン伝導体の添加により、水素貯蔵材料の結晶化が抑制され、水素放出の温度を低温化することが分かった。また、リチウムイオン伝導体を添加した試料では、混合後試料の水素放出のピーク温度と再吸蔵後試料の水素放出のピーク温度との差が小さいことが分かった。したがって、リチウムイオン伝導体を添加した水素貯蔵材料の方が、繰り返しの使用による水素吸蔵および放出の機能が損なわれ難いことが分かった。特にリチウムランタンチタネートを添加した試料では、ピーク温度差が18℃であり、最も小さく、添加なしの場合の約半分である。
[粉末X線回折]
混合後に一度加熱排気し水素を吸蔵させた水素貯蔵材料の試料に対して、粉末X線回折を行いマグネシウムアミドと水素化リチウムの結晶化、すなわち一次粒子の粗大化の程度を検証した。図3は、水素貯蔵材料のX線回折ピークを示す図である。グラフの横軸は、回折角2θ、縦軸はX線強度を示している。試料には、添加なしのものとリチウムランタンチタネートを添加したものを使用した。
プロファイルA、Bは、それぞれマグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に何も添加していない試料を250rpm、500rpmで混合したもののX線回折プロファイルである。プロファイルC、Dは、それぞれマグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体にリチウムランタンチタネートを28wt%添加した試料を250rpm、500rpmで混合したもののX線回折プロファイルである。
図3に示すように、2θ=45°付近でプロファイルA、Bに表れているピークが、プロファイルC、Dには、表れていないことが分かる。これは結晶構造に基づくピークであると考えられ、リチウムランタンチタネートの添加により結晶化が抑制されていることが分かる。これは、試料中に高分散したリチウムランタンチタネートが水素吸蔵時における水素放出物質の結晶成長を抑制できることを示唆している。
[添加量依存性の実験]
次に、リチウムランタンチタネートの添加量の異なる試料について、混合後に一度加熱排気し水素を吸蔵させ、上記と同様に昇温脱離ガス分析を行い、水素放出のピーク温度を測定した。図4は、それぞれ各添加量の水素貯蔵材料について温度に対する水素放出量を示すグラフ、図5は、水素放出のピーク温度を示す表である。図中のp、q、r、s、tおよびuの記号は、リチウムランタンチタネートの添加量が、それぞれ0、5、10、20、30および40wt%の試料を示している。
図4、図5に示すように、リチウムランタンチタネートの添加量が増加するにつれて、水素放出のピーク温度が低温側にシフトしていることが分かる。添加量が5wt%のときは、無添加の場合と大きく異ならないが、添加量が10wt%以上では、水素放出温度のピークが低温側にシフトしているのが明かである。一方で、添加量が増加するにつれて、水素放出量が減少しており、無添加試料の水素放出量の積分値が、最初の水素貯蔵材料の5.7wt%であるのに対し、リチウムランタンチタネートを40wt%添加した試料の水素放出量の積分値は、3.1wt%であった。これより添加量を増加させた場合には、水素の吸蔵および放出の量が無添加のものの半分以下に減少するため、リチウムランタンチタネートの添加量は40wt%以下であることが好ましいと分かった。なお、上記の水素放出量の積分値は、実測値に(マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体の重量)/(水素貯蔵材料全体の重量)を掛けた補正値である。
(a)〜(c)水素貯蔵材料の昇温脱離ガス分析の結果を示すグラフである。 水素貯蔵材料の昇温脱離ガス分析の結果を示す表である。 水素貯蔵材料のX線回折ピークを示す図である。 各添加量の水素貯蔵材料について温度に対する水素放出量を示すグラフである。 各添加量の水素貯蔵材料について水素放出のピーク温度を示す表である。

Claims (5)

  1. マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体にリチウムランタンチタネートまたはリチウムニオベートを含むリチウムイオン伝導体が混合され、ナノメートルサイズで微細に相互分散して形成されたナノ複合体としてなることを特徴とする水素貯蔵材料。
  2. 前記リチウムイオン伝導体として、リチウムランタンチタネートが混合されてなることを特徴とする請求項1記載の水素貯蔵材料。
  3. 前記マグネシウムアミドと水素化リチウムの複合体に対して、前記リチウムイオン伝導体が10重量%以上40重量%以下混合されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水素貯蔵材料。
  4. マグネシウムアミドと水素化リチウムとの複合体にリチウムランタンチタネートまたはリチウムニオベートを含むリチウムイオン伝導体を添加する添加工程と、
    前記リチウムイオン伝導体添加後の複合体を高エネルギーのミリング処理により混合する混合工程と、を含み、
    ナノメートルサイズで微細に相互分散して形成されたナノ複合体としてなる水素貯蔵材料を製造することを特徴とする水素貯蔵材料の製造方法。
  5. 金属マグネシウムとリチウムアミドとの複合体にリチウムランタンチタネートまたはリチウムニオベートを含むリチウムイオン伝導体を添加する添加工程と、
    前記リチウムイオン伝導体添加後の複合体を高エネルギーのミリング処理により混合する混合工程と、
    前記混合後の複合体を加圧水素雰囲気下で、加熱する水素化工程と、
    前記水素化後の複合体を再度高エネルギーのミリング処理により混合する再混合工程と、を含み、
    ナノメートルサイズで微細に相互分散して形成されたナノ複合体としてなる水素貯蔵材料を製造することを特徴とする水素貯蔵材料の製造方法。
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