JP5047153B2 - 等価容量型アクチュエータの駆動装置及び駆動方法 - Google Patents
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また、圧電素子は、全長の1/1000程度の歪みを生じさせるのに1000V/mm程度の電界の印加を必要とし、大きな変位が得られるように電極で挟んだ圧電層を複数積層した積層型圧電素子では、キロボルトオーダの高電圧を印加する必要があり、その変位を適応的に制御するために、印加した高電圧を素早く変化させる必要がある。
こうした高電圧の変化を可能にする高速応答性能を備えた高電圧増幅器は、大掛かりで高コストである。
この等価容量型アクチュエータの駆動装置は、図13の等価回路に示すように、等価容量型アクチュエータ120に直列接続した可変キャパシタ130と、直列接続した等価容量型アクチュエータ120及び可変キャパシタ130の両端に一定の高電圧を印加する定電圧源110とを備えており、可変キャパシタ130の静電容量を変えることで、等価容量型アクチュエータ120への印加電圧を制御している。
Va={Cv/(Cv+Ca)}E (数1)
となる。そのため、可変キャパシタ130の静電容量Cvを変えることで、等価容量型アクチュエータ120の両端の電位差Vaを変えることができる。
この駆動装置に用いる定電圧源110は、一定の高電圧を発生するものであれば良く、高電圧増幅器に比べて極めて低コストで入手することができる。
図15は、この静電アクチュエータ120における電極121、122の表示を1対に省略した静電浮上装置を模式的に示している。
この装置では、静電アクチュエータ120の電極122と浮上体123との間隔が常にギャップセンサ140で検出され、検出結果がコントローラ150に送られる。
コントローラ150は、この間隔が目標値と一致するようにVCM133を駆動して、固定電極132に対する可動電極131の距離を変え、可変キャパシタ130の静電容量Cvを調整する。そのため、静電アクチュエータ120の電極121、122に印加される電圧Vaは、(数1)により変化し、浮上体123を浮上させる静電力が変わり、電極121、122及び浮上体123間の間隔と目標値とのずれが修正される。
この駆動装置は、等価容量型アクチュエータと可変キャパシタとの接続箇所における電圧と、可変キャパシタの静電容量とから等価容量型アクチュエータの状態を推定しているため、等価容量型アクチュエータの状態を検知するためのセンサを必要としない。
制御手段は、可変キャパシタを自ら制御しているため、その静電容量が既知であり、等価容量型アクチュエータと可変キャパシタとの接続箇所における電圧を知ることで、等価容量型アクチュエータの状態を推定することができる。
この駆動装置では、等価容量型アクチュエータの状態を推定する際に、高電圧を扱う必要が無いため、処理が容易である。
この駆動装置では、等価容量型アクチュエータの状態を推定し、且つ、可変キャパシタの静電容量を制御する制御手段に対して低電圧が入力するため、制御手段における処理が容易となる。
高周波が重畳された高電圧は、ハイパスフィルタ及び検波回路により、扱い易い電圧に変換される。
制御手段は、静電アクチュエータの変位量が目標値と一致するように可変キャパシタの静電容量を制御する。
制御手段は、圧電アクチュエータの変位量が目標値と一致するように可変キャパシタの静電容量を制御する。
この駆動方法では、等価容量型アクチュエータと可変キャパシタとが直列接続された接続箇所の電圧と可変キャパシタの静電容量とから等価容量型アクチュエータの状態を推定しているため、等価容量型アクチュエータの状態を検知するセンサが必要でない。
この駆動方法では、等価容量型アクチュエータの状態を推定する際に、高電圧を扱う必要が無いため、処理が容易である。
この駆動方法では、等価容量型アクチュエータと可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の高電圧が、ハイパスフィルタ及び検波回路により扱い易い電圧に変換されるため、等価容量型アクチュエータの状態の検知が容易となる。
図1は、第1の実施形態に係る静電浮上装置の駆動機構の等価回路、図2は、この駆動機構を備えた静電浮上装置、図3は、静電アクチュエータの電極を1対だけ表示した静電浮上装置の模式図である。
この静電浮上装置は、図1の等価回路に示すように、静電アクチュエータ20と、静電アクチュエータ20に直列接続した可変キャパシタ30と、直列接続した静電アクチュエータ20及び可変キャパシタ30の両端に一定の直流高電圧を印加する定電圧源10と、静電アクチュエータ20と可変キャパシタ30との接続箇所における電圧と可変キャパシタ30の静電容量とから静電アクチュエータ20の状態を推定する推定手段60と、推定手段60の推定結果に基づいて可変キャパシタ30の静電容量を制御するコントローラ(制御手段)50とを有している。
この静電浮上装置は、図2に示すように、浮上体23を安定的に浮上させるため、静電アクチュエータ20が4対の電極21、22を具備しており、各電極対の各々に対して図1の等価回路が構成される。
この装置は、浮上体23を静電力で浮上させる静電アクチュエータ20の電極21、22と、可変キャパシタ30を構成する固定電極32及び可動電極31と、可動電極31を可動するボイスコイルモータ(VCM)33と、一定の高電圧を発生する定電圧源10と、静電アクチュエータ20と可変キャパシタ30との接続箇所における電圧と可変キャパシタ30の静電容量とから静電アクチュエータ20の変位量を推定する推定手段60と、推定手段60から入力する信号に基づいて可変キャパシタ30を制御するコントローラ50とを備えている。
定電圧源10は、静電アクチュエータ20の電極21と可変キャパシタ30の可動電極31との間に一定の高電圧を印加する。
また、コントローラ50は、推定手段60の推定結果に基づいてVCM33を駆動し、可変キャパシタ30の可動電極31を可動して固定電極32との距離を変え、可変キャパシタ30の静電容量Cvを制御する。
一方、静電アクチュエータ20の静電容量をCa、誘電率(一定)をε0、電極面積(一定)をS、浮上体23と電極21、22とのエアーギャップをdaとすると、
Ca=ε0S/da (数2)
の関係を有している。そのため、(数1)及び(数2)から、
da=ε0SVa/{Cv(E−Va)} (数3)
となる。
推定手段60は、推定したエアーギャップdaをコントローラ50に出力し、コントローラ50は、このdaが目標値と一致するようにVCM33を駆動し、可変キャパシタ30の静電容量Cvを制御する。可変キャパシタ30の静電容量Cvが変わると、静電アクチュエータ20の電極21と電極22との間の電位差Vaが変化し、浮上体23と電極21、22とのエアーギャップdaが変化する。
図4から明らかなように、可変キャパシタ30の静電容量Cvを制御することにより、静電アクチュエータ20の浮上体23に作用する静電力Fを制御することができ、従って、浮上体23と電極21、22との距離を制御することができる。
そのため、センサに要するコストを引き下げることができる。また、センサを使用しないから、センサの取付けや配線のためのスペースが不要であり、取付けや配線の作業負担からも解放される。
また、ここでは、可変キャパシタ20の電極間の距離を変えるためにVCM33を使用しているが、その他の可動手段を用いても良い。また、可変キャパシタの電極間の対向面積を変えることで可変キャパシタの静電容量を制御するようにしても良い。
第2の実施形態では、圧電アクチュエータの駆動装置について説明する。
図6は、圧電アクチュエータを用いた位置決め装置の等価回路である。
この駆動装置は、図6に示すように、圧電アクチュエータ70と、圧電アクチュエータ70に直列接続した可変キャパシタ30と、直列接続した圧電アクチュエータ70及び可変キャパシタ30の両端に一定の直流高電圧を印加する定電圧源10と、圧電アクチュエータ70と可変キャパシタ30との接続箇所における電圧と可変キャパシタ30の静電容量とから圧電アクチュエータ70の状態を推定する推定手段62と、推定手段62の推定結果に基づいて可変キャパシタ30の静電容量を制御するコントローラ54とを有している。
通常の圧電アクチュエータの駆動方法では、レーザ測長器、静電容量型変位センサまたは歪みゲージで圧電アクチュエータの変位を検出し、フィードバックすることによってヒステリシスを低減している。
Da=KaQa (数4)
の関係がある。Kaは比例定数である。
図6の等価回路では、圧電アクチュエータ70への注入電荷Qaは、直列に接続した可変キャパシタンス30の電極に蓄えられる電荷量Qvと等しくなる。即ち、
Qa=Qv (数5)
の関係にある。
ここで、電荷量Qvは、
Qv=CvVv=Cv(E−Va) (数6)
と表される。(数4)〜(数6)から、次式が得られる。
Da=KaCv(E−Va)
Cvは、コントローラ54が設定した可変キャパシタ30の静電容量である。そのため、推定手段62は、Vaを知ることにより、このVaと可変キャパシタ30の静電容量Cvとに基づいて圧電アクチュエータ70の変位量Daを推定することが可能になる。
このように、この駆動装置は、ヒステリシスの影響を受けずに、圧電アクチュエータ70を高精度に駆動することが可能である。
図1の駆動装置は、静電アクチュエータ20と可変キャパシタ30との接続箇所における電位Vaに基づいて静電アクチュエータ20の変位量を推定しているが、Vaは高電圧であるため、測定が難しい。第3の実施形態の駆動装置は、この点を改良している。
図8は、第3の実施形態に係る静電浮上装置の等価回路、図9は、静電アクチュエータの電極を1対だけ表示した静電浮上装置の模式図、図10は、図9の静電浮上装置の各箇所の信号波形を示す図である。
ハイパスフィルタ41は、静電アクチュエータ20及び可変キャパシタ30の接続箇所の電圧の交流成分だけを通し、直流成分を含む低周波成分の通過を阻止する。
検波回路42は、ダイオード、コンデンサ、抵抗などを用いて構成され、ハイパスフィルタ41を通過した信号を検波する。
図9は、図3に対応するものであり、図3に比べて、交流電圧源11が追加され、さらに、推定手段61の前にハイパスフィルタ41及び検波回路42から成る電圧変換手段40が追加されている。
静電アクチュエータ20において浮上体23の変位が(b)のように変動したとすると,電極21、22間の容量Caも変動するので,静電アクチュエータ20及び可変キャパシタ30の接続箇所における“交流電圧が重畳された高電圧”も同様に変動する。
ハイパスフィルタ41は、この静電アクチュエータ20及び可変キャパシタ30の接続箇所における電圧から高周波成分(c)を取出す。
検波回路42では、ダイオードなどを用いてハイパスフィルタ41の出力の+成分を抽出し、その波形をコンデンサなどを用いて平滑化する。そのため、検波回路42からは電圧(d)が出力される。
このとき、推定手段61が推定に用いる検波回路42の出力電圧(d)は、30Vのレベルであり、ハイパスフィルタ41及び検波回路42により、扱い易い電圧に変換されている。
ここでは、静電アクチュエータの駆動について説明したが、第2の実施形態に示す圧電アクチュエータの駆動装置にも適用できる。
11 交流電圧源
20 静電アクチュエータ
21 静電アクチュエータの電極
22 静電アクチュエータの電極
23 浮上体
30 可変キャパシタ
31 可変キャパシタの可動電極
32 可変キャパシタの固定電極
33 VCM
40 電圧変換手段
41 ハイパスフィルタ
42 検波回路
50 コントローラ(制御手段)
51 コントローラ
52 コントローラ
53 コントローラ
54 コントローラ
55 コントローラ
60 推定手段
61 推定手段
62 推定手段
70 圧電アクチュエータ
110 定電圧源
120 等価容量型アクチュエータ
121 静電アクチュエータの電極
122 静電アクチュエータの電極
123 浮上体
130 可変キャパシタ
131 可変キャパシタの可動電極
132 可変キャパシタの固定電極
133 ボイスコイルモータ(VCM)
140 ギャップセンサ
Claims (10)
- 等価容量型アクチュエータと、
前記等価容量型アクチュエータに直列接続した可変キャパシタと、
直列接続した前記等価容量型アクチュエータ及び可変キャパシタの両端に電圧を印加する定電圧源と、
前記等価容量型アクチュエータの変位量を制御するために、前記可変キャパシタの静電容量を変えて前記等価容量型アクチュエータの印加電圧を調整する制御手段と、を備える等価容量型アクチュエータの駆動装置であって、
前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧であって、前記等価容量型アクチュエータの両端の電位差に相当する電圧と、前記可変キャパシタの静電容量とから前記等価容量型アクチュエータの変位量を推定する推定手段を備え、
前記制御手段が、前記推定手段の推定結果に基づいて前記可変キャパシタの静電容量を制御して、前記等価容量型アクチュエータへの印加電圧を調整することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。 - 請求項1に記載の等価容量型アクチュエータの駆動装置であって、前記制御手段が、前記推定手段を兼ねることを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 請求項1に記載の等価容量型アクチュエータの駆動装置であって、前記定電圧源が、直流高電圧を出力する直流定電圧源と、前記直流高電圧に高周波の交流電圧を重畳する交流電圧源とから成り、前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧を扱い易い低電圧に変換して前記推定手段に出力する電圧変換手段を有することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 請求項2に記載の等価容量型アクチュエータの駆動装置であって、前記定電圧源が、直流高電圧を出力する直流定電圧源と、前記直流高電圧に高周波の交流電圧を重畳する交流電圧源とから成り、前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧を扱い易い低電圧に変換して前記制御手段に出力する電圧変換手段を有することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 請求項3または4に記載の等価容量型アクチュエータの駆動装置であって、前記電圧変換手段が、前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧から高周波成分を取出すハイパスフィルタと、前記ハイパスフィルタが取出した高周波成分を検波して出力する検波回路とを備えることを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の駆動装置であって、前記等価容量型アクチュエータが静電アクチュエータであり、前記推定手段が、前記静電アクチュエータの変位量を推定することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の駆動装置であって、前記等価容量型アクチュエータが圧電アクチュエータであり、前記推定手段が、前記圧電アクチュエータの変位量を推定することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動装置。
- 等価容量型アクチュエータに可変キャパシタを直列接続し、
直列接続した前記等価容量型アクチュエータ及び可変キャパシタの両端に定電圧を印加し、
前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧であって、前記等価容量型アクチュエータの両端の電位差に相当する電圧と、前記可変キャパシタの静電容量とから前記等価容量型アクチュエータの変位量を推定し、
推定結果に基づいて前記可変キャパシタの静電容量を制御して前記等価容量型アクチュエータへの印加電圧を調整することにより前記等価容量型アクチュエータの変位量を制御することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動方法。 - 等価容量型アクチュエータに可変キャパシタを直列接続し、
直列接続した前記等価容量型アクチュエータ及び可変キャパシタの両端に高周波の交流電圧を重畳した定電圧を印加し、
前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧であって、前記等価容量型アクチュエータの両端の電位差に相当する電圧を扱い易い低電圧に変換し、
前記低電圧と前記可変キャパシタの静電容量とから前記等価容量型アクチュエータの変位量を推定し、
推定結果に基づいて前記可変キャパシタの静電容量を制御して前記等価容量型アクチュエータへの印加電圧を調整することにより前記等価容量型アクチュエータの変位量を制御することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動方法。 - 請求項9に記載の等価容量型アクチュエータの駆動方法であって、前記低電圧を得るために、前記等価容量型アクチュエータと前記可変キャパシタとを直列接続した接続箇所の電圧の高周波成分をハイパスフィルタで取出し、前記ハイパスフィルタで取出した高周波成分を検波回路で検波することを特徴とする等価容量型アクチュエータの駆動方法。
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