JP5049178B2 - 車両用サスペンションの設計支援装置 - Google Patents
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従来の設計支援システムを車両用サスペンションの設計に適用する場合を考えると、車両用のサスペンションには、良く知られるように、二輪車用および四輪車用があり、さらにストラット型、(ダブル)ウィッシュボーン型、トレーリングアーム型あるいはマルチリンク型といった複数の型式があり、さらに型式が同一であっても、駆動輪に適用する場合と従動輪に適用する場合とでは機構が異なり、操舵輪に適用されるか否かによっても機構が異なるため、設計変更を行う場合等には、設計者の負担が大きいことが予測される。
このような場合に、従来においては、三次元モデルを定義するための定義点の座標値を作図などにより算出し、新たな定義点の座標を入力することが一般的であった。
しかしながら、定義点の座標値の算出は煩雑であり、特に何度もタイヤのトー角やクッション長を変更しなければならない場合、設計者の手間および負担が大きくなることが考えられる。
そこで、本発明の目的は、車両用サスペンション等の設計支援装置に係り、特に、サスペンション等を構成する各部材の形状、寸法および配置関係を定義するための定義点の座標値が既に入力されている状態で、車両の所望の要件(例えば、トー長、サスペンション長など)を入力するだけでサスペンションを構成する部材あるいはサスペンションに連結された部材の配置を所望の配置とすべく、各定義点の座標値を自動的に算出することが可能な車両用サスペンションの設計支援装置を提供することにある。
上記構成によれば、変更入力部を介して車両の所定の要件の変更を入力すると、変更部は、入力された車両の所定の要件の変更に関連する複数の定義点の座標の値の調整を行い、複数の定義点の座標の値を車両の要件の変更を満たす値にそれぞれ変更する。
したがって、車両の要件が変更された場合に、複数の定義点の座標の値を新たに入力することなく、一括して変更することが可能となり、設計者の負担を軽減することができる。
したがって、基本設計完了後に、所望のトー長を有する車両のサスペンションを容易に設計することができる。
したがって、基本設計完了後に、所望のクッションン長を有する車両のサスペンションを容易に設計することができる。
また、トー長(トーイン、トーアウト)を入力するだけで、自動的にタイロッド長を調整して所望のトー長を有する車両のサスペンションの設計が容易に何度でも行えるため、特に実車テスト後の微調整を行う際に有用となり、ひいては、開発時間の短縮が図れる。
また、クッション長を入力するだけで、車両用のサスペンションを構成する各部の調整を行って、所望のクッション長を有する車両のサスペンションの設計が容易に、かつ、何度でも行えるため、特に実車テスト後の微調整に要する時間を短縮することができ、ひいては、開発時間の短縮が図れる。
図1は、本発明の車両用サスペンションの設計支援装置を適用したCADシステムのブロック図である。
CADシステム10は、CPU11と、マン/マシンインターフェースとしてのキーボードやマウスを備えた入力操作部12および表示部13と、CADシステムのメインプログラムや三次元モデルの画像データが格納された内部記憶装置(HDD)14と、基準データ等を記憶するROM15と、CPU11のワークエリアとして機能するRAM16と、外部インターフェース17と、当該外部インターフェース17を介して接続された外部記憶装置20と、を備えている。
内部記憶装置14には、サスペンションの型式や機構ごとに、その代表的は三次元モデルが予め複数格納されている。
なお、内部記憶装置14および外部記憶装置20の利用形態は上記に限定されず、プログラムやデータの格納先としていずれの記憶装置を選択するかは任意に設定、変更可能である。
まず、CADシステム10のCPU11は、CADプログラムを内部記憶装置14から読み出して、起動し、オペレータが設計しようとするサスペンションの型式、機構、適用車両の駆動方式等を指定するための諸元値入力ウィンドウWinを表示部13の表示画面に表示する(ステップS1)。
図3は、諸元値入力ウィンドウの一例を示した図である。
諸元値入力ウィンドウWinは、大別すると、サスペンションの型式等を指定するためのセレクトタイプ領域30と、三次元モデルの所定の定義点に空間(三次元)座標を諸元値として入力するキネマティックコーディネート領域31と、各機構部の長さや角度等を諸元値として入力するジオメトリ領域32と、を備えている。
キネマティックコーディネート領域31には、入力モードを後述するレイアウトモードとするためのレイアウトモード入力タブ31Aと、入力モードを後述するチューニングモードとするためのチューニングモードタブ31Bとが配置されている。これらのタブ31A、31Bのいずれかを入力操作部12のマウスによりクリックすることにより、入力モードが切り替わることとなる。
一方、チューニングモードとは、既にサスペンションに固有の各定義点に対する諸元値(座標値)が入力されている状態で、車両の要件(本実施形態では、トー角あるいはサスペンションを構成するクッションのクッション長)を変更をするだけで、当該要件の変更に伴う各定義点に対する諸元値(座標値)を自動的に演算し、変更後の諸元値(座標値)に基づく運動学的モデルを生成するモードである。
ステップS2の判別において、現在の入力モードがレイアウトモードである場合(ステップS2;レイアウトモード)、すなわち、オペレータにより、レイアウトモード入力タブ31Aがクリックされた場合、未だ諸元値が入力されていない場合、あるいは、既に指定された設計対象のサスペンションにおいて必要な諸元値が全て入力されていない場合には、CPU11は、表示部13の諸元値入力ウィンドウWin上で、図3に示したように、レイアウトモード入力タブ31Aを手前に表示する。
次にオペレータは、各アイコンボタン301〜304を操作して設計対象のサスペンションを指定する(ステップS11)。これにより、CPU11は、今回の選択条件を満足するサスペンションの代表的な干渉等解析モデル(第1解析モデル)を内部記憶装置14から選択的に読み出し、表示部13に干渉等解析ウィンドウを表示する(ステップS12)。
干渉等解析ウィンドウWkcは、諸元値入力ウィンドウWinとは別に新たに開かれて表示される。この干渉等解析ウィンドウWkcに表示される干渉等解析モデル60では、各部の干渉の有無をはじめとして、様々な解析が行われる。
次に、CPU11は、諸元値入力ウィンドウWinを更新し、空間座標の入力が不要な定義点の諸元値入力ボックスの表示が濃色から淡色に変化させ、その入力が不要である旨が視覚的に表現し、その諸元値の入力が不能化する(ステップS13)。これによりオペレータは入力すべき諸元値を容易に把握することができる。
そして、CPU11は、図5に示した干渉等解析モデル60の各定義点A,B,C…の諸元値(座標値)が、諸元値入力ウィンドウWinの対応する各諸元値入力ボックスに暫定的に自動登録(図示省略)する(ステップS14)。
そして、CPU11は、指定条件を満足するサスペンションの代表的な動特性解析モデル(第2解析モデル)を内部記憶装置14から選択的に読み出し、図示を省略するが、その三次元モデルを表示部13に表示する(ステップS15)。
続いて、CPU11は、ステップ15で選択的に読み出した動特性解析モデルの各定義点の諸元値(座標値)が、諸元値入力ウィンドウWinの対応する各諸元値入力ボックスに暫定的に自動登録される。
続いて、CPU11は、入力、変更された諸元値を定義点に対応付けて外部記憶装置20に記憶する(ステップS21)。
一方、ステップS23の判別において、更新が完了した場合には(ステップS23;Yes)、処理を終了する。
図6は、諸元値入力ウィンドウでチューニングモードタブを選択した場合の説明図である。
図6において、チューニングモードタブ31Bには、トー長(Toe Length)入力ボックス41と、クッション長入力ボックス群42と、が配置されている。
クッション長入力ボックス群42は、クッションを車両に組み込んだ場合に、クッション長が最も長い状態(リバウンド時)のクッション長を入力する第1クッション長入力ボックス42Aと、ドライバー非搭乗時のクッション長を入力する第2クッション長入力ボックス42Bと、標準的と想定されているドライバー搭乗時のクッション長を入力する第3クッション長入力ボックス42Cと、クッション長が最も短い状態(ボトム時)のクッション長を入力する第4クッション長入力ボックス42Dとが配置されている。
ステップS2の判別において、現在の入力モードがチューニングモードである場合には(ステップS2;チューニングモード)、CPUは、変更入力値がトー長(トーイン長)あるいはクッション長のいずれであるかを判別する(ステップS4)。
以下においては、変更後のトー長(トーイン長)=TLとする場合について説明する。
また、図8は、サスペンションとタイヤの運動学的モデルの説明図である。図8(a)は、トーイン長=0[mm]の場合の説明図、図8(b)は、トーイン長=TL[mm]の場合の説明図である。図8において、図5と同一の部分には同一の符号を付すものとする。
ステップS4の判別において、変更入力値がトー長(トーイン長)である場合には(ステップS4;トー長)、CPU11は、トー長入力ボックス41に入力されたトーイン長(ステップS31)およびレイアウトモードで設定され、登録されている定義点に基づく、現在のトーイン長に基づいて、現在のトーイン長が、入力されたトーイン長に近づく側にタイロッド長を所定量変更する(ステップS32)。この場合において、レイアウトモードで入力された定義点の値は、オペレータからの指示があるまで更新しないこととされている。すなわち、チューニングモードにおける変更は、レイアウトモードの入力値に影響を与えないようにされている。これは、何度でもやり直しが行えるようにするためである。
次にCPU11は、タイロッド長の変更により変更される各定義点の座標値をシミュレーションにより算出する(ステップS33)。具体的には、サスペンションを構成する各部材の自由度、固定点あるいは揺動点の座標値を考慮して、タイロッド長変更後の各定義点の座標値を求めることとなる。より詳細には、図8(a)に示す状態から、図8(b)の矢印R方向にタイヤ67がやや傾いた状態(トーイン長が演算前の状態に対し、微小長ΔTLだけ長くなった状態)の各定義点の座標値を求めることとなる。
続いてCPU11は、変更後の各定義点の座標値を用いて、タイロッド長変更後のトーイン長を算出する(ステップS34)。
ステップS35の判別において、算出したタイロッド長変更後のトーイン長が、ステップS31で入力されたトーイン長=TLと等しくない場合には(ステップS35;No)、CPU11は、処理を再びステップS32に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。なお、この場合において、トーイン長が等しいとは、許容誤差範囲内に収まった場合を意味する。また、無限に演算が繰り返されるのを防止するため、所定の回数演算を行ってもトーイン長差が許容誤差範囲内に収まらない場合には、その旨をエラーとして告知し、演算を中断することとなる。
ステップS35の判別において、算出したタイロッド長変更後のトーイン長がステップS31で入力されたトーイン長=TLと等しい場合には(ステップS35;Yes)、タイロッド長の変更、すなわち、トーイン長の変更が完了したので、CPU11は、変更後の各定義点の座標値を用いてバーモデルを生成する(ステップS36)。
図9は、変更入力値がクッション長である場合の処理説明図である。
一方、ステップS4の判別において、変更入力値がクッション長である場合には(ステップS4;クッション長)、CPU11は、クッション長入力ボックス群42を構成する第1クッション長入力ボックス42A、第2クッション長入力ボックス42B、第3クッション長入力ボックス42Cあるいは第4クッション長入力ボックス42Dに入力されたクッション長(ステップS41)に近づく側にクッション長を所定量変更する(ステップS42)。具体的には、ステップS41においてクッション長入力ボックス群42に入力された各クッション長を満たすように各クッション長を所定量変更する。
続いてCPU11は、変更後の各定義点の座標値を用いて、各クッション長、すなわち、クッションレシオの変更の各クッション長がステップS41で入力された各クッション長と全て等しいか否かを判別する(ステップS44)。
ステップS44の判別において、所定量変更後の各クッション長がステップS41で入力された各クッション長といずれか一つでも等しくない場合には(ステップS44;No)、CPU11は、処理を再びステップS42に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
ステップS44の判別において、所定量変更後の各クッション長がステップS41で入力されたトーイン長=TLと等しい場合には(ステップS44;Yes)、各クッション長、すなわち、クッションレシオの変更が完了したので、CPU11は、変更後の各定義点の座標値を用いてバーモデルを生成する(ステップS45)。
その後、オペレータにより、ステップS36あるいはステップS45の処理で生成されたバーモデル(干渉等解析モデル)において、問題がないことが確認され、シミュレーションモデルの作成が指示されると、CPU11は、定義点について諸元値の更新を行い、各定義点の諸元値が外部記憶装置20に登録され、図10に示すような三次元のシミュレーションモデルが生成される(ステップS7)。
続いて、オペレータは、生成されたシミュレーションモデルを利用して、動作や干渉の有無等を従来と同様にチェックする(ステップS8)。
ステップS9の判定において、修正が必要であると判別された場合には(ステップS9;Yes)、処理をステップS1に移行し、所定の定義点を修正するために、同様の処理を行うこととなる。
一方、ステップS9の判定において、修正が必要でないと判別された場合には(ステップS9No)、処理を終了する。
また、チューニングモードにおける変更は、オペレータの指示があるまでは、レイアウトモードに反映されることはないので、実車テストにおけるテストドライバーの意見を反映した所望のシミュレーションモデルの生成を容易に何度でも生成することができる。
さらに、変更後の定義点の位置が干渉等解析モデルや動特性解析モデルに重畳表示されるので、定義点の位置を視覚的に認識できるようになり、設定したトー長あるいはクッション長を変更する場合の目安を付け易くなる。
11 CPU
12 入力操作部
13 表示部
14 内部記憶装置
15 ROM
16 RAM
17 外部インターフェース
20 外部記憶装置
30 セレクトタイプ領域
31 キネマティックコーディネート領域
31A レイアウトモード入力タブ
31B チューニングモードタブ
41 トー長入力ボックス
42 クッション長入力ボックス群
Claims (2)
- 指定された設計対象のサスペンションを構成する各部材の形状、寸法および配置関係を定義するために、当該サスペンション固有の複数の定義点の座標を予め入力し、前記定義点の座標に基づいてCADシステム(10)を利用して前記サスペンションのシミュレーションを行う車両用サスペンションの設計支援装置であって、
車両の所定の要件の変更を入力する変更入力部(12)と、
入力された前記車両の所定の要件の変更に関連する複数の前記定義点の座標の値の調整を行い、複数の前記定義点の座標の値を前記車両の要件の変更を満たす値にそれぞれ変更する変更部(11)と、を備え、
前記変更入力部(12)を介して入力される車両の所定の要件はトー長であり、
前記変更部(11)は、前記変更入力部(12)において入力されたトー長の変更に伴ってタイロッドの長さを変更すべく前記定義点の座標値の変更を行う、
ことを特徴とする車両用サスペンションの設計支援装置。 - 請求項1記載の車両用サスペンションの設計支援装置において、
前記変更入力部(12)を介して入力される車両の要件は、前記サスペンションを構成するクッションのクッション長であり、
前記変更入力部(12)において入力されたクッション長を満たすように前記定義点の座標値の変更を行う、
ことを特徴とする車両用サスペンションの設計支援装置。
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