JP5050822B2 - リアプロジェクタおよびプロジェクションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、リアプロジェクタおよびプロジェクションシステムに関し、特にこれらリアプロジェクタやプロジェクションシステムのシンチレーション抑制技術に関するものである。
近年、プロジェクタが急速な普及を見せている。主にプレゼンテーション用途で利用されているフロント型プロジェクタの他、近年はリア型プロジェクタが大画面ディスプレイの一形態として認知度を高めつつある。プロジェクション方式の画像表示装置の最大の利点は、液晶テレビジョン、プラズマディスプレイ等の直視型ディスプレイと比べて低価格で同画面サイズの商品を提供できるところにある。しかしながら、最近は直視型においても低価格化が進んでおり、プロジェクション方式の画像表示装置にはより高い画質性能が求められている。プロジェクタは、光源から射出された光を液晶ライトバルブ等の光変調素子に照射し、光変調素子により変調された投射光をスクリーン上に拡大投射することで画像を表示する。このとき、スクリーンに画像が表示されるだけでなく、鑑賞者はスクリーン全面にぎらつきを見ることになる。これは、光線の干渉に伴う輝度ムラによるものでスペックルノイズ、あるいはシンチレーションと呼ばれている。
ここで、シンチレーションの発生原理について簡単に説明する。
図13(A)、(B)に示したように、光源70から照射された光が液晶ライトバルブ(図示略)を透過してスクリーン74に投射される。スクリーン74に投射された投射光は、スクリーン74に含まれる多数の散乱材72により回折し、それら散乱材72が二次波源のように振舞うことによって拡散される。図13(B)に示すように、二次波源による2つの球面波が互いの位相関係に応じて光の強め合いや弱め合いを起こすことにより、スクリーン74と鑑賞者との間に明暗の縞模様(干渉縞)が現れる。この干渉縞が発生する像面Sに鑑賞者の目の焦点が合ったとき、鑑賞者は干渉縞を投射画像をぎらつかせるシンチレーションとして認識する。シンチレーションは、スクリーン上の画像を見ようとする鑑賞者にとって、スクリーン面と鑑賞者との間にあたかもベールやレース布、くもの巣などを張ったかのような不快感を与える。また、鑑賞者はスクリーン上の画像とシンチレーションとの2重の像を見ることになり、それぞれに視点を合わせようとするため、大きな疲労を招く。このように、シンチレーションは鑑賞者にストレスを与えてしまう。
ところで、最近のプロジェクタでは、従来の高圧水銀ランプに替わる新しい光源の開発が進められており、特にレーザ光源はエネルギー効率、色再現性、長寿命、瞬時点灯等の点で次世代プロジェクタ用光源として期待が高まっている。しかしながら、レーザ光源によるスクリーン上の投射光は、隣接する領域の光線の位相が揃っていることから干渉性が非常に高いものとなっている。レーザ光のコヒーレント長は数十メートルに及ぶこともあるため、同一の光源を分割して再合成すると、コヒーレント長より短い光路差を経て合成された光が強い干渉を引き起こすことになる。そのため、高圧水銀ランプよりも鮮明なシンチレーション(干渉縞)が出現する。よって、特にレーザ光源を用いたプロジェクタの製品化において、シンチレーションの低減は必須の技術となっている。
このようなシンチレーションの低減対策として、以下の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術はスクリーンの拡散性を最適化したものであり、拡散層、透明層(レンチキュラーレンズ)、拡散層の3層構造からなるスクリーンが記載されている。このように、散乱層の構成が複雑化することによって干渉斑のランダム性は大きくなる。そのため、干渉斑の中の細かい成分(空間周波数が小さい干渉縞)が多くなると、何らかの視線移動が起きた時に人間の眼の残像特性により干渉縞が積分平均化され、干渉縞が消えるという効果が生じる。特に、動画鑑賞の場合は頻繁に視線移動が行われるため、シンチレーションの低減効果が期待できる。
特許文献2には、光、電場、磁場、熱、応力等を光散乱層に付与し、光拡散層に含有されている光散乱体の形状、相対的位置関係や屈折率を時間的に変化させるスクリーンが開示されている。このように、光拡散層による散乱波の散乱分布や位相を時間的に変化させることによってシンチレーションの発生防止が期待できる。
特開平11−038512号公報 特開2001−100316号公報
しかしながら、特許文献1では、最終散乱面の散乱状態が固定されているため、散乱面上の各点から発した光線間の干渉がなすスクリーンと鑑賞者の間の空間の光線の位相分布も固定されている。そのため、干渉斑が固定した像として視認されてしまう。よって、頻繁な視線移動がない限り、完全に干渉斑が消えるということにはならず、特に、干渉性の高いレーザ光源を具備するプロジェクタではほとんど効果を得ることができない。すなわち、スクリーンの散乱度をいくら高くしても、視点を固定して観察すると干渉縞が視認されてしまう。また、このような高散乱化による対策では、画像ボケを併発する虞があることから、高画質化を図るという本来の目的を達成することができない。
また、特許文献2では、例えば、透明抵抗膜などを用いた電極板で光拡散層を挟み、光拡散層の温度を変化させることによって光散乱体をブラウン運動させる方法が例示されている。その他、電場、磁場等によって光散乱体の形状や屈折率を変化させる方法がいくつか例示されている。ところが、このような方法では、光散乱体の形状や相対的位置関係、屈折率などを変化させるに至るまでに多大なエネルギーや時間を要し、効率的でない。また、上記のような駆動手段を用いた場合、散乱層へのエネルギー伝達効率も低く、振動、音、不要電磁波、排熱等が発生して快適な鑑賞環境を阻害する虞がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、投射光によるシンチレーションを確実かつ効率良く防止して表示ムラやぎらつきを抑制することにより、高画質化を図ることのできるリアプロジェクタおよびプロジェクションシステムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のリアプロジェクタは、スクリーンと、表示光を射出する表示用光源と、前記表示用光源から射出された表示光を変調する第1光変調素子と、励起光を射出する励起用光源と、前記励起用光源から射出された励起光を変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子で変調された表示光と前記第2光変調素子で変調された励起光とを前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備え、前記スクリーンが、少なくとも一面が光透過性を有し、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の前記空間内に充填され、分散媒中に光散乱材が分散されてなる散乱体と、を含む散乱板を有し、前記第2光変調素子で変調された後の励起光が前記スクリーンの前記散乱体に照射されることを特徴とする。
本発明のリアプロジェクタにおいて、スクリーンを構成する散乱板では分散媒中に光散乱材が分散されてなる散乱体が筐体の内部に充填されていることから、光散乱材が筐体の内部を自由に動き回れる構成となっている。よって、光散乱材の動きに伴って、筐体内での光散乱材の位置が刻々と変化する。すると、スクリーン上の所定の領域に照射された光の散乱状態が時間を追って様々に変化する。その変化に伴い、視認される干渉縞が移動したり、干渉縞のパターンが複雑に変化する。その結果、人間の眼の残像時間内で干渉縞のパターンが積分平均化され、干渉縞(シンチレーション)が視認されなくなる。これにより、スクリーンと視聴者との間に生じていた干渉縞が除去されてぎらつき感がなくなり、投射光による画像が良好に視認でき、視聴者の疲労を軽減することができる。
ここで、本発明者は、スクリーンに熱を付与して散乱体の温度を上げると分散媒の構成分子の熱運動が激しくなる結果、光散乱材のブラウン運動が活発になることに着目した。そのため、表示光とは別に、散乱体に熱を付与して光散乱材のブラウン運動を励起するための励起光を、散乱板筐体の光透過面を通して散乱体に照射すればよいことに思い至った。ところが、ただ単に励起光をスクリーンに照射する(例えば励起光をスクリーン全面に均一に照射する)だけでは、スクリーン全体の温度は上がってブラウン運動は活発になったとしても、スクリーン全体にわたる光散乱材の移動の仕方が制御できない。そこで、本発明者は、光変調素子を用いて励起光を変調すれば、スクリーン面内で散乱体の温度分布が生じ、ブラウン運動の緩急の分布が生じる結果、例えば光散乱材の移動方向等がある程度制御できると考えた。また、励起光は光散乱材のブラウン運動を励起できる程度のエネルギーで良く、従来の特許文献2のような大きなエネルギーを必要としない。
すなわち、本発明のリアプロジェクタは、表示用光源から射出された表示光を変調する第1光変調素子と、励起用光源から射出された励起光を変調する第2光変調素子を備え、投射手段によって変調後の励起光が散乱体に照射される構成のため、変調パターンによりスクリーン面内での励起光の照射/非照射や強弱を制御でき、散乱体の温度分布を生じさせることができる。その結果、ブラウン運動の緩急の分布が生じるため、光散乱材の移動方向を制御することができる。この作用を利用して、光散乱材の動きに静止点が生じないように、例えば光散乱材をスクリーン面内で円運動させるなどの制御を行うことができる。光散乱材の動きに静止点が生じると、その瞬間にシンチレーションが発生してしまうため、静止点が生じないように光散乱材を移動させることによってシンチレーションを確実に抑制することができる。
また、本発明の構成において、前記励起光が可視域以外の波長を有することが望ましい。
励起光には可視域の光を用いても良いが、可視域以外の波長を有する光を用いた場合、鑑賞者には励起光が見えないため、投射画像に支障を来すことなく、光散乱材のブラウン運動を十分に励起してシンチレーションを抑制することができる。
また、本発明の構成において、前記励起用光源が赤外レーザであり、前記励起光が赤外光であることが望ましい。
励起用光源に赤外レーザを用い、励起光として赤外光を用いれば、散乱体に十分な熱が付与され、光散乱材のブラウン運動を十分に励起することができる。また、光変調素子に液晶ライトバルブを用いた場合、紫外線を照射すると液晶ライトバルブの劣化が加速する虞があるが、赤外光であれば液晶ライトバルブの劣化がそれ程加速することはない。
また、本発明の構成において、前記第1光変調素子が、異なる波長域の複数の表示光をそれぞれ変調する複数の光変調素子を有することが望ましい。
この構成において、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の表示光をそれぞれ変調する3つの光変調素子を備える構成とすることによって、フルカラーの画像表示が可能なリアプロジェクタを実現することができる。
また、本発明の構成において、励起光が可視域以外の波長を有する場合、前記表示光に加えて前記励起光が前記複数の第1光変調素子のうちの一つの光変調素子に入射される構成とされ、前記光変調素子が前記第2光変調素子を兼ねる構成とすることもできる。
表示光変調用の第1光変調素子と励起光変調用の第2光変調素子を別個に備える構成でも良いが、励起光が複数の第1光変調素子のうちの一つに入射され、表示光変調用の一つの第1光変調素子が励起光変調用の第2光変調素子を兼ねる構成とすれば、光変調素子の個数を増大させることがなく、製造コストの増大を抑えることができる。
また、本発明の構成において、複数の第1光変調素子のうちの一つが第2光変調素子を兼ねる場合、前記光変調素子において前記表示光の変調が行われない期間に前記励起光の変調を行うことが望ましい。
一つの第1光変調素子が第2光変調素子を兼ねる場合、光変調素子の個数が増えないという利点はあるものの、その光変調素子で変調が行われない期間は励起光が全くスクリーンに照射されないというケースが生じ得る。例えば赤色表示用の第1光変調素子が第2光変調素子を兼ねていたとして、緑色表示用の第1光変調素子と青色表示用の第1光変調素子の2つだけで画像を形成する期間が長時間続いたとすると、その期間は励起光が全くスクリーンに照射されなくなってしまう。したがって、そのような期間には、表示用の変調とは独立して励起光の変調を別個に行うようにすれば、光散乱材のブラウン運動を励起することができ、シンチレーションを抑制することができる。
一つの第1光変調素子が第2光変調素子を兼ねる場合の一つの形態として、前記光変調素子の入射側に、前記表示光の光路と前記励起光の光路とを合成する光路合成手段を設ける構成を採用することができる。
この構成によれば、一つの第1光変調素子の入射側に光路合成手段を配置するだけでよく、他の光学部品の構成は従来と同様のままで実現することができる。
一つの第1光変調素子が第2光変調素子を兼ねる場合の他の形態として、前記励起光の一部を波長変換することにより前記複数の表示光のうちの一つの波長域の表示光を生成する波長変換素子を備え、前記波長変換素子によって生成された前記表示光と波長変換されなかった前記励起光とを前記光変調素子に入射させる構成を採用することができる。
この構成は、もともと所定の波長域の可視光光源が入手しにくく、非可視光光源からの非可視光を波長変換素子により波長変換して可視光を生成する構成のプロジェクタに採用すると好適である。その場合には、非可視光である励起光の一部を波長変換素子に入射させる構成とし、波長変換素子によって生成された表示光と波長変換されなかった励起光とを光変調素子に入射させる構成とすれば、第1光変調素子が第2光変調素子を兼ねる構成を容易に実現できる。
本発明のプロジェクションシステムは、スクリーンと投射エンジンとを備え、前記投射エンジンが、表示光を射出する表示用光源と、前記表示用光源から射出された表示光を変調する第1光変調素子と、励起光を射出する励起用光源と、前記励起用光源から射出された励起光を変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子で変調された表示光と前記第2光変調素子で変調された励起光とを前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備え、前記スクリーンが、少なくとも一面が光透過性を有し、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の前記空間内に充填され、分散媒中に光散乱材が分散されてなる散乱体と、を含む散乱板を有し、前記第2光変調素子で変調された後の励起光が前記スクリーンの前記散乱体に照射されることを特徴とする。
この構成によれば、本発明のリアプロジェクタと同様、投射光によるシンチレーションを確実かつ効率良く防止してぎらつきを抑制することによって、高画質で鑑賞者にストレスを与えることのないプロジェクションシステムを実現することができる。
本発明のプロジェクションシステムにおいても、本発明のリアプロジェクタと同様、(1)前記励起光が可視域以外の波長を有する構成、(2)前記第1光変調素子が、異なる波長域の複数の表示光をそれぞれ変調する複数の光変調素子を有する構成、(3)前記表示光に加えて前記励起光が前記複数の第1光変調素子のうちの一つの光変調素子に入射される構成とされ、前記光変調素子が前記第2光変調素子を兼ねる構成、(4)前記光変調素子において前記表示光の変調が行われない期間に前記励起光の変調を行う構成、(5)前記光変調素子の入射側に、前記表示光の光路と前記励起光の光路とを合成する光路合成手段が設けられた構成、(6)前記励起光の一部を波長変換することにより前記複数の表示光のうちの一つの波長域の表示光を生成する波長変換素子を備え、前記波長変換素子によって生成された前記表示光と波長変換されなかった前記励起光とが、前記光変調素子に入射される構成、を採用できる。
その作用、効果は、本発明のリアプロジェクタに採用した場合と同様である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9を参照して説明する。
図1は本実施形態に係るリアプロジェクタの概略構成を示す斜視図である。図2は同リアプロジェクタの側断面図である。図3(A)、(B)は同リアプロジェクタのスクリーンを示す図であって、図3(A)は斜視図、図3(B)は断面図である。図4は同スクリーンを構成する散乱板の断面図である。図5は同散乱板内の光散乱材の動きを示す図である。図6は同リアプロジェクタの投射エンジンの概略構成図である。図7〜図9は同投射エンジン内の光学部品(ダイクロイックミラー、ダイクロイックプリズム)の透過特性を示す図である。
以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
本実施形態に係るリアプロジェクタは、光源から射出された光を光変調素子により変調し、この変調した光をスクリーンに拡大投射するリア投射型プロジェクタである。したがって、スクリーンには透過型スクリーンが用いられる。リアプロジェクタ1は、図1に示すように、筐体2と、スクリーン3とを備えている。スクリーン3は、筐体2の前面側に設置されており、スクリーン3の後面側から画像光が投射され、スクリーン3の前面側に位置した鑑賞者が画像を鑑賞する。筐体2の前面のスクリーン3の下方にはフロントパネル4が設けられ、フロントパネル4の左右両側にはスピーカ(図示略)からの音声を出力する開口部5が設けられている。
次に、筐体2の内部の構造について説明する。
図2に示すように、筐体2内部の下方には、投射エンジン7が設置されている。投射エンジン7とスクリーン3との間の光路上には、反射ミラー8、反射ミラー9が設置されている。この構成により、投射エンジン7から出射された光がこれら2枚の反射ミラー8,9によって反射され、スクリーン3上の投射領域Tに対して拡大投射される。
次に、スクリーン3の構成について説明する。
本実施形態のスクリーン3は、図3(A)、(B)に示すように、フレネルレンズ板11と、散乱板12と、レンチキュラレンズ板13とが、光入射側からこの順に積層された3層構造で構成されている。これらの部材11,12,13は、フレネルレンズ板11側が筐体2の内部側に位置し、レンチキュラレンズ板13側が筐体2の外部側(鑑賞者側)に位置するように、投射光Lの光路上に配置されている。フレネルレンズ板11、レンチキュラレンズ板13には、従来一般のものを用いることができる。なお、上記の3層構造に限ることなく、例えばフレネルレンズ板11、レンチキュラレンズ板13のいずれか一方と散乱板12とが一体となった2層構造を採用してもかまわない。ただし、ここでは散乱板12を最も容易に製造できる3層構造の例で説明する。また、上記の部材に加えて、ブラックマスクや表面保護板等を付加してもよい。
散乱板12は、投射エンジン7から入射された投射光を結像させて像を形成する機能を有し、いわばスクリーン3の主たる散乱層となるものである。散乱板12は、図4に示すように、第1の基板14と第2の基板15が所定の間隔をおいて対向配置され、これら第1の基板14、第2の基板15がその縁部で封止材16を介して貼り合わされている。これら2枚の基板14,15によって内部に空間を有する散乱板12の筐体17が構成されている。そして、筐体17の内部空間に液状の散乱体19が充填されている。本実施形態のような透過型スクリーンの場合には、第1の基板14、第2の基板15ともに光透過性を有する基板を用いる必要がある。一方、反射型スクリーンの場合には、光入射側(視認側)の基板は光透過性を有する必要があるが、他方の基板は光透過性を有する必要はない。
散乱体19は、例えば、水等の分散媒20中に球状の光散乱粒子21(光散乱材)を均一に分散してなるコロイド状流体であり、光散乱粒子21が分散媒20中を移動できるようになっている。光散乱粒子21としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、ガラス等の無機材料、アクリル樹脂系等の樹脂材料、またはシリコーン樹脂系等の非晶質有機系材料などの光透過性を有する球状体が好適に用いられるが、比重がある程度小さい点を考慮すると樹脂球が好適である。光散乱粒子21の比重や表面電荷状態、分散媒20の粘度等の条件を適切に設定することによって光散乱粒子21が分散媒20中で沈むことなく分散し続けることができる。あるいは、分散媒20として、水の他、非電気伝導性の有機系溶媒を用いることができ、分散媒20に光散乱粒子21の帯電を補助するような界面活性剤を添加することが望ましい。一方、光散乱粒子21には帯電しやすいような表面処理を施しておくことが望ましい。光散乱粒子21の粒径は、光の散乱効果と自身の分散効果の双方が両立するように設定されることが望ましく、例えば数μm〜数十μm程度とすることができる。本発明の目的である光散乱粒子21のブラウン運動を活発化させるという観点で言えば、光散乱粒子21が比重、粒径ともに小さく、分散媒20の粘度が小さい方が好ましい。
次に、投射エンジン7の概略構成について図6を用いて説明する。
ただし、図3においては、図面の簡略化を図って光路を見やすくするため、リアプロジェクタ1の筐体2や反射ミラー8,9の図示は省略し、投射エンジンの投射レンズから射出された光がそのまま直進してスクリーンを照射するように図示している。
投射エンジン7は、レーザ光源27R,27G,27B(表示用光源)と照明光学系26と液晶ライトバルブ28R,28G,28B(第1光変調素子)とを含む赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎、計3組の照明・変調光学系23R,23G,23Bと、各照明・変調光学系から射出された光を合成するクロスダイクロイックプリズム24と、変調後(合成後)の光をスクリーン3上に拡大投射する投射レンズ25(投射手段)とを備えている。
各照明・変調光学系23R,23G,23Bの中の照明光学系26は、例えばレーザ光源27R,27G,27Bから射出される光の照度分布を均一化する照度均一化機能、レーザ光源27R,27G,27Bから射出される光ビームを液晶ライトバルブ28R,28G,28Bに合致する大きさや形状に拡大、整形するビーム拡大・整形機能等を有する光学部品を含んでいる。具体的には、ロッドインテグレータ、フライアイインテグレータ、計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram,以下、CGHと略記する)等を含んでいる。特に、CGHは照度均一化機能とビーム拡大・整形機能とを兼ね備えており、機能性に優れている。ただし、CGHは特性に波長依存性があるため、異なる波長域の光が導入される光学系には使いにくい。本実施形態で言えば、可視光と赤外光が同時に導入される光学系にはロッドインテグレータ、フライアイインテグレータの方が適している。
本実施形態においては、光変調素子として、赤色光用液晶ライトバルブ28R(第1光変調素子、第2光変調素子を兼ねる)、緑色光用液晶ライトバルブ28G(第1光変調素子)、青色光用液晶ライトバルブ28B(第1光変調素子)の3枚の液晶ライトバルブが用いられている。すなわち、本実施形態のリアプロジェクタ1は、いわゆる3板方式の液晶プロジェクタである。そして、赤色レーザ光源27Rからの赤色光が照明光学系26を経て赤色光用液晶ライトバルブ28Rに導入される。同様に、緑色レーザ光源27Gからの緑色光が照明光学系26を経て緑色光用液晶ライトバルブ28Gに導入され、青色レーザ光源27Bからの青色光が照明光学系26を経て青色光用液晶ライトバルブ28Bに導入される。本実施形態では、表示に偏光を利用する液晶ライトバルブを用いているため、レーザ光源を用いない場合には、光源から射出される光の偏光状態を各液晶ライトバルブ28R,28G,28Bで用いる偏光に揃える偏光変換光学系を照明光学系26に備えてもよい。
各色の照明・変調光学系23R,23G,23Bのうち、赤色光用の照明・変調光学系23Rには、赤外光(励起光)を射出する赤外レーザ光源29(励起用光源)が付設されている。赤色レーザ光源27Rから射出される赤色光の光路(1点鎖線Lで示す)と赤外レーザ光源29から射出される赤外光の光路(破線LIRで示す、ただし、各光路を見やすくするため、図面上はずらして描いた)とが直交するようにこれら2つの光源27R,29が配置されており、2つの光路が交差する位置にダイクロイックミラー30(光路合成手段)が設置されている。ダイクロイックミラー30は、赤色光の光路Lおよび赤外光の光路LIRの双方に対して反射(透過)面が45°をなすように配置されており、図7にその透過特性を示すように、青色光と緑色光と赤色光とを透過し、赤外光を反射する特性を有している。ただし、このダイクロイックミラー30に青色光と緑色光が入射することはないので、青色光と緑色光を反射する特性であってもよい。以上の構成により、赤外光の光路LIRが赤色光の光路Lに合成され、赤色光に加えて、赤外光も赤色光用液晶ライトバルブ28Rに導入されるようになっている。そして、赤色光と赤外光の双方が赤色光用液晶ライトバルブ28Rで変調される。なお、各色光および赤外光の波長域の一例を示すと、青色光:380〜495nm、緑色光:495〜585nm、赤色光:585〜720nm、赤外光:720nm以上(人間の視認波長域は一般的には380〜780nmと言われているが、実際には720nm以上になるとほとんど視感度を持たない)である。
一方、緑色光用の照明・変調光学系23Gには、励起用光源は備えられておらず、緑色レーザ光源27Gから射出された緑色光(光路を1点鎖線Lで示す)が照明光学系26によって緑色光用液晶ライトバルブ28G(第1光変調素子)に入射され、緑色光用液晶ライトバルブ28Gによって変調されてダイクロイックプリズム24に向けて射出される。また、青色光用の照明・変調光学系23Bについても、緑色光と同様、青色レーザ光源27Bから射出された青色光(光路を1点鎖線Lで示す)が照明光学系26によって青色光用液晶ライトバルブ28G(第1光変調素子)に入射され、青色光用液晶ライトバルブ28Gによって変調されてダイクロイックプリズム24に向けて射出される。
このようにして、各液晶ライトバルブ28R,28G,28Bによって変調された3つの可視光と赤外光がクロスダイクロイックプリズム24に入射する。このクロスダイクロイックプリズム24は4つの直角プリズムが貼り合わされたものであり、その界面には2種類の透過特性を有する誘電体多層膜からなるダイクロイックミラー31A,31BがX字状に設けられている。図6中で左上から右下に延在するダイクロイックミラー31Aは、図8にその透過特性を示すように、青色光と緑色光とを透過し、赤色光と赤外光とを反射する特性を有している。一方、図6中で右上から左下に延在するダイクロイックミラー31Bは、図9にその透過特性を示すように、青色光を反射し、緑色光と赤色光と赤外光とを透過する特性を有している。このような構成により、全ての光が投射レンズ25に導入され、スクリーン3に照射される。青色光と緑色光と赤色光の3つの可視光は合成されてカラー画像を表す光となり、投射レンズ25によってスクリーン3上に投影され、画像が拡大表示される。
一方、赤外光は励起光としてスクリーン3に照射される。赤外光がスクリーン3に照射されると、赤外光が熱に変換されて、上述の散乱板12においては内部の散乱体19の温度が上がる。すると、分散媒20の構成分子の熱運動が激しくなる結果、光散乱粒子21のブラウン運動が活発になり、光散乱粒子21が分散媒20中を激しく移動する。ここで、本実施形態では、赤外光が赤色光用液晶ライトバルブ28Rによって変調されるため、散乱板12の面内で散乱体19の温度分布が生じ、ブラウン運動の緩急の分布が生じる結果、光散乱粒子21をランダムに移動させるか、あるいは円運動させる等の制御を行うことができる。
励起光である赤外光の照射方法(タイミング)には、2通り考えられる。
まず一つの方法は、赤外レーザ光源29の制御を行わず、赤外レーザ光源29から常時赤外光を射出し続け、赤色光用液晶ライトバルブ28R側も励起光のために特別な駆動を行わない方法である。赤外光は鑑賞者に視認されないため、投射画像に支障を来すことがない。したがって、赤色光が変調されて画像を生成しているのと同時に、赤外光が赤色光用液晶ライトバルブ28Rで変調され、赤色光の画像と同じパターンで赤外光がスクリーン3に照射されても画像には支障がない。例えば動画が表示されているとき(複数の静止画がスライド表示される場合も同様)には、赤色光の画像パターンが刻々と変化するので、赤外光の照射パターンも刻々と変化する。その結果、散乱体19の温度分布、ひいては光散乱粒子21のブラウン運動の緩急の分布が変化し、光散乱粒子21は照射パターンに応じて移動の速度や方向を変えながら位置を変えていく。
しかしながら、上記の方法を単に採用すると、仮に緑色光と青色光だけで画像が形成され、赤色光が使われないような期間が長く続く場合、赤色光とともに赤外光もスクリーン3に照射されなくなってしまう。そのため、赤外光が光散乱粒子21のブラウン運動を励起する機能を果たせなくなるという問題がある。そこで、この問題を解消する方法として、赤外光はそもそも表示に影響しないので、表示に赤色光が使われない期間には赤色光用液晶ライトバルブ28Rは励起光用の変調を行うようにすればよい。
あるいは上記の問題が生じない方法として、例えば画像を構成する1フレーム期間を2つに分割し、一方の期間で可視光をスクリーン3に照射し、他方の期間で赤外光をスクリーン3に照射するように赤色光用液晶ライトバルブ28Rを駆動する方法が採用できる。すなわち、赤色光用液晶ライトバルブ28Rにおいて、1フレーム期間のうちの一部を可視光の照射による画像投射の期間に割り当て、残りを赤外光の照射によるブラウン運動励起の期間に割り当てる方法である。
この方法を採用する場合、赤外光の照射期間では画像投射は休止しているため、画像の形成とは独立して赤外光の照射パターンを自由に設定することができる。例えばシンチレーションを一瞬たりとも発生させないという観点で言えば、光散乱粒子21の動きに静止点がなく、連続的に動くことが望ましいため、その場合には、図5(A)、(B)に示すように、散乱板12の面内で光散乱粒子21を円運動させればよい。光散乱粒子21をこのように円運動させたいときには、例えば赤外光の照射期間において赤色光用液晶ライトバルブ28Rで円環状のパターンを生成し、同心状の温度分布を生じさせれば、光散乱粒子21に渦状のブラウン運動が生じる結果、光散乱粒子21を円運動させることができる。なお、この方法を採用した場合の副次的な効果としては、画像投射が間欠的に行われることになるため、動画の視認性を向上させることができる。
このように、本実施形態のリアプロジェクタ1によれば、励起光である赤外光を赤色光用液晶ライトバルブ28Rを用いて変調することで、スクリーン面内で散乱体の温度分布を生じさせることができる。その結果、光散乱粒子21のブラウン運動の緩急の分布を生じさせ、光散乱粒子21の動きを適宜制御することができる。これを利用して、光散乱粒子21の動きに静止点が生じないように例えば光散乱粒子21をスクリーン面内でランダム運動させる、円運動させるなどの制御を行うことができる。これにより、多大なエネルギーを用いることなくシンチレーションを確実に抑制することができ、高画質で静粛なリアプロジェクタを実現することができる。
また本実施形態では、励起用光源として赤外レーザ光源29を用い、赤外レーザ光源29からの赤外光を励起光として利用しているため、散乱体19に十分な熱を付与することができ、光散乱粒子21のブラウン運動を十分に励起することができる。また、非可視光であっても紫外線を照射すると液晶ライトバルブの劣化が加速する虞があるが、赤外線であれば液晶ライトバルブの劣化がそれ程加速することはない。
また本実施形態では、赤外光が赤色光用液晶ライトバルブ28Rに入射され、表示光を変調するための液晶ライトバルブが励起光を変調する液晶ライトバルブを兼ねているため、全体として液晶ライトバルブの個数が増加せず、製造コストの増大を抑えることができる。さらに、上では赤外光の照射方法について2通りの方法を説明したが、画像表示と赤外光照射を同時に行う方法によれば、励起光の変調のために赤色光用液晶ライトバルブ28Rで特別な駆動を行わなくて済むという利点がある。一方、画像表示と赤外光照射を期間を分けて行う方法によれば、励起光の変調パターンを設定する自由度が増し、光散乱粒子21の動きを所望の通りに制御しやすいという利点がある。さらに本実施形態の構成によれば、赤外光を赤色光用液晶ライトバルブ28Rに導入するに際して一つのダイクロイックミラー30を挿入するだけでよく、他の光学部品の構成は従来と同様のままで容易に実現することができる。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について図10〜図12を用いて説明する。
本実施形態に係るリアプロジェクタの基本構成は第1実施形態と同様であり、投射エンジン内の光学系への赤外光の導入形態が第1実施形態と異なっている。したがって、以下ではスクリーンをはじめとする共通部分の説明は省略し、投射エンジンの構成についてのみ説明する。
図10は本実施形態のリアプロジェクタの投射エンジンの概略構成図である。図11、図12は同投射エンジン内の光学部品(ダイクロイックプリズム)の透過特性を示す図である。なお、図10において図6と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1実施形態では赤、緑、青の各色のレーザ光源から各色のレーザ光が直接射出されることを前提に説明したが、実際には、表示に十分な輝度を有するレーザ光源を色間でバランス良く揃えることが難しい場合がある。その場合、例えば赤外レーザ光源から射出される赤外光を波長変換して任意の波長域の可視光を生成し、可視レーザ光源に代える構成を採用することが考えられる。本実施形態はこの種の光源を持つプロジェクタに好適な構成である。本実施形態では、第2高調波発生素子(Secondary Harmonic Generation,以下、SHGと略記する)を用いて赤外光の波長を1/2に変換し、緑色光を生成する構成に適用する例を挙げる。
本実施形態の投射エンジン41は、図10に示すように、レーザ光源27R,27B,29と照明光学系26と液晶ライトバルブ28R,28G,28B(光変調素子)とを含む赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎、計3組の照明・変調光学系42R,42G,42Bと、各照明・変調光学系42R,42G,42Bから射出された光を合成するクロスダイクロイックプリズム24と、変調後(合成後)の光をスクリーン3上に拡大投射する投射レンズ25とを備えている。励起光が導入されない青色光用の照明・変調光学系42Bについては第1実施形態と同様の構成でよく、同じく励起光が導入されない赤色光用の照明・変調光学系42Rについては青色光用の照明・変調光学系42Bと同様の構成でよい。また、照明・変調光学系の中で照明光学系26の具体的な構成は第1実施形態と同じでよい。
第1実施形態では赤色光用液晶ライトバルブ28Rに励起光を導入する構成としたのに対し、本実施形態では緑色光用液晶ライトバルブ28Gに励起光を導入しているため、緑色光用の照明・変調光学系42Gの構成が他の色光用の照明・変調光学系の構成と異なっている。よって、以下では緑色光用の照明・変調光学系42Gについて説明する。
緑色光用の照明・変調光学系42Gは、光源として赤外レーザ光源29を備えている。この赤外レーザ光源29は外部共振構造を有するタイプのレーザ光源であり、赤外レーザ光源29の射出側に外部共振ミラー43を備えている。赤外レーザ光源29から射出された放出光は外部共振ミラー43との間でレーザ発振する。外部共振ミラー43はレーザ発振した光の一部を透過することでレーザ光を取り出すことができる。
赤外レーザ光源29は、射出される光の光軸に垂直な方向に複数のエミッタ(発光点)を有しており、一部のエミッタから射出される光の光路上にSHG44が配置されている。したがって、一部のエミッタから射出される赤外光は、SHG44によって波長が1/2に変換され、緑色光に変換された後、外部共振ミラー43から射出される。一方、残りのエミッタから射出される光はSHG44を通らないため、赤外レーザ光源29と外部共振ミラー43との間で発振を続け、赤外光のままで外部共振ミラー43から射出される。以上の構成により、緑色光に加えて、赤外光も緑色光用液晶ライトバルブ28G(第1光変調素子、第2光変調素子を兼ねる)に導入される。そして、緑色光と赤外光とが緑色光用液晶ライトバルブ28Rで変調される。ただし、緑色光と赤外光は緑色光用液晶ライトバルブ28Gの中の異なる領域で変調されることになる。
各液晶ライトバルブ28R,28G,28Bによって変調された3つの可視光と赤外光がクロスダイクロイックプリズム24に入射する。このクロスダイクロイックプリズム24のうち、図10中で左上から右下に延在するダイクロイックミラー45Aは、図11にその透過特性を示すように、青色光と緑色光と赤外光とを透過し、赤色光を反射する特性を有している。一方、図10中で右上から左下に延在するダイクロイックミラー45Bは、図12にその透過特性を示すように、青色光を反射し、緑色光と赤色光と赤外光とを透過する特性を有している。このような構成により、全ての光が投射レンズ25に導入される。
3色の可視光がカラー画像を生成し、スクリーン3上に画像が投射される一方、赤外光がスクリーン3に照射され、赤外光によって光散乱粒子21のブラウン運動が励起され、光散乱粒子21が分散媒20中を移動するといった作用は、第1実施形態と同様である。また、赤外光の照射タイミングについては、第1実施形態と異なり、赤外光によって緑色光が生成され、緑色光が画像を構成するため、赤外光の変調パターンを画像表示とは別個に制御する構成は本実施形態ではあり得ない。よって、仮に緑色光が表示に使われない期間があると、その期間では赤外光がスクリーン3に照射されない虞があるが、赤外光は表示に影響しないので、そのような期間には緑色光用液晶ライトバルブ28Gは励起光用の変調を行うようにすればよい。すなわち、緑色光用液晶ライトバルブ28Gのうち、緑色光が照射される領域は光を遮断し、赤外光が照射される領域は光を透過するように、緑色光用液晶ライトバルブ28Gを駆動すればよい。
あるいは、緑色光が表示に使われない期間では赤外光がスクリーン3に照射されないことが許容できるのであれば、緑色光用液晶ライトバルブ28G内で緑色光の照射領域と赤外光の照射領域を分けず、緑色光、赤外光の各々のビームを照明光学系26によって拡大し、緑色光用液晶ライトバルブ28Gの全面に照射するようにすればよい。このようにすると、場合によっては赤外光がスクリーン3に照射されない期間があったとしても、スクリーン3の全面に赤外光を照射できるので、光散乱材21のブラウン運動を全体的に活発化することができる。
本実施形態においても、赤外光が光散乱粒子21のブラウン運動を励起することによりシンチレーションを確実に抑制することができ、高画質で静粛なリアプロジェクタを実現できる、といった第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態のように、SHG44等の波長変換素子を用いて赤外光を波長変換し、可視光を生成する構成のプロジェクタに本実施形態の構成を組み合わせると最適であり、特別な光学部品を用いることなく、波長変換素子周りの光学部品の配置を工夫するだけで容易に実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では可視光変調用の液晶ライトバルブに赤外光を導入し、可視光変調用の液晶ライトバルブが励起光変調用の液晶ライトバルブを兼ねる構成とした。これに対して、励起光を可視光とは別個の液晶ライトバルブで変調する構成としてもよい。この構成によれば、液晶ライトバルブの個数が増えるものの、画像表示とは関係なく励起光を自由に変調でき、光拡散粒子の移動を所望のパターンに制御しやすくなる。また、第1実施形態では励起光である赤外光を赤色光の光路に合成する構成、第2実施形態では赤外光を波長変換して緑色光を生成し、赤外光と緑色光を同時に1つの液晶ライトバルブに導入する構成を採用したが、励起光をどの可視光と組み合わせるかは、ダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムの光学特性の作りやすさに応じて適宜選択すればよい。また、励起光として、赤外光の他、可視光を用いてもよい。励起光に可視光を用いる場合、励起光が表示に影響を及ぼすため、励起光の照射条件も考慮した上で液晶ライトバルブを駆動する必要がある。さらに、レーザ光源以外の光源を用いてもよい。
また、上記実施形態で例示した散乱板の具体的な構成については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、リアプロジェクタ全体についても、光変調素子として液晶ライトバルブを用いたものの他、DMD(Digital Micromirror Device)素子等の反射型光変調素子を用いたものに本発明を採用することも可能である。例えば上記実施形態のような3板方式のプロジェクタのみならず、単板方式(時分割方式)のプロジェクタに本発明を適用することも可能である。あるいは、リアプロジェクタの他、スクリーンと投射エンジンとが別体で構成されるフロント型のプロジェクションシステムに本発明を採用することも可能である。プロジェクションシステムとしては、スクリーンと投射エンジンで構成されるフロント型もしくはリア型のプロジェクションシステムがあり、スクリーンと投射エンジンとが別体でも良いし、一体となって構成されていても良い。
本発明の第1実施形態のリアプロジェクタの構成を示す斜視図である。 同リアプロジェクタの側断面図である。 同リアプロジェクタのスクリーンを示す図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は断面図である。 同スクリーンを構成する散乱板の断面図である。 同散乱板内の光散乱材の動きを示す図である。 同リアプロジェクタの投射エンジンの概略構成図である。 同投射エンジン内のダイクロイックミラーの透過特性を示す図である。 同投射エンジン内のダイクロイックプリズムの透過特性を示す図である。 同ダイクロイックプリズムの透過特性を示す図である。 本発明の第2実施形態のリアプロジェクタの投射エンジンの概略構成図である。 同投射エンジン内のダイクロイックプリズムの透過特性を示す図である。 同ダイクロイックプリズムの透過特性を示す図である。 シンチレーションの発生原理を説明するための図である。
符号の説明
1…リアプロジェクタ、3…スクリーン、7…投射エンジン、12…散乱板、19…散乱体、20…分散媒、21…光散乱粒子(光散乱材)、25…投射レンズ(投射手段)、27R,27G,27B…レーザ光源(表示用光源)、28R,28G,28B…液晶ライトバルブ(第1光変調素子、第2光変調素子)、29…赤外レーザ光源(励起用光源)、30…ダイクロイックミラー(光路合成手段)、44…SHG(波長変換素子)。

Claims (15)

  1. スクリーンと、
    表示光を射出する表示用光源と、
    前記表示用光源から射出された表示光を変調する第1光変調素子と、
    励起光を射出する励起用光源と、
    前記励起用光源から射出された励起光を変調する第2光変調素子と、
    前記第1光変調素子で変調された表示光と前記第2光変調素子で変調された励起光とを前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備え、
    前記スクリーンが、少なくとも一面が光透過性を有し、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の前記空間内に充填され、分散媒中に光散乱材が分散されてなる散乱体と、を含む散乱板を有し、
    前記第2光変調素子で変調された後の励起光が前記スクリーンの前記散乱体に照射されることを特徴とするリアプロジェクタ。
  2. 前記励起光が可視域以外の波長を有することを特徴とする請求項1に記載のリアプロジェクタ。
  3. 前記励起用光源が赤外レーザであり、前記励起光が赤外光であることを特徴とする請求項2に記載のリアプロジェクタ。
  4. 前記第1光変調素子が、異なる波長域の複数の表示光をそれぞれ変調する複数の光変調素子を有することを特徴とする請求項2または3に記載のリアプロジェクタ。
  5. 前記表示光に加えて前記励起光が前記複数の第1光変調素子のうちの一つの光変調素子に入射される構成とされ、前記光変調素子が前記第2光変調素子を兼ねることを特徴とする請求項4に記載のリアプロジェクタ。
  6. 前記光変調素子において前記表示光の変調が行われない期間に前記励起光の変調を行うことを特徴とする請求項5に記載のリアプロジェクタ。
  7. 前記光変調素子の入射側に、前記表示光の光路と前記励起光の光路とを合成する光路合成手段が設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載のリアプロジェクタ。
  8. 前記励起光の一部を波長変換することにより前記複数の表示光のうちの一つの波長域の表示光を生成する波長変換素子を備え、
    前記波長変換素子によって生成された前記表示光と波長変換されなかった前記励起光とが、前記光変調素子に入射されることを特徴とする請求項5または6に記載のリアプロジェクタ。
  9. スクリーンと投射エンジンとを備え、
    前記投射エンジンが、表示光を射出する表示用光源と、前記表示用光源から射出された表示光を変調する第1光変調素子と、励起光を射出する励起用光源と、前記励起用光源から射出された励起光を変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子で変調された表示光と前記第2光変調素子で変調された励起光とを前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備え、
    前記スクリーンが、少なくとも一面が光透過性を有し、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の前記空間内に充填され、分散媒中に光散乱材が分散されてなる散乱体と、を含む散乱板を有し、
    前記第2光変調素子で変調された後の励起光が前記スクリーンの前記散乱体に照射されることを特徴とするプロジェクションシステム。
  10. 前記励起光が可視域以外の波長を有することを特徴とする請求項9に記載のプロジェクションシステム。
  11. 前記第1光変調素子が、異なる波長域の複数の表示光をそれぞれ変調する複数の光変調素子を有することを特徴とする請求項10に記載のプロジェクションシステム。
  12. 前記表示光に加えて前記励起光が前記複数の第1光変調素子のうちの一つの光変調素子に入射される構成とされ、前記光変調素子が前記第2光変調素子を兼ねることを特徴とする請求項11に記載のプロジェクションシステム。
  13. 前記光変調素子において前記表示光の変調が行われない期間に前記励起光の変調を行うことを特徴とする請求項12に記載のプロジェクションシステム。
  14. 前記光変調素子の入射側に、前記表示光の光路と前記励起光の光路とを合成する光路合成手段が設けられたことを特徴とする請求項12または13に記載のプロジェクションシステム。
  15. 前記励起光の一部を波長変換することにより前記複数の表示光のうちの一つの波長域の表示光を生成する波長変換素子を備え、
    前記波長変換素子によって生成された前記表示光と波長変換されなかった前記励起光とが、前記光変調素子に入射されることを特徴とする請求項12または13に記載のプロジェクションシステム。
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