JP2008145845A - スクリーン、リアプロジェクタ、プロジェクションシステム - Google Patents

スクリーン、リアプロジェクタ、プロジェクションシステム Download PDF

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Abstract

【課題】投射光によるシンチレーションを確実に防止し、表示ムラやぎらつきの発生を回避することによって、高画質化を図ることのできるスクリーン、リアプロジェクタ、プロジェクションシステムを提供する。
【解決手段】本発明のスクリーンは、投射画像を表示するためのスクリーンであって、散乱板34A,34Bと、前記散乱板34A,34Bの視認側に配置された回折板35A,35B,35Cと、を少なくとも備え、前記回折板35A,35B,35Cが、前記散乱板34A,34Bから入射された光を回折させて射出する際に人間の目の分解能以下のピッチを有する干渉縞を発生させる。
【選択図】図7

Description

本発明は、スクリーン、リアプロジェクタ、プロジェクションシステムに関するものである。
近年、プロジェクタが急速な普及を見せている。主にプレゼンテーション用途で利用されているフロント型プロジェクタの他、近年はリア型プロジェクタが大画面ディスプレイの一形態として認知度を高めつつある。プロジェクション方式の画像表示装置の最大の利点は、液晶テレビジョン、プラズマディスプレイ等の直視型ディスプレイと比べて低価格で同画面サイズの商品を提供できるところにある。しかしながら、最近は直視型においても低価格化が進んでおり、プロジェクション方式の画像表示装置にはより高い画質性能が求められている。プロジェクタは、光源から射出された光を液晶ライトバルブ等の光変調素子に照射し、光変調素子により変調された投射光をスクリーン上に拡大投射することで画像を表示する。このとき、スクリーンに画像が表示されるだけでなく、鑑賞者はスクリーン全面にぎらつきを見ることになる。これは、光線の干渉に伴う輝度ムラによるものでスペックルノイズ、あるいはシンチレーションと呼ばれている。
ここで、シンチレーションの発生原理について簡単に説明する。
図11(a)、(b)に示したように、光源70から照射された光が液晶ライトバルブ(図示略)を透過してスクリーン74に投射される。スクリーン74に投射された投射光は、スクリーン74に含まれる多数の散乱材72により回折し、それら散乱材72が二次波源のように振舞うことによって拡散される。図11(b)に示すように、二次波源による2つの球面波が互いの位相関係に応じて光の強め合いや弱め合いを起こすことにより、スクリーン74と鑑賞者との間に明暗の縞模様(干渉縞)が現れる。この干渉縞が発生する像面Sに鑑賞者の目の焦点が合ったとき、鑑賞者は干渉縞を投射画像をぎらつかせるシンチレーションとして認識する。シンチレーションは、スクリーン上の画像を見ようとする鑑賞者にとって、スクリーン面と鑑賞者との間にあたかもベールやレース布、くもの巣などを張ったかのような不快感を与える。また、鑑賞者はスクリーン上の画像とシンチレーションとの2重の像を見ることになり、それぞれに視点を合わせようとするため、大きな疲労を招く。したがって、このシンチレーションは鑑賞者にストレスを与えてしまう。
ところで、最近のプロジェクタでは、従来の高圧水銀ランプに替わる新しい光源の開発が進められており、特にレーザ光源はエネルギー効率、色再現性、長寿命、瞬時点灯等の点で次世代プロジェクタ用光源として期待が高まっている。しかしながら、レーザ光源によるスクリーン上の投射光は、隣接する領域の光線の位相が揃っていることから干渉性が非常に高いものとなっている。レーザ光のコヒーレント長は数十メートルに及ぶこともあるため、同一の光源を分割して再合成すると、コヒーレント長より短い光路差を経て合成された光が強い干渉を引き起こすことになる。そのため、高圧水銀ランプよりも鮮明なシンチレーション(干渉縞)が出現する。よって、特にレーザ光源を用いたプロジェクタの製品化において、シンチレーションの低減は必須の技術となっている。
このようなシンチレーションの低減対策として、以下の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術はスクリーンの拡散性を最適化したものであり、拡散層、透明層(レンチキュラーレンズ)、拡散層の3層構造からなるスクリーンが記載されている。このように、散乱層の構成が複雑化することによって干渉斑のランダム性は大きくなる。そのため、干渉斑の中の細かい成分(空間周波数が小さい干渉縞)が多くなると、何らかの視線移動が起きた時に人間の眼の残像特性により干渉縞が積分平均化され、干渉縞が消えるという効果が生じる。特に、動画鑑賞の場合は頻繁に視線移動が行われるため、シンチレーションの低減効果が期待できる。
特許文献2には、光、電場、磁場、熱、応力等を光散乱層に付与し、光拡散層に含有されている光散乱体の形状、相対的位置関係や屈折率を時間的に変化させるスクリーンが開示されている。このように、光拡散層による散乱波の散乱分布や位相を時間的に変化させることによってシンチレーションの発生防止が期待できる。
特開平11−038512号公報 特開2001−100316号公報
しかしながら、特許文献1では、最終散乱面の散乱状態が固定されているため、散乱面上の各点から発した光線間の干渉がなすスクリーンと鑑賞者の間の空間の光線の位相分布も固定されている。そのため、干渉斑が固定した像として視認されてしまう。よって、頻繁な視線移動がない限り、完全に干渉斑が消えるということにはならず、特に、干渉性の高いレーザ光源を具備するプロジェクタではほとんど効果を得ることができない。すなわち、スクリーンの散乱度をいくら高くしても、視点を固定して観察すると干渉縞が視認されてしまう。また、このような高散乱化による対策では、画像ボケを併発する虞があることから、高画質化を図るという本来の目的を達成することができない。
また、特許文献2では、光散乱体の形状や相対的位置関係、屈折率などを変化させるに至るまでに多大な駆動エネルギーを要することになる。また、上記の駆動手段を用いた場合、散乱層へのエネルギー伝達効率も低く、振動、音、不要電磁波、排熱等が発生して快適な鑑賞を阻害する虞がある。さらに、散乱層がフォーカス方向に移動してしまうような構成では画像の大きさが変化してしまう。これにより、水平方向における画像の輪郭線の位置も変わってしまい、画像ボケが生じる原因となっていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、投射光によるシンチレーションを確実に防止し、表示ムラやぎらつきの発生を回避することにより、高画質化を図ることのできるスクリーン、リアプロジェクタ、プロジェクションシステムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のスクリーンは、投射画像を表示するためのスクリーンであって、散乱板と、前記散乱板の視認側に配置された回折板と、を少なくとも備え、前記回折板が、前記散乱板から入射された光を回折させて射出する際に人間の目の分解能以下のピッチを有する干渉縞を発生させることを特徴とする。なお、「人間の目の分解能」については、後の[発明を実施するための最良の形態]の項で詳述する。
従来一般のスクリーンにおいては、無秩序に配置された多数の散乱材が二次波源となり、重なり合った球面波同士が干渉を起こし、無秩序な干渉縞が生じていた。これに対して、本発明者は、スクリーンが干渉縞を発生するものであっても、干渉縞のピッチが意図的に制御されたものであり、干渉縞のピッチを変調することで人間の視覚の空間認知域の外に追い出すような構成とすればよいことに思い至った。すなわち、本発明のスクリーンは、投射光を結像させて像を形成する散乱板と、視認できない程度に十分に細かい干渉縞を発生させる回折板とを有している。そして、回折板が散乱板から入射された光を回折させて射出する際に、人間の目の分解能以下のピッチを有する干渉縞を積極的に発生させることを特徴としている。この構成によれば、人間の目の空間解像度限界によるハイカット(ローパス)フィルタ効果によって細かい干渉縞が平均化され、干渉縞は発生していても人間の目には視認されなくなる。本発明は、このような原理によってシンチレーションを確実に防止することができる。
また、本発明では、従来のように散乱板を移動させる必要がないため、不快な騒音や振動の発生が抑えられ、静粛なプロジェクタ(プロジェクションシステム)を構築することができる。さらに、スクリーン上への画像投写に光の散乱現象が伴わないため、鑑賞者は従来のスクリーンでは得られないボケのない鮮明な画像を見ることができる。この理由は、従来の技術では散乱層の構成を複雑にすることで干渉縞のランダム性は増すものの、画素間の境界でも散乱が生じてボケの原因となるのに対し、本発明の回折板は細かい干渉縞を形成することには寄与する一方、画素間の境界で光を散乱させる機能はなく、ボケの原因とならないからである。さらに、通常の拡散層に比べて回折板は入射光の後方散乱が少ないため、光の利用効率が向上し、明るい投射画像を提供することができる。
前記散乱板として、複数の散乱材が不規則に配置された板材からなるものを用いることができる。
この構成によれば、散乱板として従来一般のスクリーンで用いられている散乱材入りの散乱板を用いることができ、安価なスクリーンを実現することができる。
あるいは、前記散乱板として、表面に複数の凹凸が不規則に形成された板材からなるものを用いることができる。
この構成によれば、例えば板材の表面に粗面加工を施して散乱板を作製することができ、安価なスクリーンを実現することができる。
前記回折板として、複数の散乱材が所定のピッチで規則的に配置された板材からなるものを用いることができる。
この構成によれば、散乱材入りの散乱板を作製する過程で散乱材の配置を制御することによって作製することができる。
あるいは、前記回折板として、表面に複数の凹凸が規則的に形成された回折格子を有する板材からなるものを用いることができる。
この構成によれば、フォトリソグラフィー、エッチング等の技術を用いることによって回折格子を有する回折板を容易に作製することができる。
あるいは、前記回折板として、規則的な屈折率分布を有するホログラムからなるものを用いることができる。
この構成によれば、軽量、薄型で安価なスクリーンを実現することができる。
本発明のリアプロジェクタは、光を射出する光源と、前記光源から射出された光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光が投射される上記本発明のスクリーンと、前記光変調素子によって変調された光を前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明のリアプロジェクタによれば、上記本発明のスクリーンを備えているため、画像ボケが生じることなく、シンチレーションが確実に除去され、鑑賞者が快適に画像を鑑賞することができる。
本発明のプロジェクションシステムは、本発明のスクリーンと、前記スクリーンに対して画像光を投射する投射エンジンと、を備えたことを特徴とする。
本発明のプロジェクションシステムによれば、上記本発明のスクリーンを備えているため、画像ボケが生じることなく、シンチレーションが確実に除去され、鑑賞者が快適に画像を鑑賞することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1は本実施形態に係るリアプロジェクタの概略構成を示す斜視図である。図2は同リアプロジェクタの側断面図である。図3は同リアプロジェクタの投射光学系の構成を示す概略図である。図4は同リアプロジェクタのスクリーンの全体の断面図である。図5は同スクリーンを構成する散乱板の断面図である。図6は同スクリーンを構成する回折板の断面図、図7は同散乱板と回折板とを組み合わせた状態の断面図である。
以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
本実施形態に係るリアプロジェクタは、光源から射出された光を光変調素子により変調し、この変調した光をスクリーンに拡大投射するリア投射型プロジェクタである。したがって、スクリーンには透過型スクリーンが用いられる。リアプロジェクタ1は、図1に示すように、筐体2と、スクリーン3とを備えている。スクリーン3は、筐体2の前面側に取り付けられており、スクリーン3の後面側から画像光が投射され、スクリーン3の前面側に位置した鑑賞者が画像を鑑賞する。筐体2の前面のスクリーン3の下方にはフロントパネル4が設けられ、フロントパネル4の左右側にはスピーカ(図示略)からの音声を出力する開口部5が設けられている。
次に、筐体2内部の構造について説明する。
図2に示すように、筐体2内部の下方には、投射エンジン7が配設されている。投射エンジン7とスクリーン3との間の光路上には、反射ミラー8、反射ミラー9が設置されている。この構成により、投射エンジン7から出射された光がこれら2枚の反射ミラー8,9によって反射され、スクリーン3上の投射領域Tに対して拡大投射される。
次に、投射エンジン7の概略構成について図3を用いて説明する。
ただし、図3においては、図面の簡略化のため、リアプロジェクタ1の外観を構成する筐体2の図示は省略している。
投射エンジン7は、光源11と、光源11から出射された光を変調する光変調素子12と、光変調素子12により変調された光を投射する投射レンズ13とを備えている。本実施形態においては、光変調素子12として液晶ライトバルブ12R、12G、12Bが用いられている。すなわち、本実施形態のリアプロジェクタ1は、いわゆる液晶プロジェクタである。
投射エンジン7は、図3に示すように、光源11、ダイクロイックミラー14,15、反射ミラー16,17,18、入射レンズ19、リレーレンズ20、出射レンズ21、液晶ライトバルブ12R,12G,12B、クロスダイクロイックプリズム22、投射レンズ13等から構成されている。その他、光源11から射出される光の照度分布を均一化するためのインテグレータ光学系、光源11から射出される光の偏光状態を液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで用いる偏光に揃える偏光変換光学系を備えていても良い。
光源11は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等のランプ24と、ランプ24の光を反射するリフレクタ25とから構成されている。ダイクロイックミラー14は、光源11からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する機能を有している。ダイクロイックミラー15は、青色光を透過させるとともに、緑色光を反射する機能を有している。よって、ダイクロイックミラー15を透過した赤色光は反射ミラー16で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ12Rに入射される。また、ダイクロイックミラー14で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー15によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ12Gに入射される。
さらに、ダイクロイックミラー14で反射された青色光は、ダイクロイックミラー15を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ19、リレーレンズ20および出射レンズ21を含むリレーレンズ系からなる導光光学系26が設けられている。この導光光学系26を介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ12Bに入射される。
各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム22に入射する。このクロスダイクロイックプリズム22は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ13によってスクリーン3上に投影され、画像が拡大表示される。
次に、スクリーン3の構成について説明する。
本実施形態のスクリーン3は、図4に示すように、フレネルレンズ板31と、レンチキュラレンズ板32と、ブラックマスク33と、散乱板34と、回折板35と、保護板36(あるいはハードコート層でもよい)とが光入射側からこの順に積層されて構成されている。これらの部材は、フレネルレンズ板31側が筐体2の内部側に位置し、保護板36側が筐体2の外部側(鑑賞者側)に位置するように、投射光Lの光路上に積層されている。フレネルレンズ板31、レンチキュラレンズ板32、ブラックマスク33、保護板36には、従来一般のものを用いることができる。
散乱板34は、投射エンジン7から入射された投射光を結像させ、像を形成する機能を有し、いわばスクリーンの主たる散乱層となるものである。散乱板34の一つの形態として、図5(a)に示すように、球状の光散乱材38をランダムに分散させた、光透過性を有する樹脂製の板体39で構成した散乱板34Aを例示することができる。光散乱材38としては、例えば酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、ガラスビース、アクリル樹脂系等の共重合体等が好適に用いられる。また、光散乱材38の粒径、分散密度等は所望とするスクリーンの散乱特性(スクリーンゲイン、像ボケの度合い、波長依存性等)に合わせて適宜設定すればよい。
あるいは、散乱板34の他の形態として、図5(b)に示すように、光透過性を有する樹脂製の板体41の表面にランダムな形状の凹凸40を形成したものを例示することができる。凹凸40を形成する方法としては、エッチング等の化学的処理やサンドブラスト等の機械的処理により表面を荒らす方法が採用できる。
回折板35は、散乱板34から入射された投射光を射出する際に、鑑賞者の目の視力で見えない程度に十分細かい干渉縞を積極的に形成する機能を有している。ここで、一定ピッチの明確な干渉縞を発生するものとする場合は、従来一般の回折格子のような一定周期の回折格子構造を採用すればよい。あるいは、様々なピッチの干渉縞を発生するが、それらの全てがある空間周波数よりも細かい干渉縞を発生するものとする場合は、散乱中心の間隔がある周期よりも粗い、すなわち、ある距離以下に接近することなく配置されている回折格子構造とすればよい。
回折板35の一つの形態としては、図5(a)に示した散乱板34Aと同様、図6(a)に示すように、光透過性を有する樹脂板43中に光散乱材44を分散させた回折板35Aが例示できる。ただし、図5(a)に示した散乱板34Aとは異なり、光散乱材44が所定のピッチをもって規則的に配列されたものを用いる必要がある。
あるいは、回折板35の他の形態として、図6(b)に示すように、光透過性を有する樹脂板45の表面に所定のピッチをもって規則的に凹凸46が形成された回折板35Bを例示することができる。
あるいは、回折板35のさらに他の形態として、図6(c)に示すように、体積型ホログラムの如き、所定のピッチをもって周期的な屈折率分布を形成した回折板35Cを用いることができる。
仮に鑑賞者の視力が1.0であったとすると、1m離れた地点から干渉縞を見た場合、ピッチ290μm以下の干渉縞は視認できないことになる。したがって、上記の回折板35は、スクリーン3上、あるいは鑑賞者が鑑賞中に目の焦点を移動する可能性のある範囲(例えばスクリーン3の手前10mm)において、290μm以下のピッチの干渉縞を形成するようなものとする。計算すると、例えばピッチ6.2μmの周期構造を有する回折格子であれば、スクリーンの手前10mmの位置にピッチ290μmの干渉縞が形成される。あるいは、散乱中心の間隔が6.2μm以下にならない構造を有する回折格子であれば、スクリーンの手前10mmの位置にピッチ290μm以下の細かい干渉縞が形成される。
図7(a)〜(c)には、散乱板34と回折板35との組み合わせとして3通りの構成例を示した。図7(a)には、図5(a)に示す光散乱材38入りの散乱板34Aと図6(a)に示す光散乱材44入りの回折板35Aとの積層構造を示した。図7(b)には、図5(b)に示す凹凸40を有する散乱板34Bと図6(b)に示す凹凸46を有する回折板35Bとの積層構造を示した。図7(c)には、図5(a)に示す光散乱材38入りの散乱板34Aと図6(c)に示すホログラム型の回折板35Cとの積層構造を示した。ただし、この3通り以外の組み合わせを採用しても良い。
本実施形態のスクリーン3は、投射光を結像させて像を形成する散乱板34と、鑑賞者が視認できない程度に十分に細かい干渉縞を発生させる回折板35とを有している。そして、回折板35が投射光を回折させて射出する際に人間の目の分解能以下のピッチを有する干渉縞を積極的に発生させる。以上の回折板35の作用により、人間の目の空間解像度限界によるハイカット(ローパス)フィルタ効果によって細かい干渉縞が平均化され、干渉縞は発生していても人間の目には視認されなくなる。このようにして、シンチレーションを確実に防止することができる。
また、本実施形態では、従来のように散乱板を移動させる必要がないため、不快な騒音や振動の発生が抑えられ、静粛なリアプロジェクタを構築することができる。さらに、スクリーン3上への画像投写に光の散乱現象が伴わないため、鑑賞者は従来のスクリーンでは得られないボケのない鮮明な画像を見ることができる。この理由は、本構成では回折板35は細かい干渉縞を形成することに寄与する一方、画素間の境界で光を散乱させる機能はなく、ボケの原因とならないからである。さらに、通常の拡散層に比べて回折板35は入射光の後方散乱が少ないため、光の利用効率が向上し、明るい投射画像を提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態で例示した散乱板、回折板等の具体的な構成については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、リアプロジェクタ全体についても、光変調素子として液晶ライトバルブを用いたものの他、DMD(Digital Micromirror Device)素子等の反射型光変調素子を用いたものに本発明を採用することも可能である。あるいは、スクリーンと投射エンジンとが別体で構成されるプロジェクションシステムに本発明を採用することも可能である。また、フロントプロジェクタ用のスクリーンに本発明を採用することも可能である。
[人間の目の分解能と回折格子ピッチとの関係についての考察]
図8に示すように、人間の目からスクリーン3(投射画像の表示面)までの距離を「視距離」と表すとき、目の分解能は下記の式(1)で示すことができる。
目の分解能 = 視距離×tan(視角) ……(1)
なお、「視角」とは「視力」の逆数のことである。
「視力」とは、隣り合う2つの点を別々の点として識別できる能力のことを言う。一般的には、図9に示すように、視距離を5mとしたとき、直径7.5mmのランドルト環Kに設けられた幅1.5mmの切り込みの方向を認識できる能力が視力1.0である。すなわち、1.5mmの幅が視角1分に相当することになる。
上記実施形態では、鑑賞者の視力を1.0、視距離を1mと仮定したとき、ピッチ290μm以下の干渉縞は視認できない(分解能が290μmであるという意味)、と述べた。これ以外の視力および視距離の値に対して分解能を計算した結果を以下の[表1]〜[表3]に示す。視力1.5の場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの分解能を[表1]、視力1.0の場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの分解能を[表2]、視力0.7の場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの分解能を[表3]に示す。
Figure 2008145845
Figure 2008145845
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[回折格子ピッチと干渉縞ピッチとの関係]
次に、図10に示すように、回折板の散乱中心の間隔(ピッチ)をd、散乱中心から干渉縞までの距離をx、干渉縞のピッチをpとする。ブラッグ回折で単純化して考えると、下記の式(3)を満たす干渉角度θで干渉の強め合いが生じる。
d・sinθ=m・λ ……(2)
(2)式より、
θ=arcsin(m・λ/d) ……(3)
(ただし、m:整数、λ:光の波長)
上記の干渉角度θを、距離xを用いて干渉縞のピッチpに変換すると、
p=x・tanθ
=x・tan[arcsin(m・λ/d)] ……(5)
さらに簡単に近似するために、sinθ=tanθ=θとすると、干渉縞のピッチpは、
p[μm]=x[m]・λ[nm]/d[μm] ……(6)
となる。
上記実施形態では、ピッチ(散乱中心間隔)6.2μmの周期構造を有する回折格子でピッチ290μmの干渉縞ができる、と述べた。これ以外の散乱中心間隔に対して、式(6)を用いて干渉縞のピッチpを計算した例を[表4]〜[表9]に示す。なお、波長λは550nmとした。散乱中心間隔d=10μmの場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの干渉縞ピッチを[表4]、散乱中心間隔d=30μmの場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの干渉縞ピッチを[表5]、散乱中心間隔d=50μmの場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの干渉縞ピッチを[表6]、散乱中心間隔d=100μmの場合に視距離を5m〜0.5mに変えたときの干渉縞ピッチを[表7]、散乱中心間隔d=30μmの場合に視距離を0.05m〜0.005mに変えたときの干渉縞ピッチを[表8]、散乱中心間隔d=10μmの場合に視距離を0.5m〜0.05mに変えたときの干渉縞ピッチを[表9]に示す。
Figure 2008145845
Figure 2008145845
Figure 2008145845
Figure 2008145845
Figure 2008145845
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レーザ光源を用いたプロジェクタにおいては、光のコヒーレント長が長いため、眼前にまで干渉縞が現れる。例えばスクリーンから1m離れた位置で見る鑑賞者の眼前に現れる干渉縞を考えると、視距離x=1mとして考えなければならない。その場合、式(6)にλ=550nm、x=1m、d=30μmを代入すると、
p[μm]=1[m]×550[nm]/30[μm]=18.3
となる。
一方、ランプ光源を用いたプロジェクタにおいては、光のコヒーレント長が短いため、干渉縞が視認されるのはたかだかスクリーン面上1cmのところに浮いて見えるとすると、視距離x=0.01mとして考えればよい。その場合、式(6)にλ=550nm、x=0.01m、d=30μmを代入すると、
p[μm]=0.01[m]×550[nm]/30[μm]=0.183
となる。
例えば一つの条件として、波長λ=550nm、回折格子のピッチd=30μm、干渉縞を形成し得る最も長い距離として視距離x=0.1m(スクリーン手前10cm)を代入して計算すると、干渉縞のピッチp=27.5μmとなる。このピッチの干渉縞は一般的な鑑賞者の視力では視認できない。したがって、この場合、散乱板を経た光によるシンチレーションは回折板で再干渉し、その再干渉後にできる干渉縞は見えないため、シンチレーションが視認されなくなる。
本発明の一実施形態のリアプロジェクタの構成を示す斜視図である。 同リアプロジェクタの側断面図である。 同リアプロジェクタの投射エンジンの光学系の概略構成図である。 同リアプロジェクタのスクリーンの全体の断面図である。 同スクリーンを構成する散乱板の断面図である。 同スクリーンを構成する回折板の断面図である。 同散乱板と回折板とを組み合わせた状態の断面図である。 視距離と分解能の関係を示す図である。 視力の定義を説明するための図である。 散乱中心間隔と干渉縞ピッチとの関係を示す図である。 シンチレーションの発生原理を説明するための図である。
符号の説明
1…リアプロジェクタ、3…スクリーン、7…投射エンジン、12,12R,12G,12B…液晶ライトバルブ(光変調素子)、13…投射レンズ、34,34A,34B…散乱板、35,35A,35B,35C…回折板、38,44…光散乱材、39,41…板体、40,46…凹凸、43,45…樹脂板。

Claims (8)

  1. 投射画像を表示するためのスクリーンであって、
    散乱板と、前記散乱板の視認側に配置された回折板と、を少なくとも備え、
    前記回折板が、前記散乱板から入射された光を回折させて射出する際に人間の目の分解能以下のピッチを有する干渉縞を発生させることを特徴とするスクリーン。
  2. 前記散乱板が、複数の散乱材が不規則に配置された板材からなることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
  3. 前記散乱板が、表面に複数の凹凸が不規則に形成された板材からなることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
  4. 前記回折板が、複数の散乱材が所定のピッチで規則的に配置された板材からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスクリーン。
  5. 前記回折板が、表面に複数の凹凸が規則的に形成された回折格子を有する板材からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスクリーン。
  6. 前記回折板が、規則的な屈折率分布を有するホログラムからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスクリーン。
  7. 光を射出する光源と、
    前記光源から射出された光を変調する光変調素子と、
    前記光変調素子によって変調された光が投射される請求項1ないし6のいずれか一項に記載のスクリーンと、
    前記光変調素子によって変調された光を前記スクリーン上に投射する投射手段と、を備えたことを特徴とするリアプロジェクタ。
  8. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載のスクリーンと、前記スクリーンに対して画像光を投射する投射エンジンと、を備えたことを特徴とするプロジェクションシステム。
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