JP5050789B2 - シミュレーション装置およびプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1においては、音響特性解析において、成形品の局所的な物性データを計算し、該物性データを局所的な領域ごとに与えて計算することにより、精度良く音響特性を解析する技術が開示されている。
特許文献2においては、振動・音響解析の音圧スペクトルデータを時系列波形に変換し、その波形をスピーカで再生して評価する技術が開示されている。
特許文献3においては、比較的大規模な音場の音場解析において、防吸音部材の物理特性を理論値や実測値を用いて計算する技術が開示されている。
また、シミュレーションにおいて精度の良い周波数帯域のみのデータを用いてスピーカ再生した場合、すなわち帯域を限定して音再生をした場合も、実物が発する音と聴感的な差異が大きく、適切な音の評価ができなかった。
また、特許文献3の技術においては、理論値の利用では、理論モデルの妥当性や解析対象モデルとの整合性、実測値の利用では実音場ではなく材料単体の理想的な条件での実測、等の点から解析精度に限界があった。
上記の構成において、前記第1の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果から、周波数応答に関する差異を算出し、前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の周波数応答を測定しても良い。また、前記第1の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果から、位相特性に関する差異を算出し、前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の位相特性を測定しても良い。
上記の構成において、前記第2の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とから、周波数応答に関する差異を算出し、前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の周波数応答を測定しても良い。また、前記第2の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とから、位相特性に関する差異を算出し、前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の位相特性を測定しても良い。
上記の構成において、前記特定の発音体の演奏内容を表す音データを受取る受取手段と、前記受取手段が受取った音データを、前記仮想発音体予測データに基づいて変形し出力する音データ変形手段とを具備していても良い。
本発明に係るプログラムの別の態様は、コンピュータを、特定の発音体の発音特性をシミュレートする既存発音体シミュレーション手段と、仮想の発音体の発音特性をシミュレートする仮想発音体シミュレーション手段と、前記特定の発音体を実際に発音させた際の発音特性を測定する既存発音体測定手段と、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とを比較し、その差異を表す差異データを生成する第2の差異データ生成手段と、前記差異データを用いて、前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果を補正し、前記仮想の発音体の発音特性である仮想発音体予測データを生成する第2の特性補正手段として機能させることを特徴とする。
(A;構成)
図1は、本発明に係る仮想音生成装置1の全体構成を示す図である。仮想音生成装置1は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。仮想音生成装置1は、制御部11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、操作部14、表示部15、HDD16(Hard Disk Drive)、音声処理部17、および音声処理部17に接続されたスピーカ18およびマイクロホン19を有する。上記各部はバスを介して互いに接続されている。
ROM12は、制御部11が実行する制御プログラムを格納している。
RAM13は、制御部11によってワークエリアとして利用される。
表示部15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示手段である。このディスプレイの画面には、音データの処理に係る各種設定を行うための操作画面が表示される。
HDD16は、大容量の記憶装置である。
スピーカ18は、音声処理部17から受取ったアナログ信号に基づいて音声を放音する。
マイクロホン19は、音を表すアナログ信号を出力する。
以上が仮想音生成装置1の構成である。
次に、上記の構成を有する仮想音生成装置1の動作について説明する。
処理内容の詳細な説明に入る前に、処理の概要について説明する。
本発明に係る仮想音生成装置1は、「実在しない発音体」がどのような音を発音するか、実在する発音体との関連性に基づいてシミュレーションする装置である。後述する動作例においては、現行モデルのキーボード(以下、既存品)に基づいて、開発中のキーボード(以下、開発品)の発音を予測する場合を例にとって説明する。
まず、従来のシミュレーションを実行するシミュレーション手段110により、既存品Eおよび開発品Dの発音特性(周波数応答)をシミュレートし(a、b)、それぞれのシミュレーション結果を表す既存品シミュレーションスペクトルおよび開発品シミュレーションスペクトルを生成する。そして、差分算出手段112により、既存品シミュレーションスペクトルと開発品シミュレーションスペクトルの差分を表す比率データを算出する(c)。一方、既存品Eを実際に発音させ(d)、解析手段111により該実際の発音を解析することにより既存品の発音特性を解析し(e)、解析結果である既存品実測スペクトルを生成する。次に、補正手段113において、上記比率データに基づいて、上記既存品実測スペクトルを補正することにより、新たなスペクトル(特性予測スペクトル)を生成する(f)。該生成された特性予測スペクトルは、既存品Eによる実際の発音に基づく発音特性に対して既存品Eと開発品Dのシミュレーション結果の差分が加味されていることから、開発品Dの発音特性を精度良く予測したデータとなる。合成手段114において、上記特性予測スペクトルと、既存品実測スペクトルの一部を合成し、合成スペクトルを生成する(g)。そして変形手段115において、既存品Eにより発音された音(音データ)(h)を、上記生成された合成スペクトルに基づいて変形することで(i)、開発品Dの音を模した予測音データを生成する。
以下では、仮想音生成装置1が実行する処理の詳細を説明する。図3は、仮想音生成装置1の制御部11が行う処理の流れを示したフローチャートである。
図4は、既存品について、従来のシミュレーションにより生成された周波数スペクトル(以下、既存品シミュレーションスペクトル)を示す。なお、本実施形態においては、周波数が300Hz以下の成分についてシミュレートする。
なお、シミュレーションの対象は、キーボードのスピーカ部分で、寸法が300mm(幅)×高さ100mm(高さ)×150mm(奥行)である。採用したシミュレーション手法は、要素数1105、節点数1089とした境界要素法である。
図5は、従来のシミュレーションにより開発品について生成された周波数スペクトル(以下、開発品シミュレーションスペクトル)である。なお、開発品シミュレーションスペクトルについても、周波数が300Hz以下の成分についてシミュレートする。
具体的には、既存品にホワイトノイズを入力して発音させた音を収音し、該収音された音を表す音データをフーリエ変換し、パワースペクトルを経時的に生成する。そして、該パワースペクトルにおける振幅特性の時間平均を周波数帯域ごとに算出する。なお、既存品実測スペクトルは、周波数300Hz以上の周波数帯域についても生成される。
図9は、そのようにして生成された特性予測スペクトルを示す。該特性予測スペクトルにおいては、図8に示した既存品実測スペクトルにおける、100Hz〜200Hzと、210Hz〜280Hzの周波数成分が強調されている。該強調されている周波数成分は、図7に示した比率データにおいて値が1を越える周波数帯域である。
ステップSA60において、制御部11は、特性予測スペクトルを、図12に示す既存品実測スペクトルと合成する。すなわち、特性予測スペクトルの周波数300Hz以下の部分と、既存品実測スペクトルの周波数300Hzを上回る部分をつなぎ合わせ、新たな周波数スペクトル(以下、合成スペクトル)を生成する。
図13は、生成された合成スペクトルを示した図である。図14には、図11にも示した開発品実測スペクトルを全ての周波数について示す。両図を比較すると明らかであるように、合成スペクトルは、開発品実測スペクトルの特に低周波数帯域について精度良く予測できていることがわかる。
以上の処理をまとめる。従来のシミュレーションにおいては、各種条件の設定時に入力されるパラメータに理想値からの誤差が生じていた。該誤差は、既存品および開発品の複雑な構造などに由来するものであり、パラメータを制御することにより該誤差を小さくすることには限界があった。
本発明においては、既存品と開発品それぞれについて、従来のシミュレーションにより音響特性(周波数スペクトル)の差分(比)を算出する処理を行った。該処理は、シミュレーション結果同士で差分を生成するものであるため、上記シミュレーションの設定時に生じる誤差の多くが互いにキャンセルされる。一方、既存品と開発品との間の差異についてはキャンセルされない。その結果、既存品と開発品との差異を精度良く抽出したデータ(比率データ)が生成される。そして、比率データに基づいて既存品実測スペクトルが補正されることにより、開発品実測スペクトルを精度良く予測した特性予測スペクトルが生成される。最終的に、特性予測スペクトルを既存品による音データに対し積算することにより、既存品の音データを開発品の音を模した音データに変換することが可能となる。このようにして生成された音データは、実物が発する音と聴感的な差異が小さく、仮想の発音体の音を適切に評価することが可能である。
なお、本実施形態においては、周波数300Hz以下の成分について特性予測スペクトルを生成して開発品の音の予測に用いたが、周波数がより高い成分についても特性予測スペクトルを生成しても良い。
また、シミュレーション手法は、差分法、境界要素法、有限要素法等、種々の手法から、計算精度、計算時間、計算容量等の計算条件に応じて適宜選択すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。なお、以下に説明する種々の実施形態を、適宜組み合わせて実施することも可能である。
次に、ステップSB30において、差分算出手段1120は、既存品実測スペクトルと既存品シミュレーションスペクトルとを比較し、その差分を表す比率データを算出する。比率データは、周波数帯域ごとに既存品実測スペクトルの値を既存品シミュレーションスペクトルの値で除した比の値に基づいて生成する。
ステップSB40において、シミュレーション手段1100は、開発品Dの発音特性をシミュレートし、開発品シミュレーションスペクトルを生成する。ステップSB40は、上記実施形態に説明したステップSA20の処理内容と同じであるため、詳細な説明を省略する。
ステップSB50において、補正手段1130は、ステップSB40で生成された開発品シミュレーションスペクトルを、ステップSB30で生成された比率データを用いて補正し、新たな周波数スペクトル(特性予測スペクトル)を生成する。その補正方法は、上記実施形態に説明したステップSA50と同様であるため、詳細な説明を省略する。
該生成された特性予測スペクトルには、開発品Dのシミュレーションによる発音特性に対して、既存品について見られたシミュレーションと実測との差異(シミュレーションによる誤差)が加味されていることから、開発品実測スペクトルを精度良く予測したスペクトルとなる。
ステップSB60において、合成手段1140は、特性予測スペクトルを既存品実測スペクトルの一部と合成し、新たな周波数スペクトル(合成スペクトル)を生成する。ステップSB70において既存品を実際に発音させて音データを得る。ステップSB80において、変形手段1150は、上記合成スペクトルに基づいて該音データを変形して予測音データを生成する。
例えば、音の振幅の減衰特性についてシミュレーションしても良い。その場合の実施形態を以下に簡潔に説明する。仮想音生成装置1の構成は、ROM12に格納された制御プログラムを除いて、上記実施形態と同様である。
その処理内容は、以下の通りである。まず、既存品および開発品について、従来のシミュレーション方法により振幅の減衰特性をシミュレートする。例えば、既存品のキーボードの筐体の中には大きな空洞があるため音の減衰が比較的遅く、開発品のキーボードの筐体の中には小さい空洞があるため音の減衰が比較的早い、などのようにシミュレートされる。そして、既存品と開発品の間で、シミュレーションによる減衰特性波形の差分(比)を算出する。一方、既存品を実際に発音させ、既存品による発音の減衰特性を測定する。次に、上記減衰特性波形の差分(比)に基づいて、上記既存品による発音の減衰特性を補正することにより、新たな減衰特性波形を生成する。該生成された減衰特性波形には、既存品による発音の減衰特性に対して、シミュレーションにおいて見られた既存品と開発品の間での減衰特性波形の差分が加味されていることから、開発品による発音の減衰特性を精度良く予測したデータとなる。この後、既存品により発音された音の振幅を該生成された減衰特性波形に基づいて変形することで、減衰特性が開発品と類似した音データが生成される。以上に説明した振幅の減衰特性を制御する処理は、上記実施形態における周波数応答に関するシミュレーションと併せて行っても良い。
また、音の位相特性についてシミュレーションしても良い。シミュレーションおよび実測により得られる周波数応答からは、振幅(Amplitude)と位相(Phase)の情報を抽出することができる。すなわち、周波数応答を複素数として表記した場合、振幅は複素数の絶対値として算出され、位相は虚部と実部の比のアークタンジェントとして算出される。既存品および開発品に関するシミュレーション結果、および既存品に関する実測結果から、開発品が発する音の位相特性をシミュレーションし、開発品が発する音と位相特性が類似した音を生成しても良い。
(例1)キーボードは、入力された音信号に基づいて音を自ら発音するユニットであるスピーカ(発音体)、および自らは発音せず、前記発音体に音響的に接続して発音体の音を伝搬させるユニット(構造体)であるスピーカキャビネットやキーボードキャビネットなど、複数のユニットから構成される。そこで、スピーカについては本発明に係るシミュレーション方法で発音特性をシミュレートし、前記スピーカ以外のユニットについては実測の結果または他のシミュレーション手段により得られる最も良いシミュレーション結果を採用し、それらの結果を組み合わせて評価することにより、キーボードというシステム(上記発音体と構造体とによる複合体)の発音特性をシミュレートしても良い。例えば、実測により、スピーカキャビネットおよびキーボードキャビネットが高周波数成分を低減する傾向があるなどといったことが判明した場合、本発明のシミュレーション方法をスピーカに適用して得られた発音特性(周波数応答)の高周波数部分に変更を加えたものを、仮想のスピーカが内蔵されたキーボード(発音体と構造体から構成される複合体)の発音特性とシミュレートしても良い。
(例2)また、上記組み合わせによるシミュレーション方法を以下のように応用しても良い。例えば、上記実施形態のようにして発音特性が明らかになった仮想のキーボード(発音体)を、既存または仮想の音響空間(構造体)に設置する場合について考える。このような場合、該音響空間が有する音の伝達特性を、実測または他のシミュレーション手段により得ておき、本発明に係るシミュレーション方法により得られたキーボードの発音特性と組み合わせることにより、上記キーボードが設置された音響空間(複合体)から漏れ聞こえるキーボードの漏洩音の特性を評価する、といったことも可能である。例えば、従来のシミュレーション方法により、仮想の音響空間が高周波数成分を低減する傾向があるなどといったことが判明した場合、本発明のシミュレーション方法により得られたキーボードの発音特性(周波数応答)の高周波数部分に変更を加えたものを、仮想のキーボードが設置された仮想の音響空間の発音特性(漏れ聞こえる音の特性)としても良い。
(例3)上記例1および2においては、本発明に係るシミュレーション方法と、実測または他のシミュレーション手段とを組み合わせてシステム全体の発音特性を評価する場合について説明した。しかし、本発明に係るシミュレーション方法を複数組み合わせて新たな発音特性をシミュレートしても良い。例えば、仮想のキーボード(発音体)を仮想の音響空間(構造体)に設置した場合について以下のようにシミュレートすることも可能である。
まず、仮想の音響空間による音の「伝達特性」を、以下に説明する方法Aまたは方法Bに示すように、本発明を応用したシミュレーション方法によりシミュレートしておく。
(方法A)従来のシミュレーション方法で、既存および仮想の音響空間について音の伝達特性(周波数応答)をシミュレートする。一方、既存の音響空間内にホワイトノイズの音源を置き、漏れ聞こえる音を実測するなどして、既存の音響空間の音の伝達特性を測定する。そして、該実測された既存の音響空間の音の伝達特性を、上記仮想と既存の音響空間に関するシミュレーション結果の比で補正することにより、仮想の音響空間の伝達特性をシミュレートする。
(方法B)従来のシミュレーション方法で、既存および仮想の音響空間について音の伝達特性(周波数応答)をシミュレートする。一方、既存の音響空間内にホワイトノイズの音源を置き、漏れ聞こえる音を実測するなどして、既存の音響空間の音の伝達特性を測定する。そして、仮想の音響空間に関するシミュレーション結果を、実測された既存の音響空間の音の伝達特性と既存の音響空間に関するシミュレーション結果の比で補正することにより、仮想の音響空間の伝達特性をシミュレートする。
また、上記実施形態に記載されたシミュレーション方法によりキーボードの発音特性についても別途シミュレートする。そして、該キーボードの発音特性と上記方法Aまたは方法Bによりシミュレーションされた音響空間の伝達特性とを組み合わせることにより、仮想のキーボードが設置された仮想の音響空間(複合体)から発音される(漏れ聞こえる)音の特性をシミュレーションすることができる。
以上のようなシミュレーション方法によれば、システムを構成する1または複数のユニット(この場合、音響空間とキーボード)について本発明に係るシミュレーションを行えば、その結果に基づいてシステム全体(キーボードが備え付けられた音響空間)の発音特性がシミュレートされる。
なお、上記説明において、「構造体」として、キーボードにおけるスピーカキャビネットやキーボードキャビネット、発音体が設置される音響空間(部屋)などを例示した。これらの構造体は、構造体自体に空隙を有していたり、発音体と複合体を形成した際に該複合体内に空隙が生じたりする。従って、該複合体全体としての発音特性には、空気を介して音が伝搬されることによる効果が含まれていると考えられる。しかし、「構造体」はそのような空気伝搬を行う構造に限られるものではない。発音体から発せられた音を構造体自体の振動により固体伝搬音として伝搬する構造体でも良い。該構造体として、例えば、コンクリートの床や発音体を支持するシャフトなどの構造体が挙げられ、床の上に設置されたキーボード、シャフトで支持されたスピーカ、空間に設置されたゲーム機等のように、発音体の複雑な設置状況や支持状態を含めてシミュレートすることが困難である場合などにも適用することが可能である。
また、システムに含まれる特定のユニットのみを取り替えた場合のシステム全体の音響特性を評価するような場合に、該取り替えたユニットの発音特性をシミュレートしさえすれば、システム全体のシミュレーションを行うことなくシステム全体のシミュレートが可能である。また、特に精密なシミュレーションを要求されるユニット(例えば、スピーカ周辺)などに対して本発明に係るシミュレーション方法を適用し、他のユニットについては簡易なシミュレーション方法を用いる、といったことも可能である。
Claims (13)
- 特定の発音体の発音特性をシミュレートする既存発音体シミュレーション手段と、
仮想の発音体の発音特性をシミュレートする仮想発音体シミュレーション手段と、
前記特定の発音体を実際に発音させた際の発音特性を測定する既存発音体測定手段と、
前記既存発音体シミュレーション手段と前記仮想発音体シミュレーション手段とによるそれぞれのシミュレーション結果を比較し、その差異を表す差異データを生成する第1の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記既存発音体測定手段による測定結果を補正し、前記仮想の発音体の発音特性である仮想発音体予測データを生成する第1の特性補正手段と
を具備することを特徴とするシミュレーション装置。 - 特定の発音体の発音特性をシミュレートする既存発音体シミュレーション手段と、
仮想の発音体の発音特性をシミュレートする仮想発音体シミュレーション手段と、
前記特定の発音体を実際に発音させた際の発音特性を測定する既存発音体測定手段と、
前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とを比較し、その差異を表す差異データを生成する第2の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果を補正し、前記仮想の発音体の発音特性である仮想発音体予測データを生成する第2の特性補正手段と
を具備することを特徴とするシミュレーション装置。 - 前記第1の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果から、周波数応答に関する差異を算出し、
前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の周波数応答を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。 - 前記第1の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果から、位相特性に関する差異を算出し、
前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の位相特性を測定する
ことを特徴とする請求項1または3に記載のシミュレーション装置。 - 前記第2の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とから、周波数応答に関する差異を算出し、
前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の周波数応答を測定することを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション装置。 - 前記第2の差異データ生成手段は、前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とから、位相特性に関する差異を算出し、
前記既存発音体測定手段は、前記特定の発音体を実際に発音させた際の位相特性を測定することを特徴とする請求項2または5に記載のシミュレーション装置。 - 前記特定の発音体の演奏内容を表す音データを受取る受取手段と、
前記受取手段が受取った音データを、前記仮想発音体予測データに基づいて変形し出力する音データ変形手段と
を具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 特定の構造体に係る音の伝達特性をシミュレートする伝達特性シミュレート手段と、
前記伝達特性シミュレート手段によるシミュレーション結果を用いて前記仮想発音体予測データを補正して、前記仮想の発音体が発音した音が前記特定の構造体を伝達した結果の複合体発音特性を予測する第1の予測データ補正手段と
を具備することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 特定の構造体に係る音の伝達特性を測定する伝達特性測定手段と、
前記伝達特性測定手段による測定結果を用いて前記仮想発音体予測データを補正して、前記仮想の発音体が発音した音が前記特定の構造体を伝達した結果の複合体発音特性を予測する第2の予測データ補正手段と
を具備することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 特定の構造体に係る音の伝達特性をシミュレートする既存構造体シミュレーション手段と、
仮想の構造体に係る音の伝達特性をシミュレートする仮想構造体シミュレーション手段と、
前記特定の構造体が音を伝達する際の伝達特性を測定する既存構造体測定手段と、
前記既存構造体シミュレーション手段と前記仮想構造体シミュレーション手段とによるそれぞれのシミュレーション結果を比較し、その差異を表す差異データを生成する第3の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記既存構造体測定手段による測定結果を補正し、前記仮想の構造体による音の伝達特性である仮想構造体予測データを生成する第3の特性補正手段と、
前記仮想発音体予測データを、前記第3の特性補正手段が生成した仮想構造体予測データに基づいて補正して、前記仮想の発音体が発音した音が前記仮想の構造体を伝達した結果の複合体発音特性を予測する第3の予測データ補正手段と
を具備することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - 特定の構造体に係る音の伝達特性をシミュレートする既存構造体シミュレーション手段と、
仮想の構造体に係る音の伝達特性をシミュレートする仮想構造体シミュレーション手段と、
前記特定の構造体が音を伝達する際の伝達特性を測定する既存構造体測定手段と、
前記既存構造体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存構造体測定手段による測定結果とを比較し、その差異を表す差異データを生成する第4の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記仮想構造体シミュレーション手段によるシミュレーション結果を補正し、前記仮想の構造体による音の伝達特性である仮想構造体予測データを生成する第4の特性補正手段と、
前記仮想発音体予測データを、前記第4の特性補正手段が生成した仮想構造体予測データに基づいて補正して、前記仮想の発音体が発音した音が前記仮想の構造体を伝達した結果の複合体発音特性を予測する第4の予測データ補正手段と
を具備することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシミュレーション装置。 - コンピュータを、
特定の発音体の発音特性をシミュレートする既存発音体シミュレーション手段と、
仮想の発音体の発音特性をシミュレートする仮想発音体シミュレーション手段と、
前記特定の発音体を実際に発音させた際の発音特性を測定する既存発音体測定手段と、
前記既存発音体シミュレーション手段と前記仮想発音体シミュレーション手段とによるそれぞれのシミュレーション結果を比較し、その差異を表す差異データを生成する第1の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記既存発音体測定手段による測定結果を補正し、前記仮想の発音体の発音特性である仮想発音体予測データを生成する第1の特性補正手段
として機能させるためのプログラム。 - コンピュータを、
特定の発音体の発音特性をシミュレートする既存発音体シミュレーション手段と、
仮想の発音体の発音特性をシミュレートする仮想発音体シミュレーション手段と、
前記特定の発音体を実際に発音させた際の発音特性を測定する既存発音体測定手段と、
前記既存発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果と前記既存発音体測定手段による測定結果とを比較し、その差異を表す差異データを生成する第2の差異データ生成手段と、
前記差異データを用いて、前記仮想発音体シミュレーション手段によるシミュレーション結果を補正し、前記仮想の発音体の発音特性である仮想発音体予測データを生成する第2の特性補正手段
として機能させるためのプログラム。
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