JP5049665B2 - 垂直擁壁および垂直擁壁の工法 - Google Patents

垂直擁壁および垂直擁壁の工法 Download PDF

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Description

本発明は、垂直擁壁及び垂直擁壁の工法に関し、特に、前面をコンクリート板により構成し、底面と背面とを金網パネルにより構成した単位ユニットを用いる垂直擁壁およびその工法に関するものである。
擁壁とは、切土や盛土による地表面の高低差を保持するために、その境界に設けられる壁状の構造物のことであり、垂直擁壁は前面に現れる壁が鉛直に切り立っている擁壁である。従来のコンクリート垂直擁壁には、図8に示すL型擁壁100や図9に示す補強土擁壁200が主として採用されてきた。
L型擁壁100は垂直断面がL型であるコンクリート製の部材101を基礎コンクリート102の上に置くあるいは形成して、部材101の底部の上および垂直壁の後方に盛土110を行ったものである。また、補強土擁壁200は、地盤の上に複数のコンクリート板201を垂直に積み上げていき、その後方に盛土110を行っていくのであるが、その盛土110の中に水平に帯状またはシート状の補強材202を埋設し、補強材202と各コンクリート板201とを連結部材で連結しているものである。
また、別種の擁壁として金網籠擁壁がある。この金網籠擁壁は、金網からなる籠の中に栗石や割栗石を詰めて積み上げて形成されるものである。
特開2000−73331号公報 特開平11−166219号公報 特開2005−98093号公報
上記のL型擁壁100や補強土擁壁200は、盛土110内の排水を行う必要があり、前面の壁面部に水抜き穴を開け、盛土110内に排水管を複数埋設して水抜き穴と連通させて排水を行っている。しかしながら、盛土110は土砂を突き固めているため、排水性が悪く、また土砂で排水管が目詰まりするので、維持管理コストが大きくなる。また、背面土砂の吸い出し現象による擁壁倒壊の危険性もある。また、大規模な掘削工事が必要なため、コストが増大するとともに工程管理も複雑になり、広い資材管理場が必要になる。特に、補強土擁壁200はコンクリート板201が盛土110の土圧力により倒れそうになるのを補強材202の土砂との摩擦抵抗力によって支えているので、コンクリート板201後方に比較的長く補強材202を敷く必要があり、盛土110を広範囲に行う必要がある。
金網籠擁壁は強度の面から、一般的には上面に自動車荷重が直接作用する箇所には適用できない。また、擁壁前面の金網が、内部の石に押されて外側に膨らむので心理的な圧迫感も有り、垂直積みが非常に困難であり、上面に道路等を作る場合には垂直擁壁としては使用することができない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水性が良く低コストで施工できるとともに十分な強度を有する垂直擁壁を提供することにある。
上記の課題を解決するために、前面をコンクリート板とし底面と背面とを金網パネルとした単位ユニットを並べて垂直擁壁を形成することとした。
具体的には、本発明の垂直擁壁は、前面をコンクリート板により構成し、底面と背面とを金網パネルにより構成した複数の単位ユニットを、それぞれの前面が擁壁をなすように上下及び左右に並べ、該単位ユニットの前面及び背面の間であって底面上に石およびコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填して形成する垂直擁壁であって、前記コンクリート板は透水性のポーラスコンクリートからなるとともに、前記単位ユニットの前面となる前壁部と該前壁部から後方にリブ状に突き出している突出部とを備えており、前記底面と背面とは、前記金網パネルを鉛直断面L字型に折り曲げて構成されており、前記背面の内側には、透水性シートが配置されており、上下に並べられた前記コンクリート板同士は、下側のコンクリート板の突出部の上端と上側のコンクリート板の突出部の下端とが連結部材により連結されることにより固定されており、前記金網パネルの前縁は前記連結部材により、前記コンクリート板に固定されている構成とした。なお、背面の内側に透水性シートが配置されているというのは、金網背面の前面に向いた側の全面を透水性のシートで覆っていることをいう。
前面がポーラスコンクリートのコンクリート板からなり、その背部には石及びコンクリート破砕物の少なくとも一方が充填されているので、排水性がよい。また単位ユニットを並べては石やコンクリート破砕物を充填し、さらにその上に単位ユニットを積むので、低コストで十分な強度を有する擁壁を施工できる。
上下に隣接した2つの前記単位ユニットにおいて、前記前面と背面との間の距離は上側の方が下側以上に大きい構成としてもよい。
前記コンクリート板と前記底面とは、補強ステーによりさらに連結されている構成としてもよい。
本発明の垂直擁壁の工法は、コンクリート板を複数枚積み上げて垂直擁壁を形成する垂直擁壁の工法であって、地盤の上に基礎ブロックを設置する工程Aと、前記基礎ブロックの上に透水性のポーラスコンクリートからなり、擁壁を構成するコンクリート板を載せるとともに、該コンクリート板の後側下部に、鉛直断面がL字型の金網パネルの一端を連結して、コンクリート板の後方に該金網パネルからなる底面と背面とを設ける工程Bと、前記背面の内側を透水性シートで覆う工程Cと、前記コンクリート板の後側と前記透水性シートとの間に石及びコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填する工程Dとを含む。
前記工程Dの後に、前記コンクリート板の上にポーラスコンクリートからなる別のコンクリート板を載せるとともに、該別のコンクリート板の後側下部に、鉛直断面がL字型の別の金網パネルの一端を連結して、該別のコンクリート板の後方に該別の金網パネルからなる底面と背面とを設ける工程B’と、前記背面の内側を透水性シートで覆う工程C’と、前記別のコンクリート板の後側と前記透水性シートとの間に石及びコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填する工程D’とをさらに含み、前記工程D’の後に再び工程B’、C’、D’をこの順番で複数回行い、再び行う工程B’における前記別のコンクリート板と前記別の金網パネルの背面との距離は、その前の工程B’における該距離以上である構成としてもよい。
前面がポーラスコンクリートからなるコンクリート板である単位ユニットを積み上げ、その中に石やコンクリート破砕物を入れて垂直擁壁とするので、施工が簡単で低コストで行え、また高い排水性を確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
実施形態1に係る垂直擁壁の模式的な断面を図1に示す。この垂直擁壁1は、斜面の一部を掘削して設けたものであり、最上部に道路が形成されている。垂直擁壁1の前面部分は、ポーラスコンクリートからなる複数のコンクリート板10,10,…を並べて形成している。また、コンクリート板10,10,…の背部には、平面状の金網パネル20a,20b,20cを折り曲げて鉛直断面をL字型としたものが置かれている。
金網パネル20a,20b,20cは、亜鉛めっきを施した溶接金網からなっており、水平に延びる底面22とその底面22の端部から垂直に上方へ延びる背面21とを備えている。この金網パネル20a,20b,20cの前縁はコンクリート板10の下端部に連結されて固定され、そこから後方へ底面22が延び、さらに底面22の後端から上方へ背面21が延びている。背面21の高さはコンクリート板10の高さとほぼ同じである。一つのコンクリート板10に一つの金網パネル20a(または20b、20c)が連結されて、単位ユニットを形成している。そして、複数の単位ユニットが上下及び左右に連結されて垂直擁壁1を構成している。なお、道路脇の斜面(図の右側)にも単位ユニットを積み上げてもたれ型の擁壁を形成している。
単位ユニットの背面21の内側(背面21のコンクリート板10に面した側)には、ポリエステル系の不織布などからなる透水性シート25が配置されている。また、コンクリート板10や背面21が倒れないように、底面22とコンクリート板10、および底面22と背面21とが補強ステー27、27により連結されている。補強ステー27は鋼線の両端をフックにしたものであり、コンクリート板10や背面21の上部に一方のフックを掛け、他方のフックは底面22に掛けている。図よりわかるように、補強ステー27,27は、鉛直に立っているコンクリート板10および背面21と水平な底面22とを、直角三角形の斜辺のように斜めに連結している。
さらに単位ユニットの前面(コンクリート板10)と背面21との間、および底面22の上にコンクリート破砕物(クラッシャーラン)80が充填されている。コンクリート破砕物80は、コンクリートからなる構造物を取り壊したときに発生するものであり、安価なため埋め立てに用いられる。背面21の内側に透水性シート25が配置されているため、金網パネル20a(または20b、20c)の網目よりも径が小さいコンクリート破砕物80を充填しても背面21の網目からこぼれ落ちることはない。背面21の後方には土砂70が充填されている。
コンクリート破砕物80が充填された単位ユニットの上には、もう一つの単位ユニットが載せられる。このようにして、単位ユニットを上へ積んでいき、必要な高さの垂直擁壁1が形成される。また、単位ユニットは水平方向にも複数並べられて垂直擁壁1を形成する。ここで、充填物がコンクリート破砕物80であり、単位ユニットの背面21の内側には透水性シート25が配置されており、さらに前面のコンクリート板10がポーラスコンクリートからなっているので、雨が降っても浸透水は速やかにコンクリート破砕物80の間を流れてコンクリート板10から前に流れ出る。また、透水性シート25が単位ユニット内に土砂が入ってくるのを防ぐため、土砂によるコンクリート板10の目詰まりを防止でき、高い排水性を長期間保持することができる。
上記のように単位ユニットを積み上げてコンクリート破砕物80を充填していくことによって、コンクリート破砕物80が底面22の網目から下側に一部突き出すことになる。そして、網目から突き出しているコンクリート破砕物80が下の単位ユニットのコンクリート破砕物80としっかりと噛み合うことになる。このようにして上下の単位ユニットが一体となり、垂直擁壁1全体の一体性が保たれる。
また、本実施形態では単位ユニットを上下に10段積み上げているが、この10段を上中下の3つに分けた場合、前面のコンクリート板10と背面21との間の距離(底面22の長さ)は、下段の3つの段よりも中段の4つの段の方が大きく、さらに中段の4つの段よりも上段の3つの段の方が大きい。なお、上段の上下に並んだ3つの単位ユニットの底面22の長さはそれぞれ同じであり、中段の4つの単位ユニットおよび下段の3つの単位ユニットに関しても同様である。このような構成により、斜面の掘削量が少なくても垂直擁壁1を形成することができる。この構造は、上記の上下の単位ユニット間のコンクリート破砕物80同士の噛み合いによる一体性によって支えられており、斜面側からの土圧力によって垂直擁壁1が崩壊する虞はない。
ここで、本実施形態の垂直擁壁1を特許文献1の生態保全ブロックと比較すると、特許文献1の生態保全ブロックは擁壁面となるコンクリートブロックの裏面に、平面形状がコ字状であって上下方向を開放した網枠からなるため、擁壁にかかる土圧力を支えるのが網枠の側面部分のみでありそこは引っ張り力に対して弱いので、擁壁はもたれ型にする必要があり、垂直擁壁とすることができないのに対し、本実施形態の垂直擁壁1では、単位ユニットの底面22に充填物であるコンクリート破砕物80の重量がかかり、それが擁壁にかかる前方圧力を十二分に支えることができるため、擁壁を垂直とすることができ、最上部に道路を形成しても崩壊する虞はない。
また、本実施形態の垂直擁壁1を特許文献2の土木構築物と比較すると、特許文献2の土木構築物は護岸構造を前提としているため前壁から排水されることはなく、最上部に道路等を形成できるほど擁壁にかかる圧力を支えることができず、また、もたれ型であるので垂直擁壁とすることができない。
さらに、本実施形態の垂直擁壁1を特許文献3のブロック擁壁と比較すると、特許文献3のブロック擁壁も垂直擁壁を形成できるほど擁壁にかかる圧力を支えることができないとともに、前面への排水をパイプに頼っているので、パイプの目詰まりなど排水性の問題がある。
以上のように本実施形態の垂直擁壁1は、高い排水性と上部に道路を形成できる強度を有しているとともに、斜面の掘削量を少なくできて充填物にコンクリート破砕物80を用いているので、低コストで施工できる。さらに、通常のコンクリートに比べて軽量なポーラスコンクリートを用いてコンクリート板10を形成しており、このコンクリート板10が単位ユニットの中での最重量物であるので、単位ユニット自体が軽量であって大型のクレーンは不要になり、この点でも工事コストを低減でき、工事期間も短縮できる。
(実施形態2)
実施形態2の垂直擁壁は、上下方向に単位ユニットを3つ重ねたものであり、前面上方側から見た斜視図を図2に、後面上方側から見た斜視図を図3に示す。
図2,3に示す本実施形態の垂直擁壁2は、水平方向(左右方向)に並ぶ単位ユニット5を4つ分抜き出したものであり、内部構造を見やすくするため、充填物のコンクリート破砕物および透水性シートを省略している。
上下の3段の単位ユニット5,5,5はコンクリート板10,10,10と金網パネル20a,20b,20cとを備えており、各段を比較すると金網パネル20a,20b,20cの一部である底面22の長さがそれぞれ異なっている。即ち下段が最も短く、上段が最も長く、中段がそれらの中間の長さである。底面22の長さ以外は、上中下とも同じ構成である。
コンクリート板10,10,10は、透水性を有するポーラスコンクリートからできており、単位ユニット5の前面となる前壁部15と、この前壁部15の後側にリブ上に突き出している突出部11,11とを備えている。一つのコンクリート板10は2つの突出部11,11を備えている。突出部11の上下方向の長さ(高さ)は前壁部15の上下方向の長さ(高さ)と同じであり、一つのコンクリート板10の上に別のコンクリート板10を積み重ねると、一方の前壁部15の上端と別の前壁部15の下端とが全面的に当接するとともに、上下の突出部11,11同士も上端と下端とが当接して、2つのコンクリート板10,10を安定して積み重ねることができる。ここで、前壁部15の下端と上端とには、それぞれ段差12,12があり、その段差12,12同士が嵌り合って上下のコンクリート板10,10同士の積み重ね時の位置決めが行われコンクリート板10,10同士がずれてしまうことを防いでいる。
上下のコンクリート板10,10同士は、上側の突出部11の下端と下側の突出部11の上端とを、金属板にボルト孔が開けられた連結部材30によって連結することにより互いに固定されている。ここで図4に示すように、突出部11の上端には、窪み13が設けられており、その窪み13に金網パネル20a(または20b,20c)の前縁の鋼線を嵌め込むようになっている。従って、この窪み13に金網パネル20a(または20b,20c)の前縁の鋼線を嵌め込まれた後に窪み13を覆うように連結部材30をあて、ボルト孔にボルトを差し込んで、突出部11に設けられたボルト穴にボルトを螺合させて、上下のコンクリート板10,10および金網パネル20a(または20b,20c)を互いに連結固定する。
また、前壁部15の側面の上部には凹部14が設けられている。この凹部14は補強ステー27のフックが差し込まれる場所である。すなわち、左右に隣接するコンクリート板10,10は、互いの凹部14,14をつき合わせて並べられており、その凹部14,14を覆うように連結部材30が取り付けられ、補強ステー27のフックは凹部14,14に差し込まれて連結部材30に引っ掛けられるのである。補強ステー27の反対側のフックは、底面22の鋼線に引っ掛けられる。このようにして左右に隣接するコンクリート板10,10同士は連結部材30によって連結固定される。
さらに上下に並ぶ金網パネル20a、20b(または20b,20c)同士は、Uボルトによって連結され固定されている。
次に、本実施形態の垂直擁壁2の施工方法について図5を参照して説明する。
まず、施工場所の斜面を掘削し、垂直擁壁2を形成する基礎地盤50を設ける(図5(a))。
それから、基礎地盤50の上に基礎ブロック9を置き、基礎ブロック9の背部に基礎ブロック9とほぼ同じ高さとなるように砕石を敷く(図5(b))。基礎ブロック9は水平方向に複数隣接して並べられている。
次に基礎ブロック9の上にコンクリート板10を置く。この時基礎ブロック9にはコンクリート板10の段差12と同形状の段差12’が設けられているので、基礎ブロック9とコンクリート板10とは段差12’と段差12とが嵌り合うことで位置決めされる。さらに、コンクリート板10の背部に底面22と背面21をなす金網パネル20aを置き、前縁の鋼線を連結部材30によってコンクリート板10と基礎ブロック9とに連結固定する。こうして単位ユニット5が形成される。なお、金網パネル20aを先に置いてからコンクリート板10を置いて、それから連結部材30によって両者を連結固定してもよい。それから、背面21の内側に透水性シート25を配置し、補強ステー27,27によってコンクリート板10と底面22および背面21と底面22を繋ぐ(図5(c))。
そして単位ユニット5の中にコンクリート破砕物80を充填し、背面21の背部を土砂70により埋め戻す(図5(d))。
それから、基礎ブロック9の上のコンクリート板10の上に別のコンクリート板10を設置する。この別のコンクリート板10の背部に底面22と背面21をなす金網パネル20bを置き、前縁の鋼線を連結部材30によって上下のコンクリート板10,10に連結固定する。こうして別の単位ユニット5が形成される。なお、金網パネル20bを先において、次に別のコンクリート板10を置き、それから連結部材30によって両者を連結固定してもよい。ここで上に置かれた金網パネル20bは、下の金網パネル20aに比べて底面22の長さが大きい。それから、背面21と底面22の内側に透水性シート25を敷き、補強ステー27,27によってコンクリート板10と底面22および背面21と底面22を繋ぐ(図5(e))。
この後に図5(d)の工程を行い、さらにその上にコンクリート板10と金網パネル20cとを図5(e)と同様にして設置し、もう一度図5(d)の工程を行って、3段の高さの垂直擁壁2が出来上がる。
以上のように本実施形態では、コンクリート板10、金網パネル20a、20b、20c、補強ステー27、連結部材30、透水性シート25の5種類の部材を用意すれば、基礎ブロック9の上に垂直擁壁2を築くことができ、部材の種類が少ないので、施工も容易に行えてコストを低く抑えられる。また、現場打コンクリートを用いる必要がないので、養生期間が不要であり工期を短くできる。また、本実施形態においては実施形態1の効果も奏せられ、本実施形態の効果は実施形態1においても奏せられる。
(実施形態3)
実施形態3の垂直擁壁は、図6に示すように実施形態1とは積み上げられた単位ユニットの底面22の長さが異なっている。即ち底面22の長さは、下の3段が長く、中間の4段は下よりも短く、上の3段は中間よりもさらに短い。なお、底面22の長さ以外は本実施形態の垂直擁壁3は実施形態1の垂直擁壁1と構造や構成材料等が同じである。本実施形態の垂直擁壁3は、実施形態1の垂直擁壁1よりも施工時に掘削量が多くなるが、それ以外は実施形態1と同様の効果を奏する。
(実施形態4)
実施形態4の垂直擁壁は、図7に示すように実施形態1とは積み上げられた単位ユニットの底面22の長さが異なっている。即ち底面22の長さは、全ての段において同じ長さとなっている。なお、底面22の長さ以外は本実施形態の垂直擁壁4は実施形態1の垂直擁壁1と構造や構成材料等が同じである。本実施形態の垂直擁壁4は、実施形態1の垂直擁壁1よりも施工時に掘削量がやや多くなるが、それ以外は実施形態1と同様の効果を奏する。
(その他の実施形態)
上記の実施形態は本発明の例示であり、本発明はこれらの例に限定されない。例えば、コンクリート破砕物の代わりに小石や砕石、砂が混じったクラッシャーなどを充填してもよいし、土砂等が混じっていたりこれらの混合物を充填してもよい。コンクリート板10の形状も上記のものに限定されず、例えば突出部11は一つだけでもよいし、前面側の模様は任意の模様を用いることができる。
以上説明したように、本発明に係る垂直擁壁は、排水性がよく容易に施工できるので、上側に道路を設ける垂直擁壁等として有用である。
実施形態1の垂直擁壁を模式的に示した断面図である。 実施形態2の垂直擁壁を前方から見た斜視図である。 実施形態2の垂直擁壁を後方から見た斜視図である。 2つのコンクリート板の連結部分の拡大図である。 実施形態2の垂直擁壁の施工方法を説明する概略断面図である。 実施形態3の垂直擁壁を模式的に示した断面図である。 実施形態4の垂直擁壁を模式的に示した断面図である。 L型擁壁を模式的に示した断面図である。 補強土擁壁を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1、2 垂直擁壁
3、4 垂直擁壁
5 単位ユニット
9 基礎ブロック
10 コンクリート板
11 突出部
15 前壁部
20a〜c 金網パネル
21 背面
22 底面
25 透水性シート
27 補強ステー
30 連結部材
50 基礎地盤
80 コンクリート破砕物

Claims (5)

  1. 前面をコンクリート板により構成し、底面と背面とを金網パネルにより構成した複数の単位ユニットを、それぞれの前面が擁壁をなすように上下及び左右に並べ、該単位ユニットの前面及び背面の間であって底面上に石およびコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填して形成する垂直擁壁であって、
    前記コンクリート板は透水性のポーラスコンクリートからなるとともに、前記単位ユニットの前面となる前壁部と該前壁部から後方にリブ状に突き出している突出部とを備えており、
    前記底面と背面とは、前記金網パネルを鉛直断面L字型に折り曲げて構成されており、
    前記背面の内側には、透水性シートが配置されており、
    上下に並べられた前記コンクリート板同士は、下側のコンクリート板の突出部の上端と上側のコンクリート板の突出部の下端とが、金属板にボルト孔が開けられた連結部材により連結されることにより固定されており、
    前記金網パネルの前縁は、前記コンクリート板の突出部の下端に設けられた窪みに嵌め込まれて、前記連結部材により、前記コンクリート板に固定されている、
    垂直擁壁。
  2. 上下に隣接した2つの前記単位ユニットにおいて、前記前面と背面との間の距離は上側の方が下側以上に大きい、請求項1に記載されている垂直擁壁。
  3. 前記コンクリート板と前記底面とは、補強ステーによりさらに連結されている、請求項1または2に記載されている垂直擁壁。
  4. コンクリート板を複数枚積み上げて垂直擁壁を形成する垂直擁壁の工法であって、
    地盤の上に基礎ブロックを設置する工程Aと、
    前記基礎ブロックの上に透水性のポーラスコンクリートからなり、擁壁を構成するコンクリート板を載せるとともに、該コンクリート板の後側下部に設けられた窪みに、鉛直断面がL字型の金網パネルの一端を、金属板にボルト孔が開けられた連結部材によって連結して、コンクリート板の後方に該金網パネルからなる底面と背面とを設ける工程Bと、
    前記背面の内側を透水性シートで覆う工程Cと、
    前記コンクリート板の後側と前記透水性シートとの間に石及びコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填する工程Dと
    を含む、垂直擁壁の工法。
  5. 前記工程Dの後に、前記コンクリート板の上にポーラスコンクリートからなる別のコンクリート板を載せるとともに、該別のコンクリート板の後側下部に設けられた窪みに、鉛直断面がL字型の別の金網パネルの一端を前記連結部材によって連結して、該別のコンクリート板の後方に該別の金網パネルからなる底面と背面とを設ける工程B’と、
    前記背面の内側を透水性シートで覆う工程C’と、
    前記別のコンクリート板の後側と前記透水性シートとの間に石及びコンクリート破砕物の少なくとも一種類を充填する工程D’と
    をさらに含み、
    前記工程D’の後に再び工程B’、C’、D’をこの順番で複数回行い、
    再び行う工程B’における前記別のコンクリート板と前記別の金網パネルの背面との距離は、その前の工程B’における該距離以上である、請求項4に記載されている垂直擁壁の工法。
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